(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 45/22 20060101AFI20220823BHJP
A01F 11/00 20060101ALI20220823BHJP
A23N 15/02 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A01D45/22 A
A01F11/00 A
A23N15/02 Z
(21)【出願番号】P 2018122216
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】守山 千仁
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-233932(JP,A)
【文献】特開平6-78620(JP,A)
【文献】実公昭33-19833(JP,Y1)
【文献】特開2000-93145(JP,A)
【文献】特開2004-254547(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106818044(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00 - 43/04
A01D 43/08 - 46/30
A01D 51/00
A01D 13/00 - 33/14
A01F 5/00 - 11/08
A23N 1/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部により収穫された作物を、横倒れ姿勢で株元を保持して後側に搬送する搬送体と、
前記搬送体の右又は左側に配置された分離部とが備えられて、
前記分離部に、平面視で前記搬送体と交差する向きの上軸芯周りに回転駆動される上回転体と、前記上軸芯の下側で前記上軸芯に沿った下軸芯周りに回転駆動される下回転体とが設けられて、
前記搬送体により搬送される作物が前記上回転体と前記下回転体との間を通り、作物に前記上回転体及び前記下回転体が当たることにより、作物から実が分離され、
前記上回転体と前記下回転体との上下間隔を変更する間隔変更部が備えられ
、
前記間隔変更部は、
前記上回転体を回転自在に支持する軸受け部が連結される支持板と、
前記支持板に連結されるボス部と、
前記分離部の壁部の横向き部に上下方向の軸芯周りに回転自在に支持され、前記ボス部に挿入されるボルトと、
前記ボルトの頭部に連結される操作部と、
前記ボルトに取り付けられ、前記横向き部を挟む上及び下の皿バネと、
前記ボルトにおける下側の前記皿バネの下方に取り付けられるナットと、
前記ボルトにおける前記ボス部と前記ナットとの間に取り付けられるバネと、を有している作物収穫機。
【請求項2】
前記間隔変更部は、前記上回転
体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転
体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更する請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記分離部における前記搬送体の反対側の
前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分が回転自在に支持されて、
前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体の反対側の
前記壁部に設けられている請求項2に記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記分離部の上側を覆う閉位置と、前記分離部の上側を開放する開位置とに操作自在なカバーが備えられ、
前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更する請求項2又は3に記載の作物収穫機。
【請求項5】
前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分を回転自在に支持する
前記軸受け部の位置を上下に変更する請求項4に記載の作物収穫機。
【請求項6】
第1の前記間隔変更部と、第2の前記間隔変更部とが設けられて、
第1の前記間隔変更部は、前記上回転
体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転
体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転
体における前記搬送体側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転
体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更する請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項7】
前記分離部における前記搬送体の反対側の
前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分が回転自在に支持されて、
第1の前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体の反対側の
前記壁部に設けられ、
前記分離部における前記搬送体側の
前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体側の部分が回転自在に支持されて、
第2の前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体側の
前記壁部に設けられている請求項6に記載の作物収穫機。
【請求項8】
前記分離部の上側を覆う閉位置と、前記分離部の上側を開放する開位置とに操作自在なカバーが備えられ、
第1の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更する請求項6又は7に記載の作物収穫機。
