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特許7127238動的光学構成制御を用いた光学式雨センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】動的光学構成制御を用いた光学式雨センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G01N21/17 E
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020568417
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019039015
(87)【国際公開番号】W WO2020005962
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/689,509
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/451,778
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケトレリウス、ミンダウガス
(72)【発明者】
【氏名】ソリスキス、リウタウラス
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525425(JP,A)
【文献】特表2006-500560(JP,A)
【文献】特開昭60-248067(JP,A)
【文献】特開2007-071564(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0242540(US,A1)
【文献】特表2003-504631(JP,A)
【文献】特開平03-025054(JP,A)
【文献】特表平08-512131(JP,A)
【文献】特表2002-505754(JP,A)
【文献】特開2006-071491(JP,A)
【文献】特表平11-509932(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013105525(DE,A1)
【文献】特表2009-545746(JP,A)
【文献】特開平09-212720(JP,A)
【文献】米国特許第05408092(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61,
G01B 11/00-11/30,
B60S 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式雨センサであって、
それぞれが選択的に作動されて発光し、また停止されて光を受け取ることができる複数の光素子と、
前記複数の光素子に動作可能に接続され、前記複数の光素子を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で交互に駆動するように構成されたコントローラと
を備え、
前記第1の動作モードでは、少なくとも第1の光素子が作動され、少なくとも第2の光素子が停止され、前記第2の動作モードでは、少なくとも前記第2の光素子が作動され、少なくとも前記第1の光素子が停止され
前記複数の光素子は、前記光学式雨センサの外周周辺に配置されており、
前記第1の動作モードにおいて、前記複数の光素子のうち、前記第1の光素子の両側に隣接する2つの光素子は、前記第1の光素子によって発される光を受け取るように適合させられておらず、前記複数の光素子のうち前記第1の光素子に隣接していない少なくとも1つの光素子は、前記第1の光素子によって発される光を受け取るように適合させられており、
前記第2の動作モードにおいて、前記複数の光素子のうち、前記第2の光素子の両側に隣接する2つの光素子は、前記第2の光素子によって発される光を受け取るように適合させられておらず、前記複数の光素子のうち前記第2の光素子に隣接していない少なくとも1つの光素子は、前記第2の光素子によって発される光を受け取るように適合させられている、光学式雨センサ。
【請求項2】
前記第1の動作モードでは、前記複数の光素子のうち少なくとも1つは、前記第1の光素子により発される光を受け取り、対応する第1の電気信号を前記コントローラに出力するように適合させられ、前記第2の動作モードでは、前記複数の光素子のうち少なくとも1つは、前記第2の光素子により発される光を受け取り、対応する第2の電気信号を前記コントローラに出力するように構成される、請求項1に記載の光学式雨センサ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1の電気信号を前記第2の電気信号と比較するように適合させられている、請求項2に記載の光学式雨センサ。
【請求項4】
前記複数の光素子のうち少なくとも1つは、光線を透明基材上に投射するように構成され、前記透明基材に当たる前記光線の入射角は対応する臨界角よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項5】
前記複数の光素子のうち2つの間に延びる経路に沿って配置されたコリメーティングレンズ及び集束レンズをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項6】
前記複数の光素子は、六線星形構成で配置された6個の光素子を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項7】
前記第1の動作モードでは、前記複数の光素子のうち第1の光素子は前記複数の光素子のうち第2の光素子及び第3の光素子に向けて光線を投射するように構成され、前記複数の光素子のうち第4の光素子は前記複数の光素子のうち第5の光素子に向けて光線を投射するように構成されている、請求項6に記載の光学式雨センサ。
【請求項8】
