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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20220823BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20220823BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20220823BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20220823BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20220823BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20220823BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20220823BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/591
H01M50/588
H01M50/296
H01M50/50 101
H01G11/10
H01G11/82
H01G2/02 101E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018057111
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019169389
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 士
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-046234(JP,A)
【文献】特開2017-117574(JP,A)
【文献】特開2018-006249(JP,A)
【文献】特開2007-220391(JP,A)
【文献】特開2017-162703(JP,A)
【文献】特開2010-257652(JP,A)
【文献】特開2016-018766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
H01G 11/10
H01G 11/82
H01G 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続された端子が組み合わされた絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材における前記導電部材に対向する対向面には、前記導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられており、
前記導電部材における、前記複数の蓄電素子とは反対側の端部と、前記絶縁部材の前記対向面との間には、所定の間隔があいている
蓄電装置。
【請求項2】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続された端子が組み合わされた絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材における前記導電部材に対向する対向面には、前記導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられており、
前記絶縁部材には、前記対向面の周縁の一部に、前記導電部材側に向けて突出した第二凸部が設けられており、
前記第二凸部は、前記対向面と前記導電部材との間に収まっている
電装置。
【請求項3】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続された端子が組み合わされた絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材における前記導電部材に対向する対向面には、前記導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられており、
前記第一凸部は、前記対向面の法線方向視で、前記端子に対して重ならない位置に配置されている
電装置。
【請求項4】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続された端子が組み合わされた絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材における前記導電部材に対向する対向面には、前記導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられており、
前記対向面には、当該対向面の法線方向視で、前記第一凸部よりも前記蓄電素子側の位置に、前記導電部材に当接して支持される第三凸部が設けられている
電装置。
【請求項5】
複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、
前記複数の蓄電素子に電気的に接続された端子が組み合わされた絶縁部材とを備え、
前記絶縁部材における前記導電部材に対向する対向面には、前記導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられており、
前記対向面には、前記導電部材に対して所定の間隔をあけた第四凸部が設けられている
電装置。
【請求項6】
前記導電部材は、ブロック状のエンド部材である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備えた蓄電装置においては、複数の蓄電素子の終端に配置された板金製の終端部材(導電部材)と、複数の蓄電素子に電気的に接続された端子を有する端子台とが係止された蓄電装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-152373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電素子が膨れようとした場合、蓄電素子の側方に配置される部材に力がかり、当該部材が変形するおそれがある。変形を抑制するためには、当該部材を、樹脂等よりも強度が高く変形し難い金属で構成すればよいが、当該部材を金属で構成した場合、当該部材と端子が導通することを防止する必要がある。ここで、特許文献1に記載の蓄電装置では、導電部材の上端部よりも下方に張り出す形状に、端子台を形成している。しかし、このような形状の端子台を絶縁部材で形成した場合、当該絶縁部材が大型化してしまうのが実状である。