【請求項9】
第1の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分を回転自在に支持する
前記軸受け部の位置を上下に変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体側の部分を回転自在に支持する
前記軸受け部の位置を上下に変更する請求項8に記載の作物収穫機。
【請求項10】
動力が伝達されてくる駆動軸が備えられて、伝動軸が前記駆動軸に自在継手を介して接続され、
前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分と、前記伝動軸とが、自在継手を介して接続されて、
前記駆動軸の動力が前記伝動軸を介して、前記上回転体に伝達される請求項
1から9のうちのいずれか一項に記載の作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機の一例である枝豆収穫機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、圃場の作物を収穫する収穫部と、収穫部により収穫された作物を、横倒れ姿勢で株元を保持して後側に搬送する搬送体と、搬送体の右側に配置された分離部とが備えられている。
【0003】
特許文献1では、分離部に、平面視で搬送体と交差する向きの上軸芯周りに回転駆動される上回転体と、上軸芯の下側で上軸芯に沿った下軸芯周りに回転駆動される下回転体とが設けられている。
搬送体により搬送される作物が上回転体と下回転体との間を通り、作物に上回転体及び下回転体が当たることにより、作物から実が分離されて回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
枝豆等の作物では、作物の成長具合によって、作物の実や枝が多い状態や、作物の実や枝が少ない状態がある。
本発明は、回転駆動される上回転体と下回転体との間に作物を通して、作物から実を分離するように構成された作物収穫機において、作物からの実の分離性能の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作物収穫機は、
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部により収穫された作物を、横倒れ姿勢で株元を保持して後側に搬送する搬送体と、
前記搬送体の右又は左側に配置された分離部とが備えられて、
前記分離部に、平面視で前記搬送体と交差する向きの上軸芯周りに回転駆動される上回転体と、前記上軸芯の下側で前記上軸芯に沿った下軸芯周りに回転駆動される下回転体とが設けられて、
前記搬送体により搬送される作物が前記上回転体と前記下回転体との間を通り、作物に前記上回転体及び前記下回転体が当たることにより、作物から実が分離され、
前記上回転体と前記下回転体との上下間隔を変更する間隔変更部が備えられ、
前記間隔変更部は、
前記上回転体を回転自在に支持する軸受け部が連結される支持板と、
前記支持板に連結されるボス部と、
前記分離部の壁部の横向き部に上下方向の軸芯周りに回転自在に支持され、前記ボス部に挿入されるボルトと、
前記ボルトの頭部に連結される操作部と、
前記ボルトに取り付けられ、前記横向き部を挟む上及び下の皿バネと、
前記ボルトにおける下側の前記皿バネの下方に取り付けられるナットと、
前記ボルトにおける前記ボス部と前記ナットとの間に取り付けられるバネと、を有している。
【0007】
本発明によると、作物の実や枝が多い状態や、作物の実や枝が少ない状態等の作物の状態に基いて、上回転体と下回転体との上下間隔を、大きくしたり小さくしたりして、作物の状態に応じた適正な値に設定することができる。
これにより、作物にとって上回転体と下回転体との上下間隔が小さすぎて、作物の実が損傷を受けるという状態を避けることができ、作物にとって上回転体と下回転体との上下間隔が大きすぎて、作物から実を充分に分離できないという状態を避けることができて、作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0008】
本発明において、
前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更すると好適である。
【0009】
作物において、作物の株元付近は、茎だけであることが多く、作物の上部に、実や枝が多く付いていることがある。これにより、作物の株元付近は、作物の成長具合に関係なく一定の状態であることが多く、作物の上部は、作物の成長具合により、実や枝が多かったり少なかったりすることがある。
【0010】
前述の状態において、搬送体により作物の株元が保持されて、作物が横倒れ姿勢で搬送されると、上回転体及び下回転体における搬送体の反対側の部分に、作物の上部が位置することになる。
【0011】
本発明によると、上回転体及び下回転体における搬送体の反対側の部分の上下間隔を、精度良く変更することができる。これによって、上回転体と下回転体との上下間隔において、実や枝が多く付いている作物の上部に対応する部分(上回転体及び下回転体における搬送体の反対側の部分)の上下間隔を精度良く変更することにより、作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0012】
本発明において、
前記分離部における前記搬送体の反対側の前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分が回転自在に支持されて、
前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体の反対側の前記壁部に設けられていると好適である。
【0013】
本発明によると、間隔変更部を分離部における搬送体の反対側の壁部に設けることにより、分離部における搬送体の反対側の壁部を、間隔変更部の支持部材に兼用することができるので、構造の簡素化の面で有利なものとなる。
