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特許7127227プログラム、モデルの生成方法、情報処理装置及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】プログラム、モデルの生成方法、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20220822BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
A61B1/045 622
A61B1/00 513
A61B1/045 614
A61B1/045 618
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022067094
(22)【出願日】2022-04-14
【審査請求日】2022-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593099702
【氏名又は名称】株式会社両備システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】冨谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】張 展
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/229684(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/174572(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像と、内視鏡により撮像された染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像と、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を入力した場合に未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を生成する生成モデルを用いて生成した未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像とを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して第2内視鏡画像を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
被検体内における第1部位に係る第1内視鏡画像及び前記第1部位に係る第2内視鏡画像を含む訓練データを用いて学習された前記モデルに、被検体内における第2部位に係る前記第1内視鏡画像を入力して前記第2部位に係る前記第2内視鏡画像を生成する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
被検体内における第2部位に係る内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
被検体内における前記第2部位とは異なる第1部位に係る第1内視鏡画像及び前記第1部位に係る染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を含む訓練データを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第2部位に係る前記第1内視鏡画像を入力して前記第2部位に係る第2内視鏡画像を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項4】
前記モデルは、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合にインジゴカルミン又はクリスタルバイオレットを含む染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されている
請求項1又は請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記モデルは、狭帯域光観察により得られた第1内視鏡画像を入力した場合に染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されている
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記モデルは染色液の種類に応じて複数設けられており、
染色液の種類を受け付け、
受け付けた染色液に対応するモデルを選択し、
選択した染色液に対応するモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して、受け付けた染色液による染色後の被検体内を示す前記第2内視鏡画像を出力する
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記モデルは入力される前記第1内視鏡画像の種類に応じて複数設けられており、
取得した前記第1内視鏡画像の種類を判定し、
取得した前記第1内視鏡画像が狭帯域光観察により得られた第1内視鏡画像であると判定した場合、狭帯域光観察により得られた第1内視鏡画像用のモデルを選択し、
選択した狭帯域光観察により得られた第1内視鏡画像用のモデルに、取得した狭帯域光観察により得られた前記第1内視鏡画像を入力して前記第2内視鏡画像を出力する
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項8】
狭帯域光観察により得られた第1内視鏡画像用の前記モデルは染色液の種類に応じて複数設けられており、
染色液の種類を受け付け、
受け付けた染色液に対応するモデルを選択し、
選択した染色液に対応するモデルに、取得した狭帯域光観察により得られた前記第1内視鏡画像を入力して、受け付けた染色液による染色後の被検体内を示す前記第2内視鏡画像を出力する
請求項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第1内視鏡画像と、生成した前記第2内視鏡画像とを対比可能に表示する
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
複数種類の染色液の選択を受け付け、
前記モデルを用いて、選択された複数種類の染色液にそれぞれによる染色後の被検体内を示す複数の前記第2内視鏡画像を出力する
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項11】
内視鏡画像を入力した場合に内視鏡画像における腫瘍に関する情報を出力するよう学習された第2モデルに、前記モデルから出力された前記第2内視鏡画像を入力して腫瘍に関する情報を出力する
請求項1又は請求項に記載のプログラム。
【請求項12】
内視鏡画像を入力した場合に内視鏡画像における腫瘍に関する情報を出力するよう学習された第2モデルに、前記第1内視鏡画像を入力して前記第1内視鏡画像における腫瘍に関する情報を出力し、
出力された前記第1内視鏡画像における腫瘍に関する情報が所定条件を満たす場合、前記モデルにより前記第2内視鏡画像を生成し、
生成した前記第2内視鏡画像を前記第2モデルに入力して前記第2内視鏡画像における腫瘍に関する情報を出力する
