(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/44 20060101AFI20220823BHJP
H01R 4/38 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01R13/44 Z
H01R4/38 B
H01R4/38 C
(21)【出願番号】P 2018217133
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康弘
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015216541(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/44
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧入凹部を有し、前記圧入凹部の内部と連通する配置で第1締結孔が貫通形成された第1端子と、
前記第1端子を保持する第1ハウジングと、
外部の端子と接続可能とされ、第2締結孔が貫通形成された第2端子と、
前記第2端子における前記第1端子側の一部を露出させた状態で覆う絶縁性のカバー部を有し、前記第2端子を保持する第2ハウジングと、
前記第2ハウジングにおける前記第2端子が露出する部分に配され、前記第1端子の前記圧入凹部に圧入されることで前記第1端子に固定されており、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する導電性の中継部と、
外周に
雄ネジが形成された軸部
および内周に雌ネジが形成されたナットを有し、前記軸部が前記第1締結孔と前記第2締結孔とに挿通され、かつ前記第1端子と前記第2端子との間に前記中継部を挟んだ状態で、
前記雄ネジと前記雌ネジが螺合することで前記第1端子、前記第2端子及び前記中継部を締結する締結部材と、を備える、コネクタ。
【請求項2】
前記第2ハウジングは、前記カバー部と、前記カバー部のうちの一部を露出させる孔部とを備え、
前記孔部に前記中継部が挿通されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記中継部は、筒状の金属からなり、
前記孔部は、筒状の空間を形成している請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバー部は、前記第2締結孔の内側に延出された延出部を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、コネクタに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子間の接続をボルト締結により行う技術が知られている。特許文献1の充電コネクタは、ハウジングの開口内に一対の給電用の電線に圧着接続された端子が収容され、ハウジングに対してスライド自在に組み付けられるハウジングカバーにより端子が覆われる。この充電コネクタは、安全回路を備えており、ハウジングカバーを開いた状態では安全回路により給電用の電線の通電が遮断されており、この状態で給電用の電線と相手側の端子カバーとをボルト締めして接続する。ボルト締めした後にハウジングカバーを閉めると、安全回路により給電用の電線が通電するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成では、何らかの要因により安全回路が正常に機能しない場合、ハウジングカバーが開いた状態で給電用の電線及び端子が通電可能な状態となる。このような安全回路が正常に機能しない場合に作業者が作業を行うと、給電用の電線や端子に作業者や異物が接触することによる感電等が懸念される。
【0005】
本明細書に記載された技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子間の接続をボルト締結により行うコネクタの作業時における作業者等の端子への接触を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されたコネクタは、第1締結孔が貫通形成された第1端子と、前記第1端子を保持する第1ハウジングと、外部の端子と接続可能とされ、第2締結孔が貫通形成された第2端子と、前記第2端子における前記第1端子側の一部を露出させた状態で覆う絶縁性のカバー部を有し、前記第2端子を保持する第2ハウジングと、前記第2ハウジングにおける前記第2端子が露出する部分に配され、前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続する導電性の中継部と、前記第1端子と前記第2端子との間に前記中継部を挟んだ状態で、前記第1端子、前記第2端子及び前記中継部を締結する締結部材と、を備える。
