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▶ エーエーシー オプティックス (ソシュウ) カンパニーリミテッドの特許一覧

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  • 特許-レンズモジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】レンズモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220822BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20220822BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220822BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G03B11/00
G03B30/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022078185
(22)【出願日】2022-05-11
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】202123157936.X
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011719
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス (ソシュウ) カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】卜建
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-098429(JP,A)
【文献】特開2021-009377(JP,A)
【文献】特開2021-047347(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112987220(CN,A)
【文献】中国実用新案第205942049(CN,U)
【文献】中国実用新案第212255832(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 11/00
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒と、前記鏡筒内に収容され、光軸を有するレンズ群と、前記レンズ群の像側に設けられ、前記レンズ群に突き当てられる押えリングと、前記押えリングに当接するフィルタとを備え、前記フィルタの外径は、前記押えリングの外径よりも大きく、前記鏡筒は、収容空間を有する筒体を含み、前記レンズ群、前記押えリング及び前記フィルタは前記収容空間内に収容されており、前記筒体は、ボスと、前記ボスに接続された内壁とを含み、前記内壁は、前記筒体の前記像側に近い一端に設けられ、前記押えリングは、第1外壁と、前記第1外壁に接続され、前記像側に近い接着剤収納溝とを備え、前記ボスは、互いに接続されたプラットフォーム部及び側壁部を含み、前記側壁部は、前記第1外壁に当接するレンズモジュールであって、前記レンズモジュールは、接着剤部をさらに備え、前記フィルタと前記内壁とは間隔をあけて設置されて接着剤充填チャネルを形成し、前記接着剤部は、前記接着剤充填チャネルを充填し、前記接着剤収納溝、前記プラットフォーム部、前記内壁及び前記フィルタを接続するものであることを特徴とするレンズモジュール。
【請求項2】
前記フィルタは、第2外壁を含み、前記第2外壁と前記内壁との距離が50μmを超えることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール。
【請求項3】
前記鏡筒は、前記内壁に設けられた複数の位置決め部をさらに含み、前記フィルタは前記複数の位置決め部により位置決めすることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズモジュール。
【請求項4】
前記複数の位置決め部は、前記内壁に円周状に配列されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【請求項5】
前記内壁に対する前記位置決め部の前記内壁から離れた一端の距離は20μm未満であることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【請求項6】
前記内壁は弧状を呈し、前記位置決め部は、前記内壁から前記光軸に突出する弧状の突出ブロックであることを特徴とする請求項3に記載のレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズの分野に関し、特に、レンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像技術の発展及び撮影機能を備えた電子製品の登場に伴い、光学カメラモジュールは、例えば携帯電話などの様々な製品に広く使用されている。
【0003】
従来技術のレンズモジュールは、鏡筒、レンズ群、押えリング及びフィルタを備え、組み立てる時に、まず、前記レンズ群、前記押えリングを前記レンズ内に取り付け、その後、前記フィルタを前記鏡筒に取り付けて接着剤で前記鏡筒に接着する。しかし、前記フィルタと前記鏡筒との間に隙間がなく、前記接着剤は前記フィルタと前記鏡筒との間に浸透することができず、前記フィルタの前記レンズ群から離れた一端だけを前記鏡筒に接着し、接着が強固ではなく、前記フィルタが脱落しやすくなり、ひいては押えリングを浮き上がらせ、最終的にレンズモジュールを故障させてしまう。
