(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】まつ毛パーマの施術方法
(51)【国際特許分類】
A45D 2/48 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
A45D2/48
(21)【出願番号】P 2022002746
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522014965
【氏名又は名称】山田 里美
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 里美
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3066463(JP,U)
【文献】登録実用新案第3088690(JP,U)
【文献】特開2004-024824(JP,A)
【文献】特開2005-058422(JP,A)
【文献】特開2005-027788(JP,A)
【文献】実公昭63-010082(JP,Y2)
【文献】特開2003-299520(JP,A)
【文献】実開平06-017872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛パーマの施術方法であって、
(a) 圧力をかけると所定時間変形が持続される素材で形成されたロッドを用意するステップと、
(b) 前記ロッドに圧力をかけて、
前記ロッドの延在方向に対して垂直な線で切断した断面形状を所望の曲率半径に整形するステップと、
(c) 前記整形されたロッドを、まぶたの上に貼り付けるステップと、
(d) 貼り付けられた該ロッドにまつ毛を固定した上で、薬液を塗布するステップとを有するまつ毛パーマの施術方法。
【請求項2】
請求項1記載の施術方法であって、
前記ロッドとして、繊維束または紙で形成されているロッドを用いる施術方法。
【請求項3】
請求項2記載の施術方法であって、
前記ロッドとして、組紐で形成されているロッドを用いる施術方法。
【請求項4】
請求項1~3いずれか記載の施術方法であって、
前記ロッドの端面を除く外周面には粘着層が形成されており、
前記ステップ(c)は、該粘着層を利用して、貼り付けを行い、
前記ステップ(d)は、該粘着層を利用して、まつ毛を固定する施術方法。
【請求項5】
請求項1~4いずれか記載の施術方法であって、
前記ステップ(b)は、手で加える力を調節することで前記ロッドを挟み付ける圧力を調節可能な器具を用いて、該器具で前記ロッドに圧力をかけることにより行う施術方法。
【請求項6】
請求項5記載の施術方法であって、
前記器具は、前記ロッドを部分的に挟み付けることができる器具であり、
前記ステップ(b)は、前記ロッドの部分ごとに圧力をかけて整形する施術方法。
【請求項7】
ロッドを整形し、まぶたの上に貼り付け、まつ毛を固定して、薬液を塗布するステップを備えるまつ毛パーマの施術方法に用いられるまつ毛パーマ用のロッドであり、
圧力をかけると所定時間
、前記ロッドの延在方向に対して垂直な線で切断した断面形状を所望の曲率半径にした変形が持続される素材で形成されたことを特徴とするロッド。
【請求項8】
ロッドを整形し、まぶたの上に貼り付け、まつ毛を固定して、薬液を塗布するステップを備えるまつ毛パーマの施術方法に用いられるロッドを整形するための器具であり、
それぞれコの字形状をした上ハンドルおよび下ハンドルと、
前記上ハンドルおよび下ハンドルを、前記コの字の開口端で回動可能に係合する軸と、
前記軸を支点、前記上ハンドルおよび下ハンドルの一部を力点とするときに作用点となる部位に、前記ロッドを挟み付けて圧力をかけるための加圧部が設けられ、
前記加圧部は、
前記上ハンドルの前記開口端と他端との間に、コの字の左右を連結するように回転可能に取り付けられた上側ローラーと、
前記下ハンドルの前記開口端と他端との間に、前記上側ローラーとの間で前記ロッドを挟むことができる位置に、コの字の左右を連結するように回転可能に取り付けられた下側ローラーとを備えた器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛パーマを施術する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、目元の美容の一つとしてまつ毛パーマの施術が広く行われている。まつ毛パーマは、通常、まぶたの上にロッドを貼り付け、そのロッドにまつ毛を固定した上で、まつ毛に薬液を塗布して一定時間保持することで施術される。まつ毛パーマに関しては、次の先行技術が存在する。