【0014】
本発明において、
前記分離部の上側を覆う閉位置と、前記分離部の上側を開放する開位置とに操作自在なカバーが備えられ、
前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更すると好適である。
【0015】
本発明によると、分離部の上側を覆うカバーを備えており、カバーを開位置に操作することによって、分離部の内部のメンテナンス作業が、分離部の上側から容易に行えるようになり、整備性の向上を図ることができる。
【0016】
上回転体と下回転体との上下間隔を変更する場合、本発明によると、上回転体における搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更しているので、間隔変更部が分離部において比較的高い位置に配置される。これにより、カバーを開位置に操作することによって、分離部の上側から間隔変更部を容易に操作できるのであり、作業性の良いものとなる。
【0017】
本発明において、
前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分を回転自在に支持する前記軸受け部の位置を上下に変更すると好適である。
【0018】
本発明によると、軸受け部の位置を上下に変更することにより、上回転体の回転に無理を掛けずに、上回転体における搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更することができる。
【0019】
本発明において、
第1の前記間隔変更部と、第2の前記間隔変更部とが設けられて、
第1の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更すると好適である。
【0020】
作物の種類や作物成長の具合等により、作物の実や枝が全体的に多い状態や、作物の実や枝が全体的に少ない状態、作物の実や枝が作物の上部に集まっている状態や、作物の実や枝が作物の株元付近に集まっている状態等のように、作物の各種の状態が想定される。
【0021】
本発明によると、第1の間隔変更部により、上回転体及び下回転体における搬送体の反対側の部分の上下間隔を精度良く変更することができる。
第2の間隔変更部により、上回転体及び下回転体における搬送体側の部分の上下間隔を精度良く変更することができる。
第1及び第2の間隔変更部の両方を操作することにより、上回転体及び下回転体の上下間隔を全体的に精度良く変更することができる。
【0022】
これにより、上回転体と下回転体との上下間隔において、作物の各種の状態に応じて、上回転体及び下回転体における適切な部分の上下間隔を精度良く変更することによって、作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0023】
本発明において、
前記分離部における前記搬送体の反対側の前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分が回転自在に支持されて、
第1の前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体の反対側の前記壁部に設けられ、
前記分離部における前記搬送体側の前記壁部に、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体側の部分が回転自在に支持されて、
第2の前記間隔変更部が、前記分離部における前記搬送体側の前記壁部に設けられていると好適である。
【0024】
本発明によると、第1及び第2の間隔変更部を分離部における搬送体の反対側の壁部及び搬送体側の壁部に設けることにより、分離部における搬送体の反対側の壁部及び搬送体側の壁部を、第1及び第2の間隔変更部の支持部材に兼用することができるので、構造の簡素化の面で有利なものとなる。
【0025】
本発明において、
前記分離部の上側を覆う閉位置と、前記分離部の上側を開放する開位置とに操作自在なカバーが備えられ、
第1の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体側の部分の位置を上下に変更して、前記上回転体の上下方向での傾斜角度を変更することにより、前記上下間隔を変更すると好適である。
【0026】
本発明によると、分離部の上側を覆うカバーを備えており、カバーを開位置に操作することによって、分離部の内部のメンテナンス作業が、分離部の上側から容易に行えるようになり、整備性の向上を図ることができる。
【0027】
上回転体と下回転体との上下間隔を変更する場合、本発明によると、上回転体における搬送体の反対側の部分及び搬送体側の部分の位置を上下に変更しているので、第1及び第2の間隔変更部が分離部において比較的高い位置に配置される。これにより、カバーを開位置に操作することによって、分離部の上側から第1及び第2の間隔変更部を容易に操作できるのであり、作業性の良いものとなる。
【0028】
本発明において、
第1の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分を回転自在に支持する前記軸受け部の位置を上下に変更し、
第2の前記間隔変更部は、前記上回転体における前記搬送体側の部分を回転自在に支持する前記軸受け部の位置を上下に変更すると好適である。
【0029】
本発明によると、軸受け部の位置を上下に変更することにより、上回転体の回転に無理を掛けずに、上回転体における搬送体の反対側の部分及び搬送体側の部分の位置を上下に変更することができる。
【0030】
本発明において、
動力が伝達されてくる駆動軸が備えられて、伝動軸が前記駆動軸に自在継手を介して接続され、
前記上回転体における前記搬送体の反対側の部分と、前記伝動軸とが、自在継手を介して接続されて、
前記駆動軸の動力が前記伝動軸を介して、前記上回転体に伝達されると好適である。
【0031】
