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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】蓋開閉装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220823BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65B69/00 103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021501711
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2020001662
(87)【国際公開番号】W WO2020170672
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2019030400
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 顕史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良太
(72)【発明者】
【氏名】布目 涼馬
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-175321(JP,A)
【文献】特開2002-009133(JP,A)
【文献】特開2007-141924(JP,A)
【文献】特開2015-093696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、上蓋と、前記容器本体に前記上蓋が装着された状態において前記容器本体に対して前記上蓋を係止する係止機構と、前記上蓋に設けられ、前記容器本体に対して所定値を超えて上方に回動させられると前記係止機構による係止を解除させる水平方向の片部と、を備える容器の前記上蓋を開閉する蓋開閉装置であって、
前記容器を載置する載置台と、
前記載置台の上方かつ両側方に設けられ、前記容器が前記載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、前記片部の下面に当接して前記片部を前記容器本体に対して前記所定値を超えて上方に回動させる案内部と、
前記係止機構による係止が解除された前記容器本体と前記上蓋とを上下方向に相対的に移動させる昇降機構と、を備える、蓋開閉装置。
【請求項2】
前記容器が前記載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、前記片部の上方において対向する前記上蓋の側部の上面に当接する上側案内部を備える、請求項1に記載の蓋開閉装置。
【請求項3】
前記案内部の上面と、前記上側案内部の下面とにより溝が形成され、
前記上蓋の側部及び前記片部は、前記溝に沿って移動可能である、請求項2に記載の蓋開閉装置。
【請求項4】
前記溝は、前記昇降機構に備えられる、請求項3に記載の蓋開閉装置。
【請求項5】
前記溝は、前記上蓋の側部及び前記片部を保持し、
前記昇降機構は、前記溝により保持された前記案内部及び前記上側案内部を、前記容器本体に対して昇降させる昇降駆動部を備える、請求項4に記載の蓋開閉装置。
【請求項6】
前記載置台は、前記容器が挿入される際の入り口側の先端部分に傾斜部が設けられる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蓋開閉装置。
【請求項7】
前記案内部の入り口側の先端部分に、傾斜面又は曲面が設けられる、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の蓋開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場等では、レチクル等の物品がレチクルポッド等の容器に収容されて保管装置又は半導体製造装置等に搬送され、保管装置等において容器からレチクル等が取り出される。この容器は、物品を載置する容器本体と、上蓋とを有し、容器本体に上蓋が装着された状態において容器本体に対して上蓋を係止する係止機構を備えている。この係止機構は、上蓋に設けられた水平方向の片部を容器本体に対して所定値を超えて上方に回動させると係止を解除される構成が適用されている。このような係止機構を有する容器から、収容した物品を取り出すために、保管装置等では、上記した係止機構を解除して上蓋を容器本体に対して開閉させる蓋開閉装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3089590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の蓋開閉装置では、係止機構の係止を解除するためのアクチュエータを有しており、このアクチュエータを駆動して容器の係止機構を解除した後に上蓋を容器本体から上昇させる構成が適用されている。係止機構の係止を解除するアクチュエータを有する蓋開閉装置では、アクチュエータの搭載により装置が大型化するといった課題がある。
【0005】
