(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池用電解液およびリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20220823BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220823BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20220823BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20220823BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20220823BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220823BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20220823BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M10/0568
H01M4/133
H01M4/134
H01M4/13
H01M10/0569
(21)【出願番号】P 2020550530
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 JP2019039059
(87)【国際公開番号】W WO2020071469
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2018190103
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】永田 佳秀
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-533650(JP,A)
【文献】特開2013-065536(JP,A)
【文献】特開2013-225388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/0567、10/0568
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、
負極と、
溶媒と、電解質塩と、
ジオキサン化合物とを含む電解液と
を備え、
前記ジオキサン化合物は、下記の式(1)で表される第1ジオキサン化合物および下記の式(2)で表される第2ジオキサン化合物のうちの少なくとも一方を含み、
前記電解液中における前記ジオキサン化合物の含有量は、0.001重量%以上5重量%以下である、
リチウムイオン二次電池。
【化1】
(R1~R10のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Xは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【化2】
(R11~R16のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Yは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【請求項2】
前記溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステルおよびジニトリル化合物のうちの少なくとも1種を含み、
前記電解質塩は、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF
4 )、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF
2 O
2 )およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiC
4 BO
8 )のうちの少なくとも1種を含む、
請求項
1記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記負極は、炭素材料およびケイ素含有材料のうちの少なくとも一方を含む、
請求項1
または請求項
2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
溶媒と、
電解質塩と、
ジオキサン化合物と
を含み、
前記ジオキサン化合物は、下記の式(1)で表される第1ジオキサン化合物および下記の式(2)で表される第2ジオキサン化合物のうちの少なくとも一方を含み、
前記ジオキサン化合物の含有量は、0.001重量%以上5重量%以下である、
リチウムイオン二次電池用電解液。
【化3】
(R1~R10のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Xは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【化4】
(R11~R16のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Yは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、リチウムイオン二次電池に用いられる電解液およびその電解液を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、電源として、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度を得ることが可能であるリチウムイオン二次電池の開発が進められている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えている。電解液の構成は、電池特性に大きな影響を及ぼすため、その電解液の構成に関しては、様々な検討がなされている。具体的には、高温下においても優れた充放電効率などを得るために、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキサンなどのフッ素化環状化合物が電解液に含有されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
リチウムイオン二次電池が搭載される電子機器は、益々、高性能化および多機能化しているため、その電子機器の使用頻度は増加していると共に、その電子機器の使用環境は拡大している。そこで、リチウムイオン二次電池の電池特性に関しては、未だ改善の余地がある。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた電池特性を得ることが可能なリチウムイオン二次電池用電解液およびリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【0007】
本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池用電解液は、溶媒と、電解質塩と、ジオキサン化合物とを含み、そのジオキサン化合物が下記の式(1)で表される第1ジオキサン化合物および下記の式(2)で表される第2ジオキサン化合物のうちの少なくとも一方を含み、そのジオキサン化合物の含有量が0.001重量%以上5重量%以下であるものである。
【0008】
【化1】
(R1~R10のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Xは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【0009】
【化2】
(R11~R16のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであ
り、その1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであり、その1価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。Yは、2価の炭化水素基であ
り、その2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであり、その2価の炭化水素基の炭素数は、4以下である。)
【0010】
本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解液とを備え、その電解液が上記した本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池用電解液と同様の構成を有するものである。
【0011】
本技術のリチウムイオン二次電池用電解液またはリチウムイオン二次電池によれば、その電解液がジオキサン化合物を含んでおり、そのジオキサン化合物が第1ジオキサン化合物および第2ジオキサン化合物のうちの少なくとも一方を含んでおり、そのジオキサン化合物の含有量が0.001重量%以上5重量%以下であるので、優れた電池特性を得ることができる。
【0012】
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池(円筒型)の構成を表す断面図である。
【
図2】
図1に示したリチウムイオン二次電池の主要部の構成を拡大して表す断面図である。
【
図3】本技術の一実施形態の他のリチウムイオン二次電池(ラミネートフィルム型)の構成を表す斜視図である。
【
図4】
図3に示したリチウムイオン二次電池の主要部の構成を拡大して表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.リチウムイオン二次電池用電解液
1-1.構成
1-2.製造方法
1-3.作用および効果
2.リチウムイオン二次電池
2-1.円筒型
2-1-1.構成
2-1-2.動作
2-1-3.製造方法
2-1-4.作用および効果
2-2.ラミネートフィルム型
2-2-1.構成
2-2-2.動作
2-2-3.製造方法
2-2-4.作用および効果
3.変形例
4.リチウムイオン二次電池の用途
【0015】
<1.リチウムイオン二次電池用電解液>
まず、本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池用電解液(以下、単に「電解液」と呼称する。)に関して説明する。
【0016】
ここで説明する電解液が用いられるリチウムイオン二次電池は、後述するように、リチウムの吸蔵放出現象を利用して電池容量が得られる二次電池である。
