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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】放熱部材及び電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220823BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20220823BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H02G3/16
H05K7/20 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018211604
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020077820
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】愛知 純也
(72)【発明者】
【氏名】池田 潤
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-135141(JP,A)
【文献】特開2016-063064(JP,A)
【文献】特開2011-130558(JP,A)
【文献】国際公開第2010/067725(WO,A1)
【文献】特開2016-146427(JP,A)
【文献】特開2015-126095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/54
H01L 23/00-23/04
H01L 23/06-23/26
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H02G 3/08-3/20
H05K 7/02-7/10
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が実装された実装面を有する基板部から、前記実装面と対向する対向板部を介して熱を取得して放熱する放熱部材において、
前記対向板部にて、前記半導体素子に対応する位置に形成された窪み部を備え、
前記窪み部は、底部を除く壁部のうち、前記窪み部の長寸方向に沿って延びる長壁部が前記対向板部の他部分より肉厚が厚く、前記長壁部の肉厚は前記基板部から遠くなるにつれて薄くなる放熱部材。
【請求項2】
前記長壁部の外側面と面一をなし、前記長壁部の端部から連設された放熱フィンを備える請求項に記載の放熱部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の放熱部材と、
前記基板部を収容する収容部と、
前記基板部と前記放熱部材の前記対向板部との間に介在する熱伝導材とを備える電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の熱を放熱する放熱部材及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大きな電流を導通させるための回路を構成する導電部材(バスバー等とも称される)が実装された基板が一般的に知られている。
【0003】
一方、特許文献1には、筐体内に設けられた電気部品から発生した熱を筐体の外部に速やかに排出させ、筐体内に外気を取り込んで電気部品を冷却するため、斯かる筐体に孔を形成した電子装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-063982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような回路構造体においては、大きな電流が半導体素子のような電子部品に流れることから、斯かる電子部品及び導電部材において大量の熱を発する。このように発生した熱は前記電子部品の誤動作の原因になるうえに、周囲の電子部品等が二次的熱的弊害を被る恐れもある。
【0006】
特許文献1の電子装置においては、このような問題に対応するため、筐体に孔を形成しているものの、筐体に孔を形成したため、外部から筐体内に埃、水等が入り込む虞が生じる。特許文献1の電子装置においてはこれを防ぐためにフィルタを別途設けており、その結果、複雑な構成になるうえに、製造コストが高まるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成にて半導体素子が発する熱を速やかに放熱できる放熱部材及び電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る放熱部材は、半導体素子が実装された実装面を有する基板部から、前記実装面と対向する対向板部を介して熱を取得して放熱する放熱部材において、前記対向板部にて、前記半導体素子に対応する位置に形成された窪み部を備え、前記窪み部は前記対向板部の他部分より肉厚が厚い。
