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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】肢装具、特に膝装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20220822BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
A61F5/01 N
A61F5/02 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020528330
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082346
(87)【国際公開番号】W WO2019101910
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102017220968.2
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511180639
【氏名又は名称】バウアーファインド アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Bauerfeind AG
【住所又は居所原語表記】Triebeser Str. 16, 07937 Zeulenroda-Triebes, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘーベンシュトライト,サンドロ
(72)【発明者】
【氏名】シュタイアー,ゲラルト
(72)【発明者】
【氏名】バウアーファインド,ハンス ベー.
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-523235(JP,A)
【文献】米国特許第05599288(US,A)
【文献】国際公開第2014/006917(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0305910(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0004135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストラップシステム(20)を備える肢装具(100、300)であって、
前記ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)としてのストラップが第1の交差領域(22)で交差するように経路設定され、
前記ストラップシステム(20)の第2のセクション(23)としてのストラップが第2の交差領域(24)で交差するように経路設定され、
前記ストラップシステム(20)の前記第1のセクション(21)及び前記ストラップシステム(20)の前記第2のセクション(23)が接続される接続要素(40)を備え、
装着された前記肢装具(100、300)では、前記ストラップシステム(20)の前記第1のセクション(21)と前記第2のセクション(23)のそれぞれが肢の周りに巻かれて少なくとも1回交差するように、前記ストラップシステム(20)の前記第1のセクション(21)と前記第2のセクション(23)が前記肢の周りに経路設定されており、
前記接続要素(40)は、前記肢装具の前記装着された状態において、肢の外側又は内側に配置され、
前記接続要素は、前記肢装具(100、300)の前記装着された状態において、膝の高さで脚に接触する、又は、肘の高さで腕に接触し、
前記第1の交差領域(22)及び前記第2の交差領域(24)はそれぞれ、前記接続要素(40)に対し、前記肢の反対側に配置される、ことを特徴とする肢装具。
【請求項2】
前記肢は脚である、請求項1に記載の肢装具(100、300)。
【請求項3】
前記肢装具は膝装具(100)である、請求項1又は2に記載の肢装具。
【請求項4】
上部副領域(11)、中央副領域(12)及び下部副領域(13)を有するキャリア要素(10)を備え、
接続要素(40)によって前記キャリア要素(10)に接続される前記ストラップシステム(20)を備え、
前記ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)としてのストラップが、第1の交差領域(22)で交差するように、前記キャリア要素(10)の前記上部副領域(11)の周りに経路設定され、
前記ストラップシステム(20)の第2のセクション(23)としてのストラップが、第2の交差領域(24)で交差するように、前記キャリア要素(10)の前記下部副領域(13)の周りに経路設定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の肢装具(100、300)。
【請求項5】
前記キャリア要素(10)は支持体である、請求項4に記載の肢装具。
【請求項6】
前記接続要素(40)は、前記キャリア要素(10)の前記中央副領域(12)に取り付けられる、請求項4又は5に記載の肢装具。
【請求項7】
前記ストラップシステム(20)は、前記ストラップが第1の交差領域(22)に経路設定される第1の交差要素(25)と、前記ストラップが第2の交差領域(24)に経路設定される第2の交差要素(26)とを備え、
記第1の交差要素(25)は、前記キャリア要素(10)の前記上部副領域(11)に取り付け・取り外し可能であり、
記第2の交差要素(26)は、前記キャリア要素(10)の前記下部副領域(13)に取り付け・取り外し可能である、請求項からのいずれか一項に記載の肢装具。
【請求項8】
前記第1の交差要素(25)及び前記第2の交差要素(26)は、フックアンドループ接続部(27、28)によって前記キャリア要素(10)の様々な位置に取り付け・取り外し可能である、請求項に記載の肢装具。
【請求項9】
