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  • 特許-車両用ルーバ取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】車両用ルーバ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20220823BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B60H1/34 651B
B60H1/00 102R
B60H1/00 102L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018122654
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020001545
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和定
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-215978(JP,A)
【文献】特開2001-199234(JP,A)
【文献】特開2017-206053(JP,A)
【文献】特開平07-089339(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02578424(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルと、該インストルメントパネルに形成された開口と、該開口に前方から取り付けられる筒状のルーバと、該ルーバの前方に位置し該ルーバに空調風を送る送風ダクトとを備えた車両用ルーバ取付構造において、
当該車両用ルーバ取付構造はさらに、
前記インストルメントパネルの前記開口の周囲から前方に延びて前記ルーバを取り囲んでいるリブと、
前記リブに設けられ前記ルーバに面する嵌合孔と、
前記ルーバに設けられて前記嵌合孔に嵌るツメと、
前記ルーバと前記送風ダクトとをつないでいて該つないだまま前後にスライド可能な筒状のスライドダクトとを備え、
前記スライドダクトは前記ルーバの前縁を内包していて、
前記スライドダクトには、前記ルーバが前方に移動すると該ルーバの前縁と干渉する干渉部が形成されていることを特徴とする車両用ルーバ取付構造。
【請求項2】
前記ルーバは、
前記前縁を含んで形成されている小径領域と、
前記小径領域よりも大きな外寸を有し前記リブに取り囲まれる大径領域と、
前記小径領域と前記大径領域とを斜めにつなぐ傾斜領域とを有し、
前記ツメは前記大径領域に設けられていて、
前記リブの先端は前記傾斜領域にまで到達していて、
前記スライドダクトが後方にスライドすると、該スライドダクトの後縁は前記傾斜領域に案内されて前記リブを押しのけ、前記ツメを前記嵌合孔から外すことを特徴とする請求項1に記載の車両用ルーバ取付構造。
【請求項3】
前記スライドダクトの後縁から前記干渉部までの距離は、前記ルーバの前縁から前記大径領域側までの距離よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の車両用ルーバ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ルーバ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両のインストルメントパネルには、ルーバが設置されている。ルーバは、空調風を吹き出す部位であり、連動する複数のフィンによって風向を変えることが可能になっている。従来、ルーバは、インストルメントパネルの裏側に設けられたボスやリブに対して、車両前方からクリップやスクリューで取り付けられることがあった。この場合、ルーバの交換等を行うには、先にインストルメントパネルの全体を車体から取り外す必要が生じていた。そこで、本願発明の出願人による特許文献1では、ルーバ7をインストルメントパネル1に対して前方から係合爪20を挿し込んで取り付けることで、車室側から工具22で系合爪20の引っかかりを解除することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-124460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、車室内の美観向上を目的として、インストルメントパネルの車室側に形成される部品の境目(以下、見切り線)の削減、もしくは見切り線の精度向上が要請されている。