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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】細胞培養槽及び細胞培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/02 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
C12M1/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018070957
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019000100
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】P 2017115191
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】坂井 慎一
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-142550(JP,A)
【文献】米国特許第08871159(US,B1)
【文献】国際公開第2019/022067(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/038228(WO,A1)
【文献】石井 浩介 他,多能性幹細胞大量培養のための新規浮遊培養リアクタ技術開発,月刊細胞,2016年02月20日,Vol. 48, No. 2,pp.94-98
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養対象である細胞を含む培地を収容する筒状の槽本体と、
前記槽本体の下部に接続され、前記培地の流れを生じさせるポンプと、
前記槽本体の底部において、前記細胞により形成された細胞塊を分断する細胞塊分断部と、
前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記培地の流れ状態を第1の状態とするように前記ポンプを動作させ、
前記培地の流れ状態を前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように前記ポンプを動作させ、
前記第2の状態は、前記第1の状態に対して前記培地の上昇速度が小さく、
前記細胞塊分断部は、前記細胞により形成された前記細胞塊を分断する第1刃先を含み、前記第1刃先が上下方向に延びるように前記槽本体の底面に配置された第1切断部を有し、
前記第1刃先は、前記培地の旋回流の向きに対して対面し、
前記第1切断部の基端部は、前記底面に対して固定されている、細胞培養槽。
【請求項2】
前記第1切断部は、前記槽本体の軸線に対して傾いている、請求項に記載の細胞培養槽。
【請求項3】
前記細胞塊分断部は、前記細胞塊を分断する第2刃先を有し、前記第2刃先が水平方向に延びるように前記槽本体の内周面に配置された第2切断部をさらに有し
前記第2切断部は、前記槽本体の前記底面から前記第1刃先の先端部までの間の位置に配置される、請求項1又は2に記載の細胞培養槽。
【請求項4】
培養対象である細胞を含む培地を収容する筒状の槽本体と、
前記槽本体の下部に前記培地の流れを生じさせるポンプを有し、前記槽本体の底部において、前記細胞により形成された細胞塊を分断する細胞塊分断部と、
前記ポンプを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記培地の流れ状態を第1の状態とするように前記ポンプを動作させ、
前記培地の流れ状態を前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように前記ポンプを動作させ、
記培地の流れ状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるように前記ポンプを動作させた後に、前記培地の流れ状態を前記第2の状態から第3の状態へ変化させるように前記ポンプを動作させ
前記第1の状態は、所望の大きさである前記細胞塊を所望の位置に浮遊させて前記細胞塊を培養する培養状態であり、
前記第2の状態は、前記第1の状態に対して前記培地の上昇速度が小さいことによって、所望の大きさより大きい前記細胞塊を沈降させる沈降状態であり、
前記第3の状態における前記培地の運動量は、前記第2の状態における前記培地の運動量より大きいことによって、沈降させた前記細胞塊にせん断力を与えて前記細胞塊を分断する分断状態である、細胞培養槽。