前記第2の動作モードでは、前記第2の光素子は前記第3の光素子に向けて光線を投射するように構成され、前記複数の光素子のうち第6の光素子は前記第4の光素子及び前記第5の光素子に向けて光線を投射するように構成されている、請求項7に記載の光学式雨センサ。
【請求項9】
前記第1の光素子と前記第2の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第1のコリメーティングレンズ及び第1の集束レンズと、前記第1の光素子と前記第3の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第2のコリメーティングレンズ及び第2の集束レンズと、前記第4の光素子と前記第5の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第3のコリメーティングレンズ及び第3の集束レンズと、前記第2の光素子と前記第3の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第4のコリメーティングレンズ及び第4の集束レンズと、前記第6の光素子と前記第5の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第5のコリメーティングレンズ及び第5の集束レンズと、前記第6の光素子と前記第4の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第6のコリメーティングレンズ及び第6の集束レンズとをさらに備える、請求項8に記載の光学式雨センサ。
【請求項10】
透明基材における降雨を検知する光学式雨センサであって、前記光学式雨センサは、
前記透明基材の表面上に配置されたハウジングと、
それぞれが選択的に作動されて発光し、また停止されて光を受け取ることができる、前記ハウジング内に配置された複数の光素子と、
前記複数の光素子に動作可能に接続され、前記複数の光素子を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で交互に駆動するように構成されたコントローラと
を備え、
前記第1の動作モードでは、少なくとも第1の光素子が作動され、少なくとも第2の光素子が停止され、前記第2の動作モードでは、少なくとも前記第2の光素子が作動され、少なくとも前記第1の光素子が停止され
前記複数の光素子は、前記光学式雨センサの外周周辺に配置されており、
前記第1の動作モードにおいて、前記複数の光素子のうち、前記第1の光素子の両側に隣接する2つの光素子は、前記第1の光素子によって発される光を受け取るように適合させられておらず、前記複数の光素子のうち前記第1の光素子に隣接していない少なくとも1つの光素子は、前記第1の光素子によって発される光を受け取るように適合させられており、
前記第2の動作モードにおいて、前記複数の光素子のうち、前記第2の光素子の両側に隣接する2つの光素子は、前記第2の光素子によって発される光を受け取るように適合させられておらず、前記複数の光素子のうち前記第2の光素子に隣接していない少なくとも1つの光素子は、前記第2の光素子によって発される光を受け取るように適合させられている、光学式雨センサ。
【請求項11】
前記第1の動作モードでは、前記複数の光素子のうち少なくとも1つは、前記第1の光素子により発され、前記透明基材から反射された光を受け取り、対応する第1の電気信号を前記コントローラに出力するように適合させられ、前記第2の動作モードでは、前記複数の光素子のうち少なくとも1つは、前記第2の光素子により発され、前記透明基材から反射された光を受け取り、対応する第2の電気信号を前記コントローラに出力するように構成されている、請求項10に記載の光学式雨センサ。
【請求項12】
前記コントローラは、前記第1の電気信号を前記第2の電気信号と比較するように適合させられている、請求項11に記載の光学式雨センサ。
【請求項13】
前記第1の光素子により前記透明基材上に投射された光がすべて前記透明基材から反射されるように、前記第1の光素子により前記透明基材上に投射された前記光の入射角は対応する臨界角よりも大きい、請求項10から12のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項14】
前記複数の光素子のうち2つの間に延びる経路に沿って配置されたコリメーティングレンズ及び集束レンズをさらに備える、請求項10から13のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項15】
前記複数の光素子は、六線星形構成でプリント回路基板に配置された6個の光素子を有する、請求項10から14のいずれか一項に記載の光学式雨センサ。
【請求項16】
前記第1の動作モードでは、前記複数の光素子のうち第1の光素子は前記複数の光素子のうち第2の光素子及び第3の光素子に向けて光線を投射するように構成され、前記複数の光素子のうち第4の光素子は前記複数の光素子のうち第5の光素子に向けて光線を投射するように構成されている、請求項15に記載の光学式雨センサ。
【請求項17】
前記第2の動作モードでは、前記第2の光素子は前記第3の光素子に向けて光線を投射するように構成され、前記複数の光素子のうち第6の光素子は前記第4の光素子及び前記第5の光素子に向けて光線を投射するように構成されている、請求項16に記載の光学式雨センサ。
【請求項18】
