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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】光結合装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/26 20060101AFI20220823BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220823BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G02B6/26 301
G02B6/42
G02B6/32
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017201810
(22)【出願日】2017-10-18
(65)【公開番号】P2019074685
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-02-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【弁理士】
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】石垣 直也
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-198680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0098934(US,A1)
【文献】米国特許第08831396(US,B1)
【文献】特開平02-093411(JP,A)
【文献】特開昭60-006843(JP,A)
【文献】特開昭57-158604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26 - 6/27
G02B 6/30 - 6/34
G02B 6/42 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光する第1の集光レンズと、
多角形コアを有し、前記第1の集光レンズで集光されたレーザ光を前記多角形コアに入射して均一化された多角形ビームを生成する第1の光ファイバと、
円形コアを有し、前記第1の光ファイバからの均一化された多角形ビームを前記円形コアに入射する第2の光ファイバと、
を備え、
光結合装置の光軸方向に移動し、前記第2の光ファイバへの入射端面において多角形ビームのプロファイルが前記円形コアに外接する多角形となるように前記多角形ビームの大きさを調整し、且つ前記第2の光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度するための光学素子を、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの間に配置したことを特徴とする光結合装置。
【請求項2】
前記多角形コアは、方形コアからなることを特徴とする請求項1記載の光結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源からのレーザ光をレンズで集光させて光ファイバに結合させる光結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の光結合装置として、例えば、特許文献1に記載されたレーザ治療装置が知られている。このレーザ治療装置は、レーザ光源から発生されたレーザ光を、導光路ファイバにその一方端から導入し、導入されたレーザ光を導光路ファイバの出力側に設けられたハンドピースを介して生体患部に照射することにより治療を行う。
【0003】
導光路ファイバの光伝搬機能を有するコア部材の横断面形状を多角形とし、導光路ファイバの他方端に握り部材を構成してハンドピースを構成している。
【0004】
この光結合装置によれば、導光路ファイバに入射されたレーザ光は、四方の壁で全反射を繰り返し、方形形状ファイバの横断面いっぱいに広がった均一のエネルギー分布となって導光路ファイバの出力端から出射される。このため、透過効率の良いレーザ治療装置を得ることができる。
【0005】
このように、断面が方形状に形成された方形コアを備えた光ファイバでは、レーザ光のニアフィールドパターン(レーザ光源の出力端近傍のビームパターン)における強度が均一分布になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公平3-49591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、断面が円形状に形成されたコアを備えた光ファイバでは、出射されるレーザ光のニアフィールドパターンにおける強度分布がガウス分布になってしまう。
【0008】
このため、円形コアを含む光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度にすることが望まれていた。
【0009】
本発明の課題は、円形コアを含む光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度にすることができる光結合装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光結合装置の請求項1は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を集光する集光レンズと、多角形コアを有し、前記集光レンズで集光されたレーザ光を前記多角形コアに入射して均一化された多角形ビームを生成する第1の光ファイバと、円形コアを有し、前記第1の光ファイバからの均一化された多角形ビームを前記円形コアに入射する第2の光ファイバとを備え、光結合装置の光軸方向に移動し、前記第2の光ファイバへの入射端面において多角形ビームのプロファイルが前記円形コアに外接する多角形となるように前記多角形ビームの大きさを調整し、且つ前記第2の光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度するための光学素子を、前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの間に配置したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項において、前記多角形コアは、方形コアからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の光ファイバの多角形コアで、均一化された多角形ビームを生成し、光結合装置の光軸方向に移動し、第2の光ファイバへの入射端面において多角形ビームのプロファイルが円形コアに外接する多角形となるように多角形ビームの大きさを調整し、且つ第2の光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度するための光学素子を、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの間に配置し、光学素子からの均一化された多角形ビームを第2の光ファイバの円形コアに入射するので、第2の光ファイバから出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1の光結合装置の構成図である。
