(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20220823BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B65G1/00 521D
B65G1/04 501
(21)【出願番号】P 2019028519
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039658(JP,A)
【文献】特開2013-026509(JP,A)
【文献】特開2010-077637(JP,A)
【文献】「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」,[on line],2013年09月13日,[2021/12/16検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20130913225827/https://www.amenity-technology.com/service/clean-room/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送装置を備えた物品搬送設備であって、
前記搬送装置が設置されている領域を囲む壁体と、前記壁体によって囲まれている内部空間に上方から下方に向かう気流を生成する内部気流生成部と、を備え、
前記壁体は、水平方向に沿う方向である第1方向に沿って前記内部空間と前記壁体の外部の空間である外部空間とを連通する通気部を備え、
前記通気部は、上下方向に並ぶ複数の整風板を備え、
前記第1方向における前記外部空間に対して前記内部空間が存在する方向を内部側、その反対側を外部側として、
複数の前記整風板の夫々は、
前記搬送装置の台車部と上下方向の位置が重複するように配置されていると共に、前記内部側の端部である内端部が前記外部側の端部である外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢で設置されている、物品搬送設備。
【請求項2】
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向として、
複数の前記整風板の夫々は、前記第2方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に構成され、
複数の前記揺動軸心が、前記第2方向に沿う第2方向視で上下方向に沿って一列に並ぶように配置されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記搬送装置は、規定の搬送方向に沿って物品を搬送するように構成され、
上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に対して直交する方向を横幅方向として、
前記壁体は、当該壁体における前記搬送方向の端部に前記横幅方向に沿って設置された端壁部を備え、
前記端壁部は、前記通気部を備えている、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記搬送装置は、規定の搬送方向に沿って物品を搬送するように構成され、
上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に対して直交する方向を横幅方向として、
前記壁体は、前記搬送装置を挟んで前記横幅方向の両側に設置された側壁部を備え、
前記側壁部は、前記通気部を備えている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記搬送装置及び前記壁体は、前記外部空間に上方から下方に向かう気流を生成する外部気流生成部を備えたクリーンルームに設置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向として、
複数の前記整風板の夫々における斜め上方側を向く面は、前記第2方向に沿う第2方向視で、前記斜め上方側に膨出する弧状に形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
複数の前記整風板の夫々は、前記内端部が前記外端部より上方側に位置するように傾斜した緩傾斜姿勢と、前記緩傾斜姿勢よりも前記内端部と前記外端部との上下方向の間隔を大きくした急傾斜姿勢とに姿勢変更可能に構成され、
複数の前記整風板の夫々の姿勢を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記台車部が前記整風板に近づく場合に、前記整風板を前記緩傾斜姿勢に姿勢変更し、前記台車部が前記整風板から遠ざかる場合に、前記整風板を前記急傾斜姿勢に姿勢変更する、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項8】
前記壁体は、上下方向に沿って前記内部空間と前記外部空間とを連通する連通部を更に備え、
前記搬送装置は、規定の搬送方向に沿って走行するように構成され、
