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特許7127768携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/324 20190101AFI20220823BHJP
   G06F 1/3218 20190101ALI20220823BHJP
   H04M 1/73 20060101ALI20220823BHJP
   G06F 15/02 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G06F1/324
G06F1/3218
H04M1/73
G06F15/02 305D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017198814
(22)【出願日】2017-10-12
(65)【公開番号】P2019074815
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】永澤 和行
(72)【発明者】
【氏名】影沢 正
(72)【発明者】
【氏名】友田 光
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 博史
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-151501(JP,A)
【文献】特開2016-115212(JP,A)
【文献】特開2015-037197(JP,A)
【文献】特開2013-232026(JP,A)
【文献】特開2010-198271(JP,A)
【文献】特開2015-106327(JP,A)
【文献】特開2006-011690(JP,A)
【文献】特開2008-157974(JP,A)
【文献】特開2005-018640(JP,A)
【文献】特開2010-056901(JP,A)
【文献】特開2010-063057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26-1/3296
G06F 1/04-1/14
G06F 3/01;3/048-3/04895
G06F 15/02;15/04-15/14
H04M 1/00;1/24-1/82;99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作可能な携帯端末であって、
表示装置と、
前記表示装置に表示される画面に対する過去の操作の有無に関する操作実績を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記操作実績に基づき、前記画面に対する過去の操作があると判定された場合には前記携帯端末に第1の電力モードを設定し、前記画面に対する過去の操作がないと判定された場合は、前記第1の電力モードよりも前記携帯端末の電力消費が小さい第2の電力モードを前記携帯端末に設定する電力制御部と、
を有することを特徴とする携帯端末
【請求項2】
前記表示装置とは異なる位置に設置されたセンサを通じて、ユーザによる前記画面に対する操作を検出する検出部をさらに有し、
前記取得部は、前記操作が検出された場合に、前記操作実績を取得することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末
【請求項3】
前記電力制御部は、前記第2の電力モードにおいて、前記センサのスキャン間隔を前記第1の電力モードにおけるスキャン間隔よりも長くする設定と、前記画面に対する操作に対応するイベント発生時のプロセッサのクロック周波数を、前記第1の電力モードにおける前記クロック周波数よりも低くする設定とのうち、少なくともいずれかを設定することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末
【請求項4】
前記検出部は、前記操作として、前記ユーザによる前記画面に対するスクロール操作を検出し、
前記取得部は、前記操作実績として、前記画面に対するスクロール操作の実績を取得することを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯端末
【請求項5】
前記取得部は、前記第2の電力モードが設定されている場合において、前記画面に対する操作が検出された場合における、前記操作に対応するイベントに対するコールバックが発生したか否かをさらに判定し、
前記電力制御部は、前記コールバックが発生したと判定された場合に、前記第1の電力モードを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の携帯端末
【請求項6】
前記操作実績に関する情報を記憶する実績記憶部をさらに有し、
前記取得部は、前記画面に対する操作が検出された場合における、前記操作に対応するイベントに対するコールバックが発生したか否かをさらに判定し、前記コールバックが発生したと判定した場合に、前記イベントに対応する操作に関する情報を前記操作実績に関する情報として前記実績記憶部に記憶することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の携帯端末
【請求項7】
前記コールバックの発生の有無に応じて、前記表示装置に、前記画面に対する操作の可否に関する情報を表示させる表示制御部をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の携帯端末
【請求項8】
前記実績記憶部は、前記操作実績に関する情報として、前記画面のバージョンに関する情報をさらに記憶し、