【0005】
このため、本発明の目的は、絶縁部材の大型化を抑えることができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子の側方に配置される導電部材と、複数の蓄電素子に電気的に接続された端子を有する絶縁部材とを備え、絶縁部材における導電部材に対向する対向面には、導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられている。
【0007】
この構成によれば、絶縁部材における対向面には、導電部材に当接して支持される第一凸部が設けられているので、対向面における第一凸部以外の部分は、対向面に対して間隔をあけた状態となる。つまり、この間隔によって端子から導電部材までの沿面距離を大きくすることができる。これにより、例えば、絶縁部材の一部を他の部分から張り出す形状にすることで沿面距離を確保する場合と比較しても、絶縁部材の大型化を抑制することが可能である。
【0008】
また、絶縁部材には、対向面の周縁の一部に、導電部材側に向けて突出した第二凸部が設けられており、第二凸部は、対向面と導電部材との間に収まっている。
【0009】
この構成によれば、絶縁部材における対向面の周縁の一部に、導電部材側に向けて突出した第二凸部が設けられているので、当該第二凸部によって端子から導電部材までの沿面距離を大きくすることができる。また、第二凸部は、対向面と導電部材との間に収まっているので、第二凸部の突出量を抑制することができ、絶縁部材の大型化を抑えることができる。
【0010】
また、第一凸部は、前記対向面法線方向視で、前記端子に対して重ならない位置に配置されている。
【0011】
この構成によれば、第一凸部が、対向面の法線方向視で、端子に対して重ならない位置に配置されているので、端子から導電部材までの沿面距離を大きくすることができる。
【0012】
また、対向面には、前記対向面の法線方向視で、前記第一凸部よりも蓄電素子側の位置に、導電部材に当接して支持される第三凸部が設けられている。
【0013】
この構成によれば、導電部材に当接して支持される第三凸部が、絶縁部材の対向面に設けられているので、絶縁部材は導電部材に対して安定して支持される。
【0014】
例えば、絶縁部材における蓄電素子とは反対側の端部は、他の機器や他の蓄電装置との接続経路となる。この絶縁部材における反対側の端部に対して、沿面距離を確保するための凸部等を設けると、この凸部等が他の機器や他の蓄電装置との接続を阻害するおそれがある。このことにより、絶縁部材における反対側の端部は、絶縁部材における蓄電素子側の端部よりも制約が多い。換言すると、絶縁部材における蓄電素子側の端部においては、その反対側の端部と比較しても制約が少ないために、絶縁部材の形状の自由度が高い。つまり、この位置に第三凸部を設けたとしても、その他の部分で沿面距離を確保することができるので、電気的な安定性を高めることが可能である。
【0015】
また、対向面には、導電部材に対して所定の間隔をあけた第四凸部が設けられている。
【0016】
ここで、導電部材に対して絶縁部材を固定する際には、絶縁部材が撓む場合がある。絶縁部材が撓んだ場合には第四凸部と導電部材との間隔が小さくなって、当該第四凸部が導電部材に接触する。このため、絶縁部材の安定性が増すこととなり、安定した固定が可能となる。
【0017】
また、導電部材は、ブロック状のエンド部材である。
【0018】
この構成によれば、導電部材がブロック状のエンド部材であるので、板状のエンド部材と比較しても剛性が高く、絶縁部材を安定して保持することができる。したがって、振動や変形等によってエンド部材と、絶縁部材の対向面との間隔が狭まることを抑制することができ、沿面放電の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓄電装置によれば、絶縁部材の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係るエンド部材、端子台及びバスバー保持部材の位置関係を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係るエンド部材の構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係る端子台の構成を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係る端子台の構成を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係る端子台の構成を示す下面図である。
図8】実施の形態に係る端子台及びその周囲の部材の位置関係を示す断面図である。
図9】実施の形態に係る端子台の沿面距離を示す断面図である。
図10】比較例に係る端子台の沿面距離を示す断面図である。
図11】変形例に係る端子台の沿面距離を示す断面図である。
図12】実施の形態に係る係止部の構成を示す斜視図である。
図13】実施の形態に係る係止部の構成を示す斜視図である。
図14】実施の形態に係る係止部の構成を示す正面図である。
図15】実施の形態に係る係止部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0022】
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向、インシュレータの並び方向、サイドプレートの並び方向、または、インシュレータとサイドプレートとの並び方向をX軸方向と定義する。また、蓄電素子の並び方向、スペーサ(中間スペーサ、エンドスペーサ)の並び方向、エンド部材の並び方向、蓄電素子とスペーサとエンド部材との並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、または、蓄電素子、スペーサ若しくはエンド部材の厚み方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとバスバー保持部材との並び方向、エンド部材と端子台との並び方向または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0023】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、蓄電装置10の構成について、説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。また、図2は、本実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0024】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0025】