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像と、内視鏡により撮像された染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像と、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を入力した場合に未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を生成する生成モデルを用いて生成した未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像とを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して第2内視鏡画像を出力する
処理を実行する制御部を備える
情報処理装置。
【請求項14】
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像と、内視鏡により撮像された染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像と、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を入力した場合に未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を生成する生成モデルを用いて生成した未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像とを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して第2内視鏡画像を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項15】
被検体内における第2部位に係る内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
被検体内における前記第2部位とは異なる第1部位に係る第1内視鏡画像及び前記第1部位に係る染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を含む訓練データを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第2部位に係る前記第1内視鏡画像を入力して前記第2部位に係る第2内視鏡画像を出力する
処理を実行する制御部を備える
情報処理装置。
【請求項16】
被検体内における第2部位に係る内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、
被検体内における前記第2部位とは異なる第1部位に係る第1内視鏡画像及び前記第1部位に係る染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を含む訓練データを用いて、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第2部位に係る前記第1内視鏡画像を入力して前記第2部位に係る第2内視鏡画像を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、モデルの生成方法、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消化管等の生体内部を診断するために内視鏡が広く使用されている。医師は、内視鏡により撮像された画像を用いて検査の対象となる組織の観察を行う。内視鏡を用いた検査は、一般的に、染色液を用いることなく可視光内視鏡により観察を行う内視鏡法により行なわれている。
【0003】
また、通常の内視鏡法では診断困難な微細な粘膜表面の観察などを可能にする方法として、組織表面に色素を含む染色液を撒布した状態で、色素内視鏡により観察を行う色素内視鏡法(色素法)に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6438322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、色素内視鏡法は被検体を染色する必要があるという問題がある。被検体内への染色液の撒布には時間やコストを要し、また、観察対象となる部位によっては染色液を容易に撒布することができない。
【0006】
本開示の目的は、被検体内を染色することなく染色後の被検体内を示す画像を取得することができるプログラム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して第2内視鏡画像を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係るモデルの生成方法は、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像と、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像とを取得し、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成する第1生成モデルと、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を入力した場合に未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を生成する第2生成モデルと、前記第1生成モデルが生成した第2内視鏡画像または取得した第2内視鏡画像が入力された場合に前記第1生成モデルが生成した画像か否かを識別する第1識別モデルと、前記第2生成モデルが生成した第1内視鏡画像または取得した第1内視鏡画像が入力された場合に第2生成モデルが生成した画像か否かを識別する第2識別モデルと、を共同でトレーニングすることにより前記第1生成モデルを生成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、被検体内を染色することなく染色後の被検体内を示す画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の情報処理システムの概要図である。
図2】情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図3】第1学習モデルの概要図である。
図4】第1生成器を含む第1学習モデルの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】表示装置に表示される画面の一例を示す模式図である。
図7】第2実施形態の情報処理システムの概要図である。
図8】第2実施形態の情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9】表示装置に表示される画面の一例を示す模式図である。
図10】第3実施形態の情報処理システムの概要図である。
図11】第2学習モデルの概要図である。
図12】第3実施形態の情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13】表示装置に表示される画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の情報処理システム100の概要図である。情報処理システム100は、内視鏡装置1及び情報処理装置2を備える。内視鏡装置1及び情報処理装置2は、例えばインターネット又はLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して通信可能に接続されている。情報処理システム100に含まれる内視鏡装置1は1つに限らず複数であってもよい。
【0013】
内視鏡装置1は、被検者の生体内(被検体内)を撮像する内視鏡11、及び内視鏡11により得られた信号に基づいて生体内部の内視鏡画像を生成するプロセッサ装置12を備える。
【0014】