前記電力制御部は、前記操作実績に基づき、前記バージョンが一致する前記画面に対する過去の操作があると判定された場合には前記携帯端末に前記第1の電力モードを設定することを特徴とする請求項6又は7に記載の携帯端末
【請求項9】
表示装置を有する携帯端末が、
前記表示装置に表示される画面に対する過去の操作の有無に関する操作実績を取得し、
取得した前記操作実績に基づき、前記画面に対する過去の操作があると判定された場合には前記携帯端末に第1の電力モードを設定し、前記画面に対する過去の操作がないと判定された場合は、前記第1の電力モードよりも前記携帯端末の電力消費が小さい第2の電力モードを前記携帯端末に設定する
処理を行うことを特徴とする電力制御方法。
【請求項10】
表示装置を有する携帯端末に、
前記表示装置に表示される画面に対する過去の操作の有無に関する操作実績を取得し、
取得した前記操作実績に基づき、前記画面に対する過去の操作があると判定された場合には前記携帯端末に第1の電力モードを設定し、前記画面に対する過去の操作がないと判定された場合は、前記第1の電力モードよりも前記携帯端末の電力消費が小さい第2の電力モードを前記携帯端末に設定する
処理を行わせることを特徴とする電力制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、電力制御方法及び電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の画面スクロールを容易にする技術が知られている。例えば、装置の側面に設けられた指紋認証センサを通じてセンサ面上の使用者の指のX、Y方向の移動をユーザのスクロール操作又はカーソル移動操作の操作入力として認識する携帯端末装置が知られている。
【0003】
また、接触式のセンサによるバッテリ電力の消費を軽減する携帯情報端末装置も知られている。当該装置は、多数のセンサが直線的に配列されたセンサモジュールを複数備える。ユーザが当該装置のセンサモジュールのセンサに触れると、当該装置は、触れているセンサとその近傍のセンサだけに通電して、ユーザからの入力を受け付けるようにし、同一センサモジュール上の残るセンサについては通電しないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-301658号公報
【文献】特開2009-217612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術においては、指紋認証センサにおいてスクロール操作を検出するために、センサのスキャン間隔を短く設定するので、電力消費が大きくなることがある。一方で、一部のセンサだけを通電し、他のセンサには通電しないような構成においては、スクロール処理に時間を要する場合がある。
【0006】
一つの側面では、省電力化を実現できる情報処理装置、電力制御方法及び電力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、情報処理装置は、表示装置に表示される画面に対する、過去の操作の有無に関する操作実績を取得する取得部を有する。情報処理装置は、画面に対する操作実績があると判定された場合には第1の電力モードを設定し、画面に対する操作実績がないと判定された場合は、第1の電力モードよりも電力消費が小さい第2の電力モードを設定する電力制御部を有する。
【発明の効果】
【0008】
一つの態様によれば、省電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、携帯端末の全体構成を示す図である。
図2図2は、携帯端末のハードウェア構成例を示す図である。
図3図3は、実施例1における携帯端末の機能ブロックの一例を示す図である。
図4図4は、実施例1における履歴DBの一例を示す図である。
図5図5は、実施例1における電力設定DBの一例を示す図である。
図6図6は、実施例1における電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施例2における携帯端末の機能ブロックの一例を示す図である。
図8図8は、実施例2における電力制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する情報処理装置、電力制御方法及び電力制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0011】
本実施例における電力制御方法は、例えば携帯端末などの情報処理装置により実行される。図1は、携帯端末の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施例における携帯端末10は、例えばスマートフォンなどの携帯可能なコンピュータであるが、これに限られず、携帯電話やタブレットなどのその他のコンピュータでもよく、また据置型のコンピュータであってもよい。なお、携帯端末10は、情報処理装置の一例である。
【0012】
図1に示す携帯端末10は、タッチパネル9とは異なる位置、例えば携帯端末10の側面部に、センサ2を有する。タッチパネル9は、後に説明する画面表示を行う表示装置3と、後に説明するユーザ操作を受け付けるタッチセンサ4とを兼ねる装置の一例である。
【0013】
センサ2は、携帯端末10の側面部など、ユーザが操作しやすい位置に設置されるセンサデバイスである。例えば、ユーザが右手で携帯端末10を操作するときは、親指が携帯端末10と接する位置または当該位置の周辺に設置される。また、ユーザが左手で携帯端末10を操作するときは、人差し指が携帯端末10と接する位置または当該位置の周辺に設置される。なお、センサ2の設置位置は、携帯端末10の側面に限られず、他の場所であってもよい。