【0009】
本開示の一態様に係る電気接続箱は、上述の放熱部材と、前記基板部を収容する収容部と、前記基板部と前記放熱部材の前記対向板部との間に介在する熱伝導材とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、簡単な構成にて半導体素子が発する熱を速やかに放熱できる
できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る電気装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る電気装置の概略的正面図である。
図3】本実施形態に係る電気装置の概略的側面図である。
図4】本実施形態に係る電気装置の概略的底面図である。
図5】本実施形態に係る電気装置の分解図である。
図6】本実施形態に係る電気装置の基板収容部の概略的底面図である。
図7図4のVII-VII線による縦断面図である。
図8】本実施形態に係る電気装置において、窪み部とFETとの関係を示す部分的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本開示の一態様に係る放熱部材は、半導体素子が実装された実装面を有する基板部から、前記実装面と対向する対向板部を介して熱を取得して放熱する放熱部材において、前記対向板部にて、前記半導体素子に対応する位置に形成された窪み部を備え、前記窪み部は前記対向板部の他部分より肉厚が厚い。
【0014】
本態様にあっては、前記半導体素子に対応する位置に前記窪み部が形成されている。前記窪み部が前記半導体素子を覆い、前記対向板部の他部分より肉厚が厚い。
即ち、前記半導体素子に近い前記窪み部の肉厚が厚いので熱容量が大きく、前記半導体素子に熱が発生した場合、多量の熱を前記半導体素子から取得でき、放熱効果を高めることができる。
【0015】
(2)本開示の一態様に係る放熱部材は、前記窪み部は、底部を除く壁部が前記対向板部の他部分より肉厚が厚い。
【0016】
本態様にあっては、前記窪み部において底部を除く壁部の肉厚が厚い。従って、前記半導体素子から発せられる熱を多く取得して放熱効果を高めると共に、放熱部材の重量増加を抑制することができる。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る放熱部材は、前記窪み部は、底部を除く壁部のうち、前記窪み部の長寸方向に沿って延びる長壁部が前記対向板部の他部分より肉厚が厚い。
【0018】
本態様にあっては、前記窪み部において底部を除く壁部のうち、前記長壁部の肉厚が厚い。即ち、前記壁部のうち、最も割合の多い長壁部のみが厚い。従って、前記半導体素子から発せられる熱を多く、かつ効果的に取得して放熱効果を高めると共に、放熱部材自体の重量増加を更に抑制することができる。
【0019】
(4)本開示の一態様に係る放熱部材は、前記長壁部の外側面と面一をなし、前記長壁部の端部から連設された放熱フィンを備える。
【0020】
本態様にあっては、前記長壁部及び前記放熱フィンが一方向にて連設されている。従って、前記長壁部が取得した前記半導体素子からの熱が素早く、かつ最短距離にて前記放熱フィンに伝達される。
【0021】
(5)本開示の一態様に係る電気接続箱は、上述した何れか一つに記載の放熱部材と、前記基板部を収容する収容部と、前記基板部と前記放熱部材の前記対向板部との間に介在する熱伝導材とを備える。
【0022】
本態様にあっては、前記基板部と前記放熱部材の前記対向板部との間に前記熱伝導材が介在する。前記半導体素子が発する熱は前記基板部に熱伝導され、前記熱伝導材を介して素早く前記対向板部に伝導される。以降、斯かる熱は前記窪み部を介して前記放熱フィンから外気に放熱される。
【0023】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る放熱部材及び電気接続箱を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
以下においては、本実施形態に係る放熱部材を備えた電気装置(電気接続箱)を例に挙げて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る電気装置1の斜視図である。電気装置1は、基板収容部10と、基板収容部10を支持する支持部材20(放熱部材)とを備える。
【0026】
電気装置1は、車両が備えるバッテリなどの電源と、ランプ、ワイパ等の車載電装品又はモータなどからなる負荷との間の電力供給経路に配される電気接続箱である。電気装置1は、例えばDC-DCコンバータ、インバータなどの電子部品として用いられる。
【0027】
