(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】携帯端末のリージョン監視制御方法、並びに滞在状況監視方法及び滞在状況監視システム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20220822BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20220822BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20220822BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W64/00 160
H04W84/00 110
(21)【出願番号】P 2021001563
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521012016
【氏名又は名称】株式会社ビーキャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100125933
【氏名又は名称】野上 晃
(72)【発明者】
【氏名】中垣 雄
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 武宣
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103498(WO,A1)
【文献】特開2016-208409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のビーコンデバイスが第1のビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信するとともに、
第2のビーコンデバイスが前記第1のビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて第2のビーコン信号を発信し、
当該第2のビーコン信号は、前記第1のビーコン信号とは異なるUUIDに設定され、そのビーコン領域は前記第1のビーコン信号のビーコン領域をカバーしており、
前記ビーコン領域に進入し、前記した第1及び第2のビーコン信号を受信した携帯端末のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトのイベントを交互に発生させ、エリアインイベント発生の都度、前記携帯端末の識別情報を含む前記第1のビーコン信号の受信ログデータを外部に送信することを特徴とする携帯端末のリージョン監視制御方法。
【請求項2】
前記第2のビーコン信号の送信電波強度は、前記第1のビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定されてなる請求項1に記載の携帯端末のリージョン監視制御方法。
【請求項3】
前記第2のビーコンデバイスのビーコン信号発信間隔は分オーダーに設定されてなる請求項1又は2に記載の携帯端末のリージョン監視制御方法。
【請求項4】
ビーコン信号を用いて携帯端末のビーコン領域における滞在状況を判定する滞在状況判定方法であって、
少なくとも1つの第1のビーコンデバイスが自身の存在位置を関連づける情報を含む位置ビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信するとともに、
少なくとも1つの第2のビーコンデバイスが前記位置ビーコン信号とは異なるUUIDに設定されるとともに自身の存在位置を関連づける情報を含まない第2のビーコン信号を前記位置ビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて発信し、
当該第2のビーコン信号のビーコン領域は前記位置ビーコン信号のそれをカバーしており、
前記ビーコン領域に進入し、前記した位置ビーコン信号及びビーコン信号を受信した携帯端末のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトの各イベントを交互に発生させ、当該エリアインイベント発生の都度、前記携帯端末が当該携帯端末の識別情報を含む前記位置ビーコン信号の受信ログデータを送信し、
ビーコン検知ログ収集部が前記受信ログデータを受信するとともに収集し、
ユーザー情報表示部が前記ビーコン検知ログ収集部に収集された前記受信ログデータを受信して更新し、これに基づき前記携帯端末の滞在状況監視結果を出力装置に表示出力することを特徴とする滞在状況監視方法。
【請求項5】
前記ビーコン信号の送信電波強度は、前記位置ビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定されたものである請求項4に記載の滞在状況監視方法。
【請求項6】
前記ビーコン信号の発信間隔は分オーダーに設定されたものである請求項4又は5に記載の滞在状況監視方法。
【請求項7】
前記携帯端末が、さらに前記ユーザー情報表示部に対し、前記位置情報の更新を促すように要求する
請求項5又は6に記載の存在状監視方法。
【請求項8】
ビーコン信号を用いて携帯端末のビーコン領域における滞在状況を判定する滞在状況判定システムであって、
自身の存在位置を関連づける情報を識別可能な位置ビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信する少なくとも1つの第1のビーコンデバイスと、
前記位置ビーコン信号とは異なるUUIDに設定されるとともに自身の存在位置を関連づける情報を含まない第2のビーコン信号を前記位置ビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて発信するものであって、前記第2のビーコン信号のビーコン領域が前記位置ビーコン信号のそれをカバーするように設置された少なくとも1つの第2のビーコンデバイスと、
