(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
F21S 9/02 20060101AFI20220823BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220823BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220823BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20220823BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20220823BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20220823BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20220823BHJP
F21V 21/40 20060101ALI20220823BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220823BHJP
【FI】
F21S9/02 100
F21S2/00 612
F21V29/503
F21V29/67 100
F21V29/74
F21V3/00 320
F21V3/02 310
F21V21/40
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020559782
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 JP2019041964
(87)【国際公開番号】W WO2020116049
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2018230074
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018230075
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】咲間 伸一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼阿田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】神田 伊吹
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-020953(JP,A)
【文献】特表2008-542976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090677(US,A1)
【文献】中国実用新案第204134158(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 9/02
F21S 2/00
F21V 29/503
F21V 29/67
F21V 29/74
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 21/40
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する本体部と、
前記本体部に設けられ、バッテリが着脱可能なバッテリ収納部と、
前記発光部を覆うとともに、前記本体部の一部を覆うバルーンと、
前記発光部を冷却するためのヒートシンクと、
外気を取り込むための吸気口と、
前記吸気口から取り込まれた空気を前記ヒートシンクに送風するためのファンと、
前記ヒートシンクを通過した空気を排気するための排気口と、を備え、
前記ヒートシンク、前記ファン及び前記バッテリ収納部は前記本体部の上下方向において一直線上に配置され、
前記排気口は前記バルーン内で開口しており、
前記排気口から排出される空気によって前記バルーンを膨らませる、電気機器。
【請求項2】
前記排気口から排出される空気によって前記バルーンを温める、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記本体部の上下方向において、前記ヒートシンクの下方に前記ファンが位置し、前記ファンの下方に前記バッテリが位置しており、前記ヒートシンク、前記ファン及び前記バッテリが前記本体部の上下方向の中心軸上に配置されている、請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記ファンの回転によって発生する空気流によって前記バッテリ及び前記ヒートシンクが冷却され、
