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特許7127571血圧レベル変化検出装置、血圧レベル変化検出方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】血圧レベル変化検出装置、血圧レベル変化検出方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20220823BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61B5/022 400L
A61B5/11 230
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019026760
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020130533
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達則
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
(72)【発明者】
【氏名】桑原 光巨
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】小久保 綾子
【審査官】湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/179695(WO,A1)
【文献】特開2017-121272(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092707(WO,A1)
【文献】特開2016-202345(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168806(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168795(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/022
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する、血圧レベル変化検出装置であって、
前記血圧の時系列データにおいて、血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点として、第1の変化点を検出する、変化点検出部と、
前記血圧の時系列データについて、前記第1の変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第1の平均血圧レベルを取得するとともに、前記第1の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第2の平均血圧レベルを取得し、前記第1の平均血圧レベルと前記第2の平均血圧レベルとの間の差が予め定められたレベル閾値以上であるとき、前記第1の変化点で血圧レベル変化が発生したと判定するレベル変化判定部とを、備える、
血圧レベル変化検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血圧レベル変化検出装置において、
前記変化点検出部は、前記変化点として、前記第1の変化点よりも後の第2の変化点を、検出し、
前記血圧の時系列データを、前記第1の変化点と前記第2の変化点とによって、連続した第1の区間、第2の区間および第3の区間に区分する、区間決定部を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の血圧レベル変化検出装置において、
前記レベル変化判定部によって、前記第1の変化点で前記血圧レベル変化が発生したと、判定された、という条件があり、
前記条件が満たされたとき、前記血圧の時系列データについて、前記第2の区間と前記第3の区間との間の前記第2の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第3の平均血圧レベルを取得し、前記第3の平均血圧レベルと前記第1の平均血圧レベルとの間の差が、前記レベル閾値未満であるとき、前記第3の区間での血圧レベルが前記第1の区間での血圧レベルに復帰したと判定するレベル復帰判定部を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の血圧レベル変化検出装置において、
前記第1の区間は、血圧の測定開始時点から、当該測定開始の後、最初に検出された前記第1の変化点までの、前記血圧の時系列データの期間である、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の血圧レベル変化検出装置において、
血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、前記変化点検出部が検出した前記変化点の有効性を判定する、変化点有効性判定部を、さらに備えている、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出装置。
【請求項6】
血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する、血圧レベル変化検出方法であって、
前記血圧の時系列データにおいて、血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点として、第1の変化点を検出し、
前記血圧の時系列データについて、前記第1の変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第1の平均血圧レベルを取得するとともに、前記血圧の時系列データについて、前記第1の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第2の平均血圧レベルを取得し、
前記第1の平均血圧レベルと前記第2の平均血圧レベルとの間の差が、予め定められたレベル閾値以上であるとき、前記第1の変化点で血圧レベル変化が発生したと判定する、
血圧レベル変化検出方法。
【請求項7】
請求項6に記載の血圧レベル変化検出方法において、
前記変化点として、前記第1の変化点よりも後の第2の変化点を検出し、
前記血圧の時系列データを、前記第1の変化点と前記第2の変化点とによって、連続した第1の区間、第2の区間および第3の区間に区分する、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の血圧レベル変化検出方法において、
前記第1の変化点で前記血圧レベル変化が発生したと判定された、という条件があり、
前記条件が満たされたとき、前記血圧の時系列データについて、前記第2の区間と前記第3の区間との間の前記第2の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第3の平均血圧レベルを取得し、
前記第3の平均血圧レベルと前記第1の平均血圧レベルとの間の差が、前記レベル閾値未満であるとき、前記第3の区間での血圧レベルが、前記第1の区間での血圧レベルに復帰したと判定する、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の血圧レベル変化検出装置において、
前記第1の区間は、血圧の測定開始時点から、当該測定開始の後、最初に検出された前記第1の変化点までの、前記血圧の時系列データの期間である、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出方法。
【請求項10】
請求項6に記載の血圧レベル変化検出方法において、
血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、検出された前記変化点の有効性を判定する、
ことを特徴とする血圧レベル変化検出方法。
【請求項11】
