(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】3次元の物体を付加製造する装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/25 20170101AFI20220823BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220823BHJP
B29C 64/205 20170101ALI20220823BHJP
B29C 64/236 20170101ALI20220823BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220823BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20220823BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20220823BHJP
B29C 64/214 20170101ALI20220823BHJP
B22F 10/68 20210101ALI20220823BHJP
B22F 12/67 20210101ALI20220823BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220823BHJP
【FI】
B29C64/25
B29C64/153
B29C64/205
B29C64/236
B33Y30/00
B28B1/30
B29C64/35
B29C64/214
B22F10/68
B22F12/67
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2020130502
(22)【出願日】2020-07-31
(62)【分割の表示】P 2018128944の分割
【原出願日】2018-07-06
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2017-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・クレーマー
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-039230(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0182712(US,A1)
【文献】特開2016-074957(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105666883(CN,A)
【文献】特許第6026698(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の物体を付加製造する装置であって、
プロセスチャンバと、
工具ハウジングと、
工具運搬デバイスであって、前記プロセスチャンバ内で当該工具運搬デバイスによって運搬される工具ユニットを位置決めするように構成され、且つ、前記工具ユニットが前記工具ハウジング内に収容される後退位置と前記工具ユニットが前記工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされる延長位置との間で可動であるように構成された、工具運搬デバイスと、
を備え、
前記工具ユニットが前記後退位置にあり前記工具ハウジング内に収容されているとき、前記工具ハウジングは前記プロセスチャンバの環境から封止されており、
前記工具運搬デバイスが、造形モジュールの造形平面上へ造形材料を塗布するように構成された塗布デバイスを備え、前記工具ユニットが、投与モジュールの投与平面から前記造形モジュールの前記造形平面へ前記造形材料を搬送するように構成された被覆器ブレードを備え、
前記工具ハウジングが、前記プロセスチャンバに対して可動であることを特徴とする装置。
【請求項2】
3次元の物体を付加製造する装置であって、
プロセスチャンバと、
工具ハウジングと、
工具運搬デバイスであって、前記プロセスチャンバ内で当該工具運搬デバイスによって運搬される工具ユニットを位置決めするように構成され、且つ、前記工具ユニットが前記工具ハウジング内に収容される後退位置と前記工具ユニットが前記工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされる延長位置との間で可動であるように構成された、工具運搬デバイスと、
前記工具ユニットが前記後退位置にある状態で前記工具ハウジングを封止するように構
成された、工具ハウジングカバーと、
を備え、
前記工具運搬デバイスが、造形モジュールの造形平面上へ造形材料を塗布するように構成された塗布デバイスを備え、前記工具ユニットが、投与モジュールの投与平面から前記造形モジュールの前記造形平面へ前記造形材料を搬送するように構成された被覆器ブレードを備え、
前記工具ハウジングが、前記プロセスチャンバに対して可動であることを特徴とする装置。
【請求項3】
3次元の物体を付加製造する装置であって、
プロセスチャンバと、
工具ハウジングと、
工具運搬デバイスであって、前記プロセスチャンバ内で当該工具運搬デバイスによって運搬される工具ユニットを位置決めするように構成され、且つ、前記工具ユニットが前記工具ハウジング内に収容される後退位置と前記工具ユニットが前記工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされる延長位置との間で可動であるように構成された、工具運搬デバイスと、
前記プロセスチャンバを第1のプロセスチャンバ領域と第2のプロセスチャンバ領域とに分離するように構成された、プロセスチャンバ分離要素であって、前記第1のプロセスチャンバ領域が、3次元の物体を付加製造するための処理平面を備え、前記第2のプロセスチャンバ領域が、当該第2のプロセスチャンバ領域内で可動な前記工具ハウジングを備える、プロセスチャンバ分離要素と、
