(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の回生制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 20/14 20160101AFI20220823BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20220823BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20220823BHJP
B60L 7/18 20060101ALI20220823BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20220823BHJP
【FI】
B60W20/14
B60K6/48 ZHV
B60W10/08 900
B60L7/18
B60L50/16
(21)【出願番号】P 2018101162
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津島 亮
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼澤 慶則
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-112105(JP,A)
【文献】特開2006-288051(JP,A)
【文献】特開2012-106711(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0118926(KR,A)
【文献】特開2014-196033(JP,A)
【文献】特開2009-143526(JP,A)
【文献】特開2016-120800(JP,A)
【文献】特開2010-064679(JP,A)
【文献】特開平10-023604(JP,A)
【文献】特開2013-023004(JP,A)
【文献】特開2017-136885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0298088(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0157245(US,A1)
【文献】米国特許第06414401(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0020857(US,A1)
【文献】特開2006-136067(JP,A)
【文献】特開2014-166853(JP,A)
【文献】特開2012-205476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 20/50
B60K 6/20 - 6/547
B60L 7/18
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及び電動機の少なくとも一方が出力する駆動力により走行するハイブリッド車両の回生制御装置であって、
ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超えた場合、前記電動機のみの駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるEV走行モード時よりも、前記内燃機関と前記電動機の駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるHEV走行モード時でのモータ回生量を小さく設定する回生制動制御を行なう制御部を備えるハイブリッド車両の回生制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、車両速度が所定車速を下回った場合、前記EV走行モード時よりも前記HEV走行モード時での前記モータ回生量を小さく設定する回生制動制御を行なう請求項1に記載のハイブリッド車両の回生制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記内燃機関の回転数が前記内燃機関のアイドル回転数を下回った場合、前記EV走行モード時よりも前記HEV走行モード時での前記モータ回生量を小さく設定する回生制動制御を行なう請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の回生制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記内燃機関の回転数の時間変化率が所定の閾値を上回った場合、前記回生制動制御を行なう請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の回生制御装置。
【請求項5】
内燃機関及び電動機の少なくとも一方が出力する駆動力により走行するハイブリッド車両の回生制御装置であって、
ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超えた場合、前記電動機のみの駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるEV走行モード時よりも、前記内燃機関と前記電動機の駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるHEV走行モード時でのモータ回生量を小さく設定し、回生を継続する回生制動制御を行なう制御部を備えるハイブリッド車両の回生制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の回生制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転者のブレーキ踏込み量、車速、及び車両重量から目標駆動輪制動力を算出し、算出された目標駆動輪制動力がモータジェネレータの最大回生制動力以下となる場合に、モータジェネレータによる回生制動力のみで制動させることで、モータジェネレータの回生量を最大限に確保し、燃費を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ハイブリッド車両の、モータジェネレータの駆動力のみで走行するEV走行モードと、エンジンとモータジェネレータの双方の駆動力で走行するHEV走行モードとの状態の特性が考慮されていない。
