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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】太陽光パネルの旋回扇動駆動部
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/30 20140101AFI20220822BHJP
【FI】
H02S20/30 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021081696
(22)【出願日】2021-05-13
(62)【分割の表示】P 2018517205の分割
【原出願日】2016-09-20
(65)【公開番号】P2021121171
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】A50840/2015
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】518285016
【氏名又は名称】エスエフエス アクイジション,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】シュテーガー,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】スワテク,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ツァッハ,ゲラルト
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531573(JP,A)
【文献】特許第5661926(JP,B2)
【文献】特開2002-081760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0192659(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/10、20/32、30/20
F24S 30/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネル(2)の旋回扇動駆動部(3)であって、
支持台(9)と、
垂直軸(6)の周りを旋回するように上記支持台(9)に取り付けられた、ロータリテーブル(12)と、
開扇軸(5)を軸として閉扇及び開扇することが可能なように上記太陽光パネル(2)が取り付けられる、旋回プレート(16)であって、水平軸(7)の周りを旋回するように上記ロータリテーブル(12)に取り付けられている、旋回プレート(16)と、
上記ロータリテーブル(12)に旋回可能に取り付けられる、少なくとも1つのクランク(20)と、
連結ロッド(23)であって、上記ロータリテーブル(12)、上記旋回プレート(16)、上記クランク(20)および上記連結ロッド(23)が4つの棒状のリンク機構を構成し、かつ、上記クランク(20)の旋回運動が上記水平軸(7)を軸として上記旋回プレート(16)を旋回させるように、上記クランク(20)に連結される第1端と、上記旋回プレート(16)に連結される第2端と、を有する連結ロッド(23)と、を備える、旋回扇動駆動部(3)。
【請求項2】
上記旋回プレート(16)は、水平位置と垂直位置の間で上記水平軸(7)の周りを旋回可能である、請求項1に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項3】
上記旋回プレート(16)は、上記水平軸(7)の周りを旋回可能なように、上記旋回プレート(16)が上記ロータリテーブル(12)に対してほぼ水平に上記ロータリテーブルの上部に位置する静止位置と、上記クランク(20)及び上記連結ロッド(23)がほぼ延びた状態である略垂直末端位置との間を旋回可能なように上記ロータリテーブル(12)に支持される、請求項1または2に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項4】
上記4つの棒状のリンク機構を構成するために、上記ロータリテーブル(12)は、上記水平軸(7)を軸として上記旋回プレート(16)の第1端(15)を支持し、かつ、そこから離間した位置において、上記連結ロッド(23)を介して上記旋回プレート(16)の第2端(24)に連結される上記少なくとも1つのクランク(20)を支持する、請求項3に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項5】