本発明によると、上回転体における搬送体の反対側の部分に、駆動軸から動力を伝達するように構成しており、搬送体の影響を受けることなく、上回転体に無理なく動力を伝達することができる。
【0032】
本発明によると、上回転体における搬送体の反対側の部分と駆動軸とを、伝動軸及び自在継手により接続しているので、上回転体における搬送体の反対側の部分や駆動軸に対して、伝動軸及び自在継手が屈曲することにより、上回転体における搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更する状態が許容されるのであり、上回転体の回転に無理を掛けずに、上回転体における搬送体の反対側の部分の位置を上下に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】収穫部の後部、分離部の第1下回転体及び第2下回転体の付近の横断平面図である。
【
図4】分離部の第1上回転体及び第2上回転体の付近の横断平面図である。
【
図5】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、姿勢変更部の付近の左側面図である。
【
図6】第2搬送体の搬送始端部、分離部の第2上回転体及び第2下回転体の付近の縦断背面図である。
【
図7】分離部の第2上回転体及び第2下回転体における第2搬送体の反対側の付近の縦断背面図である。
【
図8】分離部の第1上回転体及び第1下回転体における第2搬送体の反対側の付近の縦断背面図である。
【
図9】第1間隔変更部(第1上回転体)の付近の正面図である。
【
図10】第1間隔変更部(第2上回転体)の付近の正面図である。
【
図11】第2間隔変更部(第1上回転体及び第2上回転体)の付近の分解斜視図である。
【
図12】エンジンから各部への伝動系を示す概略図である。
【
図13】第1上回転体及び第1下回転体における第2搬送体から見た断面図である。
【
図14】第2上回転体及び第2下回転体における第2搬送体から見た断面図である。
【
図15】第2上回転体及び第2下回転体における第2搬送体から見た断面図である。
【
図16】第2上回転体及び第2下回転体における第2搬送体から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1~
図16に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機が示されている。
図1~
図16において、Fは機体1の「前方向」を示し、Bは機体1の「後方向」を示し、Uは機体1の「上方向」を示し、Dは機体1の「下方向」を示している。Rは機体1の「右方向」を示し、Lは機体1の「左方向」を示している。
【0035】
(枝豆収穫機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の前部の左部に収穫部3が設けられ、機体1の前部の右部に運転部4が設けられている。機体1の後部に分離部5が設けられ、機体1の右部に支持台6及び作業デッキ7が設けられている。
【0036】
(収穫部の構成)
図1,2,3に示すように、収穫部3の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1周りに、右及び左の従動プーリー45が回転自在に支持されており、収穫部3の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P2周りに、右及び左の駆動プーリー46が回転自在に支持されている。この場合、軸芯P1と軸芯P2とは、互いに平行である。
【0037】
右の従動プーリー45及び右の駆動プーリー46に亘り、ゴムベルト製の右の第1搬送体8が取り付けられている。左の従動プーリー45及び左の駆動プーリー46に亘り、ゴムベルト製の左の第1搬送体8が取り付けられている。
【0038】
右及び左の第1搬送体8が、収穫部3の全長に亘って合わせられている。収穫部3に、多数のローラー47が回転自在に支持されており、ローラー47により第1搬送体8の合わせ部分(作物Aの挟持部分)の反対側が支持されている。収穫部3の前部に、右及び左のデバイダ48、サブソイラ49が取り付けられている。
【0039】
収穫部3の前部が下側で、収穫部3の後部が上側となるように、収穫部3が側面視で斜めの姿勢で、機体1の前部の左部に前後方向に沿って支持されている。
第1搬送体8において、従動プーリー45の付近が搬送始端部8aであり、駆動プーリー46の付近が搬送終端部8bである。これによって、右及び左の第1搬送体8が、第1搬送体8の搬送始端部8aから搬送終端部8bに亘って、捩じられることなく、直線的に斜め上側の後側に向けて延出されている。
【0040】
(第2搬送体の構成)
図1,3,5,6に示すように、機体1の左部に駆動機構32が支持されており、駆動機構32に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される駆動スプロケット32aが備えられている。機体1の左部の前部に、回転輪55,56が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持され、機体1の左部の後部に、回転輪57が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持されている。
【0041】
駆動機構32の駆動スプロケット32a及び回転輪55,56,57に亘って、第2搬送体9(搬送体に相当)が取り付けられている。第2搬送体9は、金属製のチェーンであり、外側に向けて側面視で三角形状の凸部が備えられている。駆動機構32の駆動スプロケット32aにより、第2搬送体9が
図1の時計方向に回転駆動される。
【0042】
第2搬送体9は、第1搬送体8の搬送終端部8bから後側に延出されて、機体1の左部に前後方向に沿って配置されており、第2搬送体9の右側に分離部5が配置されている。第2搬送体9において、回転輪55と回転輪56との間の部分が搬送始端部9aであり、回転輪57の付近が搬送終端部9bである。
【0043】