前記連通部は、前記搬送装置よりも下側であって、上下方向視で前記搬送装置の走行軌跡と重複する位置に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送装置を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備として、例えば、特開2018-039658号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の物品搬送設備は、搬送装置(スタッカークレーン2)が設置されている領域を囲む壁体(K)と、壁体によって囲まれている内部空間に上方から下方に向かう気流を生成する内部気流生成部と、を備えている。壁体は、内部空間と壁体の外部の空間である外部空間とを水平方向に連通する通気部(排気部52)を備えている。
【0003】
特許文献1の物品搬送設備では、内部気流生成部によって内部空間の気体を上方から下方に向かって流動させた後、その気体を通気部から外部空間に排気することができる。このように、内部空間に気流を生成することで、搬送装置によって物品が搬送した場合に塵埃が発生したとしても、その塵埃を気体と共に下方に流動させて通気部から外部空間に排出することができ、内部空間において塵埃が飛散しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の物品搬送設備では、搬送装置によって通気部から離れるように物品を搬送した場合、物品と通気部との間の領域は陰圧となり、この領域に気体が流れる傾向となる。これによって、外部空間の気体が、通気部を通して内部空間に侵入して物品と通気部との間の領域に流れようとするため、外部空間の気体が内部空間に侵入し易いという問題がある。
【0006】
そこで、外部空間の気体が通気部を通して内部空間に侵入し難い物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、物品を搬送する搬送装置を備え、
前記搬送装置が設置されている領域を囲む壁体と、前記壁体によって囲まれている内部空間に上方から下方に向かう気流を生成する内部気流生成部と、を備え、前記壁体は、水平方向に沿う方向である第1方向に沿って前記内部空間と前記壁体の外部の空間である外部空間とを連通する通気部を備え、前記通気部は、上下方向に並ぶ複数の整風板を備え、前記第1方向における前記外部空間に対して前記内部空間が存在する方向を内部側、その反対側を外部側として、複数の前記整風板の夫々は、前記搬送装置の台車部と上下方向の位置が重複するように配置されていると共に、前記内部側の端部である内端部が前記外部側の端部である外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢で設置されている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、内部気流生成部によって生成された気流によって、内部空間の気体を上方から下方に向かって流動させることができ、その流動させた気体の一部又は全部を通気部から外部空間に排気させることができる。そして、このように、内部空間に気流を生成することで、搬送装置によって物品を搬送した場合に塵埃が発生したとしても、その塵埃は気体と共に下方に流動して通気部から外部空間に排出されるため、内部空間において塵埃が飛散することを防止できる。
【0009】
また、通気部に備えられている複数の整風板の夫々は、内端部が外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢となっている。そのため、上方から下方に向かって流動した内部空間の気体は、傾斜姿勢の整風板の上面によって案内されて斜め下方に向けて流動する。そのため、通気部において、内部空間から外部空間に向けて気流が生じやすくなる。通気部を通して外部空間から内部空間に侵入しようとする気体は、この気流によって妨げられる。よって、外部空間の気体が通気部を通って内部空間に侵入し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態における物品搬送設備の平面図
【
図2】第1の実施形態における物品搬送設備の正面図
【
図3】第1の実施形態における物品搬送設備の側面図
【
図6】第1の実施形態における緩傾斜姿勢の整風板を示す側面図
【
図7】第1の実施形態における急傾斜姿勢の整風板を示す側面図
【
図8】第2の実施形態における物品搬送設備の平面図
【
図9】第2の実施形態における物品搬送設備の正面図
【
図10】第3の実施形態における物品搬送設備の正面図
【
図11】第4の実施形態における物品搬送設備の平面図
【
図12】第4の実施形態における物品搬送設備の正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1の実施形態
物品搬送設備の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及から
図3に示すように、物品搬送設備100は、自動倉庫1と、自動倉庫1が設置されている領域を囲む壁体2と、自動倉庫1及び壁体2が設置されているクリーンルームRに上方から下方に向かう気流を生成する気流生成部3(
図2及び
図3参照)と、を備えている。
【0012】
