(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】交流発電機及びその整流器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
H02M7/12 A
H02M7/12 601A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021071570
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502121096
【氏名又は名称】朋程科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】陳 維忠
(72)【発明者】
【氏名】鍾 尚書
(72)【発明者】
【氏名】陳 宴毅
(72)【発明者】
【氏名】王 惠▲チー▼
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0167000(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0049529(US,A1)
【文献】特開2017-079527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC入力電圧を受け取る第1の端部、整流電圧を生成する第2の端部、及びゲート電圧を受け取る制御端部を含むトランジスタと、
前記トランジスタに結合され、前記入力電圧と前記整流電圧との間の電圧差に応じて前記ゲート電圧を生成するゲート電圧制御回路と、を備え、
前記ゲート電圧制御回路は、前記電圧差が第1の予め設定された閾値電圧未満になる第1の時点を検出し、前記第1の時点の後の第1の時間間隔の間、前記ゲート電圧を供給して前記トランジスタをオンにし、前記電圧差を第1の基準電圧に実質的に等しくなるように設定し、前記ゲート電圧制御回路は、前記第1の時間間隔の後の第2の時間間隔の間、前記ゲート電圧を調整して前記電圧差を実質的に第2の基準電圧に設定し、前記第1の時間間隔は前記入力電圧のサイクルとは無関係である、
整流器。
【請求項2】
請求項1に記載の整流器であって、前記第1の基準電圧は0ボルト未満である整流器。
【請求項3】
請求項1に記載の整流器であって、前記第2の時間間隔の後の第3の時間間隔の間、前記ゲート電圧制御回路は、前記電圧差が前記第2の基準電圧から第2の予め設定された閾値電圧まで上昇する第2の時点を検出し、前記第2の時点の後に前記トランジスタがオフになるように前記ゲート電圧を調整する整流器。
【請求項4】
請求項3に記載の整流器であって、前記ゲート電圧制御回路は、
前記電圧差及び調整電圧を受け取り、前記第2の時間間隔の間、稼働状態にされ、前記電圧差及び前記調整電圧に応じて前記ゲート電圧を生成する演算増幅器と、
接地電圧と出力端子との間に直列に接続され、前記第3の時間間隔の間オンにされる第1のスイッチと、
第3の基準電圧と前記出力端子との間に直列に接続され、前記第1の時間間隔の間オンにされる第2のスイッチと、を備え、
前記調整電圧は前記第2の基準電圧に等しい、
整流器。
【請求項5】
請求項4に記載の整流器であって、
前記電圧差を前記第1の予め設定された閾値電圧及び前記第2の予め設定された閾値電圧と比較し、前記第1の時点及び前記第2の時点を生成する電圧比較器と、
前記第1の時間間隔をカウントするカウンタと、
をさらに備える整流器。
【請求項6】
請求項1に記載の整流器であって、前記第2の時間間隔の後の第3の時間間隔の間、前記ゲート電圧制御回路は、前記電圧差が前記第2の基準電圧か
ら第1のクランプ電圧まで上昇する第2の時点を検出し、前記ゲート電圧制御回路は、前記第2の時点の後の第4の時間間隔の間、前記ゲート電圧を第2のクランプ電圧に等しくなるように設定する整流器。
【請求項7】
請求項6に記載の整流器であって、前記ゲート電圧制御回路は、前記第4の時間間隔の後の第5の時間間隔の間、前記電圧差が前記第2の基準電圧と実質的に等しくなるように前記ゲート電圧を調整する整流器。
【請求項8】
請求項7に記載の整流器であって、前記第5の時間間隔の後の第6の時間間隔の間、前記ゲート電圧制御回路は、前記電圧差が前記第2の基準電圧か
ら第2の予め設定された閾値電圧まで上昇する第3の時点を検出し、前記第3の時点の後の前記ゲート電圧を、前記トランジスタがオフになるように調整する整流器。
【請求項9】
請求項8に記載の整流器であって、前記ゲート電圧制御回路は、
前記電圧差及び調整電圧を受け取り、前記第2の時間間隔及び前記第5の時間間隔の間、稼働状態にされ、前記電圧差及び前記調整電圧に応じて前記ゲート電圧を生成する演算増幅器と、