本実施形態では、便宜上、図1に示す前後、左右、上下の各方向により、電気装置1の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を定義する。以下では、このように定義される前後、左右、上下の各方向を用いて、電気装置1の構成について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る電気装置1の概略的正面図であり、図3は、本実施形態に係る電気装置1の概略的側面図であり、図4は、本実施形態に係る電気装置1の概略的底面図であり、図5は、本実施形態に係る電気装置1の分解図である。
【0029】
基板収容部10は、電力回路を構成する基板部31、及び基板部31に実装される電子部品を備える。斯かる電子部品は、電気装置1の用途に応じて適宜実装され、FET(Field Effect Transistor)などのスイッチング素子、抵抗、コイル、コンデンサ等を含む。
【0030】
支持部材20は、上側の周縁部211にて基板収容部10を支持する基部21と、周縁部211とは反対側の下面212に設けられた放熱部22とを備える。支持部材20が備える基部21及び放熱部22は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料を用いたダイキャストにより一体的に成形される。
【0031】
図6は、本実施形態に係る電気装置1の基板収容部10の概略的底面図である。即ち、図6は基板収容部10を下から見た図である。
基板収容部10は電力回路30を備える。電力回路30は、バスバー111~113を含む基板部31と、基板部31の下側の実装面311に実装された半導体スイッチング素子13(半導体素子)とを少なくとも備える。
【0032】
半導体スイッチング素子13は、例えばFET(より具体的には面実装タイプのパワーMOSFET)であり、バスバー111~113の下面側に実装されている。バスバー111~113の下面側には半導体スイッチング素子13(以下、FET13と称する)の他に、ツェナーダイオード等の電子部品が実装されてもよい。
【0033】
FET13は、例えば、素子本体の下面(実装面311と対向する面)にドレイン端子131を備えている。ドレイン端子131は素子本体の一側面側にはみ出ている。また、FET13は前記一側面と対向する他側面にソース端子132及びゲート端子133を備える。
【0034】
FET13のドレイン端子131はバスバー111に半田接続されている。以下、バスバー111をドレインバスバー111と称する。また、FET13のソース端子132はバスバー112に半田接続されている。以下、バスバー112をソースバスバー112と称する。ドレインバスバー111及びソースバスバー112は、銅又は銅合金等の金属材料により形成された導電性板部材である。
【0035】
一方、FET13のゲート端子133は、バスバー113に半田接続されている。以下、バスバー113をゲートバスバー113と称する。ゲートバスバー113は、銅又は銅合金等の金属材料により形成された導電性部材である。
【0036】
ドレインバスバー111、ソースバスバー112及びゲートバスバー113の夫々の間には絶縁性樹脂材の樹脂部114が介在しており、ドレインバスバー111、ソースバスバー112及びゲートバスバー113は、樹脂部114と共に一体化されて基板部31を構成している。
【0037】
基板部31は下側の実装面311に複数のFET13が実装されている。即ち、ソースバスバー112及びゲートバスバー113の下側面と、ゲートバスバー113の一部とが面一をなして基板部31の実装面311を構成している。複数のFET13は、基板部31の長寸方向(左右方向)に沿って実装面311に一列に並設されている。
【0038】
樹脂部114は、例えばフェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂材料を用いたインサート成形により製造される。樹脂部114は、ドレインバスバー111、ソースバスバー112及びゲートバスバー113と係合することによって、これらを一体化しており、これによって基板部31が構成されている。また、樹脂部114はその一部がドレインバスバー111、ソースバスバー112及びゲートバスバー113夫々の間に配されることによって、バスバー同士を絶縁する。
【0039】
支持部材20において、基部21は、適宜の厚みを有する矩形状の平板部材である。基部21の周縁部211には基板収容部10を固定するためのネジ孔が形成されている。例えば、基板収容部10は、ネジ止めによって支持部材20(基部21)に固定される。
【0040】
基部21においては、周縁部211より内側であって、上下方向にて基板部31の実装面311と対向する位置に対向板部223が形成されている。対向板部223は基板部31の実装面311に倣う形状を有しており、実装面311と対向する上側面が扁平である。
【0041】