内視鏡11は、生体内に挿入される長尺の挿入部と、操作部とを備え、プロセッサ装置12に着脱可能に接続されたユニバーサルコードを介してプロセッサ装置12に接続されている。プロセッサ装置12に設けられた光源125(図2参照)から光ファイバーで導かれた光が内視鏡11の挿入部の先端から照射され、内視鏡11の撮像光学系により生体内の画像が取得される。
【0015】
プロセッサ装置12は、内視鏡11で撮像された撮像信号をデジタル画像信号に変換し、ホワイトバランス調整およびシェーディング補正等の各種画像処理を行い、ユーザが目視しやすい状態にした画像(内視鏡画像)を生成する。生成される内視鏡画像は、例えば所定のサンプリングレートにより取得される複数の静止画像を含む動画像である。プロセッサ装置12は、生成した内視鏡画像を情報処理装置2へ送信する。
【0016】
プロセッサ装置12には、表示装置13及び入力装置14が接続されている。表示装置13は、例えば液晶又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置を備える。表示装置13は、プロセッサ装置12が生成した内視鏡画像及び情報処理装置から取得した各種情報等を表示する。入力装置14は、例えばキーボード、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を備える。入力装置14は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作内容に応じた制御信号をプロセッサ装置12へ送出する。
【0017】
光源125は、被検体内を照明する照明光を内視鏡11に供給する。光源125は、例えば、レーザーダイオード、LED(Light Emitting Diode)、キセノンランプ等の光源装置を備える。光源125は、通常光観察用の白色光と、狭帯域光観察(NBI:Narrow Band Imaging(登録商標))用の特定の波長帯域光である励起光とを発生可能に構成されている。プロセッサ装置12は、例えば通常光観察モードに対応する照明モードと狭帯域光観察モードに対応する照明モードとの切り換えを指示する不図示の切り替えスイッチを備え、切り替えスイッチを切り替えることにより、通常光観察モードと狭帯域光観察モードとの切り替えが可能である。
【0018】
通常光観察とは、生体内に染色液を撒布することなく生体内を観察するものである。狭帯域光観察とは、通常光観察と同様に、染色液を撒布することなく生体内を観察するものである。狭帯域光観察(特殊光観察)では、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長(390~445nm及び530~550nm)の光を生体組織に対して照射することにより、粘膜表層の毛細血管や粘膜微細模様の強調表示を実現する。なおプロセッサ装置12は、通常光観察用及び狭帯域光観察用の少なくとも一方に対応した光源125を備えるのものであってもよい。以下の説明では必要に応じて、内視鏡画像のうち、通常光観察用の白色光により生成される内視鏡画像を通常内視鏡画像、狭帯域光観察用の励起光により生成される内視鏡画像をNBI内視鏡画像とも称する。
【0019】
情報処理装置2は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、又は量子コンピュータ等である。情報処理装置2は内視鏡装置1と同じ施設(病院等)に設置されたローカルサーバであってもよく、インターネット等を介して内視鏡装置1に通信接続されたクラウドサーバであってもよい。情報処理装置2は、内視鏡装置1により生成された染色液を未撒布の生体内の状態を示す内視鏡画像(未染色内視鏡画像)を取得する。情報処理装置2は、取得した内視鏡画像に基づき、後述する第1学習モデルを用いて、染色液を撒布した後の生体内の状態を示す内視鏡画像(染色後内視鏡画像)を生成する。
【0020】
染色後内視鏡画像とは、色素法により得られる内視鏡画像に対応する。色素法とは、内視鏡検査中に各種の色素を含む染色液を生体内に撒布することにより、組織表面における凹凸の強調や、特定の組織を反応させる手法である。
【0021】
染色後内視鏡画像の対象となる色素法は限定されるものではない。一例として、コントラスト法は、例えばインジゴカルミンを用いて、組織表面(病変)の凹凸を強調し観察する。染色法は、例えばトルイジンブルー、メチレンブルー等を用いて、色素液の浸潤又は吸収による生検組織の染色を観察する。色素反応法は、例えばクリスタルバイオレット、ルゴール等を用いて、色素がある特定の環境下で特異的に反応する現象を観察する。
【0022】
上述のような色素法による染色後内視鏡画像を用いることで、例えば病変、病変の位置、又は深達度等を精度よく認識することができる。しかしながら、染色液を生体内に撒布するには時間やコストを要し、被検者への負担が大きく、医療従事者側においても負担が増加する。また、例えば気管支、膀胱、子宮等の生体部位については、染色液を撒布することが困難であり、色素法を適用することができない場合がある。情報処理システム100では、実際に生体内に染色液を撒布することなく、未染色の生体内を撮像した未染色内視鏡画像から疑似的な染色後内視鏡画像を生成する。情報処理システム100は、生成した染色後内視鏡画像を医師等の医療従事者へ提供することで、医療従事者の診断、検査又は鏡視下手術などを好適に支援する。
【0023】
図2は、情報処理システム100の構成例を示すブロック図である。
内視鏡装置1のプロセッサ装置12は、上述の光源125に加えて、制御部121、記憶部122、通信部123及び入出力部124等を備える。
【0024】
制御部121は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いたプロセッサを備える。制御部121は、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0025】
記憶部122は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを備える。記憶部122は、制御部121が参照するプログラム1Pを含む各種プログラム及びデータを記憶する。
【0026】
通信部123は、通信に関する処理を行うための通信モジュールである。制御部121は、通信部123を介して情報処理装置2との間でデータを送受信する。
【0027】
入出力部124は、外部装置を接続するための入出力I/F(Interface)を備える。入出力部124には、表示装置13及び入力装置14等が接続されている。制御部121は、入力装置14に対する外部からの操作に応じて発生した入力信号に基づき行った情報処理の結果を表示装置13に出力する。
【0028】
情報処理装置2は、制御部21、記憶部22及び通信部23を備える。情報処理装置2は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよく、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。
【0029】
制御部21は、一又は複数のCPU、GPU等を用いたプロセッサを備える。制御部21は、内蔵するROM又はRAM等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0030】
記憶部22は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の不揮発性メモリを備える。記憶部22は、情報処理装置2に接続された外部記憶装置であってもよい。記憶部22は、制御部21が参照するプログラム及びデータを記憶する。記憶部22に記憶されるプログラムには、染色後内視鏡画像の生成に関する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム2Pが含まれる。