前記バッテリ及び前記ヒートシンクを冷却した空気が前記排気口から排出される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記吸気口及び前記排気口は、次の(1)~(3)の少なくとも1つを満足するように配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電気機器。
(1)前記吸気口及び前記排気口は、前記本体部の外周面に配置され、前記本体部の高さ方向において、前記吸気口が前記排気口よりも低い位置にある。
(2)前記排気口は、前記ヒートシンクの側方に配置されている。
(3)前記吸気口は、前記本体部の高さ方向において前記バッテリ収納部と前記ファンとの間に設けられている。
【請求項6】
前記本体部の外周面にハンドルが取り付けられ、前記ハンドルは前記本体部の高さ方向において、前記ヒートシンクと前記バッテリとの間、又は、前記吸気口と前記排気口との間に配置されている、請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記本体部の外周面に操作パネルが設けられており、前記操作パネルは前記本体部の高さ方向において、前記吸気口と前記排気口との間に配置されている、請求項5又は6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記本体部は前記バッテリを充電できる、又は/及び、前記バッテリから他の電気機器に電力を供給できる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項9】
前記排気口の下方に設けられている傘状部と、前記排気口及び前記吸気口が、排水用のドレン通路を兼ねている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項10】
前記ファンと前記発光部との間を仕切る仕切り部を有し、前記仕切り部には、前記空気を通す為の通気孔が設けられる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項11】
前記発光部を覆い、かつ前記本体部に着脱自在に設けられる硬質材料の光透過性カバーを備え、
前記本体部は、前記光透過性カバーを覆う前記バルーンを着脱可能に取り付けるための取付け部を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項12】
前記光透過性カバーは前記本体部の上下方向に延びる延長部を有し、
前記延長部は前記本体部に取り付けられたハンドルに近い位置の前記排気口を覆う、請求項11に記載の電気機器。
【請求項13】
前記本体部には、前記光透過性カバーの内側空間に開口する通気孔が設けられ、
前記ファンからの空気流の一部が前記通気孔を通り、前記光透過性カバーの内側空間を経て前記排気口から排気される、請求項11又は12に記載の電気機器。
【請求項14】
前記光透過性カバーが、光拡散カバー、光集束カバー又は光直進性の透明カバーである、請求項11乃至
13のいずれか一項に記載の電気機器。
【請求項15】
前記本体部の底面には、支持脚部を連結するための取付部と前記本体部を吊り下げるための吊り下げ具の少なくとも一方が設けられている、請求項1乃至
14のいずれか一項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部を有する電気機器に係り、とくにバルーン投光機として好適に使用可能な電気機器に関する。また、バルーンを装着して又はバルーン非装着で使用可能なバルーン着脱式投光器として好適に使用可能な電気機器に関する
【背景技術】
【0002】
従来、バルーン投光機の光源としてハロゲンランプが一般的に使用されてきたが、近年、省電力及び長寿命化の観点からLEDを光源とした発光部が使用されるようになってきている。
【0003】
LED光源を用いた従来のバルーン投光機は、バルーン内にLED光源を配置し、バルーンを膨らませる空気流の一部がLED光源を冷却する構造であった。また、バルーン内にLED光源を配置し、LED光源から放射された光が直接バルーンの内側を照らす構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は支持脚上の回転台にライトを設けた投光器の一例である。従来のバルーン投光機は、バルーン内に発光部を配置し、バルーンを膨らませる空気流の一部で発光部を冷却する構造であるため、発光部の冷却効率が良好とはいえないきらいがあった。また、バルーン内に発光部を配置し、発光部としてのLED光源から放射された光が直接バルーンの内側を照らす構造であり、LEDから放射される光は白熱灯やハロゲン灯と異なり指向性が高いため、バルーンの裏側全面に均等に当たり難く、バルーン全体を均等に光らせることが困難であった。特にLED光源に近い地面を照らす部分が暗くなるため、バルーンの上部に光を反射する材質とすることで地面側を明るくする方法もあるが、バルーン上部は光を遮るため、やはりバルーン全体を均等に光らせることはできなかった。