(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】非発光可変透過装置、及び同装置の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20190101AFI20220822BHJP
【FI】
G02F1/15 505
G02F1/15 507
(21)【出願番号】P 2020527943
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2018081556
(87)【国際公開番号】W WO2019096991
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-19
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、フローレント
(72)【発明者】
【氏名】ギロン、ジャン - クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ニューカム、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョルナルド、エリック ジョン
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-514703(JP,A)
【文献】特開平07-028099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141258(US,A1)
【文献】米国特許第05216536(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発光可変透過装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の上に重なる第1の透明導電層と、
前記第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層と、
前記エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設された中間層と
を備え、
前記非発光可変透過装置は、前記中間層に関する前記非発光可変透過装置の欠陥が、前記中間層が前記第2の透明導電層に直接接触し、少なくとも0.08重量%の含水量を有する、別の非発光可変透過装置よりも起こりにくいよう構成され、前記中間層が前記エレクトロクロミック層を少なくとも部分的に貫通して延び、前記第1の透明導電層の表面に接触
し、前記エレクトロクロミック層はその接触された表面上に配設されている、非発光可変透過装置。
【請求項2】
非発光可変透過装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の上に重なる第1の透明導電層と、
前記第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層と、
前記エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設された中間層と
を備え、
前記中間層は、0.05重量%以下の含水量を有し、前記中間層は、前記エレクトロクロミック層を少なくとも部分的に貫通して延び、前記第1の透明導電層の表面に接触
し、前記エレクトロクロミック層はその接触された表面上に配設されており、又は
バリア層が、前記第2の透明導電層と前記中間層との間に配設され、前記バリア層は、前記第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延び、若しくは前記第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる通路の上に重なり、前記バリア層は、前記第1の透明導電層の表面に接触
し、前記エレクトロクロミック層はその接触された表面上に配設されている、非発光可変透過装置。
【請求項3】
非発光可変透過装置を組み立てる方法であって、
第1の基板の上に重なる第1の透明導電層を形成するステップと、
前記第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層を形成するステップと、
前記エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層を形成するステップと、
前記第2の導電層と第2の基板との間に配設された中間層を使用して、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するステップと
を含み、
前記中間層は、0.05重量%以下の含水量を有し、前記中間層は、前記エレクトロクロミック層を少なくとも部分的に貫通して延び、前記第1の透明導電層の表面に接触
し、前記エレクトロクロミック層はその接触された表面上に配設されており、又は
前記方法は、前記第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延び、前記第1の透明導電層の表面に接触するバリア層を形成するステップをさらに含み、
前記エレクトロクロミック層はその接触された表面上に配設されており、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するステップは、前記バリア層を形成するステップの後に実施される、方法。
【請求項4】
前記第2の透明導電層を形成するステップの後であって、且つ前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するステップの前に、空洞又は通路は、少なくとも前記第2の透明導電層を貫通して延びる、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の透明導電層の下に置かれる粒子を放出し、少なくとも前記第2の透明導電層を貫通して延びる空洞又は通路を残すステップをさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
エレクトロクロミック積層を形成するステップは、
前記粒子を前記基板の上に導入するステップと、
前記粒子の上に前記エレクトロクロミック積層を堆積させるステップと