を備え、
前記工具運搬デバイスが、造形モジュールの造形平面上へ造形材料を塗布するように構成された塗布デバイスを備え、前記工具ユニットが、投与モジュールの投与平面から前記造形モジュールの前記造形平面へ前記造形材料を搬送するように構成された被覆器ブレードを備え、
前記工具ハウジングが、前記プロセスチャンバに対して可動であることを特徴とする装置。
【請求項4】
前記第1のプロセスチャンバ領域を前記第2のプロセスチャンバ領域から封止するように構成された封止ユニットであって、前記工具運搬デバイス及び/又は前記工具ユニットの動き及び/又は位置に関連して変形可能及び/又は可動である封止ユニット、並びに/或いは、
前記工具ユニットを洗浄するように及び/又は前記工具ユニットから残留物を除去するように構成された洗浄ユニットであって、少なくとも部分的に前記工具ハウジング内に及び/又は少なくとも部分的に前記プロセスチャンバの工具交換領域内に位置付けられた洗浄ユニット、並びに/或いは、
前記工具ユニットを取り替えるように構成された取替えユニットであって、少なくとも部分的に前記工具ハウジング内に及び/又は少なくとも部分的に前記プロセスチャンバの前記工具交換領域内に位置付けられた取替えユニット、
を備えることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセスチャンバ分離要素が前記封止ユニットを備え、前記封止ユニットは、前記処理平面の上方に位置付けられた前記プロセスチャンバ分離要素の下部に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記工具ハウジング内に配置された収容ユニットであって、前記洗浄ユニットによって前記工具ユニットから除去された残留物を収容及び/又は案内するように構成された収容ユニットを備えることを特徴とする、
請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
3次元の物体を付加製造する装置であって、
プロセスチャンバと、
工具ハウジングと、
工具運搬デバイスであって、前記プロセスチャンバ内で当該工具運搬デバイスによって運搬される工具ユニットを位置決めするように構成され、且つ、前記工具ユニットが前記工具ハウジング内に収容される後退位置と前記工具ユニットが前記工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされる延長位置との間で可動であるように構成された、工具運搬デバイスと、
を備え、
工具ハウジングカバーが、前記工具ユニットに連結されており、
前記工具運搬デバイスが、造形モジュールの造形平面上へ造形材料を塗布するように構成された塗布デバイスを備え、前記工具ユニットが、投与モジュールの投与平面から前記造形モジュールの前記造形平面へ前記造形材料を搬送するように構成された被覆器ブレードを備え、
前記工具ハウジングが、前記プロセスチャンバに対して可動であることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記工具ユニットが、複数の交換可能な工具から成ることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記工具ハウジングが、少なくとも1つのプロセスチャンバ壁に沿って線形に可動であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
3次元の物体を付加製造する方法であって、
3次元の物体を付加製造する装置のプロセスチャンバ内に、工具ユニットを位置決めするように構成された工具運搬デバイスによって運搬される前記工具ユニットを位置決めすることを含む、方法であって、
前記工具ユニットを位置決めすることが、前記工具ユニットが工具ハウジング内に収容される後退位置と前記工具ユニットが前記工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされる延長位置との間で、前記工具運搬デバイスを動かすことを含み、
前記方法が、前記工具運搬デバイスを前記延長位置へ動かすことを含み、前記工具運搬デバイスを前記延長位置へ動かすことが、投与モジュールの投与平面上方に前記工具ユニットを位置付けることを含み、
前記方法が、前記投与平面から造形モジュールの造形平面へ造形材料を搬送することを含み、前記工具ユニットが、前記造形材料を搬送するように構成された被覆器ブレードを備え、
前記プロセスチャンバが、前記プロセスチャンバを第1のプロセスチャンバ領域と第2のプロセスチャンバ領域とに分離するように構成されたプロセスチャンバ分離要素を備え、前記第1のプロセスチャンバ領域が3次元の物体を付加製造するための処理平面を備えると共に、前記第2のプロセスチャンバ領域が前記工具ハウジングを備え、
前記工具ハウジングが、前記プロセスチャンバに対して可動であり、前記方法が、
前記工具ハウジングを前記第2のプロセスチャンバ領域内で動かすことを含むことを特徴とする、
方法。
【請求項11】
前記工具運搬デバイスを前記後退位置から前記延長位置へ動かすことを含み、前記工具運搬デバイスを前記延長位置へ動かすことが、前記工具ハウジングを前記プロセスチャンバ内に動かすことを含むことを特徴とし、及び/又は
前記工具運搬デバイスを前記延長位置から前記後退位置へ動かすことを含み、前記工具ユニットが前記後退位置にあり前記工具ハウジング内に収容されていることが、前記工具ハウジングが前記プロセスチャンバの環境から封止されていることを含むことを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造(積層造形)する装置に関し、この装置は、装置のプロセスチャンバ内で少なくとも1つの工具ユニットを位置決めするように適合された工具運搬デバイスを備える。
【背景技術】
【0002】
3次元の物体を付加製造するそのような装置は、概して従来技術から知られており、プ