【0004】
したがって、上記の技術的課題を解決するように新たなレンズモジュールを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フィルタが脱落しにくく、押えリングが浮かび上がりにくいレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明には、レンズモジュールが提供され、当該レンズモジュールは、鏡筒と、前記鏡筒内に収容され、光軸を有するレンズ群と、前記レンズ群の像側に設けられ、前記レンズ群に突き当てられる押えリングと、前記押えリングに当接するフィルタとを備え、前記フィルタの外径は、前記押えリングの外径よりも大きく、前記鏡筒は、収容空間を有する筒体を含み、前記レンズ群、前記押えリング及び前記フィルタは前記収容空間内に収容されており、前記筒体は、ボスと、前記ボスに接続された内壁とを含み、前記内壁は、前記筒体の前記像側に近い一端に設けられ、前記押えリングは、第1外壁と、前記第1外壁に接続され、前記像側に近い接着剤収納溝とを備え、前記ボスは、互いに接続されたプラットフォーム部及び側壁部を含み、前記側壁部は、前記第1外壁に当接し、前記レンズモジュールは、接着剤部をさらに備え、前記フィルタと前記内壁とは間隔をあけて設置されて接着剤充填チャネルを形成し、前記接着剤部は、前記接着剤充填チャネルを充填し、前記接着剤収納溝、前記プラットフォーム部、前記内壁及び前記フィルタを接続するものである。
【0007】
さらに、前記フィルタは、第2外壁を含み、前記第2外壁と前記内壁との距離が50μmを超える。
【0008】
さらに、前記鏡筒は、前記内壁に設けられた複数の位置決め部をさらに含み、前記フィルタは前記複数の位置決め部により位置決めする。
【0009】
さらに、前記複数の位置決め部は、前記内壁に円周状に配列されている。
【0010】
さらに、前記内壁に対する前記位置決め部の前記内壁から離れた一端の距離は20μm未満である。
【0011】
さらに、前記内壁は弧状を呈し、前記位置決め部は、前記内壁から前記光軸に突出する弧状の突出ブロックである。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比べて、本発明に係るレンズモジュールのフィルタが鏡筒の内壁と間隔をあけて設置されており、接着剤が前記内壁に沿って押えリングまで流れ、硬化後に接着剤部を形成することができるため、前記鏡筒、前記押えリング及び前記フィルタを硬化させて一体に接続し、それによって、フィルタ、押えリング及び鏡筒の間の接着の強固性を確保し、前記レンズモジュール全体の推力を向上させ、前記レンズモジュールの確実性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の記載に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明された図面は、本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、進歩性のある労働をしなくても、こられの図面に基づいて他の図面を得ることができ、そのうち、
図1図1は、本発明に係るレンズモジュールの正投影構成を示す図であり、前記レンズモジュールは、鏡筒を備える。
図2図2は、図1に示す前記レンズモジュールの前記鏡筒の構成を示す図である。
図3図3は、図1におけるA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、図3におけるC部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明した実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎなく、すべての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて進歩性のある労働をしない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0015】
図1図4を同時に参照すると、本発明に係るレンズモジュール100は、鏡筒1と、前記鏡筒1内に収容され、光軸OO’を有するレンズ群2と、レンズ群2の像側に設けられ、前記レンズ群2に突き当てられる押えリング3と、前記押えリング3に当接するフィルタ4とを備え、前記フィルタ4の外径は、前記押えリング3の外径よりも大きい。そのうち、前記鏡筒1、前記押えリング3及び前記フィルタ4は接着剤部5によって接着されており、前記接着剤部5は、接着剤を硬化させることによって形成され、前記接着剤部5は、前記鏡筒1、前記押えリング3及び前記フィルタ4を一体に接続し、前記フィルタ4、前記押えリング3及び前記鏡筒1の間の接着の強固性を確保し、前記レンズモジュール100全体の推力を向上させ、前記レンズモジュール100の確実性を向上させる。
【0016】
具体的には、前記鏡筒1は、収容空間12を有する筒体11と、筒体11の内部に凸設され、筒体11の一端に近い複数の位置決め部13と、筒体11の位置決め部13から離れた他端から突出した凸板14とを備え、前記押えリング3と前記フィルタ4は完全に前記収容空間12内に収容されている。
【0017】
