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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】電池パック及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20220823BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20220823BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20220823BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220823BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220823BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20220823BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220823BHJP
   H01G 11/14 20130101ALN20220823BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01G11/12
H01G11/18
H01G11/78
H01M10/613
H01M10/6557
H01M50/209
H01G11/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019048728
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020149943
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】村木 俊博
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋彦
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127338(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008034886(DE,A1)
【文献】特開2013-173389(JP,A)
【文献】特開2000-268791(JP,A)
【文献】国際公開第2011/064956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6568
H01M 10/613
H01M 10/6557
H01M 50/20
H01G 11/12
H01G 11/78
H01G 11/18
H01G 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
筒状に形成され、その内部空間が両端において前記筐体の外部と接続されるように前記筐体を貫通し、前記内部空間と前記筐体内の空間との間を隔てる筒状部材と、
前記筒状部材に接触した状態で前記筐体内に収容された電池モジュールと、を備え
前記筒状部材は、前記筐体の上面及び下面を貫通しており、
前記筐体の前記上面には、環状の壁部が設けられており、前記上面及び前記壁部により貯水空間が画定されており、
前記筒状部材は、前記貯水空間に貯まった水が前記筒状部材内に流れ込むように、配置されている、電池パック。
【請求項2】
前記筒状部材における前記筐体の前記上面から突出した部分には、前記貯水空間に接続された開口部が形成されている、請求項に記載の電池パック。
【請求項3】
前記開口部は、前記筒状部材における前記電池モジュールとの接触面側に配置されている、請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
前記筒状部材は、鉛直方向に沿って延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記筒状部材は、蛇行して延在する蛇行部を有しており、
前記電池モジュールは、前記蛇行部に接触している、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記筒状部材は、角筒状に形成され、前記電池モジュールと面接触している、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記筒状部材は、前記電池モジュールの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面に接触している、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池モジュールは、前記筒状部材に固定されている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池パックと、