本発明は、装置の大型化を抑制することが可能な蓋開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る蓋開閉装置は、容器本体と、上蓋と、容器本体に上蓋が装着された状態において容器本体に対して上蓋を係止する係止機構と、上蓋に設けられ、容器本体に対して所定値を超えて上方に回動させられると係止機構による係止を解除させる水平方向の片部と、を備える容器の上蓋を開閉する蓋開閉装置であって、容器を載置する載置台と、載置台の上方かつ両側方に設けられ、容器が載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、片部の下面に当接して片部を容器本体に対して所定値を超えて上方に回動させる案内部と、係止機構による係止が解除された容器本体と上蓋とを上下方向に相対的に移動させる昇降機構と、を備える。
【0007】
また、容器が載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、片部の上方において対向する上蓋の側部の上面に当接する上側案内部を備えてもよい。また、案内部の上面と、上側案内部の下面とにより溝が形成され、上蓋の側部及び片部は、溝に沿って移動可能であってもよい。また、溝は、昇降機構に備えられてもよい。また、溝は、上蓋の側部及び片部を保持し、昇降機構は、溝により保持された案内部及び上側案内部を、容器本体に対して昇降させる昇降駆動部を備えてもよい。また、載置台は、容器が挿入される際の入り口側の先端部分に傾斜部が設けられてもよい。また、案内部の入り口側の先端部分に、傾斜面又は曲面が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0008】
上記した蓋開閉装置によれば、容器が載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、案内部が片部の下面に当接して片部を容器本体に対して所定値を超えて上方に回動させ、係止機構を解除する。すなわち、容器を載置台の規定位置まで水平方向に挿入するだけで容器の係止機構を解除するので、係止機構を解除するためのアクチュエータを不要として装置の大型化を抑制することができ、また、アクチュエータ等の可動部がないので、パーティクルの発生を低減することができる。
【0009】
また、容器が載置台の規定位置まで水平方向に挿入される際に、片部の上方において対向する上蓋の側部の上面に当接する上側案内部を備える構成では、案内部により片部を上方に回動させる際に、上側案内部により上蓋が上方に移動するのを押さえることができる。従って、容器本体に対して片部を確実に回動させることができる。また、案内部の上面と、上側案内部の下面とにより溝が形成され、上蓋の側部及び片部が、溝に沿って移動可能である構成では、溝によって上蓋の側部及び片部を挟むことで、片部を確実に回動させることができる。また、溝が、昇降機構に備えられる構成では、昇降機構により溝を昇降させることで、溝に挟まれている上蓋の側部及び片部(すなわち上蓋)を容易に昇降させることができる。また、溝が、上蓋の側部及び片部を保持し、昇降機構が、溝により保持された案内部及び上側案内部を、容器本体に対して昇降させる昇降駆動部を備える構成では、溝により上蓋の保持部を兼ねるので、別途上蓋を保持するための保持部が不要となり、部品数の増加を回避できる。さらに、係止機構による係止が解除された上蓋を容易に容器本体から離すことができる。また、載置台が、容器が挿入される際の入り口側の先端部分に傾斜部が設けられる構成では、容器を挿入する際に容器の下部が傾斜部に案内されることで、容器を適正な高さにすることができる。また、案内部の入り口側の先端部分に、傾斜面又は曲面が設けられる構成では、容器を挿入する際に片部が傾斜面又は曲面に当たることで、片部を案内部上に適切に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る蓋開閉装置の一例を示す斜視図である。
図2】蓋開閉装置を-X側から視た図である。
図3】蓋開閉装置を-Y側から視た図である。
図4】容器の一例を示す分解斜視図である。
図5】(A)は、容器の係止機構による係止を解除した図、(B)は、上蓋を容器本体に対して上方に移動させた図である。
図6】容器を載置台に配置する前の状態を示す図である。
図7】容器を載置台の規定位置に配置した状態を示す図である。
図8】(A)は、図7における要部を拡大して示す図、(B)は、図7に示す状態において係止機構が解除された状態を示す図である。
図9】上蓋を上方に移動させる動作の一例を示す図である。
図10】第2実施形態に係る蓋開閉装置の一例を示す斜視図である。
図11】(A)から(C)は、シャッタを開閉する動作の一例を示す図であり、側壁部の外側の状態を示す。
図12】(A)から(C)は、シャッタを開閉する動作の一例を示す図であり、側壁部の内側の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載する等、適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図においては、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系では、上下方向(鉛直方向)をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。Y方向は、水平方向内における一方向であって、後述する容器の挿入方向である。X方向は、Y方向と直交する方向である。また、X、Y、Z方向の各方向について、適宜、矢印が指す向きを+方向(例えば、+X方向)と表現し、矢印が指す向きの反対方向を-方向(例えば、-X方向)と表現する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る蓋開閉装置100の一例を示す斜視図である。図2は、蓋開閉装置100を-X側から視た図である。図3は、蓋開閉装置100を-Y側から視た図である。図1から図3に示す蓋開閉装置100は、容器本体1及び上蓋2を有し、レチクル等の物品が収容される容器3の上蓋2を開閉する。
