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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】機器用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/502 20060101AFI20220823BHJP
   H01R 13/405 20060101ALI20220823BHJP
   H01R 13/533 20060101ALN20220823BHJP
   H01R 43/24 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
H01R13/502 Z
H01R13/405
H01R13/533 A
H01R43/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019128383
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021015682
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 唯
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099274(JP,A)
【文献】特開2007-005153(JP,A)
【文献】特開2012-089298(JP,A)
【文献】特開2019-093634(JP,A)
【文献】特開2012-174882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/502
H01R 13/405
H01R 13/533
H01R 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中子と前記第1中子と合体した第2中子とを含む中子と、
前記中子をインサート部品としてモールド成形されたハウジングと、
を備え、
前記第1中子は第1端子と前記第1端子を覆う第1樹脂部とを含み、
前記第2中子は第2端子と前記第2端子を覆う第2樹脂部とを含み、
前記中子及び前記ハウジングには通気路が形成されており、
前記通気路は、少なくとも前記第1樹脂部における前記第2樹脂部との対向面に形成された溝と、前記溝の長手方向に沿って一方側に形成された一方出口と、前記溝の長手方向に沿って他方側に形成された他方出口とを含み、
前記ハウジングには、前記対向面に対して前記対向面の広がる方向に沿って離れた位置に樹脂吐出用のゲート跡が形成されており、
前記中子には、前記ゲート跡に対応する位置において前記対向面を横切る突出片が設けられている、機器用コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の機器用コネクタであって、
前記第1樹脂部には前記溝の長手方向に沿って前記溝につながる凹部が形成され、
前記凹部は、前記溝よりも大きく、前記溝に対して前記一方出口側に設けられ、
前記第2樹脂部に前記凹部に嵌る凸部が設けられ、
前記凸部に貫通孔が形成され、
前記貫通孔は前記溝と連通し前記通気路の一部をなしている、機器用コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の機器用コネクタであって、
前記第1樹脂部には前記溝のうち前記凹部につながる部分に前記溝の上部開口を覆うカバーが設けられている、機器用コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の機器用コネクタであって、
前記第1樹脂部には、前記溝の底部のうち前記溝の長手方向に沿った他方側部分の位置に通気孔が形成され、
前記通気孔が前記他方出口につながっており、
前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部のうち一方に前記溝の周囲の位置にリブが設けられ、他方に前記リブが収まるリブ収容溝が形成されており、
前記リブは、前記溝の両側方において前記突出片よりも前記溝に近い側に前記溝に沿って延びるように設けられた2つの縦リブと、前記他方出口側で前記2つの縦リブをつなぐ第1横リブとを有する、機器用コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の機器用コネクタであって、