前記肢装具(100)は関節副子(50)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の肢装具。
【請求項10】
前記関節副子(50)は、第1のバーセクション(51)、第2のバーセクション(52)及び第3のバーセクション(53)を有し、
前記第1のバーセクション(51)及び前記第2のバーセクション(52)はそれぞれ、ジョイント(54、55)によって前記第3のバーセクション(53)に接続される、請求項9に記載の肢装具。
【請求項11】
前記肢装具(100)は関節副子(50)を備え、
前記関節副子(50)は、前記キャリア要素(10)の前記上部副領域(11)の領域に第1のバーセクション(51)を、前記キャリア要素(10)の前記下部副領域(13)の領域に第2のバーセクション(52)を、前記キャリア要素(10)の前記中央副領域(12)の領域に第3のバーセクション(53)を有し、
前記第1のバーセクション(51)及び前記第2のバーセクション(52)はそれぞれ、ジョイント(54、55)によって前記第3のバーセクション(53)に接続される、請求項4から8のいずれか一項に記載の肢装具。
【請求項12】
前記第3のバーセクション(53)は、ばね要素からなる、請求項10又は11に記載の肢装具。
【請求項13】
前記ストラップシステム(20)の前記第1のセクション(21)は、第1のストラップによって形成され、
前記ストラップシステム(20)の前記第2のセクション(23)は、第2のストラップによって形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の肢装具。
【請求項14】
前記ストラップシステム(20)は前記接続要素(40)に可動に取り付けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の肢装具。
【請求項15】
前記接続要素は、前記ストラップシステム(20)の前記第1のセクション(21)の前記ストラップに張力をかけるための、且つ/又は、前記ストラップシステム(20)の前記第2のセクション(23)の前記ストラップに張力をかけるための張力要素(41)を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の肢装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肢の装具、特に膝装具又は肘装具に関し、装具は、好ましくは接続要素によって接続されたストラップシステムを備え、ストラップシステムの第1のセクションとしてのストラップが第1の交差領域で交差するように経路設定され、ストラップシステムの第2のセクションとしてのストラップが第2の交差領域で交差するように経路設定される。
【0002】
本発明は、詳細には肢の装具、特に膝装具または肘装具に関し、装具は、上部副領域、中央副領域及び下部副領域を有するキャリア要素を備え、接続要素によってキャリア要素に接続されたストラップシステムを備える。ストラップシステムの第1のセクションとしてのストラップは、ストラップが第1の交差領域で交差するようにキャリア要素の上部副領域の周りに経路設定され、ストラップシステムの第2のセクションとしてのストラップは、ストラップが第2の交差領域で交差するように、キャリア要素の下部副領域の周りに経路設定される。本発明はまた、本発明の肢装具、特に膝障害又は肘障害を治療するための膝装具又は肘装具の使用、及び、本発明の肢装具によって膝障害又は肘障害を治療する方法に関する。
【0003】
肢の装具は、肢装具ともいい、詳細には膝関節の受動的及び能動的安定化のための膝装具が、従来技術から知られている。そのような膝装具は、多くの場合、支持体の形態のキャリア要素を備え、独国実用新案公開第20005366号明細書に示されるように、例えばストラップ、ロッド又は関節副子などの安定化要素がキャリア要素に取り付けられる。
【0004】
そのような膝装具は、例えば、膝関節症のため、又は、内部半月板を損傷した後に使用され、患部の負担を取り除き、患部を安定させる。
【0005】
したがって、膝装具は、多くの場合、膝装具を調整する、つまり、脚の形状及び/又は動作範囲に合わせられるストラップを備える。詳細には、経路設定されたストラップは、例えば、欧州特許出願公開第2612626号明細書、独国特許出願公開第4013693号明細書及び独国特許出願公開第19844545号明細書から知られている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の技術的課題は、向上した肢の装具、特に膝装具を提供することである。詳細には、肢装具、特に膝装具は、内側変形性膝関節症の治療に特によく適しており、これにより、大腿脛骨関節の内側又は内部領域から負担を取り除いて、疼痛緩和を向上させる。したがって、膝装具は、脚にしっかりと確実に適合することにもなる。
【0007】
本発明は、肢の装具、詳細には請求項1に記載の膝装具によって技術的問題を解決する。
【0008】
本発明において、肢は特に脚又は腕を指し、股関節部が肢の一部として含まれてもよい。しかし、本発明に関連して、肢の装具は、特に脚装具、膝装具、腕装具又は肘装具に加えて、股装具も指す。好ましくは、肢装具は、膝装具、肘装具又は股装具である。
【0009】
肢の装具は、肢装具ともいい、特に膝装具又は肘装具を含んでもよい。肢の装具は、好ましくは膝装具を含む。
【0010】
本発明は肢の装具、特に膝装具に関し、ストラップシステムを備え、ストラップシステムの第1のセクションとしてのストラップが第1の交差領域で交差するように経路設定され、ストラップシステムの第2のセクションとしてのストラップが第2の交差領域で交差するように経路設定されることを特徴とする。
【0011】