請求項6乃至請求項10の何れか一つに記載の血圧レベル変化検出方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血圧レベル変化検出装置、血圧レベル変化検出方法、およびプログラムに関し、より詳しくは、たとえば、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する血圧レベル変化検出装置、血圧レベル変化検出方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一拍毎に連続して血圧を測定することが行われている。たとえば、特許文献1(特開2018-42606号公報)では、被験者の手首付近の動脈を押圧して、一拍毎に連続して血圧を測定することが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-42606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記血圧計を用いて、長時間(たとえば、1晩)に渡って血圧測定を連続的に実施した場合、測定中に、被験者の体動が生じることもある。そして、当該体動をきっかけに、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化(血圧値が或るレベルから別のレベルへ急峻に変化する現象)が発生することがある。また、当該血圧レベル変化が発生している場合は、変化後の血圧レベルが、異常測定値(血圧データ解析で用いることを避けるべき測定値)を表している可能性がある。したがって、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出することは、意義がある。ここで、血圧データ解析には、血圧サージ(数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて、血圧値が上昇し下降する現象である血圧変動指標)の解析のみならず、動脈圧受容器反射指標の解析(たとえば、血圧の時系列データを周波数変化して得られる波形の傾きから当該指標を解析できる)などの各種血圧変動指標の解析を含む。
【0005】
そこで、この発明の課題は、たとえば、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出することが可能な、血圧レベル変化検出装置、血圧レベル変化検出方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、実施形態に係る血圧レベル変化検出装置は、
血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する、血圧レベル変化検出装置であって、
上記血圧の時系列データにおいて、血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点として、第1の変化点を検出する、変化点検出部と、
上記血圧の時系列データについて、上記第1の変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第1の平均血圧レベルを取得するとともに、上記第1の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第2の平均血圧レベルを取得し、上記第1の平均血圧レベルと上記第2の平均血圧レベルとの間の差が予め定められたレベル閾値以上であるとき、上記第1の変化点で血圧レベル変化が発生したと判定するレベル変化判定部とを、備える、ことを特徴とする。
【0007】
「第1の平均血圧レベル」は、典型的には、測定開始時(正常時)の血圧レベルとされる。
【0008】
この実施形態の血圧レベル変化検出装置では、変化点検出部は、血圧の時系列データにおいて第1の変化点を検出する。そして、レベル変化判定部は、当該第1の変化点前後において、上記第1の平均圧力レベルと上記第2の平均圧力レベルとを取得し、当該第1の平均血圧レベルと当該第2の平均血圧レベルとの間の差が、予め定めたレベル閾値以上であるとき、上記変化点で血圧レベル変化が発生したと判定する。したがって、血圧レベル変化検出装置によって、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出することができる。よって、医師等が自ら、血圧の時系列データから、血圧レベル変化を検出する必要がなくなるので、血圧の時系列データの解析のための労力、時間を節約することができる。
【0009】
一実施形態の血圧レベル変化検出装置では、
上記変化点検出部は、上記変化点として、上記第1の変化点よりも後の第2の変化点を、検出し、
上記血圧の時系列データを、上記第1の変化点と上記第2の変化点とによって、連続した第1の区間、第2の区間および第3の区間に区分する、区間決定部を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0010】
この実施形態の血圧レベル変化検出装置により、複数の変化点を検出した場合に、当該変化点によって、血圧の時系列データを複数の区間に区分することができる。したがって、たとえば、第3の区間に対しても、レベル変化判定を実施することができる。
【0011】
一実施形態の血圧レベル変化検出装置では、
上記レベル変化判定部によって、上記第1の変化点で上記血圧レベル変化が発生したと、判定された、という条件があり、
上記条件が満たされたとき、上記血圧の時系列データについて、上記第2の区間と上記第3の区間との間の上記第2の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第3の平均血圧レベルを取得し、上記第3の平均血圧レベルと上記第1の平均血圧レベルとの間の差が、上記レベル閾値未満であるとき、上記第3の区間での血圧レベルが上記第1の区間での血圧レベルに復帰したと判定するレベル復帰判定部を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0012】
この実施形態の血圧レベル変化検出装置により、第3の区間の血圧レベルが、第1の区間の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。したがって、第3の区間内に含まれる血圧データを、以後の解析対象として使用するか否かの判断も可能となる。
【0013】
一実施形態の血圧レベル変化検出装置では、
上記第1の区間は、血圧の測定開始時点から、当該測定開始の後、最初に検出された上記第1の変化点までの、上記血圧の時系列データの期間である、ことを特徴とする。
【0014】
この実施形態の血圧レベル変化検出装置により、血圧レベル変化において、第1の区間を基準とすることができる。当該第1の区間に対して、第2の区間において血圧レベル変化が発生したとき、当該血圧レベル変化検出装置により、第3の区間の血圧レベルが、基準である第1の区間の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。
【0015】
一実施形態の血圧レベル変化検出装置では、
血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、上記変化点検出部が検出した上記変化点の有効性を判定する、変化点有効性判定部を、さらに備えている、ことを特徴とする。
【0016】
この実施形態の血圧レベル変化検出装置により、変化点検出部が検出した変化点を、精査することができ、無効と判断される変化点を排除することも可能となる。
【0017】
別の局面では、この開示の血圧レベル変化検出方法は、
血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する、血圧レベル変化検出方法であって、
上記血圧の時系列データにおいて、血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点として、第1の変化点を検出し、
上記血圧の時系列データについて、上記第1の変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第1の平均血圧レベルを取得するとともに、上記血圧の時系列データについて、上記第1の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第2の平均血圧レベルを取得し、
上記第1の平均血圧レベルと上記第2の平均血圧レベルとの間の差が、予め定められたレベル閾値を以上であるとき、上記第1の変化点で血圧レベル変化が発生したと判定する、ことを特徴とする。
【0018】