前記第1の光素子と前記第2の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第1のコリメーティングレンズ及び第1の集束レンズと、前記第1の光素子と前記第3の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第2のコリメーティングレンズ及び第2の集束レンズと、前記第4の光素子と前記第5の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第3のコリメーティングレンズ及び第3の集束レンズと、前記第2の光素子と前記第3の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第4のコリメーティングレンズ及び第4の集束レンズと、前記第6の光素子と前記第5の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第5のコリメーティングレンズ及び第5の集束レンズと、前記第6の光素子と前記第4の光素子との間に延びる経路に沿って配置された第6のコリメーティングレンズ及び第6の集束レンズとをさらに備える、請求項17に記載の光学式雨センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年6月25日出願の仮出願番号第62/689,509号に対する優先権を主張する2019年6月25日出願の米国仮出願番号第16/451,778号の利益を主張し、その全文が参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般にセンサの分野、より詳細には、自動車のフロントガラス等の透明基材における降雨を検知するように構成された光学式雨センサに関する。
【背景技術】
【0003】
現代における自動車は、一般には、自動車のフロントガラスにおける降雨を検知するように構成された雨センサを装備している。このようなセンサから集められた情報を使用して、自動車のフロントガラスのワイパーを自動的に作動させ、その速度を変化させ、かつ/または自動車内の種々の他のシステム(トラクションコントロールシステム等)を制御することができる。
【0004】
図1を参照すると、 従来の光学式雨センサ10(以下、「雨センサ10」)の平面図を示す概略図が示されている。典型的な用途において、雨センサ10は自動車のフロントガラス等の透明基材の下面(すなわち、内側)に設置される。雨センサ10は、雨センサ10の外周周辺に配置された発光素子12a~f(例えば発光ダイオード)と、発光素子12a~fにより発された光をコリメートし、このコリメート光をフロントガラスのそれぞれの感知領域15a~fへと向けるように適合させられたコリメーティングレンズ14a~fと、フロントガラスに反射されたコリメート光を受け取って光を集束するように適合させられた集束レンズ16a~fと、集束レンズ16a~fからの集束光を受け取って、この受け取った光を電気出力信号へと変換してコントローラ18へと送信するように適合させられた、雨センサ10の中心に位置する光検知素子17(例えばフォトダイオード)とを備える。水(例えば雨)がフロントガラス外部の感知領域15a~fのうちの1つに存在していれば、感知領域に当たるコリメート光の一部は対応する集束レンズへと反射されるのではなく水へと屈折する。したがって、フロントガラスの感知領域から反射し、光検知素子が受け取るコリメート光の量は、一般的にフロントガラスの感知領域が乾燥しているときと比べて減衰する。
【0005】
雨センサ10の動作中、コントローラ18は発光素子12a~fの2つのグループA及びBを交互に作動及び停止させ、同時に光検知素子17からの出力を監視する。すなわち、発光素子12a~cが作動しているときは発光素子12d~fは停止しており、逆もまた同様である。フロントガラスが乾燥しているとき、発光素子12a~fのグループAが作動しているときに光検知素子17より生成される出力は、発光素子12a~fのグループBが作動しているときに光検知素子17より生成される出力と実質的に類似している。しかし、フロントガラスが乾燥しているとき、フロントガラスの感知領域15a~fのうちの1つまたは複数に水が存在している場合がある。したがって、発光素子12a~fのうちの1つまたは複数により発された光の一部が光検知素子へと反射されるのではなく濡れ感知領域で屈折するため、発光素子12a~fのグループAが作動しているときに光検知素子17より生成される出力と、発光素子12a~fのグループBが作動しているときに光検知素子17より生成される出力とが不均衡なものとなる。このような不均衡が検知されると、コントローラ18は、フロントガラスが濡れており、したがって自動車システム(例えばフロントガラスワイパー)の動作に影響を及ぼし得ると判断できる。
【0006】
寸法上の制約により、自動車の光学式雨センサは典型的には、比較的小さなフォームファクタで実現されなければならない。したがって、発光素子12a~f それぞれと雨センサ10の光検知素子17との間の距離d10は比較的短く、図1Bに示すように、フロントガラス26の外面におけるコリメート光の入射角Θは比較的小さい。特に、フロントガラス26におけるコリメート光線の入射角Θは典型的には、コリメート光線がそれを超えて屈折はしないが全反射する入射角(一般的には「臨界角」(Θ)と呼ばれる)よりも小さい。したがって、フロントガラス26が乾燥していても、フロントガラス26の外面に当たるコリメート光の量は外気へと屈折し、光検知素子17には反射しない。これは、雨センサ10の効率及び感度の両方に不利益である。さらに、入射角Θが比較的小さいことにより、フロントガラス26における感知領域も比較的小さくなる(図1Bの感知領域15aにより例示されている)。これは雨センサ10の感度及び正確さに不利益である。
【0007】
これら及び他の問題に関して本改善は有用であり得る。
【発明の概要】
【0008】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を簡単な形式で紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また特許請求される主題の範囲を定義するにあたっての助けであることも意図されない。
【0009】
本開示の例示的実施形態による光学式雨センサは、それぞれが選択的に作動されて発光し、停止されて光を受け取ることができる複数の光素子と、複数の光素子に動作可能に接続され、複数の光素子を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で交互に駆動するように構成されたコントローラとを備えてよい。第1の動作モードでは、少なくとも第1の光素子が作動され、少なくとも第2の光素子が停止され、第2の動作モードでは、少なくとも第2の光素子が作動され、少なくとも第1の光素子が停止される。