図1及び
図5に示すように、第2搬送体9の搬送始端部9aの前部分(回転輪55の部分)が、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)よりも下側の位置に配置されて、第2搬送体9の搬送始端部9aが、第1搬送体8の搬送終端部8bの下側に沿って斜め上向きの傾斜姿勢に配置されている。
第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)から搬送終端部9bに亘る部分が、側面視で略水平姿勢に配置されている。
【0044】
(ガイドレールの構成)
図1,5,6に示すように、ガイドレール13は、短いチャンネル状部材が、開放側を下向きにして前後方向に沿って一列状に配置され、隣接する前後のチャンネル状部材が、上下方向に曲がるようにピンにより互いに接続されている。ガイドレール13が、第2搬送体9の上側に沿って後側に延出されている。
【0045】
機体1の左部の上部に、前後方向に沿って支持フレーム58が支持されている。支持フレーム58に、多数の支持ロッド59が上下動自在に支持されて、支持ロッド59の下部に、ガイドレール13のチャンネル状部材を接続する前述のピンが支持されており、ガイドレール13(チャンネル状部材)が上下動自在に支持されている。支持ロッド59を下側に付勢するバネ60が備えられており、ガイドレール13が第2搬送体9に押圧されている。
【0046】
ガイドレール13において、第2搬送体9の搬送始端部9a側の先頭のチャンネル状部材が搬送始端部13aである。ガイドレール13の搬送始端部13aが、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)よりも少し後側に位置している。
【0047】
以上の構成により、後述の(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、収穫部での状態)に記載のように、作物Aの株元A1が第2搬送体9とガイドレール13との間に挟持されると、作物Aの株元A1によって、ガイドレール13が折れ曲がるようにして上側に持ち上げられるのであり、バネ60の付勢力によって第2搬送体9とガイドレール13との間に、作物Aの株元A1が十分な挟持力によって挟持される。
【0048】
丸棒材により構成された案内部材61が、ガイドレール13の搬送始端部13aに取り付けられている。案内部材61は、第2搬送体9に沿って前向きに延出されており、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)から、側面視で斜め上向きの前向きに延出されている。案内部材61がガイドレール13の搬送始端部13aに取り付けられていることによって、案内部材61はガイドレール13の搬送始端部13aと一体で上下動する。
【0049】
(姿勢変更部の構成)
図1,2,5に示すように、第1搬送体8の搬送終端部8bの上部に、姿勢変更部62が取り付けられている。姿勢変更部62に、ガイド部63、無端回動体64及び爪体65が備えられている。
【0050】
ガイド部63は、上側及び下側の2組備えられており、第1搬送体8の搬送終端部8bから第2搬送体9の搬送始端部9aに向けて、平面視で分離部5に近い側(右側)に斜めに傾斜して配置されている。
【0051】
第1搬送体8(駆動プーリー46)に伝達された動力が分岐して、無端回動体64に伝達されており、無端回動体64が
図2の時計方向に回転駆動される。爪体65は、無端回動体64の移動方向に沿って所定間隔を開けて無端回動体64に取り付けられており、無端回動体64と一体で
図2の時計方向に回転駆動される。
【0052】
(分離部の構成)
図1,2,3に示すように、第2搬送体9の右側に、分離部5が設けられている。
分離部5に、第1上回転体11(上回転体に相当)、第1下回転体12(下回転体に相当)、第2上回転体21(上回転体に相当)、第2下回転体22(下回転体に相当)が設けられている。
【0053】
分離部5において、第1上回転体11及び第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22の下側に、前後方向に沿って配置された回収コンベア10が設けられている。
【0054】
回収コンベア10の後部の下側に左右方向に沿って搬送コンベア14が設けられ、回収コンベア10の後部から後側に所定間隔を開けて排出コンベア15が設けられており、回収コンベア10の下側に唐箕16が設けられている。
【0055】
図3,4,6に示すように、分離部5における第2搬送体9の反対側の壁部43,44が設けられている。壁部43は平面視で前後方向(第2搬送体9と平行)に配置され、壁部44は平面視で前後方向(第2搬送体9)と交差する斜めに配置されている。
【0056】
分離部5における第2搬送体9側の壁部40,54,58aが設けられており、壁部40,54,58aは平面視で前後方向(第2搬送体9と平行)に配置されている。
図6及び
図11に示すように、壁部58aは支持フレーム58における分離部5側の面であり、壁部40は支持フレーム58の壁部58aに連結された平板状の部材である。
【0057】
上側の壁部40,58aと下側の壁部54との間に、第2搬送体9に沿った開口部66が設けられており、第2搬送体9とガイドレール13とにより搬送される作物Aが、横倒れ姿勢で開口部66から分離部5の内部に入り込んで後側に搬送される。
【0058】
図1,2,3に示すように、分離部5の上部にカバー53が設けられている。カバー53は、分離部5の上側を覆う閉位置(
図1及び
図2参照)と、閉位置から後側の位置で分離部5の上側を開放する開位置とに亘って、前後方向にスライド操作自在に支持されている。
【0059】
(分離部における第1上回転体及び第1下回転体の配置、第2上回転体及び第2下回転体の配置)
図3,4,8に示すように、分離部5において、第1上回転体11が、第1上軸芯P11(上軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部40とに亘って支持されている。