自動倉庫1は、物品Wを搬送するスタッカークレーン6と、物品Wを収納する収納部7を複数備えた収納棚8と、を備えている。スタッカークレーン6は、走行経路Lを往復走行することで、規定の搬送方向Xに沿って物品Wを搬送する。収納棚8は、一部の収納部7を、処理装置Eに対して物品Wを搬入出するための搬入出部9として用いている。尚、スタッカークレーン6が、物品搬送設備100に備えられて物品Wを搬送する搬送装置Mに相当する。
【0013】
スタッカークレーン6は、物品Wを収納部7から搬入出部9に搬送すると共に物品Wを搬入出部9から収納部7に搬送する。処理装置Eは、物品Wを搬送する搬送部(図示せず)を備えている。処理装置Eは、搬送部によって物品Wを搬入出部9から処理装置E内に搬送すると共に物品Wを処理装置E内から搬入出部9に搬送する。本実施形態では、複数枚の板状体を収容した容器を物品Wとしている。処理装置Eは、板状体を使用して処理を行う装置である。例えば、処理装置Eは半導体処理装置であり、板状体は当該処理装置Eで用いられるフォトマスクである。
【0014】
図1に示すように、壁体2は、スタッカークレーン6が設置されている領域を囲んでいる。本実施形態では、壁体2は、スタッカークレーン6が設置されている領域に加えて、収納棚8が設置されている領域を囲んでいる。つまり、壁体2は、自動倉庫1が設置されている領域を囲んでいる。壁体2は、クリーンルームRを、壁体2によって囲まれている内部空間R1と、壁体2の外部の空間である外部空間R2と、に仕切っている。
【0015】
上下方向Zに沿う上下方向視で搬送方向Xに対して直交する方向を横幅方向Yとして、壁体2は、当該壁体2における搬送方向Xの端部に、横幅方向Yに沿って設置された端壁部11を備えている。端壁部11は、スタッカークレーン6を挟んで搬送方向Xの両側に設置されている。また、壁体2は、当該壁体2における横幅方向Yの端部に、搬送方向Xに沿って設置された側壁部12を備えている。側壁部12は、スタッカークレーン6を挟んで横幅方向Yの両側に設置されている。本実施形態では、端壁部11は、自動倉庫1(スタッカークレーン6及び収納棚8)を挟んで搬送方向Xの両側に設置され、側壁部12は、自動倉庫1(スタッカークレーン6及び収納棚8)を挟んで横幅方向Yの両側に設置されている。
【0016】
図4に示すように、壁体2は、水平方向に沿う第1方向Aに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する通気部13を備えている。本実施形態では、通気部13は、壁体2の下部に設置されている。詳しくは、通気部13は、壁体2の下端(下床部F1の上面)から上方側に規定高さまでの範囲に設置されている。本例では、通気部13は、後述する下床部F1と上床部F2との間の床下空間R3に面する高さ方向の領域の全体に亘って設置されている。また、通気部13は、端壁部11における横幅方向Yの全域に亘って設置され、側壁部12における搬送方向Xの全域に亘って設置されている。
【0017】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、端壁部11と側壁部12との双方に通気部13を備えている。端壁部11に備えられている通気部13は、第1方向Aが搬送方向Xとなっており、搬送方向Xに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する。側壁部12に備えられている通気部13は、第1方向Aが横幅方向Yとなっており、横幅方向Yに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する。
【0018】
スタッカークレーン6、収納棚8、及び壁体2は、クリーンルームRに設置されている。気流生成部3は、クリーンルームRの天井部Cに設置されている。本実施形態では、気流生成部3は、ファンとフィルター部とを筐体に組込んでユニット化されたファンフィルタユニット(以下、FFUと略称する)を複数設置して構成されている。
図2に示すように、クリーンルームRの床部は、下床部F1と、下床部F1よりも上方に配設された上床部F2とにより構成されている。上床部F2は、グレーチング床であり、上下方向Zに貫通する通気孔が複数形成されている。この上床部F2は、外部空間R2に設置されている。下床部F1と上床部F2との間に床下空間R3が形成されており、この床下空間R3は、外部空間R2の一部である。下床部F1は、通気孔を有さない床であり、本実施形態では、無孔状のコンクリート等の床材によって構成されている。
【0019】
気流生成部3は、内部空間R1の上部及び外部空間R2の上部に設置されているFFUによって構成されている。気流生成部3における内部空間R1の上部に設置されているFFUによって、内部空間R1に上方から下方に向けて気流を生成する内部気流生成部14が構成されている。また、気流生成部3における外部空間R2の上部に設置されているFFUによって、外部空間R2に上方から下方に向けて気流を生成する外部気流生成部15が構成されている。
【0020】