含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の透明導電層は、前記空洞又は前記通路の一部に沿って露出される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記バリア層を形成するステップは、前記バリア層の一部が前記空洞内で形成されるように、又は前記通路内に形成されるように、若しくは前記通路を封止するように、実施される、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
エレクトロクロミック積層をさらに備え、前記エレクトロクロミック積層は、
前記エレクトロクロミック層又はイオン貯蔵層を含む、第1の電極層と、
イオン導電層と、
前記エレクトロクロミック層又は前記イオン貯蔵層のうちの他方を含む、第2の電極層と
を備え、
前記イオン導電層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配設され、
前記第1の透明導電層は、前記第2の電極よりも前記第1の電極に近く、
前記第2の透明導電層は、前記第1の電極よりも前記第2の電極に近い、請求項1
および2のいずれか一項に記載の非発光可変透過装置。
【請求項10】
前記バリア層は、前記第2の透明導電層と前記中間層との間に配設され、前記バリア層は、前記第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる、請求項
9に記載の非発光可変透過装置。
【請求項11】
前記バリア層上の前記中間層は、前記第1の透明導電層又は前記エレクトロクロミック層と接触しない、請求項
2に記載の非発光可変透過装置。
【請求項12】
前記バリア層は、酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含む、請求項
10に記載の非発光可変透過装置。
【請求項13】
前記バリア層は、無機材料及び有機材料の交互のフィルムを含む、請求項
11に記載の非発光可変透過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非発光可変透過装置、及び同装置の形成方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
非発光可変透過装置は、2枚のガラス・シートの間に配設されたエレクトロクロミック層を含むことができる。エレクトロクロミック層は、ガラス・シートのうちの1枚の上に堆積され、中間層は、ガラス・シート及びエレクトロクロミック層の組み合わせを他のガラス・シートに接合するために使用される。組み立て方法中に欠陥が形成され、歩留まりを減少させ、短絡を形成し、装置の外観(例えば、不均一な色付けなど)に影響を与え、又は装置の動作寿命を減少させる場合がある。非発光可変透過装置の組み立てにおける、さらなる改善が望まれる。
【0003】
実施例が、例として示され、添付の図に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】エレクトロクロミック基板、積層、及びバス・バーを含むワークピースの一部の断面図である。
【
図2】
図1の構成要素間の位置的関係のより良好な理解をもたらすための、
図1のワークピースの上面図である。
【
図3】層間に形成された粒子を示す、ワークピースの一部の断面図である。
【
図4】粒子が放出された後に空洞が形成された後の、
図3のワークピースの断面図である。
【
図5】空洞内にバリア層が形成された後の、
図4のワークピースの断面図である。
【
図6】ワークピースをカバー・ガラス基板に接合した後の、
図5のワークピースの断面図である。
【
図7】1つの実施例に従って説明するように、中間層を使用してワークピースをカバー・ガラス基板に接合した後の、
図4のワークピースの断面図である。
【
図8】ワークピースをカバー・ガラス基板に接合した後の、
図6のワークピースの側面図である。
【
図9】1つの実施例に従って説明するように、中間層を使用してワークピースをカバー・ガラス基板に接合した後の、
図7のワークピースの側面図である。
【
図10】1つの実施例に従った、絶縁ガラス・ユニットの断面図である。
【
図11】別の実施例に従った、絶縁ガラス・ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図中の要素が簡潔さ及び明確さのために示されており、必ずしも縮尺に則っているとは限らないことを理解する。例えば、図中の要素のうちのいくつかの寸法は、本発明の実施例の理解を促進するために、他の要素と比較して誇張されていることがある。
【0006】
図と組み合わせた以下の説明は、本明細書で開示する教示の理解を助けるために提供される。以下の説明は、本教示の特定の実装形態及び実施例に焦点を当てることになる。この焦点は、本教示を説明する助けとなるよう提供されるものであって、本教示の範囲又は適用性を限定するものと解釈するべきではない。
【0007】
本明細書で使用される用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、又はそれらの変形は、非排他的な包含を含むよう意図される。例えば、特徴の列挙を備えたプロセス、方法、物品、若しくは装備は、それらの特徴にのみ限定される必要はなく、明示的に列挙されていない他の特徴を含むか、又はこのようなプロセス、方法、物品、若しくは装備を内在し得る。さらに、そうでないことを明示的に述べない限り、「又は(or)」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指さない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは正しく(又は存在し)、且つBは誤り(又は存在せず)であるか、Aは誤り(又は存在せず)、且つBは正しい(又は存在する)か、或いは、A及びBの両方は正しい(又は存在する)。
【0008】
「1つ(a、又はan)」は、本明細書で説明する要素及び構成要素を説明するために利用される。これは、単なる便宜上、及び本発明の範囲の一般的な感覚を与えるために用いられる。この説明は、1つ、又は少なくとも1つを含むよう読むべきであり、そうでないことを明確にしない限り、単数形は複数形を含み、その逆も含む。
【0009】