上記構成によれば、コネクタの第2端子は、第1端子側が第2ハウジングの絶縁性のカバー部により覆われているため、作業者が第2ハウジング側の作業を行う際に、カバー部により第2端子との接触を抑制できる。また、このように構成しても、第2ハウジングにおける第2端子が露出する部分に中継部が配され、第1端子、第2端子及び中継部を締結部材により締結するため、第1端子と第2端子との間について中継部を介して電気的に接続することができる。よって、端子間の接続をボルト締結により行うコネクタの作業時における作業者等の端子への接触を抑制することが可能になる。
【0007】
本明細書に記載された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記第2ハウジングは、前記カバー部と、前記カバー部のうちの一部を露出させる孔部とを備え、前記孔部に前記中継部が挿通されている。
このようにすれば、孔部の周囲がカバー部で覆われるため、より一層、作業者等の端子への接触を抑制することができる。
【0008】
前記中継部は、筒状の金属からなり、前記孔部は、筒状の空間を形成している。
このようにすれば、中継部について、構成を簡素化しつつ、強度を高めることができる。
【0009】
前記カバー部は、前記第2締結孔の内側に延出された延出部を備える。
このようにすれば、第2締結孔の孔壁への作業者等の接触を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に記載された技術によれば、端子間の接続をボルト締結により行うコネクタの作業時における作業者等の端子への接触を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のコネクタがケースに取り付けられた状態を示す斜視図
【
図2】コネクタがケースに取り付けられた状態を
図1とは異なる方向から示す斜視図
【
図3】コネクタがケースに取り付けられた状態を示す平面図
【
図4】コネクタがケースに取り付けられた状態を示す正面図
【
図5】コネクタがケースに取り付けられた状態を示す側面図
【
図7】ケースに取り付けられるコネクタを分解した状態で示す断面図
【
図8】第2コネクタがケースに取り付けられた状態を示す断面図
【
図9】第2コネクタがケースに取り付けられた状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
実施形態のコネクタ10について、
図1~
図10を参照しつつ説明する。
本実施形態のコネクタ10(
図6)は、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが組み合わされて構成され、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両の電力供給経路において例えば電池、インバータ、モータ等の機器のケース90に固定することができる。以下では、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが互いに対向する方向を前方、
図1のY方向を右方、Z方向を上方として説明する。
【0013】
ケース90(ケース90は一部のみを図示し、他の部分は省略)は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製であって、
図2に示すように、略長方形状のコネクタ挿通孔91が貫通形成されている。ケース90は、
図1,
図4に示すように、コネクタ10の位置合わせを行うための複数の位置決めピン92と、コネクタ10がネジ留めされて固定されるネジ留め部93,94とがコネクタ挿通孔91の周りに形成されている。位置決めピン92は、第1コネクタ20と第2コネクタ50との双方に設けられた位置決め孔49,78に挿通されて第1コネクタ20及び第2コネクタ50の位置を保持する。ネジ留め部93は、第1コネクタ20の取付穴45に挿通されたネジ(不図示)によりネジ留めされ、ネジ留め部94は、第2コネクタ50の取付穴64に挿通されたネジ(不図示)によりネジ留めされる。
【0014】
コネクタ10は、
図6,
図7に示すように、第1端子21を有する第1コネクタ20と、第1コネクタ20と嵌合し、第2端子51を有する第2コネクタ50と、第1端子21及び第2端子51を締結する締結部材85とを備える。
【0015】
第1コネクタ20は、電線11の端末部に接続される第1端子21と、第1端子21を保持する第1ハウジング30と、第1端子21と第2端子51との間に挟まれて第1端子21と第2端子51とを電気的に接続する導電性の中継部80と、を備える。電線11は、多数の金属細線からなる導体部12を絶縁被覆13(絶縁層)で包囲して構成された被覆電線であり、その端末部においては、絶縁被覆13が剥ぎ取られた導体部12が露出している。
【0016】