本発明は特に肢の装具に関し、ストラップシステムを備え、ストラップシステムの第1のセクションとしてのストラップが第1の交差領域で交差するように経路設定され、ストラップシステムの第2のセクションとしてのストラップが第2の交差領域で交差するように経路設定され、ストラップシステムの第1のセクション及びストラップシステムの第2のセクションが接続される接続要素を備え、装着された肢の装具では、ストラップシステムの第1のセクションと第2のセクションが肢の周りに巻かれて、少なくとも1回交差するように、ストラップシステムの第1のセクションとストラップシステムの第2のセクションが肢の周りに経路設定されることを特徴とする。ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションが肢に周りに巻かれる、つまり、少なくとも1回完全に肢の周りに経路設定される場合、好ましくは、第1のセクション及び/又は第2のセクションの両端が接続要素に接続される。
【0012】
装着状態の膝装具の場合、ストラップシステムの第1のセクションは大腿上部に接触し、装着状態のストラップシステムの第2のセクションは下腿に接触する。
【0013】
装着状態の膝装具の場合、ストラップシステムの第1のセクションは、好ましくは大腿上部の周りに巻かれ、装着状態のストラップシステムの第2のセクションは、下腿に巻かれる。肘装具の場合、装着状態のストラップシステムの第1のセクションは上腕に接触し、装着状態のストラップシステムの第2のセクションは前腕に接触する。
【0014】
装着状態の肘装具の場合、ストラップシステムの第1のセクションは、好ましくは上腕の周りに巻かれ、装着状態のストラップシステムの第2のセクションは、好ましくは前腕の周りに巻かれる。
【0015】
肢装具、好ましくは膝装具は、ストラップシステムの第1のセクション及びストラップシステムの第2のセクションが接続される接続要素を備えることが好ましい。好ましくは、装着状態では、接続要素は膝の高さで脚に接触する。好ましくは、膝装具が装着されると、接続要素は脚の外側に配置される。
【0016】
本発明の装具が装着されるとき、接続要素は、必要に応じて、肢の外側又は内側に配置されてもよい。例えば、「内反膝」に使用される場合、接続要素は脚の外側に配置されてもよく、「外反膝」に使用される場合、接続要素は脚の内側に配置されてもよい。
【0017】
したがって、ストラップシステムは2つの交差領域を形成し、交差領域のうちの一方は膝より上にあり、他方は膝より下にある。驚くべきことに、このような2つの交差領域により、有利に、大腿上部及び下腿に位置的に安定した方法で膝装具を取り付けられることが示された。このような位置的な安定性は、膝装具が絶え間なく高い有効性をもたらすための重要な前提条件である。さらに、2つの交差領域は、好ましくは、膝の外側での頂部の力のためのカウンターサポートとして有利な方法で機能してもよい。有利なことに、好ましい実施形態の交差領域が脚の内側に配置され、好ましい実施形態の接続要素が脚の外側に配置されるように膝の高さに配置される場合、2つの交差領域により、膝装具の内側のスペーサを省略することも可能である。好ましくは、膝装具が装着されると、2つの交差領域は脚の内側に配置される。
【0018】
有利なことに、本発明の装具は、例えば「内反膝」又は「外反膝」など、ずれた関節を矯正するために使用されてもよい。本発明の装具はまた、関節屈曲又は関節伸展を制限するために有利に使用されてもよい。
【0019】
本発明の膝装具の構造により膝装具がより快適に装着可能であり、本発明の膝装具は従来技術からの膝装具と少なくとも同様に膝の負担を取り除くことが示された。したがって、本発明の膝装具は、従来技術のものよりも柔軟性がある。
【0020】
肘装具の場合、肘装具は、ストラップシステムの第1のセクション及びストラップシステムの第2のセクションが接続される接続要素を対応して備える。好ましくは、装着状態では、接続要素は肘の高さで腕に接触する。好ましくは、肘装具が装着されると、接続要素は腕の外側に配置される。
【0021】
好ましくは、肢装具、特に膝装具の場合、第1のストラップセクション及び/又は第2のストラップセクションは、交差するスリングとして脚又は腕の周りに経路設定される。好ましくは、肢装具、特に膝装具の場合、第1のストラップセクション及び第2のストラップセクションはそれぞれ、交差するスリングとして脚又は腕の周りに経路設定される。
【0022】
本発明の、スリング形態のストラップセクションの好ましい経路は、ストラップシステムの効果を大いに支援可能である。
【0023】
したがって、好ましくは、ストラップセクションが肢の周りに巻かれて、少なくとも1回、好ましくは1回それ自体が交差するように、ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションが、肢、特に脚の周りに経路設定される。好ましくは、ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションの端は、これにより、肢の装具、特に膝装具の特に中央領域において、接続要素に取り付けられる。
【0024】
したがって、肢装具は好ましく、肢装具が装着されると、ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションが肢の周りに巻かれて、それ自体が交差するように、ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションが、肢、特に脚の周りに経路設定される。つまり、ストラップシステムの第1のセクション及び/又は第2のセクションはそれぞれ、肢の周りに8の字形状に経路設定される。
【0025】
肢の装具、特に膝装具に関して、例えば支持体などのキャリア要素が設けられてもよい。しかし、本発明のストラップシステムの経路により、キャリア要素を省略可能であってもよい。
【0026】
したがって、本発明はまた、肢の装具、特に膝装具に関し、装具は、上部副領域、中央副領域及び副部小領域を有するキャリア要素を備え、接続要素を介してキャリア要素に接続されるストラップシステムを備え、ストラップシステムの第1のセクションとしてのストラップが、第1の交差領域で交差するように、キャリア要素の上部副領域の周りに経路設定され、ストラップシステムの第2のセクションとしてのストラップが、第2の交差領域で交差するように、キャリア要素の下部副領域の周りに経路設定されることを特徴とする。