また、バルーンを外し、手で持って使用することはできなかった。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、第1の目的は、バルーンで覆われた発光部の冷却効率の向上を図ることのできる電気機器を提供することにある。第2の目的は、電気機器(投光機)のバルーンを外して、手で持って使用する場合に光拡散カバー等の光透過性カバーのみを取付けて使用することができるようにした電気機器(例えばバルーン着脱式投光機)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は電気機器である。この電気機器は、発光部を有する本体部と、前記本体部に設けられ、バッテリが着脱可能なバッテリ収納部と、前記発光部を覆うとともに、前記本体部の一部を覆うバルーンと、前記発光部を冷却するためのヒートシンクと、外気を取り込むための吸気口と、前記吸気口から取り込まれた空気を前記ヒートシンクに送風するためのファンと、前記ヒートシンクを通過した空気を排気するための排気口と、を備え、前記排気口は前記バルーン内で開口している。
【0008】
前記ヒートシンク、前記ファン及び前記バッテリ収納部は前記本体部の上下方向において一直線上に配置されてもよい。
【0009】
前記排気口から排出される空気によって前記バルーンを膨らませてもよい。
【0010】
前記排気口から排出される空気によって前記バルーンを温めてもよい。
【0011】
前記本体部の上下方向において、前記ヒートシンクの下方に前記ファンが位置し、前記ファンの下方に前記バッテリが位置しており、前記ヒートシンク、前記ファン及び前記バッテリが前記本体部の上下方向の中心軸上に配置されてもよい。
【0012】
前記ファンの回転によって発生する空気流によって前記バッテリ及び前記ヒートシンクが冷却され、前記バッテリ及び前記ヒートシンクを冷却した空気が前記排気口から排出されるように構成してもよい。
【0013】
前記吸気口及び前記排気口は前記本体部の外周面に配置され、前記本体部の高さ方向において、前記吸気口が前記排気口よりも低い位置にあってもよい。
【0014】
前記排気口は前記ヒートシンクの側方に配置されてもよい。
【0015】
前記本体部の外周面にハンドルが取り付けられ、前記ハンドルは前記本体部の高さ方向において、前記ヒートシンクと前記バッテリとの間に配置されてもよい。
【0016】
前記本体部の外周面にハンドルが取り付けられ、前記ハンドルは前記本体部の高さ方向において、前記吸気口と前記排気口との間に配置されてもよい。
【0017】
前記本体部の外周面に操作パネルが設けられており、前記操作パネルは前記本体部の高さ方向において、前記吸気口と前記排気口との間に配置されてもよい。
【0018】
前記本体部は前記バッテリを充電できる、又は/及び、前記バッテリから他の電気機器に電力を供給できる構造であってもよい。
【0019】
前記吸気口は、前記本体部の高さ方向において前記バッテリ収納部と前記ファンとの間に設けられてもよい。
【0020】
前記排気口の下方に設けられている傘状部と、前記排気口及び前記吸気口が、排水用のドレン通路を兼ねてもよい。
【0021】
前記発光部はLEDを有してもよい。
【0022】
前記ファンと前記発光部との間を仕切る仕切り部を有し、前記仕切り部には、前記空気を通す為の通気孔を設けてもよい。
【0023】
前記発光部を覆い、かつ前記本体部に着脱自在に設けられる硬質材料の光透過性カバーを備えてもよい。
【0024】
前記本体部は、前記光透過性カバーを少なくとも覆う前記バルーンを着脱可能に取り付けるための取付け部を有してもよい。
【0025】
外気を取り込むための吸気口と、前記ヒートシンクを通過した空気を排気するための排気口とが、前記本体部に設けられてもよい。
【0026】
前記本体部にハンドルが取り付けられ、前記排気口は前記ハンドルの取付位置とは異なる高さ位置に設けられてもよい。
【0027】
前記光透過性カバーは前記本体部の上下方向に延びる延長部を有し、前記延長部が前記ハンドルに近い位置の前記排気口を覆ってもよい。
【0028】
前記本体部側には、前記光透過性カバーの内側空間に開口する通気孔が設けられ、前記ファンからの空気流の一部が前記通気孔を通り、前記光透過性カバーの内側空間を経て前記排気口から排気されてもよい。
【0029】
前記本体部の底面には、支持脚部を連結するための取付部が設けられてもよい。
【0030】
前記本体部の底面には、前記本体部を吊り下げるための吊り下げ具が設けられてもよい。
【0031】
前記光透過性カバーが、光拡散カバー、光集束カバー又は光直進性の透明カバーであってもよい。