上記ロータリテーブル(12)は、上側に突出する2つのベアリングアーム(14)を備え、当該2つのベアリングアーム(14)の間に、上記旋回プレート(16)の上記第1端(15)が取り付けられている、請求項4に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項6】
2つのクランク(20)はそれぞれ一つの連結ロッド(23)を備え、上記2つの連結ロッド(23)の間に、上記旋回プレート(16)の上記第2端(24)が取り付けられている、請求項4または5に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項7】
上記クランク(20)は共通シャフト(21)上に配設され、当該共通シャフト(21)は、上記ロータリテーブル(12)のベアリング・タブ(22)の内部に取り付けられており、上記シャフト(21)の軸(21’)は、好ましくは上記水平軸(7)に平行に、かつ、当該水平軸(7)から距離を保つように配置されている、請求項6に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項8】
上記ロータリテーブル(12)は、ベアリングアーム(14)及びベアリング・タブ(22)が存在する場合にはこれらと一体に、好ましくは鋳物として製造されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項9】
上記クランク(20)の取付軸(21’)は、上記ロータリテーブル(12)上を上記水平軸(7)よりも下側に位置している、請求項1から8のいずれか1項に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項10】
上記クランク(20)は、第1ウォーム・ギア(28)などの第1ギアを介して、上記ロータリテーブル(12)に取り付けられた第1電動モータ(26、27)などの第1駆動部によって駆動する、請求項1から9のいずれか1項に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項11】
上記垂直軸(6)の周囲を完全に旋回できるように上記ロータリテーブル(12)が取り付けられている、請求項1から10のいずれか1項に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項12】
上記ロータリテーブル(12)は、第2ウォーム・ギア(31)などの第2ギアを介して、上記支持台(9)に取り付けられた第2電動モータ(29,30)などの第2駆動部によって駆動する、請求項11に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項13】
上記旋回プレート(16)に対して上記開扇軸(5)の周りを旋回するように上記旋回プレート(16)に取り付けられた扇動シャフト(18)をさらに備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項14】
上記扇動シャフト(18)に取り付けられる複数の太陽光パネル(2)をさらに備えており、上記複数の太陽光パネル(2)のうちの少なくとも1つは、上記扇動シャフト(18)と共に動作可能である、請求項13に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項15】
上記扇動シャフト(18)は、第3ウォーム・ギア(34)などの第3ギアを介して、上記旋回プレート(16)に取り付けられた第3電動モータ(32、33)などの第3駆動部によって駆動する、請求項13または14に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項16】
上記扇動シャフト(18)は、カップリングを介して、上記旋回プレート(16)又は上記旋回プレート(16)の駆動部(26~28)により駆動可能である、請求項13または14に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項17】
上記扇動シャフト(18)は、カップリング(41、42)を介して、上記ロータリテーブル(12)、又は、上記ロータリテーブル(12)の駆動部(29~31)により駆動可能である、請求項13または14に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項18】