接地電圧と出力端子との間に直列に接続され、前記第3の時間間隔の間、オンにされる第1のスイッチと、
第3の基準電圧と前記出力端子との間に直列に接続され、前記第1の時間間隔の間、オンにされる第2のスイッチと、
前記第2のクランプ電圧と前記出力端子との間に直列に接続され、前記第4の時間間隔の間、オンにされる第3のスイッチと、を備え、
前記調整電圧は前記第2の基準電圧に等しい、
整流器。
【請求項10】
請求項8に記載の整流器であって、前記ゲート電圧制御回路は、
前記電圧差を、前記第1の予め設定された閾値電圧、前記第1のクランプ電圧、及び前記第2の予め設定された閾値電圧と比較し、前記第1の時点、前記第2の時点、及び前記第3の時点を生成する電圧比較器と、
前記第1の時間間隔及び前記第4の時間間隔をカウントするカウンタと、
をさらに備える整流器。
【請求項11】
回転子と、
前記回転子に結合された固定子と、
請求項1に記載の整流器であって、前記整流器のそれぞれが、前記対応するAC入力電圧を前記入力電圧として受け取り、一緒になって前記整流電圧を生成する複数の整流器と、
を備える交流発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は整流器に関し、詳細には、逆電圧を防止することができる整流器に関する。
【背景技術】
【0002】
AC発電機では、AC入力電圧を整流して、DC電圧と見なすことができる整流電圧を生成するために、整流器がしばしば適合されている。従来、入力電圧を整流するために、ダイオード又はトランジスタがしばしば適合されている。整流電圧の負の半サイクルの間、電圧値が基準電圧(例えば、0ボルト)に等しい状態で維持されるのが理想的である。しかしながら、
図1の波形図に示す従来から知られている整流電圧などの実際の状況では、電圧VPをピーク値とする整流電圧の入力電圧の電圧値は、その負の半波長TNにおいて基準電圧V0よりも小さい。言い換えると、整流電圧の負の半サイクルTNで電力損失を招き、システムの動作効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、整流器は、トランジスタを使用することによって実装されることがあり、整流は、トランジスタを能動的にオン/オフすることによって実行されることがある。しかしながら、トランジスタのオン/オフの時点が適切に設定されていない場合、逆電流が発生し、システムの性能の低下を引き起こす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、逆電流の発生を防止することができる交流発電機及びその整流器を提供する。
【0005】
整流器は、トランジスタと、ゲート電圧制御回路とを含む。トランジスタは、AC入力電圧を受け取る第1の端部と、整流電圧を生成する第2の端部と、ゲート電圧を受け取る制御端部とを有する。ゲート電圧制御回路は、トランジスタに結合され、入力電圧と整流電圧との間の電圧差に応じてゲート電圧を生成する。ゲート電圧制御回路は、電圧差が第1の予め設定された閾値電圧未満になる第1の時点を検出し、第1の時点の後の第1の時間間隔の間、ゲート電圧を供給してトランジスタをオンにし、電圧差を第1の基準電圧に実質的に等しくなるように設定する。ゲート電圧制御回路は、第1の時間間隔の後の第2の時間間隔の間、ゲート電圧を調整して電圧差を実質的に第2の基準電圧に設定する。第1の時間間隔は、入力電圧のサイクルとは無関係である。
【0006】
本開示の交流発電機は、回転子と、固定子と、上述したような複数の整流器とを含む。固定子は回転子に結合されている。整流器のそれぞれは、対応する入力電圧をそれぞれ受け取る。整流器は、一緒になって整流電圧を生成する。
【発明の効果】
【0007】
上記に照らして、本開示のゲート電圧制御回路は、トランジスタの2つの端部間の電圧差が第1の予め設定された閾値電圧未満になるとトランジスタを迅速にオンにし、一定の第1の時間間隔の間、導電状態を維持する。本開示の整流器は、トランジスタの導通機構を調整することによって、整流中に発生する逆電流を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来から知られているような整流電圧の波形である。
【0009】
【
図2】本開示の一実施形態による整流器の概略図である。
【0010】
【
図3】本開示の一実施形態による整流器が動作しているときの波形である。
【0011】
【
図4】本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の実施態様の概略図である。
【0012】
【