【請求項5】
培養対象である細胞を含む培地を収容する筒状の槽本体と、
前記槽本体の下部に接続され、前記培地の流れを生じさせるポンプと、
前記槽本体の底部において、前記細胞により形成された細胞塊を分断する細胞塊分断部と、
前記ポンプを制御する制御部と、
前記ポンプから前記槽本体へ前記培地を導く培地供給部と、を備え、
前記細胞塊分断部は、前記培地供給部に設けられた第3切断部を含み、
前記制御部は、
前記培地の流れ状態を第1の状態とするように前記ポンプを動作させ、
前記培地の流れ状態を前記第1の状態に対して前記培地の上昇速度が小さい第2の状態となるように前記ポンプを動作させ、
記培地の流れ状態を前記第1の状態から前記第2の状態へ変化させるように前記ポンプを動作させた後に、前記槽本体から前記ポンプに向かう前記培地の流れを生じさせるように前記ポンプを動作させる、細胞培養槽。
【請求項6】
請求項1~の何れか一項に記載の細胞培養槽と、
前記細胞培養槽に接続され、前記ポンプを介して前記槽本体内に前記培地を提供する培地提供部と、を備える細胞培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養槽及び細胞培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2は、細胞培養に関する技術を開示する。特許文献1は、培地を利用して細胞を培養する装置を開示する。例えば、特許文献1は、培地の流速を制御することにより、細胞塊の大きさに応じた細胞塊の分布を実現する技術を開示する。特許文献2は、多能性幹細胞をマイクログリッドに通過させて分割する方法を、大量の多能性幹細胞の培養に採用したときの問題点を指摘し、当該問題点を解決するシステムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-348672号公報
【文献】国際公開2014-136581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された培地を利用する細胞培養では、細胞が培養されるに従って、当該細胞の集合体である細胞塊が次第に大きくなる。細胞塊が大きくなりすぎると、細胞品質が低下する傾向にある。そこで、細胞品質を維持するために、細胞塊を分断するなどして大きさを制御することがある。しかし、細胞塊の大きさを制御するときに細胞がストレスを受けることがあり、このストレスによって細胞品質が低下してしまう。
【0005】
本発明は、細胞品質の低下を抑制しつつ細胞塊の大きさを制御することが可能な細胞培養槽及び細胞培養装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である細胞培養槽は、培養対象である細胞を含む培地を収容する筒状の槽本体と、槽本体の下部に接続され、培地の流れを生じさせる第1の培地流れ誘起部と、槽本体の底部において、細胞により形成された細胞塊を分断する細胞塊分断部と、第1の培地流れ誘起部を制御する制御部と、を備え、制御部は、培地の流れ状態を第1の状態とするように第1の培地流れ誘起部を動作させ、培地の流れ状態を第1の状態とは異なる第2の状態となるように第1の培地流れ誘起部を動作させ、第2の状態は、第1の状態に対して培地の上昇速度が小さい。
【0007】
制御部が培地の流れ状態を第1の状態から第2の状態に切り替えると、第2の状態は、第1の状態に対して培地の上昇速度が小さいので、塊径の大きい細胞塊の沈降が生じる。そして、沈降した細胞塊は、槽本体の底部に設けられた細胞塊分断部によって分断される。分断された細胞塊は、分断前の細胞塊よりも沈降速度が小さくなる。その結果、沈降速度と上昇速度との釣り合いが取れる位置へ移動する。つまり、分断を要する細胞塊を制御部の動作によって選択的に細胞塊分断部へ導くと共に分断をすることができる。その結果、分断を要しない細胞塊に対して不要な分断処理が行われることが抑制される。従って、細胞品質の低下を抑制しつつ細胞塊の大きさを制御することができる。
【0008】