前記リブは、前記一方出口側で前記2つの縦リブをつなぐ第2横リブをさらに有する、機器用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、第1の一次成形体と第2の一次成形体とが組み合わされた中子がインサート部品としてモールド成形された機器用コネクタを開示している。特許文献1において第2の一次成形体のうち第1の一次成形体に対向する面に溝が形成されて通気口とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-99274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように2つの部品が合体した中子がインサート部品としてモールド成形される際、溶融樹脂が通気路により流入しにくい技術が望まれている。
【0005】
そこで、2つの部品が合体した中子がインサート部品としてモールド成形される際、溶融樹脂が通気路により流入しにくい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の機器用コネクタは、第1中子と前記第1中子と合体した第2中子とを含む中子と、前記中子をインサート部品としてモールド成形されたハウジングと、を備え、前記第1中子は第1端子と前記第1端子を覆う第1樹脂部とを含み、前記第2中子は第2端子と前記第2端子を覆う第2樹脂部とを含み、前記中子及び前記ハウジングには通気路が形成されており、前記通気路は、少なくとも前記第1樹脂部における前記第2樹脂部との対向面に形成された溝と、前記溝の長手方向に沿って一方側に形成された一方出口と、前記溝の長手方向に沿って他方側に形成された他方出口とを含み、前記ハウジングには、前記対向面に対して前記対向面の広がる方向に沿って離れた位置に樹脂吐出用のゲート跡が形成されており、前記中子には、前記ゲート跡に対応する位置において前記対向面を横切る突出片が設けられている機器用コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、2つの部品が合体した中子がインサート部品としてモールド成形される際、溶融樹脂が通気路により流入しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる機器用コネクタを示す平面図である。
図2図2は実施形態1にかかる機器用コネクタを示す側面図である。
図3図3図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は第1中子を示す斜視図である。
図5図5は第1中子を示す平面図である。
図6図6は第2中子を示す斜視図である。
図7図7は第2中子を示す平面図である。
図8図8は変形例にかかる第1中子を示す平面図である。
図9図9は変形例にかかる第2中子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の機器用コネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)第1中子と前記第1中子と合体した第2中子とを含む中子と、前記中子をインサート部品としてモールド成形されたハウジングと、を備え、前記第1中子は第1端子と前記第1端子を覆う第1樹脂部とを含み、前記第2中子は第2端子と前記第2端子を覆う第2樹脂部とを含み、前記中子及び前記ハウジングには通気路が形成されており、前記通気路は、少なくとも前記第1樹脂部における前記第2樹脂部との対向面に形成された溝と、前記溝の長手方向に沿って一方側に形成された一方出口と、前記溝の長手方向に沿って他方側に形成された他方出口とを含み、前記ハウジングには、前記対向面に対して前記対向面の広がる方向に沿って離れた位置に樹脂吐出用のゲート跡が形成されており、前記中子には、前記ゲート跡に対応する位置において前記対向面を横切る突出片が設けられている、機器用コネクタである。突出片がゲートから対向面を隠すことができることによって、ゲートから通気路までの樹脂の侵入経路が長くなり、通気路に樹脂が侵入しにくくなる。
【0012】
(2)前記第1樹脂部には前記溝の長手方向に沿って前記溝につながる凹部が形成され、前記凹部は、前記溝よりも大きく、前記溝に対して前記一方出口側に設けられ、前記第2樹脂部に前記凹部に嵌る凸部が設けられ、前記凸部に貫通孔が形成され、前記貫通孔は前記溝と連通し前記通気路の一部をなしていてもよい。これにより、通気路の一方出口側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0013】
(3)前記第1樹脂部には前記溝のうち前記凹部につながる部分に前記溝の上部開口を覆うカバーが設けられていてもよい。これにより、カバーによって通気路が覆われ、通気路の一方出口側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0014】