内部空間R1では、内部気流生成部14によって内部空間R1の上部に供給された空気が、内部空間R1を上方から下方に流動する。その下方に流動した空気は、通気部13から床下空間R3(外部空間R2の一部)に排気される。また、外部空間R2では、外部気流生成部15によって外部空間R2の上部に供給された空気が、外部空間R2を上方から下方に流動し、上床部F2を通気して床下空間R3まで流動する。このように、気流生成部3は、クリーンルームRに上方から下方に向かう気流を生成する。尚、壁体2は、天井部Cから下床部F1に亘って設置されている。
【0021】
図4、
図6及び
図7に示すように、通気部13は、上下方向Zに並ぶ複数の整風板17を備えている。以下、複数の整風板17について説明するが、第1方向Aにおける外部空間R2に対して内部空間R1が存在する方向を内部側A1、その反対側を外部側A2として説明する。また、上下方向視で第1方向Aに対して直交する方向を第2方向Bとして説明する。複数の整風板17の夫々は、第2方向Bに沿う揺動軸心P周りに揺動可能に構成されている。複数の揺動軸心Pは、第2方向Bに沿う第2方向視で上下方向Zに沿って一列に並ぶように配置されている。
【0022】
通気部13は、複数の整風板17の夫々を揺動軸心P周りに揺動させることで、通気量を調節可能に構成されている。説明を加えると、複数の整風板17の夫々は、例えば、
図5の実線及び
図6に示すように、内部側A1の端部である内端部17Aが外部側A2の端部である外端部17Bより上方側に位置するように傾斜した緩傾斜姿勢や、
図5の仮想線及び
図7に示すように、当該緩傾斜姿勢よりも内端部17Aと外端部17Bとの上下方向Zの間隔を大きくした急傾斜姿勢等に姿勢を変化可能に構成されている。本実施形態では、緩傾斜姿勢と急傾斜姿勢とは、いずれも、内端部17Aが外端部17Bより上方側に位置する傾斜姿勢である。また、複数の整風板17の夫々は、上記のような緩傾斜姿勢と急傾斜姿勢との間の傾斜角度となる姿勢や、緩傾斜姿勢よりも傾斜角度が緩い姿勢等にも変化可能となっている。
【0023】
そして、複数の整風板17の夫々を緩傾斜姿勢とした場合には、上下方向Zに隣接する整風板17同士の間隔が広くなり、通気部13の通気量が多くなる。これに対して、複数の整風板17の夫々を急傾斜姿勢とした場合には、上下方向Zに隣接する整風板17同士の間隔が狭くなり、通気部13の通気量が少なくなる。
【0024】
複数の整風板17を揺動させる構成としては、複数の整風板17を作業者の手作業で揺動させる構成でもよく、複数の整風板17を電動モータ等の駆動装置の動作によって揺動させる構成でもよい。また、駆動装置の動作によって揺動させる場合、スタッカークレーン6の動作に連動して揺動させるように、制御装置によって駆動装置を制御するようにしてもよい。例えば、制御装置は、スタッカークレーン6が整風板17に近づくようスタッカークレーン6を移動させる場合に、整風板17を緩傾斜姿勢として内部空間R1の空気が外部空間R2に排気し易くし、スタッカークレーン6が整風板17から遠ざかるようにスタッカークレーン6を移動させる場合に、整風板17を急傾斜姿勢として外部空間R2の空気が内部空間R1に侵入し難くするように、駆動装置を制御するようにしてもよい。
【0025】
図5に示すように、複数の整風板17における斜め上方を向く面は、第2方向視で、斜め上方に膨出する弧状に形成されている。本実施形態では、複数の整風板17における斜め上方を向く面は、外方側斜め上方を向いており、第2方向視で、外方側斜め上方に膨出する弧状に形成されている。また、図示の例では、複数の整風板17における斜め下方を向く面は、第2方向視で、斜め上方に凹入する弧状に形成されている。本実施形態では、複数の整風板17における斜め下方を向く面は、内方側斜め下方を向いており、第2方向視で、外方側斜め上方に凹入する弧状に形成されている。また、本例では、第2方向視で内端部17Aと外端部17Bとが並ぶ方向を長手方向として、複数の整風板17の夫々は、内端部17Aから外端部17Bに向かうに従って、第2方向視で長手方向に対して直交する方向の厚みが薄くなる形状に形成されている。
【0026】
図6及び
図7に示すように、複数の整風板17の夫々は、緩傾斜姿勢では、壁体2に対して第1方向Aの両側に突出し、急傾斜姿勢では、壁体2の第1方向Aの幅内に収まっている。また、本実施形態では、複数の整風板17を壁体2に対して直接に取り付けているが、複数の整風板17を枠材に取り付け、その枠材を壁体2に取り付けるようにしてもよい。この場合、複数の整風板17の夫々を、緩傾斜姿勢では、枠材に対して第1方向Aの両側に突出し、急傾斜姿勢では、枠材の第1方向Aの幅内に収まるようにしてもよい。
【0027】
2.第2の実施形態
次に、物品搬送設備の第2の実施形態について、
図8及び
図9を用いて説明する。本実施形態では、搬送装置Mを、自動倉庫1の外側において天井近くを走行する搬送台車21とした点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品搬送設備100について、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0028】
