(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】車両ラッチ装置の組付方法
(51)【国際特許分類】
E05B 79/06 20140101AFI20220823BHJP
E05B 83/38 20140101ALI20220823BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20220823BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
E05B79/06 A
E05B83/38
E05B79/20
B60J5/10 H
(21)【出願番号】P 2019137339
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高山 達也
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-308183(JP,A)
【文献】実開平01-094567(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 79/06
E05B 83/38
E05B 79/20
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側ハンドルユニット(19)のブラケット(25)にワイヤーレバー(28)およびハンドルレバー(24)を軸止させ;
上部ラッチユニット(14)は上部ワイヤーケーブル(17)の上部を予め連結させた状態で、後側ドア(12)の上部に組み付け、下部ラッチユニット(16)は下部ワイヤーケーブル(18)の下部を予め連結させた状態で後側ドア(12)の下部に組み付け;
ブラケット(25)に軸止させたワイヤーレバー(28)に、上部ラッチユニット(14)から垂下する上部ワイヤーケーブル(17)のインナーケーブル(17A)の下部を連結させ;
上部ワイヤーケーブル(17)のアウター(17C)の下部をブラケット(25)の上部係止部(25A)に係止させ;
ブラケット(25)の先端係止部(36A)を後側ドア(12)の金属インナーパネル(22)の差込孔(39)に差し込み仮止め状態とし;
ワイヤーレバー(28)に下部ラッチユニット(16)から伸びる下部ワイヤーケーブル(18)のインナーケーブル(18A)の上部を連結させ;
下部ワイヤーケーブル(18)のアウター(18C)の上部をブラケット(25)の下部係止部(25B)に係止させ;
ついで、ブラケット(25)の複数の挿通孔を金属インナーパネル(22)の複数の止着孔に合致させて複数の締め具(27)によりブラケット(25)を金属インナーパネル(22)に固定する車両ラッチ装置の組付方法。
【請求項2】
請求項
1において、前記ブラケット(25)は単一部材としてプレス加工で形成できる展開形状を備えた車両ラッチ装置の組付方法。
【請求項3】
請求項
2において、上部ワイヤーケーブル(17)と後側ハンドルユニット(19)の連結後、上部ワイヤーケーブル(17)の中間部分を止具(40)で金属インナーパネル(22)に止着する車両ラッチ装置の組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後側ドア用車両ラッチ装置および車両ラッチ装置の組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のサイドドアを、前側サイドドアと後側サイドドアとで観音開き構成としたものがある。この構成では、前側ドアは車体に対してその前端側を前側ヒンジで軸支させるのに対して、後側ドアは車体に対してその後端側を後側ヒンジで軸支させるとともに、閉扉状態では、前側ドアの後端側は、車体ではなく後側ドアの前側端に係合させる構成としている(特許文献1~5)。
【0003】
後側ドア用の車両ラッチ装置は、車体の上部ストライカと係脱する上部ラッチユニットと、車体の下部ストライカと係脱する下部ラッチユニットと、上部ラッチユニットおよび下部ラッチユニットに上部ワイヤーケーブルおよび下部ワイヤーケーブルを介して操作的に連結されるハンドルユニットとを有している。上部ラッチユニットは後側ドアの上部に、下部ラッチユニットは後側ドアの下部にそれぞれ配設され、ハンドルユニットは後側ドアの上下の略中間に配設され、ハンドルユニットのハンドルレバーの開扉操作で両ラッチユニットがアンラッチされるように構成されている。
【0004】