【0031】
記憶部22に記憶されるプログラム(プログラム製品)は、記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でもよい。記憶部22は、読出装置によって記録媒体2Aから読み出されたプログラムを記憶する。記録媒体2Aは、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等である。また、通信ネットワークに接続されている外部サーバからプログラムをダウンロードし、記憶部22に記憶させてもよい。プログラム2Pは、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0032】
記憶部22にはまた、第1学習モデル222が記憶されている。第1学習モデル222は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルである。第1学習モデル222は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0033】
通信部23は、ネットワークNを介して外部装置と通信するための通信モジュールを備える。制御部21は、通信部23を介して内視鏡装置1との間でデータを送受信する。
【0034】
情報処理装置2の構成は上述の例に限定されず、例えばユーザの操作を受け付けるための操作部、各種情報を表示するための表示部等を備えてもよい。
【0035】
なお情報処理装置2は、プロセッサ装置12とは別個の装置に限られず、例えば情報処理装置2とプロセッサ装置12とが共通する1台の処理装置であってもよい。
【0036】
図3は、第1学習モデル222の概要図である。本実施形態では、情報処理装置2は、CycleGAN(Cycle Generative Adversarial Networks)の手法を用いて未染色内視鏡画像及び染色後内視鏡画像を学習し、第1学習モデル222を生成する。
【0037】
CycleGANは、敵対的生成ネットワークである2つのGANを含み、2つのGANにサイクル性を持たせたモデルである。図3に示すように、第1学習モデル222は、第1のGANを構成する第1生成器222a及び第1識別器222bと、第2のGANを構成する第2生成器222c及び第2識別器222dとを含む。
【0038】
第1生成器222aは、入力データから出力データを生成する生成器( Generator)であり、第1生成モデルに対応する。第1生成器222aは、入力される未染色内視鏡画像xに基づき、偽の染色後内視鏡画像(生成染色後内視鏡画像)G(x)を生成する。第1生成器222aに入力される未染色内視鏡画像xは、未染色の状態を示す通常内視鏡画像及びNBI内視鏡画像のいずれであってもよい。第1生成器222aから出力される生成染色後内視鏡画像G(x)は、例えば、色素としてインジコカルミンを含む染色液を撒布した後の状態を示す内視鏡画像である。生成染色後内視鏡画像G(x)は、インジコカルミン以外を含む染色液を撒布した後の状態を示す内視鏡画像であってもよい。
【0039】
第1識別器222bは、入力データの真偽を識別する識別器( Discriminator)であり、第1識別モデルに対応する。第1識別器222bは、第1生成器222aから入力された画像が、染色後内視鏡画像群Yに含まれる染色後内視鏡画像y(すなわち本物)であるか、第1生成器222aにより生成された生成染色後内視鏡画像G(x)(すなわち偽物)であるかを識別する。
【0040】
第2生成器222cは、入力データから出力データを生成する生成器であり、第2生成モデルに対応する。第2生成器222cは、入力される染色後内視鏡画像yに基づき、偽の未染色内視鏡画像(生成未染色内視鏡画像)G(y)を生成する。第2生成器222cに入力される染色後内視鏡画像yは、通常内視鏡画像及びNBI内視鏡画像のいずれであってもよい。染色後内視鏡画像yは、例えば、色素としてインジコカルミンを含む染色液を撒布した後の状態を示す内視鏡画像である。染色後内視鏡画像yは、インジコカルミン以外を含む染色液を撒布した後の状態を示す内視鏡画像であってもよい。
【0041】
第2識別器222dは、入力データの真偽を識別する識別器であり、第2識別モデルに対応する。第2識別器222dは、第2生成器222cから入力された画像が、未染色内視鏡画像群Xに含まれる未染色内視鏡画像x(すなわち本物)であるか、第2生成器222cにより生成された生成未染色内視鏡画像G(y)(すなわち偽物)であるかを識別する。
【0042】
第1学習モデル222は、予め情報処理装置2において生成され、学習される。情報処理装置2は、例えば病院のカルテデータベース等を通じて、過去の内視鏡検査において取得された内視鏡画像を大量に収集する。収集される内視鏡画像には、内視鏡装置1により撮像された本物の未染色内視鏡画像xと、内視鏡装置1により撮像された本物の染色後内視鏡画像yとが含まれている。
【0043】
情報処理装置2は、複数の未染色内視鏡画像xを含む未染色内視鏡画像群Xと、複数の染色後内視鏡画像yを含む染色後内視鏡画像群Yとを訓練データとして用いて、第1学習モデル222を機械学習する。なお、ドメインの異なる未染色内視鏡画像xと、染色後内視鏡画像yのペア付け(データのラベリング)は不要である。
【0044】
未染色内視鏡画像xと、染色後内視鏡画像yとは、同一の生体部位に係る内視鏡画像であってもよく、異なる生体部位に係る内視鏡画像であってもよい。一例として、未染色内視鏡画像群Xは、上部消化管用の内視鏡装置1により未染色の被検者の胃を撮像した内視鏡画像群であり、染色後内視鏡画像群Yは、下部消化管用の内視鏡装置1により染色後の被検者の大腸を撮像した内視鏡画像群であってもよい。
【0045】
上述のようなアンペアな画像群を訓練データとして使用することで、訓練データの収集を容易にすることができる。また、アンペアな画像群を訓練データとすることができるため、染色が困難な部位の染色後内視鏡画像を不要とすることができる。従って、例えば気管支、膀胱又は子宮等、染色液を撒布することが困難な生体部位についても、染色後画像を精度よく生成することができる。
【0046】
情報処理装置2は、第1生成器222aにて、第1識別器222bをだませるほどに本物の染色後内視鏡画像yに近い生成染色後内視鏡画像G(x)を生成するように、例えば誤差逆伝播法を用いて第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。同様に情報処理装置2は、第2生成器222cにて、第2識別器222dをだませるほどに本物の未染色内視鏡画像xに近い生成未染色内視鏡画像G(y)を生成するように、第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。
【0047】
情報処理装置2はまた、第1識別器222bにて、第1生成器222aにより生成された生成染色後内視鏡画像G(x)を「偽物」であると正しく識別し、染色後内視鏡画像yを「本物」であると正しく識別できるように、第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。同様に情報処理装置2は、第2識別器222dにて、第2生成器222cにより生成された生成未染色内視鏡画像G(y)を「偽物」であると正しく識別し、未染色内視鏡画像xを「本物」であると正しく識別できるように、第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。上述の処理は敵対性損失の最適化に対応する。
【0048】