【0027】
装着状態では、キャリア要素の上部副領域が大腿上部又は上腕に接触する。装着状態では、キャリア要素の下部副領域が下腿又は前腕に接触する。装着状態では、キャリア要素の中央副領域が膝の領域で脚に又は腕の領域で腕に接触する。
【0028】
したがって、肢装具、特に膝装具は、ストラップシステムを備え、ストラップシステムは、装着者の脚又は腕の周りに、つまり好ましくは、キャリア要素の周りに、2つの8の字形状に経路設定される。詳細には、第1の上側の8の字は、装着状態で大腿上部又は上腕に接触する、キャリア要素の上部副領域に経路設定され、第2の下側の8の字は、装着状態で下腿又は前腕に接触する、キャリア要素の下部副領域の周りに経路設定される。
【0029】
ストラップシステムのストラップは、好ましくは、キャリア要素の上、キャリア要素内、又はキャリア要素の下に経路設定されてもよい。キャリア要素を省略してもよい。
【0030】
好ましい実施形態において、接続要素はキャリア要素の中央副領域に取り付けられる。好ましくは、接続要素は、肢装具が装着されると接続要素が脚又は腕の外側に配置されるように、キャリア要素の中央副領域に取り付けられる。好ましくは、接続要素は、膝装具が装着されると接続要素が脚の外側に配置されるように、キャリア要素の中央副領域に取り付けられる。
【0031】
好ましくは、2つの交差領域は、肢装具が装着されると2つの交差領域が肢の内側に配置されるように、キャリア要素に取り付けられる。
【0032】
好ましくは、2つの交差領域は、膝装具が装着されると2つの交差領域が脚の内側に配置されるように、キャリア要素に取り付けられる。
【0033】
好ましい実施形態において、キャリア要素は支持体である。適切な支持体が当業者に知られている。詳細には、キャリア要素は、ニットウェア、例えばニット生地又は編地などの形態の支持体であってもよい。好ましくは、支持体は織物支持体である。
【0034】
好ましい実施形態において、ストラップシステムは、ストラップが第1の交差領域で経路設定される第1の交差要素を備え、ストラップが第2の交差領域で経路設定される第2の交差要素を備える。交差要素は、ストラップの案内路として有利に機能してもよい。
【0035】
好ましくは、第1の交差要素は、キャリア要素の上部副領域に可逆的に取り付け可能(取り付け・取り外し可能)であり、第2の交差要素は、キャリア要素の下部副領域に可逆的に取り付け可能(取り付け・取り外し可能)である。
【0036】
交差要素は、キャリア要素に可逆的に交差領域を取り付けるため、ストラップの案内路として有利に機能してもよい。これにより、有利なことに、2つの交差領域の正確でありながら柔軟な配置が可能になり、2つの交差領域は特に良好に位置的に安定した方法で適合し、正確に作用することができる。
【0037】
好ましい実施形態において、第1の交差領域及び第2の交差要素は、フックアンドループ接続部によってキャリア要素の様々な位置に可逆的に取り付け可能(取り付け・取り外し可能)である。
【0038】
フックアンドループ接続部により、交差要素を簡単且つ確実に可逆的に取り付け可能(取り付け・取り外し可能)である。例えば、キャリア要素は、交差要素を配置及び取り付け可能なループ領域又はフック領域を有してもよい。これにより、交差要素は、好ましくは、その底面にフック面又はループ面を有する。キャリア要素上の対応するループ領域又はフック領域により、有利なことに、交差要素を自由に配置可能な面を設けることができ、同時に、有効性のため、キャリア要素上のフック領域又はループ領域の配置、寸法及び形状により、交差要素が取り付けられるべき実用的な領域を定義できる。
【0039】
好ましい実施形態において、ストラップシステムの第1のセクションは第1のストラップによって形成され、ストラップシステムの第2のセクションは第2のストラップによって形成される。したがって、この好ましい実施形態において、第1の上側の8の字は第1のストラップによって形成され、第2の下側の8の字は第2のストラップによって形成される。好ましくは、これにより、両方のストラップが接続要素に取り付けられる。
【0040】
好ましい実施形態において、ストラップシステムは接続要素に可動に取り付けられる。可動アタッチメントは、例えば、接続要素上のストラップの回転可能な懸架装置の形態であってもよい。これにより、交差領域の位置が変更される場合、接続要素の領域において、ストラップは、脚、腕又はキャリア要素上のストラップの経路を変更することも可能である。
【0041】
ストラップシステムのストラップは、平らなベルト、特に本質的に非弾性の平らなベルト、又は、例えば平らなストリップで形成される好ましくは筒部内に通されたケーブル又はコードのうちいずれかで構成されてもよい。これにより、張力をかけたり緩めたりした場合にストラップが折り目を作らないという利点がある。
【0042】
好ましい実施形態において、接続要素は、ストラップシステムの第1のセクションのストラップに張力をかけるための、及び/又は、ストラップシステムの第2のセクションのストラップに張力をかけるための張力要素を備える。有利なことに、2つのストラップに共に又は別々に張力をかけることも可能であり、これにより、一方では、2つのストラップは、肢装具の肢への、特に膝装具の脚へのぴったりとした適合を可能にし、他方では、好ましい関節副子の良好な配置と良好な適合を可能にする。
【0043】