単語「約(about)」、「概ね(approximately)」、又は「実質的に(substantially)」は、パラメータの値が記載された値又は位置に近いことを意味するよう意図される。しかし僅かな差異は、値又は位置を、記載された正確なものから妨げ得る。したがって、値の10パーセント(10%)までの差異は、説明された正確な理想的な目標からの、理にかなった差異である。
【0010】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が共通的に理解するのと同じ意味を有する。材料、方法、及び実例は、例示のみであり、限定することを意図しない。本明細書で説明しない範囲で、特定の材料及び処理作業に関する多くの詳細は、従来のものであり、ガラス、蒸着、及びエレクトロクロミック技術における教本、並びに他の資料に見出し得る。
【0011】
非発光可変透過は、歩留まりを減少させ、短絡を形成し、装置の外観に影響を与え、又は装置の動作寿命を減少させる欠陥の可能性を、軽減して組み立てることができる。非発光可変透過装置は、第1の基板、第1の基板の上に重なる第1の透明導電層、第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層、エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層、第2の基板、及び第1の基板と第2の基板との間に配設される中間層、を含むことができる。非発光可変透過装置は、中間層に関する非発光可変透過装置の欠陥が、中間層が第2の透明導電層に直接接触し、且つ中間層が少なくとも0.08重量%の含水量を有する別の非発光可変透過装置よりも起こりにくいよう、構成することができる。
【0012】
1つの実施例において、中間層は0.05重量%以下の含水量を有する。別の実施例において、非発光可変透過装置は、第2の透明導電層と中間層との間に配設されたバリア層をさらに含む。このバリア層は、第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる。
【0013】
図に示され、以下で説明される実施例は、本明細書で説明するコンセプトを実施するための特定の適用を理解する助けとなる。実施例は例示的なものであり、添付の特許請求の範囲を限定することは意図されない。
【0014】
図1は、エレクトロクロミック基板100、積層122、124、126、128、130、及び132、並びにエレクトロクロミック基板100の上に重なるバス・バー144及び148の一部の断面図である。1つの実施例において、エレクトロクロミック基板100は、ガラス基板、サファイア基板、酸窒化アルミニウム基板、又はスピネル基板を含むことができる。別の実施例において、エレクトロクロミック基板100は、ポリアクリル化合物、ポリアルケン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニルなどの透明ポリマーか、別の好適な透明ポリマーか、又は前述の共重合体か、を含むことができる。エレクトロクロミック基板100は、可撓性であってもよく、可撓性でなくてもよい。特定の実施例において、エレクトロクロミック基板100は、フロート・ガラス又はホウケイ酸ガラスとすることができ、0.5mmから4mmまでの範囲の厚さを有し得る。別の特定の実施例において、エレクトロクロミック基板100は、50ミクロンから300ミクロンまでの範囲の厚さを有するミネラル・ガラスである、極薄ガラスを含むことができる。特定の実施例において、エレクトロクロミック基板100は、形成される多くの異なる非発光可変透過装置に使用されてよく、マザーボードと称され得る。
【0015】
層の組成及び厚さについて、層の構成を説明する前に説明する。透明導電層122及び130は、導電性金属酸化物又は導電性ポリマーを含むことができる。実例は、酸化スズ又は酸化亜鉛を含むことができ、それらのうちのいずれかを、Al、Ga、Inなどの三価要素か、フッ化酸化スズか、又はポリアニリン、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフエン)などのスルホン化ポリマーか、を用いてドープ処理することができる。別の実施例において、透明導電層122及び130は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。透明導電層122及び130は、同じ組成又は異なる組成、及び同じ厚さ又は異なる厚さを有することができる。
【0016】
層のセットは、透明導電層122と130との間に配設された層124、126、及び128を有する、エレクトロクロミック積層を含む。層124及び128は電極層であり、そのうちの1つはエレクトロクロミック層、及び他方はイオン貯蔵層(対電極層とも称される)である。エレクトロクロミック層は、WO3、V2O5、MoO3、Nb2O5、TiO2、CuO、Ir2O3、Cr2O3、Co2O3、Mn3O3、又はそれらの任意の組み合わせで、50nmから2000nmまでの範囲の厚さを有する、無機金属酸化物の電気化学的活性材料を含むことができる。イオン貯蔵層は、エレクトロクロミック層に対して列挙された材料、若しくはTa2O5、ZrO2、HfO2、Sb2O3、又はそれらの任意の組み合わせのうちの任意のものを含むことができ、酸化ニッケル(NiO、Ni2O3、又はこの2つの組み合わせ)、及びLi、Na、H、若しくは別のイオンをさらに含み、それらは80nmから500nmまでの範囲の厚さを有し得る。イオン導電層126(電解質層とも称される)は、電極層124と128との間に配設され、20ミクロンから60ミクロンまでの範囲の厚さを有する。イオン導電層126によって、イオンがイオン導電層126を貫通して移動するのを可能にし、且つ多量の電子はイオン導電層126を貫通させない。イオン導電層126は、リチウム、アルミニウム、ジルコニウム、リン、ホウ素を伴うか又は伴わないケイ酸塩と、リチウムを伴うか又は伴わないホウ酸塩と、リチウムを伴うか又は伴わない酸化タンタルと、リチウムを伴うか又は伴わないランタニドをベースとする材料と、別のリチウムをベースとするセラミック材料と、などを含むことができる。イオン導電層126は任意選択であり、存在する場合、イオン導電層126は堆積により形成してよく、又は他の層の堆積後、電極層124及び128などの2つの異なる層の部分を反応させてイオン導電層126を形成する。本明細を読んだ後、当業者は、層122、124、126、128、及び130の他の組成及び厚さを、本明細書で説明するコンセプトの範囲から逸脱することなく、使用することができることを、理解するであろう。