車両ラッチ装置を後側ドアに組み付ける作業は面倒で、特許文献1においては、次のような組付方法を採用していた。
【0005】
まず、上部ラッチユニットは、上部ワイヤーケーブルの上端を予め係止させた状態で後側ドアの上部に組み付け、同様に、下部ラッチユニットは、下部ワイヤーケーブルの下端を予め係止させた状態で後側ドアの下部に組み付ける。ついで、上部ラッチユニットから垂下している上部ワイヤーケーブルの下端を、後側ドアに取り付ける前のハンドルユニットに連結させる。これにより、ハンドルユニットは上部ワイヤーケーブルからぶら下がった状態に保たれ、この状態のハンドルユニットに、下部ワイヤーケーブルの上端を連結した後、ハンドルユニットを後側ドアに螺子等の締め具で固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-308183号公報
【文献】特開2003-025846号公報
【文献】特開2002-225562号公報
【文献】特開2002-266524号公報
【文献】特開2005-240454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の車両ラッチ装置の組付方法では、上部ワイヤーケーブルからぶら下がった状態のハンドルユニットに下部ワイヤーケーブルの上端を連結する際に、ハンドルユニットが余計な動きをしないように、上部ワイヤーケーブルとハンドルユニットの連結部の重心関係に工夫を凝らせていたが、実際の組立においては、ハンドルユニットを手で保持しながら、下部ワイヤーケーブルの上端をハンドルユニットに連結しており、また、ハンドルユニットを後側ドアに組み付ける際にも、引き続きハンドルユニットを手で保持しながら螺子等で固定していたため、組付作業性は良好ではなかった。
【0008】
また、従来のハンドルユニットの金属製のブラケットは、プレス加工による成形に適さない複雑な展開形状を呈していたため、金属板から単一部材としてプレス加工するのが難しく、実施品では、ブラケットを、上部ワイヤーケーブルおよび下部ワイヤーケーブルに連結されワイヤーレバーが軸止される第1プレートと、ワイヤーレバーを回転させるハンドルレバーが軸止される第2プレートとに分割して、独立した2部材にプレス加工してから、第1プレートと第2プレートとをロールオーバーカシメ加工により互いに固定していた。
【0009】
このように2部材の組立品であったブラケットは、互いの固定部分が2重のプレート構造になるため重量的に不利になると共に、2部材を固定する際の精度により、ハンドルレバーとワイヤーレバーとの相互位置関係にずれが生じ、ガタツキや異音の発生要因となることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、本発明は、後側ハンドルユニット19のブラケット25にワイヤーレバー28およびハンドルレバー24を軸止させ;上部ラッチユニット14は上部ワイヤーケーブル17の上部を予め連結させた状態で、後側ドア12の上部に組み付け、下部ラッチユニット16は下部ワイヤーケーブル18の下部を予め連結させた状態で後側ドア12の下部に組み付け;ブラケット25に軸止させたワイヤーレバー28に、上部ラッチユニット14から垂下する上部ワイヤーケーブル17のインナーケーブル17Aの下部を連結させ;上部ワイヤーケーブル17のアウター17Cの下部をブラケット25の上部係止部25Aに係止させ;ブラケット25の先端係止部36Aを後側ドア12の金属インナーパネル22の差込孔39に差し込み仮止め状態とし;ワイヤーレバー28に下部ラッチユニット16から伸びる下部ワイヤーケーブル18のインナーケーブル18Aの上部を連結させ;下部ワイヤーケーブル18のアウター18Cの上部をブラケット25の下部係止部25Bに係止させ;ついで、ブラケット25の複数の挿通孔を金属インナーパネル22の複数の止着孔に合致させて複数の締め具27によりブラケット25を金属インナーパネル22に固定する車両ラッチ装置の組付方法としたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、ブラケット25の先端係止部36Aを後側ドア12の金属インナーパネル22の差込孔39に差し込むことで、ハンドルユニット19を金属インナーパネル22に対して容易に確実に仮止め状態にできるから、ハンドルユニット19と下部ワイヤーケーブル18との連結や、締め具27によるブラケット25の金属インナーパネル22への固定が容易に行える。