【0010】
本開示の別の例示的実施形態による光学式雨センサは、透明基材の表面上に配置されたハウジングと、それぞれが選択的に作動されて発光し、停止されて光を受け取ることができる、ハウジング内に配置された複数の光素子と、複数の光素子に動作可能に接続され、複数の光素子を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で交互に駆動するように構成されたコントローラとを備えてよい。第1の動作モードでは、少なくとも第1の光素子が作動され、少なくとも第2の光素子が停止され、第2の動作モードでは、少なくとも第2の光素子が作動され、少なくとも第1の光素子が停止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】従来技術と一致する従来の雨センサの平面図を示す概略図である。
【0012】
図1B図1Aに示す雨センサの発光素子により発された光線が透明基材上に入射している透明基材の断面を示す概略図である。
【0013】
図2A】第1の動作モードにおける本開示の例示的実施形態による雨センサの平面図を示す概略図である。
【0014】
図2B】第2の動作モードにおける図2Aに示す雨センサの平面図を示す概略図である。
【0015】
図2C図2Aに示す雨センサの発光素子により発された光線が透明基材上に入射している透明基材の断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示による光学式雨センサについて、光学式雨センサの好ましい実施形態が提示されている添付の図面を参照してここでより完全に説明する。しかしながら、光学式雨センサは多くの異なる形態で実施されてよく、また本明細書で記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、本開示が光学式雨センサの特定の例示的態様を当業者に完全に伝えるように、これらの実施形態が提供される。
【0017】
図2A及び図2Bを参照すると、本開示の例示的実施形態による光学式雨センサ(以下、「雨センサ110」)の平面図を示す概略図が示されている。図示された非限定的実施形態では、雨センサ110は概して、複数の光素子112a~fと、複数のコリメーティングレンズ114a~fと、ハウジング122内に配置された複数の集束レンズ116a~fとを備えてよい。明確さを期して、コリメーティングレンズ114c、114d、114e及び集束レンズ116c、116d、116eは図2Aから省略され、コリメーティングレンズ114a、114b、114f及び集束レンズ116a、116b、116fは図2Bから省略されている。光素子112a~fは、光素子112a~fに電力を供給し、その動作を指示し、かつ/または光素子112a~fからデータを収集するように構成されたコントローラ118(例えば、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)等)と電気的に通信するようにプリント回路基板(PCB)120に動作可能に取り付けられてよい。コリメーティングレンズ114a~f及び集束レンズ116a~fは、(以下にさらに説明するように)光素子112a~fの中間に配置されてよく、またハウジング122(例えば、図示されていないハウジングの透明カバーに)に取り付けられても、または貼り付けられてもよい。
【0018】
ハウジング122は、透明基材の上またはそれに隣接して設置されるように適合させられてよい。例えば、ハウジング122は、当業者によく知られている方法で、自動車のフロントガラスの内面に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、ハウジング122内に配置され、PCB120に取り付けられてよい。あるいは、コントローラ118はPCB120から離れたハウジング122の外部に位置していてもよい。
【0019】
雨センサ110の光素子112a~fは、選択的に光を発するかまたは受け取るように構成された発光ダイオード(LED)であってもよい。例えば、各光素子112a~fは、コントローラ118によって作動されたとき(すなわち、コントローラ118によって電力が印加されたとき)に発光し、コントローラ118によって停止されたとき(すなわち、コントローラ118によって電力が印加されていないとき)に光を受け取り、対応する電気信号をコントローラ18に出力するように構成されてよい。このように、各光素子112a~fは、以下にさらに説明するように、光エミッタまたは感光素子 のいずれかとして選択的に、かつ独立して実装されてよい。
【0020】
光素子112a~fは、PCB120上に「六線星形構成」で配置されてよく、各光素子112a~fは、仮想の六線星形のそれぞれの角に配置され、このような仮想の六線星形の中心点qから等距離に配置されている。図では6つの光素子112a~fが描かれているが、雨センサ110における光素子の数は、本開示の範囲から逸脱することなく変化してもよいことが企図されている。
【0021】
各光素子112a~fは、さらに下記で説明されるように、1つまたは複数の他の光素子112a~fに向けて1本または複数本の光線を発するように構成(例えば、配向)されてよい。各コリメーティングレンズ114a~fは、光素子112a~fのうちの最も近いものによって発された光線を受け取ってコリメートし、透明基材126(図2C参照)上のそれぞれの感知領域124a~fに向けて斜角でコリメートされた光線を向けるように構成(例えば、位置決め及び配向)されてよく、ここでコリメートされた光線の少なくとも一部分は、さらに下記に説明されるように、透明基材126で反射される。各集束レンズ116a~fは、さらに下記に説明されるように、透明基材126から反射された光を受け取り、受け取った光を光素子112a~fのうちそれぞれに最も近いものへと集束するように構成(例えば、位置決め及び配向)されてよい。