上記カップリング(41、42)は、上記旋回プレート(16)の旋回によって作動するように構成される、請求項17に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項19】
上記カップリング(41、42)は、上記旋回プレート(16)の静止位置で連結し、上記静止位置から離れた上記旋回プレート(16)の旋回位置では連結が解除している、請求項18に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【請求項20】
上記カップリング(41、42)は、ピニオン(41)により形成され、ギアシャフト(35)と上記扇動シャフト(18)上に位置するギアリム(42)とを介して上記ロータリテーブル(12)により駆動し、上記ギアリム(42)は、上記旋回プレート(16)が上記静止位置に旋回するときに上記ピニオン(41)と係合し、上記旋回プレート(16)が静止位置から旋回するときに上記ピニオン(41)との係合が解除される、請求項19に記載の旋回扇動駆動部(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの旋回扇動駆動部に関する。当該旋回扇動駆動部は、支持台、ロータリテーブル、旋回プレート、及び扇動シャフトを備える。ロータリテーブルは、上記支持台に取り付けられ、略垂直な第1軸の周りを旋回する。旋回プレートは、上記ロータリテーブルに取り付けられ、略水平な第2軸の周りを旋回する。扇動シャフトは、上記旋回プレートに取り付けられ、第3軸の周りを旋回する。太陽光パネルは、上記第3軸の周りを閉扇及び開扇が可能なように扇動シャフトに取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
このタイプの駆動部を用いて開扇可能であり、かつ、太陽の位置に応じて調整することが可能な太陽光パネルは、例えば、同一出願人によるAT509.886B1、AT512.680B1、及びAT513.875B1に開示されている。これらの文献に開示された太陽光パネルは、太陽光パネルが取り付けられた扇動シャフトを回転することによって、複数の太陽光パネルが互いにほぼ合わさって積層された保護位置から開扇操作位置まで開扇可能である。その逆も同様である。このため、積層された複数の太陽光パネルのうち、最上端部(又は、最下端部)の太陽光パネルは回転不可能に上記扇動シャフトに連結し、残りの太陽光パネルは上記扇動シャフト上を回転可能に配設される。そして、開扇操作及び閉扇操作の間、ドッグを用いて次の太陽光パネルを引っ張り、引っ張られた太陽光パネルは次の太陽光パネルを引っ張る。開扇操作位置において、太陽光パネルは、上記ロータリテーブル及び上記旋回プレートを方位角・仰角の方向に旋回することにより太陽と位置が合う。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、シンプルな構造で、省スペースで、従来の設計よりも故障しにくい太陽光パネルの旋回扇動駆動部をつくることにある。
【0004】
この目的は、導入部で説明した旋回扇動駆動部によって実現される。本発明によると、上記ロータリテーブルは、クランクロッカー・リンク機構を形成するために、上記第2軸の周りで上記旋回プレートの一端を取り付け、そこから離間した位置において、連結ロッドを用いて上記旋回プレートの他端に連結する少なくとも一つのクランクを取り付ける。
【0005】
ロータリテーブル、旋回プレート、クランク、及び連結ロッドからクランクロッカー・リンク機構を構築することにより、極めてコンパクトで、省スペースな設計となる。この設計では、上記旋回プレートは、例えば保護を目的として、静止位置まで旋回できる。そこで、上記旋回プレートは、上記ロータリテーブルとほぼ水平に、上記ロータリテーブルの上部に位置することができる。移送を目的として、上記旋回プレートは略垂直の末端位置まで旋回できる。末端位置では、クランク及び連結ロッドは、好ましくはほぼ延びた状態である。例えば、旋回ヘッドに対する衝撃から生成される力が、軸ベアリングに作用する一方で、より敏感な、クランク軸におけるリンク部には作用しない。同時に、上記旋回プレート用のピボット・ギアを構築するために、部品は殆ど必要でなく、特にクランクと連結ロッド程度である。これにより、製造が簡単になる。上記旋回プレートのためにクランクロッカー・リンク機構を使用することにより、極めて故障に強い操作を実現できる。これは、上記クランクが十分に回転でき、それゆえ、上記クランクを駆動するモータの偶発的な速度超過によって当該モータ又はメカニズムが妨害を受ける、もしくは損傷を受けることが起こりえないためである。