【0013】
容器3は、容器本体1に上蓋2が装着された状態において容器本体1に対して上蓋2を係止する係止機構4を備えている。容器3は、物品であるレチクルRを収容するレチクルポッドである。係止機構4は、上蓋2に設けられた水平方向の片部5aを容器本体1に対して所定値を超えて上方へ回動させると係止を解除される構成が適用されている。なお、容器3の詳細については後述する。本実施形態の蓋開閉装置100は、このような係止機構4を有する容器3から、収容した物品を取り出すために、上記した係止機構4を解除して上蓋2を容器本体1に対して開閉させる。
【0014】
蓋開閉装置100は、載置台10と、下側案内部(案内部)20と、上側案内部30と、昇降機構40とを備える。図1から図3に示す蓋開閉装置100は、容器3を上下2段に配置する形態を示しているが、この形態に限定されず、1つの容器3を載置する形態であってもよいし、3つ以上の容器3を上下に配置する形態であってもよい。載置台10は、容器3を載置する規定位置Pが定められている。載置台10は、Y方向に延在する2本の棒状部材であって、X方向に複数並んで平行して配置されている。載置台10は、容器3の+X側の鍔部1d、及び-X側の鍔部1dを支持し、容器3を水平面に平行に載置する。
【0015】
載置台10の-Y側端部は、容器3を挿入するための入り口部分に相当する。容器3は、この入り口部分から+Y方向に挿入されて載置台10上に配置される。載置台10の-Y側の端部(入り口部分)には、傾斜部11が設けられる。傾斜部11は、-Y側の端部から+Y側に向けて、上側(+Z側)に傾くように形成される。傾斜部11が設けられることにより、容器3を挿入する際に容器3の鍔部1dが傾斜部11から載置台10に案内され、容器3を適正な高さに配置することができる。また、各載置台10の内側の面(-X側の載置台10の+X側の面、+X側の載置台10の-X側の面)には、それぞれ第2傾斜部11aが設けられている。容器3が挿入される際、第2傾斜部11aは、容器本体1において鍔部1dを形成するために底部から立設された側部(図4参照)と接触して、容器3(容器本体1)をX方向の適正な位置に案内して位置決めする。なお、第2傾斜部11aは、各載置台10において、-Y側の端部から設けられてもよい。
【0016】
また、蓋開閉装置100は、容器3を挿入するための入り口側において、2本の載置台10の間の部分を下方側に凹ませた凹部12が設けられている。この凹部12が設けられることにより、例えば、作業者等により容器3を載置台10上に挿入する際、又は載置台10上の容器3を取り出す際に、作業者の手が邪魔されず、その結果、容器3を持ちやすくして、容器3の出し入れにおける利便性を向上させている。載置台10の+Y側の上方には押え部13が設けられている。押え部13は、載置台10の上面から、容器本体1の鍔部1dの厚さの分だけ上方に配置されている。押え部13は、容器3が規定位置Pに配置された場合、載置台10上の鍔部1dの上面側に配置され、容器本体1が上方に移動するのを規制する。
【0017】
なお、容器3が規定位置Pに配置された場合に、容器本体1の+Y側に当たる不図示のストッパが設けられてもよい。このストッパは、容器3が規定位置Pに配置された際に、容器3が配置された位置から+Y方向への容器本体1の移動を規制し、容器本体1をY方向において位置決めしてもよい。また、蓋開閉装置100は、規定位置Pに配置された容器3の抜け(-Y方向への移動)を規制するための保持部材14を備えている。保持部材14は、先端側を蓋開閉装置100の内側に向けた状態で設けられる。保持部材14は、例えば、図示しない弾性部材により内側に向けて弾性的に支持された、図示しない突起部を備える。この突起部は、容器3が規定位置Pに配置された際に、鍔部1dに設けられた段部1f(図4参照)の-Y側に弾性部材により突出し、規定位置Pに配置された容器3の-Y方向への移動を規制する。なお、保持部材14は、図6図7、及び図9において省略している。
【0018】
下側案内部20は、+X側及び-X側の各載置台10に対して上方に設けられる。下側案内部20は、載置台10が延在する方向に沿って配置される。下側案内部20は、容器3が載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入された際に、容器3に設けられている係止機構4の片部5aの下面に当接して、この片部5aを容器本体1に対して所定値を超えて上方に回動させる。片部5aの下面には、下側案内部20の上面20aが当接する。下側案内部20は、入り口側(-Y側)の先端部分に、傾斜面又は曲面が設けられる。本実施形態では、下側案内部20の-Y側の先端部分に曲面21が設けられる。曲面21が設けられることにより、容器3を挿入する際に片部5aが曲面21に当たることで、片部5aを下側案内部20上に適切に案内することができる。
【0019】
下側案内部20は、奥側(+Y側)の端部が上方に屈曲され、後述する上側案内部30に取り付けられている。下側案内部20の上面20aの+Y側は上方に向かい屈曲しており、ストッパ22を形成する。ストッパ22は、規定位置Pに配置された容器3の突出片2cの+Y側の端部が当たることで、容器3が規定位置Pからさらに+Y方向に移動しないように規制する。