対向板部223の内側には、窪み部24が下方向に向けて凹設されている。窪み部24は、上下方向において前記一列の複数のFET13と対応する位置に設けられている。即ち、対向板部223において、並設された複数のFET13の列に対応する範囲が凹設されて窪み部24をなしている。これによって、対向板部223の下側面は、窪み部24に相当する部分が下方向に突出している。
【0042】
窪み部24は基板部31の長寸方向がその長寸方向となるようにして、上下方向視略矩形をなすように設けられている。窪み部24は、底部243と、底部243を除く壁部241とを有する。壁部241は対向板部223と交差する方向に立ち上がっている。
基板収容部10が支持部材20に固定された状態において、全てのFET13は窪み部24の内側に収容される。換言すれば、窪み部24は全てのFET13を覆う(図7参照)。
【0043】
対向板部223と基板部31との間には第1熱伝導材14が介在している。第1熱伝導材14は、例えば、熱伝導性の優れたグリース、伝熱シート等である。第1熱伝導材14は、対向板部223において、窪み部24以外の他部分に配置され、対向板部223は第1熱伝導材14を介して基板部31の実装面311と接触している。即ち、第1熱伝導材14は基板部31においてFET13の実装面311と、対向板部223との両方に接している。FET13から熱が発せられた場合、斯かる熱は基板部31(実装面311)に熱伝導され、第1熱伝導材14を介して対向板部223に伝達される。従って、第1熱伝導材14はFET13が発する熱を容易、かつ素早く基部21(対向板部223)に伝達できる。
【0044】
基部21の下側には放熱部22が設けられている。放熱部22は、基部21の下面212から下方に向けて突出した複数の放熱フィン221を備え、基板収容部10(例えば、FET13)から発せられる熱を取得して外気へ放熱する。即ち、第1熱伝導材14を介して対向板部223(基板部31)に伝達されたFET13の熱が放熱フィン221を介して空冷される。
【0045】
各放熱フィン221は、左右方向、即ち、窪み部24の長寸方向に沿って延びるように設けられている。また、複数の放熱フィン221は前後方向に間隔を隔てて並設されている。なお、窪み部24の外側にも放熱フィン221が設けられている。
【0046】
即ち、上述したように、窪み部24が下方向に凹設されたことにより、対向板部223の下側面には突出部が形成されている。斯かる突出部において突出先の突出端面242、即ち、窪み部24の底部243の外側面は扁平であり、突出端面242にも他の部分と同様に放熱フィン221が設けられている。
【0047】
基部21、対向板部223(窪み部24)及び放熱フィン221は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料を用いたダイキャストにより一体成形される。
【0048】
放熱部22において、空気は、放熱フィン221同士の間を、放熱フィン221に沿って流れる。一方、放熱フィン221の延び方向(以下、長寸方向)と窪み部24の壁部241とが交差するように壁部241が設けられた場合、放熱フィン221に沿って放熱フィン221の長寸方向に流れる空気を壁部241が遮ることになるので、放熱部22において空気の流れが悪くなり放熱部22の放熱性を低下させる。
【0049】
これに対して、本実施形態に係る電気装置1は、窪み部24が上下方向視矩形をなしているので、窪み部24の長寸方向と放熱フィン221の長寸方向とが一致している。即ち、本実施形態に係る電気装置1では、壁部241のうち、窪み部24の長寸方向に延びる長壁部241Aと、各放熱フィン221の長寸方向とが一致するように複数の放熱フィン221が並設されており、窪み部24の壁部241が放熱フィン221の長寸方向と交差することを抑制する。従って、長壁部241Aと放熱フィン221との間を空気が流れ、放熱フィン221に沿って流れる空気の流れが壁部241によって邪魔されず、放熱部22の放熱性の低下を事前に防止できる(図4の破線参照)。
【0050】
図7は、図4のVII-VII線による縦断面図である。
上述したように、対向板部223には、全てのFET13を覆う窪み部24が形成されており、窪み部24の底部243の突出端面242には放熱フィン221,221aが設けられている。また、対向板部223において、窪み部24以外の他部分は、第1熱伝導材14を介して基板部31の実装面311と接触している。
【0051】
本実施形態に係る電気装置1においては、窪み部24における壁部241のうち、少なくとも、窪み部24の長寸方向に沿って延びる2つ長壁部241Aの肉厚Lが、対向板部223の前記他部分の肉厚hより厚く設けられている。また、窪み部24の長壁部241Aの肉厚Lは、底部243の肉厚Hよりも厚い。
【0052】