【0005】
HEV走行モード時には、エンジンを駆動力として使用するため、モータジェネレータの回生量が大き過ぎると、それに伴ってエンジンの回転負荷も大きくなるため、エンジン回転数が減衰し過ぎてしまい、エンジンストールに繋がる可能性もある。一方で、モータジェネレータの回生量が小さ過ぎると、十分な回生量を確保できない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、HEV走行モード時にエンジンストールさせることなく、回生量を増加させることができるハイブリッド車両の回生制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は、内燃機関及び電動機の少なくとも一方が出力する駆動力により走行するハイブリッド車両の回生制御装置であって、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超えた場合、前記電動機のみの駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるEV走行モード時よりも、前記内燃機関と前記電動機の駆動力により前記ハイブリッド車両を走行させるHEV走行モード時でのモータ回生量を小さく設定する回生制動制御を行なう制御部を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、HEV走行モード時にエンジンストールさせることなく、回生量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の回生制御装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の回生制御装置の回生制動制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の回生制御装置は、内燃機関及び電動機の少なくとも一方が出力する駆動力により走行するハイブリッド車両の回生制御装置であって、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超えた場合、電動機のみの駆動力によりハイブリッド車両を走行させるEV走行モード時よりも、内燃機関と電動機の駆動力によりハイブリッド車両を走行させるHEV走行モード時でのモータ回生量を小さく設定する回生制動制御を行なう制御部を備えるよう構成されている。
【0011】
これにより、本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の回生制御装置は、HEV走行モード時にエンジンストールさせることなく、回生量を増加させることができる。
【実施例】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るハイブリッド車両の回生制御装置について詳細に説明する。
【0013】
図1において、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の回生制御装置を搭載したハイブリッド車両1は、内燃機関としてのエンジン2と、トランスミッション3と、モータ4と、インバータ5と、バッテリ6と、エンジン2を制御するECM(Engine Control Module)7と、トランスミッション3を制御するTCM(Transmission Control Module)8と、ハイブリッド車両1を総合的に制御する制御部9とを含んで構成される。
【0014】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。
【0015】
トランスミッション3は、エンジン2から出力された回転を変速し、駆動軸11を介して駆動輪10を駆動する。トランスミッション3は、平行軸歯車機構からなる常時噛合式の図示しない変速機構と、図示しないアクチュエータとを備えている。
【0016】
エンジン2とトランスミッション3の間には、乾式単板式のクラッチ31が設けられており、クラッチ31は、エンジン2とトランスミッション3との間の動力伝達経路に設けられ、その動力伝達経路を接続または切断する。
【0017】
トランスミッション3は、いわゆるAMT(Automated Manual Transmission)として構成されており、図示しないアクチュエータにより変速機構における変速段の切換えとクラッチ31の断接が行なわれる。
【0018】
トランスミッション3と駆動輪10の間にはディファレンシャル機構32が設けられている。ディファレンシャル機構32と駆動輪10は駆動軸11により連結されている。
【0019】
モータ4は、ディファレンシャル機構32に対して、チェーン等の減速機41を介して連結されている。モータ4は、電動機として機能する。モータ4は、発電機としても機能し、ハイブリッド車両1の走行によって発電を行う。
【0020】
インバータ5は、制御部9の制御により、モータ4によって生成された三相の交流電力を直流の電力に変換する。この直流の電力は、例えば、バッテリ6を充電する。
【0021】
バッテリ6は、例えばリチウムイオン蓄電池で構成されている。バッテリ6は、インバータ5に電力を供給する。
【0022】
バッテリ6には、バッテリ状態センサ6aが設けられている。バッテリ状態センサ6aは、バッテリ6の充放電電流、電圧及びバッテリ温度を検出する。バッテリ状態センサ6aは、制御部9に接続されている。制御部9は、バッテリ状態センサ6aの出力によりバッテリ6の充電状態(以下、「SOC」という)を検知できるようになっている。
【0023】