【0014】
また、センサ2は、指が接触したか否かを検出するセンサに加え、指紋を読み取る指紋センサとして機能することもできる。例えば、携帯端末10は、センサ2を用いて指紋認証を実行するとともに、センサ2を用いて画面の表示制御を実行する。また、センサ2は、指の移動(距離、方向)を検出することができる。これにより、センサ2は、ユーザによる、表示装置3に表示される画面のスクロールなどの操作を受け付けることができる。なお、以下において、表示装置3に表示されている画面を「表示中の画面」と表記する場合がある。
【0015】
センサ2においてスクロール操作を受け付ける際、スクロール処理をスムーズに行わせるために、例えばセンサ2のスキャン間隔を短く設定し、また画面を更新するためにプロセッサの処理速度を上げることが好ましい。一方で、センサ2のスキャン間隔を短く設定し、また画面を更新するためにプロセッサの処理速度を上げることで、携帯端末10の電力消費は大きくなる。
【0016】
そこで、携帯端末10は、表示画面での過去のスクロール実績を参照し、スクロール実績がある画面ではスクロール操作への反応と画面描写を高速化するモードとし、その他の画面では省電力モードとする。これにより、携帯端末10は、省電力化を実現できる。なお、以下においては画面に対するスクロール操作実績を用いる例について説明するが、これに限られず、画面の拡大縮小などのその他の画面に対する操作実績を用いて、電力モードを変更してもよい。
【0017】
図1に示す携帯端末10のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。図2は、携帯端末のハードウェア構成例を示す図である。図2に示すように、携帯端末10は、無線装置1と、センサ2と、表示装置3と、タッチセンサ4と、記憶装置5と、プロセッサ6とを有する。また、無線装置1にはアンテナ1aが接続される。
【0018】
無線装置1は、例えばネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースであり、アンテナ1aを通じて無線通信を行う。センサ2は、ユーザによる表示中の画面に対するスクロールなどの操作を受け付ける。表示装置3は、画面を表示させる。タッチセンサ4は、表示中の画面に対する、ユーザによるタップやスワイプ、フリックなどの操作を受け付ける。記憶装置5は、後に説明する各機能部の説明時に示す処理部を動作させるプログラムやDB等を記憶する。
【0019】
プロセッサ6は、各処理部と同様の処理を実行するプログラムを記憶装置5等から読み出すことで、後に説明する各機能を実行するプロセスを動作させる。
【0020】
このように携帯端末10は、プログラムを読み出して実行することで、以下に説明する電力制御方法を実行する。また、携帯端末10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、携帯端末10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0021】
[機能ブロック]
次に、図1に示す携帯端末10の機能構成について、図3を用いて説明する。図3は、実施例1における携帯端末の機能ブロックの一例を示す図である。図3に示すように、本実施例における携帯端末10は、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0022】
記憶部120は、例えば制御部130が実行するプログラムなどの各種データなどを記憶する。また、記憶部120は、履歴DB121及び電力設定DB122を有する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。なお、以下の説明では、データベースを「DB」と表記する場合がある。
【0023】
履歴DB121は、表示装置3において過去に表示された画面のうち、例えば画面に対する操作を受け付け、かつ当該操作に対応する処理が有効に行われた実績のある画面に関する情報を記憶する。図4は、実施例1における履歴DBの一例を示す図である。図4に示すように、履歴DB121は、例えば、「Activity」と、「リソースID」と、「バージョン情報」とを対応付けて記憶する。なお、履歴DB121は、実績記憶部の一例であり、履歴DB121に記憶された各レコードは、操作実績を示す情報の一例である。
【0024】
図4において、「Activity」は、画面の提供元であるサービスのURL、及びサービスを呼び出すアプリケーションの種類を示す。「リソースID(IDentifier)」は、当該サービスが提供する画面を一意に識別する識別子を示す。「バージョン情報」は、「Activity」及び「リソースID」により特定される画面のバージョンを示す。
【0025】
なお、「Activity」及び「リソースID」が同じ画面であっても、バージョンの違いに応じて、画面に対する操作ができる場合とできない場合が分かれることがある。そこで、本実施例における履歴DB121は、「バージョン情報」をさらに記憶する。
【0026】
本実施例において、履歴DB121には、携帯端末10において過去に表示された画面のうち、センサ2を通じてユーザからスクロール操作を受け付け、また操作に対応するスクロール処理が行われた画面に関する情報が記憶される。なお、履歴DB121に記憶される情報は、例えば後に説明する取得部132により入力される。
【0027】