好ましい実施形態において、張力要素は、両方のストラップに同時に張力をかけることが可能な回転ノブとして構成される。したがって、好ましくは、ノブを回転させることで、例えば回転ノブがストラップに接続されたコードを巻き上げることで、ストラップに張力がかけられ、或いは、ストラップは、回転ノブを使用して巻き上げられるコードとして設計される。したがって、好ましくは、張力要素によって2つのストラップに同時に張力がかけられて、これにより、2つのストラップが対応して同じ張力を有し、ストラップシステムとしての2つのストラップが単一の張力システムに組み合わせられ、両方のストラップに張力をかけるためには、1つのタスクステップのみが必要である。好ましくは、張力システムは、接続要素に取り付けられる、又は、接続要素自体と同様にキャリア要素の中央副領域に取り付けられる。当然、張力要素は、ストラップを再び緩めることもできるように設計されている。例えば、回転ノブの増分により、好ましくは様々な張力レベルを設定でき、所定の力の設定が有利に可能になる。
【0044】
したがって、本発明は、詳細には、ストラップを2つの8の字として経路設定し、ストラップは、中央の張力要素によって互いに張力がかけられ、装具の上端及び下端に2つのストラップの交差を介して対称に経路設定され、それぞれがスリングを形成することを特徴とする。これにより、好ましい利点は、特に、装具全体に亘りストラップに張力をかけるための対称な張力入力及び単一の張力システムである。該システムは、キャリア要素の有無に関わらず使用できる。
【0045】
自己完結型のスリング構成を備える所定の対称なストラップの経路により、下腿又は前腕に対する大腿上部又は上腕の位置矯正が実現される。
【0046】
好ましい実施形態において、肢の装具、特に膝装具は、関節副子も備える。
【0047】
関節副子は通常、膝の動きが矢状要素だけで行われるのではなく、調整が前頭面でも行われることができるように設計されている。前頭面には、膝関節又は肘関節の屈曲の頂部のできるだけ近くに配置されて、大腿脛骨関節又は肘関節の内部領域の負荷軽減の意味の範囲内で作用する、調整可能なヒンジジョイントが設けられる。従来技術に示されている円形に配置されたストラップは、関節副子の反対側の膝関節の上下でカウンターサポートとして作用する。そのような関節副子は、例えば、国際公開第2007/145504号又は国際公開第2003/103547号から知られている。
【0048】
驚くべきことに、本発明のストラップシステムの2つの交差の経路により、2つの好ましくは内側の交差領域が、好ましくは関節副子に取り付けられている接続要素に対する反力として作用するので、関節副子、及び好ましくはキャリア要素が、位置的に安定して、脚又は腕に、特に脚又は腕の外側に十分に押し付けられることが示された。このようにして、好ましい実施形態において、肢装具、特に膝装具は、3つの力の原理(2つの主要な取り付け点と1つの反対に作用する圧点)に従って生体力学的に特によく作用することができる。3つの力の原理に基づくそのような作用は、関節自体を介して大腿上部及び下腿の骨又は上腕及び前腕の骨の再配置を支持するのに有利に適している。これにより、好ましくは、関節腔を臨床状態に対抗して矯正することができ、これにより、有意な疼痛緩和をもたらすことができる。
【0049】
好ましくは、関節副子は、装具が装着されると脚又は腕の外側に配置されるように、肢装具、特に膝装具に取り付けられる。しかし、必要に応じて、関節副子は脚又は腕の内側に配置されてもよい。
【0050】
好ましくは、関節副子は、肢装具、特に膝装具が装着されると関節副子が脚又は腕の外側に配置されるように、キャリア要素に取り付けられる。
【0051】
好ましい実施形態において、関節副子は、第1のバーセクション、第2のバーセクション及び第3のバーセクションを有し、第1のバーセクション及び第2のバーセクションはそれぞれ、ヒンジによって第3のバーセクションに接続される。
【0052】
好ましい実施形態において、関節副子は、キャリア要素の上部副領域の領域に第1のバーセクションを、キャリア要素の下部副領域の領域に第2のバーセクションを、キャリア要素の中央副領域の領域に第3のバーセクションを有する。第1のバーセクション及び第2のバーセクションはそれぞれ、ヒンジによって第3のバーセクションに接続される。
【0053】
好ましくは、接続要素、及び好ましくは張力要素は、肢装具、特に膝装具の、好ましくは関節副子上のキャリア要素の中央副領域の領域で第3のバーセクションに取り付けられる。特に、中央のバーセクションは接続要素を形成してもよい。
【0054】
好ましい実施形態において、バーセクションは弾性を有するように設計される。
【0055】
好ましい実施形態において、第3のバーセクションは、ばね要素、特に板ばねからなる。
【0056】
好ましい実施形態において、ヒンジは単心ヒンジである。中央の第3のバーセクションの上下にある2つの単心ヒンジは、共同で二重中心構成になり、膝を曲げることで膝関節にかかる応力を低減させるという利点がある。曲げている間、回転中心は、一方の回転中心と他方の回転中心との間で繰り返し変化してもよい。二重中心構成は、弾性バー、特に板ばねと組み合わせられると、曲げるときに装具が肢の軸、特に脚の軸に対して横方向に移動しないことを確実にする。
【0057】
ばね要素から、特に板ばね、例えばばね鋼から、第3のバーセクションを設計すると、第1のバーセクション及び第2のバーセクションが1つの軸で回転するだけでなく、90°回転した軸で、特に好ましくは、接続要素によって、ストラップシステムによって作られる3点システムの中心力適用点が柔軟である領域で可動になる。さらに、第1のバーセクション及び第2のバーセクションをそれぞれ第3のバーセクションに接続する2つのヒンジにより、関節副子自体が体の外形に合わせてよりよく調整される。また、第3のバーセクションの柔軟性により、有利なことに、肢装具、特に膝装具は、極端な動作中に幾らか曲がることが可能で、これにより、ユーザに過度に不正確な脚の動きを警告する。
【0058】
第3のバーセクションをばね要素として設計することにより、有利なことに、中心力適用点がばねに設けられる。
【0059】
ストラップシステムの設計、つまり、8の字の経路は、ストラップの交差が膝の中心又は肘の中心に移動できないように設計される。これにより、側方のバーは、2つの内側のストラップの交差のスペーサとして機能する。このようにして、全ての機能要素の相互の最適な位置的安定性が保証される。さらに、これにより、装具は脚又は腕で位置的に安定した状態となる。