この開示の血圧レベル変化検出方法では、血圧の時系列データにおいて第1の変化点を検出する。そして、当該第1の変化点前後において、上記第1の平均圧力レベルと上記第2の平均圧力レベルとを取得し、当該第1の平均血圧レベルと当該第2の平均血圧レベルとの間の差が、予め定められたレベル閾値以上であるとき、上記第1の変化点で血圧レベル変化が発生したと判定する。したがって、たとえば、当該血圧レベル変化検出方法を、所定の装置で実施することによって、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出することができる。よって、医師等が自ら、血圧の時系列データから、血圧レベル変化を検出する必要がなくなるので、血圧の時系列データの解析のための労力、時間を節約することができる。
【0019】
一実施形態の血圧レベル変化検出方法では、
上記変化点として、上記第1の変化点よりも後の第2の変化点を検出し、
上記血圧の時系列データを、上記第1の変化点と上記第2の変化点とによって、連続した第1の区間、第2の区間および第3の区間に区分する、ことを特徴とする。
【0020】
この実施形態の血圧レベル変化検出方法により、複数の変化点を検出した場合に、当該変化点によって、血圧の時系列データを複数の区間に区分することができる。したがって、区間同士の解析が容易に行われる。
【0021】
一実施形態の血圧レベル変化検出方法では、
上記第1の変化点で上記血圧レベル変化が発生したと判定された、という条件があり、
上記条件が満たされたとき、上記血圧の時系列データについて、上記第2の区間と上記第3の区間との間の上記第2の変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第3の平均血圧レベルを取得し、
上記第3の平均血圧レベルと上記第1の平均血圧レベルとの間の差が、上記レベル閾値未満であるとき、上記第3の区間での血圧レベルが、上記第1の区間での血圧レベルに復帰したと判定する、ことを特徴とする。
【0022】
この実施形態の血圧レベル変化検出方法により、第3の区間の血圧レベルが、第1の区間の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。したがって、第3の区間内に含まれる血圧データを、以後の解析対象として使用するか否かの判断も可能となる。
【0023】
一実施形態の血圧レベル変化検出方法では、
上記第1の区間は、血圧の測定開始時点から、当該測定開始の後、最初に検出された上記第1の変化点までの、上記血圧の時系列データの期間である、ことを特徴とする。
【0024】
この実施形態の血圧レベル変化検出方法により、血圧レベル変化において、第1の区間を基準とすることができる。当該第1の区間に対して、第2の区間において血圧レベル変化が発生したとき、当該血圧レベル変化検出方法により、第3の区間の血圧レベルが、基準である第1の区間の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。
【0025】
一実施形態の血圧レベル変化検出方法では、
血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、検出された上記変化点の有効性を判定する、ことを特徴とする。
【0026】
この実施形態の血圧レベル変化検出方法により、検出された変化点を、精査することができ、無効と判断される変化点を排除することも可能となる。
【0027】
さらに別の局面では、この開示のプログラムは、血圧レベル変化検出方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0028】
この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記血圧レベル変化検出方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上より明らかなように、この開示の、血圧レベル変化検出装置および血圧レベル変化検出方法によれば、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施の形態に係る血圧レベル変化検出システムの概略構成を示す図である。
図2】血圧レベル変化検出システムに含まれた血圧計の装着状態を例示する図である。
図3】血圧レベル変化検出システムに含まれた血圧計の装着状態を例示する断面図である。
図4】血圧レベル変化検出システムに含まれた血圧計の概略構成を示す図である。
図5】血圧レベル変化検出システムに含まれた血圧レベル変化検出装置の概略構成を示す図である。
図6】血圧レベル変化の有無を判定する動作を説明するフローチャートである。
図7】最高血圧値の時系列データにおいて、変化点を検出する動作を説明するための図である。
図8】最高血圧値の時系列データにおける変化点に基づいて、区間を設定する動作を説明するための図である。
図9】他の実施の形態に係る血圧レベル変化検出装置の概略構成を示す図である。
図10】検出された変化点の有効性を判断する動作を説明するための図である。
図11】検出された変化点の有効性を判断する動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る血圧レベル変化検出システム100の概略構成を、例示している。血圧レベル変化検出システム100は、トノメトリ方式の血圧計200、血圧レベル変化検出装置300、および少なくとも1つ以上の病院端末400を、備える。図1に示すように、血圧計200、血圧レベル変化検出装置300、および病院端末400は、通信ネットワーク50を介して、互いに通信可能に接続されている。ここで、当該通信ネットワーク50は、無線であっても、有線であってもよい。
【0033】
(血圧計200の概略構成)
図1に示す血圧計200は、たとえば、特開2018-42606号公報に開示されているようなトノメトリ方式の血圧計からなる。図2は、血圧計200が被験者の手首wに装着されている様子を、例示している。また、図3は、被験者の手首wに装着された血圧計200が、血圧測定を実施している様子を例示する、断面図である。図2,3に例示された血圧計200は、橈骨10に沿って走行する橈骨動脈TDの圧脈波を、一拍毎に連続的に測定する。
【0034】
図4は、血圧計200の概略構成を、例示している。図4に示すように、血圧計200は、血圧装置210、動きセンサ220、操作装置230、通信装置240、メモリ250、およびプロセッサ260を、備える。また、血圧装置210は、圧力センサ211と押圧機構212とを、備える。
【0035】
押圧機構212は、図3中に示すように、被測定部位に対して、押圧力を印加する。押圧機構212が被測定部位に対して押圧力を印加している際に、圧力センサ211は、トノメトリ方式で、橈骨動脈TDの圧脈波を一拍毎に連続的に検出する。トノメトリ法は、血管を押圧機構212を用いて圧扁することにより、圧力センサ211が圧脈波を計測し、血圧を決定する手法である。血管の厚さが一様な円管と見なすと、血管内の血液の流れ、拍動の有無に関係なく、血管壁を考慮してラプラスの法則に従い、血管の内圧(血圧)と血管の外圧(圧脈波の圧力)との関係式を導くことができる。この関係式で押圧面において血管が圧扁されている条件下では、血管の外壁及び内壁の半径を近似することにより、圧脈波の圧力と血圧とが等しいと近似できる。したがって、圧脈波の圧力は、血圧と同一値になる。この結果、血圧計200は、被測定部位の血圧値を一心拍ごとに測定する。そして、血圧計200は、測定時刻(時間)と血圧とを対応付けた血圧の時系列データを、生成し、他の機器(たとえば、血圧レベル変化検出装置300)へ出力する。
【0036】
図4において、動きセンサ220は、血圧計200の動きを検出するセンサである。動きセンサ220は、例えば加速度センサおよび/または角速度センサからなる。操作装置230は、ユーザからの指示(入力)を受け付ける。操作装置230は、たとえば、複数のボタンから構成される。通信装置240は、各種データの送受信を行う。図1の例では、通信装置240は、通信ネットワーク50に接続されている。メモリ250は、各種データを記憶する。たとえば、メモリ250は、血圧装置210が計測した測定値(上記血圧の時系列データ)、および動きセンサ220の計測結果等を、格納することができる。メモリ250は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。たとえば、メモリ250には、各種プログラムが、変更可能に格納されている。
【0037】