前記ビーコン領域に進入し、前記した位置ビーコン信号及び
第2のビーコン信号を受信することにより自身のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトの各イベントを交互に発生させ、エリアインイベント発生の都度、自身の識別情報を含む前記位置ビーコン信号の受信ログデータを送信する携帯端末と、
前記受信ログデータを受信し収集するビーコン検知ログ収集部と、
収集された前記受信ログデータを受信して更新し、これに基づき前記携帯端末の前記ビーコン領域における滞在状況監視結果を出力装置に表示出力するユーザー情報表示部と、
を含むことを特徴とする滞在状況判監視システム。
【請求項9】
前記ビーコン信号の送信電波強度は、前記位置ビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定されたものである請求項8に記載の滞在状況監視システム。
【請求項10】
前記ビーコン信号の発信間隔は分オーダーに設定されたものである請求項8又は9に記載の滞在状況監視システム。
【請求項11】
前記携帯端末は、さらに前記ユーザー情報表示部に対し、前記滞在状況監視結果の更新を促すよう要求するものである請求項8~10のいずれか1項に記載の滞在状況監視
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末のリージョン監視を外部から制御する技術及び当該方法を用いたビーコン信号を用いて当該ビーコン領域における携帯端末の滞在状況を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル機器用の近距離無線技術として、Bluetooth規格は2.4GHz帯域の電波を用いてラップトップパソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット機器などの携帯端末との接続に用いられている。近年、省電力化の可能なBluetooth Low Energy規格(以下,BLEという。)が開発され、BLE規格を活用した機器としてビーコンデバイスが用いられている。ビーコンデバイスは、UUID、Major及びMinorの3種類の識別子を含む微弱なアドバータイズパケット(本明細書においては、このアドバータイズパケットを「ビーコン信号」と呼ぶこととする。)を定期的に送信する無線標識であり、例えばApple(登録商標)社のiBeacon(登録商標)やGoogle社のEddystoneなどが用いられている。このようなデバイスは、軽量、小型であり、電源の自由度が高く、設置場所の自由度が高いことから、屋内外の環境において複数のビーコンデバイスを配置し、これらのビーコンデバイスからのビーコン信号が届くビーコン領域に存在する携帯端末の位置を検出し測定する分野などでの活用が進められている。
【0003】
スマートフォン、タブレットなどの携帯端末には、そのハードウェアに、オペレーションシステム(本明細書において、「OS」という。)、ミドルウェア、アプリケーションソフトウェア(本明細書において、「アプリ」という。)などのソフトウェアが階層的に実装されている。通常、前記のようなビーコン信号を用いた携帯端末の位置検出では、OSはビーコン信号を受信するだけでなく、ビーコン領域への進入又はビーコン領域からの離間(退出)を契機に受信したビーコン信号の受信情報(UUID,Major、Minorなど)を所定の時間間隔にてアプリに通知するリージョン監視機能を有している。また、アプリは受け取ったビーコン信号のUUID,Major、Minorなどの受信ログデータを所定時間所定の時間間隔にて送信するように構成されており、この受信ログデータに基づいてビーコン領域に進入しビーコン信号を受信した携帯端末の位置検出・特定が行われている。このような位置検出・特定技術は、ユーザーが携帯端末を持ったままビーコン領域内を移動したり、あるビーコン領域から別のビーコンデバイスのビーコン領域に移るような場合に特に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯端末のリージョン監視機能は、携帯端末がビーコン領域に進入しそこから退出したことを契機としてエリアイン、エリアアウトイベントを発生させ、アプリに対して所定の時間、所定の時間間隔でUUID,Major及びMinorなどの受信情報を通知するものであり、携帯端末がビーコン領域内の1か所に留まった状態が継続している場合、エリアイン、エリアアウトのイベントが発生せず、携帯端末はビーコン信号の受信ログデータをアプリに通知せず、アプリも受信ログデータを収集するサーバなどに受信ログデータを送信しない。そのため、(1)ユーザーが携帯端末とともにあるビーコン領域に継続して存在する場合や(2)携帯端末の存在位置をビーコン領域に含むビーコンデバイスを新たに設置した場合には、実際にそこにいることを示す受信ログデータが携帯端末から送信されないため、結果として携帯端末のビーコン領域内における存在の有無を監視することができないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、ビーコン領域に進入してビーコン信号を受信する携帯端末からその識別情報を含む当該ビーコン信号の受信ログデータを所定の時間間隔で送信する技術を提供することを第1の目的とする。