特許文献1は、軟質素材からなり、まぶたに装着する面、およびまつ毛を固定する面に粘着剤を有するロッドを開示している。
特許文献2は、まつ毛の一部を肌に固定することにより、その他の部位にのみまつ毛パーマを施す技術を開示している。
特許文献3は、まつ毛パーマを施すための柔軟樹脂で形成されたロッドを用いるとともに高さ調整シートを用いることでまつ毛のカール量を調整する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3235170号公報
【文献】特開2020-31797号公報
【文献】特開2007-20758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まつ毛パーマは、美容目的でなされるものであるが、まつ毛の長さ、間隔、生え幅、方向や眼の形状などは人によってまちまちであるから、まつ毛パーマもそれぞれの人に合わせたカール量などで施されることが望ましい。しかしながら、従来、カール量などの調整についてはあまり考慮されていなかった。特許文献3は、高さ調整シートを用いることでまつ毛のカール量を調整する技術を開示しているが、自由自在に調整できるものとは言えず、未だ改善の余地が残されていた。
本発明は、かかる課題に鑑み、任意かつ容易に自在なカール量などでのまつ毛パーマを実現する施術方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次のように構成することができる。
まつ毛パーマの施術方法であって、
(a) 圧力をかけると所定時間変形が持続される素材で形成されたロッドを用意するステップと、
(b) 前記ロッドに圧力をかけて、所望の形状に整形するステップと、
(c) 前記整形されたロッドを、まぶたの上に貼り付けるステップと、
(d) 貼り付けられた該ロッドにまつ毛を固定した上で、薬液を塗布するステップとを有するまつ毛パーマの施術方法である。
【0006】
本発明の施術方法によれば、ロッドを所望の形状に整形した上で、まつ毛パーマを施すことができるため、任意のカール量などによるまつ毛パーマを実現することができる。また、ロッドの整形は、ロッドに圧力をかけることにより容易に実現できる利点もある。
【0007】
本発明において、ロッドは、所定時間変形が持続される種々の素材を用いることができる。ここで所定時間とは、まつ毛パーマを施術する時間であればよく、例えば、30分程度とすることができる。また、変形は、厳密に同一の形状が持続される必要はなく、まつ毛パーマの仕上がりに有意な影響を与えない程度の変形範囲内で持続されればよい。
【0008】
ロッドには種々の素材を用いることができるが、例えば、粘土などのような可塑性の素材、高温で柔軟に変形可能となる熱可塑性樹脂、その他の塑性変形する素材を用いても良い。また、変形が復元するまでに上述の所定時間を要する粘弾性の素材、低反発弾性フォームなどを用いても良い。
【0009】
従来のロッドは、樹脂製やゴム製であることが多いのに対し、本発明の素材は、圧力をかけて所望の形状に整形できる程度の弾力を有することが望ましい。かかる素材を用いることにより、本発明のロッドは、貼り付ける位置の皮膚の形状にも馴染みやすく、所望のカールの形に応じてロッドを貼り付ける位置を柔軟に選択することが可能となる。例えば、ロッドをまつ毛の生え際に近い位置、即ち上まぶたの場合は下方、下まぶたの場合は上方に貼り付ければ、まつ毛の根元に強いカールを作ることができる。逆に、ロッドをまつ毛の生え際から離れた位置、即ち上まぶたの場合は上方、下まぶたの場合は下方に貼り付ければ、まつ毛の根元のカールを少なくすることができる。
【0010】
本発明においては、例えば、
前記ロッドとして、繊維束または紙で形成されているロッドを用いるものとしてもよい。
【0011】