第1端子21は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、L字状に曲げられた形状であって、電線11に接続される電線接続部22と、電線接続部22の延出方向に対して直交する方向に延び、第1ハウジング30の前面に配される第1締結部24とを備える。電線接続部22は、電線11の導体部12に対して圧着や溶接等により接続される。第1締結部24の先端部には、円形状の第1締結孔25が貫通形成されている。
【0017】
第1ハウジング30は、絶縁性の合成樹脂製であって、締結部材85としてのボルト86(の頭部86A)を挿通可能な作業用孔31が形成されている。作業用孔31は、円形状であって、作業用孔31の前方側の開口31Aは、第1端子21の第1締結部24により閉鎖されるとともに、作業用孔31に連通する位置に第1締結孔25が配されている。第1ハウジング30の外周には、ゴム製のシールリング32が装着されており、第1ハウジング30の外周と第2ハウジング60のフード部61との間にシールリング32が挟まれて防水される。第1ハウジング30の前方側には、第2ハウジング60に当接する当接部33が設けられている。当接部33は、円環状であって、第2ハウジング60の前面の凹部67や段差部62に当接し、前後方向について第1ハウジング30と第2ハウジング60との間の相対的位置を保持する。
【0018】
作業用孔31内におけるボルト86の頭部86Aの後方には、絶縁キャップ36と、シールキャップ38とが配される。絶縁キャップ36は、絶縁性の合成樹脂製であって、ボルト86の頭部86Aに嵌合してボルト86の後方側を絶縁する。絶縁キャップ36には、ボルト86の軸部86Bが挿通される通し孔36Aが形成されている。
【0019】
シールキャップ38は、絶縁キャップ36の後方に配され、円板状の本体の外周にゴム製のキャップリング39が装着されている。シールキャップ38の本体は、合成樹脂製又は金属製であって、キャップリング39が作業用孔31の内壁に密着状態で内嵌することにより、シールキャップ38よりもボルト86側の領域が防水される。シールキャップ38の後面には、作業者が掴むことが可能な掴み部41が取り付けられている。掴み部41には、シールキャップ38を覆ってシールドする金属製の蓋体40が取り付けられている。第1ハウジング30の外面は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属製のシールドシェル43で覆われている。シールドシェル43は、電線11の端末部及び第1ハウジング30の外周の全体を覆うように設けられており、シールドシェル43には、締結部材85の取り付けの際に締結部材85等を挿通する作業用孔44と、ケース90への取り付けのための取付穴45(
図4)とが貫通形成されている。
【0020】
中継部80は、
図7に示すように、円筒形状の金属カラーであって、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等の金属からなり、円筒形状の筒部81と、筒部81の内側に突出する突部82とを備え、中継部80の内側は、ボルト86の軸部86Bが挿通される通し孔82Aとされている。突部82は、通し孔82Aの軸方向における後方側において、中継部80の内壁の全周に亘って一定の寸法で段差状に突出している。中継部80のうち、第1端子21側は、第1端子21の第1締結部24の圧入凹部26に圧入される圧入部83とされ、圧入部83とは反対側は、第2端子51の第2締結部53の前面に接触する。
【0021】
第2コネクタ50は、
図8に示すように、外部の端子と接続可能な第2端子51と、第2端子51を保持する第2ハウジング60とを備える。第2端子51は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の板状の金属からなり、L字状に曲げられた形状であって、外部の端子に接続される端子接続部52と、端子接続部52の延出方向(前後方向)に対して直交する方向(上下方向)に延び、第2ハウジング60の前面側に配される第2締結部53とを備える。端子接続部52には外部の端子と接続するための貫通孔52Aが形成されている。
【0022】
第2締結部53は、ボルト86の軸部86Bを挿通可能な第2締結孔54が貫通形成されている。第2締結孔54は、軸部86Bの外径と第2締結孔54の内壁との間に所定の隙間(後述する延出部69が配される隙間)が形成される大きさの円形状とされている。
【0023】
第2ハウジング60は、絶縁性の合成樹脂製であって、フード状に開口し、第1ハウジング30が内嵌されるフード部61と、フード部61を閉鎖する奥壁部66と、第2端子51の端子接続部52を密着状態で保持する接続保持部76とを備える。フード部61の内面には、前方に向けて段差状に内径を小さくする複数の段差部62が形成されている。段差部62は、フード部61の内面に環状に延びている。フード部61の外周面には、ケース90に取り付けるためのケース取付部63が設けられている。ケース取付部63は、平板状の金属からなり、複数の取付穴64(
図4)が貫通形成されている。
【0024】
接続保持部76は、