また、この技術を活用することにより携帯端末のビーコン領域内での滞在状況を監視可能な技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的は、第1のビーコンデバイスが第1のビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信するとともに、第2のビーコンデバイスが前記第1のビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて第2のビーコン信号を発信し、当該第2のビーコン信号は、前記第1のビーコン信号とは異なるUUIDに設定され、そのビーコン領域は前記第1のビーコン信号のビーコン領域をカバーしており、前記ビーコン領域に進入し、前記した第1及び第2のビーコン信号を受信した携帯端末のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトのイベントを交互に発生させ、エリアインイベント発生の都度、前記携帯端末の識別情報を含む前記第1のビーコン信号の受信ログデータを外部に送信することを特徴とする携帯端末のリージョン監視制御方法によって達成される。
【0008】
即ち、本発明の携帯端末のリージョン監視制御方法は、前記の通り第1のビーコンデバイスに加え、第2のビーコンデバイスを設け、第1のビーコン信号のビーコン領域に携帯端末が進入して当該第1のビーコン信号を受信することで、当該携帯端末(OS)のリージョン監視機能に第1のビーコン信号のビーコン領域へのエリアインを認識させ(エリアインイベントを発生させ)た後に、第2のビーコン信号を携帯端末が受信することにより強制的にリージョン監視機能に前記ビーコン領域からのエリアアウトを認識させ(エリアアウトイベントを発生させ)、続いて相対的に小さい時間間隔で発信される第1のビーコン信号を携帯端末が受信することで、再び前記ビーコン領域へのエリアインを認識させる(エリアインイベントを発生させる)ものである。これにより、第1のビーコン信号のビーコン領域へのエリアインイベントを契機として携帯端末OSのリージョン監視にエリアインイベントを発生させ、第2のビーコン信号の発信間隔と略同等の時間間隔にて定期的に第1のビーコン信号の受信ログをアプリに通知できるようになり、さらに当該携帯端末から第1のビーコン信号の受信ログデータが例えばサーバなどの外部に送信できるようになる。
【0009】
そのため、リージョン監視にてエリアイン・エリアアウトのイベントが発生しやすいように、第2のビーコン信号の送信電波強度は第1のビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定するのが好ましい。また、前記携帯端末OSのリージョン監視制御方法を当該携帯端末のビーコン領域における滞在状況監視に使用する場合、例えば分オーダーでエリアインイベントを発生させアプリに第1のビーコン信号の受信情報を通知させ、ビーコン領域内での携帯端末の滞在状況を監視するのが適当であるため、第2のビーコン信号の発信間隔は例えば分オーダーに設定するのが好ましい。これにより携帯端末の消費電力の抑制にも資することになる。
【0010】
前記第2の目的は、前記方法を活用し、ビーコン信号を用いて携帯端末のビーコン領域における滞在状況を判定する滞在状況判定方法であって、少なくとも1つの第1のビーコンデバイスが自身の存在位置を関連づける情報を含む位置ビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信するとともに、少なくとも1つの第2のビーコンデバイスが前記位置ビーコン信号とは異なるUUIDに設定されるとともに自身の存在位置を関連づける情報を含まない第2のビーコン信号を前記位置ビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて発信し、当該第2のビーコン信号のビーコン領域は前記位置ビーコン信号のそれをカバーしており、前記ビーコン領域に進入し、前記した位置ビーコン信号及び第2のビーコン信号を受信した携帯端末のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトの各イベントを交互に発生させ、当該エリアインイベント発生の都度、前記携帯端末が当該携帯端末の識別情報を含む前記位置ビーコン信号の受信ログデータを送信し、ビーコン検知ログ収集部が前記受信ログデータを受信するとともに収集し、ユーザー情報表示部が前記ビーコン検知ログ収集部に収集された前記受信ログデータを受信して更新し、これに基づき前記携帯端末の滞在状況監視結果を出力装置に表示出力することを特徴とする滞在状況監視方法によって達成される。
【0011】
前記第2の目的はまた、本発明の別の局面によれば、ビーコン信号を用いて携帯端末のビーコン領域における滞在状況を判定する滞在状況判定システムであって、自身の存在位置を関連づける情報を識別可能な位置ビーコン信号を所定の発信間隔で継続して発信する少なくとも1つの第1のビーコンデバイスと、前記位置ビーコン信号とは異なるUUIDに設定されるとともに自身の存在位置を関連づける情報を含まない第2のビーコン信号を前記位置ビーコン信号よりも相対的に大きい発信間隔にて発信するものであって、前記第2のビーコン信号のビーコン領域が前記位置ビーコン信号のそれをカバーするように設置された少なくとも1つの第2のビーコンデバイスと、前記ビーコン領域に進入し、前記した位置ビーコン信号及び第2のビーコン信号を受信することにより自身のリージョン監視機能にエリアイン及びエリアアウトの各イベントを交互に発生させ、エリアインイベント発生の都度、自身の識別情報を含む前記位置ビーコン信号の受信ログデータを送信する携帯端末と、前記受信ログデータを受信し収集するビーコン検知ログ収集部と、収集された前記受信ログデータを受信して更新し、これに基づき前記携帯端末の前記ビーコン領域における滞在状況監視結果を出力装置に表示出力するユーザー情報表示部と、を含むことを特徴とする滞在状況判監視システムによって達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、その存在位置に関連づけられる情報を含む微弱な第1のビーコン信号(位置ビーコン信号)に加え、その存在位置に関連づけられる情報を含まず、前記第1のビーコン信号よりも発信間隔の大きい第2のビーコン信号を発信することとしたので、ビーコン領域に進入し、これらのビーコン信号をそれぞれ受信する携帯端末からその識別情報を含むビーコン信号の受信ログデータを前記第2のビーコン信号の発信間隔と略同等の時間間隔にて外部に送信できるようになる。