図1及び図2に示すように、蓄電装置10は、複数(本実施の形態では12個)の蓄電素子100と、複数のスペーサ200及び300(本実施の形態では11個のスペーサ200及び一対のスペーサ300)と、一対のエンド部材400と、一対のインシュレータ600と、一対のサイドプレート700と、バスバー800と、バスバー保持部材900と、端子台850とを備えている。また、蓄電素子100とスペーサ200との間には接合部材510が配置され、蓄電素子100とスペーサ300との間には接合部材520が配置され、スペーサ300とエンド部材400との間には接合部材530が配置されている。また、バスバー800には、蓄電装置10の端子である一対の外部端子810(正極外部端子及び負極外部端子)が接続されている。これにより、外部端子810は、バスバー800を介して、複数の蓄電素子100の少なくとも一つに対して電気的に接続されている。
【0026】
また、蓄電装置10は、蓄電素子100の電圧計測用の複数の配線、温度計測用の複数の配線などを束ねた配線群910を備えており、この配線群910は、バスバー保持部材900の一端部から延び出している。配線群910は、絶縁体によって被覆されている。電圧計測用の配線は、蓄電素子100の電極端子に電気的に接続されている。また、温度計測用の配線は、蓄電素子100の温度を測定するためのサーミスタに電気的に接続されている。なお、蓄電装置10が、蓄電素子100の充電状態や放電状態を監視するための回路基板やリレー等の電気機器なども備えている場合には、これらに電気的に接続された配線も配線群910に含まれてもよい。
【0027】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、その上面に電極端子(正極端子及び負極端子)が設けられている。また蓄電素子100は、スペーサ200、300に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ200、300のそれぞれと交互に配置され、Y軸方向に並べられている。本実施の形態では、12個の蓄電素子100のうちの隣り合う蓄電素子100同士の間に11個のスペーサ200がそれぞれ配置され、12個の蓄電素子100のうちの端部の蓄電素子100を挟む位置に一対のスペーサ300が配置されている。
【0028】
なお、蓄電素子100の個数は12個には限定されず、12個以外の個数であってもよい。また、蓄電素子100の形状は、直方体形状には限定されず、直方体形状以外の多角柱形状であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。また、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
【0029】
スペーサ200、300は、蓄電素子100の側方(Y軸プラス方向またはY軸マイナス方向)に配置され、蓄電素子100と他の部材とを絶縁する矩形状かつ板状のスペーサである。具体的には、スペーサ200は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に配置され、当該2つの蓄電素子100間を絶縁する中間スペーサである。さらに具体的には、スペーサ200のY軸方向両側には接合部材510が配置されており、接合部材510によって、スペーサ200とY軸方向両側の蓄電素子100とが接合されている。なお、本実施の形態では、12個の蓄電素子100に対応して11個のスペーサ200が配置されているが、蓄電素子100の個数が12個以外の場合には、スペーサ200の個数も蓄電素子100の個数に応じて変更される。
【0030】
スペーサ300は、端部の蓄電素子100とエンド部材400との間に配置され、当該端部の蓄電素子100とエンド部材400との間を絶縁するエンドスペーサである。具体的には、スペーサ300の蓄電素子100側には接合部材520が配置されており、接合部材520によって、スペーサ300と蓄電素子100とが接合されている。また、スペーサ300のエンド部材400側には接合部材530が配置されており、接合部材530によって、スペーサ300とエンド部材400とが接合されている。
【0031】
エンド部材400及びサイドプレート700は、複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)において、蓄電素子100を外方から圧迫する部材である。つまり、エンド部材400及びサイドプレート700は、複数の蓄電素子100を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を当該並び方向の両側から圧迫する。
【0032】
具体的には、エンド部材400は、複数の蓄電素子100のY軸方向両側に配置され、複数の蓄電素子100を、当該複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)の両側から挟み込んで保持する扁平なブロック状のエンドプレート(挟持部材)である。エンド部材400は、強度の観点等から、例えば鋼やステンレス、アルミニウム等の導電性の材料で形成された導電部材である。エンド部材400は、絶縁処理が施されていてもよい。このエンド部材400の構成の詳細な説明については、後述する。
【0033】
サイドプレート700は、両端がエンド部材400に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状の拘束部材(拘束バー)である。つまり、サイドプレート700は、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200、300を跨ぐようにY軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200、300に対してこれらの並び方向(Y軸方向)における拘束力を付与する。本実施の形態では、複数の蓄電素子100のX軸方向両側方において、蓄電素子100とでインシュレータ600を挟む位置に、2つのサイドプレート700が配置されている。そして、当該2つのサイドプレート700のそれぞれが、Y軸方向両端部において、2つのエンド部材400のX軸方向端部に取り付けられている。これにより、2つのサイドプレート700は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200、300を、X軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。
【0034】