【0017】
<1-1.構成>
電解液は、溶媒と、電解質塩と、ジオキサン化合物とを含んでいる。ただし、ジオキサン化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。このように1種類だけでも2種類以上でもよいことは、溶媒および電解質塩のそれぞれの種類に関しても同様である。
【0018】
[ジオキサン化合物]
ジオキサン化合物は、下記の式(1)で表される第1ジオキサン化合物および下記の式(2)で表される第2ジオキサン化合物のうちの一方または双方を含んでいる。ただし、第1ジオキサン化合物の種類は、1種類だけでもよいし、2種類以上でもよい。このように1種類だけでも2種類以上でもよいことは、第2ジオキサン化合物の種類に関しても同様である。
【0019】
【化3】
(R1~R10のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかである。Xは、2価の炭化水素基である。)
【0020】
【化4】
(R11~R16のそれぞれは、水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかである。Yは、2価の炭化水素基である。)
【0021】
第1ジオキサン化合物は、式(1)に示したように、ジオキサン型骨格(2個の酸素原子(O)およびXを含む環状骨格)が2位の位置において2個の非ハロゲン化炭素含有基(R1R2R3C-およびR8R9R10C-)により置換された化合物である。
【0022】
第2ジオキサン化合物は、式(2)に示したように、ジオキサン型骨格(2個の酸素原子およびYを含む環状骨格)が2位の位置において1個の非ハロゲン化炭素含有基(R11R16C=C<)により置換された化合物である。
【0023】
なお、上記した非ハロゲン化炭素含有基とは、フッ素(F)などのハロゲンを構成元素として含んでいない炭素含有基を意味している。この炭素含有基とは、上記したように、式(1)ではR1R2R3C-およびR8R9R10C-であると共に、式(2)ではR11R16C=C<である。
【0024】
電解液がジオキサン化合物を含んでいるのは、その電解液を備えたリチウムイオン二次電池の充放電時において、ジオキサン化合物に由来する良質な被膜が負極の表面に形成されるからである。この場合には、負極の表面が被膜により電気化学的に保護されることにより、その電解液の化学的安定性が向上するため、その電解液の分解反応が抑制される。これにより、電解液の分解反応に起因するガスの発生が抑制されると共に、不要なガスの発生も抑制されるため、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。
【0025】
詳細には、第1ジオキサン化合物に類似する化合物としては、例えば、以下で説明する化合物が考えられる。第1に、後述する式(3-1)で表されるように、1,3-ジオキサンである。第2に、後述する式(3-2)で表されるように、ジオキサンが2位の位置において1個の非ハロゲン化炭素含有基(CH3 -)により置換された化合物である。第3に、後述する式(3-3)で表されるように、ジオキサンが2位の位置において2個のハロゲン化炭素含有基(CF3 -およびCF3 -)により置換された化合物である。
【0026】
式(3-1)に示した1,3-ジオキサンは、いわゆるアルデヒドの保護体であるため、本質的に低い反応性を有する。この場合には、1,3-ジオキサンに由来する被膜が充放電時において形成されても、その被膜が形成されにくいと共に、その被膜の膜質も不十分であるため、電解液の分解反応が十分に抑制されない。これにより、電解液の分解反応に起因するガスの発生が抑制されないため、リチウムイオン二次電池が膨れやすくなる。
【0027】
このような傾向は、ジオキサンのうちの2位の位置が1置換である式(3-2)に示した化合物においても同様に得られる。
【0028】
また、ジオキサンのうちの2位の位置が2置換である式(3-3)に示した化合物は、アルデヒドの保護体ではないが、上記したように、2個のハロゲン化炭素含有基を含んでいる。この場合には、式(3-3)に示した化合物が充放電時において分解すると、その化合物の分解反応に起因してフッ素系のガスが発生しやすくなる。これにより、被膜が形成されたとしても、フッ素系のガスに起因してリチウムイオン二次電池が根本的に膨れやすくなる。
【0029】
これに対して、ジオキサン型骨格のうちの2位の位置が2置換である第1ジオキサン化合物は、上記した類似の化合物である式(3-1)に示した化合物および式(3-2)に示した化合物とは異なり、いわゆるケトンの保護体であるため、本質的に高い反応性を有する。この場合には、第1ジオキサン化合物に由来する被膜が充放電時において形成されると、その被膜が形成されやすいと共に、その被膜の膜質も十分であるため、電解液の分解反応が十分に抑制される。これにより、電解液の分解反応に起因するガスの発生が抑制されるため、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。
【0030】
しかも、第1ジオキサン化合物は、上記した類似の化合物である式(3-3)に示した化合物とは異なり、ハロゲン化炭素含有基を含んでいないため、充放電時において第1ジオキサン化合物が分解しても、フッ素系のガスが発生しない。これにより、フッ素系のガスがリチウムイオン二次電池の膨れを助長しないため、そのリチウムイオン二次電池がより膨れにくくなる。
【0031】
なお、上記した第1ジオキサン化合物に関する利点は、同様の理由により、第2ジオキサン化合物に関しても得られる。
【0032】
よって、電解液がジオキサン化合物を含んでいるリチウムイオン二次電池では、高温環境などの厳しい環境中においてリチウムイオン二次電池が充放電または保存されても、その電解液の分解反応が抑制されると共に、不要なガスの発生も抑制される。よって、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。
【0033】
(第1ジオキサン化合物)
R1~R10のそれぞれは、上記したように、ハロゲンを構成元素として含んでいない水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。なお、R1~R10のうちの任意の2つ以上は、互いに結合されていてもよい。
【0034】
1価の炭化水素基は、炭素(C)および水素(H)により構成される1価の基の総称であり、直鎖状でもよいし、1個または2個以上の側鎖を有する分岐状でもよいし、環状でもよいし、それらのうちの2種類以上が互いに結合された状態でもよい。また、1価の炭化水素基は、例えば、1個または2個以上の炭素間不飽和結合を含んでいてもよいし、その炭素間不飽和結合を含んでいなくてもよい。この炭素間不飽和結合は、炭素間二重結合(>C=C<)および炭素間三重結合(-C≡C-)である。
【0035】
具体的には、1価の炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基および1価結合基などである。この1価結合基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基のうちの2種類以上が互いに結合された1価の基である。
【0036】
アルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などである。アルケニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、エテニル基、プロペニル基およびブテニル基などである。アルキニル基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチニル基、プロピニル基およびブチニル基などである。シクロアルキル基の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基などである。アリール基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニル基およびナフチル基などである。1価結合基の種類は、特に限定されないが、例えば、ベンジル基などである。
【0037】
アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、4以下であり、より具体的には1~4である。アルケニル基およびアルキニル基のそれぞれの炭素数は、特に限定されないが、例えば、4以下であり、より具体的には2~4である。シクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、3~6である。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、6~14である。第1ジオキサン化合物の溶解性および相溶性などが向上するからである。
【0038】
中でも、1価の炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のうちのいずれかであることが好ましい。第1ジオキサン化合物が容易に合成可能であると共に、充放電時において被膜が安定に形成されやすいからである。なお、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基のそれぞれの炭素数は、上記した通りである。
【0039】
Xは、上記したように、ハロゲンを構成元素として含んでいない2価の炭化水素基であれば、特に限定されない。
【0040】
2価の炭化水素基は、炭素および水素により構成される2価の基の総称であり、直鎖状でもよいし、1個または2個以上の側鎖を有する分岐状でもよいし、環状でもよいし、それらのうちの2種類以上が互いに結合された状態でもよい。また、2価の炭化水素基は、例えば、1個または2個以上の炭素間不飽和結合を含んでいてもよいし、その炭素間不飽和結合を含んでいなくてもよい。
【0041】
具体的には、2価の炭化水素基は、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基および2価結合基などである。この2価結合基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基のうちの2種類以上が互いに結合された2価の基である。
【0042】
アルキレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基およびブチレン基などである。アルケニレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、エテニレンル基、プロペニレン基およびブテニレン基などである。アルキニレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、エチニレン基、プロピニレン基およびブチニレン基などである。シクロアルキレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロヘキシレン基などである。アリーレン基の種類は、特に限定されないが、例えば、フェニレン基およびナフチレンル基などである。2価結合基の種類は、特に限定されないが、例えば、ベンジレン基などである。
【0043】
アルキレン基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、4以下であり、より具体的には1~4である。アルケニレン基およびアルキニレン基のそれぞれの炭素数は、特に限定されないが、例えば、4以下であり、より具体的には2~4である。シクロアルキレン基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、3~6である。アリーレン基の炭素数は、特に限定されないが、例えば、6~14である。第2ジオキサン化合物の溶解性および相溶性などが向上するからである。
【0044】
中でも、2価の炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のうちのいずれかであることが好ましい。第2ジオキサン化合物が容易に合成可能であると共に、充放電時において被膜が安定に形成されやすいからである。なお、アルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基のそれぞれの炭素数は、上記した通りである。
【0045】
(第2ジオキサン化合物)
R11~R16のそれぞれは、上記したように、ハロゲンを構成元素として含んでいない水素基および1価の炭化水素基のうちのいずれかであれば、特に限定されない。また、Yは、上記したように、ハロゲンを構成元素として含んでいない2価の炭化水素基であれば、特に限定されない。1価の炭化水素基および2価の炭化水素基のそれぞれに関する詳細は、上記した通りである。なお、R11~R16のうちの任意の2つ以上は、互いに結合されていてもよい。
【0046】
(ジオキサン化合物の具体例)
具体的には、第1ジオキサン化合物は、例えば、式(1-1)~式(1-33)のそれぞれで表される化合物などである。もちろん、第1ジオキサン化合物の具体例は、式(1)に示した構造を有していれば、ここで例示していない他の化合物でもよい。
【0047】
【0048】
【0049】
また、第2ジオキサン化合物は、例えば、式(2-1)~式(2-31)のそれぞれで表される化合物などである。もちろん、第2ジオキサン化合物の具体例は、式(2)に示した構造を有していれば、ここで例示していない他の化合物でもよい。
【0050】
【0051】
【0052】
(含有量)
電解液中における第1ジオキサン化合物の含有量は、特に限定されないが、中でも、0.001重量%~5重量%であることが好ましい。第1ジオキサン化合物の溶解性および相溶性などが担保されながら、電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
【0053】
電解液中における第2ジオキサン化合物の含有量は、特に限定されないが、中でも、0.001重量%~5重量%であることが好ましい。第2ジオキサン化合物の溶解性および相溶性などが担保されながら、電解液の分解反応が十分に抑制されるからである。
【0054】
なお、電解液が第1ジオキサン化合物および第2ジオキサン化合物の双方を含んでいる場合には、電解液中における第1ジオキサン化合物の含有量と電解液中における第2ジオキサン化合物の含有量との和が上記した範囲であることが好ましい。
【0055】
[溶媒]
溶媒は、例えば、非水溶媒(有機溶剤)などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。非水溶媒を含む電解液は、いわゆる非水電解液である。
【0056】
非水溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、ラクトン、鎖状カルボン酸エステルおよびニトリル(モノニトリル)化合物などである。環状炭酸エステルは、例えば、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどである。鎖状炭酸エステルは、例えば、炭酸ジメチルおよび炭酸ジエチルなどである。ラクトンは、例えば、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。鎖状カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチルおよびプロピオン酸メチルなどである。ニトリル化合物は、例えば、アセトニトリル、メトキシアセトニトリルおよび3-メトキシプロピオニトリルなどである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
【0057】
また、非水溶媒は、例えば、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステル、スルホン酸エステル、酸無水物、ジシアノ化合物(ジニトリル化合物)およびジイソシアネート化合物、リン酸エステルなどでもよい。不飽和環状炭酸エステルは、例えば、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化炭酸エステルは、例えば、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オンおよび炭酸フルオロメチルメチルなどである。スルホン酸エステルは、例えば、1,3-プロパンスルトンおよび1,3-プロペンスルトンなどである。酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水エタンジスルホン酸、無水プロパンジスルホン酸、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸および無水スルホ酪酸などである。ジニトリル化合物は、例えば、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリルおよびフタロニトリルなどである。ジイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。リン酸エステルは、例えば、リン酸トリメチルおよびリン酸トリエチルなどである。上記した一連の特性のうちのいずれか1種類または2種類以上がより向上するからである。
【0058】
中でも、非水溶媒は、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化炭酸エステルおよびジニトリル化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。サイクル特性などがより向上するからである。
【0059】
[電解質塩]
電解質塩は、例えば、リチウム塩などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。リチウム塩の種類は、特に限定されないが、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO2 F)2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )、フルオロリン酸リチウム(Li2 PFO3 )、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 O2 )およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiC4 BO8 )などである。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性などが得られるからである。
【0060】
中でも、電解質塩は、四フッ化ホウ酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムおよびビス(オキサラト)ホウ酸リチウムのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいることが好ましい。サイクル特性などがより向上するからである。
【0061】
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下である。
【0062】
<1-2.製造方法>
電解液を製造する場合には、溶媒に電解質塩を加えたのち、その溶媒を撹拌する。これにより、電解質塩が溶媒中に分散または溶解される。続いて、電解質塩が分散または溶解された溶媒にジオキサン化合物を加えたのち、その溶媒を撹拌する。これにより、ジオキサン化合物が溶媒中に分散または溶解される。このジオキサン化合物としては、上記したように、第1ジオキサン化合物だけを用いてもよいし、第2ジオキサン化合物だけを用いてもよいし、第1ジオキサン化合物および第2ジオキサン化合物の双方を用いてもよい。よって、溶媒および電解質塩と共にジオキサン化合物を含む電解液が得られる。
【0063】
<1-3.作用および効果>
この電解液によれば、ジオキサン化合物を含んでおり、すなわち第1ジオキサン化合物および第2ジオキサン化合物のうちの一方または双方を含んでいる。この場合には、上記したように、電解液が類似の化合物を含んでいる場合と比較して、良質な被膜が形成されやすくなるため、フッ素系のガスが発生することを回避しながら、電解液の分解反応が抑制される。よって、電解液を備えたリチウムイオン二次電池では、高温環境などの厳しい環境中において充放電または保存されてもリチウムイオン二次電池が膨れにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
【0064】
なお、上記した類似の化合物は、下記の式(3-1)~式(3-3)のそれぞれで表される化合物である。具体的には、式(3-1)に示した化合物は、1,3-ジオキサンである。式(3-2)に示した化合物は、2-メチル-1,3-ジオキサンである。式(3-3)に示した化合物は、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキサンである。