(4)前記第1樹脂部には、前記溝の底部のうち前記溝の長手方向に沿った他方側部分の位置に通気孔が形成され、前記通気孔が前記他方出口につながっており、前記第1樹脂部及び前記第2樹脂部のうち一方に前記溝の周囲の位置にリブが設けられ、他方に前記リブが収まるリブ収容溝が形成されており、前記リブは、前記溝の両側方において前記突出片よりも前記溝に近い側に前記溝に沿って延びるように設けられた2つの縦リブと、前記他方出口側で前記2つの縦リブをつなぐ第1横リブとを有していてもよい。これにより、通気路の側方及び他方出口側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0015】
(5)前記リブは、前記一方出口側で前記2つの縦リブをつなぐ第2横リブをさらに有していてもよい。これにより、通気路の一方出口側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の機器用コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
[実施形態]
以下、実施形態にかかる機器用コネクタについて説明する。図1は実施形態1にかかる機器用コネクタ10を示す平面図である。図2は実施形態1にかかる機器用コネクタ10を示す側面図である。図3図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
【0018】
機器用コネクタ10は、一端部と他端部とが異なる接続相手に接続される。機器用コネクタ10における一端部は、第1の接続相手に接続される。機器用コネクタ10における他端部は、第2の接続相手に接続される。第1の接続相手は第1空間80に配される。第2の接続相手は第2空間82に配される。第1空間80及び第2空間82は仕切壁84によって気密かつ液密に仕切られている。機器用コネクタ10は仕切壁84に嵌め込まれる。機器用コネクタ10における一端部は第1空間80に配される。機器用コネクタ10における他端部は第2空間82に配される。
【0019】
機器用コネクタ10には通気路12が形成されている。機器用コネクタ10は、中子20と中子20を覆うハウジング70とを備える。通気路12は、中子20及びハウジング70の内部に形成されている。通気路12は、第1空間80及び第2空間82をつなぐ。第1空間80及び第2空間82が通気路12によって気体が通過可能に連通する。これにより、第1空間80及び第2空間82に気圧差が生じにくくなる。なお通気路12には、通気膜が設けられていてもよい。通気膜は気体を通過させつつ液体の通過を抑制する部材である。通気膜は通気路12の一部を塞ぐように設けられるとよい。
【0020】
通気路12は、少なくとも一方出口13と他方出口14と後述する溝37とを含む。一方出口13は、溝37の長手方向に沿って一方側に形成された通気路12の出口である。一方出口13は、通気路12における第1空間80側の出口である。他方出口14は、溝37の長手方向に沿って他方側に形成された通気路12の出口である。他方出口14は、通気路12における第2空間82側の出口である。
【0021】
<中子20>
中子20は第1中子30と第2中子50とを含む。第1中子30及び第2中子50は別に成形される。機器用コネクタ10において第1中子30と第2中子50とは合体している。中子20には、突出片66が設けられている。また中子20には突出片66が収まる収容凹部46が形成されている。ここでは第1中子30に収容凹部46が形成され、第2中子50に突出片66が設けられている。突出片66及び収容凹部46について詳しくは後述する。
【0022】
<第1中子30>
図4は第1中子30を示す斜視図である。図5は第1中子30を示す平面図である。図5は、第1中子30が対向面35a側から観察された図である。
【0023】
第1中子30は第1端子32と第1樹脂部34とを含む。第1端子32は1本又は複数本(ここでは4本)設けられている。第1樹脂部34は第1端子32を覆う。第1樹脂部34は第1端子32をインサート部品としてモールド成形されている。
【0024】
通気路12の一部をなす上記溝37は、第1樹脂部34に形成されている。溝37は、第1樹脂部34のうち後述する第2樹脂部54との対向面35aに形成されている。溝37は第1端子32を避けた位置に形成されている。溝37の深さ寸法は第1端子32に達するような深さ寸法とされている。対向面35aは、第1樹脂部34及び第2樹脂部54が合体する際に、合わさる面である。以下では機器用コネクタ10において対向面35aに沿って広がる2方向がX方向及びY方向とされる。また対向面35aに対する法線方向がZ方向とされる。溝37はX方向に沿って延びる。第1中子30及び第2中子50はZ方向に合体する。対向面35aはZ方向正の向きを向く。なお、図4及び図5に示されるX方向、Y方向及びZ方向は、第1中子30が機器用コネクタ10に組み込まれたときの方向に応じた方向とされている。以下の各図でも同様である。