ロセスチャンバ内に配置された装置の構成要素と相互作用するための工具運搬デバイスを備える。それぞれの構成要素と相互作用するために、運搬デバイスは、構成要素と相互作用するように装置のプロセスチャンバ内で少なくとも1つの工具ユニットをそれぞれ動かし又は位置決めするように適合される。
【0003】
例示的な工具ユニットは、造形材料を投与平面から造形平面へ搬送するようにプロセスチャンバ内で動かされる被覆器、特に被覆ブレードなどの塗布ユニットとすることができる。塗布タスクを実行することによって、造形材料は被覆器に付着する可能性がある。したがって、塗布ユニットがプロセスチャンバ内で、特にプロセスチャンバの領域内、たとえば塗布ユニットの停止位置へ動かされた場合、造形材料がプロセスチャンバのそのような領域内へ移送されることが可能になる。これにより、造形材料が所望されないプロセスチャンバの領域の汚染が生じる可能性がある。特に、反応性の造形材料が使用される場合、造形材料又は他の残留物それぞれによって汚染されたそれぞれの領域を洗浄しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、その装置の領域の汚染を低減又は回避することができる3次元の物体を付加製造する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載の装置によって実現される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に準拠する。
【0006】
本明細書に記載の装置は、エネルギー源、たとえばエネルギービーム、特にレーザビーム又は電子ビームによって固化することができる粉末状の造形材料(「造形材料」)の層を連続して選択的に層ごとに固化することによって3次元の物体、たとえば技術的構成要素を付加製造する装置である。それぞれの造形材料は、金属、セラミック、又はポリマー粉末とすることができる。それぞれのエネルギービームは、レーザビーム又は電子ビームとすることができる。それぞれの装置は、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置とすることができる。別法として、造形材料を連続して層ごとに選択的に固化することは、少なくとも1つの結合材料を介して実行することができる。結合材料は、対応する塗布ユニットによって塗布することができ、たとえば適したエネルギー源、たとえばUV光源で照射することができる。
【0007】
この装置は、その動作中に使用されるいくつかの機能ユニットを備えることができる。例示的な機能ユニットには、プロセスチャンバ、プロセスチャンバ内に配置された造形材料層を少なくとも1つのエネルギービームで選択的に照射するように適合された照射デバイス、及び所与の流れ特性、たとえば所与の流れプロファイル、流速などでプロセスチャンバを通って少なくとも部分的に流れるガス状流体流を生成するように適合された前述の流れ生成デバイスが挙げられる。ガス状流体流は、プロセスチャンバを通って流れる間に、固化されていない粒子状の造形材料、特にこの装置の動作中に生成される煙又は煙残留物で充填することが可能である。ガス状流体流は、典型的には不活性であり、すなわち典型的には、不活性ガス、たとえばアルゴン、窒素、二酸化炭素などの流れである。
【0008】
本発明は、工具運搬デバイスが、少なくとも1つの特に交換可能な工具ユニットを備え、工具ユニットは、工具ユニットが工具ハウジング内に収容される後退位置と、工具ユニットが工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされた延長位置との間で可動であるという概念に基づいている。
【0009】
本発明によれば、工具ハウジングを提供することが提案され、工具ハウジング内に工具ユニットを収納することができ、又は工具ハウジングからプロセスチャンバ内へ工具ユニットを延ばす(動かす)ことができる。「延ばされた」という用語は、工具ユニットの動きを工具ハウジングから出る線形の動きに限定するものではない。逆に、工具ハウジングに対して工具ユニットの任意の動きが可能である。たとえば、工具ユニットは、工具ハウジングから外へ動かすことができ、またプロセスチャンバ内で任意に動かすことができる。その後、工具ユニットは、後退位置へ、すなわち工具ハウジング内へ戻すことができる。
【0010】
したがって、工具ハウジングは、工具ユニットのための少なくとも部分的な囲壁を提供し、プロセスチャンバ内の装置のそれぞれの構成要素との相互作用が終了した後、工具ユニットをこの囲壁内に後退させる(工具ハウジング内へ戻す)ことができる。言い換えれば、工具ユニットは、装置のプロセスチャンバ内で構成要素と相互作用するために工具ハウジングから外へ動かすことができ、その後、工具ハウジング内へ戻すことができる。工具ハウジングは、工具ユニットがプロセスチャンバを通って位置決めされ又は動かされた後に造形材料又は残留物が工具ユニットに付着することによるプロセスチャンバの領域の汚染を低減又は回避することができる。たとえば、工具ハウジングは、工具ユニットのための「停止位置」を提供することが可能であり、造形材料又は他の残留物は、工具ハウジングによって収容することができ、プロセスチャンバの他の領域を汚染しない。
【0011】
好ましくは、工具ハウジングは、プロセスチャンバに対して可動とすることができ、特に少なくとも1つのプロセスチャンバ壁に沿って線形に可動とすることができる。この装置のこの実施形態によれば、特に工具ユニットが工具ハウジング内にある状態で、工具ハウジング自体をプロセスチャンバに対して動かすことができる。また、工具ユニットが工具ハウジングの外にある状態で、工具ハウジングを動かすことも可能である。概して、工具ハウジングの動き及び工具ユニットの動きは、互いに独立している。しかし、工具ハウジングは、工具ユニットが工具ハウジング内にある状態で、工具ユニットがプロセスチャンバ内で動作する位置へ動かされることが好ましい。したがって、プロセスチャンバ内の工具ユニットの相互作用が実行された後、工具ユニットを工具ハウジング内へ戻すことが好ましい。特に、造形材料又は煙若しくは燻りなどの他の残留物の汚染が危険である領域を通って工具ユニットを動かさなければならない場合、工具ユニットは、工具ハウジングがその中で工具ユニットを運搬する対応する動きを介して、工具ハウジング内で輸送されることが好ましい。