【0020】
上側案内部30は、2つの下側案内部20それぞれの上方に、下側案内部20に沿ってY方向に延在して設けられる。上側案内部30と下側案内部20とは平行に設けられている。また、上側案内部30は、下側案内部20よりもY方向の長さが長い。上側案内部30は、容器3が載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入された際に、片部5aの上方において対向する上蓋2の側部2aの上面に当接する。上側案内部30が設けられることにより、下側案内部20により片部5aを上方に回動させる際に、上蓋2を上方から押さえることができる。すなわち、側部2aと片部5aとを上側案内部30と下側案内部20とで挟み込むことにより、上側案内部30で側部2a(上蓋2)の上方への移動を規制しつつ、下側案内部20で片部5aを上方に回動させている。
【0021】
上側案内部30は、下側案内部20に対して上下方向(Z方向)に所定の距離Lを隔てて配置される(図8参照)。この所定の距離Lは、例えば、下側案内部20と上側案内部30との間で上蓋2の側部2aと片部5aとを挟み、上蓋2の上昇を抑えつつ、片部5aを容器本体1に対して所定値を超えて上方に回動させ(片部5aの端部を上方に移動させ)、係止機構4による係止を解除することが可能な距離である。また、上側案内部30の下面30aで上蓋2の側部2aの上面を押さえるので、下側案内部20により片部5aを上方に回動させる際に、上蓋2の上方への移動を規制し、係止機構4による係止を確実に解除させることができる。また、下側案内部20と上側案内部30との間で上蓋2の側部2aと片部5aとを挟むことにより上蓋2を保持する。すなわち、下側案内部20及び上側案内部30は、上蓋2の保持部として機能する。また、下側案内部20の先端部分と、上側案内部30とは、ブラケット23を介して連結されている。下側案内部20は、ストッパ22の近傍から-Y方向に延在して片持ちで設けられている。ブラケット23により下側案内部20の先端部分と、上側案内部30とが連結されることで下側案内部20の剛性を向上させ、下側案内部20の先端部分が垂れ下がるのを防止している。なお、ブラケット23は、図1において表記し、他の図においては省略している。
【0022】
上側案内部30は、例えば板状の昇降部材31に取り付けられ、昇降部材31の昇降により昇降する。また、上側案内部30に取り付けられている下側案内部20は、上側案内部30及び昇降部材31の昇降により昇降する。すなわち、下側案内部20及び上側案内部30は、昇降部材31と一体的に昇降する。昇降部材31は、昇降機構40により昇降させられる。昇降機構40の駆動は、容器3が規定位置Pに配置されたことをセンサ等により検知して不図示の制御装置等により自動で行われる構成であってもよいし、作業者が図示しない操作盤を操作すること(マニュアル操作)により行われる構成であってもよい。
【0023】
昇降機構40は、係止機構4による係止が解除された容器本体1に対して、上蓋2を上昇させる。なお、昇降機構40は、容器本体1に対して上蓋2を上昇させる構成に限定されず、上蓋2に対して容器本体1を下降させる構成であってもよいし、上蓋2を上昇させかつ容器本体1を下降させる構成であってもよい。昇降機構40は、昇降駆動部41を有する。昇降駆動部41は、昇降部材31を昇降させる。昇降駆動部41としては、例えばエアシリンダ装置等が用いられる。昇降部材31を昇降させることにより、上記のように、上蓋2を保持した下側案内部20及び上側案内部30を、容器本体1に対して昇降させることができる。
【0024】
また、昇降部材31の+Y側の端部には、カバー部32が設けられる。カバー部32は、昇降部材31の+Y側の端部から下方に向けて屈曲して設けられ、昇降部材31の端部から垂下して配置される。カバー部32は、例えば柵状に設けられて、作業者が筐体70内に手を突っ込んだ際に、さらに筐体70より奥に配置されている各種装置(例えば、レチクルRの搬送装置)が作動する領域まで手を入れないように規制する。なお、カバー部32は、昇降部材31と一体的に昇降し、昇降部材31の下降時には載置台10の+Y側(筐体70の背面部73に設けられた不図示の開口部)に配置され、昇降部材31の上昇時には昇降部材31とともに上昇して、容器本体1の+Y側を開放する。従って、上蓋2を上昇させた際に、容器本体1に載置されているレチクルRを、蓋開閉装置100の+Y側(不図示の開口部)から出し入れすることが可能となる。
【0025】
図4は、容器3の一例を示す分解斜視図である。図5(A)は、容器3の係止機構4による係止を解除した図、(B)は、上蓋を容器本体に対して上方に移動させた図である。図4及び図5に示すように、容器本体1は、例えば矩形の板状である。容器本体1は、矩形板状のレチクルRを支持する複数の支持部1aを有する。複数の支持部1aは、レチクルRの角部に対応する4カ所にそれぞれ配置される。各支持部1aには、位置決め部1bが設けられる。位置決め部1bは、レチクルRの+Y側及び-Y側を支持し、レチクルRのY方向の位置ずれを防止する。また、容器本体1には、位置決め部1cが設けられる。位置決め部1cは、レチクルRの+X側及び-X側を支持し、レチクルRのX方向の位置ずれを防止する。なお、容器本体1におけるレチクルRの支持方法は任意であり、上記した構成に限定されない。
【0026】