【0022】
使用中、雨センサ110は、図2A及び図2Bに描かれている2つの動作モード間で迅速かつ連続的に交互に動作するように構成されてよい。図2Aに示す第1の動作モードでは、コントローラ118は光素子112a及び112fを作動でき、光素子112b~eを停止でき、ここで光素子112aは光線128a1を光素子112eに、光線128a2を光素子112cに向けて発するように構成され、光素子112fは、光線128fを光素子112bに向けて発するように構成されている。光線128a1、128a2及び128fは、上記のように、コリメーティングレンズ114a、114b及び114fによってコリメートされ、感知領域124a、124b及び124fで反射され、集束レンズ116a、116b及び116fによって集束されてよく、結果として光素子112c、112b及び112eによって受け取られた光は、コントローラ118に送信されるそれぞれの電気信号に変換されてよい。したがって、コントローラ118によって受信された電気信号は、透明基材126の感知領域124a、124b及び124fで反射した光の量に対応し得る。
【0023】
図2Bに示す第2の動作モードでは、コントローラ118は光素子112c及び112dを作動でき、光素子112a、112b、112e及び112fを停止でき、ここで光素子112cは光線128cを光素子112eに向けて発するように構成され、光素子112dは、光線128d1を光素子112fに、光線128d2を光素子112bに向けて発するように構成されている。光線128c、128d1及び128d2は、上記のように、コリメーティングレンズ114c、114d及び114eによってコリメートされ、感知領域124c、124d及び124eで反射され、集束レンズ116c、116d及び116eによって集束されてよく、結果として光素子112b、112e及び112fによって受け取られた光は、コントローラ118に送信されるそれぞれの電気信号に変換されてよい。したがって、コントローラ118によって受信された電気信号は、透明基材126の感知領域124c、124d及び124eで反射された光の量に対応していてもよい。
【0024】
透明基材126が乾燥しているとき、第1の動作モードにおいて光素子112c、112b及び112eによって生成される出力は、第2の動作モードにおいて光素子112b、112e及び112fによって生成される出力と実質的に等しくなり得る。しかし、透明基材126が濡れていれば、透明基材126の感知領域124a~fの1つまたは複数に水が存在している場合がある。このように、作動された光素子のうち1つまたは複数によって発される光の一部は、対応する停止された光素子に反射されるのではなく、濡れた感知領域(複数可)で屈折するため、第1の動作モードにおいて光素子112c、112b及び112eによって生成される出力と、第2の動作モードにおいて光素子112b、112e及び112fによって生成される出力との間に不均衡が生じることになる。このような不均衡が検知されると、コントローラ118は、透明基材126が濡れており、したがって他の自動車システム(例えばフロントガラスワイパー)の動作に影響を及ぼし得ると判断できる。
【0025】
上記の第1の動作モード及び第2の動作モード両方において、作動された発光する光素子と、対応する停止された受光する光素子との間の距離d110は、図1Aに示す従来の雨センサ10における各発光素子12a~fと受光素子17との間の距離d10よりも大きい。したがって、距離d100は図1Aに示す距離d10よりも大きくてもよいが、雨センサ110の設置面積または外寸法は、従来の雨センサ10と同じまたは類似していてよい。このように従来の雨センサよりも雨センサ110における発光光素子と受光光素子との間の距離が大きくなることにより、透明基材へのコリメート光線の入射角は比較的大きくなり得る。特に、図2Cを参照すると、透明基材126の感知領域(上記感知領域124aにより例示される)において雨センサ110によって生じた光線の入射角Θは、コリメート光線がそれを超えて屈折はしないが全反射する入射角(一般的には「臨界角」(Θ)と呼ばれる)よりも大きくてよい。したがって、内部全反射(TIR)が実現でき、透明基材126の感知領域124aが実質的に乾燥していれば、透明基材126の外面に当たるコリメート光はすべて雨センサ110の対応する光素子へと反射される。したがって、雨センサ110の効率及び感度は従来の雨センサよりも改善される。さらに、雨センサ110の構成により比較的大きな入射角Θが容易になった結果、透明基材126における感知領域が比較的大きくなり(図2Cの感知領域124aにより例示されている)、これは従来の雨センサよりも優れた感度及び正確さを備えた雨センサ110をもたらす。
【0026】
本明細書で使用する場合、単数で記述され「a」または「an」という語に続く要素またはステップは、複数の要素またはステップが明示的に除外されない限り、このような除外はされないものとして理解すべきである。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、挙げられた特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図していない。
【0027】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲に定義される通り、記述した実施形態に対して多数の変形、代替及び変更が本開示の範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本開示は記述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される完全な範囲を持つことが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C