【0017】
任意選択の反射防止層132は、上部透明導電層130の上に配設され、反射を減少させるのを助けるために使用することができる。反射防止層132は、基層(基層の屈折率は概ね2.0とすることができる)と、清潔で乾燥した空気又はAr若しくはN2などの不活性ガス(多くのガスは概ね1.0の屈折率を有する)との間の屈折率を有することができる。1つの実施例において、反射防止層132は、1.4から1.6までの範囲の屈折率を有する。反射防止層132は、好適な屈折率を有する絶縁材料を含むことができる。特定の実施例において、反射防止層132は、シリカを含む。反射防止層132の厚さは、薄くなるよう、且つ十分な反射防止特性をもたらすよう選択される。反射防止層の厚さは、少なくとも部分的に、層のセットの屈折率に依拠できる。反射防止層132の厚さは、20nmから100nmまでの範囲とすることができる。
【0018】
層122、124、126、128、130、及び132は、エレクトロクロミック基板100の上に、介在する任意のパターン付けステップ、真空を遮断するステップ、若しくは全ての層が形成される前に中間層を空気に露出させるステップ、を伴うか又は伴わずに形成することができる。1つの実施例において、層122、124、126、128、130、及び132を連続的に堆積させることができる。層122、124、126、128、130、及び132は、物理的蒸着又は化学的蒸着を使用して形成することができる。特定の実施例において、層122、124、126、128、130、及び132をスパッタ堆積させることができる。
【0019】
図1に示された実施例において、透明導電層122及び130の各々は、取り除かれた部分を含み、それによってバス・バー144及び148は互いに電気的に接続されない。このような取り除かれた部分は、通常20nmから2000nmまでの幅である。特定の実施例において、バス・バー144は、透明導電層122を介して電極層124と電気的に接続され、バス・バー148は、透明導電層130を介して電極層128と電気的に接続される。バス・バー144及び148は、導電性材料を含む。1つの実施例において、バス・バー144及び148の各々は、銀フリットなどの導電性インクを使用して形成することができる。導電性インクは、透明導電層122の上に印刷される。別の実施例において、バス・バー144及び148のうちの一方又は両方は、金属入りポリマーを含むことができる。特定の実施例(図示せず)において、バス・バー148は非貫入バス・バーであり、非貫入バス・バーは金属入りポリマーを含むことができ、金属入りポリマーは、透明導電層130の上で、層122、124、126、及び128から離隔される。金属入りポリマーの前駆体における粘性は、この前駆体が、クラック、又は導電性インクにとって問題となり得る基層の微細な欠陥を通して流れるのを抑えるために、十分高くてよい。下部透明導電層122は、この特定の実施例においては、パターン化される必要はない。さらに別の実施例において、バス・バー144及び148は、印刷する代わりにワークピースに適用される導電性テープの形態であってよい。
【0020】
示された実施例において、非発光可変透過装置の幅WECは、透明導電層122及び130の取り除かれた部分間の、横方向距離に対応する寸法である。WECは、非発光可変透過装置の色付け可能領域の平面寸法のうちの1つに対応する。WSは、バス・バー144と148との間の積層の幅である。WSとWECとの差異は、5cm以下、2cm以下、又は0.9cm以下である。したがって、積層の幅のほとんどは、異なる透過状態を可能にする、非発光可変透過装置の動作部に対応する。1つの実施例において、このような動作部は、非発光可変透過装置の主体であり、バス・バー144と148との間の領域の、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又はそれよりも大きい領域を占有することができる。
【0021】
図2は、エレクトロクロミック基板100、及び
図1で説明した層を含む非発光可変透過装置210の上面図を示す。バス・バー144は、エレクトロクロミック基板100の側部202に沿って載り、バス・バー148は、側部202の反対側の側部204に沿って載る。バス・バー144及び148の各々は、側部206と208との間の距離の大部分に延びた延長を有する。特定の実施例において、バス・バー144及び148の各々は、側部206と208との間の距離の、少なくとも75%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の延長を有する。バス・バー144及び148の延長は、互いに対して実質的に平行である。本明細書で使用されるとき、実質的に平行とは、バス・バー144及び148の延長が、互いに対して10度以内で平行であることを意味するよう意図される。延長に沿って、バス・バー144及び148の各々は、実質的に同一の断面積及び組成を有する。したがって、このような実施例において、バス・バー144及び148は、それぞれの延長に沿って、単位長当たりで実質的に一定の抵抗値を有する。
【0022】
組み立て中又は方法の後半で、1つ又は複数の層を貫通して延びる空洞が形成され得る。本明細の以降で、より詳細に説明するように、エレクトロクロミック基板100とカバー・ガラス基板との間の中間層は、非発光可変透過装置に問題を生じさせ得る。以下の説明は、特定の方法に関し、そこでは1つ又は複数の層における空洞が形成され得る。この説明は、いかにして空洞又は通路(例えば間隙、相互接続された開口部のセットなど)が形成され得るかの、より良好な理解をもたらす。本明細を読んだ後、当業者は、空洞又は通路が他の異なる方法で、非発光可変透過装置内の他の箇所において形成され得ることを、理解するであろう。
【0023】
望ましくないが、粒子が装置の中に導入される場合がある。特定の実施例において、下部透明導電層122を形成した後で、エレクトロクロミック基板100及び下部透明導電層122は、堆積ツールから取り除かれてよく、それによって下部透明導電層122はパターン化され得る。パターン化した後、エレクトロクロミック基板100及び下部透明導電層122は、同じ堆積ツール又は異なる堆積ツールの中に配置されることになる。
【0024】