これらの素材で形成されたロッドは、比較的容易に整形可能であるとともに、さほど強い弾性を有しないため、変形が持続される点で好適である。また、繊維束、紙などは、比較的安価であるという利点もある。
また、繊維束や紙で形成されたロッドは、比較的容易に切断できる利点もある。例えば、目頭から目尻までの幅の長さは人によってまちまちであるが、従来のロッドは、樹脂製やゴム製であり、予め定まった長さで製造されているのが通常であるため、人によっては、ロッドが長すぎたり、短すぎるなどの支障が生じることがあった。これに対して、繊維束や紙で形成されたロッドの場合、比較的容易に切断することができるため、予め長めに用意しておき、人の目幅に合わせて適切な長さにロッドを調節することができる利点がある。
【0012】
ロッドに用いる繊維は、種々の材質のものを用いることができるが、例えば、綿などが好適である。ロッドとしては、複数の繊維を束にまとめた状態で用いてもよいし、編み込んだ状態で用いてもよい。
紙も、種々の材質のものを用いることができる。ロッドとしては、十分な厚さを有する一枚の紙を用いてもよいし、複数の紙を重ねた状態で用いても良い。また、紙紐を束ねた状態や編んだ状態で用いてもよい。
ロッドは、単一の繊維束や紙で形成してもよいし、複数の素材を組み合わせて形成してもよい。
【0013】
本発明では、さらに、
前記ロッドとして、組紐で形成されているロッドを用いるものとしてもよい。
【0014】
発明者が、種々の素材を試みたところ、組紐で形成されたロッドが非常に好適であることを見いだした。組紐は、綿などの繊維束を編んで形成された紐である。かかる素材を用いることで、容易に整形することができ、変形が持続されるのである。
【0015】
ロッドの素材に関わらず、本発明においては、
前記ロッドの端面を除く外周面には粘着層が形成されており、
前記ステップ(c)は、該粘着層を利用して、貼り付けを行い、
前記ステップ(d)は、該粘着層を利用して、まつ毛を固定するものとしてもよい。
【0016】
このように外周面に粘着層が形成されたロッドを用いることにより、ロッドをまぶたの上に容易に貼り付け、また、まつ毛を容易に固定することができ、効率的に施術することが可能となる。
また、粘着層が、整形されたロッドの形状を持続させるのに寄与し、ロッドの整形時に意図した状態に近いまつ毛パーマを施術できる利点がある。
【0017】
本発明においては、
前記ステップ(b)は、手で加える力を調節することで前記ロッドを挟み付ける圧力を調節可能な器具を用いて、該器具で前記ロッドに圧力をかけることにより行うものとしてもよい。
【0018】
本発明のロッドは、圧力をかけることにより整形可能であるが、上述のように器具を用いることにより、手で圧力を調整しながら、容易かつ効果的に圧力をかけることができロッドを意図した通りに整形することができる。また、器具を用いることにより、ロッドに十分な圧力を与えることができ、整形後の形状を維持させることができる。
【0019】
上述の器具としては、種々のものを用いることができるが、例えば、
前記器具は、前記ロッドを部分的に挟み付けることができる器具であり、
前記ステップ(b)は、前記ロッドの部分ごとに圧力をかけて整形するものとしてもよい。
【0020】
こうすることにより、ロッドを部分ごとに任意に変形させることができ、例えば、目頭側ではカール量を小さく平らにし、中央は少しアーチをかけ、目尻側で強めのアーチにしてカール量を大きくするなどのように、部位によってカール量などの調整をすることができる。こうした調整ができる点は、美容上の利点だけにとどまるものではない。人の瞼の厚みは部分ごとに異なっているため、上述のように、部位によってアーチを調整することにより、瞼に睫毛が当たってしまうことを回避できる利点もある。
【0021】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、適宜、その一部を省略したり組み合わせたりして構成することができる。また、本発明は、上述したまつ毛パーマの施術方法としての構成だけでなく、それに用いるまつ毛パーマ用のロッド、ロッドを整形するための器具など種々の態様で構成してもよい。
【0022】
例えば、本発明は、
ロッドを整形し、まぶたの上に貼り付け、まつ毛を固定して、薬液を塗布するステップを備えるまつ毛パーマの施術方法に用いられるまつ毛パーマ用のロッドであり、
