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特許7127171自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220822BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220822BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G05D1/02 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021035288
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2021179970
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】202010406966.0
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514322098
【氏名又は名称】ベイジン バイドゥ ネットコム サイエンス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus, No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ファン
(72)【発明者】
【氏名】マオ,ジミン
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-064088(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167457(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0389474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-60/00
G05D 1/02
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法であって、
3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得するステップであって、前記障害物情報は、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含むステップと、
認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、前記認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定するステップであって、前記ガウス分布情報は、ガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含むステップと、
前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、前記初期移動軌跡シーケンスを調整するステップであって、前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、前記初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差は前記ガウス分布に従うステップと、
前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを前記3次元シーンマップに追加するステップと、を含み、
テスト対象の自律走行車モデルの車速に基づいて、前記自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定するステップと、
前記模擬障害物のタイプに基づいて、前記有効意思決定領域内での前記模擬障害物の滞在時間情報を決定するステップと、
前記模擬障害物の滞在時間情報を前記3次元シーンマップに追加するステップと、をさらに含む、
自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法。
【請求項2】
前記障害物情報は、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭をさらに含み、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭は同じであり、前記方法は、
前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を得るように、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭情報を調整するステップであって、前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭と、前記模擬障害物の初期移動推定内の対応する位置点での初期輪郭との間の輪郭偏差は前記ガウス分布に従うステップと、
前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を前記3次元シーンマップに追加するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障害物情報は、模擬障害物のタイプ及び初期位置点をさらに含み、3次元シーンマップへの追加対象である模擬障害物情報を取得する前に、前記方法は、
前記3次元シーンマップでの指定の位置範囲を取得するステップと、
予め設定された障害物分布モデルを利用して、前記位置範囲内に分布している前記模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定するステップと、
前記模擬障害物のタイプ及び初期位置点を前記3次元シーンマップに追加するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記模擬障害物の挙動モデルを取得するステップであって、前記挙動モデルは実際の運転シーンデータにおいて前記模擬障害物に対応する実際の障害物に遭遇した車両による挙動データを分析することにより作成されるものであるステップと、
前記初期位置点及び前記挙動モデルに基づいて、前記模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを決定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置であって、
3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得するための第1取得モジュールであって、前記障害物情報は、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含む第1取得モジュールと、
認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、前記認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定するための第1決定モジュールであって、前記ガウス分布情報は、ガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む第1決定モジュールと、
前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、前記初期移動軌跡シーケンスを調整することに用いられる第1調整モジュールであって、前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、前記初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差は前記ガウス分布に従う第1調整モジュールと、