そして、これによりビーコン領域内に進入した携帯端末の滞在状況の監視を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の滞在状況監視システムの一実施形態の構成例を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に例示する実施形態において、における各機器の振る舞いの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、まず本発明の携帯端末のリージョン監視制御方法の一実施形態について詳細に説明した後に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。また、以下に記載の本発明の実施形態は一例であり、その本質を同一とする範囲において適宜変更可能である。
【0015】
携帯端末のリージョン監視制御方法
本発明の携帯端末のリージョン監視制御方法は、第1及び第2の2種類のビーコンデバイスからそれぞれ発信されるビーコン信号を用い、これらを受信する携帯端末OSのリージョン監視機能を外部から制御するものである。
【0016】
(第1のビーコンデバイス)
第1のビーコンデバイスには、BLE技術を活用してビーコン信号を一定の発信間隔にて継続して発信する装置であり、例えばiBeacon(登録商標)デバイスやEddystoneデバイスである。このデバイスは市販されている専用の機器であってもよく、例えば携帯端末などの汎用機器をビーコン信号発信器として用いるようなものであってもよい。第1のビーコンデバイスは、これを携帯端末の位置検出などに用いる場合、設置後のメンテナンスなどを考慮すると電池を内蔵しているものの方が好ましい。この第1のビーコンデバイスは、これを使用する用途に応じて屋内外の環境に少なくとも1つを設置することができる。
【0017】
第1のビーコンデバイスが発信する第1のビーコン信号は、このデバイスがiBeacon(登録商標)の場合、一定のプリアンブル(ヘッダー)とそれに続くビーコン識別情報とを含むフレームフォーマットから構成することができる。ビーコン識別情報としては、UUID(Universally Unique Identifier)、メジャー(Major)及びマイナー(Minor)の各識別子の組み合わせを用いるのがよい。例えば、UUIDの長さは16バイトで、メジャーとマイナーの長さはそれぞれ2バイトとされている。また、フレームフォーマットには、これらの識別子に加えて、そのビーコンから1m離れた位置でのRSSI(Received Signal Strength Indicator)値や近接度(Innediate, Near, Far, Unknown)といった情報も含めることができる。
【0018】
第1のビーコンデバイスが発信する第1のビーコン信号の発信間隔についても適宜設定でき、iBeacon(登録商標)の場合、例えば規格化された152、211、318、417、546、760、852、1022、1285msecの中から適宜選択して設定できる。
【0019】
第1のビーコンデバイスが発信する第1のビーコン信号の送信電波強度は、Bluetooth規格における以下のクラスの範疇に入るものの中から適宜選択できる。
クラス1: 100mW(+20dBm)
クラス1.5: 10mW(+10dbm)
クラス2: 2.5mW (+4dBm)
クラス3: 1mW(0dBm)
また、送信電波強度を設定できるビーコンデバイスについては適宜設定できる。
【0020】
(第2のビーコンデバイス)
第2のビーコンデバイスとしては、前記した第1のビーコンデバイスと同様、BLE技術を活用してビーコン信号を一定の発信間隔にて継続して発信する装置、例えばiBeacon(登録商標)デバイスやEddystoneデバイスなどを使用できる。このデバイスもまた市販されている専用の機器であってもよく、例えば携帯端末などの汎用機器をビーコン信号発信器として用いるようなものであってもよい。第2のビーコンデバイスは、これを携帯端末の位置検出などに用いる場合、設置後のメンテナンスなどを考慮すると電池を内蔵しているものの方が好ましい。また、第2のビーコンデバイスは、これが発信する第2のビーコン信号のビーコン領域が前記した第1のビーコン信号のビーコン領域をカバーするように設置する。
【0021】
第2のビーコンデバイスが発信する第2のビーコン信号は、このデバイスがiBeacon(登録商標)の場合、一定のプリアンブル(ヘッダー)とそれに続くビーコン識別情報とを含むフレームフォーマットから構成することができる。ビーコン識別情報としては、UUID(Universally Unique Identifier)、メジャー(Major)及びマイナー(Minor)の各識別子の組み合わせを用いるのがよい。例えば、UUIDの長さは16バイトで、メジャーとマイナーの長さはそれぞれ2バイトとされている。また、フレームフォーマットには、これらの識別子に加え、そのビーコンから1m離れた位置でのRSSI(Received Signal Strength Indicator)値や近接度(Innediate, Near, Far, Unknown)といった情報も含めることができる。