壁体2は、搬送装置Mとしての搬送台車21が設置されている領域を囲んでいる。壁体2は、天井部Cに吊り下げられた状態で設置されており、前述したような上床部F2(図示せず)に対して上方に離間している。壁体2は、端壁部11と側壁部12とに加えて、搬送台車21が設置されている領域の下方側を囲う下壁部22を備えている。この下壁部22は、上下方向Zに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する連通部23を備えている。連通部23には、FFUが備えられている。
【0029】
内部空間R1では、内部気流生成部14によって内部空間R1の上部に供給された空気は、内部空間R1を上方から下方に流動した後、通気部13から外部空間R2に向けて側方に排気されると共に連通部23から外部空間R2に向けて下方に排気される。また、外部空間R2では、外部気流生成部15によって外部空間R2の上部に供給された空気は、外部空間R2を上方から下方に流動する。
【0030】
3.第3の実施形態
次に、物品搬送設備の第3の実施形態について、
図10を用いて説明する。本実施形態では、搬送装置Mを、自動倉庫1の外側において床部近くを走行する搬送台車21とした点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品搬送設備100について、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0031】
壁体2は、搬送装置Mとしての搬送台車21が設置されている領域を囲んでいる。壁体2は、下床部F1上に設置されている。壁体2は、下床部F1に対して上方に離間していると共に、前述したような天井部C(図示せず)に対して下方に離間している。壁体2は、端壁部11と側壁部12とに加えて、搬送台車21が設置されている領域の下方側を囲う下壁部22と、搬送台車21が設置されている領域の上方側を囲う上壁部24と、を備えている。下壁部22は、上下方向Zに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する連通部23を備えている。上壁部24には、複数のFFUが設置されており、この複数のFFUによって内部気流生成部14が構成されている。尚、図示は省略するが、天井部Cに設置されているFFUによって外部気流生成部15が構成されている。下壁部22は、上下方向Zに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する連通部23を備えている。連通部23には、FFUが備えられている。
【0032】
内部空間R1では、内部気流生成部14によって内部空間R1の上部に供給された空気は、内部空間R1を上方から下方に流動した後、通気部13から外部空間R2に向けて側方に排気されると共に連通部23から外部空間R2に向けて下方に排気される。また、外部空間R2では、外部気流生成部15によって外部空間R2の上部に供給された空気は、外部空間R2を上方から下方に流動する。このように、気流生成部3は、クリーンルームRに上方から下方に向かう気流を生成する。
【0033】
4.第4の実施形態
次に、物品搬送設備の第4の実施形態について、
図11及び
図12を用いて説明する。本実施形態では、搬送装置Mを、自動倉庫1の外側において天井近くを一方向に周回走行する搬送台車21とした点で、上記第1の実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品搬送設備100について、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0034】
図11に示すように、搬送装置Mとしての搬送台車21は、走行経路Lを一方向に周回走行することで、規定の搬送方向Xに沿って物品Wを搬送する。壁体2は、搬送装置Mとしての搬送台車21が設置されている領域を囲んでいる。壁体2は、天井部Cに吊り下げられた状態で設置されており、前述したような上床部F2(図示せず)に対して上方に離間している。
【0035】
上下方向視で搬送方向Xに対して直交する方向を横幅方向Yとして、壁体2は、当該壁体2における横幅方向Yの端部に搬送方向Xに沿って設置された側壁部12を備えている。側壁部12は、搬送台車21に対して横幅方向Yの外側に設置されている。
【0036】
図12に示すように、壁体2は、側壁部12に加えて、搬送台車21が設置されている領域の下方側を囲う下壁部22を備えている。この下壁部22は、上下方向Zに沿って内部空間R1と外部空間R2とを連通する第1連通部26及び第2連通部27を備えている。第1連通部26は、上下方向視で搬送台車21が走行する走行軌跡と重なる範囲内に形成されている。この第1連通部26には、FFUが備えられている。第2連通部27は、上下方向視で搬送台車21の走行軌跡に囲まれる領域に形成されている。この第2連通部27は、パンチングメタル等の多孔状の板状部材によって構成されている。
【0037】
内部空間R1では、内部気流生成部14によって内部空間R1の上部に供給された空気は、内部空間R1を上方から下方に流動した後、通気部13から外部空間R2に向けて側方に排気されると共に第1連通部26及び第2連通部27から外部空間R2に向けて下方に排気される。また、外部空間R2では、外部気流生成部15によって外部空間R2の上部に供給された空気は、外部空間R2を上方から下方に流動する。