請求項2に係る発明では、ブラケット25は単一部材として形成できるから、ブラケット25に軸止されるハンドルレバー24とワイヤーレバー28との相対位置は、一定に保たれガタツキや異音の発生は抑制され、また、ハンドルレバー24の開扉操作力はワイヤーレバー28に良好に伝達される。
請求項3に係る発明では、上部ワイヤーケーブル17を止具40で金属インナーパネル22に容易に止着して上部ワイヤーケーブル17のガタツキを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】車体と前側ドアと後側ドアの室外側側面図である。
【
図2】前側ドアと後側ドアの閉扉状態と開扉状態を示した説明図である。
【
図3】後側ドアの金属インナーパネルの前側部分と本発明による後側ドア用車両ラッチ装置を示す室内側側面図である。
【
図4】車両ラッチ装置のハンドルユニットの拡大斜視図である。
【
図6】ハンドルユニットのブラケットの室内側を示す側面図である。
【
図7】ハンドルユニットのブラケットを車体前方から見た正面図である。
【
図8】ハンドルユニットのブラケットの平面図である。
【
図9】ハンドルユニットのブラケットの室内側から見た斜視図である。
【
図10】ハンドルユニットのブラケットの室外側から見た斜視図である。
【
図11】ハンドルユニットのブラケットを
図6のX-X線で切断した一部断面斜視図である。
【
図12】後側ドアの金属インナーパネルの3箇所の止着孔と1箇所の差込孔を示した斜視図である。
【
図13】後側ドアの金属インナーパネルにハンドルユニットのブラケットを単体で取り付けた状態を示す参考斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例を説明する。
図1は、車体10と、前側ドア11と、後側ドア12の側面を示しており、後側ドア12には本発明による後側ドア用の車両ラッチ装置Rが設けられている。
【0014】
前側ドア11は車体10に対してその前端側を前側ヒンジ11Aで軸支させるのに対して、後側ドア12は車体10に対してその後端側を後側ヒンジ12Aで軸支させており、前側ドア11と後側ドア12とは
図2のように観音開きする構成になっている。
【0015】
車両ラッチ装置Rは、車体10の上部(ルーフ部)に固定される上部ストライカ13と係脱する上部ラッチユニット14と、車体10の下部(床部)に固定される下部ストライカ15と係脱する下部ラッチユニット16と、上部ラッチユニット14および下部ラッチユニット16にそれぞれ上部ワイヤーケーブル17および下部ワイヤーケーブル18を介して操作的に連結される後側ハンドルユニット19とを有している。ラッチユニット14、16は周知のラッチ/ラチェット機構を備えたものである
【0016】
上部ラッチユニット14は後側ドア12の上部に、下部ラッチユニット16は後側ドア12の下部にそれぞれ配設される。後側ハンドルユニット19は後側ドア12の前側寄りで上下の略中間に配設され、後側ハンドルユニット19の開扉操作でワイヤーケーブル17、18を介してラッチユニット14、16がアンラッチされるように構成されている。
【0017】
前側ドア11の後端側には周知のラッチ/ラチェット機構を備えた前側ラッチユニット20を取付ける。前側ラッチユニット20は、後側ドア12の前端側に設けた前側ドア用ストライカ21と係脱する。前側ドア11は前側ラッチユニット20が前側ドア用ストライカ21に係合することで閉扉状態に保たれる。後側ドア12は、前側ドア11が開扉状態のときのみ開扉可能な構成で、一般例としては、後側ドア12の後側ハンドルユニット19の開扉操作を、前側ドア11が閉扉状態にあるときは、前側ドア11との物理的に干渉により規制させ、前側ドア11が開扉状態になると、規制が解除される構成にする(特許文献1参照)。
【0018】
図3は、後側ドア12の金属インナーパネル22の前側部分と、金属インナーパネル22に組み付けられる車両ラッチ装置Rを示している。車両ラッチ装置Rの後側ハンドルユニット19は、後側ドア12の室内側に露出する樹脂製のハンドルカバー23と、搭乗者が開扉操作するハンドルレバー24を備えている。ハンドルカバー23の前側寄りには凹部23Aを設け、凹部23Aにハンドルレバー24の操作グリップ24Aを収納させる。
【0019】
ハンドルレバー24には上下一対の支持アーム24Bを一体的に形成する。支持アーム24Bはハンドルカバー23の連通口を介してハンドルカバー23の裏面側に(ドア内部側に)ほぼ水平に突出させる。支持アーム24Bの基部24Cは後側ハンドルユニット19の金属製のブラケット25に縦のハンドル軸26で軸止させる。