第1下回転体12が、第1上軸芯P11の下側で第1上軸芯P11に沿った第1下軸芯P12(下軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部54とに亘って支持されている。
【0060】
図3,4,6,7,に示すように、分離部5において、第2上回転体21が、第2上軸芯P21(上軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部40とに亘って支持されている。
第2下回転体22が、第2上軸芯P21の下側で第2上軸芯P21に沿った第2下軸芯P22(下軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部54とに亘って支持されている。
【0061】
図3及び
図4に示すように、第1上回転体11及び第1下回転体12が、第2上回転体21及び第2下回転体22よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)に配置されている。
【0062】
第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9側の部分が、第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)に位置するように、第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)が、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置されている。
【0063】
第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9側の部分が、第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)に位置するように、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)が、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置されている。
【0064】
第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)と第2搬送体9との角度B1よりも、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)と第2搬送体9との角度B2が大きいものに設定されている。
【0065】
これにより、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)が、第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)よりも、平面視で第2搬送体9と直交する姿勢に近い姿勢となっている。
【0066】
(第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の構成)
図3,4,13,14に示すように、第1上回転体11に、軸部11aと、2個の打撃部11b,11cとが設けられている。第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22も同様に、軸部12a,21a,22aと、2個の打撃部12b,12c,21b,21c,22b,22cとが設けられている。
【0067】
第1上回転体11(第1下回転体12、第2上回転体21、第2下回転体22)において、軸部11a,12a,21a,22aは六角軸状に形成されており、第1上軸芯P11(第1下軸芯P12、第2上軸芯P21、第2下軸芯P22)周りに回転自在に支持されている。
【0068】
第1上回転体11(第1下回転体12、第2上回転体21、第2下回転体22)において、打撃部11b,11c,12b,12c,21b,21c,22b,22cは平板状に形成されており、互いに180度の位相の違いで、軸部11a,12a,21a,22aに連結されて、半径方向外側に延出されている。打撃部11b,11c,12b,12c,21b,21c,22b,22cの外端部に、硬質ゴム製の縁部11d,12d,21d,22dが取り付けられている。
【0069】
図13及び
図14に示すように、第1上回転体11の回転軌跡の直径D1と、第1下回転体12の回転軌跡の直径D1とが同じものに設定されている。第2上回転体21の回転軌跡の直径D2と、第2下回転体22の回転軌跡の直径D2とが同じものに設定されている。
【0070】
第1上回転体11及び第1下回転体12の打撃部11b,11c,12b,12cが、第2上回転体21及び第2下回転体22の打撃部21b,21c,22b,22cよりも半径方向で長いものに構成されている。
これにより、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転軌跡の直径D1が、第2上回転体21及び第2下回転体22の回転軌跡の直径D2よりも大きなものに設定されている。
【0071】
(エンジンから各部への伝動系の構成)
図12に示すように、運転部4の下部に、エンジン18が支持され、機体1の前部の左右中央にミッションケース19が支持されており、静油圧式の無段変速装置20がミッションケース19に連結されている。
【0072】
エンジン18の動力が、伝動ベルト24を介して無段変速装置20の入力軸に伝達されて、無段変速装置20の動力が、ミッションケース19の内部の副変速装置(図示せず)等を介して、走行装置2に伝達される。無段変速装置20の動力が、ギヤ伝動機構25、伝動ベルト23を介して、収穫部3(駆動プーリー46)及び姿勢変更部62に伝達される。
【0073】
エンジン18の動力が、伝動ベルト27、伝動軸28、伝動ベルト29、伝動軸30及び伝動ベルト31を介して、駆動機構32に伝達され、駆動機構32により第2搬送体9が回転駆動される。