図5】本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の回路の別の部分の概略図である。
【0013】
【
図6】本開示の別の実施形態による整流器が動作しているときの波形である。
【0014】
【
図7】本開示の別の実施形態によるゲート電圧制御回路の実施態様の概略図である。
【0015】
【
図8】本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の回路の別の部分の概略図である。
【0016】
【
図9】本開示の一実施形態による整流された電圧差の波形の概略図である。
【0017】
【
図10】本開示の一実施形態による交流発電機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2は、本開示の一実施形態による整流器の概略図である。整流器200は、トランジスタTD1と、ゲート電圧制御回路210とを含む。トランジスタTD1は、入力電圧VSを受け取る第1の端部と、整流電圧VDを生成する第2の端部と、ゲート電圧VGを受け取る制御端部とを有する。本実施形態では、トランジスタTD1の動作はゲート電圧VGを介したダイオードと等価であり、トランジスタTD1の第1の端部はダイオードのカソードと等価であり、トランジスタTD1の第2の端部はダイオードのアノードと等価である。
【0019】
ゲート電圧制御回路210は、トランジスタTD1に結合され、ゲート電圧VGを供給するように適合されている。ゲート電圧制御回路210は、入力電圧VSと整流電圧VDとの間の電圧差VDSを受け取り、電圧差VDSに応じてゲート電圧VGを生成する。ゲート電圧VGをより詳細に説明するために、
図2及び
図3を同時に参照されたい。ここで、
図3は、本開示の一実施形態による整流器が動作しているときの波形を示す。
図3において、電圧差VDSは、電圧VPであるピーク値を有し、かつ、基準電圧V0を有する。電圧差VDSの正の半サイクルは時点t0と時点t1との間にあり、一方、電圧差VDSの負の半サイクルは時点t1と時点t2との間にある。時点t1の後、ゲート電圧制御回路210は、電圧差VDSが第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON未満であるかどうかを検出し、電圧差VDSが第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON未満になる第1の時点TP1を設定する。
【0020】
第1の時点TP1が検出されると、ゲート電圧制御回路210は、第1の時点TP1から始まる第1の時間間隔TZ1の間、ゲート電圧VGを連続的に供給して、トランジスタTD1をオンにすることができる。トランジスタTD1をオンにすることによって、電圧差VDSは、第1の基準電圧VDS_SW2に実質的に等しくなり得る。ここで、第1の基準電圧VDS_SW2は、トランジスタTD1のオン抵抗とトランジスタTD1を流れる電流との積であってもよい。
【0021】
次いで、第1の時間間隔TZ1が終了した後の第2の時間間隔TZ2の間、ゲート電圧制御回路210は、ゲート電圧VGを調整することによって、電圧差VDSを第2の基準電圧VDS_REGに保持する。本実施形態では、第2の基準電圧VDS_REGは、第1の基準電圧VDS_SW2よりも小さくてもよい。本開示の他の実施形態では、第2の基準電圧VDS_REGは、第1の基準電圧VDS_SW2以上であってもよく、本開示はこれに限定されない。
【0022】
ここで、第1の時間間隔TZ1の長さが固定されていることに留意されたい。第1の時間間隔TZ1及び入力電圧VSの周期は、互いに無関係であり、互いに関連していないことをさらに示すことができる。第1の時間間隔TZ1の長さは、設計者によって決定することができる。また、入力電圧VSのサイクルが変化しても、それに応じて第1の時間間隔TZ1は、変化しない。
【0023】
ちなみに、本開示の一部の実施形態では、第1の時間間隔TZ1の長さは0秒であってもよい。
【0024】
第2の時間間隔TZ2の後の第3の時間間隔T3の間、トランジスタTD1を流れる電流がゲート電圧VGの調整に伴って急速に減少するため、電圧差VDSが上昇し始める。次いで、ゲート電圧制御回路210は、電圧差VDSが第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFに達するまで上昇する第2の時点TP2を検出する。第2の時点TP2の後、ゲート電圧制御回路210は、ゲート電圧VGを調整して、トランジスタTD1をオフにする。
【0025】