さらに情報処理装置2は、未染色内視鏡画像群Xの未染色内視鏡画像xを第1生成器222aで変換した生成染色後内視鏡画像G(x)を、さらに第2生成器222cで変換した生成未染色内視鏡画像G(y)が、元の未染色内視鏡画像xに戻るように、第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。同様に情報処理装置2は、染色後内視鏡画像群Yの染色後内視鏡画像yを第2生成器222cで変換した生成未染色内視鏡画像G(y)を、さらに第1生成器222aで変換した生成染色後内視鏡画像G(x)が、元の染色後内視鏡画像yに戻るように、第1学習モデル222の各種パラメータを最適化する。上述の処理はサイクル一貫性損失の最適化に対応する。
【0049】
第1学習モデル222は、各生成器及び各識別器が競合して学習を行い、最終的に生成器の損失関数が最小化し、かつ、識別器の損失関数が最大化するよう学習される。情報処理装置2は、学習が完了すると、学習済みの第1学習モデル222を記憶部22に記憶する。
【0050】
情報処理装置2は、得られた第1学習モデル222の第1生成器222aを画像生成モデルとして利用する。情報処理装置2は、第1生成器222aへ未染色内視鏡画像を入力して、染色後内視鏡画像を生成することができる。
【0051】
第1生成器222aへ入力する未染色内視鏡画像の生体部位と、訓練データに使用した内視鏡画像の生体部位とは、同一であってもよく、異なるものであってもよい。すなわち、所定の部位に係る内視鏡画像を含む訓練データを用いて第1学習モデル222を構築し、当該第1学習モデル222を用いて、前記所定の部位以外の部位に係る染色後内視鏡画像を生成することができる。情報処理装置2は、例えば、被検者の胃又は大腸を撮像した画像を含む未染色内視鏡画像群Xと、被検者の胃を撮像した画像を含む染色後内視鏡画像群Yとを訓練データとして使用して、第1学習モデル222を構築する。情報処理装置2は、第1学習モデル222へ被検者の胃及び大腸以外の部位(例えば気管支)に係る未染色内視鏡画像を入力データとして与え、当該胃及び大腸以外の部位に係る染色後内視鏡画像を生成することができる。
【0052】
なお本実施形態においては、第1学習モデル222はCycleGANであるものとするが、第1学習モデル222の構成は限定されるものではない。第1学習モデル222は、未染色内視鏡画像に応じた染色後内視鏡画像を生成可能であればよい。第1学習モデル222は、例えばCUT(Contrastive Unpaired Translation)、U-net、深層学習、回帰木等の他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0053】
図4は、第1生成器222aを含む第1学習モデル222の生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0054】
情報処理装置2の制御部21は、複数の未染色内視鏡画像及び染色後内視鏡画像を含む画像データ群である訓練データを取得する(ステップS101)。
【0055】
制御部21は、取得した訓練データを用いて、未染色内視鏡画像を入力した場合に、染色後内視鏡画像を出力する第1生成器222aを含む第1学習モデル222を生成する(ステップS102)。具体的には制御部21は、上述の如くCycleGANの手法を用いて、第1生成器222a、第1識別器222b、第2生成器222c及び第2識別器222dを共同でトレーニングすることにより、敵対性損失及びサイクル一貫性損失を最適化するよう第1学習モデル222を学習する。制御部21は、第1生成器222a及び第2生成器222cそれぞれの損失関数が最小化し、かつ、第1識別器222b及び第2識別器222dの損失関数が最大化するよう、例えば誤差逆伝播法を用いて第1学習モデル222のパラメータを調整する。
【0056】
学習が開始される前の段階では、第1学習モデル222を記述する定義情報には、初期設定値が与えられているものとする。誤差、学習回数が所定基準を満たすことによって学習が完了すると、最適化されたパラメータが得られる。学習が終了すると、制御部21は、学習済みの第1学習モデル222として、学習済みの第1学習モデル222に関する定義情報を記憶部22に記憶し、一連の処理を終了する。
【0057】
第1学習モデル222は、情報処理装置2において構築されるものに限らず、情報処理装置2と通信接続された外部装置において構築され、情報処理装置2へ送信されてもよい。情報処理装置2の記憶部22には、外部装置から受信した第1学習モデル222が記憶される。なお第1学習モデル222は、情報処理装置2に記憶されるものに限らずプロセッサ装置12側に記憶されていてもよい。
【0058】
図5は、情報処理システム100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の各フローチャートにおける処理は、プロセッサ装置12の記憶部122に記憶するプログラム1Pに従って制御部121により実行されるとともに情報処理装置2の記憶部22に記憶するプログラム2Pに従って制御部21により実行されてもよく、制御部121及び制御部21それぞれに備えられた専用のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組合せによって実現されてもよい。
【0059】
プロセッサ装置12の制御部121は、内視鏡11から撮像画像を取得し、取得した撮像画像に所定の画像処理を施した未染色内視鏡画像を取得する(ステップS11)。制御部121は、取得した未染色内視鏡画像を情報処理装置2へ送信する(ステップS12)。
【0060】
情報処理装置2の制御部21は、プロセッサ装置12から未染色内視鏡画像を受信する(ステップS13)。制御部21は、受信した未染色内視鏡画像を第1学習モデル222の第1生成器222aへ入力する(ステップS14)。制御部21は、第1学習モデル222の第1生成器222aから出力される染色後内視鏡画像を取得する(ステップS15)。
【0061】
制御部21は、取得した染色後内視鏡画像を含む画面を生成する(ステップS16)。制御部21は、生成した画面をプロセッサ装置12へ送信する(ステップS17)。
【0062】
プロセッサ装置12の制御部121は、情報処理装置2から画面を受信し(ステップS18)、受信した画面を表示装置13へ表示する(ステップS19)。
【0063】
制御部121は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS20)。終了しないと判定した場合(ステップS20:NO)、制御部121は処理をステップS11へ戻す。終了すると判定した場合(ステップS20:YES)、制御部121は一連の処理を終了する。
【0064】
医療従事者は、表示装置13を介して表示される染色後内視鏡画像に基づき、実際の染色工程を経ることなく染色後の状態を把握することができる。なお、上述の染色後内視鏡画像の生成は、検査時のリアルタイムで行ってもよく、あるいは検査後に録画された内視鏡画像をまとめて取得し、染色後内視鏡画像の生成を行ってもよい。
【0065】
上述のフローチャートにおける各処理の処理主体は限定されるものではない。図5における処理の一部又は全部は、プロセッサ装置12で実行されてもよい。プロセッサ装置12は、予め第1学習モデル222を記憶部122に記憶しておき、当該第1学習モデル222を用いて画像生成処理を実行してもよい。また染色後内視鏡画像は、プロセッサ装置12を介して表示装置13へ表示されるものに限られず、制御部21は、プロセッサ装置12以外の装置に染色後内視鏡画像を出力し、表示させてもよい。
【0066】
情報処理装置2とプロセッサ装置12との間におけるデータの授受はネットワークNを介した通信によるものに限らず、例えば記録媒体を用いたオフラインによる手法にてデータを授受するものであってもよい。