また、サイドプレート700は、Z軸方向に並ぶ複数のボルト701によって、エンド部材400に固定されている。本実施の形態では、ボルト701は、サイドプレート700を貫通してエンド部材400に接合される。なお、サイドプレート700のエンド部材400への取り付けは、ボルト701による固定には限定されず、溶接や接着等で接合されていてもかまわない。また、サイドプレート700は、エンド部材400と同様に、強度の観点等から、例えば鋼やステンレス、アルミニウム等の金属製(導電性)の部材で形成された導電部材であるが、例えば強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよいし、絶縁処理が施されていたりしていてもよい。
【0035】
インシュレータ600は、複数の蓄電素子100のX軸方向両側に配置され、かつ、Y軸方向に延設される長尺状かつ平板状の絶縁部材である。つまり、インシュレータ600は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200、300を跨ぐように、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200、300とサイドプレート700との間に配置され、蓄電素子100とサイドプレート700とを絶縁する。インシュレータ600は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ・エーテル・サルフォン(PES)、ABS樹脂、セラミック、及びそれらの複合材料などの絶縁性の材料で形成されている。なお、インシュレータ600は、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもよく、また、2つのインシュレータ600が異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0036】
また、インシュレータ600は、複数の蓄電素子100をZ軸マイナス方向に押圧する機能も有している。つまり、複数の蓄電素子100は、冷却装置(図示省略)に載置されて冷却される構成を有しており、インシュレータ600は、複数の蓄電素子100を冷却装置に向けて押圧する。冷却装置は、例えば水冷により、蓄電装置10(複数の蓄電素子100)を冷却する装置である。なお、蓄電装置10は、冷却装置ではなく、例えば、蓄電装置10を搭載する車の車体、または、蓄電装置10を収容する外装体等に載置される構成を有していてもよく、この場合、インシュレータ600は、複数の蓄電素子100を当該車体または外装体等に向けて押圧するように構成されていてもよい。
【0037】
バスバー800は、複数の蓄電素子100上に配置され、複数の蓄電素子100の電極端子同士を電気的に接続する導電性の板状部材である。本実施の形態では、バスバー800は、隣り合う蓄電素子100の正極端子と負極端子とを順に接続することで、複数の蓄電素子100を直列に接続している。また、端部に配置されるバスバー800には、正極及び負極の外部端子810が接続されている。バスバー800は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。なお、蓄電素子100の接続形態は特に限定されず、いずれかの蓄電素子100が並列接続されていることにしてもよい。
【0038】
バスバー保持部材900は、バスバー800や、その他配線類等(図示せず)を保持し、当該バスバー800等と他の部材との絶縁、及び、当該バスバー800等の位置規制を行うことができる板状部材(バスバープレート、バスバーフレーム)である。具体的には、バスバー保持部材900は、本体部分と蓋部分とを有しており、蓋部分を開いて本体部分に当該バスバー800等を載置した後に当該蓋部分を閉じることで、当該バスバー800等を収容できる構成になっている。バスバー保持部材900は、複数の蓄電素子100の上方、つまり、複数の蓄電素子100の電極端子側に配置されている。バスバー保持部材900は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PET、PEEK、PFA、PTFE、PBT、PES、ABS樹脂、セラミック、及びそれらの複合材料などの絶縁性の材料で形成されている。このバスバー保持部材900の構成の詳細な説明については、後述する。
【0039】
端子台850は、外部端子810を備えており、エンド部材400上に固定された絶縁性の固定部材である。端子台850は、複数のエンド部材400のそれぞれに対して設けられている。端子台850は、外部端子810と他の部材との絶縁、及び、外部端子810の位置規制を行う部材である。端子台850は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PET、PEEK、PFA、PTFE、PBT、PES、ABS樹脂、セラミック、及びそれらの複合材料などの絶縁性の材料で形成されている。なお、端子台850は、スペーサ300よりも硬く形成することが好ましい。この場合、例えば、上述した絶縁性の材料に対してガラスファイバを含有させることで、端子台850を硬く形成することが可能である。ガラスファイバの含有率は例えば30%である。この端子台850の構成の詳細な説明については、後述する。
【0040】
[2 エンド部材の詳細な説明]
次に、エンド部材400の構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係るエンド部材400、端子台850及びバスバー保持部材900の位置関係を示す斜視図である。図4は、本実施の形態に係るエンド部材400の構成を示す斜視図である。なお、エンド部材400は、蓄電素子100における正極側及び負極側のそれぞれに一つずつ設けられているが、いずれも概ね同形状である。このため、本実施の形態では、正極側(Y軸方向マイナス側)のエンド部材400について説明し、負極側のエンド部材400についての説明は省略する。
【0041】
図3及び図4に示すようにエンド部材400は、略直方体状のブロック状に形成されている。具体的には、エンド部材400は、押出成形あるいは削り出しなどの加工方法により形成されている。ここで、「ブロック状」とは、全体的な幅が概ね均等な立体形状のことを言う。ブロック状として直方体形状を例示すると、幅、厚み、高さのうち、最も小さい一辺が最も大きい一辺の1/10以上であればよい。エンド部材400は、X軸方向の長さ(幅)、Y軸方向の長さ(厚み)、Z軸方向の長さ(高さ)のそれぞれが全体として概ね均等に形成されている。また、エンド部材400におけるX軸方向の長さは、外部端子810のX軸方向の長さよりも大きいことが好ましい。エンド部材400におけるY軸方向の長さは、外部端子810のY軸方向の長さよりも大きいことが好ましい。エンド部材400の上面(Z軸方向プラス側の面)には、複数の貫通孔401、402が形成されている。これらの貫通孔401、402によって、エンド部材400の軽量化が図られている。ここで、エンド部材400の上面は、蓄電素子100の電極端子が設けられた面(上面)と同じ側の表面である。