容器本体1の+X側と-X側には、それぞれ鍔部1dを有する。鍔部1dは、容器本体1の対向する2辺に沿って形成される。鍔部1dは、Y方向に沿って延在し、容器本体1の底部と平行である。鍔部1dは、底部に対してZ方向に立設された側部があり、その側部からX方向に鍔状に設けられている。この鍔部1dは、段部により容器本体1の底部に対して上方に配置される。鍔部1dの一部には、係止部1eを有する。係止部1eは、鍔部1dにおいて長手方向であるY方向のほぼ中央部に設けられる。また、鍔部1dの縁部において+Y側及び-Y側には段部1fが設けられる。この段部1f(+Y側の段部1f)は、容器3が規定位置Pに配置された際に、上記した保持部材14(図1等参照)の図示しない突出部に係止され、容器3の-Y方向への移動を規制する。
【0027】
上蓋2は、側部2aと、側壁部2bと、突出片2cとを有する。側部2aは、例えば平面視で矩形状の天板部分の+X側及び-X側にそれぞれ突出して設けられている。側壁部2bは、平面視において矩形枠状であり、天板部の外周に沿って設けられてる。側壁部2bは、容器本体1において2つの鍔部1d(底部に立設された一対の側部)の間に挿入可能な大きさに設けられる。突出片2cは、側部2aの+Y側にそれぞれ側壁部2bから外側に突出するように設けられる。突出片2cの厚み寸法は、突出片2cが上記した下側案内部20と上側案内部30との間に挿入可能となるように設定されている。突出片2cは、+Y側端部が下側案内部20のストッパ22に当たることで、載置台10上における容器3の挿入方向の位置を規定する。
【0028】
また、容器3は、係止機構4を有する。係止機構4は、係止部材5と、軸6と、弾性部材7とを有する。これら係止部材5、軸6、及び弾性部材7は、上蓋2に設けられる。係止部材5は、側部2aの下方に配置される。係止部材5は、片部5aと、垂下部5bと、爪部5cとを有する。片部5aは、側部2aに沿って水平方向に延在し、側部2aに対して下方に所定の間隔をあけて配置される。垂下部5bは、片部5aの側壁部2b側から下方に屈曲された部分である。爪部5cは、垂下部5bの下端に設けられ、容器本体1の係止部1eに係止される。
【0029】
軸6は、片部5aの側壁部2b側に配置され、軸心方向がY軸方向となるように上蓋2(側部2a)に設けられる。軸6は、係止部材5を回転可能に支持する。つまり、係止部材5は、軸6を中心として回転可能である。換言すれば、片部5aは、軸6まわりに回動可能に設けられており、片部5aの回動に伴って垂下部5b及び爪部5cの容器本体1(係止部1e)に対する位置が変化する。片部5aが軸6まわりに上方(+Z軸方向)に回動すると、垂下部5b及び爪部5cは容器本体1から離間する。片部5aが軸6まわりに下方(-Z軸方向)に回動すると、垂下部5b及び爪部5cは容器本体1に接近する。弾性部材7は、片部5aと側部2aとの間に配置される。弾性部材7は、例えばコイルスプリング等が用いられ、片部5aに対して下向きの弾性力を付与する。
【0030】
図5(A)に示すように、片部5aに対して弾性部材7の弾性力よりも大きな力が上向きに加えられた場合、片部5aの端部が側部2aに近づく方向に回動し、その結果、係止部材5が軸6を中心として回動する。片部5aが容器本体1に対して所定値を超えて上方に回動した場合、又は側部2aの上面と片部5aの端部の下面との間の距離が所定の距離L(図8参照)よりも小さくなった場合には、爪部5cが容器本体1から離間し、係止部1eから外れた状態となる。爪部5cが係止部1eから外れることにより、係止機構4による上蓋2の係止が解除される。係止機構4による上蓋2の係止が解除された状態では、平面視において爪部5cと係止部1eとが重なっていない。
【0031】
図5(B)に示すように、係止機構4による係止が解除された状態で、上蓋2を上方に移動させることにより、上蓋2が容器本体1から離れる。この結果、上蓋2が容器本体1から取り外され、容器3が開いた状態(レチクルRを取り出し又は載置可能な状態)となる。なお、係止機構4による係止が解除された状態で、容器本体1を下降させても、容器3が容器本体1に対して上方に移動した状態となる。なお、上蓋2が容器本体1に装着され、この容器3が載置台10から取り出されることで(すなわち片部5aが下側案内部20から離れることで)、弾性部材7により片部5aが押されて下方に回動し、係止部材5を回動させて爪部5cを容器本体1に接近させることにより、爪部5cが係止部1eに係止された状態に戻る。
【0032】
次に、上記した蓋開閉装置100に容器3を配置し、上蓋2を開く動作の一例について図6から図9を用いて説明する。なお、図6から図9では、1つの容器3を例に挙げて説明している。図6は、容器3を載置台10に配置する前の状態を示す図である。図6に示すように、1つの載置台10の入り口部分の手前側(-Y側)に容器3が配置される。この容器3は、例えば、作業者が手で持った状態であってもよいし、ロボットハンド等により保持された状態であってもよい。
【0033】
容器3は、例えば、容器3の鍔部1dが載置台10の高さとなるように配置される。この状態から、容器3を+Y方向に挿入して、容器3を規定位置Pに配置させる。なお、容器3を挿入する際に、鍔部1dの高さが載置台10より低い場合であっても、鍔部1dが傾斜部11に当たって案内されることにより、鍔部1dを載置台10に載置された状態で容器3を挿入することができる。容器3が挿入されると、係止機構4の片部5aが下側案内部20の曲面21に到達する。この片部5aは、曲面21に当たることで、下側案内部20上に適切に案内される。片部5aが下側案内部20上に案内されると、片部5aは、下側案内部20により上方に回動させられた状態となる。すなわち、容器3を規定位置Pまで挿入する途中で、片部5aは、下側案内部20により上方に回動させられた状態となる。