前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを前記3次元シーンマップに追加するための追加モジュールと、を含み、
テスト対象の自律走行車モデルの車速に基づいて、前記自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定するための第2決定モジュールと、
前記模擬障害物のタイプに基づいて、前記有効意思決定領域内での前記模擬障害物の滞在時間情報を決定するための第3決定モジュールと、をさらに含み、
前記追加モジュールは、さらに、前記模擬障害物の滞在時間情報を前記3次元シーンマップに追加することに用いられる
自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置。
【請求項6】
前記障害物情報は、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭をさらに含み、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭は同じであり、
前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を得るように、前記初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での前記模擬障害物の初期輪郭情報を調整することに用いられる第2調整モジュールであって、前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭と、前記模擬障害物の初期移動推定内の対応する位置点での初期輪郭との間の輪郭偏差は前記ガウス分布に従う第2調整モジュールをさらに含み、
前記追加モジュールは、さらに、前記模擬障害物の前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を前記3次元シーンマップに追加することに用いられる、
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記障害物情報は、模擬障害物のタイプ及び初期位置点をさらに含み、
前記3次元シーンマップでの指定の位置範囲を取得するための第2取得モジュールと、
予め設定された障害物分布モデルを利用して、前記位置範囲内に分布している前記模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定するための第4決定モジュールと、をさらに含み、
前記追加モジュールは、さらに、前記模擬障害物のタイプ及び初期位置点を前記3次元シーンマップに追加することに用いられる、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記模擬障害物の挙動モデルを取得することに用いられる第3取得モジュールであって、前記挙動モデルは実際の運転シーンデータにおいて前記模擬障害物に対応する実際の障害物に遭遇した車両による挙動データを分析することにより作成されるものである第3取得モジュールと、
前記初期位置点及び前記挙動モデルに基づいて、前記模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを決定するための第5決定モジュールと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリとを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項1~のいずれかに記載の方法を実行させる、
電子機器。
【請求項10】
コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体であって、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに請求項1~のいずれかに記載の方法を実行させる、
非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータ上に実行される場合、前記コンピュータに請求項1~のいずれかに記載の方法を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コンピュータ技術分野に関し、具体的には、自律走行技術分野に関し、特に自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法、装置、電子機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転自動車(即ち、自律走行車)は、複雑なシステムであり、安全で、信頼性のある実用化のためには大量のテストが必要とし、実際の環境での実車テストにより、より良い検証結果が得られるが、実車テストは、コストが非常に高く、リスクも高い。従って、シミュレーション環境で、自律走行車の機能及び安定性のテストを行うことは非常に重要になっている。
【0003】
自律走行車に対するシミュレーションテストを行うプロセスにおいて、まず、自律走行シミュレーション環境を構築する必要があり、如何に自律走行シミュレーション環境における障害物情報を構築するかは、後続の自律走行車に対するシミュレーションテストを正確に行うことに極めて重要である。現在、関連技術において、一般的には、手動で自律走行シミュレーションシーンにおける障害物を構築するが、このような方法で構築された自律走行シミュレーションシーンは、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンの状況をリアルに反映することができず、例えば、実環境認知結果によって得られた障害物の位置の一定のランダム性を反映することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法、装置、電子機器及び記憶媒体を提供し、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1態様の実施例に係る自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得するステップであって、前記障害物情報は、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含むステップと、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、前記認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定するステップであって、前記ガウス分布情報は、ガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含むステップと、前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、前記初期移動軌跡シーケンスを調整するステップであって、前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、前記初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差は前記ガウス分布に従うステップと、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを前記3次元シーンマップに追加するステップと、を含む。
【0006】
本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、3次元シーンマップ内の障害物情報に対して、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、模擬障害物の初期軌跡シーケンス内の各位置点を調整することにより、調整後の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従うようになり、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。これにより、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0007】