上記の細胞培養槽の細胞塊分断部は、細胞により形成された細胞塊を分断する第1刃先を含み、第1刃先が上下方向に延びるように槽本体の底面に配置された第1切断部を有し、第1刃先は、培地の旋回流の向きに対して対面してもよい。この細胞培養槽は、細胞を含む培地を槽本体が収容し、当該槽本体内において細胞が培養されて細胞塊が成長する。成長した細胞塊は、槽本体の底面へ向かって沈降する。ここで、槽本体の底面を含む下部領域では、培地受入部によって培地の旋回流が生じている。そうすると、培地中の細胞塊も旋回流に乗って槽本体の内部を旋回する。槽本体の底面には、第1切断部が配置されており、第1切断部の第1刃先は、第1刃先が上下方向に延びると共に培地の旋回流の向きに対して対面する。この構成によれば、細胞塊が第1刃先に向かって移動することになるので、第1刃先に触れた細胞塊が分断される。そして、分断されて小さくなった細胞塊は、再び槽本体内を上昇する。そうすると、細胞塊が分断に起因するストレスを受ける期間を、細胞塊が第1刃先に触れているときに限定することが可能になる。従って、細胞へ与えるストレスを低減しつつ細胞塊の大きさを制御することができる。
【0009】
上記の細胞培養槽の第1切断部は、槽本体の軸線に対して傾いてもよい。第1切断部は、旋回流が生じている培地内に配置される。この構成によれば、培地の旋回流に及ぼす第1切断部の影響が抑制されるので、培地の流れを所望の状態に保つことができる。
【0010】
上記の細胞培養槽の第1切断部の基端部は、底面に対して固定されていてもよい。細胞塊が受けるストレスは、細胞塊と第1刃先との相対的な速度差の影響を受ける。底面に対して第1切断部の基端部が固定されているので、細胞塊と第1刃先との相対的な速度差が培地の旋回流の速度によって決まる。従って、旋回流の状態を制御することにより、細胞塊が受けるストレスを制御することができる。
【0011】
上記の細胞培養槽は、細胞塊を分断する第2刃先を有し、第2刃先が水平方向に延びるように槽本体の内周面に配置された第2切断部をさらに備え、第2切断部は、槽本体の底面から第1刃先の先端部までの間の位置に配置されてもよい。この構成によれば、第1切断部とは異なる構成の第2切断部が槽本体に配置される。従って、細胞塊が刃先に触れる機会が高まるので、細胞塊を効率よく分断することができる。
【0012】
上記の細胞培養槽の細胞塊分断部は、槽本体の下部に培地の流れを生じさせる第2の培地流れ誘起部を有し、制御部は、第2の培地流れ誘起部を制御し、制御部は、第1の培地流れ誘起部を動作させて培地の流れ状態を第1の状態から第2の状態へ変化させた後に、第2の培地流れ誘起部を動作させて培地の流れ状態を第2の状態から第3の状態へ変化させ、第3の状態における培地の運動量は、第2の状態における培地の運動量より大きくてもよい。この構成によれば、制御部が培地の流れの状態を第1の状態から第2の状態へ変化させると、細胞塊の沈降が生じる。その後、制御部が培地の流れの状態を第2の状態から第3の状態へ変化させる。ここで第3の状態における培地の運動量は、第2の状態における培地の運動量より大きい。その結果、第3の状態では、第2の状態において細胞塊に作用するせんだん力よりも大きいせん断力が細胞塊に作用する。従って、沈降した細胞塊は、当該せん断力によって分断される。
【0013】
上記の細胞培養槽は、第1の培地流れ誘起部から槽本体へ培地を導く培地供給部をさらに備え、細胞塊分断部は、培地供給部に設けられた第3切断部を含み、制御部は、第1の培地流れ誘起部を動作させて培地の流れ状態を第1の状態から第2の状態へ変化させた後に、第1の培地流れ誘起部をさらに動作させて槽本体から第1の培地流れ誘起部に向かう培地の流れを生じさせてもよい。この構成によれば、制御部が培地の流れの状態を第1の状態から第2の状態へ変化させると、細胞塊の沈降が生じる。その後、制御部が槽本体から第1の培地流れ誘起部に向かう培地の流れを生じさせる。そうすると、培地の流れに乗って細胞塊が培地供給部へ吸い込まれる。培地供給部には、第3切断部が設けられているので、吸い込まれた細胞塊は、当該第3切断部によって分断される。
【0014】
本発明の別の形態に係る細胞培養装置は、上記の細胞培養槽と、細胞培養槽に接続されて、第1の培地流れ誘起部を介して槽本体内に培地を提供する培地提供部と、を備える。この細胞培養装置は、上記の細胞培養槽を備えている。従って、細胞品質の低下を抑制しつつ細胞塊の大きさを制御することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、細胞品質の低下を抑制しつつ細胞塊の大きさを制御することが可能な細胞培養槽及び細胞培養装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る細胞培養装置の構成を示す図である。
図2図2は、細胞培養槽の要部を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した細胞培養槽の要部を平面視して示す図である。
図4図4は、図2に示した細胞培養槽の要部を側面視して示す図である。
図5図5の(a)部は変形例1に係る細胞培養槽の要部を拡大して示す側面図であり、図5の(b)部は変形例2に係る細胞培養槽の要部を拡大して示す側面図である。