【0065】
【0066】
特に、式(1)および式(2)のそれぞれに示したR1~R16に関する1価の炭化水素基がアルキル基などであると共に、その1価の炭化水素基の炭素数が4以下であれば、ジオキサン化合物の溶解性および相溶性が担保されながら電解液の分解反応が十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。しかも、XおよびYに関する2価の炭化水素基がアルキレン基などであると共に、その2価の炭化水素基の炭素数が4以下であれば、同様の理由により、より高い効果を得ることができる。
【0067】
また、電解液中における第1ジオキサン化合物の含有量が0.001重量%~5重量%であれば、その第1ジオキサン化合物の溶解性および相溶性が担保されながら電解液の分解反応が十分に抑制されるため、より高い効果を得ることができる。しかも、電解液中における第2ジオキサン化合物の含有量が0.001重量%~5重量%であれば、同様の理由により、より高い効果を得ることができる。
【0068】
また、溶媒が不飽和環状炭酸エステルなどを含んでいると共に、電解質塩が四フッ化ホウ酸リチウムなどを含んでいれば、サイクル特性などがより向上するため、より高い効果を得ることができる。
【0069】
<2.リチウムイオン二次電池>
次に、上記した電解液を用いた本技術の一実施形態のリチウムイオン二次電池に関して説明する。
【0070】
ここで説明するリチウムイオン二次電池は、後述するように、正極21および負極22を備えている。このリチウムイオン二次電池は、例えば、リチウムの吸蔵放出現象を利用して負極22の容量が得られる二次電池である。
【0071】
このリチウムイオン二次電池では、例えば、充電途中において負極22の表面にリチウム金属が意図せずに析出することを防止するために、負極22の充電容量は、正極21の放電容量よりも大きくなっている。すなわち、負極22の単位面積当たりの電気化学容量は、正極21の単位面積当たりの電気化学容量よりも大きくなっている。
【0072】
<2-1.円筒型>
まず、リチウムイオン二次電池の一例として、円筒型のリチウムイオン二次電池に関して説明する。
【0073】
<2-1-1.構成>
図1は、リチウムイオン二次電池の断面構成を表していると共に、
図2は、
図1に示したリチウムイオン二次電池の主要部(巻回電極体20)の断面構成を拡大している。ただし、
図2では、巻回電極体20の一部だけを示している。
【0074】
このリチウムイオン二次電池では、例えば、
図1に示したように、円筒状の電池缶11の内部に電池素子(巻回電極体20)が収納されている。
【0075】
具体的には、リチウムイオン二次電池は、例えば、電池缶11の内部に、一対の絶縁板12,13と、巻回電極体20とを備えている。この巻回電極体20は、例えば、セパレータ23を介して正極21および負極22が互いに積層されたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23が巻回された構造体である。巻回電極体20には、液状の電解質である電解液が含浸されている。
【0076】
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空の円筒構造を有しており、例えば、鉄などの金属材料を含んでいる。ただし、電池缶11の表面には、例えば、ニッケルなどの金属材料が鍍金されていてもよい。絶縁板12,13は、例えば、互いに巻回電極体20を挟むように配置されている。
【0077】
電池缶11の開放端部には、例えば、電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子(PTC素子)16がガスケット17を介してかしめられているため、その電池缶11の開放端部は密閉されている。電池蓋14の形成材料は、例えば、電池缶11の形成材料と同様である。安全弁機構15および熱感抵抗素子16は、電池蓋14の内側に設けられており、その安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、例えば、内部短絡および外部加熱などに起因して電池缶11の内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転するため、電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続が切断される。熱感抵抗素子16の電気抵抗は、大電流に起因する異常な発熱を防止するために、温度の上昇に応じて増加する。ガスケット17は、例えば、絶縁性材料を含んでいる。ただし、ガスケット17の表面には、例えば、アスファルトなどが塗布されていてもよい。
【0078】
巻回電極体20の巻回中心に設けられた空間20Cには、例えば、センターピン24が挿入されている。ただし、センターピン24は、空間20Cに挿入されていなくてもよい。正極21には、正極リード25が接続されており、その正極リード25は、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。この正極リード25は、例えば、安全弁機構15を介して電池蓋14と電気的に接続されている。負極22には、負極リード26が接続されており、その負極リード26は、例えば、ニッケルなどの導電性材料を含んでいる。この負極リード26は、例えば、電池缶11と電気的に接続されている。
【0079】
[正極]
正極21は、例えば、
図2に示したように、正極集電体21Aと、その正極集電体21Aに設けられた正極活物質層21Bとを含んでいる。この正極活物質層21Bは、例えば、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよいし、正極集電体21Aの両面に設けられていてもよい。
図2では、例えば、正極活物質層21Bが正極集電体21Aの両面に設けられている場合を示している。
【0080】
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウムなどの導電性材料を含んでいる。正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である正極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、例えば、さらに、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。
【0081】
正極材料は、例えば、リチウム化合物を含んでおり、そのリチウム化合物は、リチウムを構成元素として含む化合物の総称である。高いエネルギー密度が得られるからである。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム複合酸化物およびリチウムリン酸化合物などである。
【0082】
リチウム複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含む酸化物であり、例えば、層状岩塩型およびスピネル型などの結晶構造を有している。リチウムリン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の他元素とを構成元素として含むリン酸化合物であり、例えば、オリビン型などの結晶構造を有している。
【0083】
他元素は、リチウム以外の元素である。他元素の種類は、特に限定されないが、中でも、長周期型周期表のうちの2族~15族に属する元素であることが好ましい。高い電圧が得られるからである。具体的には、他元素は、例えば、ニッケル、コバルト、マンガンおよび鉄などである。
【0084】
層状岩塩型の結晶構造を有するリチウム複合酸化物は、例えば、LiNiO2 、LiCoO2 、LiCo0.98Al0.01Mg0.01O2 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 O2 、LiNi0.8 Co0.15Al0.05O2 、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2 、Li1.2 Mn0.52Co0.175 Ni0.1 O2 およびLi1.15(Mn0.65Ni0.22Co0.13)O2 などである。スピネル型の結晶構造を有するリチウム複合酸化物は、例えば、LiMn2 O4 などである。オリビン型の結晶構造を有するリチウムリン酸化合物は、例えば、LiFePO4 、LiMnPO4 、LiMn0.5 Fe0.5 PO4 、LiMn0.7 Fe0.3 PO4 およびLiMn0.75Fe0.25PO4 などである。
【0085】
正極結着剤は、例えば、合成ゴムおよび高分子化合物などを含んでいる。合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴムなどである。高分子化合物は、例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリイミドなどである。
【0086】
正極導電剤は、例えば、炭素材料などの導電性材料を含んでいる。この炭素材料は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、正極導電剤は、金属材料および導電性高分子などでもよい。
【0087】
[負極]
負極22は、例えば、
図2に示したように、負極集電体22Aと、その負極集電体22Aに設けられた負極活物質層22Bとを含んでいる。この負極活物質層22Bは、例えば、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよいし、負極集電体22Aの両面に設けられていてもよい。
図2では、例えば、負極活物質層22Bが負極集電体22Aの両面に設けられている場合を示している。
【0088】
負極集電体22Aは、例えば、銅などの導電性材料を含んでいる。負極集電体22Aの表面は、電解法などを用いて粗面化されていることが好ましい。アンカー効果を利用して、負極集電体22Aに対する負極活物質層22Bの密着性が向上するからである。
【0089】
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵放出可能である負極材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、例えば、さらに、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0090】
負極材料は、例えば、炭素材料および金属系材料などである。