【0034】
また、容器3が挿入されると、上蓋2の側部2aは、上側案内部30に当たって案内される。なお、容器3を挿入する際、側部2aが上側案内部30に当たり始めるタイミングは、片部5aが下側案内部20に案内され始めるタイミングよりも前である。容器3は、挿入の途中から、側部2aが上側案内部30に案内され、かつ、片部5aが下側案内部20に案内された状態で規定位置Pまで挿入される。なお、片部5aが下側案内部20により上方に回動させられた状態では、係止機構4は係止を解除している。また、容器3は、突出片2cがストッパ22に当たるまで挿入される。作業者は、容器3が止まる(それ以上押し込めない状態となる)まで挿入することにより、容器3を規定位置Pに容易に配置させることができる。
【0035】
図7は、容器3を規定位置Pに配置した状態を示す図である。図8(A)は、図7における要部を拡大して示す図である。図8(B)は、図7に示す状態において上蓋2の係止機構4の一例を模式的に示す図である。図7に示すように、容器3が載置台10の規定位置Pに配置された状態では、側部2aと片部5aとが下側案内部20と上側案内部30とで挟まれており、上蓋2は、下側案内部20と上側案内部30とで保持されている。
【0036】
図8(A)及び(B)に示すように、上蓋2の両側の片部5aが下側案内部20により案内され、片部5aが弾性部材7の弾性力に抗して、容器本体1(容器3)に対して上方に回動させられた状態となる。また、上蓋2の側部2aは、上面が上側案内部30の下面30aに当接している。なお、片部5aが上方に回動させられた際、上蓋2には上方に向けた力が作用する。この力は上側案内部30により受け止められるので、上蓋2は、上下方向の位置が維持される。図8(B)に示すように、下側案内部20の上面20aと、上側案内部30の下面30aとの間は所定の距離Lに設定されている。この所定の距離Lは、片部5aを上方に回動させて係止機構4による係止を解除させるのに必要な距離である。すなわち、片部5aは、所定の距離Lとなるまで下側案内部20により上方に回動させられることで、係止機構4による係止を確実に解除させることができる。
【0037】
また、側部2aは上側案内部30により上方への移動が押さえられている。このため、片部5aが上方に回動させられるときに上蓋2が上方に移動することを防止し、容器本体1に対して片部5aを確実に上方に回動させることができる。この片部5aの上方への回動により、係止部材5が軸6を中心として回動し、爪部5cが容器本体1の係止部1eから外れる。その結果、係止機構4による係止が解除され、上蓋2を容器本体1に対して上方に移動させることが可能となる。なお、容器3は、規定位置Pに配置されている間、係止機構4による係止が解除された状態が維持される。
【0038】
図9は、上蓋2を開く動作の一例を示す図である。図9に示すように、昇降機構40の昇降駆動部41により昇降部材31を上昇させることで、昇降部材31と一体の下側案内部20及び上側案内部30が上昇させられる。上蓋2の両側の側部2a及び片部5aは、下側案内部20と上側案内部30との間に挟まれて保持されているので、下側案内部20及び上側案内部30の上昇により、上蓋2も容器本体1に対して上昇する。上蓋2が上昇することで、容器本体1の上面側が開放された状態となり、容器本体1に対してのレチクルRの取り出し又は載置が可能となる。
【0039】
なお、下側案内部20の上面20aは、片部5aの下面が摺動し、上側案内部30の下面30aは、上蓋2の側部2aの上面が摺動する。従って、下側案内部20の上面20a及び上側案内部30の下面30aの一方又は双方は、摩擦を低減する加工が施されてもよいし、摩擦を低減するための被膜が形成されてもよい。このような摩擦を低減する構成が適用されることで、容器3の挿入又は取り出し時においてパーティクルの発生を低減できる。また、下側案内部20の上面20aは、係止機構4による係止が解除された状態、つまり片部5aが上方に回動させられた状態で片部5aの下面に面同士で接触するように、内側が下方に傾いた状態で形成されてもよい。この構成により、片部5aが下側案内部20によって安定して支持される。
【0040】
このように、本実施形態に係る蓋開閉装置100によれば、容器3が載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入された際に、下側案内部20が片部5aの下面に当接して片部5aを容器本体1に対して所定値を超えて上方に回動させることで係止機構4を解除する。すなわち、容器3を載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入するだけで容器3の係止機構4が解除されるので、係止機構4を解除するためのアクチュエータを不要として装置の大型化を抑制することができ、また、アクチュエータ等の可動部がないので、パーティクルの発生を低減することができる。
【0041】