図6図6は、細胞培養装置の動作を説明する側面図である。
図7図7は、変形例に係る細胞培養装置の構成を示す図である。
図8図8は、図7に示した細胞培養装置の動作を説明する側面図である。
図9図9は、変形例に係る細胞培養装置の構成を示す図である。
図10図10は、図9に示す細胞培養装置の動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
<第1実施形態>
動物細胞を培養する手法として、シャーレ等を用いた静置培養と、培養槽内において細胞を培地に浮遊させて培養する浮遊培養とがある。浮遊培養は、細胞の大量培養に適し、ランニングコストの面においても静置培養より有利である。本実施形態に係る細胞培養装置は、浮遊培養のための装置である。
【0019】
図1に示されるように、気密構造を有する細胞培養装置1は、細胞培養槽2と、曝気ユニット3(培地提供部)と、廃液ユニット4と、を有する。細胞培養槽2は、培地流出管5及び培地導入管6によって曝気ユニット3と接続される。また、曝気ユニット3は、培地排出管7によって廃液ユニット4と接続される。
【0020】
細胞培養槽2は、培地Mにより培養対象である細胞を培養する容器である。細胞培養槽2は、細胞或いは細胞の凝集した塊(細胞塊)を含む培地Mを収容する。
【0021】
細胞培養槽2は、主要な構成要素として、槽本体8と、柱体9と、培地受入部11と、縦ブレード31(第1切断部)と、横ブレード32(第2切断部)と、を有する。縦ブレード31及び横ブレード32は、ブレードユニット30(細胞塊分断部)を構成する。
【0022】
槽本体8は、水平断面が上方に向かって次第に拡大する形状を有する。例えば、槽本体8は、逆円錐状の形状を呈する。槽本体8の上部は、開放され、槽本体8の底部は閉鎖される。
【0023】
槽本体8の上部には、気密構造の蓋10が設けられる。槽本体8の上端には開口が形成され、当該開口は蓋10によって気密に閉鎖される。蓋10は、培地流出管5によって、曝気ユニット3に繋がる。培地流出管5の一端は、蓋10の底面における最も下方の位置に連通する。培地流出管5の他端は、曝気ユニット3に連結される。
【0024】
図2に示されるように、柱体9は、槽本体8の軸線A1の方向に延びるように槽本体8の底面8aに固定される。柱体9は、円筒又は円錐といった柱状の形状を呈し、柱体9の軸線は槽本体8の軸線A1に一致する。
【0025】
培地受入部11は、槽本体8の下部に設けられる。培地受入部11は、曝気ユニット3から培地Mを受け入れる。具体的には、培地受入部11は、2本の培地導入管6A,6Bを介して曝気ユニット3と接続される。培地導入管6A,6Bの中途部には、ポンプ12(第1の培地流れ誘起部)(図1参照)が設けられる。曝気ユニット3内の培地Mは、ポンプ12が作動することにより培地導入管6A,6Bを介して槽本体8に供給される。培地受入部11には、培地導入管6A,6Bの一端が接続される。槽本体8における接続位置は、槽本体8の軸線A1を挟んで点対称である(図3参照)。このような培地導入管6A,6Bの配置によれば、槽本体8の軸線A1まわりに旋回する培地Mの流れ(旋回流F)を生じさせることができる。
【0026】
続いて、図3及び図4を参照しつつ、縦ブレード31及び横ブレード32について説明する。
【0027】
一対の縦ブレード31は、細胞塊Cを分断する薄板状の刃物である。縦ブレード31は、槽本体8の下部に設けられる。具体的には、縦ブレード31の基端部31aは、槽本体8の底面8aに対して固定される(図4参照)。つまり、縦ブレード31は、槽本体8に対して相対的に移動することがない。そして、縦ブレード31は、柱体9を挟んで互いに点対称となる位置に配置される(図3参照)。つまり、軸線A1を基準とすると、縦ブレード31は、180度の間隔をもって配置される。
【0028】
縦ブレード31は、刃先31b(第1刃先)を有し、当該刃先31bが上方(方向D1)に向かって延びている。具体的には、刃先31bは、槽本体8の軸線A1に対して斜め方向に延びる(図4参照)。この刃先31bの傾きは、槽本体8の内周面8bが傾く方向と同じである。つまり、縦ブレード31の先端部31c同士の間隔L1は、縦ブレード31の基端部31a同士の間隔L2よりも広い(図4参照)。また、刃先31bは、培地Mの流れる方向に対して対面する(図3参照)。つまり、培地Mの旋回流Fに乗って流れる細胞塊Cは、縦ブレード31の刃先31bに接触する。さらに、縦ブレード31は、刃面31dが旋回流Fの接線方向に対して平行となるように配置される。このような配置によれば、縦ブレード31が旋回流Fに及ぼす抵抗を低減することができる。