プロセッサ260は、この例では、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。たとえば、プロセッサ260は、メモリ250に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ260は、読み込んだプログラムに従い、各部210,220,230,240,250を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ260は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ260内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。なお、プロセッサ260が実行する各機能の一部又は全部を、一つ或いは複数の集積回路等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0038】
(血圧レベル変化検出装置300の概略構成)
本実施の形態に係る血圧レベル変化検出装置300は、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する。ここで、本実施の形態では、血圧の時系列データは、血圧計200の測定結果から得られる。図5は、血圧レベル変化検出装置300の概略構成を、例示している。図5に示すように、血圧レベル変化検出装置300は、通信装置310、表示装置320、操作装置330、メモリ340、およびプロセッサ350を、備える。
【0039】
図5において、通信装置310は、各種データの送受信を行う。図1の例では、通信装置310は、通信ネットワーク50に接続されている。通信装置310は、たとえば、血圧計200から送信される、血圧の時系列データおよび動きセンサ220の検出結果を、受信する。また、通信装置310は、血圧レベル変化検出装置300内のプロセッサ350で生成された、種々の出力データを、病院端末400等に対して、送信することもできる。
【0040】
表示装置320は、各種画像を表示する、表示画面を有している。表示装置320は、プロセッサ350における各種解析の結果等を、視認可能に表示することができる。また、表示装置320は、操作装置330を介したユーザからの希望に応じて、所定の情報を、視認可能に表示することもできる。たとえば、表示装置320は、メモリ340に格納されている情報(データ)を、視認可能に表示してもよい。たとえば、表示装置320として、液晶モニタ等を採用することができる。
【0041】
操作装置330は、ユーザからの、所定の操作(指示)を受け付ける。たとえば、当該操作装置330は、マウスおよびキーボードなどから、構成される。ここで、表示装置320として、タッチパネル式のモニタを採用した場合には、表示装置320は、表示機能だけでなく、操作装置330としての機能をも有する。
【0042】
メモリ340は、各種データを記憶する。たとえば、メモリ340は、血圧装置210が計測した測定値(上記血圧の時系列データ)、および動きセンサ220の計測結果等を、格納することができる。また、メモリ340は、プロセッサ350で生成された各種出力データを格納することもできる。メモリ340は、RAMおよびROM等を含む。たとえば、メモリ340には、各種プログラムが、変更可能に格納されている。
【0043】
プロセッサ350は、この例では、CPUを含んでいる。たとえば、プロセッサ350は、メモリ340に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ350は、読み込んだプログラムに従い、各部310,320,330,340を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ350は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ350内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。なお、プロセッサ350が実行する各機能の一部又は全部を、一つ或いは複数の集積回路等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0044】
図5に示すように、本実施の形態に係るプロセッサ350は、血圧の時系列データ生成部351、変化点検出部352、区間決定部353、およびレベル変化判定・レベル復帰判定部354を、機能ブロックとして、備える。なお、各ブロック351,352,353,354の動作は、後述する動作の説明において、詳述される。
【0045】
(病院端末400の概略構成)
図1中に示す病院端末400は、この例では、一般的なパーソナルコンピュータからなる。なお、上述したように、図1に示すシステム構成において、病院端末400が複数配設されていてもよい。ここで、病院端末400は、パーソナルコンピュータに代えて、タブレットなどの携帯端末であってもよい。
【0046】
病院端末400が備える表示装置420は、各種画像を表示する、表示画面を有している。表示装置420は、たとえば、血圧レベル変化検出装置300から受信した各種出力データに基づいた画像を、視認可能に表示する。また、表示装置420は、ユーザによる操作に応じて、所定の情報を、視認可能に表示することもできる。たとえば、表示装置420として、液晶モニタ等を採用することができる。
【0047】
(血圧レベル変化検出システム100の動作)
血圧レベル変化検出システム100が実施する血圧レベル変化検出方法は、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する、方法である。上述したように、血圧の時系列データは、血圧計200の測定結果から得られる。
【0048】
(1)血圧計200の動作
血圧計200において、測定が実施される。なお測定は、血圧装置210による一拍毎の血圧値の測定、および動きセンサ220による血圧計200の動きの検出測定を、含む。なお、一拍毎の血圧データは、測定時刻に関連付けられており、同様に、各動きデータも、測定時刻に関連付けられている。
【0049】
上述したように、たとえば、橈骨動脈TDの圧脈波(血圧)を一拍毎に連続的に測定するために、血圧計200は、被験者の手首wに装着される(図2,3参照)。そして、当該血圧測定の際には、血圧装置210の押圧機構212は、当該手首wに対して、所定の押圧力を印加する。そして、当該押圧力が印加されている一方で、血圧装置210の圧力センサ211は、一拍毎に、橈骨動脈TDの血圧を、検出する。なお、動きセンサ220の検出結果は、たとえば、血圧計200のメモリ250内に、時系列に格納される。同様に、圧力センサ211の測定結果は、当該メモリ250内に、時系列に格納される。
【0050】
次に、血圧計200の通信装置240は、測定データを、この例では血圧レベル変化検出装置300に対して、送信する。ここで、当該測定データは、動きセンサ220の検出結果および圧力センサ211の測定結果を、含む。血圧レベル変化検出装置300の通信装置310は、送信された測定データを、受信する。そして、血圧レベル変化検出装置300のメモリ340は、当該通信装置310が受信した測定データを、格納する。上述したように、一拍毎の血圧データは、測定時刻に関連付けられており、同様に、各動きデータも、測定時刻に関連付けられている。また、メモリ340は、圧力センサ211の測定結果を、時系列に格納する。また、当該メモリ340は、動きセンサ220の検出結果を、時系列に格納する。なお、血圧計200は、一旦、いずれかの病院端末400へ測定データを送信し、その病院端末400が血圧レベル変化検出装置300へ、上記測定データを送信してもよい。
【0051】
(2)血圧レベル変化検出装置300の動作
上記血圧計200を用いて、長時間(たとえば、1晩)に渡って血圧測定を連続的に実施した場合、測定中に、被験者の体動が生じることもある。そして、当該体動をきっかけに、被験者の心臓に対する血圧計200の高さ等が変化し、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化(血圧値が或るレベルから別のレベルへ急峻に変化する現象)が発生することもある。次に、血圧レベル変化検出装置300における血圧レベル変化検出の動作を、図6に示すフローチャートを用いて、具体的に説明する。
【0052】
なお、血圧の時系列データは、最高血圧値(または、収縮期血圧: systolic blood pressure)の時系列データおよび最低血圧値(または、拡張期血圧:diastolic blood pressure)の時系列データなどを含む。血圧の時系列データとして、最低血圧値の時系列データを採用してもよい。しかしながら、以下の説明では、例として、血圧の時系列データは、最高血圧値の時系列データとする。