【0067】
図6は、表示装置13に表示される画面の一例を示す模式図である。画面には、例えば未染色内視鏡画像表示部131と、染色後内視鏡画像表示部132とが含まれている。未染色内視鏡画像表示部131及び染色後内視鏡画像表示部132は並べて表示されている。
【0068】
未染色内視鏡画像表示部131には、プロセッサ装置12から取得した未染色の生体内を示す内視鏡画像が表示されている。
【0069】
染色後内視鏡画像表示部132には、未染色内視鏡画像を変換した染色後内視鏡画像が表示されている。染色後内視鏡画像表示部132には、例えばインジコカルミンを用いたコントラスト法による染色後の生体内を示す画像が表示されている。染色後内視鏡画像表示部132に表示される内視鏡画像は、未染色内視鏡画像表示部131の未染色内視鏡画像に含まれる生体内部の領域に対し、染色液を撒布した後の状態を仮想的に示す画像である。
【0070】
情報処理装置2は、プロセッサ装置12から未染色内視鏡を取得した場合、第1学習モデル222を用いて取得した未染色内視鏡を染色後内視鏡画像へ変換する。情報処理装置2は、元の未染色内視鏡を未染色内視鏡画像表示部131に表示させるとともに、変換後の染色後内視鏡画像を染色後内視鏡画像表示部132に表示させる。
【0071】
なお、図6に示す画面構成は一例である。未染色内視鏡画像及び染色後内視鏡画像は並列表示されるものに限らず、未染色内視鏡画像及び染色後内視鏡画像を対比可能に表示するものであればよい。
【0072】
本実施形態によれば、検査時における染色液の撒布を行うことなく、第1学習モデル222を用いて、未染色内視鏡画像から染色後内視鏡画像を容易且つ精度よく生成することができる。
【0073】
(第2実施形態)
第2実施形態では、複数の第1学習モデル222を備える構成について説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0074】
図7は、第2実施形態の情報処理システム100の概要図である。第2実施形態の情報処理システム100では、情報処理装置2の記憶部22に複数の第1学習モデル222が記憶されている。
【0075】
第2実施形態の情報処理装置2は、染色後内視鏡画像の生成対象とする染色液の種類と、内視鏡画像の種類とに応じて複数の第1学習モデル222を構築し、記憶部22に記憶しておく。各第1学習モデル222の構成は第1実施形態と同様である。
【0076】
上述したように、色素法には各種の手法があり、色素法の手法により使用可能な染色液の色素が異なる。また同一の手法であっても複数の色素が使用可能である。使用する色素に応じて染色後の生体内の状態は異なるため、生体内の状態を示す染色後内視鏡画像も異なることが予想される。第2実施形態では、染色液の種類毎に第1学習モデル222を用意することで、所望の染色液を適用した場合の染色後内視鏡画像を提供する。本実施形態における染色液の種類は、一例として、インジコカルミン、トルイジンブルー及びクリスタルバイオレットを含む。
【0077】
また、プロセッサ装置12から取得する未染色内視鏡画像には、通常内視鏡画像とNBI内視鏡画像とが含まれている。第2実施形態では内視鏡画像の種類毎に第1学習モデル222を用意することで、プロセッサ装置12から取得する未染色内視鏡画像の種類に応じた染色後内視鏡画像を提供する。
【0078】
記憶部22には、上記3種類の染色液と、2種類の内視鏡画像との組み合わせに応じた6つの第1学習モデル222が記憶されている。
【0079】
情報処理装置2は、第1学習モデル222の学習にあたり、訓練データに用いる未染色内視鏡画像xとして、異なる種類の内視鏡画像を複数取得する。この場合において、情報処理装置2は、未染色内視鏡画像と、未染色内視鏡画像に係る内視鏡画像の種類とを対応付けて取得する。また情報処理装置2は、訓練データに用いる染色後内視鏡画像yとして、異なる種類の染色液により染色した複数の染色後内視鏡画像を取得する。この場合において、情報処理装置2は、染色後内視鏡画像と、染色後内視鏡画像に係る染色液の種類とを対応付けて取得する。
【0080】
情報処理装置2は、同一種類の内視鏡画像が対応付けられた未染色内視鏡画像xを含む未染色内視鏡画像群Xと、同一種類の染色液が対応付けられた染色後内視鏡画像yを含む染色後内視鏡画像群Yと、を訓練データとして使用することにより、内視鏡画像及び染色液の種類に応じた第1学習モデル222を構築することができる。各第1学習モデル222の第1生成器222aは、特定種の未染色内視鏡画像を入力として、特定種の染色液による染色後の生体内を示す特定種の染色後内視鏡画像を出力する。
【0081】
なお、第1学習モデル222は、内視鏡画像及び染色液の種類毎に設けられるものに限らず、内視鏡画像の種類毎に設けられてもよく、染色液の種類毎に設けられてもよい。第1学習モデル222は、色素法の種類(例えばコントラスト法、染色法及び反応法)の種類毎に設けられてもよい。
【0082】
図8は、第2実施形態の情報処理システム100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0083】
プロセッサ装置12の制御部121は、医療従事者が入力装置14を通じて行う選択操作又は入力操作を受け付けることにより、操作に基づき選択又は入力された染色液の種類を受け付ける(ステップS31)。制御部121は、情報処理装置2から送信される染色液の種類を受け付けるための受付画面を表示装置13に表示し、受付画面を利用して医療従事者から染色液の種類を受け付けてもよい。
【0084】
制御部121は、受け付けた染色液の種類を特定する情報を情報処理装置2へ送信する(ステップS32)。
【0085】
情報処理装置2の制御部21は、プロセッサ装置12から染色液の種類を受信する(ステップS33)。
【0086】
プロセッサ装置12の制御部121は、図5に示したステップS11~ステップS12と同様の処理を実行し、未染色内視鏡画像を取得し(ステップS34)、取得した未染色内視鏡画像を情報処理装置2へ送信する(ステップS35)。
【0087】
情報処理装置2の制御部21は、プロセッサ装置12から未染色内視鏡画像を受信する(ステップS36)。制御部21は、取得した未染色内視鏡画像に対する画像種類の判定処理を行い、取得した未染色内視鏡画像の種類を特定する(ステップS37)。ステップS37では、制御部21は、例えば、プロセッサ装置12から未染色内視鏡画像に対応付けて、内視鏡11に適用されている観察モード(通常光観察モード又は狭帯域光観察モード)を取得することにより未染色内視鏡画像の種類を特定してもよい。あるいは制御部21は、例えばパターンマッチング又は機械学習の手法を用いて未染色内視鏡画像の種類を特定してもよい。
【0088】
制御部21は、受け付けた染色液の種類と、特定した未染色内視鏡画像の種類とに応じた第1学習モデル222を特定することにより、記憶部22に記憶する複数の第1学習モデル222の中から、染色後内視鏡画像の生成に用いる第1学習モデル222を選択する(ステップS38)。例えば、染色液の種類がインジコカルミン及びクリスタルバイオレットであり、未染色内視鏡画像の種類がNBI内視鏡画像であった場合、インジコカルミン且つNBI内視鏡画像用の第1学習モデル222と、クリスタルバイオレット且つNBI内視鏡画像用の第1学習モデル222とが選択される。
【0089】
制御部21は、選択した第1学習モデル222の第1生成器222aへ、受信した未染色内視鏡画像を入力する(ステップS39)。制御部21は、第1学習モデル222の第1生成器222aから出力される染色後内視鏡画像を取得する(ステップS40)。これにより、取得した未染色内視鏡画像と同じ種類の内視鏡画像であって、受け付けた染色液による染色後の染色後内視鏡画像が生成される。