【0012】
たとえば、プロセスチャンバに対する工具ハウジングの位置決めを可能にする少なくとも1つの案内要素、特に線形の案内バー又はレールを設けることができる。そのような案内要素は、プロセスチャンバの少なくとも1つの壁に対して平行に配置することができ、工具ハウジングは、案内バー又はレールに沿って、プロセスチャンバの対応する壁に対して本質的に平行に動かすことができる。工具ユニットの動きは、工具ハウジングの動きから独立して、たとえば工具ユニットに割り当てられた駆動デバイスを介して実行することができ、駆動デバイスは、プロセスチャンバ内で工具ユニットを工具ハウジングの外へ動かし、且つ工具ハウジング内へ戻すように適合される。そのような駆動デバイスは、工具ハウジング内に配置することができる。
【0013】
さらに、この装置は、工具ユニットが後退位置にある状態で、工具ハウジングの内側が環境から、特にプロセスチャンバから封止されるように、改善することができる。この実施形態によれば、工具ユニットが後退位置に、すなわち工具ハウジング内に位置決めされた場合、工具ハウジングは、工具ユニットの完全な囲壁を提供する。したがって、工具ハウジングは、工具ユニットをそれぞれ収容又は収納することができる閉じた体積を制限する。したがって、工具ユニットとプロセスチャンバ内の構成要素との相互作用のために被
覆器にくっつく造形材料など、工具ユニットにくっつく残留物は、工具ハウジングから出ることができなくなる。工具ユニットによって工具ハウジング内へ取り込まれた残留物は、プロセスチャンバの領域(工具ハウジングの内側以外)を汚染しない。
【0014】
したがって、工具ユニットを介してプロセスチャンバから持ち出されたすべての残留物、特に造形材料を工具ハウジング内に収容し、工具ユニットから装置内のランダムな位置に落とさないことが可能になるため、工具運搬デバイスの動き、特に工具ユニットの動きによって引き起こされる汚染を低減させることができ、又はさらに回避することができる。これにより、少なくとも工具ユニットの運動経路に沿って汚染される装置のハウジング全体ではなく、工具ハウジングだけを洗浄(空に)し又は交換すればよいため、洗浄する労力がさらに低減される。
【0015】
環境からの封止を提供するために、工具ハウジングの開口を封止するゲートを設けることができる。ゲートは、工具ユニットが工具ハウジング内の開口を通過すること可能にするために開放することができ、後退位置にある工具ユニットによって閉鎖することができる。また、ゲートは、工具ユニットに対して透過性になるように、たとえば透過性の可撓性の弾性膜又はブラシとして設計することが可能であり、ゲートを通る工具ユニットは、ゲートを変形させるように適合され、ゲートは、工具ユニットが後退位置に戻った後に弾性的に閉鎖する。そのような透過性のゲートは、透過性のゲートが工具ユニットをしっかりと密閉するため、工具ユニットに付着した残留物の拭い取りをさらに可能にする。工具ユニットから残留物を拭い取る拭い取りの動きは、ゲートに対する工具ユニットの動きを介して実現することができる。
【0016】
この装置の別の実施形態によれば、工具ユニットに連結された工具ハウジングカバーを設けることができ、工具ハウジングカバーは、工具ユニットが後退位置にある状態で工具ハウジングを封止するように適合される。したがって、工具ハウジングカバーは、工具ユニットに(直接)連結されており、工具ユニットが後退位置に、すなわち工具ハウジング内にある場合、工具ハウジング内の開口を閉鎖(封止)する。工具ハウジングに対する工具ユニットの動きにより、工具ハウジングカバーが工具ハウジングから動かされ、特に持ち上げられる。工具ハウジングカバーが工具ハウジング内の開口から持ち上げられた状態で、工具ユニットは、工具ハウジング内の開口を自由に通過することができる。
【0017】
したがって、工具ユニットが工具ハウジング内へ後退させられたとき、工具ユニットに取り付けられた工具ハウジングカバーは再び工具ハウジングの開口上に置かれ、したがって工具ハウジングの開口を閉鎖する。したがって、工具ユニットに取り付けられた「ゲート」と見なすことができる工具ハウジングカバーを有することによって、工具ユニットが後退位置にある状態で、工具ハウジングが環境から、特に工具ハウジングを取り囲む装置の体積から封止されること、及びゲートを事前に開放する必要なく、工具ユニットを工具ハウジングの外へ動かすことができることが確実になる。たとえば、工具ハウジングカバーは、工具ユニットの自由端部、すなわち工具ユニットが後退位置にある状態で開口の方を向いている工具ユニットの端部に取り付けることができる。
【0018】
さらに、工具ユニットが延長位置にある状態で工具ハウジング内の開口を封止するように適合された別の工具ハウジングカバーを設けることができる。言い換えれば、工具ユニットの異なる区間、特に両側の区間に、2つの工具ハウジングカバーを配置することができる。工具ユニットが後退位置にある状態で、プロセスチャンバの方を向いている工具ハウジングカバーが、工具ハウジング内の開口を封止する。工具ユニットが延長位置にある状態で、工具ユニットの他方の区間内に配置された工具ハウジングカバーが、工具ハウジング内の開口を封止する。したがって、工具ハウジング内の開口は、工具ユニットが延長位置にある状態でも、工具ユニットが後退位置にある状態でも、封止することができる。
【0019】