前記筒状部材内に冷却媒体を流す供給装置と、を備える、蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に複数の電池モジュールが収容されてなる電池パックが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された電池パックでは、電池モジュールの冷却のために、筐体に循環流路が接続されて筐体内と循環流路との間で空気が循環させられると共に、循環流路に外気が導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-122844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電池パックでは、筐体内に外気が流入する。外気は塩分や多量の水分を含む場合があり、その場合、筐体内において結晶化した塩が溶融したり、筐体内で結露が発生するおそれがある。塩の溶融や結露は電池モジュールの不具合の原因となり得ることから、信頼性の向上のためには、その抑制が求められる。
【0005】
本発明は、信頼性の高い電池パック及び蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池パックは、筐体と、筒状に形成され、その内部空間が両端において筐体の外部と接続されるように筐体を貫通し、内部空間と筐体内の空間との間を隔てる筒状部材と、筒状部材に接触した状態で筐体内に収容された電池モジュールと、を備える。
【0007】
この電池パックでは、筒状部材内を冷却媒体が流れることで、筒状部材に接触した電池モジュールを冷却することができる。特に、この電池パックでは、筒状部材が、その内部空間が両端において筐体の外部と接続されるように筐体を貫通し、内部空間と筐体内の空間との間を隔てているため、筐体の密閉性を確保しつつ、電池モジュールを冷却することができる。そのため、筐体内への外気の流入を抑制して、上述したような外気の流入に起因する不具合の発生を抑制することができる。よって、この電池パックでは、信頼性が高められている。
【0008】
本発明の電池パックでは、筒状部材は、水平方向に沿って延在していてもよい。或いは、筒状部材は、筐体の上面及び下面を貫通していてもよい。これらの場合、電池パックを好適に構成することができる。
【0009】
筐体の上面には、環状の壁部が設けられており、上面及び壁部により貯水空間が画定されており、筒状部材は、貯水空間に貯まった水が筒状部材内に流れ込むように、配置されていてもよい。この場合、貯水空間に貯まった水を利用して電池モジュールを冷却することができる。
【0010】
筒状部材における筐体の上面から突出した部分には、貯水空間に接続された開口部が形成されていてもよい。この場合、貯水空間に貯まった水を開口部から筒状部材内に流れ込ませることができる。
【0011】
開口部は、筒状部材における電池モジュールとの接触面側に配置されていてもよい。この場合、開口部から筒状部材内に流れ込んだ水が電池モジュール側を流れ易くなり、電池モジュールを一層効果的に冷却することができる。
【0012】
筒状部材は、鉛直方向に沿って延在していてもよい。この場合、筒状部材の剛性を確保することができる。
【0013】
筒状部材は、蛇行して延在する蛇行部を有しており、電池モジュールは、蛇行部に接触していてもよい。この場合、電池モジュールを一層効果的に冷却することができる。
【0014】
筒状部材は、角筒状に形成され、電池モジュールと面接触していてもよい。この場合、電池モジュールを一層効果的に冷却することができる。
【0015】
筒状部材は、電池モジュールの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面に接触していてもよい。この場合、電池モジュールをより一層効果的に冷却することができる。
【0016】
電池モジュールは、筒状部材に固定されていてもよい。この場合、電池モジュールを固定するためのフレーム等を省略して構成を簡易化することが可能となる。
【0017】
本発明の蓄電システムは、電池パックと、筒状部材内に冷却媒体を流す供給装置と、を備えている。この蓄電システムでは、上述した理由により、信頼性が高められている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、信頼性の高い電池パック及び蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る蓄電システムの電池パックを示す斜視図である。
図2】蓄電システムを示す断面図である。
図3】電池パックを示す側面図である。
図4】第1変形例の電池パックを示す側面図である。
図5】第2変形例の電池パックを示す斜視図である。
図6】第2変形例の電池パックを示す断面図である。
図7】第3変形例の電池パックを示す平面図である。
図8】第3変形例の電池パックを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語は、図示された状態に基づくものであり、使用態様を限定するものではない。
【0021】
図1図2及び図3に示される蓄電システム1は、電池パック2を備えている。電池パック2は、例えば、港湾においてコンテナの移載に使用されるAGV(無人搬送車)等の車両に搭載されており、当該車両の動力源として機能する。車両の重量は、例えば30トン程度である。
【0022】
電池パック2は、筐体3と、複数の筒状部材4と、複数の電池モジュール5と、を備えている。筐体3は、例えば、金属材料により直方体状に形成されている。筐体3は、一面に開口が設けられた本体部31と、本体部31の開口を塞ぐ平板状の蓋部32と、を有し、密閉されている。筐体3を構成する各壁部の厚さは、例えば2mm~3mm程度である。
【0023】
複数の筒状部材4は、互いに同一の形状を有する4つの筒状部材4A,4B,4C,4Dを含んでいる。各筒状部材4A~4Dは、例えば、熱伝導性の高い金属材料により、扁平な角筒状に形成されている。各筒状部材4A~4Dは、真っ直ぐに延在しており、延在方向にわたって一様な断面形状を有している。