本実施形態では、第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFは、第1の基準電圧VDS_SW2よりも大きい。さらに、本実施形態における第1の基準電圧VDS_SW2及び第2の基準電圧VDS_REGは共に0ボルト未満であってもよく、これにより負の値での電流保護レベルの効果を達成する。
【0026】
ゲート電圧制御回路210のハードウェアアーキテクチャに関しては、
図4を参照されたい。ここで、本図は、本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の実施態様の概略図である。ゲート電圧制御回路400は、演算増幅器OP1と、スイッチSW1と、スイッチSW2とを含む。演算増幅器OP1は、電圧差VDSと、第2の基準電圧VDS_REGとしての調整電圧とを受け取り、制御信号EN_OPAに応じて出力端子OTでゲート電圧VGを生成する。加えて、演算増幅器OP1は、動作電源として電源VAを受け取り、基準接地電圧として接地電圧VGNDを受け取る。スイッチSW2は、第3の基準電圧VHと出力端子OTとの間に直列に接続されている。スイッチSW2は、制御信号EN_SW2に応じてオン又はオフする。スイッチSW1は、接地電圧VGNDと出力端子OTとの間に直列に接続されている。スイッチSW1は、制御信号EN_SW1に応じてオン又はオフする。演算増幅器OP1の正及び負の入力端子は、第2の基準電圧(すなわち、調整電圧)VDS_REG及び電圧差VDSをそれぞれ受け取る。
【0027】
図3の実施形態のように、ゲート電圧制御回路400は、電圧差VDSが第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON未満になる第1の時点TP1を検出すると、制御信号EN_SW2を生成して、第1の時間間隔TZ1の間、スイッチSW2をオンに保持する。同時に、制御信号EN_SW1に応じてスイッチSW1がオフになり、制御信号EN_OPAに応じて演算増幅器OP1がその動作を停止(無効化)する。ゲート電圧制御回路400の出力端子OTにおけるゲート電圧VGは、オンになったスイッチSW2に応じて第3の基準電圧VHに等しくなり、第3の基準電圧VHの電圧値は、トランジスタTD1がオンになる電圧よりも大きい。このとき、ゲート電圧VGは、トランジスタTD1をオンにし(例えば、完全にオンにし)、電圧差VDSは、第1の基準電圧VDS_SW2に等しくなるように制限される。
【0028】
一定時間維持された第1の時間間隔TZ1の後に、第2の時間間隔TZ2の間、ゲート電圧制御回路400は、生成された制御信号EN_SW1及びEN_SW2によってスイッチSW1及びSW2をそれぞれオフにし、制御信号EN_OPAによって演算増幅器OP1を稼働状態にする(有効化)。このとき、ゲート電圧VGは、演算増幅器OP1によって支配されている。演算増幅器OP1は、電圧差VDSが第2の基準電圧VDS_REGと等しくなり得るように、第2の基準電圧VDS_REGに応じて電圧差VDSを調整する。
【0029】
時間間隔TZ3において、トランジスタTD1を流れる電流が減少し、演算増幅器OP1によって生成されたゲート電圧VGが作用するにつれて、電圧差VDSは、徐々に上昇する。電圧差VDSが第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFまで上昇する第2の時点TP2の後、ゲート電圧制御回路400は、制御信号EN_SW2を介してスイッチSW2をオフにし、制御信号EN_OPAを介して演算増幅器OP1の動作を停止させ、制御信号EN_SW1を介してスイッチSW1をオンにする。このとき、ゲート電圧VGは、オンになったスイッチSW1を介して接地電圧VGNDまで引き下げられる。トランジスタTD1は、接地電圧VGNDのゲート電圧VGに応じてオフする。
【0030】
本実施形態における演算増幅器OP1の回路は、当業者によく知られている差動増幅器を使用することによって実施することができる。また、本実施形態のスイッチSW1及びSW2は、半導体分野でよく知られている電子部品(トランジスタなど)を使用することによって構成することができる。本開示では、これに対する限定は特にない。
【0031】
図3~
図5を同時に参照されたい。