【0029】
一対の横ブレード32は、縦ブレード31と同様に、細胞塊Cを分断する薄板状の刃物である。横ブレード32は、槽本体8の下部に設けられる。具体的には、横ブレード32は、槽本体8の底面8aと縦ブレード31の先端部31cとの間に位置する(図4参照)。つまり、水平方向(方向D2,D3)からみたとき、縦ブレード31と横ブレード32とは交差するように見える。さらに、横ブレード32は、培地導入管6A,6Bよりも上方に位置するともいえる。横ブレード32は、刃先32b(第2刃先)が水平方向に延びる。つまり、横ブレード32の刃先32bの延びる方向は、縦ブレード31の刃先31bの延びる方向に対して交差する。横ブレード32は、基端部32aが槽本体8の内周面8bに配置される。横ブレード32は、その刃先32bが互いに対面するように固定される。刃先32b同士の間隔L3は、旋回流Fへ有意な影響を与えない程度とされる。
【0030】
再び図1を参照する。曝気ユニット3は、槽本体8に供給する培地Mを貯溜し、培地Mのガス濃度を調整する。曝気ユニット3には、培地導入管6の他端が接続される。培地導入管6の他端は、曝気ユニット3の内部まで延びる。曝気ユニット3には、さらに、ガス供給管21及び培地供給管26が接続される。
【0031】
廃液ユニット4は、曝気ユニット3から排出された余剰の培地Mを貯溜する。廃液ユニット4には、培地排出管7の一端が接続される。培地排出管7の一端の位置は、廃液ユニット4に貯溜されている廃液の液面より上方である。
【0032】
次に、細胞培養装置1の動作について説明する。本実施形態では、培地Mに細胞塊を浮遊させ、細胞の増殖を行う細胞培養を例示する。
【0033】
まず、新しい培地Mが培地供給管26から曝気ユニット3に供給される。供給された培地Mは、曝気ユニット3に貯溜される。また、ガス供給管21を介してエアフィルタ22により除菌された酸素や二酸化炭素等のガスが曝気ユニット3に供給される。ガス供給管21により供給されたガスは、曝気ユニット3に貯溜された培地Mの酸素濃度及び水素イオン濃度(pH)を細胞培養の好気性培養に適した条件に調整する。条件調整がなされた培地Mは、ポンプ12によって、曝気ユニット3から培地導入管6を介して槽本体8へ供給される。
【0034】
培地Mが槽本体8に供給されると、培地Mは培地受入部11より上方に旋回しながら導かれる。槽本体8の高さ方向の一定範囲の領域では、当該範囲内の所定水平面において上昇方向に略一定の流速分布を有する流れ(プラグフロー)が形成される。なお、培地Mの流れの状態は、槽本体8における培地導入管6A,6Bの連結位置、単位時間あたりに導入される培地Mの量、縦ブレード31及び横ブレード32の構成によって、制御される。
【0035】
槽本体8は、既に述べたように次第に水平断面積が大きくなるので、培地Mが槽本体8の上方に進むに従って、プラグフローの流速は次第に低下する。槽本体8では、細胞の培養によって細胞塊が、それぞれの細胞塊が有する特性に応じて浮遊している。従って、複数の細胞塊の夫々を槽本体8内の所定の高さに浮遊させながら留め置くことができる。その間、細胞塊に対し、細胞の3次元的な培養が進行し、細胞塊Cが成長する。
【0036】
ここで、細胞塊Cが成長して、その塊径が大きくなると、細胞塊Cの沈降速度が大きくなる。細胞塊Cの沈降速度が培地Mの上昇速度よりも大きくなると、細胞塊Cは沈降を始める。そして、細胞塊Cは、沈降速度と上昇速度とが釣り合う位置まで沈降する。ここで、細胞塊Cの沈降速度が、最も上昇速度が大きい槽本体8の下部における上昇速度よりも大きいとき、沈降した細胞塊Cは、槽本体8の下部にたどり着く。
【0037】
ここで、細胞塊Cの沈降が発生するためには、細胞塊Cの沈降速度が培地Mの上昇速度よりも大きくなるという条件を満たせばよい。そうすると、沈降させたい細胞塊Cの大きさが決まっているとき、培地Mの上昇速度を減少させることによって、沈降の条件を満たすこともあり得る。
【0038】
そこで、細胞培養装置1は、培地Mの流れを制御する構成要素として、制御装置40(制御部)を有する。制御装置40は、ポンプ12の動作を制御する。制御装置40は、例えば、ポンプ12から槽本体8に供給する培地Mの流量を増減してもよい。また、制御装置40は、培地Mの流速を増減してもよい。さらに制御装置40は、培地Mの圧力を増減してもよい。
【0039】
まず、制御装置40は、培地Mの流れ状態を培養状態(第1の状態)とするようにポンプ12を動作させる(図6の(a)部参照)。培養状態とは、槽本体8の水平面において上昇方向に略一定の流速分布を有する流れ(プラグフロー)が形成された状態をいう。この状態では、細胞塊Cは、細胞塊Cの沈降速度と培地Mの上昇速度とが釣り合う位置に浮遊している。