【0032】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る電気機器によれば、バルーンで覆われる発光部の冷却を効率的に行うことが可能になる。また、バルーンを外して、手で持って使用する場合に光拡散カバー等の光透過性カバーのみを取付けて使用することが可能になる。また、光透過性カバーとして光拡散カバーを用いる場合、指向性の高いLEDにおいても放射された光を均一および効率的に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る電気機器の実施の形態であって、全体構成を示す斜視図。
【
図2A】実施の形態において、本体部にバルーンを装着した状態を示す正面図。
【
図2B】実施の形態において、本体部にバルーンを装着した状態であって、コンセントを露出させたときの背面図。
【
図2C】実施の形態において、本体部にバルーンを装着した状態であって、コンセントにカバーを設けたときの背面図。
【
図3】
図2Aの場合の吸気及び排気の様子を示す正面図。
【
図4】実施の形態において、光拡散カバーを本体部に設けた状態を示す正面図。
【
図6】同じくバッテリ収納部の開閉蓋を開いた状態の斜視図。
【
図7】実施の形態において、光拡散カバー及び本体部を示す分解斜視図。
【
図9】前記光拡散カバーを本体部に設けた状態であって、空気流を示す正断面図。
【
図10】同じく前記本体部内の排水の流れを示す正断面図。
【
図11】本発明に係る電気機器の他の実施の形態であって、光拡散カバーを本体部に設けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0036】
図1から
図10は、本発明に係る電気機器の実施の形態としてバルーン投光機(バルーン着脱式投光器)を示す。バルーン投光機1は、三脚構造を持つ支持脚部2と、支持脚部2の支柱2aで支持された本体部10と、本体部10が有する発光部20を覆う光透過性カバーとしての光拡散カバー5と、光拡散カバー5を覆うとともに本体部10の一部を覆う光透過性バルーン7とを備えている。
【0037】
本体部10は、箱形の下部本体ハウジング11と、その上部にやや小径で一体的に設けられる略円筒状の上部本体ハウジング12とを有している。
図6等に示すように、本体部10はバッテリ13(電動工具用電池パック)を着脱自在に収納するためのバッテリ収納部14を、箱形の下部本体ハウジング11内に有している。バッテリ収納部14は下部本体ハウジング11の側面に開口しており、その開口は開閉蓋15で閉じられるようになっている。バッテリ収納部14の開口の周縁部には防水のためのO-リング16が設けられており、開閉蓋15が閉じた状態ではバッテリ収納部14の開口を水密に封止できる。
【0038】
図8に示すように、下部本体ハウジング11の底面には、支持脚部2を連結固定する取付部としての支持脚部固定ナット17が固定されており、支持脚部固定ナット17に支持脚部2の支柱2aが螺着される。支持脚部2に対して本体部10は着脱自在に連結される。また、下部本体ハウジング11の底面には、吊り下げ具としてのフック18が起伏自在に取り付けられている。フック18は本体部10の運搬や吊り下げ保管の便宜のために設けられている。
【0039】
図7、
図9及び
図10に示すように、発光部20は、発光素子としてのLEDを多数面状配置した発光素子群(LED群)21aを一体に有する発光素子基板21を備える。発光部20を冷却するためのヒートシンク25は、冷却用フィンを多数有するとともに平板状の基板保持部25aを一体に有し、発光素子基板21はヒートシンク25の基板保持部25a上に固定されている。基板保持部25aは略円筒状の上部本体ハウジング12の上端面の開口を塞ぐ配置であり、後述のファン30と発光部20との間を仕切る仕切り部となる。基板保持部25aは上部本体ハウジング12の上端面の開口周縁部にネジ止め固定される。ヒートシンク25の下方位置にはヒートシンク25に冷却用空気を送り込むモータ駆動の軸流ファン30が配置されている。軸流ファン30及びこれを取り囲むファンガイド31は上部本体ハウジング12内に支持されている。ファン30の下方位置にバッテリ13が配置されているから、ヒートシンク25、ファン30及びバッテリ13は本体部10の上下方向(高さ方向)の中心軸C(中心軸が鉛直であれば同一鉛直線)上にある。すなわち、ヒートシンク25、ファン30及びバッテリ13(又はバッテリ収納部14)は本体部10の上下方向において一直線上に配置されている。
【0040】
本体部10の外周面、つまり上部本体ハウジング12の外周面に吸気口41及び排気口42が配置され、本体部10の高さ方向(上下方向)において、吸気口41が排気口42よりも低い位置にある。
図9及び
図10に示す通り、吸気口41はファン30よりも下方の高さ位置で、排気口42はヒートシンク25の側方に配置されている。また、基板保持部25a及び上部本体ハウジング12の上端面の開口周縁部に通気孔43,44がそれぞれ形成されている。また、吸気口41側と排気口42側とを仕切るために仕切り部材45がファンガイド31の外側に配置されている。