【0020】
ブラケット25は、ボルトや螺子などの複数の締め具27(
図13参照)により金属インナーパネル22に組み付けられる。本発明はこの組み付け手順に特徴があり、手順については後述する。
【0021】
ブラケット25には、単一部材のワイヤーレバー28を支持軸29で軸止する。ワイヤーレバー28には支持軸29を挟んで互いに反対側に伸びる上部アーム28Aと下部アーム28Bとを設ける。上部アーム28Aには上部ワイヤーケーブル17のインナーケーブル17Aの下端のケーブルエンド17Bを連結させる。下部アーム28Bには下部ワイヤーケーブル18のインナーケーブル18Aの上端のケーブルエンド18Bを連結させる。上部ワイヤーケーブル17のアウター17Cの下端は、ブラケット25の上部係止部25Aに係止させ、下部ワイヤーケーブル18のアウター18Cの上端は、ブラケット25の下部係止部25Bに係止させる。
【0022】
実施例においては、上下一対の支持アーム24Bのうち、上部側の支持アーム24Bの先端には、基部24Cを越えて伸長させた押圧部24Dを形成する。押圧部24Dはハンドルレバー24が開扉操作されると、ワイヤーレバー28の当接アーム28Cに当接し、ワイヤーレバー28を回転させて、ワイヤーケーブル17、18を介してラッチユニット14、16をアンラッチさせる。
【0023】
ワイヤーレバー28は、ハンドル軸26周りに配設した復帰バネ30により、初期位置に向けて付勢させる。ハンドルレバー24はワイヤーレバー28との当接を介して復帰バネ30の弾力で初期位置に向けて付勢される。ハンドルレバー24は、下部側の支持アーム24Bの先端に形成した当接部24Eがブラケット25に当接することで、初期位置に弾力的に保持される。
【0024】
ブラケット25は、上部取付部31Aと下部取付部31Bとを有している。上部取付部31Aおよび下部取付部31Bは、ブラケット25の上下両側にそれぞれ配置される。上部取付部31Aおよび下部取付部31Bは、それぞれ基端32Aおよび基端32B側から後方に互いに平行に伸長させる。上部取付部31Aの基端32Aと下部取付部31Bの基端32Bとはブラケット25の縦の連結プレート33で連結させている。
【0025】
上部取付部31Aの基端32Aおよび下部取付部31Bの基端32Bは、実質的に金属インナーパネル22と平行であり、基端32A、32Bには、締め具27が挿通される基端側挿通孔34A、34Bをそれぞれ形成する。
【0026】
上部取付部31Aおよび下部取付部31Bの後方に伸びた後側部35Aおよび後側部35Bは、金属インナーパネル22側に、一度、直角に屈曲させてから、金属インナーパネル22に対して平行に戻るように再度直角に屈曲させ、後側部35Aの先端に金属インナーパネル22と平行の先端係止部36Aを、後側部35Bの先端に金属インナーパネル22と平行の先端締結面36Bをそれぞれ形成する。上部取付部31Aの先端係止部36Aの根元は、短径のネック部37に形成する。下部取付部31Bの先端締結面36Bには、締め具27が挿通される先端側挿通孔34Cを形成する。
【0027】
金属インナーパネル22には、ブラケット25の3箇所の挿通孔34A、34B、34Cに対応する3箇所の止着孔38A、38B、38C(
図12参照)を形成すると共に、上部取付部31Aの先端係止部36Aが挿入可能の差込孔39を形成する。3箇所の止着孔38A、38B、38Cと、1箇所の差込孔39とは、四角形の各頂点に配置することが望ましい。。
【0028】
上部ラッチユニット14は、上部ワイヤーケーブル17の上端を予め係止させた状態で、後側ドア12の上部に組み付けられ、同様に、下部ラッチユニット16は、下部ワイヤーケーブル18の下端を予め係止させた状態で、後側ドア12の下部に組み付けられる。
【0029】
後側ハンドルユニット19は、ブラケット25にハンドルレバー24、ワイヤーレバー28および復帰バネ30を取り付けた半製品として組み立てられる。
【0030】
半製品の後側ハンドルユニット19のワイヤーレバー28の上部アーム28Aには、上部ラッチユニット14から垂下する上部ワイヤーケーブル17のインナーケーブル17Aの下端のケーブルエンド17Bを連結させ、また、上部ワイヤーケーブル17のアウター17Cの下端をブラケット25の上部係止部25Aに係止させる。これで、上部ワイヤーケーブル17と後側ハンドルユニット19との連結は終了する。
【0031】
上部ワイヤーケーブル17と後側ハンドルユニット19の連結後、上部ワイヤーケーブル17の中間部分は、