この装置のプロセスチャンバはさらに、分離デバイスを介して、処理平面が配置された第1のプロセスチャンバ領域と、工具ハウジングが可動に配置されており又は可動に配置することができる第2のプロセスチャンバ領域とに分離することができる。分離デバイスを提供することによって、チャンバを2つの領域、特に第1のプロセスチャンバ領域及び第2のプロセスチャンバ領域に分離することができる。第1のプロセスチャンバ領域は、実際の製造プロセスが実行され、すなわち少なくとも1つの物体が付加造形される処理平面が配置されるプロセスチャンバの領域を備えることができる。投与平面(投与モジュールによって提供される造形材料の上面)及び/又は造形平面(物体が層ごとに固化される造形材料の表面)を構成するプロセスチャンバの平面を、処理平面として理解することができる。
【0020】
したがって、プロセスチャンバは、物体が製造され、したがって造形材料及び他の残留物が存在する第1のプロセスチャンバ領域と、概して煙、燻り、又は造形材料などの残留物のない状態に保つことができる第2のプロセスチャンバ領域とに分離することができる。したがって、工具ユニットは、第1のプロセスチャンバ領域内で装置の構成要素と相互作用し、特に(新しい)造形材料を投与平面から造形平面へ搬送する塗布ユニットとして工具ユニットを使用することができ、造形材料は、工具ユニットに付着する可能性がある。第1のプロセスチャンバ領域における工具ユニットとこの装置の構成要素との相互作用が終了した場合、工具ユニットは、第2のプロセスチャンバ領域内に配置することができる工具ハウジング内へ後退させることができる。
【0021】
工具ユニットが後退位置にある状態で、工具ハウジングを第2のプロセスチャンバ領域内で動かすことができ、工具ユニットは工具ハウジングによって密閉され、したがって第2のプロセスチャンバ領域から封止されるため、第2のプロセスチャンバ領域の汚染は低減又は回避される。工具ハウジング内の工具ユニットから落ちるすべての残留物は、工具ハウジング内に収容され、この装置の別の領域を汚染しない。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、第1のプロセスチャンバ領域を第2のプロセスチャンバ領域から封止するように適合された封止ユニットを設けることができ、封止ユニットは、工具運搬デバイス、特に工具ユニットの動き及び/又は位置に応じてさらに変形可能及び/又は可動である。この実施形態による封止ユニットは、第1のプロセスチャンバ領域を第2のプロセスチャンバ領域から封止するために設けられる。封止は、工具運搬デバイス、特に工具ハウジングの位置に適合され、封止ユニットは、工具運搬デバイス、特に工具ハウジングの動き及び/又は位置に応じて変形可能及び/又は可動である。
【0023】
たとえば、封止ユニットは、工具ハウジングが動くと動き且つ/又は変形するベルト又は蛇腹として構築することができる。封止ユニットは、たとえば弾性要素又はブラシとして構築することによって、さらに変形可能とすることができる。したがって、工具ハウジングは、動くと封止ユニットを変形させることができ、工具ハウジングが動かされた場合でも、第1のプロセスチャンバ領域は、第2のプロセスチャンバ領域から封止される。封止ユニットは、工具ユニットが封止ユニットから突出し、したがって第2のプロセスチャンバ領域内に配置された工具ハウジングから第1のプロセスチャンバ領域内へ進むことをさらに可能にすることができる。
【0024】
好ましくは、チャンバ分離体が、封止ユニットを備え、封止ユニットは、処理平面の上でチャンバ分離体の下部に配置される。したがって、封止ユニットは、チャンバ分離体内に一体化され、又はチャンバ分離体に、好ましくはチャンバ分離体の下部に取り付けられる。したがって、封止ユニットは、封止ユニットから突出する工具ユニットが、プロセスチャンバ、特に第1のプロセスチャンバ領域内の処理平面に届くことができるように、処
理平面の上に配置される。
【0025】
さらに、ゲート又は工具ハウジングカバーは、ゲート又は工具ハウジングカバーが閉鎖位置にある状態で、すなわち工具ユニットが後退位置にある状態で、封止ユニットを完成させる封止ユニットの一部として構築することができる。したがって、ゲート又は工具ハウジングカバーは、封止ユニットの一部と見なすことができ、工具ユニットを後退位置から延長位置へ動かし、且つ工具ユニットを延長位置から後退位置へ戻すことによって、ゲート又は工具ハウジングカバーを定位置に戻してシーリングユニットを完成させるように、封止ユニットの残り部分から分離されている。
【0026】
この装置は、少なくとも1つの工具ユニットを洗浄するように適合され、特に少なくとも1つの工具ユニットから残留物を除去するように適合された洗浄ユニットが設けられるように、さらに改善することができる。洗浄ユニットは、たとえば、この装置の工具交換領域内に設けることができ、工具交換領域では、工具運搬デバイスの工具ユニットを他の工具ユニットに交換することができる。工具ユニットを洗浄することによって、工具ユニットに付着した残留物を除去することができ、したがってプロセスチャンバの外へ案内することができる。
【0027】
この装置は、工具ハウジング内に配置された収容ユニットをさらに備えることができ、収容ユニットは、残留物、特に工具ユニットから除去された残留物を収容及び/又は案内して分離するように適合される。したがって、収容ユニットは、第1のプロセスチャンバ領域、すなわち処理平面を含むプロセスチャンバの領域内で工具ユニットが相互作用する際に工具ユニットに付着した煙、燻り、又は造形材料などの残留物を収容するように適合される。収容ユニットは、洗浄し若しくは空にすることができ、又は収容ユニットは、収容ユニット内に収容された残留物をプロセスチャンバの外へ案内することができるように、空の収容ユニットと取り替えることができる。
【0028】
加えて、この装置は、工具ユニットを取り替えるように適合された取替えユニットを備えることができる。取替えユニットは、たとえば工具ユニットが摩耗の兆候を示した場合、又は摩耗した場合、工具ユニットを新しい又は新規の工具ユニットに取り替えるために設けることができる。したがって、取替えユニットは、現在の工具ユニットを取り替えることができ、現在の工具ユニットは、新しい工具ユニット又はリサイクルされた工具ユニットに交換される。
【0029】