【0025】
第1樹脂部34は第1部分35と第2部分36とを有する。第1部分35は対向面35aを有する部分である。第1部分35は、Z方向に偏平な直方体状に形成されている。第1部分35におけるX方向及びY方向に沿った寸法がZ方向に沿った寸法よりも大きい。第2部分36は、第1部分35に対して一端側(一方出口13側)に連なる。第2部分36は、X方向に偏平な板状とされている。第2部分36におけるY方向及びZ方向に沿った寸法がX方向に沿った寸法よりも大きい。第2部分36は対向面35aに対して側方及び反対方向に延びる。
【0026】
第1端子32の一端部(第1空間80側端部)は第2部分36の主面から法線方向(X方向負の向き)に突出している。第1端子32の他端部(第2空間82側端部)は第1部分35における他端側端面から溝37の長手方向と同じ方向(X方向正の向き)に突出している。第1端子32の中間部は、途中で曲がりつつ第1部分35及び第2部分36に収められている。第1端子32の中間部において、一部は第1樹脂部34から露出していてもよいし、露出していなくてもよい。なお、複数の第1端子32は、一端部においてZ方向に並んでいる。複数の第1端子32は、他端部においてY方向に並んでいる。従って、複数の第1端子32は中間部において並列方向を変えている。ここでは第2部分36において第1端子32の並列方向が変わっている。
【0027】
第1樹脂部34には凹部38が形成されている。凹部38は、溝37の長手方向に沿って溝37につながっている。凹部38は、溝37よりも大きい。凹部38における幅寸法(Y方向に沿った寸法)は溝37における幅寸法(Y方向に沿った寸法)よりも大きい。凹部38における深さ寸法(Z方向に沿った寸法)は溝37における深さ寸法(Z方向に沿った寸法)よりも大きい。凹部38は、溝37に対して一方出口13側に設けられている。凹部38は第1部分35における第1空間80側の端部に形成されている。凹部38は、第1部分35における第1空間80側の端面に達している。凹部38は、第1樹脂部34において最も一方出口13側に位置している。
【0028】
第1樹脂部34にはカバー39が設けられている。カバー39は、溝37のうち凹部38につながる部分に設けられている。カバー39は、溝37の上部開口を覆う。従って溝37のうち凹部38につながる部分は、第1樹脂部34において部分的にトンネル形状となっている。ここではカバー39は溝37に入り込むように形成されている。このため、カバー39が設けられる部分では通気路12が部分的に狭くなっている。カバー39の上面は溝37の周囲に位置する面と面一とされている。もっともカバー39の上面は溝37の周囲に位置する面よりもZ方向に突出していてもよい。なお溝37のうちカバー39が設けられていない部分では、第2樹脂部54における対向面55aが溝37の上部開口を覆う。
【0029】
第1樹脂部34には、通気孔40が形成されている。通気孔40は溝37の長手方向に沿った他方側部分の位置に形成されている。通気孔40は第1樹脂部34において溝37の底部をなす部分を貫通するように形成されている。従って通気孔40は対向面35aとは反対側の面に達している。通気孔40の軸方向はZ方向に沿っている。通気孔40が他方出口14につながっている。通気孔40は第1樹脂部34のうち最も他方出口14側に位置している。
【0030】
第1樹脂部34には、リブ41が設けられている。リブ41は、溝37の周囲の位置に設けられている。リブ41は第1樹脂部34における対向面35aから法線方向(Z方向)に突出するように設けられている。リブ41は、2つの縦リブ42と第1横リブ43とを有する。
【0031】
2つの縦リブ42は、溝37の両側方において突出片66よりも溝37に近い側に設けられている。2つの縦リブ42は、溝37に沿って延びるように設けられている。縦リブ42は溝37の長手方向に平行な方向に直線状に延びている。もっとも縦リブ42の長手方向は溝37の長手方向と平行でなくともよい。また縦リブ42は曲がっていてもよい。縦リブ42の長手方向一端部は第1部分35の一方端部に達している。縦リブ42の長手方向他端部は第1部分35の中間部に位置する。縦リブ42は溝37よりもX方向に長く形成されている。
【0032】