【0074】
伝動軸28の動力が、伝動ベルト34、ギヤ型式の伝動機構35及び伝動ベルト36を介して、回収コンベア10及び排出コンベア15に伝達されて、回収コンベア10及び排出コンベア15が回転駆動される。
【0075】
回収コンベア10の動力が、伝動ベルト37、ベベルギヤ型式の伝動機構38及び伝動チェーン39を介して、搬送コンベア14に伝達されて、搬送コンベア14が回転駆動される。伝動軸28の動力が、伝動ベルト33を介して唐箕16に伝達されて、唐箕16が回転駆動される。
【0076】
(分離部における第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の伝動系の構成)
図4,7,8に示すように、第1間隔変更部41,51(間隔変更部に相当)(第1の間隔変更部に相当)が壁部44に設けられている。第1上回転体11(軸部11a)における第2搬送体9の反対側の部分が、第1間隔変更部41に回転自在に支持されており、第2上回転体21の軸部21aにおける第2搬送体9の反対側の部分が、第1間隔変更部51に回転自在に支持されている。
【0077】
図4,5,6に示すように、第2間隔変更部42,52(第2の間隔変更部に相当)が壁部40に設けられている。第1上回転体11の軸部11aにおける第2搬送体9側の部分が、第2間隔変更部42に回転自在に支持されており、第2上回転体21の軸部21aにおける第2搬送体9側の部分が、第2間隔変更部52に回転自在に支持されている。
【0078】
図5,6,7,8に示すように、軸受け部67が壁部44,54に設けられている。第1下回転体12の軸部12aにおける第2搬送体9の反対側の部分及び第2搬送体9側の部分が、壁部44,54の軸受け部67に回転自在に支持されている。第2下回転体22の軸部22aにおける第2搬送体9の反対側の部分及び第2搬送体9側の部分が、壁部44,54の軸受け部67に回転自在に支持されている。
【0079】
図3,4,7,8に示すように、壁部68,69が壁部44の外側に設けられて、壁部68,69に亘って駆動軸70が支持されている。駆動軸70のプーリー70cに伝動ベルト34が取り付けられており、伝動軸28の動力が伝動ベルト34を介して駆動軸70に伝達されている(前述の(エンジンから各部への伝動系の構成)及び
図12参照)。
【0080】
駆動軸70の上側において、壁部68,69に亘って駆動軸71が支持されており、駆動軸70の伝動ギヤ70aと駆動軸71の伝動ギヤ71aとが咬合している。駆動軸72,73が壁部69に支持されており、駆動軸70のスプロケット70bと駆動軸72のスプロケット72aとに亘って、伝動チェーン74が取り付けられ、駆動軸71のスプロケット71bと駆動軸73のスプロケット73aとに亘って、伝動チェーン75が取り付けられている。
【0081】
伝動軸76が駆動軸72に自在継手77を介して接続され、伝動軸76が自在継手77を介して、第1下回転体12の軸部12aにおける第2搬送体9の反対側の部分に接続されている。伝動軸76が駆動軸70に自在継手77を介して接続され、伝動軸76が自在継手77を介して、第2下回転体22の軸部22aにおける第2搬送体9の反対側の部分に接続されている。
【0082】
伝動軸78が駆動軸73に自在継手79を介して接続され、伝動軸78が自在継手79を介して、第1上回転体11の軸部11aにおける第2搬送体9の反対側の部分に接続されている。伝動軸78が駆動軸71に自在継手79を介して接続され、伝動軸78が自在継手79を介して、第2上回転体21の軸部21aにおける第2搬送体9の反対側の部分に接続されている。
【0083】
以上の構成により
図12に示すように、駆動軸70の動力が、伝動軸76を介して第2下回転体22に伝達され、駆動軸70の伝動ギヤ70a、駆動軸71の伝動ギヤ71a、駆動軸71及び伝動軸78を介して第2上回転体21に伝達される。
【0084】
駆動軸70の動力が、伝動チェーン74、駆動軸72及び伝動軸76を介して第1下回転体12に伝達され、駆動軸70の伝動ギヤ70a、駆動軸71の伝動ギヤ71a、伝動チェーン75、駆動軸73及び伝動軸78を介して第1上回転体11に伝達される。る。
【0085】
(第1上回転体及び第1下回転体の回転方向、第2上回転体及び第2下回転体の回転方向)
前述の(分離部における第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の伝動系の構成)、
図3,4,7,8,12に示すように、回転位相設定部80が分離部5に設けられている。
【0086】
回転位相設定部80は、駆動軸70,71,72,73、駆動軸70,71の伝動ギヤ70a,71a、駆動軸70,71の伝動ギヤ70a,71aが咬合することによるギヤ機構、伝動チェーン74,75等を備えている。この場合、伝動チェーン74,75に代えて、複数個の伝動ギヤ(図示せず)を使用することも可能である。
【0087】
回転位相設定部80によって、以下の説明のように、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転方向C1,C2が設定され、第2上回転体21及び第2下回転体22の回転方向C1,C2が設定される。
【0088】
図8及び
図14に示すように、駆動軸70により、第2下回転体22が回転方向C2に回転駆動されており、駆動軸70,71の伝動ギヤ70a,71aの咬合により、駆動軸70の動力が逆方向の動力として駆動軸71に伝達されて、第2上回転体21が回転方向C1に回転駆動される。
【0089】
これにより、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を第2搬送体9の搬送始端部9a側に移動するように、第2上回転体21の回転方向C1及び第2下回転体22の回転方向C2が設定されている。
【0090】
図4,7,8に示すように、駆動軸71の動力が、伝動チェーン75を介して同方向の動力として、駆動軸73に伝達されるのであり、