【0053】
上述したように、血圧レベル変化検出装置300は、測定データを受信し、血圧レベル変化検出装置300のメモリ340は、当該測定データを格納する。ここで、測定データは、血圧計200の血圧装置210で測定されたデータ(一拍毎の血圧値)を含む。上記したように、一拍毎の血圧値は、当該一拍の血圧値の測定時点と関係付けられている。
【0054】
まず、図6のステップS1では、プロセッサ350の血圧の時系列データ生成部351は、メモリ340から、一拍毎の血圧値を、各々読み出し、読み出した一拍毎の血圧値から、最高血圧値を各々取得する。
【0055】
次に、血圧の時系列データ生成部351は、ステップS1で取得された、一拍の最高血圧値の各々を用いて、血圧(本実施の形態では、最高血圧)の時系列データBTD1を生成する(ステップS2)。最高血圧の時系列データBTD1は、一拍の最高血圧値の各々を、時系列に配置することにより生成される。図7は、生成される最高血圧の時系列データBTD1の例を、示している。ここで、図7の縦軸は血圧値(mmHg)であり、図7の横軸は時間である。
【0056】
次に、プロセッサ350の変化点検出部352は、最高血圧の時系列データBTD1において、変化点CP(図7参照)を検出する(ステップS3)。ここで、変化点とは、本実施の形態では、最高血圧値の傾向が急峻に変化する時刻を表す。具体的には、変化点とは、一拍毎の血圧値(本実施の形態では、最高血圧値)が、予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す。たとえば、変化点は、一般に知られている変化点抽出(Change Finder)メソッド、尤度比検定を用いる手法、AR(Auto-Regressive)モデルを利用する手法、あるいは、特開2018-147442に開示されている手法を用いて、検出される。
【0057】
以下の説明では、ステップS3において変化点検出部352は、変化点CPとして、図8に示すように、少なくとも第1の変化点CP1と第2の変化点CP2とを検出したとする。図8の縦軸は血圧値(mmHg)であり、図8の横軸は時間である。ここで、血圧計200による測定開始後、時系列的に最初に出現する検出点CPが、第1の検出点CP1である。また、第1の検出点CP1よりも後の検出点CPが、第2の検出点CP2である。換言すると、時系列的に、第1の検出点CP1の次に出現する検出点CPが、第2の検出点CP2である。
【0058】
次に、プロセッサ350の区間決定部353は、最高血圧の時系列データBTD1を、変化点CPに基づき、複数の連続した区間を決定し、当該最高血圧の時系列データBTD1を、当該区間により区分する(ステップS4)。上述したように、二つの検出点CP1,CP2が検出された場合には、区間決定部353は、最高血圧の時系列データBTD1を、第1の変化点CP1と第2の変化点CP2とによって、連続した第1の区間Z1、第2の区間Z2および第3の区間Z3に区分する(図8参照)。つまり、区間決定部353は、変化点CP1,CP2を境界として、第1の区間Z1、第2の区間Z2および第3の区間Z3を決定する。そして、区間決定部353は、当該区間Z1,Z2,Z3により、最高血圧の時系列データBTD1を、区分する。したがって、第1の区間Z1と第2の区間Z2との間(境界)に、第1の変化点CP1が存在し、第2の区間Z2と第3の区間Z3との間(境界)に、第2の変化点CP2が存在する。
【0059】
ここで、図8の例では、第1の区間Z1は、血圧計200による血圧測定開始時点から、当該測定の開始の後、最初に検出された第1の変化点CP1までの、最高血圧の時系列データBTD1の期間である。第2の区間Z2は、第1の変化点CP1の時点から、第2の変化点CP2までの、最高血圧の時系列データBTD1の期間である。そして、第3の区間Z3は、第2の変化点CP2の時点から、三番目の変化点(図示せず)まで(または、以後変化点が検出されない場合には、当該血圧測定の終了まで)の、最高血圧の時系列データBTD1の期間である。第1の区間Z1は、上記のとおり、測定開始直後から、最初の第1の変化点CP1が検出されるまでの期間である。したがって、当該第1の区間Z1は、血圧レベル変化が無い区間として規定され、以後の血圧レベル変化の判定の際に、基準として使用される。
【0060】
なお、上記では、第1の区間Z1が「基準」として採用されている。つまり、当該第1の区間Z1に対して、それ以降の区間Z2,Z3が、血圧レベル変化するか否かが判定される。しかしながら、第1の区間Z1を基準として採用せず、たとえば、外乱に強い手法で別途測定された血圧値を、基準として採用してもよい。当該外乱に強い手法で測定された血圧値として、たとえば従来の上腕式血圧計で測定された血圧値を、採用することができる。
【0061】
ステップS4の後、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS5以降の各ステップS5~S12を、第2の区間Z2以降の各区間Z2,Z3に対して実施する。そして、レベル変化・復帰判定部354は、各区間Z2,Z3において、それぞれ直前レベル変化無し区間との間の血圧レベル変化の有無を、判定する(ステップS8,S11)。
【0062】
まず、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間の先頭平均血圧レベルを取得する(ステップS5)。ここで、対象区間とは、血圧レベル変化の有無が判断されている区間のことであり、ここでの対象区間は、第2の区間Z2である。また、第2の区間Z2の先頭平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、第1の変化点CP1直後の連続した所定の長さの期間に渡る、最高血圧値の平均である。ここで、当該所定の期間は、可変的に、血圧レベル変化検出装置300において、予め設定されている。例として、当該所定の長さは、血圧の100拍分の長さを採用することができる。なお、ここでは、レベル変化・復帰判定部354が、第1の変化点CP1直後の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。当該平均の結果が、この例では、第2の平均血圧レベルABL2と表される。よって、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z2の先頭平均血圧レベルとして、第2の平均血圧レベルABL2を取得する(図8参照)。
【0063】
次に、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルを取得する(ステップS6)。ここで、直前レベル変化無し区間とは、対象区間より前の区間で、血圧レベル変化がないと判定された区間である。ここでの直前レベル変化無し区間は、対象区間Z2よりも前の区間であり、血圧レベル変化がないと把握できる区間である。図8の例では、対象区間Z2よりも前の区間は、第1の区間Z1のみだけであり、上述したように、第1の区間Z1は、血圧レベル変化がない規準区間である。したがって、図8の例において、対象区間が第2の区間Z2である場合には、直前レベル変化無し区間は、第1の区間Z1である。
【0064】
第1の区間Z1の末尾平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、第1の変化点CP1直前の連続した上記所定の長さ(この例では、100拍分)の期間に渡る、最高血圧値の平均である。ここでは、レベル変化・復帰判定部354は、第1の変化点CP1直前の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。当該平均の結果は、第1の平均血圧レベルABL1と表される。したがって、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルとして、第1の平均血圧レベルABL1を取得する(図8参照)。
【0065】