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態に係る蓋開閉装置200の一例を示す斜視図である。図10に示すように、蓋開閉装置200は、第1実施形態に係る蓋開閉装置100の構成に加えて、容器3を挿入するための入り口部分を開閉可能なシャッタ50と、シャッタ50を開閉するシャッタ駆動機構60と、上記した蓋開閉装置100を囲む筐体70とを有する。シャッタ50及びシャッタ駆動機構60は、容器3を挿入する入り口部分ごとに(載置台10ごと)に設けられる。筐体70は、2つの側壁部71と、背面部73とを有する。側壁部71は、蓋開閉装置200の+X側及び-X側にそれぞれ配置される。なお、図10に示す蓋開閉装置200において、昇降機構40の記載を省略している。筐体70の背面部73には、不図示の開口部が設けられる。この開口部は、載置台10に載置された容器3に対応して設けられる。容器3に収容されたレチクルRの取り出し、又は、容器3へのレチクルRの載置は、不図示の開口部を介して行われる。
【0042】
シャッタ50は、例えば板状であり、筐体70の2つの側壁部71の相互間に配置される。シャッタ50のそれぞれには、筐体70内を視認可能な窓部50aが設けられている。シャッタ50は、容器3を挿入する入り口部分を閉じた閉状態と、入り口部分を開放した開状態とに移動可能である。シャッタ50は、閉状態で平面に沿った方向が上下方向となり、開状態で平面に沿った方向が水平方向又はほぼ水平方向となる。シャッタ50には、X方向の両端側かつ閉状態で上端側にそれぞれ連結部51が設けられる。2つの側壁部71には、それぞれ連結部51が移動する軌跡に対応する溝部72が設けられる。シャッタ50は、連結部51から吊り下げられて(連結部51に片持ちされた状態で)設けられる。溝部72は、X方向に視て、上に凸となった円弧状に設けられている。溝部72の長手方向における長さは、シャッタ50を開状態とするのに必要な長さに設定されている。溝部72の幅(長手方向と直交する長さ)は、連結部51が移動するのに必要な幅に設定されている。
【0043】
また、シャッタ50は、閉状態で下方かつ内面側にマグネット52(図11図12等参照)を有する。蓋開閉装置200は、載置台10の下方に、上記マグネット52が吸着する被吸着部53を有する。なお、シャッタ50に被吸着部53が設けられ、載置台10の下方にマグネット52が設けられてもよい。
【0044】
シャッタ駆動機構60は、駆動部61と、リンク部材62と、シャッタ支持ローラ63(図12参照)とを有する。駆動部61は、例えばエアシリンダ装置が用いられるがこの構成に限定されず、例えば、電動モータ及びボールねじ機構等、他の構成が用いられてもよい。本実施形態に係る駆動部61は、シリンダ61a及びシャフト61bを有する。シリンダ61aは、X方向に沿って設けられた軸部材61dによって側壁部71に支持される。シリンダ61aは、軸部材61dを中心としてX軸まわりに回転可能である。シャフト61bは、シリンダ61aから突出する方向及びシリンダ61aに収容される方向に往復移動可能である。シャフト61bの先端には、軸受部61cが設けられる。
【0045】
リンク部材62は、シャッタ駆動機構60の駆動部61と、シャッタ50の連結部51とを連結し、駆動部61の駆動力を連結部51を介してシャッタ50に伝達する。リンク部材62は、例えば三角形状の板状体である。リンク部材62は、3つの角部のうち1つの角部が軸部材62aによって側壁部71に支持される。リンク部材62は、軸部材62aを中心としてX軸まわりに回転可能である。また、リンク部材62は、3つの角部のうち上記とは異なる1つの角部がシャフト61bの先端の軸受部61cに連結される。リンク部材62は、軸受部61cに対してX軸まわりに相対的に回転可能である。また、リンク部材62は、3つの角部のうち上記2つとは異なる1つの角部が、連結部51に連結される。リンク部材62は、連結部51に対してX軸まわりに相対的に回転可能である。
【0046】
図11(A)から(C)及び図12(A)から(C)は、シャッタ50を開閉する動作の一例を示す図である。図11は側壁部71の外側の状態を示し、図12は側壁部71の内側の状態を示している。なお、シャッタ50の開閉は、不図示の制御装置により自動で行ってもよいし、作業者によるマニュアル操作により行ってもよい。また、図11及び図12では、上下2つのシャッタ50を同時に駆動しているが、個別に駆動させることができる。
【0047】
図11(A)に示すように、駆動部61のシャフト61bがシリンダ61aから所定長突出した状態とすることにより、リンク部材62が軸部材62aを中心として時計まわりの方向の端部に配置される。この場合、図12(A)に示すように、シャッタ50の連結部51が溝部72の手前側(-Y側)の端部に配置される。この連結部51の位置では、シャッタ50がシャッタ支持ローラ63の手前側に垂下し、シャッタ50が閉状態となる。なお、シャッタ50は、閉状態において下端に配置されるマグネット52が被吸着部53に吸着した状態となる。従って、シャッタ50の閉状態が維持される。
【0048】
シャッタ50が閉状態となることにより、外部からのパーティクルの侵入が抑制される。また、図12(A)に示すように、昇降部材31(下側案内部20及び上側案内部30)の上方にシャッタ50がない状態となっている。従って、シャッタ50が閉状態では、下側案内部20及び上側案内部30は、シャッタ50と干渉することなく昇降可能である。一方、容器3を挿入する入り口部分がシャッタ50により閉じられているため、容器3は、挿入できない。
【0049】