【0006】
上記クランクの取付軸は、好ましくは、上記ロータリテーブル上を上記第2軸よりも下側に位置する。この構成は、クランク、連結ロッド、及び、上記ロータリテーブルと旋回プレートからの有効なリンク距離を好適な寸法にすることにより、例えば、上記旋回プレートが、水平静止位置から、任意の傾斜位置を経て、垂直端部位置まで旋回可能となる。その結果、太陽光パネルは、太陽の位置を追跡することができる。
【0007】
本発明に係る好ましい構成によると、上記ロータリテーブルが、上側に突出する2つのベアリングアームを備え、当該2つのベアリングアームの間に、上記旋回プレートの上記一端が取り付けられているとき、特に頑丈で省スペースの実施形態が提供される。同じ理由により、2つのクランクはそれぞれ、好ましくは、一つの連結ロッドを備え、2つの連結ロッドの間に、上記旋回プレートの上記他端が取り付けられる。
【0008】
有利な実施形態において、上記クランクは共通シャフト上に配設され、当該共通シャフトは、上記ロータリテーブルのベアリング・タブの内部に取り付けられてよい。その結果、2つのクランクに対して必要な駆動部は1つのみとなる。ここで、上記ロータリテーブルがベアリングアーム及びベアリング・タブを備える場合、上記ロータリテーブルは一体に、好ましくは鋳物として形成されうる。これにより、製造時に上記駆動部の最終組み立てが極めて簡素化される。
【0009】
本発明に係る旋回扇動駆動部は手動で作動可能できるが、モータ動作は、好ましくは、太陽の位置に合せて太陽光パネルを完全に自動調整し、また、例えば、夜間又は風雨時に保護された閉扇位置に太陽光パネルを移動するように、太陽光パネルの閉扇及び開扇を完全自動にするように設計される。
【0010】
この目的のために、上記3軸周りの上記旋回運動は公知の任意の駆動部を用いて実施される。任意の駆動部は、例えば、油圧駆動部、空気圧式駆動部、電動サーボモータ、例えば、低速回転又は減速の電動モータ又はステップモータである。公知の任意のギア機構、例えば、遊星ギアトレイン、及び、斜交歯車、例えば、遊星ギアトレインが使用される。
【0011】
本発明に係る好ましい実施形態において、減速ウォーム・ギアを有する電動モータが使用される。すなわち、上記クランクは、好ましくは、第1ウォーム・ギアを介して、上記ロータリテーブルに取り付けられた第1電動モータによって駆動する。及び/又は、上記ロータリテーブルは、好ましくは、第2ウォーム・ギアを介して、上記支持台に取り付けられた第2電動モータによって駆動する。及び/又は、上記扇動シャフトは、好ましくは、第3ウォーム・ギアを介して、上記旋回プレートに取り付けられた第3電動モータによって駆動する。
【0012】
本発明のさらなる一態様では、上記扇動シャフト用に専用の第3の駆動部を使用する代わりとして、この目的のために他の2つの駆動部のうちの一つがさらに使用される。上記ロータリテーブル又は当該ロータリテーブルの駆動部、若しくは上記旋回プレート又は当該旋回プレートの駆動部に上記扇動シャフトを選択的にカップリングすることにより、太陽光パネルは、上記ロータリテーブルの方位回転又は上記旋回プレートの仰角旋回の間、開扇又は閉扇されうる。太陽光パネルが所望の開扇又は閉扇が行われた後、上記カップリングは再び解除され、上記ロータリテーブルの上記駆動部及び上記旋回プレートの上記駆動部は、方位仰角調整のために再び使用される。
【0013】
上記ロータリテーブル駆動部が上記扇動シャフトの駆動部に共用されることが特に好ましい。すなわち、上記扇動シャフトは、カップリングを介して、上記ロータリテーブル又は当該ロータリテーブルの駆動部によって駆動されうる。そして、同時に、上記カップリングは、上記旋回プレートの旋回によって自動的に作動する。特に、上記カップリングは、上記旋回プレートの静止位置で連結し、静止位置から離れた上記旋回プレートの旋回位置で連結が解除される。例えば、上記旋回プレートの静止位置は、上記旋回プレートの水平位置であり、上記ロータリテーブルに対して、上記ロータリテーブルの上部を水平に、一致して位置する。この位置では上記カップリングは連結している。ここで、上記ロータリテーブル駆動部が太陽光パネルを開扇するために使用される。旋回駆動部によって太陽光パネルの仰角が太陽に合わせられると、上記カップリングが解除され、上記ロータリテーブル駆動部は方位調整のために再び使用可能となる。
【0014】