このように、ハイブリッド車両1は、エンジン2とモータ4の両方の動力を車両の駆動に用いることが可能なパラレルハイブリッドシステムを構成しており、エンジン2及びモータ4の少なくとも一方が出力する動力により走行する。
【0024】
なお、モータ4は、エンジン2から駆動輪10までの動力伝達経路の何れかの箇所に動力伝達可能に連結されていればよく、必ずしもディファレンシャル機構32に連結される必要はない。
【0025】
ECM7及びTCM8、制御部9は、それぞれCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0026】
これらのコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECM7及びTCM8、制御部9としてそれぞれ機能させるためのプログラムが格納されている。
【0027】
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、これらのコンピュータユニットは、本実施例におけるECM7及びTCM8、制御部9としてそれぞれ機能する。
【0028】
ハイブリッド車両1には、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内LAN(Local Area Network)を形成するためのCAN通信線12が設けられている。
【0029】
ECM7及びTCM8、制御部9は、それぞれCAN通信線12によって接続されている。ECM7及びTCM8、制御部9は、CAN通信線12を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行なう。
【0030】
ECM7の入力ポートには、エンジン回転数センサ93を含む各種センサ類が接続されている。エンジン回転数センサ93は、エンジン2の機関回転数であるエンジン回転数を検出する。
【0031】
一方、ECM7の出力ポートには、図示しないインジェクタを含む各種制御対象類が接続されている。インジェクタは、エンジン2に燃料を供給する。
【0032】
TCM8の出力ポートには、トランスミッション3のアクチュエータを含む各種制御対象類が接続されている。TCM8は、トランスミッション3のアクチュエータを制御することで、トランスミッション3の変速機構における変速段の切換えとクラッチ31の断接を行なう。
【0033】
制御部9の入力ポートには、上述のバッテリ状態センサ6aに加え、ブレーキストロークセンサ91、車速センサ92、図示しないアクセル開度センサ等の各種センサ類が接続されている。
【0034】
ブレーキストロークセンサ91は、運転者による図示しないブレーキペダルの踏込み量を検出して、ブレーキペダルの踏込み量に応じた信号を制御部9に出力する。
【0035】
車速センサ92は、ハイブリッド車両1の走行速度を検出し、車速に応じた信号を制御部9に出力する。
【0036】
アクセル開度センサは、図示しないアクセルペダルの開度を検出して、アクセル開度に応じた信号を制御部9に出力する。
【0037】
一方、制御部9の出力ポートには、上述のインバータ5を含む各種制御対象類が接続されている。
【0038】
本実施例において、制御部9は、アクセル開度や車速などに基づいて、ドライバの要求する要求トルクを算出する。制御部9は、要求トルクが駆動輪10に出力されるような駆動軸11のトルクとして目標車軸トルクを算出し、駆動軸11に目標車軸トルクを出力するようにエンジン2やモータ4を制御する。
【0039】
制御部9は、ECM7にトルク指令を送信し、ECM7によりトルク指令に設定されたトルク値をエンジン2に出力させる。
【0040】
制御部9は、目標車軸トルクやバッテリ6のSOCなどに基づいて、エンジン2に出力させるトルクやモータ4に出力させるトルクを算出する。
【0041】
制御部9は、バッテリ6のSOCや要求トルクなどに基づいて、エンジン2とモータ4の駆動力を駆動軸11に伝達してハイブリッド車両1を走行させるHEV走行モードと、モータ4のみの駆動力を駆動軸11に伝達してハイブリッド車両1を走行させるEV走行モードと、を切り替える。
【0042】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、エンジン回転数が所定回転数を下回った場合、クラッチ31を切断状態にして、エンジンストールを防止する。所定回転数は、例えば、エンジン2のアイドル回転数程度の回転数である。
【0043】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、モータ4に回生トルクを出力させて発電させ、バッテリ6を充電する。
【0044】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超えた場合、モータ回生量を、HEV走行モード時にはEV走行モード時よりも小さく設定する回生制動制御を行なう。モータ回生量は、モータ4に出力させる回生トルクのトルク量である。なお、モータ回生量は、例えば、モータ4の界磁電流を制御することで制御する。
【0045】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、車速が所定車速を下回ると、モータ回生量を、HEV走行モード時にはEV走行モード時よりも小さく設定する回生制動制御を行なう。
【0046】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、エンジン回転数がエンジン2のアイドル回転数を下回ると、モータ回生量を、HEV走行モード時にはEV走行モード時よりも小さく設定する回生制動制御を行なう。なお、エンジン回転数の時間変化率が所定の閾値を上回った場合に、モータ回生量を、HEV走行モード時にはEV走行モード時よりも小さく設定する回生制動制御を行なうようにしてもよい。
【0047】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、車速が所定車速を下回ると、モータ回生量を車速が低くなるほど小さく設定する回生制動制御を行なう。
【0048】