くわえて、より簡単にインストルメントパネルからルーバだけを取り外せる構成についても求められている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、インストルメントパネルからルーバを簡単に取外し可能であって車室内の美観の向上も達成可能な車両用ルーバ取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用ルーバ取付構造の代表的な構成は、車両のインストルメントパネルと、インストルメントパネルに形成された開口と、開口に前方から取り付けられる筒状のルーバと、ルーバの前方に位置しルーバに空調風を送る送風ダクトとを備えた車両用ルーバ取付構造において、当該車両用ルーバ取付構造はさらに、インストルメントパネルの開口の周囲から前方に延びてルーバを取り囲んでいるリブと、リブに設けられルーバに面する嵌合孔と、ルーバに設けられて嵌合孔に嵌るツメと、ルーバと送風ダクトとをつないでいてつないだまま前後にスライド可能な筒状のスライドダクトとを備え、スライドダクトはルーバの前縁を内包していて、スライドダクトには、ルーバが前方に移動するとルーバの前縁と干渉する干渉部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インストルメントパネルからルーバを簡単に取外し可能であって車室内の美観の向上も達成可能な車両用ルーバ取付構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例にかかる車両用ルーバ取付構造の概要を示す斜視図である。
図2図1(b)の取付構造のルーバ付近におけるA-A断面図である。
図3図2のインストルメントパネルからルーバを取り外す過程を示した図である。
図4図2のインストルメントパネルからルーバを取り外す過程を示した図である。
図5図2のインストルメントパネルからルーバを取り外す過程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用ルーバ取付構造は、車両のインストルメントパネルと、インストルメントパネルに形成された開口と、開口に前方から取り付けられる筒状のルーバと、ルーバの前方に位置しルーバに空調風を送る送風ダクトとを備えた車両用ルーバ取付構造において、当該車両用ルーバ取付構造はさらに、インストルメントパネルの開口の周囲から前方に延びてルーバを取り囲んでいるリブと、リブに設けられルーバに面する嵌合孔と、ルーバに設けられて嵌合孔に嵌るツメと、ルーバと送風ダクトとをつないでいてつないだまま前後にスライド可能な筒状のスライドダクトとを備え、スライドダクトはルーバの前縁を内包していて、スライドダクトには、ルーバが前方に移動するとルーバの前縁と干渉する干渉部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、インストルメントパネルの前方、つまりインストルメントパネルの裏側に設けられたリブを使ってルーバを取り付けるため、乗員側にツメ等の取付部が露出せず、美観の向上に資することができる。また、上記構成では、ルーバをインストルメントパネルから取り外す際は、ルーバを車室内側から前方へ向かって押し出せば、干渉部を介してスライドダクトも前方へスライドする。したがって、インストルメントパネルを車体から取り外すことなく、ルーバだけを簡単に取り外すことが可能になり、メンテナンス等を容易に行うことが可能になる。
【0011】
上記のルーバは、前縁を含んで形成されている小径領域と、小径領域よりも大きな外寸を有しリブに取り囲まれる大径領域と、小径領域と大径領域とを斜めにつなぐ傾斜領域とを有し、ツメは大径領域に設けられていて、リブの先端は傾斜領域にまで到達していて、スライドダクトが後方にスライドすると、スライドダクトの後縁は傾斜領域に案内されてリブを押しのけ、ツメを合孔から外すとよい。
【0012】
上記構成によれば、専用の工具などを使用することなく、ルーバをインストルメントパネルから簡単に外すことが可能になる。また、スライドダクトの後縁を利用して、複数のリブを同時に押しのけることが可能になる。そのため、従来は後の取外作業を考慮してルーバとインストルメントパネルとの接続部の数を制限していたところ、上記構成であれば取外作業が簡単であるためリブとツメとの数をさらに増やすことも可能になる。例えば、リブとツメの数を増やしてルーバのインストルメントパネルへの取付剛性を高め、ルーバの周囲の見切り線の精度および美観の向上を図ることも可能になる。
【0013】
上記のスライドダクトの後縁から干渉部までの距離は、ルーバの前縁から大径領域までの距離よりも長いとよい。すなわち、スライドダクトは、干渉部がルーバの前縁に干渉するよりも先に、後縁が傾斜領域に沿って大径領域に乗り上げてリブを押しのける構成であるとよい。この構成によって、上述したスライドダクトの後縁を利用したリブとツメとの嵌合の解除を、好適に実現することができる。
【実施例
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施例にかかる車両用ルーバ取付構造(取付構造100)の概要を示す斜視図である。図1(a)は、当該取付構造100が実施されるインストルメントパネル102を示している。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(Upward)、D(Downward)で例示する。
【0016】
インストルメントパネル102は、車室内の前部に設けられる樹脂製の大型の部材であって、各種メータ類の他、空調風の吹出口としてルーバ104が取り付けられている。インストルメントパネル102のうち、ルーバ104の下方には、不図示のグローブボックスが取り付けられるボックス用開口106が形成されている。ルーバ104に対してのメンテナンス作業等は、ボックス用開口106から手を入れて行うことが可能になっている。
【0017】
図1(b)は、図1(a)のルーバ104の拡大図である。ルーバ104は、本体となる筒状のケース108と、ケース108の内側に設けられた複数の横板フィン110および縦板フィン112を有している。各フィンは、ツマミ114を通じて角度を変えることが可能になっている。