図2】本発明の実施例1の光結合装置の方形コアを有する光ファイバの出力端におけるニアフィールドパターンを示す図である。
図3】本発明の実施例1の光結合装置の円形コアを有する光ファイバ入射面における矩形ビームと円形ファイバコア外形を示す図である。
図4】本発明の実施例1の光結合装置の円形コアを有する光ファイバの出力端におけるニアフィールドパターンを示す図である。
図5】本発明の実施例2の光結合装置の構成図である。
図6】本発明の実施例2の光結合装置の円形コアを有する光ファイバ入射面における5角形コアと円形ファイバコア外形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る光結合装置を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の光結合装置の構成図である。実施例1の光結合装置は、レーザ光源1、レンズ2、光ファイバ3、レンズ4、光ファイバ5を備えている。
【0017】
レーザ光源1は、レーザ光を出射するもので、半導体レーザ、固体レーザ等からなる。レンズ2は、本発明の集光レンズに対応し、レーザ光源1から出射されたレーザ光を集光して光ファイバ3の方形コアに導光する。
【0018】
光ファイバ3は、本発明の第1の光ファイバに対応し、図2(a)に示すように、正方形をなす方形コア3aと方形コア3aを覆うクラッド3bを有して構成されている。
【0019】
光ファイバ3は、レンズ2で集光されたレーザ光を方形コア3aに入射して、均一化された方形ビーム(矩形ビームBM)を生成する。
【0020】
レンズ4は、本発明の光学素子に対応し、光ファイバ3と光ファイバ5との間に配置され、光ファイバ3からの均一化された方形ビーム(矩形ビームBM)を光ファイバ5の円形コア5aに導光する。
【0021】
光ファイバ5は、本発明の第2の光ファイバに対応し、図4(a)に示すように円形コア5aと円形コア5aを覆うクラッド5bとを有し、光ファイバ3からの均一化された方形ビームをレンズ4を介して円形コア5aに入射する。
【0022】
また、レンズ4は、光ファイバ5への入射端面において方形ビームBMのプロファイルが円形コア5aのコア外形D1に外接する四角形となるように方形ビームBMの大きさを調整する。
【0023】
次にこのように構成された実施例1の光結合装置の動作を図面を参照しながら説明する。
【0024】
ここで、図2(b)は、方形コア3aを有する光ファイバ3の出力端(図1の(a)の位置)におけるニアフィールドパターンを示す。図3は、円形コア5aを有する光ファイバ入射面(図1の(b)の位置)における矩形ビームBMと円形ファイバコア外形D1を示す。図4(b)は、円形コア5aを有する光ファイバ5の出力端(図1の(c)の位置)におけるニアフィールドパターンを示している。
【0025】
まず、レーザ光源1からのレーザ光は、レンズ2により集光されて光ファイバ3の方形コア3aに導光される。光ファイバ3では、レーザ光を方形コア3aに入射して、均一化された方形ビーム(矩形ビームBM)を生成する。図2(b)に示すように、方形コア3aにおけるニアフィールドパターンは、均一強度となる。
【0026】
次に、レンズ4は、図3に示すように、光ファイバ5への入射端面において方形ビームBMのプロファイルが円形コア5aのコア外形D1に外接する四角形となるように方形ビームBMの大きさを調整する。具体的には、レンズ4の位置を光軸方向に移動させて方形ビームBMの大きさを調整する。
【0027】
そして、レンズ4は、光ファイバ3からの均一化された方形ビーム(矩形ビームBM)を光ファイバ5の円形コア5aに導光する。
【0028】
さらに、光ファイバ5は、光ファイバ3からの均一化された方形ビームをレンズ4を介して円形コア5aに入射する。
【0029】
このように実施例1の光結合装置によれば、光ファイバ3の方形コア3aで、均一化された方形ビームを生成し、光ファイバ3からの均一化された方形ビームを光ファイバ5の円形コア5aに入射するので、光ファイバ5から出射されるレーザ光のニアフィールドパターンを均一強度にすることができる。
【0030】
(実施例2)
図5は、本発明の実施例2の光結合装置の構成図である。実施例2の光結合装置は、方形コア3aを有する光ファイバ3に代えて、六角形コア30aを有する光ファイバ30を用いたことを特徴とする。
【0031】
図5に示す実施例2の光結合装置のその他の構成は、図1に示す実施例1の光結合装置の構成と同一構成であり、同一部分には、同一符号を付して、その説明は省略する。
【0032】
光ファイバ30は、図6に示すように、六角形コア30aと六角形コア30aを覆うクラッド30bを有している。また、レンズ4は、図6に示すように、光ファイバ5への入射端面において六角形ビームのプロファイルが円形コア5aのコア外形D1に外接する四角形となるように六角形ビームBMの大きさを調整する。
【0033】
そして、レンズ4は、光ファイバ3からの均一化された六角形ビームを光ファイバ5の円形コア5aに導光する。
【0034】
このように実施例2の光結合装置によっても、実施例1の光結合装置の効果と同様な効果が得られる。
【0035】
なお、本発明は、実施例1及び実施例2の光結合装置に限定されるものではない。実施例1及び実施例2の光結合装置では、光ファイバが方形コアや六角形コアであったが、例えば、三角形コア、五角形コア等の多角形コアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の光結合装置は、レーザ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザ光源
2 レンズ
3 光ファイバ
3a 方形コア
3b クラッド
4 レンズ
5 光ファイバ
5a 円形コア
5b クラッド
30 光ファイバ
30a 六角形コア
30b クラッド
BM 矩形ビーム
D1 円形ファイバコア外形
図1
図2
図3
図4
図5
図6