【0042】
エンド部材400の上面におけるX軸方向の両端部に設けられた一対の貫通孔401は、円筒状に形成されている。その他の4つの貫通孔402は、X軸方向に沿って配列されている。これら4つの貫通孔402は、端子台850の位置決めをするのに適した形状に形成されている。エンド部材400の上面には、端子台850を固定するための複数(本実施の形態では3つ)のネジ穴403が形成されている。3つのネジ穴403のうち、1つのネジ穴403はX軸方向における中央部に配置されており、残りの2つのネジ穴403はX軸方向における両端部に配置されている。本実施の形態では、図3に示すように、エンド部材400におけるX軸方向プラス側に寄った位置に端子台850が配置されているので、エンド部材400における4つのその他の貫通孔402のうち、X軸方向プラス側の2つの貫通孔402に対して端子台850が位置決めされている。また、3つのネジ穴403のうち、X軸方向プラス側の2つのネジ穴403に対して、端子台850が図示しないネジによりネジ止めされている。
【0043】
エンド部材400におけるY軸方向マイナス側の面には、ボルト701が螺合する複数のネジ穴420が形成されている。複数のネジ穴420は、X軸方向の両端部で、Z軸方向に沿って配列されている。
【0044】
[3 端子台の詳細な説明]
次に、端子台850の構成について、詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る端子台850の構成を示す斜視図である。図6は、本実施の形態に係る端子台850の構成を示す斜視図であり、図5とは異なる方向から見た斜視図である。図7は、本実施の形態に係る端子台850の構成を示す下面図である。図8は、本実施の形態に係る端子台850及びその周囲の部材の位置関係を示す断面図である。図8は、図7におけるVIII-VIII線を含むYZ切断面を見た断面図である。
【0045】
図3及び図5図8に示すように、端子台850は、平板状の外部端子810と、当該外部端子810に対して接続された外部電線(図示省略)を固定するための固定具820とを備えている。端子台850と外部端子810とは、例えばインサート成形によって一体的に形成されている。固定具820は、端子台850と外部端子810とともにインサート成形されていてもよいし、インサート成形後の外部端子810に対して後付けで取り付けられていてもよい。外部端子810には、バスバー800が例えばレーザ溶接によって接合されている。
【0046】
端子台850は、本体部860と、被係止部880とを一体的に備えている。
【0047】
本体部860は、外部端子810及び固定具820を支持する部位であり、Z軸方向視でX軸方向に長尺な略矩形状に形成されている。本体部860の下面は、エンド部材400に対向する対向面866である。また、本体部860の上面における周縁には、第一壁部861が設けられている。第一壁部861は、Y軸方向マイナス側の一部が切り欠かれており、この切り欠き部分862に、外部端子810に接続された外部電線が配置される。切り欠き部分862におけるX軸方向の両端部には、端子台850をエンド部材400に取り付けるための取付部863が設けられている。
【0048】
取付部863は、Z軸方向に貫通した貫通孔864を有する部位であり、第一壁部861の一部を含む囲繞壁865によって囲まれている。貫通孔864には、スペーサとなる円筒状のカラー(図示省略)が設けられており、このカラーを介してネジ(図示省略)が挿通される。この貫通孔864に挿通されたネジが、エンド部材400のネジ穴403に締結されることで、端子台850がエンド部材400に固定される。
【0049】
図6図8に示すように、本体部860の対向面866には、第一凸部871、第二凸部872、第三凸部873及び第四凸部874が設けられている。第一凸部871、第二凸部872、第三凸部873及び第四凸部874は、対向面866からエンド部材400に向けて突出している。
【0050】
第一凸部871は、貫通孔864の全周を囲む筒状の凸部である。この第一凸部871は、端子台850がエンド部材400に固定された際に、エンド部材400の上面に当接して支持される。つまり、固定後においては、本体部860の対向面866と、エンド部材400の上面とは離間している。
【0051】
また、図7では、破線で外部端子810の外形を図示している。外部端子810の法線方向は、Z軸方向と平行である。この外部端子810の法線方向は、対向面866の法線方向と同方向である。このため、図7に示すように、外部端子810の法線方向視において、2つの第一凸部871は、外部端子810に重なっていない位置に配置されている。具体的には、外部端子810におけるY軸方向マイナス側の一対の角部は、当該外部端子810の内方に向けて窪んでいる。この窪みにより形成された領域に対して、第一凸部871が配置されることで、第一凸部871と外部端子810とが、外部端子810の法線方向視で重ならないことになる。このように、外部端子810の外縁にある窪み内に第一凸部871が配置されているので、外部端子810と第一凸部871とを重ねずに、コンパクトに配置することができる。
【0052】
図6図8に示すように、第二凸部872は、本体部860の対向面866の周縁の一部に設けられている。第二凸部872は、本体部860におけるY軸方向マイナス側の縁辺に対して、X軸方向に沿って延設されている。第二凸部872の一端部は、X軸方向マイナス側の第一凸部871に対してY軸方向視で重なっている。他方、第二凸部872の他端部は、X軸方向プラス側の第一凸部871に対してY軸方向視で重なっている。図8に示すように、第二凸部872の外側面は、本体部860の外側面と面一となっている。また、第二凸部872の内側面は、下方(Z軸方向マイナス側)に向かうほど外方(Y軸方向マイナス側)となる傾斜面となっている。第二凸部872の下端部は、対向面866に平行な平面となっている。図8に示すように、第二凸部872の突出量H2は、第一凸部871の突出量H1よりも低い。このため、Z軸方向において、第二凸部872は、対向面866とエンド部材400との間に収まっている。
【0053】