【0040】
次に、制御装置40は、培地Mの流れ状態を培養状態とは異なる沈降状態(第2の状態)となるようにポンプ12を動作させる(図6の(b)部参照)。この沈降状態は、培養状態に対して培地Mの上昇速度が小さい。例えば、沈降状態は、培地Mの上昇流が生じているがその上昇流の速度が培養状態よりも小さい状態としてよい。この場合には、制御装置40は、例えば、培養状態における流量よりも少なくする。また、沈降状態は、培地Mの上昇流が生じていない状態としてもよい。この場合には、制御装置40は、ポンプ12の動作を停止する。さらに、沈降状態は、培地Mの下降流が生じている状態としてもよい。この場合には、制御装置40は、ポンプ12の動作を逆転させる。つまり、培地Mを槽本体8から吸い出す。
【0041】
底部にたどり着いた細胞塊Cは、当該領域に生じている旋回流Fに乗って柱体9の周りを旋回する。この旋回中において、細胞塊Cは、例えば、縦ブレード31に接触する機会が生じる。従って、細胞塊Cは、縦ブレード31によって分断される。分断された細胞塊Cは、沈降速度が小さくなる。換言すると、沈降速度は、上昇速度より小さくなる。従って、分断された細胞塊Cは、培地Mの上昇流に乗って再び槽本体8の上部へ移動する。槽本体8の上部において、細胞塊Cは、分断されることなく細胞の培養が進行する。
【0042】
さらに、細胞の培養が進行すると、培地Mでは、酸素等の培地成分が減少する一方で、細胞から排出された老廃物が増加する。培地Mは、槽本体8の上端部から蓋10へと導かれ、培地流出管5を介して曝気ユニット3に流出する。曝気ユニット3に流出した培地Mは、曝気ユニット3において再び酸素等の培地成分の供給を受ける。そして、再び曝気ユニット3から培地導入管6を介して槽本体8へ供給される。一方、培地供給管26より新しい培地Mを追加した場合には、培地Mの追加に伴い余剰となった培地Mは、培地排出管7を介して廃液ユニット4に排出される。
【0043】
ところで、動物細胞を浮遊培養によって培養するとき、細胞の培養に伴って細胞同士が凝集した細胞塊が大きくなる。細胞塊が肥大化すると、細胞の増殖が鈍化し、さらには拡大培養も阻害されてしまう。また、iPS細胞、ES細胞、その他の幹細胞のような動物細胞が細胞塊を形成し、当該細胞塊が肥大化すると分化が生じる。従って、細胞の品質が低下することがあった。このような事情から、細胞塊の大きさを所定の範囲に制御する必要があった。
【0044】
例えば、肥大化した細胞塊の大きさを小さくする技術として、培地の流れを乱して乱流を生じさせ、当該乱流に起因するせん断力を利用して肥大化した細胞塊を分断するものがある。しかし、iPS細胞のような動物細胞は、せん断力に弱く、ストレスを受けやすい。さらに、細胞塊が乱流中に存在する期間において、細胞塊は常にせん断力に起因するストレスを受け続ける。また、肥大化した細胞塊を酵素や非酵素の分散剤を用いて、細胞塊を分解する技術もある。しかし、この技術の適用にあたっては、工程の自動化が煩雑になる傾向にあった。
【0045】
また、iPS細胞のような動物細胞は、その細胞塊径が小さすぎると細胞自体が死んでしまうことがある。従って、細胞塊の分断は、あらゆる細胞塊に適用されるべきではなく、細胞の品質に影響を与えうる程度の大きさを有する細胞塊に選択的に適用されることが望まれる。
【0046】
この細胞培養装置1及び細胞培養槽2は、細胞を含む培地Mを槽本体8が収容し、当該槽本体8内において細胞が培養されて細胞塊Cが成長する。成長した細胞塊Cは、槽本体8の底面8aへ向かって沈降する。ここで、槽本体8の底面8aを含む下部領域では、培地Mの旋回流Fが生じている。そうすると、培地M中の細胞塊Cも旋回流Fに乗って槽本体8の内部を旋回する。槽本体8の底面8aには、縦ブレード31が配置されており、縦ブレード31の刃先31bは、刃先31bが上下方向に延びると共に培地Mの旋回流Fの向きに対して対面する。この構成によれば、細胞塊Cが刃先31bに向かって移動することになるので、刃先31bに触れた細胞塊Cが分断される。そして、分断されて小さくなった細胞塊C1は、再び槽本体8内を上昇する。そうすると、分断に起因するストレスを細胞塊Cが受ける期間を、細胞塊Cが刃先31bに触れているときに限定することが可能になる。従って、細胞培養装置1及び細胞培養槽2は、肥大化した細胞塊Cを選択的に分断に供することが可能であり、さらに、分断によるストレスを低減することができる。従って、細胞培養装置1及び細胞培養槽2は、細胞塊Cの大きさを所望の範囲に制御することができる。
【0047】