【0091】
炭素材料は、炭素を構成元素として含む材料の総称である。リチウムの吸蔵放出時において炭素材料の結晶構造がほとんど変化しないため、高いエネルギー密度が安定に得られるからである。また、炭素材料が負極導電剤としても機能するため、負極活物質層22Bの導電性が向上するからである。
【0092】
具体的には、炭素材料は、例えば、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛などである。ただし、難黒鉛化性炭素における(002)面の面間隔は、例えば、0.37nm以上であると共に、黒鉛における(002)面の面間隔は、例えば、0.34nm以下である。
【0093】
より具体的には、炭素材料は、例えば、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭およびカーボンブラック類などである。このコークス類は、例えば、ピッチコークス、ニードルコークスおよび石油コークスなどを含む。有機高分子化合物焼成体は、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの高分子化合物が任意の温度で焼成(炭素化)された焼成物である。この他、炭素材料は、例えば、約1000℃以下の温度で熱処理された低結晶性炭素でもよいし、非晶質炭素でもよい。炭素材料の形状は、例えば、繊維状、球状、粒状および鱗片状などである。
【0094】
金属系材料は、金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。高いエネルギー密度が得られるからである。
【0095】
この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。ただし、合金には、2種類以上の金属元素からなる材料だけでなく、1種類または2種類以上の金属元素と1種類または2種類以上の半金属元素とを含む材料も含まれる。また、合金は、1種類または2種類以上の非金属元素を含んでいてもよい。金属系材料の組織は、例えば、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物およびそれらの2種類以上の共存物などである。
【0096】
金属元素および半金属元素のそれぞれは、リチウムと合金を形成可能である。具体的には、金属元素および半金属元素は、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、パラジウムおよび白金などである。
【0097】
中でも、ケイ素およびスズが好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムの吸蔵放出能力が優れているため、著しく高いエネルギー密度が得られるからである。以下では、ケイ素を構成元素として含む材料をケイ素含有材料と呼称すると共に、スズを構成元素として含む材料をスズ含有材料と呼称する。
【0098】
具体的には、ケイ素含有材料は、ケイ素の単体でもよいし、ケイ素の合金でもよいし、ケイ素の化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。ここで説明する単体は、あくまで一般的な単体を意味しているため、その単体は、微量の不純物を含んでいてもよい。すなわち、単体の純度は、必ずしも100%に限られない。
【0099】
ケイ素の合金は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金に関して説明した構成元素を含んでいてもよい。
【0100】
具体的には、ケイ素の合金およびケイ素の化合物は、例えば、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 N4 、Si2 N2 OおよびSiOv (0<v≦2)などである。ただし、vの範囲は、例えば、0.2<v<1.4でもよい。
【0101】
スズ含有材料は、スズの単体でもよいし、スズの合金でもよいし、スズの化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの1種類または2種類以上の相を含む材料でもよい。
【0102】
スズの合金は、例えば、スズ以外の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムなどのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、炭素および酸素などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、スズの化合物は、例えば、スズ以外の構成元素として、スズの合金に関して説明した構成元素を含んでいてもよい。
【0103】
具体的には、スズの合金およびスズの化合物は、例えば、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 およびMg2 Snなどである。
【0104】
負極結着剤に関する詳細は、例えば、正極結着剤に関する詳細と同様である。負極導電剤に関する詳細は、例えば、正極導電剤に関する詳細と同様である。
【0105】
(負極活物質層の形成方法)
負極活物質層22Bの形成方法は、特に限定されないが、例えば、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などである。塗布法は、例えば、粒子(粉末)状の負極活物質と負極結着剤などとの混合物が有機溶剤などにより分散または溶解された溶液を負極集電体22Aに塗布する方法である。気相法は、例えば、物理堆積法および化学堆積法などであり、より具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長、化学気相成長法(CVD)およびプラズマ化学気相成長法などである。液相法は、例えば、電解鍍金法および無電解鍍金法などである。溶射法は、溶融状態または半溶融状態の負極活物質を負極集電体22Aに噴き付ける方法である。焼成法は、例えば、塗布法を用いて負極集電体22Aに溶液を塗布したのち、その溶液(塗膜)を負極結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法であり、より具体的には、雰囲気焼成法、反応焼成法およびホットプレス焼成法などである。
【0106】
[セパレータ]
セパレータ23は、例えば、合成樹脂およびセラミックなどの多孔質膜を含んでおり、2種類以上の多孔質膜が互いに積層された積層膜でもよい。合成樹脂は、例えば、ポリエチレンなどである。
【0107】
特に、セパレータ23は、例えば、上記した多孔質膜(基材層)と、その基材層に設けられた高分子化合物層とを含んでいてもよい。この高分子化合物層は、例えば、基材層の片面だけに設けられていてもよいし、基材層の両面に設けられていてもよい。正極21に対するセパレータ23の密着性が向上すると共に、負極22に対するセパレータ23の密着性が向上するため、巻回電極体20が歪みにくくなるからである。これにより、電解液の分解反応が抑制されると共に、基材層に含浸された電解液の漏液も抑制される。
【0108】
高分子化合物層は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。物理的強度に優れていると共に、電気化学的に安定だからである。なお、高分子化合物層は、例えば、無機粒子などの絶縁性粒子を含んでいてもよい。安全性が向上するからである。無機粒子の種類は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムなどである。
【0109】
[電解液]
電解液は、上記したように、巻回電極体20に含浸されている。このため、電解液は、例えば、セパレータ23に含浸されていると共に、正極21および負極22のそれぞれに含浸されている。なお、電解液の構成は、上記した通りである。
【0110】
<2-1-2.動作>
このリチウムイオン二次電池では、例えば、充電時において、正極21からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して負極22に吸蔵される。また、リチウムイオン二次電池では、例えば、放電時において、負極22からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解液を介して正極21に吸蔵される。
【0111】
<2-1-3.製造方法>
リチウムイオン二次電池を製造する場合には、例えば、以下で説明する手順により、正極21の作製および負極22の作製を行ったのち、リチウムイオン二次電池の組み立てを行う。ただし、電解液の調製手順に関しては既に説明したため、ここでは省略する。
【0112】
[正極の作製]
最初に、正極活物質と、必要に応じて正極結着剤および正極導電剤などとを混合することにより、正極合剤とする。続いて、有機溶剤または水性溶媒などに正極合剤を分散または溶解させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。最後に、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層21Bを形成する。こののち、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層21Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。
【0113】
[負極の作製]
上記した正極21の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成する。具体的には、負極活物質と、必要に応じて負正極結着剤および負極導電剤などとを混合することにより、負極合剤としたのち、有機溶剤または水性溶媒などに負極合剤を分散または溶解させることにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層22Bを形成する。こののち、負極活物質層22Bを圧縮成型してもよい。
【0114】
[リチウムイオン二次電池の組み立て]
最初に、溶接法などを用いて正極集電体21Aに正極リード25を接続させると共に、溶接法などを用いて負極集電体22Aに負極リード26を接続させる。続いて、セパレータ23を介して正極21および負極22を互いに積層させたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23を巻回させることにより、巻回体を形成する。続いて、巻回体の巻回中心に設けられた空間20Cにセンターピン24を挿入する。