【0024】
各筒状部材4A~4Dは、その内部空間Sが両端において筐体3の外部と接続されるように、筐体3を貫通している。各筒状部材4A~4Dは、筒状部材4A~4Dの内部空間Sと筐体3内の空間とを隔てている。すなわち、内部空間Sは、筐体3内の空間とは接続されていない。この例では、各筒状部材4A~4Dは、筐体3の本体部31における互いに向かい合う一対の側面31a間を貫通し、一対の側面31aの各々から僅かに突出している。各筒状部材4A~4Dの両端部は、筐体3の外部に露出している。
【0025】
本実施形態では、筒状部材4A~4Dは、互いに平行に延在している。上段に配置された一対の筒状部材4A,4Bは、筒状部材4A~4Dの延在方向D1に垂直な方向(電池モジュール5の長手方向D2)に沿って並んで配置されており、下段に配置された一対の筒状部材4C,4Dは、長手方向D2に沿って並んで配置されている。筒状部材4Aは、上下方向(延在方向D1及び長手方向D2に垂直な方向)から見た場合に、筒状部材4Cと重なっている。筒状部材4Bは、上下方向から見た場合に、筒状部材4Dと重なっている。筒状部材4A~4Dは、延在方向D1から見た場合に、上下方向及び長手方向D2の各々に関して対称に配置されている。電池パック2は、例えば、筒状部材4A~4Dが水平方向に沿って延在するように、車両に搭載されている。
【0026】
筒状部材4A~4Dは、例えば溶接により筐体3に固定されている。この固定の際には、例えば、本体部31の一対の側面31aの各々に、筒状部材4A~4Dに対応した複数の貫通孔を形成する。続いて、当該貫通孔に筒状部材4A~4Dをそれぞれ挿通し、筒状部材4A~4Dを当該貫通孔において溶接により筐体3に接合する。これにより、筒状部材4A~4Dと筐体3との間が封止され、筐体3が密閉される。
【0027】
複数の電池モジュール5は、互いに同一の構成を有する4つの電池モジュール5A,5B,5C,5Dを含んでいる。各電池モジュール5A~5Dは、略直方体状に形成され、筐体3内に収容されている。電池モジュール5A~5Dは、例えば、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。電池モジュール5A~5Dは、充放電時に発熱する。複数の電池モジュール5の総重量は、例えば4トン~6トン程度である。なお、電池モジュール5の数は限定されず、例えば数十個の電池モジュール5が筐体3内に収容されていてもよい。
【0028】
電池モジュール5A,5Bは、筒状部材4A,4B上に載置されている。この例では、電池モジュール5A,5Bの長手方向D2は、筒状部材4A,4Bの延在方向D1と直交しており、各電池モジュール5A,5Bは、筒状部材4A,4Bに跨がるように配置されている。電池モジュール5A,5Bは、例えばボルト及びナット等の固定部材(図示省略)により、筒状部材4A,4Bに固定されている。
【0029】
電池モジュール5A,5Bは、その底面5Aa,5Baにおいて筒状部材4A,4Bと面接触している。電池モジュール5Aの底面5Aaは、電池モジュール5Aの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。底面5Aaは、例えば、電池モジュール5A内部の熱伝導率に方向性がある場合において、最も熱伝導率が高い方向の表面である。或いは、底面5Aaは、電池モジュール5Aにおいて放熱部材が配置された表面であってもよい。同様に、電池モジュール5Bの底面5Baは、電池モジュール5Bの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。
【0030】
電池モジュール5C,5Dは、筒状部材4C,4D上に載置されている。この例では、電池モジュール5C,5Dの長手方向D2は、筒状部材4C,4Dの延在方向D1と直交しており、各電池モジュール5C,5Dは、筒状部材4C,4Dに跨がるように配置されている。電池モジュール5C,5Dは、例えばボルト及びナット等の固定部材(図示省略)により、筒状部材4C,4Dに固定されている。
【0031】
電池モジュール5C,5Dは、その底面5Ca,5Daにおいて筒状部材4C,4Dと面接触している。電池モジュール5Cの底面5Caは、電池モジュール5Cの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。同様に、電池モジュール5Dの底面5Daは、電池モジュール5Dの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。
【0032】
蓄電システム1は、筒状部材4A~4D内(内部空間S)に冷却媒体を流す供給装置50を更に備えている。この例では、供給装置50は、筒状部材4A~4D内に冷却媒体として空気Aを流すファン(送風機)である。供給装置50は、例えば常時駆動され、筒状部材4A~4Dの一端から他端に向けて空気Aを流している。
[作用及び効果]
【0033】