次に、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間の先頭平均血圧レベルと直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルとの差と、レベル閾値(これをABLthとする)とを、比較する(ステップS7)。ここで、レベル閾値ABLthは、5~50mmHgの値を採用してもよいが、これには限定されない。レベル閾値ABLthは、血圧レベル変化検出装置300のメモリ340内に予め格納されている。よって、レベル変化・復帰判定部354は、メモリ340から、当該レベル閾値ABLthを読み出す。レベル閾値ABLthは、変更可能な値であっても、固定値であってもよい。また、レベル閾値ABLthは、所定の統計分布等に基づいて、自動的に計算されてもよい。そして、当該計算されたものを、自動的に設定されてもよい。これらの「閾値」の設定に関する事項は、以下で説明する各「閾値」についても、同様に当てはまる。
【0066】
ここでは、対象区間Z2の先頭平均血圧レベルは、第2の平均血圧レベルABL2であり、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルは、第1の平均血圧レベルABL1である。よって、ステップS7において、レベル変化・復帰判定部354は、第2の平均血圧レベルABL2と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であるか否かを判断する。
【0067】
たとえば、レベル変化・復帰判定部354は、第1の平均血圧レベルABL1と第2の平均血圧レベルABL2との差が、レベル閾値ABLth以上であると、判断したとする(ステップS7で「YES」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、第2の区間Z2(第1の変化点CP1)について、血圧レベル変化有りと判断する(ステップS8)。そして、レベル変化・復帰判定部354は、第2の区間Z2に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化があることを、メモリ340に記録する(ステップS8)。
【0068】
他方、レベル変化・復帰判定部354は、第2の平均血圧レベルABL2と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth未満であると、判断したとする(ステップS7で「NO」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS9へ進む。
【0069】
ここで、以後の説明では、レベル変化・復帰判定部354により、第2の区間Z2(第1の変化点CP1)は、血圧レベル変化有りと判断されたと仮定する。このため、ステップS9~S12の処理については、後述する。
【0070】
次に、対象区間が第3の区間Z3である場合の、図6のステップS5以降の動作を説明する。
【0071】
まず、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間の先頭平均血圧レベルを取得する(ステップS5)。ここでの対象区間は、第3の区間Z3である。また、第3の区間Z3の先頭平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、第2の変化点CP2直後の連続した上記所定の長さ(この例では、100拍分)の期間に渡る、最高血圧値の平均である。レベル変化・復帰判定部354は、第2の変化点CP2直後の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。当該平均の結果は、第3の平均血圧レベルABL3である。したがって、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3の先頭平均血圧レベルとして、第3の平均血圧レベルABL3を取得する(図8参照)。
【0072】
次に、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルを取得する(ステップS6)。ここで、第2の区間Z2は血圧レベル変化有りと仮定しており、上記のとおり、第1の区間Z1は基準区間である。よって、直前レベル変化無し区間は、第1の区間Z1である。したがって、ステップS6において、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルとして、上記第1の平均血圧レベルABL1を取得したとする(図8参照)。
【0073】
次に、ステップS7では、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間の先頭平均血圧レベルと直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルとの差と、レベル閾値ABLthとを、比較する。ここでは、対象区間Z3の先頭平均血圧レベルは、第3の平均血圧レベルABL3であり、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルは、第1の平均血圧レベルABL1である。よって、ステップS7において、レベル変化・復帰判定部354は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であるか否かを判断する。
【0074】
ここで、レベル変化・復帰判定部354は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であると、判断したとする(ステップS7で「YES」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、第3の区間Z3(第2の変化点CP2)について、血圧レベル変化有りと判断する(ステップS8)。そして、レベル変化・復帰判定部354は、第3の区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化があることを、メモリ340に記録する(ステップS8)。
【0075】
他方、レベル変化・復帰判定部354は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth未満であると、判断したとする(ステップS7で「NO」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS9へと進む。
【0076】
この例では、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差は、レベル閾値ABLth未満であると仮定する。このため、ステップS9へ進む。
【0077】
ステップS9において、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間の末尾から、対象区間の先頭までの期間を、取得する。この例では、直前レベル変化無し区間Z1の末尾(第1の変化点CP1参照)から、対象区間Z3の先頭(第2の変化点CP2参照)までの期間は、期間T2である(図8参照)。したがって、ステップS9において、レベル変化・復帰判定部354は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾から、対象区間Z3の先頭までの期間として、期間T2を取得する。
【0078】
次に、ステップS10では、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS9で取得した期間T2が、期間閾値(これをTthとする)よりも大きいか否かを判断する。ここで、たとえば、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS9で取得した期間T2が、期間閾値Tth以下であると、判断したとする(ステップS10で「NO」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3(第2の変化点CP2)について、血圧レベル変化無しと判断する(ステップS70)。つまり、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間(第3の区間)Z3での血圧レベルが、第1の区間での血圧レベルに復帰したと、判定する。そして、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化がないことを(レベル変化が無い状態に復帰したこと)、メモリ340に記録する(ステップS11)。
【0079】