【0115】
続いて、一対の絶縁板12,13により巻回体が挟まれた状態において、その巻回体を絶縁板12,13と一緒に電池缶11の内部に収納する。この場合には、溶接法などを用いて正極リード25を安全弁機構15に接続させると共に、溶接法などを用いて負極リード26を電池缶11に接続させる。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入することにより、その電解液を巻回体に含浸させる。これにより、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれに電解液が含浸されるため、巻回電極体20が形成される。
【0116】
最後に、ガスケット17を介して電池缶11の開放端部をかしめることにより、その電池缶11の開放端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を取り付ける。これにより、電池缶11の内部に巻回電極体20が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0117】
<2-1-4.作用および効果>
この円筒型のリチウムイオン二次電池によれば、電解液が上記した本技術の一実施形態の電解液と同様の構成を有しており、すなわち電解液がジオキサン化合物を含んでいる。この場合には、上記した理由により、電解液の分解反応が抑制されると共に、不要なガスの発生が抑制される。よって、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
【0118】
特に、負極が炭素材料およびケイ素含有材料などを含んでいれば、十分な電池容量が担保されながら、リチウムイオン二次電池が十分に膨れにくくなるため、より高い効果を得ることができる。
【0119】
これ以外の円筒型のリチウムイオン二次電池に関する作用および効果は、上記した電解液に関する作用および効果と同様である。
【0120】
<2-2.ラミネートフィルム型>
次に、リチウムイオン二次電池の他の一例として、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池に関して説明する。以下の説明では、随時、既に説明した円筒型のリチウムイオン二次電池の構成要素(
図1および
図2参照)を引用する。
【0121】
図3は、他のリチウムイオン二次電池の斜視構成を表していると共に、
図4は、
図3に示したIV-IV線に沿ったリチウムイオン二次電池の主要部(巻回電極体30)の断面構成を拡大している。ただし、
図3では、巻回電極体30と外装部材40とが互いに離間された状態を示している。
【0122】
<2-2-1.構成>
このリチウムイオン二次電池では、例えば、
図3に示したように、柔軟性(または可撓性)を有するフィルム状の外装部材40の内部に電池素子(巻回電極体30)が収納されている。
【0123】
巻回電極体30は、例えば、セパレータ35および電解質層36を介して正極33および負極34が互いに積層されたのち、その正極33、負極34、セパレータ35および電解質層36が巻回された構造体である。巻回電極体30の表面は、例えば、保護テープ37により保護されている。電解質層36は、例えば、正極33とセパレータ35との間に介在していると共に、負極34とセパレータ35との間に介在している。
【0124】
正極33には、正極リード31が接続されており、その正極リード31は、外装部材40の内部から外部に向かって導出されている。正極リード31の形成材料は、例えば、正極リード25の形成材料と同様であり、その正極リード31の形状は、例えば、薄板状および網目状などである。
【0125】
負極34には、負極リード32が接続されており、その負極リード32は、外装部材40の内部から外部に向かって導出されている。負極リード32の導出方向は、例えば、正極リード31の導出方向と同様である。負極リード32の形成材料は、例えば、負極リード26の形成材料と同様であり、その負極リード32の形状は、例えば、正極リード31の形状と同様である。
【0126】
[外装部材]
外装部材40は、例えば、
図3に示した矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムである。外装部材40の一部には、例えば、巻回電極体30を収納するための窪み40Uが設けられている。
【0127】
この外装部材40は、例えば、内側から外側に向かって融着層、金属層および表面保護層がこの順に積層された積層体(ラミネートフィルム)である。リチウムイオン二次電池の製造工程では、例えば、融着層同士が巻回電極体30を介して互いに対向するように外装部材40が折り畳まれたのち、その融着層のうちの外周縁部同士が互いに融着される。融着層は、例えば、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含むフィルムである。金属層は、例えば、アルミニウムなどの金属材料を含む金属箔である。表面保護層は、例えば、ナイロンなどの高分子化合物を含むフィルムである。ただし、外装部材40は、例えば、2枚のラミネートフィルムであり、その2枚のラミネートフィルムは、例えば、接着剤を介して互いに貼り合わされていてもよい。
【0128】
外装部材40と正極リード31との間には、例えば、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31に対して密着性を有する材料を含んでおり、その材料は、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂である。
【0129】
外装部材40と負極リード32との間には、例えば、密着フィルム41と同様の機能を有する密着フィルム42が挿入されている。密着フィルム42の形成材料は、正極リード31の代わりに負極リード32に対する密着性を有することを除いて、密着フィルム41の形成材料と同様である。
【0130】
[正極、負極およびセパレータ]
正極33は、例えば、正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bを含んでいると共に、負極34は、例えば、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bを含んでいる。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34Aおよび負極活物質層34Bのそれぞれの構成は、例えば、正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bのそれぞれの構成と同様である。また、セパレータ35の構成は、例えば、セパレータ23の構成と同様である。
【0131】
[電解質層]
電解質層36は、電解液と共に高分子化合物を含んでいる。ここで説明する電解質層36は、いわゆるゲル状の電解質であるため、その電解質層36中では、電解液が高分子化合物により保持されている。高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に、電解液の漏液が防止されるからである。ただし、電解質層36は、例えば、さらに、各種の添加剤などの他の材料を含んでいてもよい。
【0132】
電解液の構成は、上記した通りである。高分子化合物は、例えば、単独重合体および共重合体のうちの一方または双方を含んでいる。単独重合体は、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどであると共に、共重合体は、例えば、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとの共重合体などである。
【0133】
ゲル状の電解質である電解質層36において、電解液に含まれる溶媒は、液状の材料だけでなく、電解質塩を解離可能であるイオン伝導性を有する材料も含む広い概念である。よって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
【0134】
<2-2-2.動作>
このリチウムイオン二次電池では、例えば、充電時において、正極33からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して負極34に吸蔵される。また、リチウムイオン二次電池では、例えば、放電時において、負極34からリチウムイオンが放出されると共に、そのリチウムイオンが電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
【0135】
<2-2-3.製造方法>
電解質層36を備えたリチウムイオン二次電池は、例えば、以下で説明する3種類の手順により製造される。
【0136】
[第1手順]
最初に、正極21の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成することにより、正極33を作製する。また、負極22の作製手順と同様の手順により、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成することにより、負極34を作製する。
【0137】
続いて、電解液を調製したのち、その電解液と、高分子化合物と、有機溶剤などとを混合することにより、前駆溶液を調製する。続いて、正極33に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層36を形成する。また、負極34に前駆溶液を塗布したのち、その前駆溶液を乾燥させることにより、電解質層36を形成する。続いて、溶接法などを用いて正極集電体33Aに正極リード31を接続させると共に、溶接法などを用いて負極集電体34Aに負極リード32を接続させる。続いて、セパレータ35および電解質層36を介して正極33および負極34を互いに積層させたのち、その正極33、負極34、セパレータ35および電解質層36を巻回させることにより、巻回電極体30を形成する。続いて、巻回電極体30の表面に保護テープ37を貼り付ける。
【0138】
最後に、巻回電極体30を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40の外周縁部同士を互いに接着させる。この場合には、外装部材40と正極リード31との間に密着フィルム41を挿入すると共に、外装部材40と負極リード32との間に密着フィルム42を挿入する。これにより、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0139】