さらに、洗浄ユニット及び/若しくは取替えユニットは、工具ハウジング内に配置され、又は洗浄ユニット及び/若しくは取替えユニットは、工具ハウジングの外、特にプロセスチャンバの工具交換領域内に配置されることが可能である。
【0030】
好ましくは、工具運搬デバイスは、少なくとも1つの造形平面上へ造形材料を塗布するように適合された塗布デバイスとして構築され、工具ユニットは、被覆器として構築される。造形平面を被覆するために、工具ハウジングは、工具ユニットが後退位置にある状態で、それぞれのプロセスチャンバ壁に沿って、投与平面に沿った位置へ、特に造形平面側に対向する側へ位置決めすることができる。この「投与位置」において、工具ユニットは、後退位置から延長位置へ動かすことができる。工具ハウジング、及び工具ハウジングとともに工具ユニット(延長位置にある)を投与平面の上で動かすことによって、造形材料が投与平面から持ち上げられ、造形平面へ搬送される。
【0031】
造形材料が造形平面へ搬送された後、工具ユニットを投与モジュールの上でさらに動かして、余分な造形材料を溢流チャンバに入れることができる。その後、工具ユニットを延長位置から後退位置へ動かすことができ、すなわち工具ハウジング内へ戻すことができる
。次いで、工具ハウジングを投与位置に戻して塗布サイクルを完了することができ、又は工具ハウジングを停止位置又は工具交換位置へ動かすことができる。
【0032】
さらに、本発明は、特にエネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する装置、好ましくは前述したような本発明の装置向けの工具運搬デバイスに関し、工具運搬デバイスは、装置のプロセスチャンバ内で少なくとも1つの工具ユニットを位置決めするように適合され、工具運搬デバイスは、少なくとも1つの特に交換可能な工具ユニットを備え、工具ユニットは、工具ユニットが工具ハウジング内に収容され、工具ハウジングが工具ユニットを密閉する後退位置と、工具ユニットが工具ハウジングから少なくとも部分的に延ばされた延長位置との間で可動である。
【0033】
加えて、本発明は、少なくとも1つのエネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する少なくとも1つの装置を動作させる方法に関し、この装置は、装置のプロセスチャンバ内で少なくとも1つの工具ユニットを位置決めするように適合された工具運搬デバイスを備え、この方法は、本発明の装置上で実行される。
【0034】
本発明の方法は、好ましくは、
-工具ハウジングが延長位置、特に投与平面の位置へ動かされるステップ、並びに/又は
-工具ユニット、特に被覆器が後退位置から延長位置へ、特に工具ハウジングからプロセスチャンバ内へ動かされるステップ、並びに/又は
-工具ユニットがプロセスチャンバに対して、特に投与平面及び造形平面の上で動かされ、新しい造形材料が投与平面から造形平面上へ搬送されるステップ、並びに/又は
-工具ユニットが延長位置から後退位置へ後退させられて後退位置に入るステップ、並びに/又は
-工具ハウジングが延長位置若しくは工具交換領域へ動かされるステップを含む。
【0035】
本発明の装置に関して記載するすべての特徴、詳細、及び利点は、本発明の工具運搬デバイス及び3次元の物体を付加製造する装置を動作させる本発明の方法に完全に移行可能であることは自明である。
【0036】
本発明の例示的な実施形態について、図を参照して説明する。これらの図は概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1の位置にある本発明の工具運搬デバイスの本発明の装置を示す上面図である。
【
図2】工具運搬デバイスが第2の位置にある状態で
図1の本発明の装置を示す図である。
【
図3】工具運搬デバイスが第3の位置にある状態で
図1、2の本発明の装置を示す図である。
【
図4】工具運搬デバイスが第4の位置にある状態で
図1~3の本発明の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、エネルギー源、たとえばレーザビームによって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造
する装置1の上面図を示す。装置1は、装置1のプロセスチャンバ4内で工具ユニット3を位置決めするように適合された工具運搬デバイス2を備える。
【0039】
図1~5に示す実施形態では、工具運搬デバイス2の工具ユニット3は交換可能であり、被覆器として構築される。したがって、工具運搬デバイス2は、塗布デバイスと考えることができる。当然ながら、工具運搬デバイス2が造形材料の塗布以外のタスク、すなわちプロセスチャンバ4内の様々な構成要素との相互作用を実行するように適合されるように、工具ユニット3を変更することも可能である。しかし、装置1の機能について、被覆器として構築された工具ユニット3に関して説明する。
【0040】
図1は、工具交換領域5内に位置決めされた工具ユニット3を示し、対応する取替えユニットを介して、工具ユニット3を他の工具ユニット3に取り替えることができ、したがって、特に同じ種類又は他の種類の工具を工具運搬デバイス2に取り付けることができる。工具運搬デバイス2は、特に装置1のプロセスチャンバ4のプロセスチャンバ壁8に対して平行に配置された2つのレール7に沿って可動の工具ハウジング6をさらに備える(矢印9によって示すように)。工具ユニット3は、工具ユニット3が工具ハウジング6の外に位置決めされる延長位置で示されている。工具ユニット3は、矢印10によって示すように、後退位置へ後退させることができ、すなわち工具ハウジング6内へ動かすことができる。
【0041】
図2は、工具ユニット3が後退位置に位置決めされ、したがって工具ハウジング6内に収納された状態の工具運搬デバイス2を示す。したがって、工具ハウジング6は、工具ユニット3のための囲壁を提供し、工具ユニット3は、工具ハウジング6の周りで環境から封止される。この実施形態による装置1のプロセスチャンバ4は、第1のプロセスチャンバ領域11及び第2のプロセスチャンバ領域12に細分される。第1のプロセスチャンバ領域11は、物体が付加製造され、すなわち付加製造プロセスが実行される領域と考えることができる。第1のプロセスチャンバ領域11内に処理平面13が配置され、処理平面13は、投与モジュールの投与平面14と、造形モジュールの造形平面15と、溢流モジュールの溢流開口16とを備える。