図3を参照すると、積層の残りの層を堆積する前に、粒子300が下部透明導電層122上に存在し得る。粒子300は、パターン化するシーケンスから、基板の取り扱いツールから、基板を堆積ツールから出し入れする移動の間、又はポンプダウンサイクル若しくは埋め戻しサイクルの間に剥離する、堆積チャンバ又はドアの上のコーティングなどから、形成される場合がある。他の層は、
図3のように、下部透明導電層122及び粒子300の上に堆積させることができる。別の実施例において、粒子300は、異なる時間に導入されてよく、任意の他の層の間、又はエレクトロクロミック基板100及び下部導電層122との間に位置される場合がある。
【0025】
粒子300は放出され、
図4のように空洞400を形成し得る。空洞400は、少なくとも上部透明導電層130を少なくとも貫通して延び、他の1つ又は複数の層を貫通して延びる場合がある。粒子300及び空洞400は、人間の目には見えない場合がある。なぜなら、粒子300、生じる空洞400、又はその両方の幅は、50ミクロン未満、20ミクロン未満、又はそれよりも小さいからである。
【0026】
1つの実施例において、粒子300は、処理、清浄、レーザ切断、又は他の機械的作業によって放出され得る。代替として、粒子300は試験中に放出される。特定の試験において、装置は、高透過状態(ブリーチ状態とも呼ばれる)から低透過状態(色付け状態とも呼ばれる)へ、又はその逆へ移行することができる。電気的試験の間、高透過状態から低透過状態まで移動するときに、電気的バイアスがバス・バー144及び148にわたって位置付けられてよく、この電気的バイアスは、低透過状態から高透過状態まで移動するときに、取り除かれてよい。バイアスするとき、又はバイアスを取り除くとき、粒子300は放出され得る。
【0027】
別の実施例において、層124、126、128、若しくは130のうちの1つ又は複数は、壊れている場合があり、又は粒子300の近くで分離した部分を有する場合がある。このような欠陥は、層内のひずみ、又は粒子に隣接した層間の応力によって生じ得る。粒子300が残っても、このような欠陥は、粒子に隣接した1つ又は複数の層において開いた、通路を作り得る。この通路は、下部導電層122までの比較的真っ直ぐの経路、又は1つ又は複数の曲部を伴う経路を形成する、微小開口部の相互接続したセット、を含むことができる。中間層などの後続の層は、通路を通って流れ、下部導電層122に到達し得る。
【0028】
より詳細に説明するように、バリア層、比較的低い含水量の中間層、又はそれらの両方を使用して、従来の中間層をバリア層なしで使用する場合の不具合の可能性を減少させることができる。
【0029】
1つの実施例において、
図5に示されるように、バリア層500を、層の上、且つ空洞400内に形成することができる。バリア層500は、中間層を、上部透明導電層130などの、空洞400内に露出された任意の層に接触させないよう役立つ。したがって、バリア層500は、上部透明導電層130と中間層との間に配設することができる。バリア層500は、上部透明導電層130を少なくとも部分的に貫通して延びることができ、エレクトロクロミック基板100の上に重なる層のセット内の任意の他の層を、全て又は部分的に貫通して延び得る。別の実施例において、バリア層500は、通路の中に延び、又は通路を封止することができる。
【0030】
特定の実施例において、
図5に示されるように、バリア層500は下部透明導電層122と接触し得る。別の実施例において、中間層は、下部透明導電層122又はエレクトロクロミック積層内の任意の層と接触しない。特定の実施例において(図示せず)、空洞は、バリア層500が空洞400をライニングするのではなく封止するような幅を有し得る。別の特定の実施例において(図示せず)、バリア層500は空洞400の80%以上を満たし得る。
【0031】
バリア層500は、電気絶縁層を含むことができる。バリア層500は、酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含むことができる。特定の実施例において、バリア層500は、SiOx、SiNx、SiOxNy、AlOx、TiOx、TiNx、TiOxNy、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。酸化物及び窒化物について、xはストイキ値、又はストイキ値の50%内の値を表わすことができ、酸窒化物について、x及びyは所望の屈折率を実現するよう選択することができる。1つの実施例において、バリア層500は、少なくとも10nm、少なくとも12nm、又は少なくとも15nmの厚さを有し、別の実施例において、バリア層500は、90nm以下、70nm以下、又は50nm以下の厚さを有する。バリア層500を、ゾル・ゲル法、スピンオン・コーティング、原子層堆積法などを使用して形成することができる。特定の実施例において、物理的蒸着、プラズマ促進化学蒸着など)の方向性堆積方法は使用されなくてもよい。なぜなら中間層は空洞400の側壁に沿って層に接触し得るからである。
【0032】
別の実施例において、バリア層500は、無機材料と有機材料との交互のフィルムを含むことができる。バリア層500のためのフィルムの組み合わせは、バリア層500内の応力を減少させるのに役立ち得る。さらに、有機材料を伴うフィルムは、無機材料を含む任意のフィルムにおける任意の欠陥を分離するのに役立ち得る。より詳細には、単一のフィルムを有するバリア層500は、このような単一のフィルムの厚さ全体を貫通して伝播する欠陥を有する場合がある。したがって、複数のフィルムを有するバリア層500を貫通する欠陥の伝播は軽減される。なぜならフィルム内の欠陥は、整合されて、バリア層500の厚さを貫通して延びて比較的真っ直ぐな経路となる可能性は、低いからである。
【0033】
複数フィルムのバリア層500のために、無機材料は、バリア層500に対して上記で説明した任意の材料を含むことができる。バリア層500内の無機フィルムは、同じ無機材料を有してもよく、異なる無機材料を含んでもよい。
【0034】
1つの実施例において、有機材料をポリマーとすることができる。モノマーを含む液体は、フラッシュ蒸発され、露出した面で凝縮されて、光(紫外線など)又は熱を使用して硬化される。ポリマーは、ポリアルケン、ポリエステル、ポリエーテルなどを含むことができる。特定の実施例において、ポリマーは、パリレン、ポリアクリレート、別の好適なポリマーなどを含むことができる。別の実施例において、有機材料は、エタノールアミン及び無水マレイン酸が反応した生成物を含むことができる。別の実施例において、異なる有機材料を使用することができる。バリア層500内の有機フィルムは、同じ有機材料を有してもよく、異なる有機材料を有してもよい。