【0038】
5.その他の実施形態
次に、物品搬送設備100のその他の実施形態について説明する。
【0039】
(1)上記の実施形態では、複数の整風板17の夫々が揺動軸心P周りに揺動可能とされた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、複数の整風板17の夫々の傾斜角度が固定された構成でもよい。この場合の傾斜角度は、例えば、上述した緩傾斜姿勢(
図5の実線及び
図6に示す姿勢)に対応する角度で固定されていてもよい。
【0040】
(2)上記の実施形態では、複数の揺動軸心Pが、第2方向Bに沿う第2方向視で上下方向Zに沿って一列に並ぶように配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、複数の揺動軸心Pが、上下方向Zに対して傾斜した方向、又は、水平方向に沿って一列に並ぶように配置されていてもよい。或いは、複数の揺動軸心Pが、第2方向視で波形状の複数の頂点部にそれぞれ配置されていてもよい。これらの配置は、複数の整風板17が揺動軸心Pを有しない固定構造とされる場合でも同様である。
【0041】
(3)上記の第1から第3の実施形態では、端壁部11と側壁部12との夫々に通気部13を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、端壁部11と側壁部12とのうちの何れか一方のみに通気部13を備える構成としてもよい。
【0042】
(4)上記の第1の実施形態では、側壁部12を、収納棚8に対して横幅方向Yの外側に設置した。しかし、収納棚8における最下段の収納部7の下方において、側壁部12を、収納棚8の横幅方向Yの幅内や、横幅方向Yにおける搬送装置Mと収納棚8との間等に設置する構成でもよい。また、上述のように、側壁部における、収納棚8の横幅方向Yの幅内や搬送装置Mと収納棚8との間等に設置した部分に、通気部13を設けてもよい。
【0043】
(5)上記の実施形態では、搬送装置Mを、スタッカークレーン6や搬送台車21とする構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、搬送装置Mを、案内する軌道が設置されていない床部上を自由に走行可能な搬送車とした構成でもよい。また、搬送装置Mを、規定の搬送方向Xに沿って設置したベルトコンベヤ等のコンベヤ装置とした構成でもよい。
【0044】
(6)上記の実施形態では、物品搬送設備100を、外部気流生成部15を備えたクリーンルームRに設置する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、物品搬送設備100を、外部気流生成部15を備えないクリーンルームRに設置する構成や、清浄化されてない空間に設置する構成でもよい。
【0045】
(7)上記の実施形態では、複数の整風板の夫々における斜め上方を向く面を、第2方向視で、斜め上方側に膨出する形状とする構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、複数の整風板の夫々における斜め上方を向く面を、第2方向視で、平坦な形状や斜め下方側に凹入する形状とする構成でもよく、
【0046】
(8)上記の実施形態では、気体を、空気とする構成を例に説明した。しかし、そのような構成に限定されない。例えば、気体を、窒素の含有率が高い不活性気体等としてもよい。
【0047】
(9)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0048】
6.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0049】
物品搬送設備は、物品を搬送する搬送装置を備え、
前記搬送装置が設置されている領域を囲む壁体と、前記壁体によって囲まれている内部空間に上方から下方に向かう気流を生成する内部気流生成部と、を備え、前記壁体は、水平方向に沿う方向である第1方向に沿って前記内部空間と前記壁体の外部の空間である外部空間とを連通する通気部を備え、前記通気部は、上下方向に並ぶ複数の整風板を備え、前記第1方向における前記外部空間に対して前記内部空間が存在する方向を内部側、その反対側を外部側として、複数の前記整風板の夫々は、前記内部側の端部である内端部が前記外部側の端部である外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢で設置されている。
【0050】
本構成によれば、内部気流生成部によって生成された気流によって、内部空間の気体を上方から下方に向かって流動させることができ、その流動させた気体の一部又は全部を通気部から外部空間に排気させることができる。そして、このように、内部空間に気流を生成することで、搬送装置によって物品を搬送した場合に塵埃が発生したとしても、その塵埃は気体と共に下方に流動して通気部から外部空間に排出されるため、内部空間において塵埃が飛散することを防止できる。
【0051】