図6図8に示すように、第三凸部873は、本体部860の対向面866において、第一凸部871よりもY軸方向プラス側に配置されている。つまり、第三凸部873は、第一凸部871よりも蓄電素子100側に配置されている。第三凸部873は、X軸方向に沿う主部873aと、主部873aに対して分岐してY軸方向に沿う複数の枝部873bとを備えている。主部873aと枝部873bとの交差部分は、他の部分よりも突出している。この交差部分873cは、エンド部材400の貫通孔402内に収容される。交差部分873cは、交点に近づくほど下方となる先細り形状となっている。このような形状であるため、交差部分873cが貫通孔402に収容される際に、当該貫通孔402の周縁に接触して、所定の位置にガイドされる。また、第三凸部873における交差部分873c以外の部分は、エンド部材400の上面に当接して支持される被支持部873dである。被支持部873dの突出量H31は、第一凸部871の突出量H1と同じである。また、交差部分873cの突出量H32は、被支持部873dの突出量H31よりも大きい。
【0054】
第四凸部874は、本体部860の対向面866において、2つの第一凸部871の間に配置されている。第四凸部874は、4つ設けられており、これらが十字状に配置されている。第四凸部874の突出量H4は、第一凸部871の突出量H1よりも小さい。これにより、第四凸部874は、エンド部材400の上面から離間し、所定の間隔をあけている。
【0055】
ここで、端子台850をエンド部材400に取り付ける際には、端子台850の貫通孔864にネジ(図示省略)を挿通して、エンド部材400のネジ穴403に締結するが、この締結時に端子台850が撓むことがある。第四凸部874がない場合を想定すると、端子台850の撓みによって安定した固定が阻害されるおそれがある。しかし、第四凸部874があれば、端子台850の撓みによって第四凸部874とエンド部材400との間隔が小さくなって、当該第四凸部874がエンド部材400に接触する。このため、端子台850の安定性が増すこととなり、安定した固定が可能となる。
【0056】
次に、端子台850の沿面距離について説明する。
【0057】
図9は、本実施の形態に係る端子台850の沿面距離を示す断面図である。図9は、図8における破線部Dを拡大して示している。外部端子810と、エンド部材400との間においては、端子台850の表面を沿うことにより沿面距離が形成される。図9では、矢印Y1が端子台850の沿面距離を模式的に示している。沿面距離Y1は、第二凸部872及び第一凸部871の表面を通過して、エンド部材400に達することが分かる。
【0058】
図10は、比較例に係る端子台850Aの沿面距離を示す断面図である。図10は、図9に対応する図である。この比較例に係る端子台850Aは、対向面866aが凸部を有しておらず、全体として平面である点で、本実施の形態に係る端子台850と異なる。端子台850Aの対向面866aは、エンド部材400の上面に対して密着している。図10では、矢印Y2が、比較例に係る端子台850Aの沿面距離を模式的に示している。また、図10では、本実施の形態に係る端子台850の沿面距離Y1を破線で示している。比較例に係る端子台850Aの対向面866aには、凸部が設けられていないため、沿面距離Y2が沿面距離Y1よりも短い。つまり、本実施の形態に係る端子台850は、対向面866に第一凸部871及び第二凸部872が設けられているために、沿面距離Y1を長くすることができる。
【0059】
図11は、変形例に係る端子台850Bの沿面距離を示す断面図である。図11は、図9に対応する図である。この変形例に係る端子台850Bは、対向面866bに第二凸部が設けられていない点で、本実施の形態に係る端子台850と異なる。図11では、矢印Y3が、変形例に係る端子台850Bの沿面距離を模式的に示している。また、図11では、本実施の形態に係る端子台850の沿面距離Y1を破線で示し、比較例に係る端子台850Aの沿面距離Y2を二点鎖線で示している。変形例に係る端子台850Bの対向面866bには、第二凸部が設けられていないため、沿面距離Y3が沿面距離Y1よりも短い。しかし、端子台850Bの対向面866bには第一凸部871bが設けられており、この第一凸部871bの表面を沿面距離Y3が通過するために、沿面距離Y3を沿面距離Y2よりも長くすることができる。
【0060】
また、図7に示すX軸方向に平行な二本の二点鎖線は、エンド部材400のY軸方向プラス側の縁辺と、Y軸方向マイナス側の縁辺とを示している。図7に示すように、外部端子810の法線方向視において、第一凸部871、第三凸部873及び第四凸部874は、全体がエンド部材400の内方に配置されており、第二凸部872は全体がエンド部材400の外方に配置されている。第一凸部871の全体がエンド部材400の内方に配置されているので、第一凸部871を起因とした沿面距離をより長くすることが可能である。これは第三凸部873においても同様である。
【0061】
なお、本実施の形態では、第一凸部871の設置個数が2個である場合を例示しているが、第一凸部871の設置個数は1つであっても3つ以上であってもよい。
【0062】
被係止部880は、図5図7に示すように、本体部860のX軸方向マイナス側の端部から、X軸方向マイナス側に向けて突出している。被係止部880は、バスバー保持部材900の一部である係止部920が係止される部位である。具体的には、被係止部880は、天板部881と、天板部881の周縁に設けられた第二壁部882とを備えている。
【0063】
天板部881は、被係止部880における上端部(Z軸方向プラス側の端部)に設けられており、XY平面に平行な矩形板状に形成されている。被係止部880の中央部には、Z軸方向に貫通した平面視矩形状の開口部883が形成されている。この開口部883内には係止部920の挿入部930(後述)が挿通されることで、被係止部880に係止部920が係止される。
【0064】
第二壁部882は、天板部881の下面(Z軸方向マイナス側の面)における周縁から下方に向けて立設している。第二壁部882は、天板部881の全周に対して設けられている。第二壁部882のうち、X軸方向マイナス側の壁部には、Z軸方向に延びて下方が開放された第一スリット884が設けられている。また、第二壁部882のうち、Y軸方向マイナス側の壁部には、Z軸方向に延びて下方が開放された第二スリット885が設けられている。第一スリット884及び第二スリット885は、被係止部880から係止部920を取り外す際に用いられる。
【0065】
[4 係止部920の詳細な説明]