本願の第2態様の実施例に係る自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置は、3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得するための第1取得モジュールであって、前記障害物情報は、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含む第1取得モジュールと、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、予め設定された予め設定された前記認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定するための第1決定モジュールであって、前記ガウス分布情報は、ガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む第1決定モジュールと、前記ガウス分布に基づいて、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、前記初期移動軌跡シーケンスを調整することに用いられる第1調整モジュールであって、前記目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、前記初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差は前記ガウス分布に従う第1調整モジュールと、前記模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを前記3次元シーンマップに追加するための追加モジュールと、を含む。
【0008】
本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置は、3次元シーンマップ内の障害物情報に対して、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、模擬障害物の初期軌跡シーケンス内の各位置点を調整することにより、調整後の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従うようになり、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。これにより、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0009】
本願の第3態様の実施例に係る電子機器は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続するメモリとを含み、前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行される場合、前記少なくとも1つのプロセッサが本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法を実行できる。
【0010】
本願の第4態様の実施例では、コンピュータ命令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体を提供し、前記コンピュータ命令は、前記コンピュータに本願の実施例に開示された自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法を実行させる。
【0011】
本願の第5態様の実施例では、コンピュータプログラムを提供し、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに本願の実施例に開示された自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本願の上記の一実施例は、次のような利点又は有益な効果を有する。実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。3次元シーンマップ内の障害物情報を構築する際に、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、障害物の初期軌跡シーケンスの各位置点を調整することにより、調整後の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従うようになり、障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する技術的解決手段により、関連技術で構築された自律走行シミュレーションシーンが、自律走行車が運転中に遭遇する障害物シーンをリアルに反映することができない技術的問題を解消する。これにより、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にするという技術的効果を達成した。
【0013】
以下、具体的な実施例を参照しながら、上記の選択可能な方法が有している他の効果について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付図面は、本解決手段をより良く理解するためのものであり、本願を限定するものではない。
図1】本願の第1実施例の模式図である。
図2】本願の第2実施例の模式図である。
図3】本願の第3実施例の模式図である。
図4】本願の第4実施例の模式図である。
図5】本願の第5実施例の模式図である。
図6】本願の第6実施例の模式図である。
図7】本願の実施例を実施するための電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本願の例示的な実施例について説明し、ここで、理解を容易にするために、本願の実施例の様々な詳細が含まれているが、それらをただの例示的なものと見なすべきである。従って、当業者は、本願の範囲及び精神から逸脱せず、本明細書に説明した実施例に対して様々な変更及び修正を行うことができることを理解すべきである。同様に、明確かつ簡潔にするために、以下の説明では公知の機能及び構造に対する説明を省略した。
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法、装置、電子機器及び記憶媒体について説明する。
【0017】
図1は、本願の第1実施例の模式図である。ここで、本実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法の実行主体は、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置であり、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置は、ソフトウェア及び/またはハードウェアの方式で実現されてもよく、当該自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置は、自律走行シミュレーションシステム(説明の便宜上、以下ではシミュレーションシステムと略称する)に配置されてもよい。ここで、本実施例における自律走行シミュレーションシステムは、電子機器に配置されてもよく、電子機器は端末機器又はサーバであってもよく、端末機器は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどの機器であってもよいが、これらに限定されず、当該実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0018】