要するに、本実施形態に係る細胞培養装置1及び細胞培養槽2は、旋回流に起因するせん断力による細胞塊Cを分断よりも、縦ブレード31及び横ブレード32による細胞塊Cの分断を期待するものである。せん断力に期待する細胞塊Cの分断によれば、細胞塊Cがせん断力を発生させる培地Mの流れに存在する期間中、細胞塊Cは常にせん断力に起因するストレスを受け続ける。一方、縦ブレード31及び横ブレード32に期待する細胞塊Cの分断によれば、まず、細胞塊Cを分断可能なせん断力を発揮する強い流れとする必要がない。従って、旋回流Fに乗って移動する細胞塊Cへのストレスが低減される。さらに、細胞塊Cの分断は縦ブレード31及び横ブレード32に接触している期間において発生し、当該分断に起因するストレスも接触期間に限定される。従って、分断に起因するストレスをさらに低減することができる。
【0048】
縦ブレード31は、槽本体8の軸線A1に対して外側に傾く。縦ブレード31は、旋回流Fが生じている培地M内に配置される。この構成によれば、培地Mの旋回流Fに対する縦ブレード31の影響が抑制されるので、培地Mの流れを所望の状態に保つことができる。
【0049】
縦ブレード31の基端部31aは、底面8aに対して固定される。細胞塊Cが受けるストレスは、細胞塊Cと刃先31bとの相対的な速度差の影響を受ける。底面8aに対して縦ブレード31の基端部31aが固定されているので、細胞塊Cと刃先31bとの相対的な速度差が培地Mの旋回流Fの速度によって決まる。従って、旋回流Fの状態を制御することにより、細胞塊Cが受けるストレスを制御することができる。
【0050】
細胞培養槽2は、細胞塊Cを切断する刃先32bを有し、刃先32bが水平方向に延びるように槽本体8の内周面8bに固定された横ブレード32をさらに備える。横ブレード32は、槽本体8の底面8aから縦ブレード31の先端部31cまでの間の位置に配置される。この構成によれば、縦ブレード31とは異なる構成の横ブレード32が槽本体8に配置される。従って、細胞塊Cが刃先31b,32bに触れる機会が高まるので、細胞塊Cを効率よく分断することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0052】
例えば、上記実施形態では、縦ブレード31及び横ブレード32の数はそれぞれ2枚ずつであった。しかし、縦ブレード31及び横ブレード32の数は、2枚に限定されることなく3枚以上であってもよい。
【0053】
また、図5の(a)部及び(b)部に示されるように、縦ブレード31が配置される底面8a上の位置は、分断したい細胞塊Cの大きさに応じて調整してもよい。実施形態に係る縦ブレード31(図4参照)は、槽本体8と柱体9との間における略中央に配置されていた。例えば、縦ブレード31は、柱体9に近接するように配置してもよい(図5の(a)部参照)。また、その逆に、縦ブレード31は、槽本体8の内周面8bに近接するように配置してもよい(図5の(b)部参照)。
【0054】
また、上記実施形態では、細胞培養槽2は、横ブレード32を備えていた。しかし、横ブレード32は、必要に応じて設けてもよく、槽本体8に配置されない場合もあり得る。
【0055】
また、上記実施形態では、縦ブレード31の基端部31aを底面8aに固定し、縦ブレード31は、槽本体8に対して相対的に移動させない構成とした。例えば、基端部31aが底面8aに対して揺動可能に固定されもよい。この構成によれば、縦ブレード31を揺動させると、刃先31bと培地Mとの相対速度が瞬間的に高まる状態を発生させ得る。従って、細胞塊Cを好適に分断することができる。
【0056】
また、上記実施形態では縦ブレード31として固定刃を例示した。縦ブレードとして、刃先31bに超音波振動を与える、いわゆる超音波カッターを用いることも可能である。
【0057】
上記実施形態では、細胞塊Cを分断する構成としてブレードユニット30を例示した。しかし、細胞塊Cを分断する構成は、ブレードユニット30に限定されない。培地Mの流れによって細胞塊Cを移動させることにより、細胞塊Cを分断可能な構成であれば、細胞分断部として所望の構成を採用してよい。以下に、細胞塊分断部について2つの構成を例示するが、細胞塊分断部の構成はこれらに限定されることもない。
【0058】
図7に示す変形例に係る細胞培養装置1Aについて説明する。細胞培養装置1Aの細胞培養槽2Aは、細胞分断部の構成が第1実施形態に係る細胞培養槽2と相違する。以下、細胞分断部の構成及び制御装置40によりなされる動作について詳細に説明する。
【0059】