次に、バスバー保持部材900に備わる係止部920の構成について、詳細に説明する。図12は、本実施の形態に係る係止部920の構成を示す斜視図である。図13は、本実施の形態に係る係止部920の構成を示す斜視図であり、図12とは異なる方向から見た斜視図である。図14は、本実施の形態に係る係止部920の構成を示す正面図である。図15は、本実施の形態に係る係止部920の構成を示す側面図である。なお、図14及び図15において破線及び二点鎖線は、係止部920に組み付けられた被係止部880を示している。具体的には、破線は被係止部880の外形を示しており、二点鎖線は被係止部880の内部構造を示している。
【0066】
図3及び図12図15に示すように、係止部920は、バスバー保持部材900における被係止部880に対応する位置に配置されている。具体的には、係止部920は、Y軸方向マイナス側の端部であって、X軸方向の略中央から、Y軸方向マイナス側に向けて突出している。
【0067】
係止部920には、バスバー保持部材900から引き出された配線群910を支持する配線支持部940と、被係止部880の開口部883に挿入される挿入部930とが設けられている。
【0068】
配線支持部940は、平板状の台座部941と、一対のリブ942と、舌部943とを備えている。台座部941は、平面視矩形状に形成されている。台座部941は、バスバー保持部材900の壁部に設けられた開口901を介して、バスバー保持部材900の内底面と面一となっている。バスバー保持部材900の内方から開口901を介して引き出された配線群910が台座部941の上面に載置されることで、当該配線群910が台座部941によって支持される。また、台座部941の下面からは、挿入部930が下方に向けて突出している。
【0069】
一対のリブ942は、台座部941におけるX軸方向の両端部に設けられている。一対のリブ942は、台座部941上に配線群910が支持された状態では、当該配線群910の側方に位置することになる。リブ942は、下端部が台座部941よりも下方に位置し、上端部が台座部941よりも上方に位置している。リブ942における台座部941よりも下方の部分は、台座部941に対して均等な高さに形成されている。また、リブ942における台座部941よりも上方の部分は、上方に向かうに連れて、バスバー保持部材900の壁部に近づく傾斜面を有している。つまり、リブ942は、台座部941の基端部部分で最も高さが高く、バスバー保持部材900の壁部に接合されている。この一対のリブ942によって係止部920の強度が高められている。なお、本実施の形態ではリブ942が2つ設けられている場合を例示したが、リブは少なくとも一つ設けられていればよい。
【0070】
舌部943は、配線群910が取り付けられる部位である。舌部943は、台座部941のY軸方向マイナス側の端部において、X軸方向の中央部分からY軸方向マイナス側に向けて長尺に延設されている。このように、舌部943が台座部941から外方に突出している。つまり、舌部943は、被係止部880との係止位置(挿入部930の位置)から外方に突出している。また、舌部943の下面には、Y軸方向に長尺な一対の凸条944が設けられている。この一対の凸条944によって舌部943の強度が高められている。
【0071】
図3に示すように台座部941及び舌部943の上面に配線群910が配置された状態で、舌部943と配線群910とが結束バンド999によって結束されることで、配線群910が舌部943に取り付けられる。
【0072】
挿入部930は、図12図15に示すように、台座部941の下面からZ軸方向マイナス側に向けて突出している。挿入部930は略矩形筒状であり、そのX軸方向両側の壁部に対して、弾性変形可能な爪部931が設けられている。爪部931の上端部は、外方に向けて突出しており、当該上端部の表面が、上方に向かうに連れて外方となる傾斜面となっている。
【0073】
端子台850の被係止部880に対して、係止部920を係止する際には、天板部881の開口部883に対して挿入部930を上方から挿入する。挿入時には、開口部883の周縁に対して爪部931の傾斜面が当接するため、爪部931は弾性変形して徐々に挿入部930の内方へと押し込められる。その後、爪部931は、開口部883を通過すると元の形状に復元する。これにより、爪部931は、天板部881に対して引っかかり、被係止部880に対して係止部920が規制されて固定される。
【0074】
固定後においては、図14に示すように、一対の爪部931のうち、X軸方向プラス側にある爪部931は、被係止部880の第二スリット885から露出している。一方、図15に示すように、一対の爪部931のうち、X軸方向マイナス側にある爪部931は、被係止部880の第一スリット884から露出している。端子台850とバスバー保持部材900とを分解する際には、作業者は、第一スリット884及び第二スリット885に対して工具を挿入して、一対の爪部931を挿入部930の内方に向けて押し込んで弾性変形させることで、規制を解除する。解除後に、作業者は挿入部930を上方に引き抜くことで、係止部920を被係止部880から取り外す。これにより、端子台850とバスバー保持部材900とが分解される。
【0075】
[5 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置10によれば、複数の蓄電素子100と、複数の蓄電素子100の側方に配置されるエンド部材400(導電部材)と、複数の蓄電素子100に電気的に接続された外部端子810(端子)を有する端子台850(絶縁部材)とを備え、端子台850におけるエンド部材400に対向する対向面866には、エンド部材400に当接して支持される第一凸部871が設けられている。
【0076】
この構成によれば、端子台850における対向面866には、エンド部材400に当接して支持される第一凸部871が設けられているので、対向面866における第一凸部871以外の部分は、対向面866に対して間隔をあけた状態となる。つまり、この間隔によって外部端子810からエンド部材400までの沿面距離Y1を大きくすることができる。これにより、例えば、端子台の一部を他の部分から張り出す形状にすることで沿面距離を確保する場合と比較しても、端子台850の大型化を抑制することが可能である。
【0077】
また、端子台850の対向面866とエンド部材400との間には、第一凸部871を起因として間隔が設けられるために、端子台850とエンド部材400との接触面積を小さくすることができる。これにより、蓄電素子100の熱が、エンド部材400を介して端子台850に伝わりにくくなる。したがって、端子台850の熱変形を抑制することができる。また、端子台850上の外部端子810の高温化も抑制することができる。
【0078】
また、端子台850には、対向面866の周縁の一部に、エンド部材400側に向けて突出した第二凸部872が設けられており、第二凸部872は、対向面866とエンド部材400との間に収まっている。