【0041】
本体部10の外周面の両側にハンドル50が設けられている。つまり、一対のハンドル50は上部本体ハウジング12の外周面にそれぞれ取り付けられ、ハンドル50は本体部10の高さ方向において、バッテリ13とヒートシンク25との間に配置されている。このハンドル50の位置は、本体部10の高さ方向において、吸気口41と排気口42との間でもある。ハンドル50の高さ位置は、本体部10の重心の高さに近い位置に設定され、本体部10の運搬が容易となるようにしている。
図2Bに示すように、前記重心Qは、好ましくは、ハンドル50と下部本体ハウジング11の間の中心軸C付近に設けられるようにするのが良く、具体的には
図2Bの点線QRの範囲内に位置するとよい。こうすることで、ハンドル50を持った時のバランス(安定感)が良くなる。また、それぞれのハンドル50は、円環状の部材にて構成されており、ハンドルとして把持できる他、盗難防止、あるいは後述するフック18の使用時における鎖(図示せず)で係合できるようになっている。
【0042】
光透過性カバーとしての光拡散カバー5は、所定の光透過率を有する樹脂等の硬質材料からなり、LEDを多数面状配置した発光素子群21aを搭載した発光素子基板21の発光を周囲360度全体に拡散させる機能を有する。光拡散カバー5の形状は上端面が閉じた偏平円筒状であり、円筒状部分の内周面に雌螺子部5aが形成されている。上部本体ハウジング12の上端部外周面に形成された雄螺子部12aに光拡散カバー5の雌螺子部5aが螺合することにより、光拡散カバー5は本体部10に着脱自在に装着される(取り付けられる)。
【0043】
下部本体ハウジング11内には、発光素子基板21上の発光素子群21aを点灯させるための発光素子駆動回路基板61及び電源回路基板62が収納されている。バッテリ収納部14にバッテリ13が装着されたバッテリ使用時は、バッテリ13の直流電源で発光素子駆動回路基板61が動作し、発光素子基板21上の発光素子群20aを点灯させる。図示しないが、バッテリ13の直流電源だけでなく、商用電源(例えばAC100V)でも動作可能なように下部本体ハウジング11の背面に、
図2Bのように商用電源入力用コネクタ80が設けられている。このコネクタからの商用電源入力が電源回路基板62に供給され、電源回路基板62の直流出力で発光素子駆動回路基板61を作動させるようになっている。更に、下部本体ハウジング11には商用電源出力用コンセント81が設けられていて、他の電気機器等(バルーン投光機)に電力を供給することができる。これらの商用電源入力用コネクタ80、商用電源出力用コンセント81には、
図2Cに示す防水、防塵の為のカバー82、83が設けられていて、使用しないときには塞ぐことができる。なお、電源回路基板62の直流出力はバッテリ13の充電にも使用でき、商用電源入力用コネクタ80に商用電源が供給されていて、バルーン投光機が使用されていない時などに、バッテリ13に充電するようにしても良いし、バルーン投光機自体の消費電力が少ない時に、充電するようにしても良い。こうすることで、商用電源が停電になったときに、バッテリ13がバッテリ収納部14に装着されていれば、バッテリ13からの直流電源で発光素子群20aの点灯を継続させることができる。また、操作パネル70で発光部20の光量が調節可能な場合、光量に増減に対応させてファン30の送風量を増減してもよい。さらに、充電が完了しているバッテリ(電動工具用電池パック)13を取り出し、他の電気機器や、電動工具(例えば、ドライバーやインパクトレンチ等)に使用することもできる。
【0044】
本体部10の外周面に操作パネル70が設けられている。操作パネル70はバルーン投光機1の点灯、消灯、光量の調整を行うスイッチや、バッテリ駆動と商用電源駆動との切り替え操作等を行うためのスイッチを有している。なお、光量の調整は、例えば、スイッチを押す毎に、高、中、低の3段階を順次繰り返すようなトグル型の操作部になっている。更に、常夜灯モードや、バッテリ駆動における出力低下時などで、消費電力を抑制、すなわち、バッテリ駆動時間の延長化のために、発光部の一部分のみを発光させるようにしても良い。操作パネル70は本体部10の高さ方向において、吸気口41と排気口42との間の上部本体ハウジング12外周面に配置されている。
【0045】