【0090】
以降、情報処理システム100は、図5に示したステップS16~ステップS20の処理を実行することにより、染色後内視鏡画像を表示装置13へ表示させる。
【0091】
図9は、表示装置13に表示される画面の一例を示す模式図である。画面には、例えば未染色内視鏡画像表示部131、染色後内視鏡画像表示部132a,132b、及び変換情報表示部133が含まれている。
【0092】
未染色内視鏡画像表示部131には、プロセッサ装置12から取得した内視鏡画像が表示されている。図9に示す例にて、未染色内視鏡画像表示部131には、未染色のNBI内視鏡画像が表示されている。
【0093】
染色後内視鏡画像表示部132a,132bにはそれぞれ、複数の第1学習モデル222により生成された染色後内視鏡画像が表示されている。図9に示す例にて、染色後内視鏡画像表示部132aにはインジコカルミンによる染色後のNBI内視鏡画像が表示され、染色後内視鏡画像表示部132bにはクリスタルバイオレットによる染色後のNBI内視鏡画像が表示されている。染色後内視鏡画像表示部132に表示される染色後内視鏡画像の枚数は、染色液の種類の選択数に応じて適宜変更される。なお図9では、各内視鏡画像を模式的に示している。
【0094】
変換情報表示部133には、染色後内視鏡画像への変換条件が表示されている。染色後内視鏡画像への変換条件とは、適用した第1学習モデル222の内容に対応し、例えば内視鏡画像の種類と、染色液の種類とを含む。
【0095】
情報処理装置2は、プロセッサ装置12から未染色内視鏡を取得した場合、取得した変換条件に応じた各第1学習モデル222を用いて染色後内視鏡画像を生成し、生成した各染色後内視鏡画像をそれぞれ染色後内視鏡画像表示部132a,132bへ表示させる。また情報処理装置2は、受け付けた染色液の種類及び特定した内視鏡画像の種類を示すテキスト、オブジェクト等を変換情報表示部133に表示させる。
【0096】
変換情報表示部133は、リアルタイムで染色液の種類に対する変更を受け付け可能に構成されていてもよい。例えば図9に示す変換情報表示部133において、各染色液の種類に対応付けられるチェックボックスの選択を追加又は削除することにより、染色液の種類に対する選択の変更を受け付ける。情報処理装置2は、プロセッサ装置12を通じて染色液の種類に対する変更を受け付けた場合、変更後の染色液の種類に応じて、使用する第1学習モデル222を再度特定する。以降、情報処理装置2は、再特定した第1学習モデル222を使用して染色後内視鏡画像の生成処理を実行する。
【0097】
さらに画面には、図9に示すように保存ボタン135が含まれていてもよい。情報処理装置2は、プロセッサ装置12を通じて保存ボタン135の押下操作を受け付けた場合、画面に表示されているデータを対応付けて履歴情報として記憶部22に記憶する。情報処理装置2は、例えば画面の表示対象となる患者名等の患者情報、検査日時又は画像生成日時、未染色内視鏡画像、染色後内視鏡画像、染色後内視鏡画像に対する染色液の種類、及び内視鏡画像の種類等を対応付けて記憶する。記憶された履歴情報は、記憶後の任意のタイミングにて読み出すことが可能である。
【0098】
本実施形態によれば、複数の第1学習モデル222を設けることにより、所望の内視鏡画像の種類又は染色液の種類に応じた染色後内視鏡画像を容易に生成することができるため、情報処理システム100の利便性を向上することができる。医療従事者は、複数の染色液による染色後内視鏡画像を同時に比較することができ、より多くの情報を把握することができる。内視鏡画像の種類及び染色液の種類毎に第1学習モデル222を設け、入力データ及び変換条件に応じて使用する第1学習モデル222を適宜切り替えることで、各特性に応じた精度のよい染色後内視鏡画像を生成することができる。
【0099】
(第3実施形態)
第3実施形態では、病変を認識する第2学習モデル223をさらに備える構成について説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0100】
図10は、第3実施形態の情報処理システム100の概要図である。第3実施形態の情報処理システム100では、情報処理装置2の記憶部22は、第1学習モデル222に加えて、第2学習モデル223を記憶している。第2学習モデル223は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルである。第2学習モデル223は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0101】
図11は、第2学習モデル223の概要図である。第2学習モデル223は、内視鏡画像を入力として、内視鏡画像における病変に関する情報を出力するよう構成されている。以下では、病変に関する情報として腫瘍の有無を識別する例を説明する。
【0102】
第2学習モデル223は、例えば深層学習によって生成されるニューラルネットワークモデルであり、CNN(Convolutional neural network)である。第2学習モデル223は、内視鏡画像が入力される入力層と、画像の特徴量を抽出する中間層と、内視鏡画像における腫瘍の有無を示す情報を出力する出力層とを有する。
【0103】
第2学習モデル223の入力層は、内視鏡画像に含まれる各画素の画素値の入力を受け付ける複数のノードを有し、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、入力データの特徴量を抽出する複数のノードを有し、各種パラメータを用いて抽出された特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、腫瘍の有無の識別結果を出力する。
【0104】
情報処理装置2は、過去の内視鏡検査において取得された大量の内視鏡画像と、各内視鏡画像における腫瘍の有無とが対応付けられた訓練データを用いて、例えば誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行うことにより、第2学習モデル223を学習する。これにより、内視鏡画像が入力された場合、腫瘍の識別結果を示す情報を適切に出力可能に学習された第2学習モデル223が構築される。
【0105】
本実施形態の情報処理装置2は、入力となる内視鏡画像の種類に応じた2つの第2学習モデル223を記憶部22に記憶している。第1の第2学習モデル223は、未染色内視鏡画像を入力として、未染色内視鏡画像における腫瘍の識別結果を出力するよう構成されている。第2の第2学習モデル223は、染色後内視鏡画像を入力として、染色後内視鏡画像における腫瘍の識別結果を出力するよう構成されている。なお第2学習モデル223は、内視鏡画像の種類毎に設けられるものに限らず、1つの第2学習モデル223を用いて、内視鏡画像の種類を区別することなく入力可能に構成されてもよい。
【0106】
第2学習モデル223は、病変に関する情報として腫瘍の存在する確率を出力するよう構成されてもよい。第2学習モデル223は、腫瘍以外の病変を識別するものであってもよい。第2学習モデル223は、病変の種類、病変の位置(範囲)を出力するよう構成されてもよい。
【0107】
本実施形態においては、第2学習モデル223はCNNであるものとするが、第2学習モデル223の構成は限定されるものではない。第2学習モデル223は、内視鏡画像における病変に関する情報を識別可能であればよい。第2学習モデル223は、例えばRNN(Recurrent Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)、回帰木等、その他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。第2学習モデル223は、U-net、SSD(Single Shot Multibook Detector)、YOLO(You Only Look Once)等の物体検出アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0108】