圧力をかけると所定時間変形が持続される素材で形成されたことを特徴とするロッドとして構成してもよい。
【0023】
かかるロッドを用いることにより、先に説明したまつ毛パーマの施術方法を実現することができる。かかるロッドにおいても、先に施術方法で説明した種々の特徴を適用することができる。
【0024】
また、本発明は、
ロッドを整形し、まぶたの上に貼り付け、まつ毛を固定して、薬液を塗布するステップを備えるまつ毛パーマの施術方法に用いられるロッドを整形するための器具であり、
軸で回動可能に係合された上ハンドルおよび下ハンドルと、
前記軸を支点、前記上ハンドルおよび下ハンドルの一部を力点とするときに作用点となる部位に、前記ロッドを挟み付けて圧力をかけるための加圧部が設けられた器具として構成してもよい。
【0025】
かかる器具を用いることにより、ロッドを効果的に整形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】まつ毛パーマの施術方法を説明する説明図である。
【
図3】まつ毛パーマの施術工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について、説明する。
図1は、まつ毛パーマの施術方法を説明する説明図である。
図1(a)には、被施術者の眼の付近を正面から示した。上まつ毛にまつ毛パーマを施術するときには、まず、まぶたの表面に、ロッド10を接着剤やテープなどを用いて貼り付ける。そして、まつ毛をカールさせてロッド10の表面に接着剤やテープなどを用いて仮止めする。その後、まつ毛にパーマ用の薬液を塗布し、一定時間経過するまで待つ。その後、ロッドを取り外すことでまつ毛パーマの施術を行うことができる。
【0028】
図1(b)には、眼の一部を側方から見た断面を模式的に示した。上述の通り、まぶたの表面にロッド10が貼り付けられ、そこにまつ毛が仮止めされることになる。
まつ毛のカール量などは、ロッド10の断面形状に依って決まってくるため、本実施例では、ロッド10を所望のカール量に応じて整形した上で貼り付ける。例えば、比較的小さい曲率半径でやや鋭角的にまつ毛をアップにしたいときは、ロッド10を平たく整形して用いればよい。また、比較的大きめの曲率半径で緩やかにカールさせたいときは、ロッド10を変形させずに用いたり、少しだけ変形させて用いるなどすればよい。こうすることにより、全体として所望のカール量を実現することができる。また、目頭側から目尻側に至る各部位ごとにロッド10の変形状態を変えれば、部位に応じて異なるカール量でパーマを施すこともできる。
【0029】
図1では、上のまつ毛に施術する場合を例示したが、下のまつ毛に施術する場合も同様である。下のまつ毛に施術する場合には、下まぶたの上にロッドを貼り付け、まつ毛を仮止めして薬液を塗布すればよい。
【0030】
図2は、ロッドおよび器具を示す説明図である。先に説明した通り、本実施例では、ロッドを所望のカール量に応じて整形して用いる。
図2(a)には、変形前のロッド10を示した。ロッド10は、組紐で形成されており、断面形状はほぼ円形をなしている(断面の直径をdとする)。ロッド10の長さは、まぶた全体にわたる程度の長さであり、例えば、約5cmとすることができる。種々の長さのものを用意し、被施術者に応じて使い分けても良い。
また、ロッド10は組紐で形成されているため、長い組紐を適宜、切断して用いるようにしてもよい。例えば、目頭から目尻までの幅の長さは人によってまちまちであるが、従来のロッドは、樹脂製やゴム製であり、予め定まった長さで製造されているのが通常であるため、人によっては、ロッドが長すぎたり、短すぎるなどの支障が生じることがある。これに対して、本実施例のロッド10は組紐で形成されており、比較的容易に切断することができるため、予め長めに用意しておき、人の目幅に合わせて適切な長さにロッドを調節することができるのである。このように、本実施例のロッド10を用いれば、比較的容易に、それぞれの人の目頭から目尻まで過不足無くまつ毛パーマを施すことが可能となる利点がある。
【0031】
ロッド10の端面を除く外表面(
図2(a)においては円柱状の側面全体を意味する)には、粘着層が施してある。ロッド10は、まぶたに貼り付けた後、取り除くものであるため、粘着層には、取り除く際にも肌に影響を与えない程度の粘着力の粘着剤を用いることが好ましい。