図3のように、トリムクリップのような止具40で金属インナーパネル22にクリップ留めする。
【0032】
上部ワイヤーケーブル17が連結された半製品の後側ハンドルユニット19は、そのブラケット25の上部取付部31Aの先端係止部36Aを、金属インナーパネル22の差込孔39に差し込み、仮止め状態にする。仮止め状態では、後側ハンドルユニット19から手を離しても、先端係止部36Aの根元のネック部37が差込孔39に係合するため、後側ハンドルユニット19が金属インナーパネル22から抜け落ちることは防止され、仮止め状態は維持される。
【0033】
仮止め状態の後側ハンドルユニット19のワイヤーレバー28の下部アーム28Bには、下部ラッチユニット16から伸びる下部ワイヤーケーブル18のインナーケーブル18Aの上端のケーブルエンド18Bを連結させ、また、下部ワイヤーケーブル18のアウター18Cの上端をブラケット25の下部係止部25Bに係止させる。これで、後側ハンドルユニット19と下部ワイヤーケーブル18との連結は終了する。
【0034】
下部ワイヤーケーブル18と後側ハンドルユニット19の連結後、下部ワイヤーケーブル18の中間部分は、
図3のように、トリムクリップのような止具41で金属インナーパネル22にクリップ留めする。
【0035】
上下のワイヤーケーブル17、18を接続した仮止め状態の後側ハンドルユニット19は、簡単な位置調整で、ブラケット25の3箇所の挿通孔34A、34B、34Cを金属インナーパネル22の3箇所の止着孔38A、38B、38Cに合致させることができ、合致させた挿通孔34A、34B、34Cと止着孔38A、38B、38Cにボルトや螺子などの複数の締め具27を挿通後、ブラケット25を金属インナーパネル22に締結固定する。
【0036】
なお、後側ハンドルユニット19と下部ワイヤーケーブル18との連結は、ブラケット25を金属インナーパネル22に締め具27で固定した後に行っても良い。
【0037】
ブラケット25は、金属板のプレス加工で形成する。実施例のブラケット25は、金属板から単一部材としてプレス加工で形成できる展開形状を備えている。ブラケット25の上部取付部31Aおよび下部取付部31Bは、基準となる連結プレート33に対して、上方および下方に平板状に展開でき、曲げ加工によりプレス形成できる。ワイヤーレバー28が軸止されるレバープレート42は、連結プレート33から側方に連設させることで、上部取付部31Aおよび下部取付部31Bと干渉することなく連結プレート33に対して展開させることができる。また、レバープレート42の上下に曲げ加工で形成される上部係止部25Aおよび下部係止部25Bも、展開時、上部取付部31Aおよび下部取付部31Bとは干渉しない間隔に収めることができる。
【0038】
ブラケット25を単一部材としてプレス成形すると、ブラケット25に軸止後のハンドルレバー24とワイヤーレバー28との相対位置は、許容誤差内で一定に保たれるから、ガタツキや異音の発生は抑制され、また、ハンドルレバー24の開扉操作力は、支持アーム24Bの押圧部24Dを介してワイヤーレバー28の当接アーム28Cに良好に伝達される。
【符号の説明】
【0039】
R…車両ラッチ装置、10…車体、11…前側ドア、11A…前側ヒンジ、12…後側ドア、12A…後側ヒンジ、13…上部ストライカ、14…上部ラッチユニット、15…下部ストライカ、16…下部ラッチユニット、17…上部ワイヤーケーブル、17A…インナーケーブル、17B…ケーブルエンド、17C…アウター、18…下部ワイヤーケーブル、18A…インナーケーブル、18B…ケーブルエンド、18C…アウター、19…後側ハンドルユニット、20…前側ラッチユニット、21…前側ドア用ストライカ、22…金属インナーパネル、23…ハンドルカバー、23A…凹部、24…ハンドルレバー、24A…操作グリップ、24B…支持アーム、24C…基部、24D…押圧部、24E…当接部、25…ブラケット、25A…上部係止部、25B…下部係止部、26…ハンドル軸、27…締め具、28…ワイヤーレバー、28A…上部アーム、28B…下部アーム、28C…当接アーム、29…支持軸、30…復帰バネ、31A…上部取付部、31B…下部取付部、32A…基端、32B…基端、33…連結プレート、34A…基端側挿通孔、34B…基端側挿通孔、34C…先端側挿通孔、35A…後側部、35B…後側部、36A…先端係止部、36B…先端締結面、37…ネック部、38A…止着孔、38B…止着孔、38C…止着孔、39…差込孔、40…止具、41…止具、42…レバープレート。