[第2手順]
最初に、正極33および負極34を作製したのち、正極33に正極リード31を接続させると共に、負極34に負極リード32を接続させる。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を互いに積層させたのち、その正極33、負極34およびセパレータ35を巻回させることにより、巻回体を形成する。続いて、巻回体の表面に保護テープ37を貼り付ける。続いて、巻回体を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、熱融着法などを用いて外装部材40のうちの一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部同士を互いに接着させることにより、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。
【0140】
続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを混合したのち、その混合物を撹拌することにより、電解質用組成物を調製する。続いて、袋状の外装部材40の内部に電解質用組成物を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40を密封する。最後に、モノマーを熱重合させることにより、高分子化合物を形成する。これにより、電解液が高分子化合物により保持されるため、電解質層36が形成される。よって、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0141】
[第3手順]
最初に、基材層の両面に高分子化合物層が設けられたセパレータ35を用いることを除いて、上記した第2手順と同様の手順により、巻回体を作製したのち、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、外装部材40の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などを用いて外装部材40の開口部を密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら、その外装部材40を加熱することにより、高分子化合物層を介してセパレータ35を正極33および負極34のそれぞれに密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸されると共に、その高分子化合物層がゲル化するため、電解質層36が形成される。よって、外装部材40の内部に巻回電極体30が封入されるため、リチウムイオン二次電池が完成する。
【0142】
この第3手順では、第1手順と比較して、リチウムイオン二次電池が膨れにくくなる。また、第3手順では、第2手順と比較して、溶媒およびモノマー(高分子化合物の原料)が電解質層36中に残存しにくくなるため、正極33、負極34およびセパレータ35のそれぞれに対して電解質層36が十分に密着される。
【0143】
<2-2-4.作用および効果>
このラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池によれば、電解質層36に含まれている電解液が上記した本技術の一実施形態の電解液と同様の構成を有しており、すなわち電解液がジオキサン化合物を含んでいる。よって、円筒型のリチウムイオン二次電池と同様の理由により、優れた電池特性を得ることができる。これ以外のラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池に関する作用および効果は、円筒型のリチウムイオン二次電池に関する作用および効果と同様である。
【0144】
<3.変形例>
ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池は、電解質層36の代わりに電解液を備えていてもよい。この場合には、電解液が巻回電極体30に含浸されているため、その電解液が正極33、負極34およびセパレータ35のそれぞれに含浸されている。また、袋状の外装部材40の内部に巻回体が収納されたのち、その袋状の外装部材40の内部に電解液が注入されることにより、その巻回体に電解液が含浸されるため、巻回電極体30が形成される。この場合においても同様の効果を得ることができる。
【0145】
<4.リチウムイオン二次電池の用途>
上記したリチウムイオン二次電池の用途は、例えば、以下で説明する通りである。ただし、電解液の用途は、リチウムイオン二次電池の用途と同様であるため、その電解液の用途に関しては、以下で併せて説明する。
【0146】
リチウムイオン二次電池の用途は、そのリチウムイオン二次電池を駆動用の電源および電力蓄積用の電力貯蔵源などとして利用可能である機械、機器、器具、装置およびシステム(複数の機器などの集合体)などであれば、特に限定されない。電源として用いられるリチウムイオン二次電池は、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、例えば、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、必要に応じて主電源から切り替えられる電源でもよい。リチウムイオン二次電池を補助電源として用いる場合には、主電源の種類はリチウムイオン二次電池に限られない。
【0147】
リチウムイオン二次電池の用途は、例えば、以下の通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオ、携帯用テレビおよび携帯用情報端末などの電子機器(携帯用電子機器を含む。)である。電気シェーバなどの携帯用生活器具である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。着脱可能な電源としてノート型パソコンなどに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時に備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。もちろん、リチウムイオン二次電池の用途は、上記した用途以外の他の用途でもよい。
【実施例】
【0148】
本技術の実施例に関して説明する。
【0149】
(実験例1-1~1-19)
以下で説明するように、
図3および
図4に示したラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を作製したのち、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を評価した。
【0150】
[リチウムイオン二次電池の作製]
正極33を作製する場合には、最初に、正極活物質(コバルト酸リチウム(LiCoO2 ))91質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤(黒鉛)6質量部とを混合することにより、正極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて正極集電体33A(帯状のアルミニウム箔,厚さ=12μm)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを乾燥させることにより、正極活物質層33Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて正極活物質層33Bを圧縮成型した。
【0151】
負極34を作製する場合には、最初に、負極活物質(炭素材料である黒鉛,メジアン径D50=15μm)97質量部と、負極結着剤(スチレンブタジエン共重合体のアクリル酸変性体)1.5質量部と、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)1.5質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、水性溶剤(純水)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体34A(帯状の銅箔,厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーを乾燥させることにより、負極活物質層34Bを形成した。最後に、ロールプレス機を用いて負極活物質層34Bを圧縮成型した。
【0152】
電解液を調製する場合には、溶媒(炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸エチルメチルおよびプロピオン酸プロピル)に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム)を加えたのち、その溶媒を撹拌した。この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸プロピレン:炭酸エチルメチル:プロピオン酸プロピル=30:10:40:20とすると共に、電解質塩の含有量を溶媒に対して1.2mol/kgとした。続いて、溶媒にジオキサン化合物を加えたのち、その溶媒を撹拌した。ジオキサン化合物の種類および電解液中におけるジオキサン化合物の含有量(重量%)は、表1に示した通りである。
【0153】
なお、比較のために、ジオキサン化合物の代わりに他の化合物を用いたことを除いて同様の手順により、電解液を調製した。他の化合物の種類および電解液中における他の化合物の含有量は、表1に示した通りである。
【0154】
リチウムイオン二次電池を組み立てる場合には、最初に、正極集電体33Aにアルミニウム製の正極リード31を溶接すると共に、負極集電体34Aに銅製の負極リード32を溶接した。続いて、セパレータ35を介して正極33および負極34を互いに積層させることにより、積層体を得た。続いて、積層体を巻回させたのち、その積層体に保護テープ37を貼り付けることにより、巻回体を得た。
【0155】
セパレータ35としては、両面に高分子化合物層が設けられた基材層を用いた。セパレータ35を作製する場合には、最初に、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に高分子化合物(ポリフッ化ビニリデン)および無機粒子(酸化アルミニウム,メジアン径D50=0.3μm)を加えたのち、その有機溶剤を撹拌することにより、分散液を得た。この場合には、高分子化合物と無機粒子との混合比(重量比)を高分子化合物:無機粒子=20:80とした。続いて、分散液中に基材層(12μm厚の微多孔性ポリエチレンフィルム)を浸漬させた。続いて、分散液中から基材層を取り出したのち、水性溶媒(純水)を用いて有機溶剤を取り除いた。最後に、熱風(温度=80℃)を用いて基材層を乾燥させた。これにより、基材層の両面に高分子化合物層(合計の厚さ=5μm)が形成されたため、セパレータ35が得られた。