【0060】
本発明はまた、肢痛を治療するための本発明の装具の使用に関する。
【0061】
本発明はまた、膝痛、特に変形性膝関節症ともいう膝関節の関節症を治療するための、本発明の膝装具の使用に関する。変形性膝関節症は、膝関節の軟骨性関節面の摩耗を指す。大腿脛骨関節の内側又は内部領域が影響を受けている場合、これを内側変形性関節症という。患者が同時に内反膝を患っている場合、内反変形性関節症が存在する。大腿脛骨関節の側方又は外側領域が影響を受けている場合、これを側方変形性関節症という。 患者が同時に外反膝を患っている場合、外反変形性関節症が存在する。好ましくは、本発明の膝装具は、内側変形性関節症、特に大腿脛骨関節の内部領域への圧力を緩和し、痛みを軽減するために使用される。
【0062】
本発明はまた、変形性関節症、特に内側変形性関節症を治療するための治療方法に関し、脚の内側の2つの交差領域が脚に接触し、脚の外側にある接続要素が脚に接触するように、本発明の膝装具が患者の脚に適用される。
【0063】
本発明はまた、肢の痛みを治療するための治療方法に関し、肢の内側の2つの交差領域が肢に接触し、肢の外側の接続要素が肢に接触するように、本発明の肢装具が患者の肢に適用される。
【0064】
本発明は、例及び図面を用いてさらに説明され、これらは限定的であると理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明の膝装具を正面視で示す。
図2a図1の膝装具の外側を示す。
図2b図2aの詳細部分を示す。
図3図1の膝装具の内側を示す。
図4】本発明の膝装具の力の影響の概略図を示す。
図5】本発明の別の膝装具を正面視で示す。
図6図5の膝装具の外側を示す。
図7図5の膝装具の内側を示す。
図8】本発明の肘装具を正面視で示す。
図9】腕が曲げられたときの図8の肘装具を示す。
図10図8の肘装具の内側を示す。
図11】本発明の別の肘装具を正面視で示す。
図12】腕が曲げられたときの図11の肘装具を示す。
図13図11の肘装具の内部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
膝装具
図1は、脚(200)上の本発明の膝装具(100)を正面視で示す。膝装具(100)は、上部副領域(11)、中央副領域(12)及び下部副領域(13)を有するキャリア要素(10)として織物支持体を備える。ストラップシステム(20)が接続要素(40)を介してキャリア要素(10)に接続される。ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)としての第1のストラップが、第1の交差領域(22)で交差するように、キャリア要素(10)の上部副領域(11)の周りに経路設定される。ストラップシステム(20)の第2のセクション(23)としての第2のストラップが、第2の交差領域(24)で交差するように、キャリア要素(10)の下部副領域(13)の周りに経路設定される。このようにして、ストラップシステム(20)の両方のセクション(21、23)は、それぞれスリングとして設計されて、脚(200)のそれぞれの領域の周りに巻かれる。
【0067】
接続要素(40)は、キャリア要素(10)の中央副領域(12)に取り付けられ、ストラップシステム(20)は、懸架手段(42、43)を介して接続要素(40)に可動に取り付けられる。接続要素(40)は、ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)のストラップに張力をかけ、同時にストラップシステム(20)の第2のセクション(23)のストラップに張力をかけるための張力要素として、回転ノブ(41)を備える。張力は、ストラップに接続されたケーブルを回転ノブ(40)のスプールに巻き上げることで、生じる。
【0068】
ストラップシステム(20)のストラップ(21、23)は、平らな筒状のストリップ内に通されたコードからなる。図面では、主にストラップシステム(20)のこのような平らな筒状のストリップを見ることができ、その中に通された張力コードは示されていない。
【0069】
ストラップシステム(20)は、ストラップが第1の交差領域(22)に経路設定される第1の交差要素(25)と、ストラップが第2の交差領域(24)に経路設定される第2の交差要素(26)とを備える。第1の交差要素(25)は、フックアンドループ接続部(27a)によってキャリア要素(10)の上部副領域(11)に可逆的に(リバーシブルに)取り付けられ(取り付け・取り外し可能であり)、第2の交差要素(26)は、フックアンドループ接続部(27b)によってキャリア要素(10)の下部副領域(13)に可逆的に取り付けられる(取り付け・取り外しできる)。交差領域(22、24)は、脚の内側に接触する支持体の領域に配置される。
【0070】
膝装具(100)はまた、脚の外側の領域で支持体(10)に取り付けられる関節副子(50)を備える。関節副子(50)は、キャリア要素(10)の上部副領域(11)の領域に第1のバーセクション(51)を、キャリア要素(10)の下部副領域(13)の領域に第2のバーセクション(52)を、キャリア要素(10)の中央副領域(12)の領域に第3のバーセクション(53)を有する。第1のバーセクション(51)及び第2のバーセクション(52)はそれぞれ、単心ジョイント(54、55)によって第3のバーセクション(53)に接続される。第3のバーセクション(53)は、板ばねの形態のばね要素として設計されている。接続要素(40)は中央副領域(12)に取り付けられ、ストラップに張力をかけると、ストラップシステム(20)は関節副子(50)のこの領域に張力を及ぼす。ストラップシステム(20)は、上端と下端で関節副子(50)も固定する。
【0071】