図8に示すように、端子接続部52に沿って後方に延びており、外部接続用ナット52Bが収容される収容凹部76Aが設けられている。収容凹部76Aは、端子接続部52の貫通孔52Aの下側に設けられている。
【0025】
奥壁部66は、フード部61の後方側を塞ぐように設けられ、前面には、フード部61に沿って環状に延びる凹部67が形成されている。奥壁部66の外周には、ゴム製のシールリング79が装着されている。奥壁部66における下方側には、締結部材85を挿通可能な挿通孔72が前後方向に貫通形成されている。奥壁部66の前面の凹部67は、
図9に示すように、挿通孔72の上方側の領域にU字状に形成されている。奥壁部66には、
図8に示すように、第2締結部53の前面(フード部61側の面)を覆う絶縁カバー部68(「カバー部」の一例)と、第2端子51を露出させる孔部70と、が形成されている。
【0026】
絶縁カバー部68は、第2締結部53の前方側で第2締結部53に重ねられており、第2締結部53に対して絶縁性の合成樹脂により感電を防止できる厚みで形成されている。絶縁カバー部68のうち、第2締結孔54(及び挿通孔72)に隣接する位置には、絶縁カバー部68が第2締結部53に重ねられず、第2締結部53を露出させる孔部70が設けられている。孔部70は、
図10に示すように、第2締結孔54の周りの円環状の領域に設けられており、絶縁カバー部68のうち、孔部70の内側が内カバー部68Aとされ、孔部70の外側が外カバー部68Bとされている。外カバー部68Bの孔部70側の縁部及び内カバー部68Aの内外両側の縁部には、テーパ状に切り欠かれたテーパ面68Cが形成されている。
【0027】
内カバー部68Aは、
図8に示すように、第2締結孔54の内壁を覆うように後方に延出された延出部69を備える。延出部69は、第2締結孔54の内壁に円筒形状に積層されており第2締結孔54の内壁に対して感電を防止できる厚みで形成されている。延出部69の内面は、ボルト86の軸部86Bが挿通される挿通孔72の内壁とされている。挿通孔72の内壁のうち、延出部69の後方は、締結部材85としてのナット87が収容される締結部材収容部73とされている。締結部材収容部73に収容されたナット87は、締結部材収容部73の多角形の内壁により回転が規制された状態で留め部74により締結部材収容部73内に保持される。ナット87及び留め部74は、締結部材収容部73と外部とを連通する連通孔75を通すことにより着脱可能とされている。
【0028】
締結部材85は、ボルト86とナット87とからなる。ボルト86は、外周に雄ネジが形成された軸部86Bと、軸部86Bよりも外径寸法が大きい頭部86Aとを備える。軸部86Bは、第1締結孔25、中継部80の通し孔82A、延出部69の挿通孔72に挿通されてナット87で締結される。
【0029】
コネクタ10の製造方法について説明する。
予めシールドシェル43の電線通し孔46(
図7参照)に電線11を通しておき、電線11の端末部において絶縁被覆13を除去して露出させた導体部12に第1端子21を圧着、溶接等により接続する。また、中継部80を第1端子21の圧入凹部26に圧入して中継部80を第1端子21に固定する。次に、電線11の端末部に接続された第1端子21を金型(不図示)内に配し、金型内に樹脂を注入するインサート成形を行って第1ハウジング30を形成する。そして、第1ハウジング30の外周にシールリング32を取り付け、シールドシェル43を前方に移動して第1ハウジング30の外周に取り付けることで第1コネクタ20が形成される。なお、中継部80の第1端子21への圧入は、第1ハウジング30を形成する前に行ったが、第1ハウジング30の形成後に第1端子21に中継部80を圧入してもよい。
【0030】
また、ケース取付部63及び第2端子51を金型(不図示)内に配して金型内に樹脂を注入するインサート成形を行って第2ハウジング60を形成する。次に、奥壁部66の外周にシールリング79を取り付けるとともに、連通孔75からナット87を挿入し、留め部74によりナット87を位置決めする。これにより、第2コネクタ50が形成される。
【0031】
次に、第2コネクタ50をケース90のコネクタ挿通孔91に嵌め入れ、ケース取付部63をネジ留めして第2コネクタ50をケース90に固定するとともに、第2端子51を外部から給電可能な端子に接続する。この状態では、
図8に示すように、第2端子51の第2締結部53は、第2ハウジング60の絶縁カバー部68で覆われており、孔部70は作業者の指先等Bに対して小さいため、作業者や異物の第2締結部53への接触は抑制されている。
【0032】
次に、
図7に示すように、第2コネクタ50に対して第1コネクタ20を嵌合させる。第1コネクタ20を正規位置まで嵌合させると、
図6に示すように、中継部80の円筒形状の先端部が第2ハウジング60の孔部70に進入し、中継部80の先端部が第2端子51の第2締結部53に接触した状態となる。
【0033】