【0018】
図2は、図1(b)の取付構造100のルーバ104付近におけるA-A断面図である。図2に示すように、インストルメントパネル102には開口116が形成されていて、ルーバ104は開口116に対して前方から取り付けられている。特に、ルーバ104は、開口116に対して、ツメ118とインストルメントパネル102の前側のリブ120との嵌合によって取り付けられている。したがって、当該取付構造100では、ルーバ104とインストルメントパネル102との見切り線L1が車室側に露出しない構成になっていて、車室内の美観の向上に資することが可能になっている。
【0019】
当該取付構造100の各構成要素について詳しく説明する。ルーバ104のケース108は、筒状であって、前方に向かう途中で外寸が小さくなっている。具体的には、前方側の外寸の小さい小径領域108aと、後方側の小径領域108aよりも外寸の大きい大径領域108bとが形成されている。大径領域108bは、複数のリブ120に囲まれていて、外周上にはリブの嵌合孔に嵌合する複数のツメが設けられている。
【0020】
リブ120は、ルーバ104のケース108を取り囲むよう、インストルメントパネル102の開口116の周囲に複数設けられていて、インストルメントパネル102から前方に向かって延びている。リブ120には、ケース108の大径領域108bに面するように嵌合孔122が設けられている。本実施例では、嵌合孔122はリブ120を貫通していて、ツメ118が引っ掛かる構造になっている。
【0021】
送風ダクト124は、ルーバ104の前方に位置していて、空調装置(図示省略)からの空調風をルーバ104に送る。送風ダクト124は、スライドダクト126を介してルーバ104につながれている。
【0022】
スライドダクト126は、ルーバ104と送風ダクト124とをつなぐ筒状の部位であって、ルーバ104の前縁128および送風ダクト124の後縁130を内包するように設けられている。スライドダクト126は、送風ダクト124にクリップ132で固定されているが、クリップ132を取ると、ルーバ104と送風ダクト124とをつないだまま前後にスライドすることが可能になっている。
【0023】
スライドダクト126は、内側に、ルーバ104の小径領域108aの開口側である前縁128が干渉する干渉部136が形成されている。具体的には、スライドダクト126の内寸はルーバ104側に対して送風ダクト124側が小さく、内寸の変わる箇所に干渉部136が段差状に形成されている。干渉部136は、ルーバ104を開口116から前方へ取り外す際、前方に移動するルーバの前縁128に対して前方から接触する。なお、干渉部136の機能は、段差状に限らず、傾斜面状や突起状のリブなどによっても達成可能である。
【0024】
当該取付構造100では、スライドダクト126を利用して、ルーバ104をインストルメントパネル102から簡単に取り外すことが可能になっている。そのための構成として、まず、ケース108には、大径領域108bと小径領域108aとを斜めにつなぐ傾斜領域108cが形成されている。そして、リブ120は、先端がケース108の傾斜領域108cにまで到達している。これら構成によって、リブ120とケース108との間には、間隙S1が形成されている。また、この間隙S1にスライドダクト126の後縁138を押し込むと、後縁138によってリブ120が押しのけられ、リブ120とツメ118との嵌合が解除される。
【0025】
図3および図4は、図2のインストルメントパネル102からルーバ104を取り外す過程を示した図である。図3(a)は、クリップ132を外した様子を示している。クリップ132を外すことで、スライドダクト126は、送風ダクト124から外れて、前後にスライド可能になる。この状態において、スライドダクト126をルーバ側にスライドさせ、スライドダクト126の後縁138を間隙S1に押し込む。なお、スライドダクト126の操作は、前述したボックス用開口106(図1(a)参照)から手を入れて行うことが可能である。
【0026】
図3(b)は、スライドダクト126をルーバ104側へスライドさせた様子を示している。スライドダクト126は、当初からルーバ104の小径領域108aを内包した状態になっているため、目視確認等することなく、そのまま後方へスライドさせるだけで後縁138が間隙S1に入る。そして、スライドダクト126の後縁138は、傾斜領域108cに沿って広がりつつ、傾斜領域108cに案内されてリブ120に対して内側から接触する。そして、後縁138は、傾斜領域108cに沿って大径領域108bに乗り上げ、リブ120をツメ118に対して外側へ押しのける。これによって、リブ120とツメ118の嵌合が外れる。このとき、後縁138は、リブ120を持ち上げやすいよう、端がやや外側に開いた形状になっている。
【0027】
図4は、図3(b)のルーバ104を開口116から前方へ押した様子を示している。リブ120とツメ118との嵌合が外れたあとは、ルーバ104を開口116から前方へ押すと、ルーバ104はインストルメントパネル102から簡単に外れる。このとき、ルーバ104の前縁128は、スライドダクト126の干渉部136に干渉する。したがって、ルーバ104の前方への移動と共に、スライドダクト126も前方へスライドする。そして、ルーバ104をスライドダクト126から抜き取ることで、ルーバ104のみをボックス用開口106から外に取り出すことが可能になる。