第1横リブ43は、他方出口14側で2つの縦リブ42をつなぐ。第1横リブ43は、第1樹脂部34のうち溝37が形成されていない部分に設けられている。第1横リブ43は、第1樹脂部34のうち溝37の他端部に接する部分に設けられている。第1横リブ43は縦リブ42の長手方向に直交する方向に直線状に延びている。もっとも第1横リブ43は縦リブ42に直交していなくてもよい。第1横リブ43は曲がっていてもよい。
【0033】
第1樹脂部34には収容凹部46が形成されている。収容凹部46には突出片66が収容される。収容凹部46は縦リブ42よりも外縁側に形成される。収容凹部46は、第1部分35においてX方向に延びる縁部の一部がY方向に凹むようにして形成されている。突出片66が収容凹部46に収容されることによって、第1中子30と第2中子50とが合体した状態で、第1中子30及び第2中子50がX方向及びY方向にずれることが抑制される。収容凹部46は縦リブ42まで達していない。収容凹部46は縦リブ42まで達していてもよい。
【0034】
<第2中子50>
図6は第2中子50を示す斜視図である。図7は第2中子50を示す平面図である。図7は第2中子50が対向面55a側から観察された図である。
【0035】
第2中子50は第2端子52と第2樹脂部54とを含む。第2端子52は1本又は複数本(ここでは4本)設けられている。第2端子52の数は、第1端子32の数と同じであってもよいし、第1端子32の数より多くてもよいし、少なくてもよい。第2樹脂部54は第2端子52を覆う。第2樹脂部54は第2端子52をインサート部品としてモールド成形されている。
【0036】
第2樹脂部54は第1部分55と第2部分56とを有する。第1部分55は第2樹脂部54における対向面55aを有する部分である。第1部分55は、Z方向に偏平な直方体状に形成されている。第1部分55におけるX方向及びY方向に沿った寸法がZ方向に沿った寸法よりも大きい。第2部分56は、第1部分55に対して一端側(第1空間80側)に連なる。第2部分56は、X方向に偏平な板状に形成されている。第2部分56におけるY方向及びZ方向に沿った寸法がX方向に沿った寸法よりも大きい。第2部分56は第1部分55に対して対向面55a側及び対向面55aの側方に延びる。第1中子30及び第2中子50が合体した状態で、第2部分56の上面に第1樹脂部34が載置される。第2部分56の上面に第1樹脂部34における第1部分35の端面及び第2部分36の底面が合わさる。
【0037】
第2端子52の一端部(第1空間80側端部)は第2部分56の底面から法線方向(X方向負の向き)に突出している。第2端子52の他端部(第2空間82側端部)は第1部分55における他端側端面からX方向正の向きに突出している。第2端子52の中間部は、途中で曲がりつつ第1部分55及び第2部分56に収められている。第2端子52の中間部において、一部は第2樹脂部54から露出していてもよいし、露出していなくてもよい。なお、複数の第2端子52は、一端部においてZ方向に並んでいる。複数の第2端子52は、他端部においてY方向に並んでいる。従って、中間部において複数の第2端子52の並列方向が変わっている。ここでは第2部分56において第2端子52の並列方向が変わっている。
【0038】
第2樹脂部54に突出片66が設けられている。突出片66は第1部分55のうち第2部分56に近い位置に設けられている。突出片66は、対向面55aにおける法線方向(Z方向負の向き)に延びる。突出片66は、第2樹脂部54から第1樹脂部34に向けて突出する。突出片66はリブ41の位置よりも外側に設けられる。突出片66は、第1部分55においてX方向に延びる外縁部に設けられている。突出片66は第1部分55の側面においてY方向に突出していない。
【0039】
第2樹脂部54に凸部58が設けられている。第1中子30及び第2中子50が合体した状態で凸部58は凹部38に嵌る。凸部58には貫通孔60が形成されている。凸部58が凹部38に嵌った状態で貫通孔60は溝37と連通し、通気路12の一部をなしている。貫通孔60は一方出口13につながっている。凸部58は対向面55aと第2部分56における上面とがつながる部分に設けられている。凸部58は対向面55a及び第2部分56における上面から突出している。貫通孔60における軸方向はZ方向である。貫通孔60は第2部分56も貫通している。凸部58及び凹部38は第1部分35の端面と第2部分56の上面と間の部分から通気路12に樹脂が侵入することを抑制する。
【0040】