【0022】
第2のビーコンデバイスが発信する第2のビーコン信号のUUIDは、前記した第1のビーコンデバイスが発信する第1のビーコン信号のそれとは異なる値に設定される。
【0023】
第2のビーコンデバイスが発信する第2のビーコン信号の発信間隔は、第1のビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定する。本発明は、後述するようにこれらのビーコン信号を受信する携帯端末OSのリージョン監視機能に第2のビーコン信号受信ごとに第1のビーコン領域からのエリアアウトを認識させるものであり、第2のビーコン信号の発信間隔を第1のビーコン信号のそれと略同等に設定した場合、前記監視が機能しなくなる可能性があり、仮に機能した場合でもエリアインイベントを発生させることとすると、携帯端末の消費電力の増加につながるため、好ましくないからである。
【0024】
第2のビーコンデバイスが発信する第2のビーコン信号の送信電波強度もまた、Bluetooth規格における前記クラスの範疇に入るものの中から適宜選択できるが、第1のビーコン信号のそれよりも相対的に大きく設定するのがよい。例えば、第1のビーコンデバイスの送信電波強度がクラス2~3の範疇に属するものである場合、第2のビーコンデバイスのそれはクラス1又は1.5の範疇に属するものを使用し、第1及び第2のビーコンデバイスの送信電波強度が同じクラスに属するものである場合には、後者のデバイスの方が前者のものよりも出力が大きいものを選択しあるいは大きくなるように設定する。さらに、第2のビーコン信号と第1のビーコン信号の送信電波強度の差は大きければ大きいほどより好ましい。このように第2のビーコン信号の送信電波強度を大きくすることで、後述する携帯端末OSのリージョン監視においてイベントを発生しやすくすることができる。
【0025】
(携帯端末)
本発明における携帯端末としては、例えばiOS、Androidその他のOSを実装したスマートフォン、タブレット端末、ラップトップパソコンなどが挙げられる。携帯端末の台数については特に制限がなく、1台であってもよく2台以上であってもよい。2台以上の携帯端末が前記した第1及び第2のビーコン信号のビーコン領域に進入し、これらのビーコン信号を受信した場合には、それぞれ本発明のリージョン監視制御を行うことができる。
【0026】
(リージョン監視制御方法)
第1及び第2のビーコン信号のビーコン領域にユーザーが携帯端末を携帯して進入した場合、通常、携帯端末はまず第1のビーコンデバイスから前記発信間隔で発信される第1のビーコン信号を受信する。そうすると、携帯端末OSのリージョン監視機能にエリアインイベントが発生し、これを契機にしてOSは携帯端末アプリに対して第1のビーコン信号の受信情報を通知する。この通知により携帯端末のアプリは所定時間(例えば10秒程度)、約1秒ごとに通知される受信情報を蓄積し、目的に応じて前記携帯端末の識別情報を含む第1のビーコン信号の受信ログデータを送信する。その後に、携帯端末のOSはリージョン監視機能を停止する。そのため、携帯端末が前記ビーコン領域内の一定の位置に継続して存在していたとしても、携帯端末のアプリはその後に受信情報の通知を受けず受信ログデータを送信しなくなるため、前記した携帯端末の位置検出・測定だけでなくその滞在状況の監視すらできない事態となる。
【0027】
続いて、第1のビーコン信号よりも相対的に発信間隔の長い第2のビーコン信号が第2のビーコンデバイスより発信されると、携帯端末がこれを受信する。そうすると、携帯端末OSのリージョン監視機能は第1のビーコン領域から退出したと認識し、エリアアウトイベントを発生させるとともに、第1のビーコン信号のビーコン領域と重複する第2のビーコン信号のビーコン領域に進入したと認識し、エリアインイベントを発生させる。しかし、第2のビーコン信号は、その発信間隔は第1のビーコン信号のそれよりも相対的に長いため、続いて発信間隔が相対的に小さい第1のビーコン信号を再度受信することで、携帯端末OSのリージョン監視機能は第2のビーコン信号のビーコン領域から退出したと認識し、エリアアウトイベントを発生させるとともに、第1のビーコン信号のビーコン領域に進入したと認識しエリアインイベントを発生させ、携帯端末のアプリは前記の通り第1のビーコン信号の受信ログデータを送信し、その後にOSはリージョン監視機能を停止する。このように、本発明の携帯端末のリージョン監視制御方法によれば、第2のビーコン信号受信の都度、携帯端末OSのリージョン監視機能に第1のビーコン信号のビーコン領域からのエリアアウトを強制的に認識させ、それに続き第1のビーコン信号受信により再び携帯端末OSのリージョン監視機能にエリアインを認識させることができる。その結果、携帯端末のアプリは、第2のビーコン信号の発信間隔と略同等の時間間隔にて、当該携帯端末の識別情報を含む第1のビーコン信号の受信ログデータを外部に送信できるようになる。
【0028】
以上、携帯端末が第1のビーコン信号を受信した後に、第2のビーコン信号を受信するケースにて本実施形態の携帯端末のリージョン監視制御方法を説明したが、本発明はこのケースに限られない。例えば、第1及び第2のビーコン信号のビーコン領域内にこれらを受信可能な携帯端末が存在する状況において、仮に任意の時点で何等かの事情により第1のビーコン信号受信後の処理に瞬間的にエラーが発生して外部への第1のビーコン信号受信ログデータが送信されなかったとしても、携帯端末のソフトウェア自体に問題がなければ、第2のビーコン信号受信に続き、第1のビーコン信号を受信することで、携帯端末は第2のビーコン信号の発信間隔と略同等の時間間隔で外部に継続して自身の識別情報を含む第1のビーコン信号の受信ログデータを送信できる。なお、以上の説明において、第2のビーコン信号受信後、第1のビーコン信号のビーコン領域からのエリアアウト及び第2のビーコン信号のビーコン領域へのエリアインの各イベント発生を契機とした携帯端末アプリへの通知に関しその記載を省略しているが、前記した第1のビーコン信号受信後のエリアインイベント発生を契機とした通知と同様の通知を携帯端末アプリに通知するように設定してもよく、通知しないように設定してもよい。