【0032】
このように粘着層を形成しておくことにより、ロッド10をまぶたに容易に貼り付けることができ、またまつ毛を容易に仮止めすることができる。粘着層は、まぶたに貼り付ける部分、またはまつ毛を仮止めする部分というように部分的に設けてもよいが、この場合は、粘着層が、適切にまぶた側またはまつ毛側に来るように意識しながらロッド10を整形させる必要が生じるため、整形に手間がかかることになる。こうしたデメリットを避けるため、ロッド10の全周にわたって粘着層を形成することが好ましい。
【0033】
本実施例のロッド10は、従来の樹脂製やゴム製のロッドに比較して、圧力をかけて所望の形状に整形できる利点がある。従って、ロッド10は、貼り付ける位置の皮膚の形状にも馴染みやすく、所望のカールの形に応じてロッドを貼り付ける位置を柔軟に選択することが可能となる。例えば、ロッド10をまつ毛の生え際に近い位置、即ち上まぶたの場合は下方、下まぶたの場合は上方に貼り付ければ、まつ毛の根元に強いカールを作ることができる。逆に、ロッド10をまつ毛の生え際から離れた位置、即ち上まぶたの場合は上方、下まぶたの場合は下方に貼り付ければ、まつ毛の根元のカールを少なくすることができる。
【0034】
図2(b)には、ロッド10を整形するための器具およびそれによってロッド10を整形している状態を示した。器具20は、コの字形状をした上ハンドル21、下ハンドル22が、左右の軸26によって回動できるように係合されている。上ハンドル21には、軸26から少し離れた位置にローラー24が、コの字の左右を連結するように回転可能に取り付けられている。同様に、下ハンドル22には、軸26から少し離れた位置にローラー23が、コの字の左右を連結するように回転可能に取り付けられている。下側のローラー23には、つまみ25が取り付けられており、つまみ25を回転させることでローラー23を回転させることができるようになっている。
【0035】
ローラー23、24は、それぞれ軸26から少し離れた位置に取り付けられているため、上ハンドル21、下ハンドル22を矢印aのように閉じる向きに、その端(軸26から遠方側を意味する)に手で力を加えると、そこが力点、軸26が支点、ローラー23、24が作用点となって、てこの原理により、ローラー23、24の間に挟んだ物に軽い力で十分な圧力を加えることができる。
従って、図示するようにローラー23、24の間にロッド10を挟んで圧力を加えれば、ロッド10をつぶすように部分的に変形させることができる。この状態で、つまみ25を回せば、ロッド10が矢印bのように移動し、つぶす部分を変えることができる。また、上ハンドル21、下ハンドル22に加える力を加減すれば、ロッド10にかかる圧力を調整することができ、ロッド10のつぶれ具合を調整することができる。
【0036】
このように器具20を用いることにより、ロッド10を自在に整形することができる。ロッド10を部分ごとに任意に変形させることができるため、例えば、目頭側ではカール量を小さく平らにし、中央は少しアーチをかけ、目尻側で強めのアーチにしてカール量を大きくするなどのように、部位によってカール量などの調整をすることができる。こうした調整ができる点は、美容上の利点だけにとどまるものではない。人の瞼の厚みは部分ごとに異なっているため、上述のように、部位によってアーチを調整することにより、瞼に睫毛が当たってしまうことを回避できる利点もある。
【0037】
器具20は、種々の構造のものを利用可能である。例えば、つまみ25は省略してもよい。この場合、ロッド10の一部を変形させた後、上ハンドル21、下ハンドル22を開いて圧力を解放して、ロッド10を移動させ、再び圧力をかけて変形させることにより、ロッド10を自在に変形させることができる。
また、
図2(b)では、支点となる軸26と力点との間に作用点となるローラー23、24が配置されている例を示したが、てこの原理を応用する構成としては、軸の両側に力点、作用点がくる態様、いわゆるペンチ、プライヤなどのような構造としてもよい。
【0038】
図2(c)には、整形後のロッド10を示した。整形前は直径dの断面円形の状態であったが(
図2(a)参照)、整形により、