バルーン7は所要の光透過性及び光散乱性を有する布材等(例えば布に樹脂を塗布したもの)で形成され、内部に空気を送り込むことで略球状あるいは楕円(偏平球体)状や円筒状に膨らむものである。バルーン7は下部に開口しており、その開口の周囲に、上部本体ハウジング12の外周面(排気口42からの冷却風で膨らむバルーン7を取付けるための取付け部)に巻付け固定可能な面ファスナー、ひも、フック等の装着手段7aを有している。バルーン7は発光部20のカバーである光拡散カバー5を覆うとともに、本体部10の一部を覆うように本体部10に着脱自在に装着される。バルーン7の下部開口の固定位置は、吸気口41と排気口42の間でハンドル50よりも上の上部本体ハウジング12外周面である。バルーン7は下部開口の周囲に面ファスナー等の装着手段7aを有することで、バルーン下部開口と上部本体ハウジング12外周面との間に、なるべく隙間が生じないようにバルーン7を本体部10に取り付けることが可能である。また、排気口42はバルーン7内で開口しており、排気口42からの排気でバルーン7を膨らませることができる。
図3のように、吸気口41から本体部10内に吸入された外気(矢印IN)は、本体部10内のヒートシンク25や光拡散カバー5の内側を通過し、それらの熱を奪って温まった排気(矢印OUT)となって排気口42からバルーン7内に排気される。なお、冷却用空気の流れは後で詳述する。
【0046】
バルーン7を外した状態で投光機として使用する場合、吸気口41だけでなく排気口42も外気にさらされる。つまり、吸気口41及び排気口42から入った雨水のドレン対策が必要となる。このため、
図10に示すように、吸気口41側と排気口42側とを仕切るために上部本体ハウジング12内に固定される仕切り部材45と、ファンガイド31との間に僅かな隙間Gを設けている。吸気口41側にはファンガイド31の下方に位置する下部ファンガイド46が上部本体ハウジング12の内側下部に固定され、下部ファンガイド46は吸気口41の下縁に接続する傘状部46aを有している。従って、排気口はそれ自体が内部から排気風の排気によって雨水を排出可能であるのみならず、排気口42からの矢印R1のように入った雨水は仕切り部材45上に滴下し、仕切り部材45と、ファンガイド31間の隙間Gを経て傘状部46aに降下し、矢印R2のように吸気口41から外部に排出される。つまり、吸気口41は排水用のドレン口を兼ねている。吸気口41に浸入した雨水も下部ファンガイド46の傘状部46a上を伝わって吸気口41の外部に排出される。なお、バルーン7を装着した場合、湿度が高い環境では、吸気された空気に含まれる水分が光源から離れたバルーンの頂部等において結露し、排気口に向かって滴下する場合があるが、この場合も、同様に排気口42から仕切り部材45や傘状部46aを介して吸気口41から排気される。
【0047】
以上の実施の形態に示すバルーン投光機1の動作について説明する。操作パネル70でバルーン投光機1の点灯操作を行えば、商用電源又はバッテリ13の直流電源により発光素子駆動回路基板61に直流電力が供給され、発光部20が有する発光素子基板21の発光素子群20aが発光する。発光素子群20aからの光が光拡散カバー5で360度方向に拡散され、さらにバルーン7を光らせて外部に拡散光を照射する。発光素子群20aの点灯により発光素子基板21は発熱するが、発光素子基板21が載置された基板保持部25aが一体のヒートシンク25を、ファン30からの冷却風によって放熱することで冷却される。
【0048】
図9で吸気口41から取り込まれた外気が本体部10内のヒートシンク25や光拡散カバー5内を通って排気口42から排気として排出されるまでの経路を説明する。ファン30が回転することで矢印A1~A4の方向に空気流が発生する。矢印A1のように吸気口41内に取り込まれた外気は、ファン30で矢印A2,A3のように冷却用空気としてヒートシンク25に送風される。ヒートシンク25を通過した空気流の過半は矢印A2,A4の経路でヒートシンク25の側方に位置する排気口42からバルーン7内に排気として排出される。残りの空気流は矢印A3のように基板保持部25aの通気孔43を通過して光拡散カバー5の内側に入って光拡散カバー5内を冷却してから上部本体ハウジング12の上端面の開口周縁部の通気孔44を経て矢印A4の経路で排気口42からバルーン7内に排気として排出される。なお、ファン30が回転することによる負圧で矢印A5,A6方向の空気流が生じ、バッテリ13や発光素子駆動回路基板61、電源回路基板62を冷却する空気流を発生させることもできる。
【0049】
バルーン7内に排出される排気は、外気がヒートシンク25等を通過することで温められており、バルーン7は排気により膨らむとともに温められる。これによって、バルーン7の柔軟性が高まり、円滑に膨張させることが可能である。なお、バルーン7を使用する場合は、必ずしも光拡散カバー5を使用する必要は無い。
【0050】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0051】
(1) 本体部10内のファン30の回転により、吸気口41から取り込まれた空気を発光部20を冷却するヒートシンク25に冷却風として送出し、ヒートシンク25を通過した空気をバルーン7の内側に開口した排気口42から排出してバルーン7を膨らませる構成である。このため、実質的にファン30による空気流の全てを発光部20の冷却に利用でき、発光部20の冷却効率が良い。