図2aは、図1の膝装具(100)の外側を示す。支持体(10)が、隣接する関節副子(50)と共にはっきりと見え、関節副子(50)は3つの副領域(51、52、53)に分割されており、3つの副領域(51、52、53)は2つの単心ヒンジジョイント(54、55)によって互いに接続される。ストラップシステム(20)は、上部と下部で、プレート要素(61、62)によって関節副子(50)に接続される。
【0072】
ストラップシステム(20)のストラップは、可動懸架手段(42、43)によって接続要素に接続される。
【0073】
図2bは、図2aから第3のバーセクション(53)を拡大した部分を示す。中央の第3のバーセクションは、板ばね(53)として設計されており、2つのヒンジジョイント(54、55)によって関節副子の他の2つのセクション(51、52)に接続される。中央のバーセクション(53)には、張力要素としての回転ノブ(41)を備える接続要素(40)が配置される。ストラップシステム(20)のストラップは、可動懸架手段(42、43)を介して接続要素(40)に接続される。
【0074】
図3は、図1の膝装具の内側を示す。支持体(10)が、ストラップシステム(20)の交差領域(22、24)と共にはっきりと見え、ストラップシステム(20)は、交差要素(25、26)内に経路設定されている。交差要素(25、26)は、下側のフック接続部(27a、27b)によって、支持体(10)のループ領域(28)に柔軟且つ再配置可能に取り付けられる。2つの交差領域(22、24)は、ストラップシステム(20)のストラップの経路を2つの8の字形状にする。
【0075】
図4は、本発明の膝装具(100)の内反膝のずれに対する力の影響の概略図を示す。右脚(R)には、図1の膝装具(100)が見え、左脚(L)には、主要な副要素を含む概略図が見える。両方で、交差領域(22、24)を備えるストラップシステム(20)、ストラップシステム(20)に張力をかけるための回転ノブ(41)を備える接続要素(40)、プレート要素(61)、3つの副領域に分割される関節副子(50)が示され、3つの副領域は、2つの単心ヒンジジョイント(54、55)によって互いに接続されている。左脚(L)では、弾力性を有するように設計された中央のバーセクション(53)が、どのように内反膝によって弾力的に曲げられているかが分かる。ストラップシステム(20)の2つの交差する経路により、関節副子(50)は、位置的に安定した方法で、脚の外側でキャリア要素(10)に、そしてこれにより脚にしっかりと押し付けられる。なぜなら、2つの内側の交差領域(22、24)は、関節副子(50)に取り付けられた接続要素(40)の内向きに作用する力(F3)に関して外向きに作用する反力(F1、F2)として作用するからである。このようにして、膝装具(100)は、3つの力の原理に従って生体力学的に作用する。
【0076】
図5は、例示の目的で、図1のようなストラップシステム(20)を備える本発明の膝装具(100)を、脚(200)上に正面視で示すが、キャリア要素のない実施形態である。ストラップシステム(20)は接続要素(40)に接続される。ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)としての第1のストラップは、第1の交差領域(22)で交差するように経路設定される。ストラップシステム(20)の第2のセクション(23)としての第2のストラップは、第2の交差領域(24)で交差するように経路設定される。
【0077】
ストラップシステム(20)は、懸架手段(42、43)によって接続要素(40)に可動に取り付けられる。接続要素(40)は、ストラップシステム(20)の第1のセクション(21)のストラップに張力をかけ、同時にストラップシステム(20)の第2のセクション(23)のストラップに張力をかけるための張力要素として、回転ノブ(41)を備える。張力は、ストラップに接続されたケーブルを回転ノブ(40)のスプールに巻き上げることで、生じる。ストラップシステム(20)のストラップ(21、23)は、平らな筒状のストリップ内に通されたコードからなる。図面では、主にストラップシステム(20)のこのような平らな筒状のストリップを見ることができ、その中に通された張力コードは示されていない。
【0078】
ストラップシステム(20)は、ストラップが第1の交差領域(22)に経路設定される第1の交差要素(25)と、ストラップが第2の交差領域(24)に経路設定される第2の交差要素(26)とを備える。交差領域(22、24)は、脚の内側に配置される。
【0079】
膝装具(100)はまた、脚の外側の領域に取り付けられる関節副子(50)を備える。関節副子(50)は、第1のバーセクション(51)、第2のバーセクション(52)及び第3のバーセクション(53)を有する。第1のバーセクション(51)及び第2のバーセクション(52)はそれぞれ、単心ジョイント(54、55)によって第3のバーセクション(53)に接続される。第3のバーセクション(53)は、板ばねの形態のばね要素として設計されている。接続要素(40)は、ストラップシステム(20)及び関節副子(50)に取り付けられ、ストラップに張力をかけると、ストラップシステム(20)は関節副子(50)のこの領域に張力を及ぼす。ストラップシステム(20)は、上端と下端で関節副子(50)も固定する。
【0080】
図6は、図5の膝装具(100)の外側を示す。関節副子(50)がはっきりと見え、関節副子(50)は3つの副領域(51、52、53)に分割されおり、3つの副領域(51、52、53)は2つの単心ヒンジジョイント(54、55)によって互いに接続される。ストラップシステム(20)は、上部と下部で、プレート要素(61、62)によって関節副子(50)に接続される。
【0081】
ストラップシステム(20)のストラップは、可動懸架手段(42、43)によって接続要素に接続される。
【0082】
図7は、図5の膝装具の内側を示す。交差要素(25、26)内に経路設定されるストラップシステム(20)の交差領域(22、24)がはっきりと見える。2つの交差領域(22、24)は、ストラップシステム(20)のストラップの経路を2つの8の字形状にする。