【0029】
携帯端末の滞在状況監視システム及び方法
次に、前記携帯端末のリージョン監視制御方法を活用して、ビーコン領域内に存在しビーコン信号を受信する携帯端末の滞在状況を監視する場合を例にとり、
図1及び
図2を参照しながら本発明の滞在状況監視システム及び方法の一実施形態について詳細に説明する。
【0030】
(機器構成)
図1は、本発明の滞在状況監視システムの一実施形態の構成例を模式的に示している。この図において、1は本実施形態の滞在状況監視システム、2は第1のビーコンデバイス、3は第2のビーコンデバイス、4は第1のビーコンデバイスが発信する第1のビーコン信号(以下、「位置ビーコン信号」と呼ぶことにする。)のビーコン領域、5及び6は携帯端末、10はビーコン検知ログ収集部、11はユーザー情報表示部を示している。
【0031】
第1のビーコンデバイス2、2、2はそれぞれ、前記した携帯端末のリージョン監視制御方法に記載したものを使用できる。それぞれの第1のビーコンデバイス2は、例えばオフィスなどの屋内や屋外の環境において、ユーザーが携帯端末5、6を携帯して移動し又は携帯端末5,6が存在する可能性のある場所をビーコン領域4として網羅するように各所に設置されている。なお、
図1では第1のビーコンデバイス3つを示しているが、これに限定されるわけではなく、ユーザーが携帯端末5、6を携帯して移動し又は携帯端末5,6が存在する可能性のある場所が狭い場合には1つまたは2つ、さらに広範に及ぶ場合には4つ以上を設置することができる。それぞれの第1のビーコンデバイス2の発信する位置ビーコン信号のビーコン領域は互いに重複していても構わない。
【0032】
第1のビーコンデバイス2、2、2が前記した発信間隔で発信する位置ビーコン信号の識別情報について、UUIDはそれぞれ同じに設定され、Major及びMinorの各識別子にはそれぞれの第1のビーコンデバイス2の設置位置(存在位置)に関連付けられた異なる値に設定されている。位置ビーコン信号にはさらにRSSI値や近接度なども含めることができる。また、それぞれの第1のビーコンデバイス2における位置ビーコン信号の発信間隔は例えば852msecなどに適宜設定できる。
【0033】
第2のビーコンデバイス3には、前記した携帯端末のリージョン監視制御方法に記載したものを使用できる。第2のビーコンデバイス3は、位置ビーコン信号のビーコン領域4をカバーするように設置されている。なお、
図1では第2のビーコンデバイス1つを示しているが、これに限定されるわけではなく、ビーコン領域4の広さに応じて2つ以上設置することができる。
【0034】
第2のビーコンデバイス3が前記した発信間隔で発信する第2のビーコン信号の識別情報について、UUIDは位置ビーコン信号のそれとは異なる値に設定される。また、Major及びMinorの各識別子には第2のビーコンデバイス3の設置位置(存在位置)に関連付けられた情報を含まないように設定されている。第2のビーコン信号にはRSSI値や近接度などの情報を含めることができる。第2のビーコン信号は、これを受信した携帯端末5,6のリージョン監視機能にビーコン領域4からの退出を認識させるトリガーの役割を担うものだからである。また、第2のビーコンデバイス3からの第2のビーコン信号の発信間隔は一ビーコン信号のそれよりも相対的に大きければ特に制限されないが、好適には例えば1分、2分、3分など分オーダーに適宜設定するのが好ましい。
【0035】
携帯端末5、6としては、前記した携帯端末のリージョン監視制御方法に例示した機器などが挙げられる。
図1では、2台の携帯端末(5,6)を表示するが、2台に限定されず、1台又は3台以上であってもよい。本実施形態では、ビーコン領域4内に存在し、位置ビーコン信号及び第2のビーコン信号を受信する携帯端末のそれぞれについてその滞在状況を監視できるものだからである。
【0036】
携帯端末5,6はそれぞれ、OS、ミドルウェア及びアプリの階層的構造のソフトウェアを有しており、これらがビーコン領域4内に存在し前記した位置ビーコン信号及び第2のビーコン信号をこれらの携帯端末のOSが受信すると、後述するように位置ビーコン信号の受信ログデータ(当該携帯端末の識別情報を含む。以下同じ。)をビーコン検知ログ収集部10に送信するようにアプリが設定されている。
【0037】
ビーコン検知ログ収集部10は、各携帯端末5(又は6)のアプリから例えば10secごと送信される位置ビーコン信号ログデータを受信し、収集蓄積するように構成されている。このビーコン検知ログ収集部10は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、サーバ機器、クラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどの情報処理装置に構築することができる。
【0038】