以上説明した電池パック2では、筒状部材4内に冷却媒体として空気Aを流すことで、筒状部材4に接触した電池モジュール5を冷却することができる。特に、電池パック2では、筒状部材4が、その内部空間Sが両端において筐体3の外部と接続されるように筐体3を貫通し、内部空間Sと筐体3内の空間との間を隔てているため、筐体3の密閉性を確保しつつ、電池モジュール5を冷却することができる。そのため、筐体3内への外気の流入を抑制して、上述したような外気の流入に起因する不具合の発生を抑制することができる。よって、電池パック2では、信頼性が高められている。また、電池パック2では、電池モジュール5を効果的に冷却することができるため、電池モジュール5の温度を適切な温度範囲内に管理することができる。その結果、電池モジュール5の劣化や故障を抑制することができ、電池モジュール5の長寿命化を図ることができる。更に、電池パック2では、外気を除湿することなく用いることができるため、例えば外気を除湿した上で筐体3内に流入させる場合と比べて、低コスト化を図ることができる。
【0034】
筒状部材4が、水平方向に沿って延在している。これにより、筒状部材4に対する電池モジュール5の固定作業を容易化することができる。
【0035】
筒状部材4が、角筒状に形成され、電池モジュール5と面接触している。これにより、電池モジュール5を一層効果的に冷却することができる。
【0036】
筒状部材4が、電池モジュール5の複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面(5Aa,5Ba,5Ca,5Da)に接触している。これにより、電池モジュール5を一層効果的に冷却することができる。
【0037】
電池モジュール5が、筒状部材4に固定されている。これにより、電池モジュール5を固定するためのフレーム等を筐体3内に設ける必要がないため、構成を簡易化することができる。すなわち、電池パック2では、筒状部材4が、冷却媒体が流れる流路を形成する流路形成部材としての役割と、電池モジュール5が固定される固定部材(棚、フレーム)としての役割を兼ねている。
[変形例]
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、図4に示される第1変形例のように電池パック2が構成されていてもよい。第1変形例では、上段に3つの筒状部材4A,4B,4Eが並んで配置されている。長手方向D2における電池モジュール5の中間部に接触した筒状部材4Eの断面積は、長手方向D2における電池モジュール5の端部に接触した筒状部材4A,4Bの断面積よりも大きい。これにより、単位時間当たりに筒状部材4E内を流れる空気Aの量は、単位時間当たりに各筒状部材4A,4B内を流れる空気Aの量よりも大きくなる。このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。また、第1変形例では、電池モジュール5の端部と比べて中間部に熱が溜まり易い場合に、電池モジュール5の中間部を効果的に冷却することができる。なお、第1変形例では、筒状部材4Eに供給される空気Aの量が各筒状部材4A,4Bに供給される空気Aの量よりも多くなるように、供給装置50が制御されてもよい。
【0039】
供給装置50は、筒状部材4内に冷却媒体として水等の液体を流す装置であってもよい。この場合、冷却媒体の熱容量を高くすることができ、電池モジュール5を効果的に冷却することができる。或いは、供給装置50が省略されてもよい。この場合、車両の走行時に走行風が筒状部材4内に冷却媒体として流れるように、電池パック2が車両に搭載されてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様に、電池モジュール5を冷却することができる。供給装置50は、筒状部材4A~4D内に流す冷却媒体を冷却する冷却機を備えていてもよい。
【0040】
筒状部材4は、円筒状であってもよいし、電池モジュール5と線接触してもよい。筒状部材4は、筒状であればよく、任意の形状に形成されてよい。筒状部材4は、筐体3から突出していなくてもよく、例えば、筒状部材4の端部が筐体3の外面と面一になっていてもよいし、筒状部材4の端部が筐体3の外面よりも内側に位置していてもよい。筒状部材4の数は限定されず、4つ以上設けられていてもよい。電池モジュール5の数は限定されず、4つ以上設けられていてもよい。筒状部材4の内面又は外面には、冷却性能を高めるために、フィン又は凹凸が設けられていてもよい。
【0041】
上記実施形態では、電池モジュール5の長手方向D2が筒状部材4の延在方向D1と直交していたが、電池モジュール5の長手方向D2が筒状部材4の延在方向D1と平行であってもよい。この場合、例えば、1つの筒状部材4上に1つの電池モジュール5を配置することができ、電池モジュール5を均一に冷却することが可能となる。上記実施形態では、筒状部材4が電池モジュール5の底面に接触していたが、筒状部材4は、電池モジュール5の底面以外に、例えば側面又は上面に接触していてもよい。筒状部材4は、必ずしも電池モジュール5に固定されていなくてもよい。
【0042】
図5及び図6に示される第2変形例のように電池パック2が構成されていてもよい。第2変形例では、筒状部材4A~4Dは、鉛直方向(上下方向)に沿って真っ直ぐに延在し、筐体3の本体部31の上面31b及び下面31cを貫通している。上面31bには、環状壁部31dが設けられている。環状壁部31dは、鉛直方向から見た場合に、筒状部材4A~4Dを囲むように環状に延在している。この例では、環状壁部31dは、本体部31を構成する側面が鉛直上側に延長されることにより形成されており、鉛直方向から見た場合に四角形状を呈している。上面31b及び環状壁部31dは、貯水空間Rを画定している。貯水空間Rは、上側が開放された直方体状の空間である。筐体3は、角筒状のフレーム部材33を複数有している。フレーム部材33は、鉛直方向に沿って真っ直ぐに延在し、筐体3を鉛直方向に貫通している。
【0043】