電力設定DB122は、携帯端末10に設定される電力モードの性能に関する情報を記憶する。図5は、実施例1における電力設定DBの一例を示す図である。図5に示すように、電力設定DB122は、例えば、「スキャン間隔」と、「クロック周波数」とを、「モード」に対応付けて記憶する。なお、電力設定DB122に記憶される情報は、例えば携帯端末10の製造時に予め設定される。
【0028】
図5において、「モード」は、電力モードの種類を示す。「スキャン間隔」は、当該モードにおける、センサ2においてユーザによる操作をスキャンする時間の間隔を示す。「クロック周波数」は、当該モードにおける、携帯端末10のプロセッサ6の動作周波数を示す。
【0029】
例えば、図5に示す電力設定DB122は、「高性能モード」におけるセンサ2のスキャン間隔は「18ミリ秒(ms)」であり、クロック周波数は「2.4GHz」であることを記憶する。なお、図5に示す「高性能モード」は、第1の電力モードの一例であり、「省電力モード」は、第2の電力モードの一例である。
【0030】
図3に戻って、制御部130は、携帯端末10の全体的な処理を司る処理部である。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
【0031】
制御部130は、センサ検出部131、取得部132及び電力制御部133を有する。なお、センサ検出部131、取得部132及び電力制御部133は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0032】
センサ検出部131は、センサ2が受け付けた、携帯端末10のユーザによる画面に対する操作を検出する。センサ検出部131は、例えばセンサ2からスクロール操作などの画面に対する操作に関する情報の出力を受けると、操作に関する情報を取得部132及び電力制御部133に出力する。なお、センサ検出部131は、検出部の一例である。
【0033】
取得部132は、表示中の画面に関する操作実績を取得する。取得部132は、センサ検出部131から操作に関する情報の出力を受けると、履歴DB121を参照し、現時点で表示装置3に表示されている画面とActivity、リソースID及びバージョン情報が一致するレコードを検索する。取得部132は、該当するレコードがヒットしたか否かを示す情報を、電力制御部133に出力する。
【0034】
また、取得部132は、表示中の画面において、操作に関する情報に対するコールバックが発生したか否かを判定する。取得部132は、コールバックが発生したと判定した場合、スクロール操作に対応するスクロール処理が行われたと判定できるので、現時点で表示装置3に表示されている画面に対応するActivity、リソースID及びバージョン情報を取得し、履歴DB121に記憶する。
【0035】
電力制御部133は、画面に対する操作実績に基づいて、携帯端末10の電力モードを設定する。電力制御部133は、例えば取得部132から、履歴DB121において該当するレコードがヒットしたことを示す情報、すなわち現時点で表示装置3に表示されている画面に対する操作実績があることを示す情報の出力を受けたか否かを判定する。
【0036】
電力制御部133は、操作実績があることを示す情報の出力を受けたと判定した場合、電力モードを「高性能モード」に設定する。一方、電力制御部133は、操作実績がないことを示す情報の出力を受けたと判定した場合、電力モードを「省電力モード」に設定する。なお、電力制御部133は、操作実績があることを示す情報の出力を受けることなくタイムアウトした場合、電力モードを「省電力モード」に設定してもよい。
【0037】
[処理の流れ]
次に、本実施例における処理について、図6を用いて説明する。図6は、実施例1における電力制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下においては、センサ検出部131が表示中の画面に対するスクロール操作を検出し、履歴DB121がスクロール操作の実績がある画面に関する情報を記憶する場合について説明する。
【0038】
図6に示すように、携帯端末10の取得部132は、表示中の画面の切り替えを検出するまで待機する(S100:No)。取得部132は、画面の切り替えを検出したと判定した場合(S100:Yes)、履歴DB121を参照し、対応する履歴、例えば表示中の画面とActivity、リソースID及びバージョン情報が一致するレコードを検索する(S101)。取得部132は、レコードの検索結果を、電力制御部133に出力する。
【0039】
電力制御部133は、取得部132から、該当するレコードがヒットした、すなわち表示中の画面のスクロール履歴があるか否かを判定する(S110)。電力制御部133は、画面のスクロール履歴がないと判定した場合(S110:No)、電力モードを「省電力モード」に設定し(S111)、処理を終了する。一方、電力制御部133は、画面のスクロール履歴があると判定した場合(S110:Yes)、電力モードを「高性能モード」に設定し(S112)、処理を終了する。
【0040】
[効果]
以上説明したように、本実施例における情報処理装置は、表示装置に表示される画面に対する、過去の操作の有無に関する操作実績を取得する取得部を有する。情報処理装置は、画面に対する操作実績があると判定された場合には第1の電力モードを設定し、画面に対する操作実績がないと判定された場合は、第1の電力モードよりも電力消費が小さい第2の電力モードを設定する電力制御部を有する。これにより、情報処理装置は、省電力化を実現できる。
【0041】