本発明に係る有利な実用的形態では、上記カップリングはピニオンにより形成され、ギアシャフトと上記扇動シャフト上に位置するギアリムとを介して上記ロータリテーブルにより駆動し、上記ギアリムは、上記旋回プレートが上記静止位置に向けて旋回するときに上記ピニオンと係合し、上記旋回プレートが静止位置から脱するように旋回するときに上記ピニオンとの係合が解除される。これにより、上記旋回プレートが旋回するときに、ロータリテーブル駆動部と扇動シャフトとの間で上記カップリングが自動的に係合及び解除する。
【0015】
方位駆動と仰角駆動を分離するために上記カップリングの連結がいったん解除された後、操作中に上記扇動シャフトが偶発的に回転しないように、本発明に係るさらに好ましい構成によると、上記扇動シャフトは、さらに他のカップリングを介して、上記旋回プレートに選択的に回転固定されてよい。上記他のカップリングは、上記旋回プレートの旋回移動によって自動的に行われる。より具体的に、特に、上記他のカップリングは、上記旋回プレートの静止位置で連結が解除され、上記静止位置から離れた、上記旋回プレートの旋回位置で連結する。本変形例に係る好ましい実施形態において、この目的のための上記他のカップリングは、上記扇動シャフトに回転固定されるブレーキディスクであってよく、上記旋回プレートのブレーキ表面に対してバネ留めされ、上記旋回プレートが上記静止位置に向けて旋回するときに上記ロータリテーブルの作動部材により上記ブレーキ表面から離間する。このようにして、故障に強い方法で第2カップリングが自動的に行われる。また、次のようにも実施できる。上記他のカップリングは、バネ留めされたブレーキピニオンであり、当該ブレーキピニオンは、上記旋回プレート上を回転固定され、かつ軸方向に移動可能であり、上記ギアリムと係合するためのブレーキ歯を有し、上記旋回プレートが上記静止位置に向けて旋回するときに、上記バネ留めに抗して押圧されて係合が解除される。
【0016】
本発明は、添付図に示される例示的な実施形態を参照して以下詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】2つの異なる動作位置にある開扇可能な太陽光パネルを備えた太陽光モジュールの上方から視た概略斜視図である。
図2】2つの異なる動作位置にある開扇可能な太陽光パネルを備えた太陽光モジュールの上方から視た概略斜視図である。
図3】2つの異なる動作位置にある図1及び図2に示す太陽電池モジュールに用いられる本発明に係る旋回扇動駆動部の上方から視た詳細斜視図である。
図4】2つの異なる動作位置にある図1及び図2に示す太陽電池モジュールに用いられる本発明に係る旋回扇動駆動部の下方から視た詳細斜視図である。
図5図3及び図4に示す旋回扇動駆動部の側面図である。
図6図3及び図4に示す旋回扇動駆動部の平面図である。
図7図3及び図4に示す旋回扇動駆動部の背面図である。
図8図3図7に示す旋回扇動駆動部の2つの異なる態様に関し、2つの異なる動作位置における断面図を示す。
図9図3図7に示す旋回扇動駆動部の2つの異なる態様に関し、2つの異なる動作位置における断面図を示す。
図10図3図7に示す旋回扇動駆動部の2つの異なる態様に関し、2つの異なる動作位置における断面図を示す。
図11図3図7に示す旋回扇動駆動部の2つの異なる態様に関し、2つの異なる動作位置における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2は、複数の板状の太陽光パネル2を備えた太陽電池モジュール1を示す。太陽光パネル2は、旋回扇動駆動部3によって旋回し、開扇できるようにアンカー4に取り付けられている。これにより、太陽光パネル2は、第1閉扇位置(図1)から第2開扇位置(図2)に開扇可能となる。太陽光パネル2は、第1閉扇位置では、互いに積層されてほぼ合わさって配設されている。また、太陽光パネル2はそれぞれ、第2開扇位置では、共通の開扇軸5を軸として開扇し、互いにほぼ隣接する位置に移動する。開扇軸5は、開扇した太陽光パネル2を太陽に合わせ、また太陽を追跡するために、旋回扇動駆動部3を用いて、第1の略垂直な軸6の周囲で方位が調整され、かつ、第2の略水平な軸7の周囲で仰角が調整される。アンカー4は、種類が限定されず、例えば図示されるピラー型又はスタンド型であってよいし、建物の一部、フロアのアンカー、船舶・自動車・コンテナなどの一部であってよい。
【0019】
太陽光パネル2は、例えば輪の一部分の形状を有する。太陽光パネル2は、好ましくは、図示するように角が丸みを帯びた形状(花弁状)を有し、必ずしもそうである必要はないが、完全な輪を形成するために開扇位置で互いに補い合う(図2)。例えば、太陽光パネル2は12枚存在する。輪を構成する部分はそれぞれ約30度の角度を有する。従って、隣り合う太陽光パネル2同士の互いの開扇角度または旋回角度は約30度である。