筒状部材4Aにおける上面31bから突出した突出部分には、貯水空間Rに接続された開口部41が形成されている。この例では、開口部41は、突出部分の一面の全体が切り欠かれることにより形成された矩形状の切欠きである。環状壁部31dの高さと筒状部材4Aの突出部分の高さは等しくなっており、開口部41の全体が貯水空間Rに接続されている。筒状部材4Aにおいて、開口部41が形成された一面は、電池モジュール5Aが固定された面である。すなわち、開口部41は、筒状部材4Aにおける電池モジュール5Aとの接触面側に配置されている。同様に、筒状部材4B~4Dにおける上面31bから突出した突出部分の各々には、貯水空間Rに接続された開口部41が形成されている。
【0044】
電池モジュール5A,5Bは、例えば、ボルト及びナット等の固定部材(図示省略)により、筒状部材4A,4Bに固定されている。電池モジュール5A,5Bは、その側面5Ab,5Bbにおいて筒状部材4A,4Bと面接触している。第2変形例では、電池モジュール5Aの側面5Abが、電池モジュール5Aの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。同様に、電池モジュール5Bの側面5Bbが、電池モジュール5Bの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。
【0045】
電池モジュール5C,5Dは、例えば、ボルト及びナット等の固定部材(図示省略)により、筒状部材4C,4Dに固定されている。電池モジュール5C,5Dは、その側面5Cb,5Dbにおいて筒状部材4C,4Dと面接触している。第2変形例では、電池モジュール5Cの側面5Cbが、電池モジュール5Cの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。同様に、電池モジュール5Dの側面5Dbが、電池モジュール5Dの複数の表面のうち、最も熱伝導率の高い表面である。
【0046】
第2変形例の電池パック2は、雨水が貯水空間Rに直接に又は間接に流れ込むように、車両に搭載されている。そのため、貯水空間Rには、雨水が流れ込んで貯留される。貯水空間R内の雨水は、開口部41から筒状部材4A~4D内(内部空間S)に流れ込む。筒状部材4内を冷却媒体としての雨水が流れることで、筒状部材4に接触した電池モジュール5を冷却することができる。その結果、第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。
【0047】
また、第2変形例では、筒状部材4における電池モジュール5との接触面側に開口部41が配置されているため、開口部41から筒状部材4内に流れ込んだ水が電池モジュール5側を流れ易くなり(例えば、電池モジュール5側の面を伝うように流れ易くなり)、電池モジュール5を一層効果的に冷却することができる。また、筒状部材4が鉛直方向に沿って真っ直ぐに延在しているため、筒状部材4の剛性を確保することができる。その結果、筒状部材4によって電池モジュール5を好適に支持することができる。なお、第2変形例において、開口部41は、筒状部材4の突出部分に形成された孔であってもよい。開口部41の形状を調整することにより、開口部41から筒状部材4に流れ込む水の流量を調整することができる。供給装置により、貯水空間Rに冷却媒体として水等の液体が供給されてもよい。
【0048】
図7及び図8に示される第3変形例のように電池パック2構成されていてもよい。第3変形例では、筐体3は、角筒状のフレーム部材33を複数有している。フレーム部材33は、鉛直方向に沿って真っ直ぐに延在し、筐体3を鉛直方向に貫通している。筒状部材4は、フレーム部材33と電池モジュール5との間の領域P内に配置されている。筒状部材4は、蛇行して延在する蛇行部42を有している。図8には、蛇行部42の経路の例が矢印Bにより示されている。電池モジュール5は、蛇行部42に接触している。
【0049】
このような第3変形例においても、筒状部材4内を冷却媒体としての雨水が流れることで、筒状部材4に接触した電池モジュール5を冷却することができる。その結果、上記実施形態と同様に、信頼性を高めることができる。更に、筒状部材4が蛇行部42を有しているため、筒状部材4と電池モジュール5との間の伝熱経路を長くすることができ、電池モジュール5を一層効果的に冷却することができる。なお、上段に配置された電池モジュール5に接触する蛇行部42と、下段に配置された電池モジュール5に接触する蛇行部42とが、別に設けられていてもよい。この場合、下流側において冷却媒体の温度が上昇して冷却性能が低下する事態を抑制することができる。
【0050】
上述したとおり、上記実施形態又は各変形例において、車両の走行時に走行風が筒状部材4内に冷却媒体として流れるように、電池パック2が車両に搭載されてもよい。この場合、筒状部材4内に走行風が流れ込むように、筒状部材4の端部にガイドが設けられてもよい。これにより、走行風が筒状部材4内に流れ込み易くなり、電池モジュール5を効果的に冷却することができる。上記実施形態及び各変形例が適宜組み合わされてもよい。上記実施形態及び各変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…蓄電システム、2…電池パック、3…筐体、31b…上面、31c…下面、31d…環状壁部、4(4A~4D)…筒状部材、41…開口部、42…蛇行部、5(5A~5D)…電池モジュール、50…供給装置、S…内部空間、R…貯水空間。
図1
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図8