第2樹脂部54にリブ収容溝61が形成されている。リブ収容溝61は第2樹脂部54における対向面55aから法線方向(Z方向)に凹む態様で形成されている。第1中子30及び第2中子50が合体した状態でリブ収容溝61にリブ41が収まる。リブ収容溝61はリブ41に対応する位置、形状に形成されている。リブ収容溝61は2つの縦リブ収容溝62と第1横リブ収容溝63とを有する。2つの縦リブ収容溝62それぞれには2つの縦リブ42がそれぞれ収まる。第1横リブ収容溝63には第1横リブ43が収まる。2つの縦リブ収容溝62と第1横リブ収容溝63とはつながっている。なおリブ41の横断面形状はリブ収容溝61の横断面形状と同じであってもよい。リブ41の横断面形状はリブ収容溝61の横断面形状よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。リブ41はリブ収容溝61に圧入されてもよいし、圧入されなくてもよい。またリブ収容溝61は第2端子52に達しないような深さ寸法とされている。
【0041】
<ハウジング70>
ハウジング70は、中子20をインサート部品としてモールド成形されている。ハウジング70には、ハウジング70の形成時に樹脂吐出用のゲートGの跡(ゲート跡71)が形成されている。ゲート跡71は、対向面35a、55aに対して対向面35a、55aの広がる方向に沿って離れた位置に設けられている。ゲート跡71に対応する位置に突出片66が設けられている。突出片66はハウジング70に形成されたゲート跡71に対して内側に位置する。
【0042】
ハウジング70が機器用コネクタ10における外観をなしている。従ってハウジング70に通気路12の一方出口13及び他方出口14が形成されている。ハウジング70には第1開口部72、第2開口部73が形成されている。第1開口部72は通気路12の一方出口13となる部分である。第2開口部73は通気路12の他方出口14となる部分である。
【0043】
なおここではハウジング70の形状は、端子の一端部がハウジング70から突出し、端子の他端部がハウジング70の窪み74に収まるような形状に形成されている。ハウジング70の窪み74には、相手側コネクタが差し込まれる。もちろん、ハウジング70の形状はこれに限られない。例えば、ハウジング70は、端子の一端部がハウジング70の窪み74に収まるような形状に形成されていてもよいし、端子の他端部がハウジング70から突出するような形状に形成されていてもよい。
【0044】
<動作等>
中子20をインサート部品としてハウジング70がモールド成形される際の、溶融樹脂の動作例について説明する。ハウジング70がモールド成形される際、ゲートGから溶融樹脂が吐出される。このときゲートGの前方には突出片66が位置する。このため、溶融樹脂は突出片66を迂回しつつ、通気路12に向けて進む。これにより、溶融樹脂が通気路12に向かう途中で射出圧が弱まった状態となり、溶融樹脂が通気路12に侵入しにくくなる。
【0045】
溶融樹脂が突出片66を迂回して通気路12に向かう侵入経路としては第1侵入経路R1及び第2侵入経路R2が考えられる。第1侵入経路R1は、対向面35a、55aの間を通る経路である。第2侵入経路R2は、第1部分35の端面と第2部分56の上面との間を通る経路である。図4から図7に模式的に第1侵入経路R1及び第2侵入経路R2が示されている。
【0046】
第1侵入経路R1に沿って進む溶融樹脂は、突出片66を迂回した後に対向面35a、55aの間に侵入する。この際、溶融樹脂は、通気路12に達するまでにリブ41及びリブ収容溝61によって生じる段差を越える必要がある。これにより、溶融樹脂が通気路12に侵入しにくくなる。
【0047】
第2侵入経路R2に沿って進む溶融樹脂は、突出片66を迂回した後に第1部分35の端面と第2部分56の上面との間に侵入する。この際、溶融樹脂は、通気路12に達するまでに凸部58及び凹部38によって生じる段差を越える必要がある。これによっても、溶融樹脂が通気路12に侵入しにくくなる。
【0048】
さらに溝37の一方出口13側において第2侵入経路R2に沿って進む溶融樹脂はリブ41よりも溝37側で対向面35a、55aの間に侵入し、第1侵入経路R1に沿って進む溶融樹脂と合流することがあり得る。この場合でも、溝37のうち凹部38につながる部分にはカバー39が設けられているため、合流した溶融樹脂が通気路12に達するまでにカバー39を迂回する必要がある。これによっても、溶融樹脂が通気路12に侵入しにくくなる。
【0049】
<効果等>
以上のように構成された機器用コネクタ10によると、突出片66がゲートGから対向面35a、55aを隠すことができることによって、ゲートGから通気路12までの樹脂の侵入経路が長くなり、通気路12に樹脂が侵入しにくくなる。
【0050】
また凹部38及び凸部58が設けられていることによって、通気路12の一方出口13側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0051】
またカバー39によって通気路12が覆われることによって、通気路12の一方出口13側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0052】