また、本実施例における情報処理装置は、表示装置とは異なる位置に設置されたセンサを通じて、ユーザによる画面に対する操作が検出された場合に、操作実績を取得してもよい。これにより、タッチパネル9に設けられたタッチセンサ4とは異なるセンサ2を用いた操作に対応できる。
【0042】
また、本実施例における情報処理装置は、第2の電力モードにおいて、センサのスキャン間隔を第1の電力モードにおけるスキャン間隔よりも長くするように設定してもよい。また、情報処理装置は、画面に対する操作に対応するイベント発生時のプロセッサのクロック周波数を、第1の電力モードにおけるクロック周波数よりも低くするように設定してもよい。これにより、操作の可否に応じた最適な電力状態を設定できる。
【0043】
また、本実施例における情報処理装置は、ユーザによる画面に対するスクロール操作を検出し、画面に対するスクロール操作の実績を取得してもよい。これにより、スクロール操作の可否に応じて、最適な電力状態を設定できる。
【0044】
さらに、本実施例における情報処理装置は、操作実績に関する情報を記憶する実績記憶部をさらに有してもよい。また、実績記憶部は、画面のバージョンに関する情報をさらに記憶し、バージョンが一致する画面に対する操作実績が実績記憶部に記憶されている場合に、操作実績があると判定してもよい。これにより、バージョンの違いにより画面に対する操作の可否が異なる場合においても、画面に適した電力モードを設定できる。
【実施例2】
【0045】
上記の実施例に加えて、電力制御処理において、情報処理装置が、表示装置3に表示されている画面に対応するコールバックを用いて電力モードを制御するような構成であってもよい。また、情報処理装置は、ユーザに対して、画面に対する操作の可否を示す情報を出力してもよい。
【0046】
[機能ブロック]
本実施例における情報処理装置は、実施例1における携帯端末10と同様のコンピュータにより実現できる。図7は、実施例2における携帯端末の機能ブロックの一例を示す図である。なお、以下の実施例において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0047】
図7に示すように、本実施例における携帯端末20は、記憶部120と、制御部230とを有する。制御部230は、携帯端末20の全体的な処理を司る処理部である。制御部230は、例えば、CPUやMPU等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
【0048】
制御部230は、センサ検出部131、取得部232、電力制御部233及び表示制御部234を有する。なお、センサ検出部131、取得部232、電力制御部233及び表示制御部234は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0049】
本実施例における取得部232は、現時点で表示装置3に表示されている画面に対するスクロールイベントが発生した場合、当該イベントに対応するコールバックが発生したか否かを判定する。取得部232は、コールバックが発生したか否かを判定した結果に関する情報を、電力制御部233及び表示制御部234に出力する。
【0050】
電力制御部233は、操作実績がないことを示す情報の出力を受けたと判定した場合、取得部232からコールバックが発生したことを示す情報の出力を受けたか否かをさらに判定する。電力制御部233は、操作実績がないことを示す情報の出力を受けたと判定した場合であっても、コールバックが発生したことを示す情報の出力を受けたと判定した場合、電力モードを「高性能モード」に設定する。
【0051】
表示制御部234は、画面に対する操作の可否に関する情報を出力する。表示制御部234は、画面に対する操作に対するコールバックが発生した場合、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が可能であることを示す情報を表示させる。一方、表示制御部234は、画面に対する操作に対するコールバックが発生しなかった場合、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が不能であることを示す情報を表示させる。例えば、表示制御部234は、スクロール不能である場合には「×」印などのアイコンを表示させ、又は効果音等を発生させてもよい。なお、表示制御部234は、画面に対する操作実績があると判定された場合についても、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が可能であることを示す情報を表示させてもよい。
【0052】
[処理の流れ]
次に、本実施例における処理について、図8を用いて説明する。図8は、実施例2における電力制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、図6に示すステップと同じ符号については同様のステップであるため、詳細な説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、本実施例における携帯端末20の取得部231は、「省電力モード」が設定された場合において、センサ検出部131において画面に対するスクロール操作に対応するイベントが検出されるまで待機する(S120:No)。取得部231は、イベントが検出されたと判定した場合(S120:Yes)、スクロール操作の対象となる画面から当該イベントに対するコールバックが発生したか否かを判定する(S130)。
【0054】
取得部231は、コールバックが発生したと判定した場合(S130:Yes)、履歴DB121を、現時点で表示装置3に表示されている画面に関する情報を用いて更新する(S132)。また、取得部231は、電力制御部233及び表示制御部234に、コールバックが発生したことを示す情報を出力する。