【0020】
太陽光パネル2はそれぞれ、上面側に太陽電池8が平面配列されている。例えば、太陽電池8は、結晶体もしくは有機体、又は薄膜技術により製造される。図面の明確性のため、太陽光パネル2及び太陽電池8の電気接続及び電気回路は図示されていない。例えば、太陽光パネル2は、可撓性接続ケーブル又は可撓性ループ接点、及び剛性のコンタクトリングを介して、アンカー4又は旋回扇動駆動部3と接触を持ち、太陽光パネル2はさらに送電装置に接続する。
【0021】
図3図9は、太陽光パネル2の旋回扇動駆動部3を詳細に示す。旋回扇動駆動部3は、支持台9を備える。支持台9は、リングフランジ状であり、例えば、ボア10によってアンカー4の上端にねじ込まれる。ロータリテーブル12は、当該ロータリテーブルが少なくとも旋回可能に、好ましくは軸6の周囲を完全に旋回できるように、ボールベアリング11を介して支持台9に取り付けられる。
【0022】
ロータリテーブル12は、一端13に2つのベアリングアーム14を備える。2つのベアリングアーム14は、上方に突出し、互いに離間している。2つのベアリングアーム14の間には旋回プレート16の一端15が軸7の周りを旋回可能に取り付けられている。旋回プレート16は、旋回可能なように他の方法でロータリテーブル12に取り付けられる。例えば、旋回プレート16は、ヒンジを使って取り付けられる。“ロータリテーブル”及び“旋回プレート”との用語は文字どおりテーブル又はテーブル形状を言うものではなく、特定の部材の機能を言う。例えば、ロータリテーブル12は、テーブル形状以外の形状を有していてもよく、例えば、ハブ、シャフト連結部材、ブロックなどの形状であってもよい。旋回プレート16は、テーブル形状以外の形状を有していてもよい。例えば、旋回プレート16は、ハブ、シャフト連結部材、ブロック、又は、任意形状のサポートの形状であってよい。
【0023】
扇動シャフト18は、当該扇動シャフトが少なくとも旋回可能に、好ましくは開扇軸5の周りを完全に旋回できるように、ボールベアリング17を介して旋回プレート16の上部に、又は、旋回プレート16の内部に取り付けられる。図3から図9には、駆動側端部側の扇動シャフト18の端部のみが(リングフランジの形状で)図示されている。扇動シャフト18の他の部分(図2で視認可能)は、ボア19を介して上記端部にフランジ取付けされ、太陽光パネル2を動かす。扇動シャフト18を回転させすることによって、太陽光パネル2は、上記閉扇位置(図1)から開扇位置(図2)に移動する。その逆の移動も行われる。このため、積層された複数の太陽光パネル2(図1)の最上端部(又は、最下端部)は、例えば、旋回できない態様で扇動シャフト18に連結される。また、積層された複数の太陽光パネル2の最下端部(又は、最上端部)は、旋回できない態様で旋回プレート16に連結される。ここで、太陽光パネル2はそれぞれ、すべての太陽光パネル2が開扇又は閉扇するまで、開扇動作又は閉扇動作の間、引っ張りレール、引っ張りフック、又はドッグ等を使って隣り合う太陽光パネル2を引っ張る。
【0024】
この引っ張り移動の際、ある太陽光パネル2の上部を他の太陽光パネル2がスライドするが、このスライドを太陽光パネル2の清掃に活用することができる。この目的のため、太陽光パネル2はそれぞれ(最下端の太陽光パネル2を除く)、後側部にスイーパー・リップを有する。スイーパー・リップは、太陽光パネルが開扇するときに、下側に設けられた対応する太陽光パネル2を掃除する。例えば、上記スイーパー・リップは、ラバー・リップ又はブラッシュ・リップでもよいし、同時に上記引っ張りレールを形成してもよい。
【0025】
旋回プレート16は、少なくとも一つのクランク20(ここでは二つ)を使ってロータリテーブル12に対して旋回する。クランク20は、共通シャフト21上にあり、ロータリテーブル12のベアリング・タブ22に取り付けられている。より具体的に、クランク20は、シャフト21の軸21’が、旋回プレート16の軸7に平行に、かつ、旋回プレート16の軸7からある距離を保つように、ロータリテーブル12のベアリング・タブ22に取り付けられている。ベアリング・タブ22は、ベアリングアーム14の付け根部に形成される。あるいは、ベアリング・タブ22は、ベアリングアーム14から離れて形成される。
【0026】
クランク20はそれぞれ、シャフト21から離れた端部において、連結ロッド23によって、ヒンジ軸25において旋回プレート16の他端24に接続される。他端24は、端部15の反対側である、