図5は、本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の回路の別の部分の概略図である。ゲート電圧制御回路400は、比較器510及びカウンタ520をさらに含む。比較器510は、電圧差VDS、第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON、及び第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFを受け取る。第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON及び第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFは共に、予め設定された電圧値であってもよい。比較器510は、電圧差VDSを第1の予め設定された閾値電圧VDS_ONと比較して比較結果CM1を生成し、電圧差VDSを第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFと比較して比較結果CM2を生成することができる。比較結果CM1は、第1の時点TP1を決定するように構成されてもよく、比較結果CM2は、第2の時点TP2を決定するように構成されてもよい。
【0032】
また、カウンタ520は、クロック信号に基づいてカウント動作を行う。カウンタ520は、比較結果CM1に応じてカウント動作を開始することができる。比較結果CM1が第1の時点TP1の検出を示すと、カウンタ520はカウント動作を開始する。カウンタ520は、予め設定されたカウント目標値を有することができ、カウンタ520のカウント結果がカウント目標値と等しくなると、カウント動作が停止する。カウンタ520がカウント動作を行う時間の長さは、第1の時間間隔TZ1を規定するように構成されてもよい。
【0033】
上述したカウント目標値は入力電圧VSのサイクルに依存しない固定値であることに留意されたい。
【0034】
ちなみに、ゲート電圧制御回路400は、カウンタ520によってカウントされた第1の時間間隔TZ1に応じて制御信号EN_SW2を生成して、第1の時間間隔TZ1の間、スイッチSW2をオンに保持することができる。ゲート電圧制御回路400は、比較結果CM2に応じてスイッチSW1をオンにする制御信号EN_SW1を生成することができる。ゲート電圧制御回路400は、比較結果CM1及びCM2に応じて制御信号EN_OPAを生成し、演算増幅器OP1を第2の時間間隔TZ2(すなわち、第1の時間間隔TZ1の終わりと第2の時点TP2との間の時間間隔)の間、稼働状態にさせておくことができる。
【0035】
図2及び
図6を同時に参照されたい。
図6は、本開示の一実施形態による整流器が動作しているときの波形を示す。
図6において、ゲート電圧制御回路210は、電圧差VDSが第1の予め設定された閾値電圧VDS_ONまで降下する第1の時点TP1を決定し、第1の時間間隔TZ1の間、ゲート電圧VGを供給して、トランジスタTD1をオンに保持する。第1の時間間隔TZ1の間、電圧差VDSは、第1の基準電圧VDS_SW2に実質的に等しくなるように調整され得る。本実施形態では、第1の時間間隔TZ1を一定の長さの時間にわたり維持することができ、一定の時間の長さは、入力電圧VSのサイクルとは無関係であり、関連していない。
【0036】
第1の時間間隔TZ1が終了した後、第2の時間間隔TZ2の間、ゲート電圧制御回路210は、ゲート電圧VGを第2の基準電圧VDS_REGに設定し、定常状態における電圧差VDSが第2の基準電圧VDS_REGと等しくなるようにトランジスタTD1を制御する。第3の時間間隔TZ3の間、トランジスタTD1を流れる電流の減少に応じて、及びゲート電圧VGの作用に伴って、電圧差VDSは徐々に上昇する。ゲート電圧制御回路210は、電圧差VDSが上昇して第1のクランプ電圧VDS_CLPに等しくなる第2の時点TP2を検出する。第2の時点TP2の後、ゲート電圧制御回路210は、第4の時間間隔TZ4に入る。
【0037】
第4の時間間隔TZ4の間、ゲート電圧制御回路210は、ゲート電圧VGを第2のクランプ電圧VG_CLPに設定する。このとき、トランジスタTD1は、第2のクランプ電圧VG_CLPに等しいゲート電圧VGに応じて、比較的高いインピーダンスを有し、少量の電流のみ流すことができる。このとき、トランジスタTD1は、亜臨界領域又は飽和領域で動作することができる。トランジスタTD1は、少量の電流しか流すことができないため、このときの電圧差VDSは、第2の基準電圧VDS_REGに近く、それよりもわずかに小さい。本開示の他の実施形態では、このときの電圧差VDSはまた、第2の基準電圧VDS_REGよりもわずかに高くてもよく、本開示はこれに限定されない。
【0038】
ここで、第4の時間間隔TZ4は、予め設定された一定の長さの時間にわたり維持されてもよいことに留意されたい。第4の時間間隔TZ4の時間の長さは、設計者によって決定することができ、これには特定の制限はない。
【0039】