他方、レベル変化・復帰判定部354は、ステップS9で取得した期間T2が、期間閾値Tthより大きいと、判断したとする(ステップS10で「YES」)。この場合には、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3の血圧レベル変化状態を、直前レベル変化無し区間Z1と対象区間Z3との間に存する区間Z2(前区間と称する)の血圧レベル変化状態と同じにする(ステップS12)。したがって、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、前区間である第2の区間Z2の血圧レベル変化状態と同じものを、メモリ340に記録する(ステップS12)。ここで、上記のとおり、第2の区間Z2は、血圧レベル変化有りと仮定されている。したがって、ステップS12において、レベル変化・復帰判定部354は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化ありであることを、メモリ340に記録する。この理由は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾から、あまり長い期間が経過していれば、たとえ血圧レベル自身が復帰したとしても、正常な状態に戻ったとして扱うべきではないという考え方があるからである。
【0080】
図6に示したステップS5~S12は、最高血圧の時系列データBTD1に対して設定された、各区間に対して実施される。ここで、ステップS10で言及した期間閾値Tthとして、∞を採用した場合には、実質的にステップS71は実施されず、常にステップS70が実施される。
【0081】
(3) 病院端末400の動作
この例では、メモリ340に記録された血圧レベル変化有り区間(例えば、第2の区間Z2)、血圧レベル変化無し区間(例えば、第1の区間Z1,第3の区間Z3)を示すデータは、血圧の時系列データとともに、出力データとして、血圧レベル変化検出装置300から通信ネットワーク50を介して病院端末400へ送信される。その場合、病院端末400の表示装置420の画面に、血圧の時系列データと、その血圧の時系列データにおける血圧レベル変化有り区間、血圧レベル変化無し区間を示す表示を行う。
【0082】
したがって、医師等は、病院端末400の表示装置420の画面を見ることによって、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化有り区間(例えば、第2の区間Z2)、血圧レベル変化無し区間(例えば、第1の区間Z1,第3の区間Z3)を、把握できる。
【0083】
なお、血圧レベル変化検出装置300の表示装置320によっても、上記と同様の表示を行うことができる。
【0084】
また、血圧の時系列データと、その血圧の時系列データにおける血圧レベル変化有り区間、血圧レベル変化無し区間を示す血圧の時系列データは、表示装置320,420の画面だけでなく、例えば、プリンタによって紙面上で表示されてもよい。
【0085】
(効果)
本実施の形態に係る血圧レベル変化検出装置300では、変化点検出部352は、血圧の時系列データ(たとえば、最高血圧の時系列データBTD1)において、第1の変化点CP1を検出する。そして、レベル変化・復帰判定部354は、当該第1の変化点CP1前後において、第1の平均圧力レベルABL1と第2の平均圧力レベルABL2とを取得し、当該第1の平均血圧レベルABL1と当該第2の平均血圧レベルABL2との間の差が、予め定められたレベル閾値ABLth以上であるとき、第1の変化点CP1で血圧レベル変化が発生したと判定する。
【0086】
したがって、血圧レベル変化検出装置300によって、血圧の時系列データBTD1における血圧レベル変化を検出することができる。よって、医師等が自ら、血圧の時系列データBTD1から、血圧レベル変化を検出する必要がなくなるので、血圧の時系列データの解析のための労力、時間を節約することができる。
【0087】
本実施形態の血圧レベル変化検出装置300では、変化点検出部352は、変化点として、第1の変化点CP1よりも後の第2の変化点CP2を、検出する。当該血圧レベル変化検出装置300は、上記血圧の時系列データBTD1を、第1の変化点CP1と第2の変化点CP2とによって、連続した第1の区間Z1、第2の区間Z2および第3の区間Z3に区分する、区間決定部353を、さらに備える。
【0088】
当該血圧レベル変化検出装置300により、複数の変化点CP1,CP2を検出した場合に、当該変化点CP1,CP2によって、血圧の時系列データBTD1を複数の区間Z1,Z2,Z3に区分することができる。したがって、区間Z1,Z2,Z3同士の解析が容易に行われる。
【0089】
本実施形態の血圧レベル変化検出装置300では、第1の変化点CP1で血圧レベル変化が発生した場合において、レベル変化・復帰判定部354は、上記血圧の時系列データBTD1について、第2の変化点CP2直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して第3の平均血圧レベルABL3を取得する。そして、レベル変化・復帰判定部354は、第3の平均血圧レベルABL3と上記第1の平均血圧レベルABL1との間の差が、上記レベル閾値ABLth未満であるとき、第3の区間Z3での血圧レベルが第1の区間Z1での血圧レベルに復帰したと判定する。
【0090】
上記のように、当該血圧レベル変化検出装置300により、第3の区間Z3の血圧レベルが、第1の区間Z1の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。したがって、第3の区間Z3内に含まれる血圧データを、以後の解析対象として使用するか否かの判断も可能となる。
【0091】
本実施形態の血圧レベル変化検出装置300では、第1の区間Z1は、血圧の測定開始時点から、当該測定開始の後、最初に検出された上記第1の変化点CP1までの、血圧の時系列データBTD1の期間である。
【0092】
したがって、血圧レベル変化において、第1の区間Z1を基準とすることができる。当該第1の区間Z1に対して、第2の区間Z2において血圧レベル変化が発生したとき、当該血圧レベル変化検出装置300により、第3の区間Z3の血圧レベルが、基準である第1の区間Z1の血圧レベルに復帰したか否かを、判断できる。
【0093】
<実施の形態2>
実施の形態1において、最高血圧の時系列データBTD1に対して、変化点CP1,CP2を検出する動作を説明した(図6のステップS3)。本実施の形態では、変化点CP1,CP2の有効性が判断される。図9は、本実施の形態に係る血圧レベル変化検出装置300Aの概略構成を、例示している。図5図9との比較から分かるように、本実施の形態に係る血圧レベル変化検出装置300Aに含まれているプロセッサ350Aは、機能ブロックとして、変化点有効性判定部356を、さらに備える。その他の構成は、実施の形態1におけるものと同様である。
【0094】
当該変化点有効性判定部356は、血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、変化点CP1,CP2の有効性を判定する。ここで、血圧計200は、被験者に装着されている。したがって、体動信号として、血圧計200の動きセンサ220の測定結果を、採用することができる。一例として、動きセンサ220は、3軸の加速度センサである。次に、図10および図11を用いて、変化点CP1,CP2の有効性判断の動作を説明する。
【0095】
ここで、図10において、縦軸として、血圧値(mmHg)と加速度(G=9.8m/s)とが採用されており、横軸として、時間が採用されている。また、図10の例では、図8に例示した最高血圧の時系列データBTD1と、加速度の時系列データATD1とが、図示されている。ここで、最高血圧の時系列データBTD1と、加速度の時系列データATD1とは、時間軸が一致するように、図10の上段と下段に配置されている。また、加速度の時系列データATD1は、動きセンサ220による測定結果の時間的変化を示すデータである。本実施の形態では、動きセンサ220は、3軸の加速度センサであるので、3方向の加速度が測定される。しかし、図10では、図面簡略化のため、加速度の時系列データATD1として、y方向の加速度値のみを図示している。また、最高血圧の時系列データBTD1は、図6のステップS1,S2を経て、生成される。
【0096】
血圧レベル変化検出装置300Aは、血圧計200から送信された測定データを受信し、血圧レベル変化検出装置300A内のメモリ340は、当該測定データを格納する。ここで、測定データは、血圧計200の血圧装置210で測定された血圧値に加えて、血圧計200の動きセンサ220で測定されたデータ(動きデータ)を含む。変化点有効性判定部356は、メモリ340から、動きデータを、読み出す。各動きデータは、測定時刻に関連付けられている。変化点有効性判定部356は、各動きデータを、時系列に配置することにより、加速度の時系列データATD1を生成する。