【0042】
工具運搬デバイス2の工具ハウジング6は、矢印9によって示すように、第2のプロセスチャンバ領域12内でレール7に沿って可動である。
図2に示す位置は、処理平面13に沿って投与平面14より先に工具ユニット3を配置することができるため、「投与位置」と考えることができる。この位置で、工具ユニット3は後退位置にあり、矢印10によって示すように、後退位置から延長位置へ動かすことができる。
図2に示す工具ハウジング6の位置はまた、工具ユニット3が後退位置から延長位置へ延ばされるため、「延長位置」と呼ぶこともできる。
【0043】
図3は、「投与位置」にある工具ハウジング6を示し、工具ユニット3は、
図2に示すように後退位置から延長位置へ動かされている(矢印10によって示す動き)。この位置で、工具ユニット3、特に被覆器のブレードは、投与平面14より先に位置決めされている。この位置から開始して、工具ハウジング6は、矢印9に沿って動かすことができ、工具ユニット3は、投与平面14から造形材料を持ち上げ、この造形材料を造形平面15へ搬送する。
【0044】
造形平面15を通ることによって、投与平面14から持ち上げられた造形材料は造形平面15上に散布され、造形材料の新しい層が造形平面15上へ塗布される。余りの造形材料は、溢流モジュール16の溢流開口の方へさらに搬送され、溢流開口16内へ放出される。
図4は、被覆ステップが実行された後の位置にある工具運搬デバイス2を示し、言い換えれば工具ユニット3は、溢流モジュール16の開口の後ろ(被覆方向)に配置される
。
【0045】
この位置で、工具ユニット3は、矢印10に沿って動くことによって、延長位置から後退位置へ動かすことができる。言い換えれば、工具ユニット3は、工具ハウジング6内へ戻ることができる。次に、工具ハウジング6は、
図2に示すように、投与位置へ戻ることができる。したがって、
図2~4に示すステップを繰り返しながら、いくつかの被覆ステップ又は塗布ステップを実行することができる。また、工具ユニット3の変更が必要な場合、工具運搬デバイス2を
図1に示すように工具交換領域5内の位置へ戻すことも可能である。
図4に示す工具ハウジング6の位置はまた、工具ユニット3が延長位置から工具ハウジング6内へ後退されるため、「後退位置」と呼ぶこともできる。
【0046】
工具ハウジング6を提供することによって、第1のプロセスチャンバ領域11から第2のプロセスチャンバ領域12内へ動かされた工具ユニット3が、造形材料又は煙若しくは燻りなどの他の残留物を第1のプロセスチャンバ領域11から他のプロセスチャンバ領域12へ運搬しないことが保証される。したがって、装置1の他の領域の汚染を低減又は回避することができる。造形材料及び他の残留物を装置1全体にわたって広げるのではなく、残留物及び造形材料は、工具ハウジング6内に収容される。工具ハウジング6は、造形材料及び残留物を収容する収容ユニットを備えることができる(図示せず)。
【0047】
工具ハウジング6は、工具ユニット3が後退位置から延長位置へ再び動かされ、したがって第1のプロセスチャンバ領域11に再び入る前に、工具ユニット3を洗浄し、たとえば工具ユニット3に付着した造形材料を拭い取るように適合された洗浄ユニットをさらに備えることができる。
【0048】
図5は、装置1、特に装置1のプロセスチャンバ4の細部の斜視図を示す。
図5から導出することができるように、工具ユニット3は、工具ハウジング6内の開口18を覆うように適合された工具ハウジングカバー17に結合される。工具ハウジングカバー17は、可動ベルトとして構築された封止19の一部であり、封止19は、プロセスチャンバ4を第1のプロセスチャンバ領域11及び第2のプロセスチャンバ領域12に分離するチャンバ分離体20の一部と見なすことができる。工具ユニット3が、
図5に示すように延長位置から後退位置へ動かされた場合、工具ハウジングカバー17は、封止19を完成させる。工具ハウジング6が、矢印9によって示すように、プロセスチャンバ4に対して動かされる場合、封止19は、工具ハウジング6とともに動かされる。
【0049】
さらに、この図から導出することができるように、工具ユニット3が延長位置(
図1、3~5)にある状態で工具ハウジング6内の開口18を封止するように適合された別の工具ハウジングカバー21を設けることができる。言い換えれば、工具ユニット3の異なる区間、特に両側の区間、たとえば工具ユニット3の端部に、2つの工具ハウジングカバー17、21を配置することができる。工具ユニット3が後退位置(
図2)にある状態で、第1のプロセスチャンバ領域11の方を向いている工具ハウジングカバー17が、工具ハウジング6内の開口18を封止する。工具ユニット3が延長位置(
図1、3~5)にある状態で、工具ユニット3の反対の区間内に配置され、すなわち第2のプロセスチャンバ領域12の方を向いている工具ハウジングカバー21が、工具ハウジング6内の開口18を封止する。したがって、工具ハウジング6内の開口18は、工具ユニット3が延長位置にある状態でも、工具ユニット3が後退位置にある状態でも、封止することができる。
【0050】
この装置は、本発明の方法を実行するように適合されることが自明である。
以上の開示から以下の付記が開示される。
(付記1)
エネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する装置(1)であって、前記装置(1)のプロセスチャンバ(4)内で少なくとも1つの工具ユニット(3)を位置決めするように適合された工具運搬デバイス(2)を備える装置において、前記工具運搬デバイス(2)は、少なくとも1つの特に交換可能な工具ユニット(3)を備え、前記工具ユニット(3)は、前記工具ユニット(3)が工具ハウジング(6)内に収容される後退位置と、前記工具ユニット(3)が前記工具ハウジング(6)から少なくとも部分的に延ばされた延長位置との間で可動であることを特徴とする装置。