【0079】
この構成によれば、端子台850における対向面866の周縁の一部に、エンド部材400側に向けて突出した第二凸部872が設けられているので、当該第二凸部872によって外部端子810からエンド部材400までの沿面距離Y1を大きくすることができる。また、第二凸部872は、対向面866とエンド部材400との間に収まっているので、第二凸部872の突出量H2を抑制することができ、端子台850の大型化を抑えることができる。
【0080】
また、第一凸部871は、対向面866の法線方向視で、外部端子810に対して重ならない位置に配置されている。
【0081】
この構成によれば、第一凸部871が、対向面866の法線方向視で、外部端子810に対して重ならない位置に配置されているので、外部端子810からエンド部材400までの沿面距離Y1を大きくすることができる。
【0082】
また、端子台850(絶縁部材)はエンド部材400(導電部材)の上面に固定されている。
【0083】
この構成によれば、端子台850がエンド部材400の上面に固定されているので、第一凸部871によって上下方向の間隔が形成されることになる。つまり、上下方向に直交する方向(側方)に端子台850を張り出さなくとも、当該間隔によって外部端子810からエンド部材400までの沿面距離Y1を確保することができる。したがって、端子台850における側方への大型化を抑制することができる。
【0084】
また、対向面866には、対向面866の法線方向視で、第一凸部871よりも蓄電素子100側の位置に、エンド部材400(導電部材)に当接して支持される第三凸部873が設けられている。
【0085】
この構成によれば、エンド部材400に当接して支持される第三凸部873が、端子台850の対向面866に設けられているので、端子台850はエンド部材400に対して安定して支持される。
【0086】
例えば、端子台850における蓄電素子100とは反対側の端部は、他の機器や他の蓄電装置との接続経路となる。この端子台における反対側の端部に対して、沿面距離を確保するための凸部等を設けると、この凸部等が他の機器や他の蓄電装置との接続を阻害するおそれがある。このことにより、端子台850における反対側の端部は、端子台850における蓄電素子10側の端部よりも制約が多い。換言すると、端子台850における蓄電素子100側の端部においては、その反対側の端部と比較しても制約が少ないために、端子台850の形状の自由度が高い。つまり、この位置に第三凸部873を設けたとしても、その他の部分で沿面距離を確保することができるので、電気的な安定性を高めることが可能である。
【0087】
また、対向面866には、エンド部材400(導電部材)に対して所定の間隔をあけた第四凸部874が設けられている。
【0088】
ここで、エンド部材400に対して端子台850を固定する際には、端子台850が撓む場合がある。端子台850が撓んだ場合には第四凸部874とエンド部材400との間隔が小さくなって、当該第四凸部874がエンド部材400に接触する。このため、端子台850の安定性が増すこととなり、安定した固定が可能となる。
【0089】
また、導電部材は、ブロック状のエンド部材400である。
【0090】
この構成によれば、導電部材がブロック状のエンド部材400であるので、板状のエンド部材と比較しても剛性が高く、端子台850を安定して保持することができる。したがって、振動や変形等によってエンド部材400と、端子台850の対向面866との間隔が狭まることを抑制することができ、沿面放電の発生を抑えることができる。
【0091】
特に、端子台850をエンド部材400の上面に固定する場合には、ブロック状のエンド部材400は、板状のエンド部材400より、上面の面積を大きくすることができるため、端子台を一層安定して保持することが可能となる。
【0092】
[6 変形例の説明]
以上、本実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0093】
例えば、上記実施の形態では、本発明に係る導電部材としてエンド部材400を例示したが、複数の蓄電素子100の側方に配置された導電部材を、本発明に係る導電部材とすることも可能である。例えば、サイドプレートを本発明に係る導電部材とすることも可能である。
【0094】
また、上記実施の形態では、端子台850が第一凸部871、第二凸部872、第三凸部873及び第四凸部874を備えている場合を例示した。しかし、端子台850は、少なくとも第一凸部871を備えていればよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、外部端子810の法線方向視で、外部端子810に対して重ならない位置に第一凸部871が配置されている場合を例示した。しかしながら、第一凸部871は、外部端子810の法線方向視で外部端子810に重なっていてもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、端子台850がエンド部材400の上面上に設置される場合を例示したが、端子台は、エンド部材の側面上に設置されてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
10 蓄電装置
100 蓄電素子
200、300 スペーサ
400 エンド部材(導電部材)
401、402 貫通孔
403、420 ネジ穴
510、520、530 接合部材
600 インシュレータ
700 サイドプレート
701 ボルト
800 バスバー
810 外部端子(端子)
820 固定具
850、850A、850B 端子台(絶縁部材)
860 本体部
861 第一壁部
862 切り欠き部分
863 取付部
864 貫通孔
865 囲繞壁
866、866a、866b 対向面
871、871b 第一凸部
872 第二凸部
873 第三凸部
873a 主部
873b 枝部
873c 交差部分
873d 被支持部
874 第四凸部
880 被係止部
881 天板部
882 第二壁部
883 開口部
884 第一スリット
885 第二スリット
900 バスバー保持部材
901 開口
910 配線群
920 係止部
930 挿入部
931 爪部
940 配線支持部
941 台座部
942 リブ
943 舌部
944 凸条
999 結束バンド
D 破線部
H1、H2、H31、H32、H4 突出量
Y1、Y2、Y3 沿面距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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