このような回生制動制御を行なうことで、HEV走行モード時にエンジンストールが発生することを防止することができる。また、EV走行モード時には、回生を行なう領域を拡大して、回生量を増加させることができる。
【0049】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、例えば、車速からモータ回生量が決まるマップによりモータ回生量を算出する。
【0050】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、例えば、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超え、かつ車速が所定車速を下回り、かつEV走行モードである場合、車速からモータ回生量が決まる第1のマップによりモータ回生量を算出する。
【0051】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、例えば、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超え、かつ車速が所定車速を下回り、かつHEV走行モードであり、かつエンジン回転数がアイドル回転数を下回った場合、車速からモータ回生量が決まる第2のマップによりモータ回生量を算出する。
【0052】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、例えば、ブレーキペダルの踏込み量が所定量を超え、かつ車速が所定車速を下回り、かつHEV走行モードであり、かつエンジン回転数がアイドル回転数以上の場合、車速からモータ回生量が決まる第1のマップによりモータ回生量を算出する。
【0053】
第2のマップは、同じ車速でのモータ回生量が第1のマップよりも小さく設定され、第1のマップよりも車速が高速のときに回生を止めるように設定される。
【0054】
このようにすることで、HEV走行モード時にエンジンストールが発生することを防止することができる。また、EV走行モード時には、回生を行なう領域を拡大して、回生量を増加させることができる。
【0055】
制御部9は、ハイブリッド車両1の減速時、例えば、ブレーキペダルの踏込み量が所定量以下の場合、車速からモータ回生量が決まる第3のマップによりモータ回生量を算出する。第3のマップは、同じ車速でのモータ回生量が第2のマップよりも小さく設定される。
【0056】
なお、上述した回生制動制御は、エンジン回転数の時間変化率が所定の閾値を上回った場合に行なうようにしてもよい。
【0057】
上述のクラッチ31を切断状態にしてエンジンストールを防止する場合、クラッチ31が切断状態となるまでにある程度の時間が必要となる。このため、エンジン回転数の低下速度(エンジン回転数の低下の傾き)が急激であると、クラッチ31が完全に切断状態となる前にエンジンストールする可能性がある。
【0058】
エンジン回転数の低下速度が急激であったとしても、エンジン回転数の時間変化率が所定の閾値を下回った場合に、モータ回生量を下げることで、エンジンストールを防止することができる。
【0059】
以上のように構成された本実施例に係るハイブリッド車両の回生制御装置による回生制動制御処理について、
図2を参照して説明する。なお、以下に説明する回生制動制御処理は、ハイブリッド車両1が減速すると開始され、予め設定された時間間隔で実行され、ハイブリッド車両1の減速が終了すると実行が停止される。
【0060】
ステップS1において、制御部9は、ブレーキペダルの踏込み量が所定量より大きいか否かを判定する。ブレーキペダルの踏込み量が所定量より大きくないと判定した場合、ステップS7において、制御部9は、第3のマップによりモータ回生量を設定して、処理を終了する。
【0061】
ステップS1においてブレーキペダルの踏込み量が所定量より大きいと判定した場合、ステップS2において、制御部9は、ハイブリッド車両1の車速が所定車速より低いか否かを判定する。ハイブリッド車両1の車速が所定車速より低いと判定した場合、ステップS3において、制御部9は、ハイブリッド車両1がEV走行モードで走行しているか否かを判定する。
【0062】
EV走行モードで走行していないと判定した場合、すなわち、HEV走行モードで走行していると判定した場合、ステップS4において、制御部9は、エンジン回転数がエンジン2のアイドル回転数を下回っているか否かを判定する。エンジン回転数がエンジン2のアイドル回転数を下回っていると判定した場合、ステップS6において、制御部9は、第2のマップによりモータ回生量を設定して、処理を終了する。
【0063】
ステップS2においてハイブリッド車両1の車速が所定車速より低くないと判定した場合、または、ステップS3においてハイブリッド車両1がEV走行モードで走行していると判定した場合、または、ステップS4においてエンジン回転数がエンジン2のアイドル回転数を下回っていないと判定した場合、ステップS5において、制御部9は、第1のマップによりモータ回生量を設定して、処理を終了する。
【0064】
このように、上述の実施例では、HEV走行モード時のモータ回生量をEV走行モード時のモータ回生量よりも小さく設定しているため、HEV走行モード時にエンジンストールが発生することを防止することができる。また、EV走行モード時には、回生を行なう領域を拡大して、回生量を増加させることができる。
【0065】
本実施例では、各種センサ情報に基づき制御部9が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、ハイブリッド車両1が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0066】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0067】
1 ハイブリッド車両
2 エンジン(内燃機関)
4 モータ(電動機)
9 制御部
91 ブレーキストロークセンサ
92 車速センサ
93 エンジン回転数センサ