【0156】
続いて、巻回体を挟むように外装部材40を折り畳んだのち、その外装部材40のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着した。外装部材40としては、表面保護層(ナイロンフィルム,厚さ=25μm)と、金属層(アルミニウム箔,厚さ=40μm)と、融着層(ポリプロピレンフィルム,厚さ=30μm)とがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムを用いた。この場合には、外装部材40と正極リード31との間に密着フィルム41(ポリプロピレンフィルム)を挿入すると共に、外装部材40と負極リード32との間に密着フィルム42(ポリプロピレンフィルム)を挿入した。
【0157】
最後に、外装部材40の内部に電解液を注入することにより、その電解液を巻回体に含浸させたのち、減圧環境中において外装部材40のうちの残りの1辺の外周縁部同士を熱融着した。これにより、巻回電極体30が形成されると共に、その巻回電極体30が外装部材40の内部に封入されたため、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池が完成した。
【0158】
[リチウムイオン電池特性の評価]
リチウムイオン二次電池の電池特性を評価したところ、表1に示した結果が得られた。ここでは、電池特性として膨れ特性を調べた。
【0159】
膨れ特性を調べる場合には、最初に、リチウムイオン二次電池の状態を安定化させるために、常温環境中(温度=23℃)においてリチウムイオン二次電池を2サイクル充放電させた。充電時には、0.2Cの電流で電圧が4.45Vに到達するまで定電流充電したのち、4.45Vの電圧で電流が0.05Cに到達するまで定電圧充電した。放電時には、0.2Cの電流で電圧が2.5Vに到達するまで定電流放電した。なお、0.2Cおよび0.05Cとは、電池容量(理論容量)をそれぞれ5時間および20時間で放電しきる電流値である。
【0160】
続いて、同環境中においてリチウムイオン二次電池を充電させたのち、その充電状態のリチウムイオン二次電池の厚さ(保存前の厚さ(mm))を測定した。充電条件は、上記した通りである。
【0161】
続いて、高温環境中(温度=75℃)において充電状態のリチウムイオン二次電池を保存(保存時間=150時間)したのち、その充電状態のリチウムイオン二次電池の厚さ(保存後の厚さ(mm))を測定した。
【0162】
最後に、膨れ率(%)=[(保存後の厚さ-保存前の厚さ)/保存前の厚さ]×100を算出した。
【0163】
【0164】
[考察]
表1に示したように、膨れ率は、電解液の構成に応じて大きく変動した。
【0165】
具体的には、電解液が他の化合物を含んでいる場合(実験例1-17~1-19)には、電解液が他の化合物を含んでいない場合(実験例1-16)と比較して、膨れ率が僅かしか減少せず、場合によっては膨れ率が増加した。より具体的には、膨れ率の減少率は、最大でも約22%にすぎなかった。
【0166】
これに対して、電解液がジオキサン化合物(第1ジオキサン化合物および第2ジオキサン化合物)を含んでいる場合(実験例1-1~1-15)には、電解液がジオキサン化合物を含んでいない場合(実験例1-16)と比較して、膨れ率が大幅に減少した。より具体的には、膨れ率の減少率は、最大で約41%に達した。
【0167】
すなわち、電解液がジオキサン化合物を含んでいる場合における膨れ率の減少率は、電解液がジオキサン化合物を含んでいない場合における膨れ率の減少率に対して約2倍になった。
【0168】
特に、電解液がジオキサン化合物を含んでいる場合には、電解液中における第1ジオキサン化合物の含有量が0.001重量%~5重量%であると共に、電解液中における第2ジオキサン化合物の含有量が0.001重量%~5重量%であると、膨れ率が十分に減少した。
【0169】
(実験例2-1~2-36)
表2~表4に示したように、電解液に添加剤を加えたことを除いて同様の手順により、ジオキサン化合物を用いてリチウムイオン二次電池を作製したのち、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を調べた。
【0170】
添加剤(溶媒)としては、不飽和環状炭酸エステル(炭酸ビニレン(VC))、ハロゲン化炭酸エステル(4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン(FEC))およびジニトリル化合物(スクシノニトリル(SN))を用いた。添加剤(電解質塩)としては、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、ジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 O2 )およびビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiC4 BO8 (LiBOB))を用いた。電解液中における添加剤の含有量(重量%)は、表2~表4に示した通りである。
【0171】
電池特性としては、膨れ特性に加えてサイクル特性も調べた。サイクル特性を調べる場合には、最初に、上記した手順により、リチウムイオン二次電池の状態を安定化させたのち、常温環境中(温度=23℃)においてリチウムイオン二次電池を充放電させることにより、3サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同環境中においてリチウムイオン二次電池を100サイクル充放電させたのち、103サイクル目の放電容量を測定した。最後に、容量維持率(%)=(103サイクル目の放電容量/3サイクル目の放電容量)×100を算出した。なお、充放電条件は、膨れ特性を調べた場合と同様にした。
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
表2~表4に示したように、電解液が添加剤を含んでいると(実験例2-1~2-36)、電解液が添加剤を含んでいない場合(実験例1-1,1-4,1-6,1-9,1-11,1-14)と比較して、膨れ率が十分に抑えられながら容量維持率が増加した。特に、電解液がジニトリル化合物を用いると、膨れ率が減少しながら容量維持率が増加した。
【0176】
(実験例3-1~3-19)
表5に示したように、負極活物質の種類を変更したことを除いて同様の手順により、ジオキサン化合物を用いてリチウムイオン二次電池を作製したのち、そのリチウムイオン二次電池の電池特性を調べた。ここでは、負極活物質として炭素材料(黒鉛)の代わりにケイ素含有材料(ケイ素の単体)を用いた。
【0177】
負極34を作製する場合には、最初に、負極活物質(ケイ素,メジアン径D50=1μm)90質量部と、ポリイミド前駆体5質量部と、負極導電剤(黒鉛)5質量部とを混合することにより、負極合剤とした。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン純水)に負極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。続いて、コーティング装置を用いて負極集電体34A(帯状の銅箔,厚さ=15μm)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーの塗膜を乾燥させた。続いて、ロールプレス機を用いて塗膜を圧縮成型した。最後に、真空雰囲気中において塗膜を加熱(加熱温度=400℃,加熱時間=12時間)した。これにより、負極結着剤(ポリイミド)が形成されたため、負極活物質層34Bが形成された
【0178】
【0179】
表5に示したように、負極活物質としてケイ素含有材料を用いた場合においても、負極活物質として炭素材料を用いた場合(表1)と同様の結果が得られた。
【0180】
すなわち、電解液が他の化合物を含んでいる場合(実験例3-17~3-19)には、電解液が他の化合物を含んでいない場合(実験例3-16)と比較して、膨れ率が僅かしか減少せず、場合によっては膨れ率が増加した。これに対して、電解液がジオキサン化合物を含んでいる場合(実験例3-1~3-15)には、電解液がジオキサン化合物を含んでいない場合(実験例3-16)と比較して、膨れ率が大幅に減少した。
【0181】
より具体的には、電解液が他の化合物を含んでいる場合における膨れ率の減少率は、最大でも約13%にすぎなかったが、電解液がジオキサン化合物を含んでいる場合における膨れ率の減少率は、最大で約37%に達した。すなわち、電解液がジオキサン化合物を含んでいる場合における膨れ率の減少率は、その電解液がジオキサン化合物を含んでいない場合における膨れ率の減少率に対して約3倍になった。
【0182】
[まとめ]
表1~表5に示した結果から、電解液がジオキサン化合物を含んでいると、リチウムイオン二次電池の膨れ特性が改善された。よって、リチウムイオン二次電池において優れた電池特性が得られた。
【0183】
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の態様は、一実施形態および実施例において説明された態様に限定されないため、種々に変形可能である。
【0184】
具体的には、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池に関して説明したが、これらに限られない。例えば、円筒型のリチウムイオン二次電池、角型のリチウムイオン二次電池およびコイン型のリチウムイオン二次電池などの他のリチウムイオン二次電池でもよい。
【0185】
また、リチウムイオン二次電池に用いられる電池素子が巻回構造を有する場合に関して説明したが、これに限られない。例えば、電池素子が積層構造などの他の構造を有していてもよい。
【0186】
なお、上記した電解液は、リチウムイオン二次電池に限られず、他の用途に適用されてもよい。他の用途は、例えば、キャパシタなどの他の電気化学デバイスなどである。
【0187】
本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して他の効果が得られてもよい。