【0052】
(2) 発光部20は多数のLEDを面状に配置した発光素子基板21を用いることで、省電力及び長寿命化を図ることができる。
【0053】
(3) 排気口42から排出される排気は外気よりも温かくなっており、バルーン7を膨らませるとともに温めることが可能である。バルーン7の膨張を円滑化できる。
【0054】
(4) ヒートシンク25、ファン30及びバッテリ13が本体部10の上下方向の中心軸上に配置されているため、重心バランスが向上し、本体部10の支持脚部2による支持も安定する。
【0055】
(5) 吸気口41及び排気口42は本体部10の外周面に配置され、本体部10の高さ方向において、吸気口41が排気口42よりも低い位置にあり、排気口42はヒートシンク25の側方に配置されているから、複雑な風路構成をとらず省スペース化を図ることができる。
【0056】
(6) バルーン7を装着しないで使用した場合、排気口42が外気にさらされるが、排気口から浸入した雨水がドレン口を兼ねた吸気口41から排水されるから、バルーン7を外した状態での投光機として好適に使用できる。また、バッテリ13を着脱自在に収納する本体部10のバッテリ収納部14は防水構造であり、とくにバルーン7を外したときの雨対策として有効である。
【0057】
(7) 本体部10の外周面にハンドル50が取り付けられ、ハンドル50は本体部10の高さ方向において、ヒートシンク25とバッテリ13との間(換言すれば、吸気口41と排気口42との間)に配置されているから、ハンドル50は本体部10の重心の高さに近い位置に設定されることになり、本体部10の運搬が容易となる。
【0058】
(8) 本体部10の底面には、吊り下げ具としてのフック18が起伏自在に取り付けられているから、本体部10の運搬や吊り下げ保管に便利である。
【0059】
(9) 光透過性カバーとして光拡散カバー5を用いることで、指向性の高いLEDにおいても放射された光を均一および効率的に利用することが可能になる。
【0060】
図11及び
図12は本発明の他の実施の形態を示す。この場合、本体部10に着脱自在に装着される光拡散カバーの構造が前述の実施の形態とは異なっている。
図11及び
図12の光拡散カバー5は下方に延在した延長部5bを有している。そして、光拡散カバー5を本体部10の外周面上端部に装着(螺着)したときに、ハンドル50に近い位置に開口する排気口42を覆うようになっている。これにより、手でハンドル50を握った時に排気口42から排気される暖かい風が手に当たらないようできる。その他の構成は前述の実施の形態と同様である。
【0061】
バルーンを使用しない投光機として用いる場合、ハンドル50の付近が排気で熱くなりにくいため、発光部20の点灯中であっても、ハンドル50を作業者が把持して投光機の位置、向き等を変更できる。
【0062】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0063】
前述の実施の形態では、光透過性カバーとして光拡散カバーを用いたが、光拡散カバー5の代わりに光集束カバー又は光直進性の透明カバーを用いることができる。光集束カバーは光を集束するレンズ部を有するもので、例えば凸状レンズやフレネルレンズ等を用いることで、バルーンを用いないでスポットライト用投光機として利用するのに適する。また、光直進性の透明カバーの場合、発光部が有するLEDの発光の光直進性を利用することで、特定方向に強力な光を照射する投光機として利用することができる。予め、光透過性カバーとして光拡散カバー、光集束カバー及び光直進性の透明カバーを用意しておき、それらを本体部に対して付け替えることで、多用途な投光機としての機能を発揮できる。
【0064】
発光部の発光素子としてLEDを例示したが、有機EL発光体等を発光素子として使用可能である。更に、投光機には通信手段を設け、複数の投光機とリンクできるようにしておき、リンクしている投光器の内の一台がオンされたら、他の投光機も同様に点灯したり、照度等も同様に変化したりするようにしておいても良く、さらに1台のリモコンで、複数台の投光機をコントロールできるようにしても良いし、一対一でコントロールできるようにしても良い。
【符号の説明】
【0065】
1…バルーン投光機、2…支持脚部、5…光拡散カバー、5a…雌螺子部、5b…延長部、7…光透過性バルーン、10…本体部、13…バッテリ、14…バッテリ収納部、15…開閉蓋、18…フック、20…発光部、21…発光素子基板、25…ヒートシンク、25a…基板保持部、30…軸流ファン、41…吸気口、42…排気口、43,44…通気孔、50…ハンドル、61…発光素子駆動回路基板、62…電源回路基板、70…操作パネル。