図1に示すように、当該自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、ステップ101~ステップ104を含む。
【0019】
ステップ101、3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得し、障害物情報は模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含む。
【0020】
ここで、本実施例の模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスは、ユーザがシミュレーションシステムの中で指定したものであってもよいし、シミュレーションシステムが予め設定された規則に従って生成したものであってもよく、当該実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0021】
本実施例の模擬障害物は、動的模擬障害物である。
【0022】
ステップ102、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、ただし、ガウス分布情報はガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む。
【0023】
なお、実際の自動運転車両システムにおいて、自律走行車がセンサで周りの環境を認知し、認知アルゴリズムによりセンサで認知した生データを処理して、認知結果を得ることが理解できる。実際の自動運転車両システムにおいて、通常、得られた認知結果は安定しておらず、具体的には障害物の位置がフレーム毎に完全に同一ではないと表現され、つまり、障害物の位置はランダムに揺れ、このような不安定性は障害物回避の意思決定、標準アルゴリズムの意思決定の結果に対して大きな影響を与える。従って、シミュレーションシーンにおいて、障害物認知結果の不安定性を具現化できれば、自律走行車の機能及び性能テストを正確に行うことに対して非常に重要である。しかしながら、関連技術において、自律走行シミュレーションシーンの構築中に、障害物認知結果の不安定性が具現化されていない。
【0024】
ここで、自律走行車のセンサは、レーザレーダ、ミリ波レーダ、カメラ、超音波等のセンサを含み得るが、これらに限定されない。
【0025】
本願の一実施例において、自律走行車両シーンにおける障害物認知結果の不安定性を正確にするために、本実施例では、実際の運転シーンにおいて、複数の参照障害物を設定し、対応する認知アルゴリズムを用いた自律走行車を制御して参照障害物の位置情報を認知する。相応に、シミュレーションシステムは、参照障害物の実際の位置情報と、対応する認知アルゴリズムを用いた自律走行車から提供された参照障害物の認知位置情報とに基づいて分析を行い、分析結果に基づいて、実際の位置情報と認知位置情報との間の位置偏差はガウス分布に従うことが得られる。
【0026】
ここで、異なる認知アルゴリズムに対応する位置偏差はいずれもガウス分布に従うが、異なる認知アルゴリズムに対応するガウス分布パラメータは異なり、即ち、異なる認知アルゴリズムに対応するガウス分布の期待値及び分散には差異がある。
【0027】
本実施例において、シミュレーションシステムから対応する認知アルゴリズムに対応するガウス分布情報を迅速に得るために、さらに、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物情報を迅速に構築するために、シミュレーションシステムに認知アルゴリズムと、ガウス分布情報との対応関係を予め確立しておいてもよい。
【0028】
具体的には、テスト対象の認知アルゴリズムを取得した後、予め設定された認知アルゴリズムとガウス分布情報との間の対応関係に基づいて、当該認知アルゴリズムに対応するガウス分布情報を取得することができる。
【0029】
ステップ103、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、初期移動軌跡シーケンスを調整し、ただし、目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従う。
【0030】
自律走行シミュレーションシーンに、自律走行車が実際のシーンにおいて障害物を認知した結果の不安定性を具現化して、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するために、本実施例では、模擬障害物の初期軌跡シーケンスを取得した後、ガウス分布と結合して、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、初期移動軌跡シーケンスを調整する。
【0031】
ステップ104、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。
【0032】
本実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、3次元シーンマップ内の障害物情報に対して、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、模擬障害物の初期軌跡シーケンス内の各位置点を調整することにより、調整後の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従うようになり、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。これにより、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0033】
実際の自動運転車両システムにおいて、通常、得られた認知結果において、障害物の位置に揺れが発生するだけでなく、障害物の輪郭にも揺れが発生するが、関連技術で構築された自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の輪郭は一般的に一定であり、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するために、本実施例では、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の輪郭の揺れを模擬する。以下、図2を参照しながら説明する。
【0034】
図2は、本願による第2実施例の模式図である。当該実施例は、上記実施例をさらに具体化し、拡張したものである。
【0035】
本願の一実施例において、障害物情報には、さらに、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭が含まれている。
【0036】
図2に示すように、当該自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、ステップ201~ステップ203を含む。
【0037】
ステップ201、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を得るように、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭情報を調整する。
【0038】
ここで、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭と、模擬障害物の初期移動推定内の対応する位置点での初期輪郭との間の輪郭偏差はガウス分布に従う。
【0039】
ステップ202、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を3次元シーンマップに追加する。
【0040】