次に、図11(B)に示すように、シリンダ61aに収容される方向(収縮する方向)にシャフト61bを移動させることにより、リンク部材62が軸部材62aを中心として反時計まわりに回転する。リンク部材62の回転により、図12(B)に示すように、連結部51が奥側(+Y側)に引っ張られ、シャッタ50がシャッタ支持ローラ63を支点として回転することで、マグネット52が被吸着部53から外れてシャッタ50が徐々に開いた状態となる。そして、シャッタ50の内面側がシャッタ支持ローラ63に支持された状態で、シャッタ50が奥側(+Y方向)に移動する。
【0050】
図11(C)に示すように、シャフト61bをさらにシリンダ61aに収容することにより、リンク部材62が軸部材62aを中心としてさらに反時計まわりに回転する。リンク部材62の回転により、図12(C)に示すように、連結部51が溝部72の奥側(+Y側)の端部まで移動する。連結部51の移動により、シャッタ50の内面側がシャッタ支持ローラ63に支持された状態で、シャッタ50が奥側(+Y方向)に移動する。この結果、シャッタ50がほぼ水平方向に平行な姿勢となり、閉状態でシャッタ50の上側部分が筐体70に収容されて、シャッタ50が開状態となる。
【0051】
シャッタ50が開状態では、容器3を挿入する入り口部分が開放された状態となる。従って、容器3は、シャッタ50と干渉することなく載置台10上に挿入可能である。一方、シャッタ50が開状態では、昇降部材31(下側案内部20及び上側案内部30)の上方にシャッタ50が配置される。従って、昇降部材31(下側案内部20及び上側案内部30)は、シャッタ50と干渉するため昇降できない。その結果、シャッタ50の開状態では、容器本体1から上蓋2が上昇して、レチクルRが露出することを防止できる。
【0052】
また、シャッタ50を開状態から閉状態とするときは、上記と逆の動作により、連結部51を溝部72の手前側(-Y側)に位置させる。その結果、シャッタ50は、連結部51から垂下して、図11(A)及び図12(A)に示すように、容器3を挿入する入り口部分を閉じた状態となる。
【0053】
このように、第2実施形態に係る蓋開閉装置200によれば、第1実施形態と同様に、容器3を載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入するだけで容器3の係止機構4を解除するので、装置の大型化を抑制することができ。さらに、蓋開閉装置200によれば、容器3の入り口側を開閉可能なシャッタ50を備えるので、蓋開閉装置200内に外気の流入を抑制できる。
【0054】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、載置台10の入り口側の端部に傾斜部11が設けられる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されず、傾斜部11が設けられない構成であってもよい。また、傾斜部11に代えて曲面が設けられてもよい。
【0055】
また、上記した実施形態では、下側案内部20の入り口側の先端部分に、曲面21が設けられる構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されず、曲面21に代えて傾斜面が設けられる構成であってもよい。また、傾斜面及び曲面21の双方が設けられない構成であってもよい。
【0056】
また、上記した実施形態では、容器3が載置台10の規定位置Pまで水平方向に挿入される際に、片部5aの上方において対向する上蓋2の側部2aの上面に当接する上側案内部30を備える構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。上側案内部30は、側部2aの上面に当接することに代えて、上蓋2の上面の一部に当接する構成であってもよい。また、上側案内部30は、設けられなくてもよい。例えば、容器3が重い場合には、下側案内部20により片部5aを上方に回動させても、容器3(上蓋2)は同時に上方に移動しない。従って、このような容器3の場合は、上側案内部30は、設けられなくてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、下側案内部20及び上側案内部30は、係止機構4による係止を解除した状態で上蓋2を保持する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、下側案内部20及び上側案内部30により係止機構4による係止を解除しつつ、他の保持部によって上蓋2を保持して上昇させる構成であってもよい。
【0058】
なお、上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2019-030400、及び、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0059】
G・・・溝
L・・・所定の距離
P・・・規定位置
R・・・レチクル
1・・・容器本体
2・・・上蓋
2a・・・側部
2c・・・突出片
3・・・容器
4・・・係止機構
5・・・係止部材
5a・・・片部
5c・・・爪部
10・・・載置台
11・・・傾斜部
20・・・下側案内部(案内部)
20a・・・上面
21・・・曲面
30・・・上側案内部
30a・・・下面
40・・・昇降機構
41・・・昇降駆動部
50・・・シャッタ
52・・・マグネット
53・・・被吸着部
60・・・シャッタ駆動機構
61・・・駆動部
62・・・リンク部材
71・・・側壁部
72・・・溝部
100、200・・・蓋開閉装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12