このように、窪み部24の長壁部241Aの肉厚Lが厚いことから、長壁部241Aの基部、即ち、長壁部241Aの上側端部も厚い。従って、対向板部223において基板部31と接触する前記他部分を介した長壁部241Aへの熱伝達が容易になる。かつ、長壁部241Aが厚いので熱容量が多くなり、多量の熱を取得できる。即ち、長壁部241Aは多量の熱を速やかに基板部31から取得して、放熱フィン221,221aに伝達できる。
【0053】
以上においては、2つの長壁部241Aの肉厚Lが対向板部223の前記他部分の肉厚H,hより厚い場合を例に説明したが、本実施形態に係る電気装置1はこれに限るものでない。長壁部241Aに加え、他の壁部241の肉厚も対向板部223の他部分より厚くなるように構成しても良い。
また、本実施形態に係る電気装置1はこれに限るものではなく、長壁部241Aに加え、窪み部24の底部243の肉厚Hも対向板部223の他部分の肉厚hより厚くなるように構成しても良い。
【0054】
本実施形態に係る電気装置1においては、窪み部24における壁部241のうち、2つ長壁部241Aのみの肉厚Lが対向板部223の他部分の肉厚H,hより厚く設けられている。従って、多量の熱を速やかに基板部31から取得して放熱フィン221,221aに伝達できるという効果と共に、電気装置1の軽量化を図ることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る電気装置1においては、窪み部24外側の突出端面242に、長壁部241Aと一体化された放熱フィン221aが設けられている。より詳しくは、突出端面242であって、2つの長壁部241Aの下方向に放熱フィン221aが夫々設けられている。換言すれば、突出端面242の両端部であって、対向板部223と交差する方向にて2つの長壁部241Aと整合する位置に放熱フィン221aが夫々設けられている。放熱フィン221aは、長壁部241Aの下側端部から連設されている。
【0056】
この際、放熱フィン221aの一面222は、長壁部241Aの外側面244と面一をなしている。
例えば、図7においては、2つの放熱フィン221aのうち、図面視右側の放熱フィン221aの図示右面222は、2つの長壁部241Aのうち、図面視右側の長壁部241Aの外側面244と面一をなしている。
【0057】
このような構成を有することから、本実施形態に係る電気装置1においては、長壁部241Aが基板部31から取得した多量の熱が速やかに放熱フィン221aに伝達される。
即ち、本実施形態に係る電気装置1においては、対向板部223と交差する方向に長壁部241A及び放熱フィン221aが直線上に連設されており、長壁部241Aの外側面244と放熱フィン221aの一面222が面一をなし、一体化されている。従って、長壁部241Aの上側端部に伝導された熱は、最短距離にて放熱フィン221aの先端まで伝導される。
【0058】
以上においては、長壁部241Aの肉厚Lが上下方向において一定である場合を例に説明したが、本実施形態に係る電気装置1はこれに限るものではない。長壁部241Aの肉厚Lが上側端部から下側端部に向けて縮小するように構成しても良い。
この場合、基板部31から長壁部241Aへの熱伝達が容易になると共に、電気装置1の軽量化を図ることができる。
【0059】
(実施形態2)
図8は、本実施形態に係る電気装置1において、窪み部24とFET13との関係を示す部分的縦断面図である。
【0060】
実施形態1と同様に、全てのFET13は窪み部24によって覆われている。更に、本実施形態においては、各FET13と窪み部24の内側面との間に第2熱伝導材40が介在している。第2熱伝導材40は、例えば、熱伝導性の優れたグリース、伝熱シート等である。第2熱伝導材40は、例えば、FET13の下側面と、窪み部24の内側面とに接し、FET13から発せられる熱を窪み部24に伝達する。
【0061】
このように、本実施形態に係る電気装置1においては、FET13が発熱した場合、斯かる熱が第2熱伝導材40を介して素早く窪み部24に伝導される。次いで、放熱フィン221、221aは窪み部24の壁部241及び底部243を介して熱を取得して空冷させる。従って、FET13が発する熱をより効果的に放熱できる。
【0062】
実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 電気装置
10 基板収容部
13 FET
14 第1熱伝導材
20 支持部材
21 基部
22 放熱部
24 窪み部
30 電力回路
31 基板部
40 第2熱伝導材
111~113 バスバー
131 ドレイン端子
132 ソース端子
133 ゲート端子
221,221a 放熱フィン
222 一面
223 対向板部
241 壁部
241A 長壁部
242 突出端面
243 底部
244 外側面
311 実装面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8