本実施例では、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、模擬障害物的輪郭を調整することにより、3次元シーンマップにおける模擬障害物の輪郭が、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するようになり、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報と結合して自律走行車のシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0041】
上記の実施例に加え、本願の一実施例では、実際の運転シーンにおいて、通常、動的障害物は常に車両の有効意思決定領域内に滞在しているのではなく、一定時間滞在した後、車両の有効意思決定領域から離れる。ここで、車両の有効意思決定領域とは、車両の走行計画に影響を与える領域であり、当該領域に障害物がある場合、車両は、障害物に基づいて車両の走行を調整する。これは、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するためである。図3に示すように、当該方法は、さらに、ステップ301~ステップ303を含む。
【0042】
ステップ301、テスト対象の自律走行車モデルの車速に基づいて、自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定する。
【0043】
具体的には、当該3次元シーンマップにおいて、シミュレーションテストを行う自律走行車モデルの車速を分かることができ、自律走行車モデルの走行方向に従って、自律走行車モデルに影響を与える可能性のある位置範囲を自律走行車モデルの走行方向に形成し、自律走行車モデルの両側から自律走行車モデルに影響を与える位置範囲を決定することにより、上記の取得された位置範囲に基づいて、自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定する。
【0044】
ステップ302、模擬障害物のタイプに基づいて、有効意思決定領域内での模擬障害物の滞在時間情報を決定する。
【0045】
ここで、模擬障害物のタイプは、歩行者、自動車を含み得る。
【0046】
本実施例において、リアル運転データに基づいて、異なるタイプの障害物の「メイン車両の有効意思決定領域」内での滞在時間の統計結果を決定し、異なるタイプの障害物の滞在時間を分析することにより、異なるタイプの障害物の滞在時間が指数分布モデルに従っていることが決定でき、異なるタイプの障害物は、それに対応する指数分布モデルのモデルパラメータが異なる。
【0047】
例えば、歩行者が動的障害物である場合を例とすると、歩行者自身の性格の差異に基づいて、保守型歩行者と急進型歩行者に分けられる。保守型歩行者は、通常、交通ルールを厳守し、道路両側を歩き、且つ、対向車を積極的に回避し、意図的にメイン車両に挑発することがない。急進型歩行者は、通常、交通ルールを守らず、比較的自由に車線を歩き、且つ、メイン車両が来る場合、必ずしもすぐ回避するのではなく、さらには自律走行車に対する好奇心で、集まって見たり、自律走行車を挑発したりする挙動があり得るため、保守型歩行者及び急進型歩行者が車両の有効意思決定領域内に滞在する時間が異なる。
【0048】
具体的には、模擬障害物のタイプを取得した後、当該タイプの模擬障害物に対応する指数分布モデルを取得することができ、指数分布モデルに基づいて、有効意思決定領域内での当該タイプの模擬障害物の滞在時間情報を決定する。
【0049】
例を挙げると、本実施例の模擬障害物は複数の同じタイプの模擬障害物であると仮定すると、対応する指数分布モデルを基に、有効意思決定領域内での各模擬障害物の滞在時間を決定することができ、複数の模擬障害物の滞在時間は対応する指数分布モデルに従う。
【0050】
ステップ303、模擬障害物の滞在時間情報を3次元シーンマップに追加する。
【0051】
本実施例において、自律走行車モデルの車速と結合して、自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定し、模擬障害物のタイプに基づいて、有効意思決定領域内での模擬障害物の滞在時間情報を決定し、有効意思決定領域内での模擬障害物の滞在時間情報を3次元シーンマップに追加する。これにより、3次元シーンマップにおける模擬障害物は、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映し、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報と結合して自律走行車のシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0052】
関連技術において、シミュレーションシステムに自律走行車のシミュレーションシーンを構築する過程において、通常、3次元シーンマップでの指定の位置範囲内に分布されている障害物及び初期位置点を手動で設定するが、このような方法で設定した障害物の分布状況は、実際の運転シーンの当該指定の位置範囲内の障害物の分布状況と異なる可能性があり、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するため、図4に示すように、上記のいずれの実施例を基に、当該方法は、ステップ401~ステップ406を含む。
【0053】
ステップ401、3次元シーンマップでの指定の位置範囲を取得する。
【0054】
ステップ402、予め設定された障害物分布モデルを利用して、位置範囲内に分布している模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定する。
【0055】
具体的には、ユーザがシミュレーションシステムに自律走行シミュレーションシーンを作成するとき、ユーザは、3次元シーンマップにおいて、1つの位置範囲内に自律走行シミュレーションシーンを確立するように指定することができる。
【0056】
ここで、障害物情報は、模擬障害物のタイプ及び初期位置点をさらに含み得る。
【0057】
相応に、シミュレーションシステムは、ユーザが指定した位置範囲及び予め作成した障害物分布モデルに基づいて、位置範囲内に分布している模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定する。
【0058】
ここで、本実施例における予め設定された障害物分布モデルは、実際の運転シーンデータにより、障害物情報を抽出し、マークして得られた障害物位置、タイプのデータに基づいて作成した障害物分布モデルであり、当該障害物分布モデルは、位置及び障害物分布の特性を学習で取得し、つまり、当該障害物分布モデルは、位置-障害物確率分布の特性を表現することができる。
【0059】
ステップ403、3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得し、障害物情報は模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含む。
【0060】
ステップ404、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、ガウス分布情報はガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む。
【0061】
ステップ405、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、初期移動軌跡シーケンスを調整する。
【0062】
ここで、目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従う。
【0063】
ステップ406、模擬障害物のタイプ、初期位置点及び目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。
【0064】