第4の時間間隔TZ4が終了した後で、第5の時間間隔TZ5の間、ゲート電圧制御回路210は、第2の基準電圧VDS_REGと電圧差VDSとの間の差に応じてゲート電圧VGを供給し、定常状態における電圧差VDSを第2の基準電圧VDS_REGに等しくなるように設定することができる。次いで、第6の時間間隔TZ6において、電圧差VDSは急速に上昇することができる。電圧差VDSが第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFまで上昇する第3の時点TP3をゲート電圧制御回路210が検出すると、ゲート電圧制御回路210は、ゲート電圧VGの電圧値を引き下げて、トランジスタTD1をオフにすることができる。
【0040】
図6~
図7を同時に参照されたい。
図7は、本開示の別の実施形態による、ゲート電圧制御回路の信号発生器の実施態様の概略図である。ゲート電圧制御回路700は、演算増幅器OP1と、スイッチSW1と、スイッチSW2と、スイッチSW3とを含む。演算増幅器OP1は、電圧差VDSと、第2の基準電圧VDS_REGとしての調整電圧とを受け取り、制御信号EN_OPAに応じて出力端子OTでゲート電圧VGを生成する。加えて、演算増幅器OP1は、動作電源として電源VAを受け取り、基準接地電圧として接地電圧VGNDを受け取る。スイッチSW2は、第3の基準電圧VHと出力端子OTとの間に直列に接続されている。スイッチSW2は、制御信号EN_SW2に応じてオン又はオフする。スイッチSW1は、接地電圧VGNDと出力端子OTとの間に直列に接続されている。スイッチSW1は、制御信号EN_SW1に応じてオン又はオフする。スイッチSW3は、出力端子OTと第2のクランプ電圧VG_CLPとの間に結合され、制御信号EN_SW3に応じてオン又はオフする。演算増幅器OP1の正及び負の入力端子は、第2の基準電圧(すなわち、調整電圧)VDS_REG及び電圧差VDSをそれぞれ受け取る。
【0041】
図6の波形のように、第1の時点TP1が検出されると、第1の時間間隔TZ1において、ゲート電圧制御回路700は、制御信号EN_SW2を介してスイッチSW2をオンにし、制御信号EN_SW1を介してスイッチSW1をオフにし、制御信号EN_OPAを介して演算増幅器OP1が無効化される。このとき、ゲート電圧VGは、第3の基準電圧VHに等しく、トランジスタTD1をオンさせるのに十分高い電圧値を有する。
【0042】
第1の時間間隔TZ1の終了後の第2の時間間隔TZ2の間、ゲート電圧制御回路700は、制御信号EN_SW1、EN_SW2、及びEN_SW3を介してスイッチSW1、SW2、及びSW3をそれぞれオフにし、制御信号EN_OPAを介して演算増幅器OP1を稼働状態にする。第2の時間間隔TZ2の間、演算増幅器OP1は、第2の基準電圧VDS_REGと電圧差VDSとの間の差に応じてゲート電圧VGを生成し、定常状態における電圧差VDSを第2の基準電圧VDS_REGに設定するようにトランジスタTD1を制御する。
【0043】
第3の時間間隔TZ3の間、電圧差VDSは、トランジスタTD1を流れる電流の減少に従って徐々に上昇する。次いで、ゲート電圧制御回路700は、電圧差VDSが第1のクランプ電圧VDS_CLPに等しくなる第2の時点TP2を検出する。ゲート電圧制御回路700は、第2の時点TP2の後の第4の時間間隔TZ4の間、制御信号EN_SW3を介してスイッチSW3をさらにオンにする(スイッチSW1及びSW2はオフであり、演算増幅器OP1は無効化されている)。ゲート電圧VGは、オンになったスイッチSW3を介して第2のクランプ電圧VG_CLPと等しくなるように設定される。
【0044】
第4の時間間隔TZ4の後の第5の時間間隔TZ5の間、スイッチSW1~スイッチSW3がすべてオフになっているのに対し、演算増幅器OP1は稼働状態になっている。第5の時間間隔TZ5の間、ゲート電圧VGを介して、トランジスタTD1の2つの端部間の電圧差VDSは、第2の基準電圧VDS_REGと等しくなってもよい。
【0045】
第6の時間間隔TZ6の間、電圧差VDSは、トランジスタTD1を流れる電流の減少に従って徐々に上昇する。ゲート電圧制御回路700は、電圧差VDSが第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFFに達するまで上昇する第3の時点TP3を検出し、スイッチSW1がオンになるように、第3の時点TP3に応じて制御信号EN_SW1を生成する。同時に、スイッチSW2及びSW3がオフになり、演算増幅器OP1が無効化される。このようにして、トランジスタTD1が対応してオフになる。
【0046】
図6、
図7、及び
図8を同時に参照されたい。
図8は、本開示の一実施形態によるゲート電圧制御回路の回路の別の部分の概略図である。