ロータリテーブル12、旋回プレート16、クランク20、及び連結ロッド23により構成される4つの部品が4つの棒状のリンク機構を形成する。具体的に、クランクロッカー・リンク機構について、“クランク”はクランク20により形成され、“ロッカー”は旋回プレート16により形成され、“シャシー”はロータリテーブル2により形成され、“連結部材”は連結ロッド23により形成される。シャフト軸21’と旋回軸7との間のシャシー長さ、旋回軸7とヒンジ軸25との間のロッカー長さ、及びクランク20と連結ロッド23との間の有効長さが、周知技術で知られるように、上記クランクロッカー・リンク機構の運動学を決定する。上述したそれぞれの長さは、好ましくは、限定されないが、旋回プレート16が略水平静止位置(図3)から略垂直末端位置(図4)までほぼ90°の旋回運動を行うように、そして、クランク20が完全な旋回をしたときには元に戻るように決定される。
【0027】
ここで、クランク20のシャフト軸21’は、旋回軸7からオフセットされ、かつ、旋回軸7の下側に位置することが好ましい。これにより、静止位置(rest position)(図3)において、クランク20及び連結ロッド23が最も短い位置にあるときに、旋回プレート16は、ロータリテーブル12にほぼ平行に、かつ、ロータリテーブル12の上側に位置することができる。これにより、レスト位置(図3)において必要スペースが極めて小さくなる。最大に旋回した末端位置(図4)において、クランク20及び連結ロッド23は最大限に延びた位置にある。
【0028】
一以上の軸5、6、7周りの旋回扇動駆動部3の運動は、最も簡単な場合はマニュアル操作で行える。しかしながら、一以上の軸5、6、7周りの運動は、好ましくは、対応する駆動部により行われる。例えば、油圧シリンダ、空気圧式シリンダ、サーボモータ、又はステッピングモータ等である。第1の実施形態が図3から図7に示される。ここでは、3つの運動それぞれに対して減速ギア電動駆動部が準備されている。
【0029】
このため、フランジに取り付けられたアングルギア27を備えた第1電動モータ26は、ロータリテーブル12に取り付けられ、第1ウォーム・ギア28を用いてクランク20又はシャフト21を駆動する。第1ウォーム・ギア28は、例えば、アングルギア27を使って電動モータ26により駆動されるウォームを備える。そのウォームは、クランク20又はシャフト21上に位置するウォーム・ホイールの内部に係合する。
【0030】
フランジに取り付けられたアングルギア30を備えた第2電動モータ29は、支持台9に取り付けられ、第2ウォーム・ギア31を用いてロータリテーブル12を駆動する。第2ウォーム・ギア31は、例えば、ロータリテーブル12のウォーム・ホイールの内部に係合するウォームを含む。
【0031】
フランジに取り付けられたアングルギア33を備えた第3電動モータ32は、旋回プレート16に取り付けられ、第3ウォーム・ギア34を用いて扇動シャフト18を駆動する。例えば、第3ウォーム・ギア34は、扇動シャフト18に接続されたウォーム・ホイールの内部に係合するウォームによって扇動シャフト18を駆動する。
【0032】
一以上の上記ウォーム・ギアの代替として他の好適なギア機構であってもよい。例えば、平歯車、遊星ギアトレイン、又は斜交歯車(例えば、かさ歯車、クラウン歯車、又は遊星斜交ギアなど)、より具体的には、それぞれのケースにおいて一以上のギアステージを有するものも使用できる。
【0033】
図8及び図11は、扇動シャフト18の駆動部についての第2の実施形態に係る様々な変形例を示す。具体的には、この目的のために独立した電気駆動部は存在せず、この目的のためにロータリテーブル12の上記駆動部が選択的に共用される。このため、略垂直の回転軸を有するギアシャフト35が、ロータリテーブル12上のベアリング36、37、及び/又は、複数のベアリング・タブ22のうちの一つのベアリング・タブ22に取り付けられる。ギアシャフト35は、その下端にピニオン38を有する。ピニオン38はギアリム39と係合する。ギアリム39は、支持台9のフランジ40の外周上に形成される。ロータリテーブル12が支持台9又はフランジ40に対して回転すると、ギアシャフト35が回転する。
【0034】
上端において、ギアシャフト35は別のピニオン41を支える。ピニオン41は、旋回プレート16の旋回降下位置(図8及び図10)においてギアリム42と係合する。ギアリム42は、扇動シャフト18の外周上に形成される。この位置において、第2電動モータ29は、ロータリテーブル12と、ピニオン41及びギアリム42の係合を介して、扇動シャフト18を駆動する。これにより、太陽光パネル2は、軸6を軸とした回転が生じるのと同時に軸5を軸として開扇又は閉扇する。