本実施例では、予め設定された障害物分布モデルと結合して、3次元シーンマップの指定の位置範囲内に分布している障害物のタイプ及び障害物の初期位置点を自動的に決定するにより、3次元シーンマップにおいて、指定の位置範囲内に分布している障害物の状況が、実際の運転シーンでの障害物の分布状況にもっと接近する。これにより、3次元シーンマップにおける障害物シーンが、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するようになる。
【0065】
実際の運転シーンに存在する動的障害物が車両に遭遇した後、自己認知、自己意思決定を基に、自分の挙動を調整するか、または車の所有者と対話して挙動を調整することを理解されたい。しかしながら、関連技術において、自律走行シミュレーションシーンを構築する際に、障害物に対する能動的な意思決定を構築していないため、構築した自律走行シーンと実際のシーンとの間には依然として相違がある。自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映するシーンを構築するために、以下、図5を参照しながら、本実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法についてさらに説明する。
【0066】
図5に示すように、当該自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法は、ステップ501~ステップ509を含む。
【0067】
ステップ501、3次元シーンマップでの指定の位置範囲を取得する。
【0068】
ステップ502、予め設定された障害物分布モデルを利用して、位置範囲内に分布している模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定する。
【0069】
ステップ503、模擬障害物の挙動モデルを取得する。
【0070】
具体的には、模擬障害物のタイプに基づいて、模擬障害物の挙動モデルを取得することができる。
【0071】
ここで、挙動モデルは、実際の運転シーンデータのうち、模擬障害物に対応する実際の障害物に遭遇した車両による挙動データを分析することにより作成されるものである。
【0072】
ステップ504、初期位置点及び挙動モデルに基づいて、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを決定する。
【0073】
具体的には、模擬障害物の初期位置点を取得した後、模擬障害物のタイプ及び初期位置点を基に、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを生成することができる。
【0074】
本実施例において、模擬障害物の挙動モデルと結合して、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを生成することにより、生成された模擬障害物の移動軌跡シーケンスが、障害物の実際の運転シーンにおける移動状況をよりリアルに反映できるようになる。
【0075】
ステップ505、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭を取得する。
【0076】
ここで、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭はいずれも同じである。
【0077】
ステップ506、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、ガウス分布情報はガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む。
【0078】
ステップ507、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、初期移動軌跡シーケンスを調整する。
【0079】
ここで、目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従う。
【0080】
ステップ508、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を得るように、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭情報を調整する。
【0081】
ここで、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭と、模擬障害物の初期移動推定内の対応する位置点での初期輪郭との間の輪郭偏差はガウス分布に従う。
【0082】
なお、上記のステップ507とステップ508の実行順番が限定されていない。
【0083】
ステップ509、模擬障害物のタイプ、初期位置点、目標移動軌跡シーケンス及び模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を3次元シーンマップに追加する。
【0084】
具体的には、模擬障害物のタイプ、目標移動軌跡シーケンス及び模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を3次元シーンマップに追加した後、その後にテストを行う際に、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス、挙動モデル及び模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭に基づいて、3次元シーンマップにおける模擬障害物を制御することができる。
【0085】
本実施例において、シーンを構築する過程において、模擬障害物が出現するタイプ-初期位置、位置揺れ、及び「有効意思決定領域」内での障害物の滞在時間を決定し、障害物の上記情報と結合してシーンにおける障害物を構築し、それにより、構築された自律走行シミュレーションシーンにおける障害物が、自律走行車が実際の運転中に遭遇する障害物シーンをよりリアルに反映できるようになる。
【0086】
上記の実施例を実現するために、本願の実施例は、自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置をさらに提供する。
【0087】
図6は、本願による第6実施例の模式図である。図6に示すように、当該自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置100は、第1取得モジュール110、第1決定モジュール120、第1調整モジュール130及び追加モジュール140を含む。
【0088】
第1取得モジュール110は、3次元シーンマップへの追加対象である障害物情報を取得することに用いられ、障害物情報は模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを含む。
【0089】
第1決定モジュール120は、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能に基づいて、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定することに用いられ、ガウス分布情報はガウス分布の予め設定された期待値及び予め設定された分散値を含む。
【0090】
第1調整モジュール130は、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを得るように、初期移動軌跡シーケンスを調整することに用いられ、目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従う。
【0091】
追加モジュール140は、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加することに用いられる。
【0092】