【0035】
特定の実施例において、エレクトロクロミック装置に最も近いフィルムを、無機フィルムとすることができる。このような構成は、有機材料を含むフィルムがバリア層500の下の層を汚染する可能性を軽減させるために有用であり得る。別の特定の実施例において、エレクトロクロミック装置から最も遠いフィルムを、無機フィルムとすることができる。
【0036】
1つの実施例において、バリア層500内のフィルムの数は、少なくとも3枚、少なくとも5枚、又は少なくとも7枚とすることができる。フィルムの数に対する公知の理論は存在しないが、光透過などの実際の考察では、フィルムの数を限定し得る。1つの実施例において、フィルムの数は、90枚以下、30枚以下、又は20枚以下である。1つの実施例において、フィルムの各々は、分子層堆積又は原子層堆積によって形成され得る。フィルムの厚さは、フィルムを形成するために使用されるサイクル数に依拠し得る。1つの実施例において、フィルムの各々は、0.2nmから4nmまでの範囲の厚さを有し得る。
【0037】
図5に示されるワークピースは、
図6に示すように、中間層650を伴うカバー・ガラス基板610に積層させることができる。カバー・ガラス基板610は、エレクトロクロミック基板100に対する上記の望ましい任意の材料を含むことができる。カバー・ガラス基板610は、化学強化ガラス若しくは熱強化ガラス、又は強化ガラスを含み得る。カバー・ガラス基板610は、絶縁ガラス・ユニットの外面に沿って置かれてよく、エレクトロクロミック基板100よりも厚くてよい。カバー・ガラス基板610は、2mmから25mmまでの範囲の厚さを有することができ、1つの実施例において、4mmから12mmまでの範囲の厚さである。特定の実施例において、カバー・ガラス基板610は、化学強化ガラス若しくは熱強化ガラス、又は6mmから12mmまでの範囲の厚さを有する強化ガラスを含む。別の特定の実施例において、エレクトロクロミック基板100は、焼きなましガラス(強化ではなく、応力を軽減させるための焼きなまし)を含み、2.2mm以下の厚さを有することができる。したがって、エレクトロクロミック基板100は、カバー・ガラス基板610と比較すると、レーザ切断に対してより好適である。
【0038】
中間層650は、カバー・ガラス基板610とバリア層500との間に配設される。中間層650は、積層接着剤とすることができる。1つの実施例において、中間層650は、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル(EVA:ethylene vinyl acetate)又はポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)などの熱可撓性物質を含むことができる。この実施例において、中間層650は、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.08重量%などの含水量を有し得る。積層プロセスの間、中間層650は流れる場合がある。バリア層500は、空洞400の側壁に沿って露出された任意の層に、中間層650が接触するのを防止するのに役立つ。
【0039】
別の実施例において、バリア層500は必要ない。
図4に示されるワークピースは、
図7に示すように、中間層750を伴うカバー・ガラス基板610に積層させることができる。中間層750は、カバー・ガラス基板600と
図4に示された層との間に配設される。
【0040】
中間層750は、積層接着剤とすることができる。中間層750は、従来の中間層と比較して、低い含水量を有する。特定の実施例において、中間層750は0.05重量%以下の含水量を有する。中間層750の低い含水量は、乾燥剤を伴う閉鎖した容器に中間層を配置することによって;清潔な乾燥空気、N2、CO2、希ガス、又はそれらの混合物など、水蒸気を実質的に含まない容器に配置することによって;中間層750を加熱して水を中間層750から排除することによって;清潔な乾燥空気、N2、CO2、希ガスを使用して、中間層750に、ポンプダウン及び埋め戻すサイクルを繰り返させることによって;別の好適な脱水作業を実施することによって、又はそれらの任意の組み合わせによって、実現され得る。1つの実施例において、後続の積層作業中に、基板100と、層122、124、126、128、及び130と、中間層750と、カバー・ガラス層610と、を含むワークピースは、チャンバの中に配置することができ、それによって中間層750は脱水後に空気に露出されない。
【0041】
積層プロセスの間、中間層750は流れる場合がある。中間層750における比較的低い含水量によって、中間層750と空洞400内で露出した層のうちの任意の1つ又は複数の層との間の、直接接触を可能にする。空洞400内で露出した層は、上部透明導電層130及び下部透明導電層122、又は透明導電層122及び130の間、且つそれらを含む層の任意の組み合わせを含み得る。
【0042】
図8及び
図9は、カバー・ガラス基板と接合させた後の、ワークピースの側面図である。
図8は、
図5で見られる層を表わす、層820を含む。バリア層500は、空洞400内で露出された層を防護する。
図9は、比較的低い含水量の中間層750を伴って示す図である。
図9は、
図4で見られる層を表わす、層920をさらに含む。比較的低い含水量は、短絡を形成する可能性、又は装置が早期に故障する可能性を軽減させる。代替の実施例において、層920及び中間層750を、
図8における層820及び中間層650の代わりに使用でき、層820は、
図9における層920の代わりに使用され得る。バリア層が存在する場合、中間層650又は750のいずれかが使用され得る。バリア層が存在しない場合、中間層750を使用することができる。
【0043】
図10及び
図11は、
図6及び
図8それぞれにおける積層構造に基づいた、絶縁ガラス・ユニット(IGUs:insulating glass units)1000及び1100を示す図である。
図7及び
図9における積層構造は、必要に応じて、
図6及び
図8における積層構造の代わりに使用され得る。