また2つの縦リブ42と第1横リブ43とが設けられることによって、通気路12の側方及び他方出口14側からの樹脂の侵入が抑制される。
【0053】
[変形例]
図8は変形例にかかる第1中子130を示す平面図である。図9は変形例にかかる第2中子150を示す平面図である。
【0054】
第1中子130及び第2中子150が合体した中子において、リブ141及びリブ収容溝161の形状が上記リブ41及びリブ収容溝61の形状とは異なる。具体的にはリブ141は第2横リブ44をさらに有する。またリブ収容溝161は第2横リブ収容溝64をさらに有する。第2横リブ44は、一方出口13側で2つの縦リブ42をつなぐ。第2横リブ44は、2つの縦リブ42及び第1横リブ43と同じく第1樹脂部34に設けられている。第2横リブ44はカバー39の上を通っている。第2横リブ収容溝64は2つの縦リブ収容溝62及び第1横リブ収容溝63と同じく第2樹脂部54に形成されている。第2横リブ収容溝64は第2横リブ44に対応する位置、形状に形成されている。第1中子30及び第2中子50が合体した状態で、第2横リブ44は第2横リブ収容溝64に収まる。
【0055】
第2横リブ44及び第2横リブ収容溝64が設けられることにより、通気路12の一方出口13側からの樹脂の侵入が抑制される。例えば溝37の一方出口13側において第2侵入経路R2に沿って進む溶融樹脂がリブ41よりも溝37側で対向面35a、55aの間に侵入した場合、第2横リブ44及び第2横リブ収容溝64によって生じる段差を越える必要がある。これにより、第2侵入経路R2に沿って進む溶融樹脂が第1侵入経路R1に沿って進む溶融樹脂と合流しにくくなる。
【0056】
このほか実施形態において突出片66が第2中子50に設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。突出片は第1中子に設けられていてもよい。この場合、突出片は、第1樹脂部から第2樹脂部に向けて突出するように設けられているとよい。
【0057】
また中子は第1中子及び第2中子とは異なる第3中子を含んでいてもよい。第3中子は第1中子に対して第2中子とは反対側に合体してもよい。第3中子は第2中子に対して第1中子とは反対側に合体してもよい。この場合、突出片は第3中子に設けられていてもよい。突出片が第3中子に設けられる場合、第1中子及び第2中子には突出片が収まる収容凹部が形成されていてもよい。
【0058】
また実施形態において凹部38及び凸部58が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。凹部38及び凸部58は省略されてもよい。
【0059】
また実施形態においてカバー39が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。カバー39は省略されてもよい。
【0060】
また実施形態においてリブ41及びリブ収容溝61が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。リブ41及びリブ収容溝61は省略されてもよい。またリブ41及びリブ収容溝61が設けられる場合でも、リブ41が第1樹脂部34に設けられ、リブ収容溝61が第2樹脂部54に形成される必要はない。リブが第2樹脂部に設けられ、リブ収容溝が第1樹脂部に形成されていてもよい。つまりリブ及びリブ収容溝が設けられる場合、第1樹脂部及び第2樹脂部のうち一方にリブが設けられ、他方にリブ収容溝が形成されていればよい。
【0061】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 機器用コネクタ
12 通気路
13 一方出口
14 他方出口
20 中子
30、130 第1中子
32 第1端子
34 第1樹脂部
35 第1部分
35a 対向面
36 第2部分
37 溝
38 凹部
39 カバー
40 通気孔
41、141 リブ
42 縦リブ
43 第1横リブ
44 第2横リブ
46 収容凹部
50、150 第2中子
52 第2端子
54 第2樹脂部
55 第1部分
55a 対向面
56 第2部分
58 凸部
60 貫通孔
61、161 リブ収容溝
62 縦リブ収容溝
63 第1横リブ収容溝
64 第2横リブ収容溝
66 突出片
70 ハウジング
71 ゲート跡
72 第1開口部
73 第2開口部
74 窪み
80 第1空間
82 第2空間
84 仕切壁
G ゲート
R1 第1侵入経路
R2 第2侵入経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9