次に、第1コネクタ20のシールドシェル43の取付穴45にネジを通して第1コネクタ20をケース90にネジ留めして固定するとともに、第1コネクタ20の作業用孔44にボルト86を通す。そして、ボルト86とナット87との間に第1端子21、中継部80及び第2端子51を挟んだ状態で工具(不図示)を用いて締結する。これにより、第1端子21と第2端子51との間が中継部80を介して電気的に接続された状態となる。その後、作業用孔44に絶縁キャップ36、シールキャップ38、蓋体40を装着して作業用孔44を閉鎖する。これにより、コネクタ10が形成される。
【0034】
本実施形態の構成によれば以下の作用・効果を奏する。
コネクタ10は、第1締結孔25が貫通形成された第1端子21と、第1端子21を保持する第1ハウジング30と、外部の端子と接続可能とされ、第2締結孔54が貫通形成された第2端子51と、第2端子51における第1端子21側の一部を露出させた状態で覆う絶縁性の絶縁カバー部68(カバー部)を有し、第2端子51を保持する第2ハウジング60と、第2ハウジング60における第2端子51が露出する部分に配され、第1端子21と第2端子51とを電気的に接続する導電性の中継部80と、第1端子21と第2端子51との間に中継部80を挟んだ状態で、第1端子21、第2端子51及び中継部80を締結する締結部材85と、を備える。
本実施形態によれば、コネクタ10の第2端子51は、第1端子21側が第2ハウジング60の絶縁性の絶縁カバー部68により覆われているため、作業者が第2ハウジング60側の作業を行う際に、絶縁カバー部68により作業者の第2端子51との接触を抑制できる。よって、第2端子51との接触による感電等を抑制することができる。また、このように構成しても、第2ハウジング60における第2端子51が露出する部分に中継部80が配され、第1端子21、第2端子51及び中継部80を締結部材85により締結するため、第1端子21と第2端子51との間について中継部80を介して電気的に接続することができる。よって、第1端子21と第2端子51との間の接続をボルト締結により行うコネクタの作業時における作業者等の第2端子51への接触を抑制することが可能になる。
【0035】
また、第2ハウジング60は、絶縁カバー部68と、絶縁カバー部68のうちの一部を露出させる孔部70とを備え、孔部70に中継部80が挿通されている。
このようにすれば、孔部70の周囲が絶縁カバー部68で覆われるため、より一層、作業者等の第2端子51への接触を抑制することが可能になる。
【0036】
また、中継部80は、筒状の金属からなり、孔部70は、筒状の空間を形成している。
このようにすれば、中継部80について、構成を簡素化しつつ、強度を高めることができる。
【0037】
また、絶縁カバー部68は、第2締結孔54の内側に延出された延出部69を備える。
このようにすれば、第2締結孔54の孔壁への作業者等の接触を抑制することができる。
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ハウジング30,60は、インサート成形により第1端子21や第2端子51と一体的に形成される構成としたが、これに限られず、別体のハウジングに対して第1端子21や第2端子51を圧入等の固定手段によりハウジングに対して固定する構成としてもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、第2ハウジング60がナット87を保持したが、これに限られず、第2ハウジング60がボルト86を保持し、作業用孔44にナット87を通してボルト締結するようにしてもよい。
【0039】
(3)中継部80は、第1端子21に圧入される構成としたが、これに限られない。例えば、第1端子21に中継部80が溶接等により固定されてもよい。また、中継部を第1端子21に固定しない構成としてもよい。中継部の形状は、上記実施形態の円筒形状に限られず、例えば板状としてもよい。
【0040】
(4)絶縁カバー部68は、内カバー部68Aと外カバー部68Bとを設けたが、内カバー部68Aと外カバー部68Bとのうちの一方を設ける構成としてもよい。また、絶縁カバー部68には延出部69を設けたが、延出部69を設けない構成としてもよい。
(5)第1コネクタ20には、シールドシェル43を設けたが、シールドシェル43を設けないコネクタとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10: コネクタ
11: 電線
12: 導体部
13: 絶縁被覆
20: 第1コネクタ
21: 第1端子
22: 電線接続部
24: 第1締結部
25: 第1締結孔
30: 第1ハウジング
50: 第2コネクタ
51: 第2端子
52: 端子接続部
53: 第2締結部
54: 第2締結孔
60: 第2ハウジング
61: フード部
62: 段差部
68: 絶縁カバー部
69: 延出部
70: 孔部
72: 挿通孔
80: 中継部
81: 筒部
82: 突部
82A: 通し孔
85: 締結部材
86: ボルト
86A: 頭部
86B: 軸部
87: ナット
90: ケース
91: コネクタ挿通孔