図12は、第3実施形態の情報処理システム100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0109】
プロセッサ装置12の制御部121は、図5に示したステップS11~ステップS12と同様の処理を実行し、未染色内視鏡画像を取得し(ステップS51)、取得した未染色内視鏡画像を情報処理装置2へ送信する(ステップS52)。
【0110】
情報処理装置2の制御部21は、プロセッサ装置12から未染色内視鏡画像を受信する(ステップS53)。
【0111】
制御部21は、記憶部22に記憶する複数の第2学習モデル223の中から未染色内視鏡画像用の第2学習モデル223を選択し、選択した未染色内視鏡画像用の第2学習モデル223へ、受信した未染色内視鏡画像を入力する(ステップS54)。制御部21は、第2学習モデル223から出力される腫瘍の識別結果を取得する(ステップS55)。
【0112】
制御部21は、取得した腫瘍の識別結果に基づき、未染色内視鏡画像における腫瘍の有無を判定する(ステップS56)。腫瘍が無いと判定した場合(ステップS56:NO)、制御部21は染色後内視鏡画像の生成処理をスキップし、処理をステップS61へ進める。
【0113】
腫瘍があると判定した場合(ステップS56:YES)、制御部21は、未染色内視鏡画像を第1学習モデル222の第1生成器222aへ入力する(ステップS57)。制御部21は、第1学習モデル222の第1生成器222aから出力される染色後内視鏡画像を取得する(ステップS58)。
【0114】
制御部21は、記憶部22に記憶する複数の第2学習モデル223の中から染色後内視鏡画像用の第2学習モデル223を選択し、選択した染色後内視鏡画像用の第2学習モデル223へ、取得した染色後内視鏡画像を入力する(ステップS59)。制御部21は、第2学習モデル223から出力される腫瘍の識別結果を取得する(ステップS60)。
【0115】
制御部21は、取得した腫瘍の識別結果を含む画面を生成する(ステップS61)。制御部21は、生成した画面をプロセッサ装置12へ送信する(ステップS62)。
【0116】
プロセッサ装置12の制御部121は、情報処理装置2から画面を受信し(ステップS63)、受信した画面を表示装置13へ表示する(ステップS64)。
【0117】
制御部121は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS65)。終了しないと判定した場合(ステップS65:NO)、制御部121は処理をステップS51へ戻す。終了すると判定した場合(ステップS65:YES)、制御部121は一連の処理を終了する。
【0118】
上述のステップS56において、制御部21は、病変に関する情報が所定条件を満たすと判定した場合に、染色後内視鏡画像の生成処理を行うものであってもよい。制御部21は、例えば腫瘍の存在する確率が所定値以上であると判定した場合に、染色後内視鏡画像を生成してもよい。あるいは制御部21は、腫瘍の存在する確率が第1閾値(例えば40%)以上第2閾値未満(例えば80%)であると判定した場合に、染色後内視鏡画像を生成してもよい。この場合制御部21は、腫瘍の存在する確率が前記第2閾値以上の場合、染色後内視鏡画像を生成しない構成であってよい。すなわち制御部21は、腫瘍の存在する確率が第1範囲の場合に染色後内視鏡画像を生成せず、腫瘍の存在する確率が前記第1範囲よりも低い第2範囲の場合に染色後内視鏡画像を生成するものであってよい。これにより、情報処理装置2の処理負荷を軽減しつつ、染色後内視鏡画像を好適に生成し得る。
【0119】
上述のステップS56において、制御部21は、腫瘍の有無に関わらず、すなわち腫瘍が無いと判定した場合にも染色後内視鏡画像の生成処理を実行するものであってもよい。未染色内視鏡画像及び染色後内視鏡画像の両方に対し腫瘍の識別結果を提供することで、病変をより好適に検出し得る。
【0120】
図13は、表示装置13に表示される画面の一例を示す模式図である。図13は、未染色内視鏡画像に対する腫瘍の識別結果が「腫瘍あり」の場合に表示される画面の例である。画面には、例えば図6と同様の未染色内視鏡画像表示部131及び染色後内視鏡画像表示部132に加えて、病変情報表示部134a,134bが含まれている。
【0121】
病変情報表示部134aは、未染色内視鏡画像表示部131の近傍に配置されており、例えばテキストやオブジェクトなどにより、未染色内視鏡画像に対する腫瘍の識別結果を表示する。病変情報表示部134bは、染色後内視鏡画像表示部132の近傍に配置されており、例えばテキストやオブジェクトなどにより、染色後内視鏡画像に対する腫瘍の識別結果を表示する。
【0122】
情報処理装置2は、未染色内視鏡画像用の第2学習モデル223から腫瘍の識別結果を取得した場合、未染色内視鏡画像を未染色内視鏡画像表示部131に表示させるとともに、腫瘍の識別結果を示す情報を病変情報表示部134aに表示させる。
【0123】
同様に情報処理装置2は、染色後内視鏡画像用の第2学習モデル223から腫瘍の識別結果を取得した場合、染色後内視鏡画像を染色後内視鏡画像表示部132に表示させるとともに、腫瘍の識別結果を示す情報を病変情報表示部134bに表示させる。
【0124】
なお、未染色内視鏡画像に対する腫瘍の識別結果が「腫瘍なし」であった場合、情報処理装置2は、染色後内視鏡画像表示部132及び病変情報表示部134bを含まない画面を生成するものであってもよい。
【0125】
本実施形態によれば、第1学習モデル222と第2学習モデル223とを組み合わせることで、より多くの情報を提供することができる。第2学習モデル223により病変が検出された場合に、第1学習モデル222を用いて生成された染色後内視鏡画像が出力されるため、病変である可能性のある部位の確実な観察につながる。さらに、染色後内視鏡画像に対しても第2学習モデル223を適用することで、病変に関する情報の識別精度をより向上することができる。
【0126】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
【0127】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0128】
100 情報処理システム
1 内視鏡装置
11内視鏡
12 プロセッサ装置
13 表示装置
14 入力装置
121 制御部
122 記憶部
1P プログラム
123 通信部
124 入出力部
125 光源
2 情報処理装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
2P プログラム
222 第1学習モデル
223 第2学習モデル
2A 記録媒体
【要約】
【課題】被検体内を染色することなく染色後の被検体内を示す画像を取得することができるプログラム等を提供する。
【解決手段】プログラムは、内視鏡により撮像された未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を取得し、未染色の被検体内を示す第1内視鏡画像を入力した場合に、染色液による染色後の被検体内を示す第2内視鏡画像を生成するよう学習されたモデルに、取得した前記第1内視鏡画像を入力して第2内視鏡画像を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図13