図10を参照すると、ペイン1060を、カバー・ガラス基板610に連結させることができる。ペイン1060は、カバー・ガラス基板610に対して説明したような、任意の材料及び厚さを含むことができる。1つの実施例において、カバー・ガラス基板610及びペイン1060は、同じ組成又は異なる組成を有することができ、同じ厚さ又は異なる厚さを有することができる。任意選択の低放射率層1042を、ペイン1060の内面に沿って配設することができる。
【0044】
カバー・ガラス基板610及びペイン1060は、IGU1000の周辺に沿って置かれたスペーサ用バー1043によって離隔させることができる。スペーサ用バー1043は、封止部1044を介して、カバー・ガラス基板610及びペイン1060に連結される。封止部1044は、ポリイソブチレンなどのポリマーとすることができる。接着接合部1045は、カバー・ガラス基板610及びペイン1060を共に保持するよう設計され、カバー・ガラス基板610及びペイン1060の縁部の全周に沿って設けられる。IGU1000の内部空間1070は、希ガス又は乾燥空気など、比較的不活性ガスを含み得る。別の実施例において、内部空間1070は真空にされ得る。
図11を参照すると、IGU1100は、IGU1000に対して示し、説明したものと同じ構成要素を多く含むが、エレクトロクロミック基板100の向きは逆であり、それによって中間層750は、エレクトロクロミック基板100及びカバー・ガラス基板610と接触するが、積層920とは接触しない。代替の実施例において、層920及び中間層750を、
図10における層820及び中間層650の代わりに使用でき、層820は、
図11における層920の代わりに使用され得る。バリア層が存在する場合、中間層650又は750のいずれかが使用され得る。バリア層が存在しない場合、中間層750を使用することができる。
【0045】
本明細書で説明された実施例は、従来の装置よりも利点を有する。バリア層は、空洞内又は空洞を封止するよう形成することができ、それによって、透明導電層122及び130並びにエレクトロクロミック積層を含む層のセットを堆積する間若しくは堆積後に形成される空洞内の層に、中間層が直接接触する可能性が減少される。バリア層は、従来の中間層の使用が可能である。代替として、比較的低い含水量の中間層を、従来の中間層の代わりに使用することができる。比較的低い含水量は、従来の中間層と比較して、短絡の形成又は早期に故障する可能性を軽減させることができる。必要又は要求に応じて、バリア層及び比較的低い含水量の中間層が使用され得る。
【0046】
多くの異なる態様及び実施例が考えられる。それらの態様及び実施例のうちのいくつかを、以下で説明する。本明細を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。例示的な実施例は、以下に列挙するもののうちの任意の1つ又は複数に従ってよい。
【0047】
「実施例1」
非発光可変透過装置であって、第1の基板と、第1の基盤の上に重なる第1の透明導電層と、第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層と、エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設された中間層と、を含み、中間層に関する非発光可変透過装置の欠陥が、中間層が第2の透明導電層に直接接触し、少なくとも0.08重量%の含水量を有する別の非発光可変透過装置よりも起こりにくいように構成された、非発光可変透過装置。
【0048】
「実施例2」
中間層が、0.05重量%以下の含水量を有し、又は非発光可変透過装置が、第2の透明導電層と中間層との間に配設されたバリア層をさらに含み、バリア層は、第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる、実施例1に記載の非発光可変透過装置。
【0049】
「実施例3」
非発光可変透過装置であって、第1の基板と、第1の基板の上に重なる第1の透明導電層と、第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層と、エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設された中間層と、を含み、中間層は、0.05重量%以下の含水量を有し、又はバリア層は、第2の透明導電層と中間層との間に配設され、バリア層は、第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延び、若しくは第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる通路の上に重なる、非発光可変透過装置。
【0050】
「実施例4」
非発光可変透過装置を組み立てる方法であって、本方法は、第1の基板の上に重なる第1の透明導電層を形成するステップと、第1の透明導電層の上に重なるエレクトロクロミック層を形成するステップと、エレクトロクロミック層の上に重なる第2の透明導電層を形成するステップと、第2の導電層と第2の基板との間に配設された中間層を使用して、第1の基板と第2の基板とを接合するステップと、を含み、中間層は、0.05重量%以下の含水量を有し、又は、本方法は、第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びるバリア層を形成するステップをさらに含み、第1の基板と第2の基板とを接合するステップは、バリア層を形成するステップの後に実施される、方法。
【0051】
「実施例5」
第2の透明導電層を形成するステップの後であって、且つ第1の基板と第2の基板とを接合するステップの前に、空洞又は通路は、少なくとも第2の透明導電層を貫通して延びる、実施例4に記載の方法。
【0052】
「実施例6」
第2の透明導電層の下に置かれた粒子を放出し、少なくとも第2の透明導電層を貫通して延びる空洞又は通路を残すステップをさらに含む、実施例4又は5に記載の方法。
【0053】
「実施例7」
電気的バイアスを、非発光可変透過装置の端子にわたって適用するステップをさらに含み、粒子を放出するステップは、この電気的バイアスを適用するステップ中又は後に生じる、実施例6に記載の方法。
【0054】
「実施例8」
粒子を放出するステップは、非発光可変透過装置の端子にわたって電気的バイアスを適用するステップの前に実行される、実施例6に記載の方法。