また、通気部に備えられている複数の整風板の夫々は、内端部が外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢となっている。そのため、上方から下方に向かって流動した内部空間の気体は、傾斜姿勢の整風板の上面によって案内されて斜め下方に向けて流動する。そのため、通気部において、内部空間から外部空間に向けて気流が生じやすくなる。通気部を通して外部空間から内部空間に侵入しようとする気体は、この気流によって妨げられる。よって、外部空間の気体が通気部を通って内部空間に侵入し難くすることができる。
【0052】
ここで、上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向として、複数の前記整風板の夫々は、前記第2方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に構成され、複数の前記揺動軸心が、前記第2方向に沿う第2方向視で上下方向に沿って一列に並ぶように配置されていると好適である。
【0053】
本構成によれば、複数の整風板の夫々を揺動軸心周りに揺動させることで、複数の整風板同士の隙間の大きさを変更することができ、通気部の通気量を調節することができる。また、揺動軸心が上下方向に沿って一列に並んでいるので、整風板の傾斜角度を変更した場合に、上下方向に隣接する他の整風板と干渉し難い。そのため、複数の整風板のそれぞれの傾斜角度の変更範囲を大きくすることができ、複数の整風板同士の隙間の大きさの調整範囲を広くすることが可能となっている。
【0054】
また、前記搬送装置は、規定の搬送方向に沿って物品を搬送するように構成され、上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に対して直交する方向を横幅方向として、前記壁体は、当該壁体における前記搬送方向の端部に前記横幅方向に沿って設置された端壁部を備え、前記端壁部は、前記通気部を備えていると好適である。
【0055】
通常、端壁部から離れる方向に物品を搬送する場合に、物品と壁端部との間が陰圧となる。しかし、本構成によれば、傾斜姿勢の整風板によって通気部において内部空間から外部空間への排気が促進されているため、端壁部に備えられた通気部を通して外部空間から内部空間に気体が侵入し難くすることができる。
【0056】
また、前記搬送装置は、規定の搬送方向に沿って物品を搬送するように構成され、上下方向に沿う上下方向視で前記搬送方向に対して直交する方向を横幅方向として、前記壁体は、前記搬送装置を挟んで前記横幅方向の両側に設置された側壁部を備え、前記側壁部は、前記通気部を備えていると好適である。
【0057】
通常、側壁部の所定の位置から離れる方向に走行する場合に、物品と側壁部の所定の位置との間が陰圧となる。本構成によれば、傾斜姿勢の整風板によって通気部において内部空間から外部空間への排気が促進されているため、側壁部に備えられた通気部を通して外部空間から内部空間に気体が侵入し難くすることができる。
【0058】
また、前記搬送装置及び前記壁体部は、前記外部空間に上方から下方に向かう気流を生成する外部気流生成部を備えたクリーンルームに設置されていると好適である。
【0059】
外部気流生成部が外部空間に気流を生成している場合、内部空間と外部空間との気圧差が小さくなり、外部空間の気体が通気部を通して内部空間に侵入し易くなる場合がある。しかし、本構成によれば、通気部に備えられている複数の整風板の夫々は、内端部が外端部より上方側に位置するように傾斜した傾斜姿勢となっている。そのため、上方から下方に向かって流動する外部空間の気体が、その流動方向を反転させて、傾斜姿勢の整風板の上面を斜め上方に向けて流動する可能性は低い。よって、外部空間の気体が通気部を通って内部空間に侵入し難くすることができる。
【0060】
また、上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に対して直交する方向を第2方向として、複数の前記整風板の夫々における斜め上方側を向く面は、前記第2方向に沿う第2方向視で、前記斜め上方側に膨出する弧状に形成されていると好適である。
【0061】
本構成によれば、整風板の斜め上方側を向く面を弧状に形成したことで、傾斜姿勢の整風板の上面は、内端部では下方への傾斜が緩く、外端部では下方への傾斜が急になっている。そのため、上方から下方に向かって流動した内部空間の気体が、整風板の上面の内端部で受け止められ易く、外端部では下方へ向けて排気され易くなっている。従って、通気部において、内部空間から外部空間に向けて気流を生じさせ易く、外部空間の気体が通気部を通って内部空間に侵入し難くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送装置を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
2:壁体
11:端壁部
12:側壁部
13:通気部
14:内部気流生成部
15:外部気流生成部
17:整風板
17A:内端部
17B:外端部
A:第1方向
A1:内部側
A2:外部側
B:第2方向
M:搬送装置
P:揺動軸心
R:クリーンルーム
R1:内部空間
W:物品
X:搬送方向
Y:横幅方向
Z:上下方向