ユーザー情報表示部11は、ビーコン検知ログ収集部10に収集(蓄積)されている位置ビーコン信号の受信ログデータの送信リクエストを例えば60secごとに送信し、返されてきた受信ログデータに基づき出力装置に前記携帯端末の前記ビーコン領域における滞在状況を出力する。前記リクエストの送信間隔は適宜設定できる。このユーザー情報表示部11もまた、例えばPC、サーバ機器、クラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどの情報処理装置に構築することができる。なお、ユーザー情報表示部11とビーコン検知ログ収集部10とはそれぞれ同じPC、サーバ機器などの情報処理装置に構築してもよく、別個の情報処理装置に構築してもよい。また、クラウドサーバを除く情報処理装置はビーコン領域4内に設置されていてもよく、当該領域4以外の場所に設置されていてもよい。
【0039】
出力装置は、
図2では携帯端末・PC等12として表わすが、これには、ユーザー情報表示部11が構築されたPC、サーバ機器などの情報処理装置やこれらに無線通信などの手段により接続可能なPC、クライアント装置、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップパソコンなどの携帯端末の表示画面その他の出力装置が含まれる。
図1の例では、携帯端末5,6に実装されているアプリやブラウザーなどを介して滞在状況監視結果が表示出力され、また携帯端末5,6をユーザーが操作することにより発生するデータ更新リクエストに応じて更新された滞在状況監視結果が表示出力されるように構成されている。
【0040】
なお、ビーコン検知ログ収集部10及びユーザー情報表示部11の構築、実装、必要な設定などは、例えば本実施形態の滞在状況監視システムの管理者などが行うことができる。また、この管理者は、前記したそれぞれの第1のビーコンデバイス2や第2のビーコンデバイス3だけでなく、携帯端末5,6のそれぞれのアプリ(ミドルウェアを含む。)の実装や必要な設定を行うことができる。
【0041】
(滞在状況監視方法)
次に、携帯端末5を例にとり、
図2を参照しながら、本実施形態の滞在状況監視方法の一例について詳細に説明する。なお、
図2では、
図1に示す構成と同一の各部については同一の符号を用いることとする。
【0042】
図2に示す例では、携帯端末の滞在状況監視方法の実行に、第1のビーコンデバイス2、OS5a及びアプリ5bが組み込まれている携帯端末5、第2のビーコンデバイス3、ビーコン検知ログ収集部10、ユーザー情報表示部11及び出力装置としての携帯端末等12が関与する。携帯端末5は第1及び第2のビーコンデバイスから発信される位置ビーコン信号のビーコン領域内に存在し当該位置ビーコン信号及び第2のビーコン信号を受信できるものとする。なお、携帯端末・PC等(出力装置)12は携帯端末5と同じであっても異なっていてもよい。また、携帯端末・PC等(出力装置)12は、ブラウザーを介してユーザー情報表示部12にアクセスして滞在状況を監視する構成としている。
【0043】
まず、ビーコン検知ログ収集部10に受信ログデータが存在しない場合、ユーザー情報表示部11からの受信ログデータ送信リクエストを送出しても(S01)、ビーコン検知ログ収集部10はユーザー情報表示部11に対して受信ログデータを返さない。また、携帯端末・PC等12からブラウザーを介してユーザー情報表示部11にアクセスしても(S02)、携帯端末5の滞在状況(ログ)は表示されない。この受信ログデータが存在しない場合としては、例えば第1のビーコンデバイス2が設置されていない、本実施形態の滞在状況監視方法が実行されていないなどの事由が挙げられる。
【0044】
本実施形態においては、まず第1のビーコンデバイス2から例えば852msecの発信間隔で位置ビーコン信号が継続して発信される(S03)。この位置ビーコン信号には、少なくともUUIDとともに、第1のビーコンデバイスの存在位置に関連する情報を含むMajor及びMinorの各識別子が含まれ、さらにRSSI値や近接度の情報なども含まれていてもよい。
【0045】
前記発信間隔で継続して発信される位置ビーコン信号を携帯端末5が受信すると、携帯端末5のOSのリージョン監視機能が約10sec間起動し(S04)、これにエリアインイベントが発生し、これを契機にしてOS5aは携帯端末アプリ5bに対して位置ビーコン信号の受信情報(UUID、Major及びMinorなど)を前記した約10secの間約1secごと通知する(S05)。携帯端末5のアプリ5bは約10秒程度、S04)、約1秒ごと通知される受信情報を蓄積し(S06)、蓄積された位置ビーコン信号の受信ログデータを携帯端末5の識別情報とともにビーコン検知ログ収集部10に送信する(S07)。このアプリ5bによる受信ログデータの送信はその後も約10sec程度ごとに繰り返される(S10,S23,S26)。
【0046】
ビーコン検知ログ収集部10は、受信した位置ビーコン信号の受信ログデータを収集し(S08)、その後も約10secごとに受信ログデータを収集、更新していく(S11)。ユーザー情報表示部11から受信ログデータの送信リクエストがあると(S12)、ビーコン検知ログ収集部10は蓄積した受信ログデータをユーザー情報表示部11に返す(S13)。ユーザー情報表示部11では、返されてきた受信ログデータを蓄積する(S14)。ユーザー情報表示部11からの受信ログデータの送信リクエストは、その後も約60sec間隔で繰り返し送出され(S28、S34)、その都度ビーコン検知ログ収集部10は蓄積した受信ログデータをユーザー情報表示部11に返す(S29、S35)。そして、携帯端末・PC等12よりブラウザーなどを介してユーザー情報表示部11にアクセスすると(S10)、携帯端末・PPC等12にてその時点での携帯端末5の滞在状況を確認できるようになる。
【0047】