細胞培養装置1Aは、ブレードユニット30を有していない。細胞培養装置1Aは、ポンプ12を細胞分断部である第2の培地流れ誘起部として用いる。つまり、第2実施形態において、ポンプ12は、第1及び第2の培地流れ誘起部で有り得る。
【0060】
制御装置40は、ポンプ12を動作させて、培地Mの流れ状態を培養状態から沈降状態へ変化させる。その結果、細胞塊Cの沈降が生じる(図8の(a)部参照)。その後、制御装置40は、さらにポンプ12を動作させて、培地Mの流れ状態を沈降状態から分断状態(第3の状態)へ切り替える(図8の(b)部参照)。この沈降状態から分断状態へ切り替えのタイミングは、所望のタイミングとしてよい。例えば、予め設定した時間が経過したことに基づいて、切り替えてもよい。また、槽本体8の内部を撮像した画像を処理することによって、細胞塊Cの沈降を判断し、切り替えてもよい。
【0061】
そして、分断状態における培地Mの運動量は、沈降状態における培地Mの運動量より大きい。培地Mの運動量は、培地Mの流量と培地Mの流速との積である。従って、運動量が大きいとは、流量が大きい及び/又は流速が大きいともいえる。従って、制御装置40は、例えば、ポンプ12から流量を急激に増加させる動作や、流量を増減させる動作を繰り返す。その結果、槽本体8の下部において培地Mの流れが乱れる。このような流れ場では、細胞塊Cが受けるせん断力SFが大きくなる。つまり、分断状態とは、細胞塊Cの分断が生じ得るほどのせん断力SFを細胞塊Cに付与する状態である。
【0062】
このような構成によっても、分断を要する細胞塊Cを選択的に分断することができる。また、細胞培養装置1Aは、槽本体8の内部に付加的な部品を配置する必要が無い。従って、槽本体8の内部における培地Mの流れを制御しやすい。
【0063】
図9に示す別の変形例に係る細胞培養装置1Bについて説明する。細胞培養装置1Bは、細胞培養槽2Bを備えている。そして、細胞培養装置1Bは、細胞分断部の構成が第1及び第2実施形態に係る細胞培養装置1と相違する。以下、細胞分断部の構成及び制御装置40によりなされる動作について詳細に説明する。
【0064】
細胞培養装置1Bは、ブレードユニット30を有していない。細胞培養装置1Bは、流入ノズルである培地導入管6A(培地供給部)の内部に設けられた細胞切断部であるカッター41(第3切断部)を有する。
【0065】
制御装置40は、ポンプ12を動作させて培地Mの流れ状態を培養状態から沈降状態へ切り替える(図10の(a)部参照)。次に、制御装置40は、ポンプ12をさらに動作させて沈降状態から吸引状態(第3の状態)へ切り替える(図10の(b)部参照)。この吸引状態とは、槽本体8からポンプ12への培地Mの流れが生じている状態をいう。つまり、培地Mは、逆方向に流れている。その結果、細胞塊Cは、培地Mと共に培地導入管6Aに吸い込まれる。そして、細胞塊Cがカッター41に接すると、細胞塊Cは分断される。
【0066】
さらに、制御装置40は、ポンプ12をさらに動作させて吸引状態から排出状態に切り替える(図10の(c)部参照)。この排出状態とは、ポンプ12から槽本体8への培地Mの流れが生じている状態をいう。この状態によれば、カッター41の上流側まで吸い込まれた細胞塊Cは、槽本体8に向けて移動する。このとき、カッター41に触れた細胞塊Cは、分断される。
【0067】
つまり、細胞培養装置1Bは、カッター41を設けた培地導入管6Aにおいて、培地Mの吸引と排出とを繰り返すことにより、細胞塊Cを分断する。
【0068】
このような構成によっても、分断を要する細胞塊Cを選択的に分断することができる。また、細胞培養装置1Bでは、培地Mの吸引と排出とを繰り返すことにより、細胞塊Cがカッター41に接する機会が増える。従って、より確実に細胞塊Cを分断することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 細胞培養装置
2 細胞培養槽
3 曝気ユニット(培地提供部)
4 廃液ユニット
5 培地流出管
6,6A,6B 培地導入管
7 培地排出管
8 槽本体
8a 底面
8b 内周面
9 柱体
10 蓋
11 培地受入部
12 ポンプ(第1の培地流れ発生部、第2の培地流れ発生部)
21 ガス供給管
22 エアフィルタ
26 培地供給管
30 ブレードユニット
31 縦ブレード(第1切断部)
31a 基端部
31b 刃先(第1刃先)
31c 先端部
31d 刃面
32 横ブレード(第2切断部)
32b 刃先(第2刃先)
40 制御装置(制御部)
41 カッター(細胞分断部、第3切断部)
A1 軸線
C 細胞塊
L1,L2,L3 間隔
F 旋回流
M 培地
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10