【0055】
電力制御部233は、コールバックが発生したことを示す情報の出力を受けると、電力モードを「高性能モード」に設定する(S112)。そして、表示制御部234は、コールバックが発生したことを示す情報の出力を受けると、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が可能であることを通知し、(S113)、処理を終了する。なお、表示制御部234は、S110においてスクロール履歴があると判定された場合においても同様に、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が可能であることを示す情報を表示させてもよい。
【0056】
一方、取得部231は、コールバックが発生しなかったと判定した場合(S130:No)、表示制御部234にコールバックが発生しなかったことを示す情報を出力する。表示制御部234は、コールバックが発生しなかったことを示す情報の出力を受けると、表示装置3に、画面に対するスクロール処理が不能であることを通知し(S131)、処理を終了する。
【0057】
[効果]
以上説明したように、本実施例における情報処理装置は、第2の電力モードが設定されている場合において、画面に対する操作が検出された場合における、操作に対応するイベントに対するコールバックが発生したか否かをさらに判定する。本実施例における情報処理装置は、コールバックが発生したと判定された場合に第1の電力モードを設定する。これにより、操作実績のない画面においても、画面に対する操作の可否に応じて、最適な電力状態を設定できる。
【0058】
また、本実施例における情報処理装置は、画面に対する操作が検出された場合における、操作に対応するイベントに対するコールバックが発生したか否かをさらに判定し、コールバックが発生したと判定した場合に、イベントに対応する操作に関する操作実積を実績記憶部に記憶してもよい。これにより、画面に対する操作履歴をリアルタイムで更新できる。
【0059】
また、本実施例における情報処理装置は、コールバックの発生の有無に応じて、表示装置に、画面に対する操作の可否に関する情報を表示させる表示制御部をさらに有してもよい。これにより、スクロール操作の可否をユーザに提示できる。
【実施例3】
【0060】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。例えば、履歴DB121及び電力設定DB122に記憶される情報は一例であり、履歴DB121が、当該画面に対して行われた、スクロールや画面の拡大、縮小などの操作の種類をさらに記憶してもよい。また、履歴DB121は、当該画面に対して操作が行われた日時や、操作が行われた回数などをさらに記憶してもよい。
【0061】
また、電力設定DB122が、画面の更新間隔や、モードが適用される電池残量の条件などのその他の情報を記憶してもよい。これにより、表示される画面がスクロール操作の実績がある画面であっても、例えば携帯端末10の電池残量が「15%」以下である場合は「省電力モード」を維持するなど、より状況に即した電力モードを設定できる。
【0062】
さらに、上記の実施例においては、電力設定DB122が「高性能モード」と「省電力モード」との2つのモードに関する情報を記憶する例を示したが、これに限られず、電力設定DB122が3つ以上のモードに関する情報を記憶してもよい。また、電力設定DB122は、モードに対応する性能を段階分けした形で記憶する代わりに、例えばモードが連続的に変化させるように性能の変化を規定した数式等を記憶してもよい。
【0063】
また、電力制御部133及び233は、履歴DB121に記憶した情報のうち全部を用いる代わりに、例えば「バージョン情報」を除く情報等、一部の情報を用いて操作実績の有無を判定してもよい。
【0064】
なお、表示装置とは異なる位置に設置されたセンサとして、携帯端末10の側面部に取り付けられたセンサ2を用いる構成について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、センサ2は、視線センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等の携帯端末10に搭載されたその他のセンサであってもよく、また外部に接続されたマウスなどの操作デバイスであってもよい。
【0065】
[システム]
また、各実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の一部を手動的におこなうこともできる。あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0066】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図7に示す電力制御部233と表示制御部234とを統合してもよい。また、図3に示す取得部132を、履歴DB121からレコードを取得する処理部とコールバックの発生を検出する処理部とに分散してもよい。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【符号の説明】
【0067】
10、20 携帯端末
120 記憶部
121 履歴DB
122 電力設定DB
130、230 制御部
131 センサ検出部
132、232 取得部
133、233 電力制御部
234 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8