【0035】
こうして、ピニオン41及びギアリム42は、ロータリテーブル12又はロータリテーブル12の駆動部と扇動シャフト18との間を連結する。この連結は、旋回プレート16の静止位置で行われる(図8及び図10)。旋回プレート16が旋回上昇すると、この連結が外れる(図9及び図11参照)。すなわち、ピニオン41とギアリム42の係合が解除される。これにより再び、電動モータ29は、上記ロータリ駆動部が軸6を軸とした回転(すなわち、太陽光パネル2の方位調整)をするためだけに使用可能になる。
【0036】
旋回プレート16が静止位置に旋回降下されると(図8及び図10)、又は、旋回プレート16が静止位置に向けて旋回降下すると、ピニオン41とギアリム42は再び連結して、太陽光パネル2を閉扇するために電動モータ29が再び使用可能になる。
【0037】
所望の場合、積層された太陽光パネル2は、旋回軸7の周りを回転することによって上記閉扇位置に旋回降下される。その結果、太陽光パネル2は、図1に示されるようにぶら下がる位置を取る。この位置では、太陽光パネル2は風、天候から保護される。
【0038】
上記ロータリテーブル駆動部の第2電動モータ29の代替として、上記旋回プレート駆動部のための第1電動モータ26が扇動シャフト18の電動駆動部のために共用可能であることも理解される。この場合、旋回プレート16又は旋回プレート16の駆動部26と扇動シャフト18との間も同様に連結する。
【0039】
ピニオン41とギアリム42との係合が静止位置(図8及び図10)から離れた位置において解除されたとき、太陽光パネル2の閉扇位置又は開扇位置に対する偶発的な変化が回避されるように(特に太陽光パネル2の方位仰角調整中)、扇動シャフト18を旋回プレート16に一時的に回転固定するために他の連結(カップリング)が使用されてもよい。図8及び図9の変形例における上記他のカップリングは、ブレーキディスク45を備える。ブレーキディスク45は、扇動シャフト18に回転不可能に連結し、かつ、バネ44を用いて、旋回プレート16のブレーキ表面43に対してバネ留められている。旋回プレート16が静止位置に向かって旋回降下すると、ブレーキディスク45は、ロータリテーブル12に取り付けられた作動部材46によってブレーキ表面43から離される(図8参照)。旋回プレート16が旋回上昇すると、作動部材46はブレーキディスク45との係合が解除される。その結果、上記ブレーキディスクは、バネ44によりブレーキ表面43に押さえつけられ、扇動シャフト18を旋回プレート16に回転固定する。このようにして、旋回プレート16の静止位置において、他のカップリング43~46が外される。また、静止位置から離れた旋回位置において、当該他のカップリング43~46が行われる。
【0040】
上記カップリング43~46に係るブレーキディスク/ブレーキ表面の設計の代替として、扇動シャフト18を一時的に固定可能とする任意のカップリングが使用されてもよい。
【0041】
例えば、図10及び図11に示す変形例によると、上記他のカップリングの上記ブレーキ機能は、ブレーキ歯48を有するブレーキピニオン47等により実現され、図10の位置では、例えば、旋回プレート16上のギアシャフト35に沿って、回転不可能に、しかしながら、軸方向には移動可能に、すなわち、図10において縦方向に移動可能に、バネ49を用いて下方向にバネ留めされて取り付けられる。旋回プレート16が旋回上昇すると(図11)、ブレーキピニオン47は、ブレーキ歯48をギアリム42と係合させ、上記ギアリムを回転固定するバネ留めの方法で押圧される。旋回プレート16の静止位置において(図10)、上記ブレーキピニオンは、バネの付勢に抗してギアシャフト35からの係合が解除され、これによりギアリム42を解放する。
【0042】
カップリング41、42及びカップリング43~49は手動操作又は電動作動部材によっても行われうることが理解される。例えば、カップリング41、42及びカップリング43~49は、電動モータ26及び電動モータ29も制御する電動装置によって制御されうる。
【0043】
本発明は開示した実施形態に限定されず、添付クレームの範疇に含まれるすべての変形例、改良、それらの組み合わせを含む。
図1
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図11