前記筒体11は、ボス111と、前記ボス111の一端に接続された内壁112と、前記ボス111の他端に接続される複数の段差部113とを備え、前記内壁112は、前記筒体11の前記像側に近い一端に設けられ、複数の位置決め部13は、前記内壁112から突出し、前記光軸OO’に向かって延びる。前記ボス111は、互いに接続されたプラットフォーム部1111及び側壁部1112を含み、前記側壁部1112は、前記光軸OO’に向かい、前記段差部113に接続されている。複数の前記位置決め部13は、アレイ状に分布し、前記フィルタ4を位置決めすることに用いられ、前記フィルタ4の中心が光軸OO’からずれることに起因して非対称となる現象を回避し、接着剤が前記鏡筒1から溢れ出る可能性を低減し、前記レンズモジュール100に接着剤のこぼれ等の外観上の問題が生じることを可能なかぎり回避する。
【0018】
前記レンズ群2は、順次設置された第1レンズ21、第2レンズ22及び第3レンズ23を備え、前記第1レンズ21は前記フィルタ4に近く、前記第1レンズ21、前記第2レンズ22及び前記第3レンズ23はそれぞれ複数の段差部113に取り付けられており、前記押えリング3は前記第1レンズ21の像側に突き当てられ、前記フィルタ4は前記押えリング3に当接する。
【0019】
前記押えリング3は、光軸OO’から遠い第1外壁31と、第1外壁31に接続され、前記像側に近い接着剤収納溝32とを備え、前記第1外壁31は、前記鏡筒1の前記側壁部1112に当接する。
【0020】
前記フィルタ4は、光軸OO’から遠い第2外壁41と、前記第1レンズ21に近い当接端42とを備え、前記フィルタ4の前記第2外壁41と前記内壁112とは間隔をあけて設置されて接着剤充填チャネル61を形成し、前記当接端42、前記接着剤収納溝32及び前記プラットフォーム部1111は、前記接着剤充填チャネル61に連通する接着剤収納空間62を取り囲んで形成する。接着剤を塗布することにより前記フィルタ4を固定する場合、接着剤が前記接着剤充填チャネル61を介して前記接着剤収納空間62に浸透かつ流入し、接着剤を硬化させて前記接着剤部5を形成し、前記接着剤部5は前記接着剤充填チャネル61を充填し、前記接着剤収納溝32、前記プラットフォーム部1111、前記内壁112及び前記フィルタ4を一体に接続し、これによって、前記接着剤収納溝32、前記プラットフォーム部1111、前記内壁112及び前記フィルタ4を強固に接続し、安定性が良好である。
【0021】
前記接着剤が前記接着剤収納空間62を満たすように充填できるために、前記接着剤充填チャネル61が狭すぎてはならず、即ち、前記第2外壁41と前記内壁112との距離d2が短すぎてはならず、好ましくは、前記第2外壁41と前記内壁112との最小距離d2が50μmを超える必要がある。
【0022】
前記第2外壁41と前記内壁112との距離d2が大きく、前記フィルタ4を組み立てる時に前記フィルタ4に左右にずれる状況が生じやすいため、前記フィルタ4と前記鏡筒1の隙間が均等にならず、即ち前記フィルタ4と前記鏡筒1の隙間はある箇所で大きすぎたり、別の箇所で小さすぎたりしてしまう。したがって、フィルタ4の位置決めの正確性を確保するために、複数の前記位置決め部13により前記フィルタ4を組み立てて位置決めする。
【0023】
具体的には、前記内壁112は弧状を呈し、前記位置決め部13は、前記内壁112から前記光軸OO’に突出する弧状の突出ブロックであり、複数の前記位置決め部13は、前記内壁112に円周状に配列され、即ち複数の位置決め部13は、前記内壁112に円周状かつ等間隔に分布している。そのうち、前記内壁112に対する前記位置決め部13の前記内壁112から離れた一端の距離d1は20μm未満である。
【0024】
本実施例において、3つの前記位置決め部13を使用して前記フィルタ4を位置決めする。他の実施形態において、実際の状況に応じて前記位置決め部13の数を増やすことができ、例えば、4つ、6つの前記位置決め部13を使用して前記フィルタ4を位置決めする。ただし、上記の複数の前記位置決め部13は、円周状に配列分布される必要がある。
【0025】
従来技術と比べて、本発明に係るレンズモジュール100のフィルタ4が鏡筒1の内壁112と間隔をあけて設置されており、接着剤が前記内壁112に沿って押えリング3まで流れ、硬化後に接着剤部5を形成することができ、前記鏡筒1、前記押えリング3及び前記フィルタ4を一体に接続し、それによって、フィルタ4、押えリング3及び鏡筒1の間の接着の強固性を確保し、前記レンズモジュール100全体の推力を向上させ、前記レンズモジュール100の確実性を向上させる。
【0026】
以上に説明されたのは、本発明の実施形態に過ぎなく、当業者にとっては、本発明の構想から逸脱しない限り、さらに改良することができ、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【要約】      (修正有)
【課題】フィルタが脱落しにくく、押えリングが浮かび上がりにくいレンズモジュールを提供する。
【解決手段】レンズモジュールは、鏡筒と、前記鏡筒内に収容され、光軸OO’を有するレンズ群2と、前記レンズ群2の像側に設けられ、前記レンズ群2に突き当てられる押えリング3と、前記押えリング3に当接するフィルタ4とを備え、前記フィルタ4の外径は、前記押えリング3の外径よりも大きい。そのうち、前記鏡筒、前記押えリング3及び前記フィルタ4は、前記フィルタ4と前記鏡筒の内壁と間隔をあけて設置されて接着剤充填チャネルを形成し、前記接着剤部5は、接着剤を硬化させることによって形成され、前記鏡筒、前記押えリング3及び前記フィルタ4を一体に接続し、前記フィルタ4、前記押えリング3及び前記鏡筒の間の接着の強固性を確保する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4