【0083】
肘装具
図8は、例示の目的で、本発明の肘装具(300)を、腕(400)に正面視で示す。肘装具(300)は、上部副領域(311)、中央副領域(312)及び下部副領域(313)を有するキャリア要素(310)として織物支持体を備える。ストラップシステム(320)が接続要素(340)を介してキャリア要素(310)に接続される。ストラップシステム(320)の第1のセクション(321)としての第1のストラップが、第1の交差領域(322)で交差するように、キャリア要素(310)の上部副領域(311)の周りに経路設定される。ストラップシステム(320)の第2のセクション(323)としての第2のストラップが、第2の交差領域(324)で交差するように、キャリア要素(310)の下部副領域(313)の周りに経路設定される。このようにして、ストラップシステム(320)の両方のセクション(321、323)は、それぞれスリングとして設計されて、腕(400)のそれぞれの領域の周りに巻かれる。
【0084】
接続要素(340)は、キャリア要素(310)の中央副領域(312)に取り付けられ、ストラップシステム(320)は、懸架手段(342、343)を介して接続要素(340)に可動に取り付けられる。接続要素(340)は、ストラップシステム(320)の第1のセクション(321)のストラップに張力をかけ、同時にストラップシステム(320)の第2のセクション(323)のストラップに張力をかけるための張力要素として、回転ノブ(341)を備える。張力は、ストラップに接続されたケーブルを回転ノブ(340)のスプールに巻き上げることで生じる。
【0085】
ストラップシステム(320)のストラップ(321、323)は、平らな筒状のストリップ内に通されたコードからなる。図面では、主にストラップシステム(320)のこのような平らな筒状のストリップを見ることができ、その中に通された張力コードは示されていない。
【0086】
ストラップシステム(320)は、ストラップが第1の交差領域(322)で経路設定される第1の交差要素(325)と、ストラップが第2の交差領域(324)で経路設定される第2の交差要素(326)とを備える。
【0087】
肘装具(300)はまた、腕の外側の領域で支持体(310)に取り付けられる関節副子(350)も備える。関節副子(350)は、キャリア要素(310)の上部副領域(311)の領域に第1のバーセクション(51)を、キャリア要素(310)の下部副領域(313)の領域に第2のバーセクション(352)を、キャリア要素(310)の中央副領域(312)の領域内に第3のバーセクション(353)を有する。第1のバーセクション(351)及び第2のバーセクション(352)はそれぞれ、単心ヒンジによって第3のバーセクション(353)に接続される。第3のバーセクション(353)は、板ばねの形態のばね要素として設計されている。接続要素(340)は中央副領域(312)に取り付けられ、ストラップに張力をかけると、ストラップシステム(320)は関節副子(350)のこの領域に張力を及ぼす。ストラップシステム(320)は、上端と下端で関節副子(350)も固定する。
【0088】
図9は、図8の肘装具(300)の外側を示す。支持体(310)が、隣接する関節副子(350)と共にはっきりと見え、関節副子(350)は3つの副領域(351、352、353)に分割されており、3つの副領域(351、352、353)は2つの単心ヒンジジョイント(354、355)によって互いに接続される。ストラップシステム(320)は、上部と下部で、プレート要素(361、362)によって関節副子(350)に接続される。
【0089】
図10は、図8の肘装具(300)の内側を示す。支持体(310)が、ストラップシステム(320)の交差領域(322、324)と共にはっきりと見え、ストラップシステム(320)は、交差要素(325、326)内に経路設定されている。交差要素(325、326)は、下側のフック接続部(327a、327b)によって、支持体(310)のループ領域(328)に柔軟且つ再配置可能に取り付けられる。2つの交差領域(322、324)は、ストラップシステム(320)のストラップの経路を2つの8の字形状にする。
【0090】
図11は、例示の目的で、図8のようなストラップシステム(320)を備える本発明の肘装具(300)を、腕(400)上に正面視で示すが、キャリア要素のない実施形態である。ストラップシステム(320)は接続要素(340)に接続される。ストラップシステム(320)の第1のセクション(321)としての第1のストラップは、第1の交差領域(322)で交差するように経路設定される。ストラップシステム(320)の第2のセクション(323)としての第2のストラップは、第2の交差領域(324)で交差するように経路設定される。
【0091】
ストラップシステム(320)は、懸架手段(342、343)によって接続要素(340)に可動に取り付けられる。装具(300)のさらなる構成に関しては、図5及び図8の説明を参照するものとする。
【0092】
図12は、図11の肘装具(300)の外側を示す。関節副子(350)がはっきりと見え、関節副子(350)は3つの副領域(351、352、353)に分割されており、3つの副領域(351、352、353)は2つの単心ヒンジジョイント(354、355)によって互いに接続される。ストラップシステム(320)は、上部と下部で、プレート要素(361、362)によって関節副子(350)に接続される。
【0093】
図13は、図11の肘装具(300)の内側を示す。交差要素(325、326)内に経路設定されるストラップシステム(320)の交差領域(322、324)がはっきりと見える。2つの交差領域(322、324)は、ストラップシステム(320)のストラップの経路を2つの8の字形状にする。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13