次に、第2のビーコンデバイス3より例えば60secの発信間隔にて第2のビーコン信号が発信され(S16)、携帯端末5がこれを受信する。携帯端末5のOS5aのリージョン監視機能はこのビーコン信号の受信により、強制的に位置ビーコン信号のビーコン領域から退出したものと認識し、エリアアウトイベントを発生させるとともに、第2のビーコン信号のビーコン領域4と重複するビーコン領域に進入したと認識し、エリアインイベントを発生させ(S17)、第2のビーコン信号の受信情報(UUID,Major,Mionor,RSSI等)をアプリ5bに対して通知する(S18)。第2のビーコン信号は発信間隔が第1のビーコン信号よりも相対的に長いため(例えば60sec)、アプリ5bにてこの受信情報を削除する(S19)。設定を変更することで、このアプリでの削除処理を行うことなく、ビーコン検知ログ収集部10に送信し、そこで削除するようにしてもよい。
【0048】
第1のビーコンデバイスから約852msecごと継続して発信される位置ビーコン信号を再度携帯端末5が受信すると、今度はOS5aのリージョン監視機能が第2のビーコン信号のビーコン領域から退出したと認識し、エリアアウトイベントを発生させるとともに、位置ビーコン信号のビーコン領域4に進入したと認識し、エリアインイベントを発生させ、これを契機としてアプリ5bに対し位置ビーコン信号の受信情報を約1secごと通知する(S21)。位置ビーコン信号受信から約10sec程度経過後に、OS5aのリージョン監視機能は停止する(S21)。
【0049】
携帯端末5のアプリ5bでは、約1secごと通知される受信情報を約10sec間蓄積し(S22)、その蓄積された位置ビーコン信号の受信ログデータを携帯端末5の識別情報とともにビーコン検知ログ収集部10に送信する(S23)。その後も、前記の通り、アプリ5bは約10sec間位置ビーコン信号の受信情報を蓄積し(S25)、受信ログデータをビーコン検知ログ収集部10に送信する(S26)。
【0050】
ビーコン検知ログ収集部10は、再度受信した位置ビーコン信号の受信ログデータを収集し(S24)、その後も約10secごとに受信ログデータを収集、更新していく(S27)。続いて、ユーザー情報表示部11から受信ログデータの送信リクエストがあると(S28)、ビーコン検知ログ収集部10は蓄積した受信ログデータをユーザー情報表示部11に返す(S29)。ユーザー情報表示部11では、返されてきた受信ログデータを蓄積する(S30)。ユーザー情報表示部11からの受信ログデータの送信リクエストは、その後も約60sec間隔で繰り返し送出され(S34)、その都度ビーコン検知ログ収集部10は蓄積した受信ログデータをユーザー情報表示部11に返す(S35)。そして、携帯端末・PC等12よりブラウザーなどを介してユーザー情報表示部11にアクセスすると(S10)、再度携帯端末・PPC等12にてその時点での携帯端末5の滞在状況を確認できるようになる。
【0051】
さらに、第2のビーコンデバイス3より例えば60secの発信間隔にて第2のビーコン信号が発信されると(S31)、携帯端末5がこれを受信する。携帯端末5のOS5aのリージョン監視機能はこのビーコン信号の受信により、強制的に位置ビーコン信号のビーコン領域から退出したものと認識し、エリアアウトイベントを発生させるとともに、第2のビーコン信号のビーコン領域4と重複するビーコン領域に進入したと認識し、エリアインイベントを発生させ(S17)、第2のビーコン信号の受信情報(UUID,Major,Mionor,RSSI等)をアプリ5bに対して通知する(S18)。この通知は、前記のようにアプリ5b又はビーコン検知ログ収集部10にて削除処理できる。
【0052】
以上のプロセスが繰り返され、携帯端末5のアプリ5bは、第2のビーコン信号受信により強制的に携帯端末5におけるOS5aのリージョン監視機能に強制的にそれまでのビーコン領域4からのエリアアウトを認識させた後に、再度位置ビーコン信号のビーコン領域4へのエリアインを認識させることで、ビーコン検知ログ収集部10に位置ビーコン信号の受信ログデータが収集され、ユーザー情報表示部11からのリクエストにより同部11に携帯端末5の滞在状況が更新されながら蓄積される。そして、携帯端末・PC等12がブラウザーを通じてユーザー情報表示部11にアクセスすることで、携帯端末5のビーコン領域4内での更新された滞在状況を確認することができる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の携帯端末のリージョン監視制御方法を用いることで、外部から発信される2種類のビーコン信号を用いることで携帯端末のリージョン監視機能を制御できる。そして、この携帯端末のリージョン監視制御方法を活用した本実施形態の滞在状況監視システム及び滞在状況監視方法により、屋内外の環境下におけるビーコン領域内での携帯端末の滞在状況を監視することができる。さらに、本実施形態の滞在状況監視システム及び滞在状況監視方法は、ビーコン領域内に複数の携帯端末が滞在している場合であっても、それぞれの携帯端末の滞在状況を監視できるものである。
【0054】
なお、以上では、本実施形態の滞在状況監視システム及び滞在状況監視方法を用いてビーコン領域内での携帯端末の滞在状況の監視について主に説明したが、例えば位置ビーコン信号のデータフォーマットにRSSI値や近接度の情報を含めることで、常法を用いて携帯端末の位置検出や特定も可能となる。そして、ビーコン領域内で携帯端末が移動しない場合であっても、その位置について更新、反映された位置を特定できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1 本実施形態の滞在状況監視システム
2 第1のビーコンデバイス
3 第2のビーコンデバイス
4 位置ビーコン信号(第2のビーコン信号)のビーコン領域
5、6 携帯端末
10 ビーコン検知ログ収集部
11 ユーザー情報表示部