図2(c)に示すように平たい断面形状となっている。各部位の厚さtは、整形前の直径dよりも小さくなる。また、厚さtは、部位ごとに異なっていてもよい。
【0039】
本実施例では、ロッド10は組紐で形成されているため、整形された形状は、そのまま維持される。形状は、まつ毛パーマの施術に通常要する30分程度の間、維持されれば足りるが、組紐を用いた場合には、数日以上、形状が維持されることが確認されており、まつ毛パーマを施すのに全く支障がないことが確認されている。
本実施例のロッド10は、外表面に粘着層が形成されており、この粘着層もロッド10の形状維持に寄与していると思われる。ただし、形状を維持するために粘着層が必須という訳ではなく、組紐など適切な素材を用いれば粘着層がなくてもまつ毛パーマには十分に用いることは可能である。
【0040】
実施例のロッド10のように粘着層が形成されている場合、器具20を用いて整形する過程で、粘着層が器具20に付着することなどが懸念される。これを回避するため、ロッド10の粘着層の外側を予め樹脂フィルムで覆っておくようにしてもよい。こうすることにより、ロッド10の粘着層が器具20に付着することを回避できる。また、こうして器具20に付着することで、粘着層が剥がれてしまうなどの弊害も回避することができる。
【0041】
図3は、まつ毛パーマの施術工程を示す工程図である。施術を開始すると、まずロッドを用意する(ステップS10)。そして、まつ毛パーマの所望のカール量などに応じて、ロッドを整形する(ステップS12)。ロッドの整形は、
図2で説明した通り、器具を用いて行うことができる。
【0042】
次に、まぶたに整形されたロッドを貼り付ける(ステップS14)。そして、パーマを施術する(ステップS16)。具体的には、ロッドにまつ毛を仮止めし、そのまつ毛にパーマ用の薬液を塗布して、所定の時間経過するのを待つのである。
こうして施術を終えると、ロッドをはがして(ステップS18)、施術を完了する。
【0043】
以上で説明したまつ毛パーマの施術方法によれば、ロッドを所望の形状に整形した上で、まつ毛パーマを施すことができるため、任意のカール量などによるまつ毛パーマを実現することができる。また、ロッドの整形は、ロッドに圧力をかけることにより容易に実現できる利点もある。
さらに、実施例で説明したまつ毛パーマの施術方法によれば、ロッドの長さの調整、部分ごとの整形の調整、およびロッドの貼り付け位置を柔軟に選択することができ、まつ毛のカール量を自由自在に調整してまつ毛パーマを施すことが可能となる。
【0044】
本発明は、上述の実施例で説明した種々の特徴を全て備えている必要はなく、適宜、その一部を組み合わせたり省略したりして実施してもよい。
また、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく種々の変形例を構成することが可能である。例えば、ロッドの素材は実施例で説明した組紐に限られるものではなく種々の素材を用いても良い。また、ロッドを整形する器具も、種々の構造のものを用いることができる。ロッドは、器具を用いることなく整形しても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、まつ毛パーマの施術方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 ロッド
20 器具
21 上ハンドル
22 下ハンドル
23、24 ローラー
25 つまみ
26 軸
【要約】
【課題】 任意のカール量でまつ毛パーマを施術可能とする。
【解決手段】 まつ毛パーマ用に用いるロッド10を、組紐で形成する。施術に際しては、器具20でロッド10をはさみ、圧力をかけてつぶすことで、当初は円形断面であったロッドを、平たい形状などに変形させる。ロッド10にかける圧力を調整することにより、まつ毛パーマのカール量に応じた形状に整形することができ、またロッド10の部位に応じて圧力を調整することにより、目頭側、目尻側などの部位に応じて異なるカール量に応じた形状に整形することもできる。組紐で形成されたロッド10は、整形後もその形状が維持される。かかるロッドをまぶたに貼り付け、まつ毛をその上に仮止めして、薬液を塗布し、所定時間が経過するのを待つことで、任意のカール量でのまつ毛パーマを施術することが可能となる。
【選択図】
図2