【0055】
「実施例9」
エレクトロクロミック積層を形成するステップは、粒子を基板の上に導入するステップと、粒子の上にエレクトロクロミック積層を堆積させるステップと、を含む、実施例6から8までのいずれか一項に記載の方法。
【0056】
「実施例10」
第1の透明導電層は、空洞又は通路の一部に沿って露出される、実施例6から9までのいずれか一項に記載の方法。
【0057】
「実施例11」
バリア層を形成するステップは、バリア層の一部が空洞内で形成されるように、又は通路内に形成されるように、若しくは通路を封止するように、実施される、実施例6から10までのいずれか一項に記載の方法。
【0058】
「実施例12」
バリア層を形成するステップは、バリア層を形成するステップ後に、第1の透明導電層及びエレクトロクロミック層のいずれも、空洞又は通路内で露出されないよう実施される、実施例6から11までのいずれか一項に記載の方法。
【0059】
「実施例13」
エレクトロクロミック積層は、エレクトロクロミック層又はイオン貯蔵層を含む第1の電極層と、イオン導電層と、エレクトロクロミック層又はイオン貯蔵層のうちの他方を含む第2の電極層と、を含み、イオン導電層は、第1の電極層と第2の電極層との間に配設され、第1の透明導電層は、第2の電極よりも第1の電極に近く、第2の透明導電層は、第1の電極よりも第2の電極に近い、実施例1から12までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0060】
「実施例14」
第2の透明導電層と中間層との間に配設された、反射防止層をさらに含む、実施例1から13までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0061】
「実施例15」
中間層は、0.05重量%以下の含水量を有する、実施例1から14までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0062】
「実施例16」
中間層は、第1の透明導電層と接触する、実施例1から15までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0063】
「実施例17」
中間層は、第1の電極層と接触する、実施例13から16までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0064】
「実施例18」
バリア層は、第2の透明導電層と中間層との間に配設され、バリア層は、第2の透明導電層を少なくとも部分的に貫通して延びる、実施例2から14までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0065】
「実施例19」
中間層は、第1の透明導電層又はエレクトロクロミック層と接触しない、実施例1から18までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0066】
「実施例20」
バリア層は、酸化物、窒化物、又は酸窒化物を含む、実施例2から19までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0067】
「実施例21」
バリア層は、無機材料及び有機材料の交互のフィルムを含む、実施例2から20までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0068】
「実施例22」
バリア層は、少なくとも10nm、少なくとも12nm、又は少なくとも15nmの厚さを有する、実施例2から21までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0069】
「実施例23」
バリア層は、90nm以下、70nm以下、又は50nm以下の厚さを有する、実施例2から22までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0070】
「実施例24」
バリア層は、第1の透明導電層と接触する、実施例2から15まで及び18から23までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0071】
「実施例25」
バリア層は、第1の電極層と接触する、実施例2から15まで及び18から23までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0072】
「実施例26」
反射防止層は、第2の導電層とバリア層との間に配設される、実施例14及び15並びに18から25までのいずれか一項に記載の非発光可変透過装置又は方法。
【0073】
全体的な説明又は例において上述した作業の全てが必要とされるわけではなく、一部の特定の作業は必要とされないことがあり、1つ又は複数のさらなる作業が、説明した作業に加えて実施され得ることに、留意されたい。さらに、作業が列挙された順序は、必ずしもそれらが実施される順序とは限らない。
【0074】
利益、他の利点、及び課題の解決策を、特定の実施例に関して上述した。しかし、利益、利点、課題の解決策、及び任意の利益、利点、又は生じるか若しくはより明白となる解決策は、任意又は全ての特許請求の範囲において必須、必要、若しくは不可欠な特徴であると解釈されるべきではない。
【0075】
本明細書で説明した実施例の明細及び例示は、様々な実施例の構造を全体的に理解することを提供するよう意図される。本明細及び例示は、本明細書で説明した構造又は方法を使用する、装備並びにシステムの全ての要素及び特徴の、網羅的で包括的な説明としての役割を担うようには意図されない。別個の実施例も、単一の実施例において組み合わせて提供されてよく、反対に、簡略化のために単一の実施例の文脈において説明された、様々な特徴も、別個に、又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。さらに、範囲をもって記載された値の参照は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。多くの他の実施例は、当業者はこの明細を読んだ後でのみ、明確となり得る。他の実施例は、本開示から使用され、導出され得る。それによって構造的置換、論理的置換、又は別の変更が、本開示の範囲から逸脱することなく成され得る。したがって、本開示は限定的ではなく、むしろ例示的として考慮されるべきである。