(付記2)
前記工具ハウジング(6)は、前記プロセスチャンバ(4)に対して可動であり、特に少なくとも1つのプロセスチャンバ壁(8)に沿って線形に可動であることを特徴とする、付記1に記載の装置。
(付記3)
前記工具ユニット(3)が前記後退位置にある状態で、前記工具ハウジング(6)の内側が環境から、特に前記プロセスチャンバ(4)から封止されることを特徴とする、付記1又は2に記載の装置。
(付記4)
前記工具ユニット(3)に連結された工具ハウジングカバー(17)を有し、前記工具ハウジングカバー(17)は、前記工具ユニット(3)が前記後退位置にある状態で前記工具ハウジング(6)を封止するように適合されることを特徴とする、付記1~3のいずれか一つに記載の装置。
(付記5)
前記プロセスチャンバ(4)は、分離デバイス(20)を介して、処理平面(13)が配置された第1のプロセスチャンバ領域(11)と、前記工具ハウジング(6)が可動になる第2のプロセスチャンバ領域(12)とに分離されることを特徴とする、付記1~4のいずれか一つに記載の装置。
(付記6)
前記第1のプロセスチャンバ領域(11)を前記第2のプロセスチャンバ領域(12)から封止するように適合された封止ユニット(19)を有し、前記封止ユニット(19)は、前記工具運搬デバイス(2)、特に前記工具ユニット(3)の動き及び/又は位置に応じてさらに変形可能及び/又は可動であることを特徴とする、付記5に記載の装置。
(付記7)
分離デバイス(20)が、前記封止ユニット(19)を備え、前記封止ユニット(19)は、前記処理平面の上で前記分離デバイス(20)の下部に配置されることを特徴とする、付記6に記載の装置。
(付記8)
前記少なくとも1つの工具ユニット(3)を洗浄するように適合され、特に前記少なくとも1つの工具ユニット(3)から残留物を除去するように適合された洗浄ユニットを有することを特徴とする、付記1~7のいずれか一つに記載の装置。
(付記9)
前記工具ハウジング(6)内に配置された収容ユニットを有し、前記収容ユニットは、残留物、特に前記工具ユニット(3)から除去された残留物を収容及び/又は案内して分離するように適合されることを特徴とする、付記1~8のいずれか一つに記載の装置。
(付記10)
前記工具ユニット(3)を取り替えるように適合された取替えユニットを有することを特徴とする、付記1~9のいずれか一つに記載の装置。
(付記11)
前記洗浄ユニット及び/若しくは前記取替えユニットは、前記工具ハウジング(6)内
に配置され、又は前記洗浄ユニット及び/若しくは前記取替えユニットは、前記工具ハウジング(6)の外、特に前記プロセスチャンバ(4)の工具交換領域内に配置されることを特徴とする、付記9又は10に記載の装置。
(付記12)
前記工具運搬デバイス(2)は、少なくとも1つの造形平面(15)上へ造形材料を塗布するように適合された塗布デバイスとして構築され、前記工具ユニット(3)は、被覆器、特に被覆器ブレードとして構築され、前記被覆器は、投与モジュールの投与平面(14)から造形モジュールの造形平面(15)へ造形材料を搬送するように適合されることを特徴とする、付記1~11のいずれか一つに記載の装置。
(付記13)
特にエネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する装置(1)、好ましくは付記1~12のいずれか一つに記載の装置(1)向けの工具運搬デバイス(2)であって、前記装置(1)のプロセスチャンバ(4)内で少なくとも1つの工具ユニット(3)を位置決めするように適合された工具運搬デバイスにおいて、前記工具運搬デバイス(2)は、少なくとも1つの特に交換可能な工具ユニット(3)を備え、前記工具ユニット(3)は、前記工具ユニット(3)が工具ハウジング(6)内に収容され、前記工具ハウジング(6)が前記工具ユニット(3)を密閉する後退位置と、前記工具ユニット(3)が前記工具ハウジング(6)から少なくとも部分的に延ばされた延長位置との間で可動であることを特徴とする工具運搬デバイス。
(付記14)
エネルギー源によって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって3次元の物体を付加製造する少なくとも1つの装置(1)を動作させる方法であって、前記装置(1)は、前記装置(1)のプロセスチャンバ(4)内で少なくとも1つの工具ユニットを位置決めするように適合された工具運搬デバイス(2)を備える、方法において、付記1~12のいずれか一つに記載の装置(1)上で実行されることを特徴とする方法。
(付記15)
-工具ハウジング(6)が延長位置、特に投与平面(14)の位置へ動かされるステップ、並びに/又は
-工具ユニット(3)、特に被覆器が後退位置から延長位置へ、特に前記工具ハウジング(6)から前記プロセスチャンバ(4)内へ動かされるステップ、並びに/又は
-前記工具ユニット(3)が前記プロセスチャンバ(4)に対して、特に投与平面(14)及び造形平面(15)の上で動かされ、造形材料が前記投与平面(14)から前記造形平面(15)上へ搬送されるステップ、並びに/又は
-前記工具ユニット(3)が前記延長位置から前記後退位置へ後退させられて後退位置に入るステップ、並びに/又は
-前記工具ハウジング(6)が前記延長位置若しくは工具交換領域へ動かされるステップ
を含むことを特徴とする、付記14に記載の方法。
【符号の説明】
【0051】
1 装置
2 工具運搬デバイス
3 工具ユニット
4 プロセスチャンバ
5 工具交換領域
6 工具ハウジング
7 レール
8 プロセスチャンバ壁
11 第1のプロセスチャンバ領域
12 第2のプロセスチャンバ領域
13 処理平面
14 投与平面
15 造形平面
16 溢流開口
17 工具ハウジングカバー
18 開口
19 封止
20 チャンバ分離体
21 工具ハウジングカバー