上記の実施例に加え、自律走行車両が実際の運転中に障害物に遭遇するシーンをよりリアルに反映するために、本願の一実施例において、障害物情報は、さらに、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭を含み、上記の実施例に加え、当該装置は、さらに、ガウス分布に基づいて、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を得るように、模擬障害物の初期移動軌跡シーケンス内の各位置点での初期輪郭情報を調整することに用いられる第2調整モジュールであって、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭と、模擬障害物の初期移動推定内の対応する位置点での初期輪郭との間の輪郭偏差はガウス分布に従う第2調整モジュール(図示なし)を含む。
【0093】
追加モジュール140は、さらに、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点での目標輪郭を3次元シーンマップに追加することに用いられる。
【0094】
本願の一実施例において、自律走行車両が実際の運転中に障害物に遭遇するシーンをよりリアルに反映するために、当該装置は、さらに、テスト対象の自律走行車モデルの車速に基づいて、自律走行車モデルの有効意思決定領域を決定するための第2決定モジュール(図示なし)と、模擬障害物のタイプに基づいて、有効意思決定領域内での模擬障害物の滞在時間情報を決定するための第3決定モジュール(図示なし)と、を含む。
【0095】
追加モジュール140は、さらに、模擬障害物の滞在時間情報を3次元シーンマップに追加することに用いられる。
【0096】
上記の実施例に加え、障害物情報は、模擬障害物のタイプ及び初期位置点をさらに含み、当該装置は、さらに、3次元シーンマップでの指定の位置範囲を取得するための第2取得モジュール(図示なし)と、予め設定された障害物分布モデルを利用して、位置範囲内に分布している模擬障害物のタイプ及び初期位置点を決定するための第4決定モジュール(図示なし)と、を含む。
【0097】
追加モジュール140は、さらに、模擬障害物のタイプ及び初期位置点を3次元シーンマップに追加するために用いられる。
【0098】
上記の実施例に加え、歩行者及び自動車などの障害物に遭遇した車両の自己認知、自主意思決定、移動計画能力をよりリアルに反映するために、本願の一実施例では、装置は、さらに、模擬障害物の挙動モデルを取得することに用いられ第3取得モジュールであって、挙動モデルは、実際の運転シーンデータのうち、模擬障害物に対応する実際の障害物に遭遇した車両がとった挙動データを分析することにより作成されたものである第3取得モジュール(図示なし)と、初期位置点及び前記挙動モデルに基づいて、前記模擬障害物の初期移動軌跡シーケンスを決定するための第5決定モジュール(図示なし)と、を含む。
【0099】
なお、前述の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置に対する解釈と説明は、本実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法にも適用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0100】
本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物模擬装置は、3次元シーンマップ内の障害物情報に対して、認知アルゴリズムテスト対象の実際の認知性能と結合して、認知アルゴリズムによって検出された障害物位置のガウス分布情報を決定し、模擬障害物の初期軌跡シーケンス内の各位置点を調整することにより、調整後の目標移動軌跡シーケンス内の各位置点と、初期移動軌跡シーケンス内の対応する位置点との間の位置偏差はガウス分布に従うようになり、模擬障害物の目標移動軌跡シーケンスを3次元シーンマップに追加する。これにより、実際の運転シーンにおける認知アルゴリズムの性能と結合して、3次元シーンマップで客観的なシーンを反映することができる障害物情報を正確に構築して、後続の3次元シーンマップ内の障害物情報を基に、自律走行車に対してシミュレーションテストを行うことを容易にする。
【0101】
本願の実施例によれば、本願は、電子機器及び読み取り記憶媒体をさらに提供する。
【0102】
図7に示すように、本願の実施例による電子機器のブロック図である。電子機器は、例えばラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、大型コンピュータ、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形式のデジタルコンピュータを表すことを意図している。電子機器は、さらに、例えばパーソナルデジタル処理、携帯電話、スマートフォン、ウエアラブル装置及び他の類似する計算装置などの様々な形式の携帯装置を表し得る。本明細書に示す部材、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、単なる例示であり、本明細書に説明及び/または主張する本願の実施を制限することを意図していない。
【0103】
図7に示すように、当該電子機器は、1つ又は複数のプロセッサ701と、メモリ702と、高速インターフェース及び低速インターフェースを含む、各部材を接続するインターフェースとを含む。各部材は、異なるバスを利用して互いに接続し、共通のマザーボードに取り付けられてもよく、必要に応じて他の方法で取り付けられてもよい。プロセッサは、メモリ内又はメモリ上に記憶されて外部入出力装置(例えば、インターフェースに結合された表示装置)にGUIのグラフィック情報を示すための命令を含む、電子機器内で実行される命令を処理することができる。他の実施形態において、必要があれば、複数のプロセッサ及び/または複数本のバスと複数のメモリとを一緒に使用してもよい。同様に、複数の電子機器を接続してもよく、各装置は一部の必要な操作(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバ群、又はマルチプロセッサシステムとして)を提供する。図7では、1つのプロセッサ701を例に挙げている。
【0104】
メモリ702は、本願に係る非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体である。ここで、前記メモリには、本願に係る自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させるための、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令が記憶されている。本願の非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体には、本願に係る自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されている。
【0105】
メモリ702は、非一時的なコンピュータ読み取り記憶媒体として、例えば本願の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法に対応するプログラム命令/モジュールなど、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能プログラム及びモジュールを記憶するために用いることが可能である。プロセッサ701は、メモリ702に記憶されている非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することにより、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち、上記方法の実施例の自律走行シミュレーションシーンにおける障害物の模擬方法を実行する。
【0106】