図8において、ゲート電圧制御回路700は、比較器810及びカウンタ820をさらに含む。比較器810は、第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON、第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFF、第1のクランプ電圧VDS_CLP、及び電圧差VDSを受け取る。比較器810は、電圧差VDSを、予め決められた、第1の予め設定された閾値電圧VDS_ON、第2の予め設定された閾値電圧VDS_OFF、及び第1のクランプ電圧VDS_CLPと比較し、比較結果CM1、CM3、及びCM2をそれぞれ生成する。比較結果CM1、CM3、及びCM2は、第1の時点TP1、第3の時点TP3、及び第2の時点TP2をそれぞれ決定するように適合させることができる。
【0047】
カウンタ820は、比較結果CM1及びCM2を受け取り、第1の時点TP1後の第1の時間間隔TZ1の間カウント動作を行い、第2の時点TP2の後の第4の時間間隔TZ4の間カウント動作を行う。加えて、ゲート電圧制御回路700は、第1の時間間隔TZ1、第4の時間間隔TZ4、及び比較結果CM3に応じて、制御信号EN_SW1、EN_SW2、EN_SW3、及びEN_OPAを生成することができる。
【0048】
同様に、本実施形態における演算増幅器OP1の回路は、当業者によく知られている差動増幅器を使用することによって実施することができる。また、本実施形態のスイッチSW1、SW2、及びSW3は、半導体分野でよく知られている電子部品(トランジスタなど)を使用して構成することができる。本開示では、これに対する限定は特にない。
【0049】
図9は、本開示の一実施形態による整流された電圧差の波形の概略図である。本実施形態では、整流器は、負の半サイクルの間、整流された電圧差VDSを0ボルト未満の電圧値に保持する。具体的には、
図3の波形を例にとると、電圧差VDSの電圧値は、第1の時間間隔TZ1及び第2の時間間隔TZ2の間、負電圧であってもよい。このようにして、負電流保護レベルの効果を達成することができる。
【0050】
図10は、本開示の一実施形態による交流発電機の概略図である。交流発電機1000は、回転子RTと、固定子STと、複数の整流器1011~1032とを含む。本実施形態では、固定子STは、複数の相電圧VU、VV、及びVWを生成する。相電圧VU、VV、及びVWは、異なる相の複数の整流回路1010、1020、及び1030にそれぞれ供給される。整流回路1010は、直列に結合された整流器1011及び1012を含む。整流回路1020は、直列に結合された整流器1021及び1022を含む。また、整流回路1030は、直列に結合された整流器1031及び1032を含む。本実施形態では、交流発電機1000は、DC電圧に近い整流出力電圧を生成するために、並列に結合された抵抗器R1(二次電池の等価負荷又は等価抵抗)と、等価充電コンデンサであるコンデンサC1も含む。本実施形態における整流器1011~1032は、前述の実施形態の整流器200、400、及び700のいずれかを使用することによって実施することができる。関連する詳細は、前述の実施形態及び実施態様に記載されており、以下では繰り返さない。
【0051】
要約すると、本開示の整流器は、トランジスタを迅速にオンにし、電圧差が第1の予め設定された閾値電圧未満になる第1の時点の後に、一定の第1の時間間隔の間、トランジスタを導通状態に保持し、トランジスタをオンにするのが遅すぎることによる効率の悪さを防止する。また、本開示の別の実施形態では、整流器は、電圧差を第1のクランプ電圧とさらに比較し、それによって、トランジスタをオフにする時点を遅くして、トランジスタをオフにするのが遅すぎることによって生成される逆電流を効果的に防止する。上記に照らして、本開示は、トランジスタをオン及びオフにする時点を効果的に調整し、整流中に生成される逆電流を防止し、システムの性能を維持する。
【0052】
本開示は、上記の実施形態によって開示されたが、これらの実施形態は、本開示を限定することを意図したものではない。当業者であれば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対する修正及び回路付加(embellishment)を行うことができる。したがって、本開示の範囲は、以下に添付される特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示の交流発電機及び整流器は、逆電流を防止するために適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
200:整流器
210:ゲート電圧制御回路
TD1:トランジスタ
VS:入力電圧
VG:ゲート電圧
VD:整流電圧
VDS:電圧差