【0097】
図11は、変化点CP1,CP2の有効性を判断するフローを示している。ここで、図11は、変化点CP1,CP2の有効性を判断する場合における、図6のステップS3のより具体的なフローであると、把握できる。以下では、図6のステップS3で、変化点CP1,CP2を検出した後の動作を、図11を参照して説明する
【0098】
上述したように、図6のステップS3において、変化点検出部352は、最高血圧の時系列データBTD1について、第1の変化点CP1と第2の変化点CP2とを、検出する(図10参照)。プロセッサ350Aの変化点有効性判定部356は、上記加速度の時系列データATD1の生成後、検出された各変化点CP1,CP2について、図11に示す各ステップS21~S25を実施する。ここで、有効性判断の対象となっている変化点を、対象変化点と称する。
【0099】
対象変化点が第1の変化点CP1である場合には、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP1の時刻TC1(図10参照)を取得する(ステップS21)。次に、変化点有効性判定部356は、ステップS21で取得した時刻TC1に最も近い、体動有りを示す信号の時刻を、取得する(ステップS22)。ここで、体動有りを示す信号の時刻とは、所定の大きさ以上の加速度値の測定時点である。図10の例では、加速度の時系列データATD1において、所定の大きさ以上の加速度値は、一つだけ観測されており、その加速度値が測定されたのは、時刻TA1である。したがって、ステップS22において、変化点有効性判定部356は、時刻TC1に最も近い、体動有りを示す信号の時刻として、時刻TA1を取得する。
【0100】
次に、ステップS23では、変化点有効性判定部356は、ステップS21で取得した時刻TC1とステップS22で取得した時刻TA1との差と、時間差閾値(これをTDthとする)とを、比較する。ここで、時間差閾値TDthは、血圧レベル変化検出装置300A内に、可変的に、予め設定されている。時間差閾値TDthとして、任意の値を採用することが可能である。以下の説明では、時間差閾値TDthは、この例では0~1秒の範囲内とする。
【0101】
具体的には、ステップS23では、変化点有効性判定部356は、時刻TC1と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であるか否かを判断する。図10の例では、時刻TC1と時刻TA1との差は、時間差閾値TDth(=0~1秒)よりも大きいことは、明らかである。よって、変化点有効性判定部356は、時刻TC1と時刻TA1との差が、時間差閾値TDthよりも大きいと判断し(ステップS23で「NO」)、対象変化点CP1が有効な変化点でないと判断する(ステップS24)。つまり、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP1を、変化点としないことを決定する(ステップS24)。その後、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP1に関する有効性判断処理を終了する。そして、変化点有効性判定部356は、対象変化点を、第2の変化点CP2に変更し、図11のステップS21以降の処理を再開する。
【0102】
対象変化点が第2の変化点CP2である場合には、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP2の時刻TC2(図10参照)を取得する(ステップS21)。次に、変化点有効性判定部356は、ステップS21で取得した時刻TC2に最も近い、体動有りを示す信号の時刻を、取得する(ステップS22)。ここで、図10の例では、加速度の時系列データATD1において、所定の大きさ以上の加速度値は、一つだけ観測されており、その加速度値が測定されたのは時刻TA1である。したがって、ステップS22において、変化点有効性判定部356は、時刻TC2に最も近い、体動有りを示す信号の時刻として、時刻TA1を取得する。ここで、時刻TC2と時刻TA1とは、同じ時刻であるとする。
【0103】
次に、変化点有効性判定部356は、ステップS21で取得した時刻TC2とステップS22で取得した時刻TA1との差と、時間差閾値TDthとを、比較する(ステップS23)。ここで、上述したように、時間差閾値TDthは、0~1秒とする。
【0104】
ステップS23では、変化点有効性判定部356は、時刻TC2と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であるか否かを判断する。上述したように、時刻TC2と時刻TA1とは同じ時刻であるので、時刻TC2と時刻TA1との差は、0(ゼロ)である。よって、変化点有効性判定部356は、時刻TC2と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であると判断する(ステップS23で「YES」)。そして、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP2が有効な変化点であると判断する(ステップS25)。つまり、変化点有効性判定部356は、対象変化点CP2を、変化点として採用することを決定する(ステップS25)。
【0105】
図6のステップS3で検出された全ての変化点CP1,CP2について、変化点有効性判定部356は、図11の各ステップS21~S25を実施する。その後、変化点有効性判定部356は、有効と判断された第2の変化点CP2を用いて、図6のステップS4の区間決定処理を実施する。
【0106】
(効果)
本実施形態の血圧レベル変化検出装置300Aは、変化点有効性判定部356を、さらに備える。当該変化点有効性判定部356は、血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、変化点検出部352が検出した変化点CP1,CP2の有効性を判定する。
【0107】
本実施形態の血圧レベル変化検出装置300Aにより、変化点検出部352が検出した変化点CP1,CP2を、精査することができ、無効と判断される検出点を排除することも可能となる。
【0108】
なお、上記各実施の形態では、プロセッサ260,350はCPUを含むものとしたが、これに限るものではない。プロセッサ260,350は、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの、論理回路(集積回路)を含むものとしてもよい。
【0109】
また、上述の各実施形態では、血圧計400はトノメトリ方式の血圧計であるものとしたが、これに限られるものではない。血圧計400は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて光を照射する発光素子と、その光の反射光(または透過光)を受光する受光素子とを備えて、動脈の脈波を容積の変化に基づいて連続的に血圧を検出してもよい(光電方式)。また、血圧計400は、被測定部位に当接された圧電センサを備えて、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈の圧力による歪みを電気抵抗の変化として検出し、この電気抵抗の変化に基づいて連続的に血圧を検出してもよい(圧電方式)。さらに、血圧計400は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて電波(送信波)を送る送信素子と、その電波の反射波を受信する受信素子とを備えて、動脈の脈波による動脈とセンサとの間の距離の変化を送信波と反射波との間の位相のずれとして検出し、この位相のずれに基づいて連続的に血圧を検出してもよい(電波照射方式)。また、血圧を算出することができる物理量を観測することができれば、これらの以外の方式を適用してもよい。
【0110】
以上の実施の形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
【符号の説明】
【0111】
100 血圧レベル変化検出システム
200 血圧計
300 血圧レベル変化検出装置
352 変化点検出部
353 区間決定部
354 レベル変化・復帰判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11