【0028】
上記の流れでは、図3(b)において、スライドダクト126の後縁138によるリブ120の押しのけは、ルーバ104の前縁128と干渉部136との接触よりも先に生じている。すなわち、図2に示すように、スライドダクト126の後縁138から干渉部136までの距離D1は、ルーバ104の前縁128から大径領域108bまでの距離D2よりも長く設定されている。この構成によって、スライドダクト126は、干渉部136がルーバ104の前縁128に干渉するよりも先に、後縁138が傾斜領域108cに沿って大径領域108bに乗り上げてリブ120を押しのける構成となっている。この構成によって、リブ120とツメ118との嵌合の解除と、ルーバ104とスライドダクト126との前方への移動とを、好適に両立することが可能になっている。
【0029】
なお、ルーバ104がスライドダクト126の後縁138を過剰に押し広げないよう、距離D1と距離D2とはなるべく近い長さに設定すると好適である。
【0030】
以上のように、当該取付構造100であれば、専用の工具などを使用することなく、スライドダクト126を利用して、ルーバ104をインストルメントパネル102から少ない力で簡単に外すことができる。また、インストルメントパネル102を車体から取り外すことなく、ルーバ104だけを取り外すことができるため、メンテナンス等を容易に行うことが可能になる。
【0031】
加えて、当該取付構造100では、スライドダクト126の後縁138を利用して、複数のリブ120を同時に押しのけることが可能になっている。従来、ルーバ104とインストルメントパネル102との接続部は、あまり数を増やすと工具で同時に取り外すことが困難になるため、少なめの数に制限していた。一方、当該上記構成であれば、取外作業が簡単であるため、リブ120とツメ118との数をさらに増やし、ルーバ104の取付剛性を高めることも容易である。
【0032】
現在、車室内の美観向上を目的として、インストルメントパネル102とルーバ104との見切り線(例えば、図2の見切り線L1)をより精度よく形成したいという要望がある。例えば、ルーバ104にはドリンクホルダ等が付属されることもあり、ルーバ104には日常的に荷重がかかり得る。当該取付構造100であれば、スライドダクト126を利用して各リブ120とツメ118との嵌合を同時に効率よく解除できるため、リブ120とツメ118との数を増やしても問題はなく、これによってルーバ104のインストルメントパネル102への取付剛性を高め、ルーバ104の周囲の見切り線L1の精度および美観の向上を図ることが可能になる。
【0033】
なお、当該取付構造100では、インストルメントパネル102の前方、つまりインストルメントパネル102の裏側に設けられたリブ120を使ってルーバ104を取り付けている。そのため、乗員側にツメ118等の取付部が露出せず、見切り線L1も露出しない。したがって、ガーニッシュなどを利用して取付部や見切り線を覆い隠す必要がなくなっていて、美観の向上や部品点数の削減、さらにはインストルメントパネル102の意匠上の自由度の向上に資することが可能になっている。
【0034】
図5は、本発明の第2実施例にかかる車両用ルーバ取付構造(取付構造200)の概要を示す斜視図である。図5(a)は、図2の取付構造100の断面図に対応した取付構造200の断面図である。なお、第1実施例の取付構造100と共通する構成要素については、同じ符号を付することによって説明を省略する。
【0035】
当該取付構造200では、ルーバ202のツメ204が、前後両側に斜面を有する構成になっている。したがって、ルーバ202は、スライドダクト126を操作することなく、車内側から押すだけで、リブ120とツメ204との嵌合が外れて、前方へ移動できる構造になっている。
【0036】
図5(b)は、図5(a)のルーバ202を開口116から前方へ押した様子を例示している。取付構造200では、クリップ132を外しておくことで、ルーバ202の前方への移動と共に、スライドダクト126も前方へスライドする。これによって、ルーバ202のみをボックス用開口106から外に取り出すことが可能になる。この構成によっても、専用の工具などを使用することなく、ルーバ202をインストルメントパネル102から少ない力で簡単に外すことができ、メンテナンス等を容易に行うことが可能になっている。
【0037】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両用ルーバ取付構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
100…取付構造、102…インストルメントパネル、104…ルーバ、106…ボックス用開口、108…ケース、108a…小径領域、108b…大径領域、108c…傾斜領域、110…横板フィン、112…縦板フィン、114…ツマミ、116…インストルメントパネルの開口、118…ツメ、120…リブ、122…嵌合孔、124…送風ダクト、126…スライドダクト、128…ルーバの前縁、130…送風ダクトの後縁、132…クリップ、136…干渉部、138…スライドダクトの後縁、D1…スライドダクトの後縁から干渉部までの距離、D2…ルーバの前縁から大径領域までの距離、L1…見切り線、S1…リブと傾斜領域との間隙、200…第2実施例の取付構造、202…第2実施例のルーバ、204…第2実施例のツメ
図1
図2
図3
図4
図5