メモリ702は、オペレーティングシステム及び少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することが可能なプログラム記憶領域と、電子機器の使用に応じて作成されたデータなどを記憶することが可能なデータ記憶領域とを含んでもよい。また、メモリ702は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、非一時的なメモリを含んでもよく、例えば少なくとも1つの磁気ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的なソリッドステートメモリデバイスがある。一部の実施例において、メモリ702は、プロセッサ701に対して遠隔に設置されたメモリを含むものを選択してもよく、これらの遠隔メモリはネットワークを介して電子機器に接続できる。上記ネットワークは、実例としてインターネット、企業のイントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動体通信ネットワーク、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0107】
電子機器は、入力装置703及び出力装置704をさらに含む。プロセッサ701、メモリ702、入力装置703及び出力装置704は、バス又は他の方法を介して接続してもよく、図7では、バスによる接続を例に挙げている。
【0108】
入力装置703は、入力された数字や文字情報を受信でき、且つ電子機器のユーザ設定及び機能制御に関するキー信号の入力が発生し、例えば、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパネル、ポインティングスティック、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティック等の入力装置がある。出力装置704は、表示装置、補助照明装置(例えば、LED)及び触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含み得る。当該表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ及びプラズマディスプレイを含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態において、表示装置はタッチスクリーンであってもよい。
【0109】
本明細書で説明するシステム及び技法の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって実現されることができる。これらの様々な実施形態は次のような方法を含み得る。少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行及び/または解釈され得る1つ又は複数のコンピュータプログラムで実施され、当該プログラマブルプロセッサは、特定用途向け又は汎用のプログラマブルプロセッサであってもよく、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信するとともに、データ及び命令を当該記憶システム、当該少なくとも1つの入力装置、及び当該少なくとも1つの出力装置に伝送することができる。
【0110】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとも呼ばれる)は、プログラマブルプロセッサの機械語命令を含み、ハイレベルプロセス及び/またはオブジェクト指向のプログラミング言語、及び/またはアセンブリ/機械語を利用してこれらのコンピュータプログラムを実施してもよい。本明細書に使用されているように、用語「機械読み取り媒体」及び「コンピュータ読み取り媒体」とは、機械語命令及び/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するための如何なるコンピュータプログラム製品、機器、及び/または装置(例えば、ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を言い、機械読み取り信号としての機械語命令を受信する機会読み取り媒体を含む。用語「機械読み取り信号」とは、機械語命令及び/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するための如何なる信号を言う。
【0111】
ユーザとの対話を提供するために、コンピュータ上で本明細書に説明したシステム及び技術を実施でき、当該コンピュータは、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニター)と、キーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウスやトラックボールなど)とを有し、ユーザは当該キーボード及び当該ポインティングデバイスを介して入力をコンピュータに提供することができる。他の種類の装置も、ユーザとのインターアクションを提供するために用いることができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、如何なる形式の感覚フィードバック(例えば、ビジョンフィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよく、如何なる形式(音響入力、音声入力又は触覚入力を含む)でユーザからの入力を受信してもよい。
【0112】
本明細書に説明したシステム及び技術を、バックグラウンド部材を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェア部材を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド部材を含むコンピューティングシステム(例えば、グラフィカルユーザーインターフェイス又はWebブラウザーを有するユーザコンピュータ、ユーザは当該グラフィカルユーザーインターフェイス又は当該Webブラウザーを介して本明細書に説明したシステム及び技術の実施形態とインターアクションする)、又はこのようなバックグラウンド部材、ミドルウェア部材、又はフロントエンド部材を含む任意の組み合わせのコンピューティングシステムで実施され得る。システムの部材は、如何なる形式又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)を介して互いに接続できる。通信ネットワークの例として、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)及びインターネットを含む。
【0113】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含み得る。クライアント及びサーバは、一般に、互いに離れていて、且つ通常通信ネットワークを介してインターアクションする。クライアントとサーバとの関係は、対応するコンピュータ上で実行されるとともに互いにクライアント―サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。
【0114】
上記に示した様々な形式のフローを使用して、ステップを並び替え、増加又は削除してもよいを理解すべきである。例えば、本願に開示される技術的解決手段の望ましい結果が実現される限り、本願に記載の各ステップを同時に実行しても、順番に実行しても、異なる順序で実行してもよく、本明細書では制限しない。
【0115】
上記の具体的な実施形態は、本願の保護範囲を限定するものではない。当業者は、設計要件及び他の要因に従って、様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ、及び置換を行うことができることを理解すべきである。本発明の精神及び原理の範囲内で行われるあらゆる修正、同価置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7