図13に示すように、第1上回転体11が第2上回転体21と同じ回転方向C1に回転駆動される。
【0091】
図3,7,8に示すように、駆動軸70の動力が、伝動チェーン74を介して同方向の動力として、駆動軸72に伝達されるのであり、
図13に示すように、第1下回転体12が第2下回転体22と同じ回転方向C2に回転駆動される。
【0092】
これにより、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を第2搬送体9の搬送始端部9a側に移動するように、第1上回転体11の回転方向C1及び第1下回転体12の回転方向C2が設定されている。
【0093】
(第1上回転体及び第1下回転体の回転位相)
回転位相設定部80によって、以下の説明のように、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転位相が設定される。
【0094】
図3,4,7,8に示すように、駆動軸70の伝動ギヤ70aと駆動軸71の伝動ギヤ71aとが同径に構成されており、第2下回転体22の回転数(単位時間当たりの回転数)(角速度)と、第2上回転体21の回転数(単位時間当たりの回転数)(角速度)とが同じものとなっている。
【0095】
駆動軸70のスプロケット70bと駆動軸71のスプロケット71bとが同径に構成されて、駆動軸72のスプロケット72aと駆動軸73のスプロケット73aとが同径に構成されている。駆動軸72,73のスプロケット72a,73aが、駆動軸70,71のスプロケット70b,71bよりも少し大径に構成されている。
【0096】
これにより、第1上回転体11の回転数(単位時間当たりの回転数)(角速度)と、第1下回転体12の回転数(単位時間当たりの回転数)(角速度)とが同じものとなっている。
第2上回転体21及び第2下回転体22の回転数が、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転数よりも少し高いものとなっている。
【0097】
図13に示すように、第1上回転体11の打撃部11b,11cの回転位相と、第1下回転体12の打撃部12b,12cの回転位相とが90度異なるように設定されている。
【0098】
第1上回転体11の打撃部11bが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過すると、次に第1下回転体12の打撃部12bが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過する。
【0099】
次に第1上回転体11の打撃部11cが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過し、次に第1下回転体12の打撃部12cが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過する。
【0100】
このように、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を互いに交互に通過する。
【0101】
第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cの一方が、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過してから、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cの他方が、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を通過するまでの第1時間T1を想定した場合、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cの各々において、第1時間T1は同じ長さである。
【0102】
(第2上回転体及び第2下回転体の回転位相)
回転位相設定部80によって、以下の説明のように、第2上回転体21及び第2下回転体22の回転位相が設定される。
【0103】
図14に示すように、第2上回転体21の打撃部21b,21cの回転位相と、第2下回転体22の打撃部22b,22cの回転位相が、90度よりも小さな角度(大きな角度)で異なるように設定されている。
【0104】
図14及び
図15に示すように、第2上回転体21の打撃部21bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過すると、次に第2下回転体22の打撃部22bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過する。
【0105】
次に
図16に示すように、第2上回転体21の打撃部21cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過し、次に第2下回転体22の打撃部22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過する。
【0106】
このように、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を互いに交互に通過する。
【0107】
図14に示すように、第2上回転体21の打撃部21bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過してから、第2下回転体22の打撃部22bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過するまでの第2時間T21を想定する。
【0108】
図16に示すように、第2上回転体21の打撃部21cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過してから、第2下回転体22の打撃部22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過するまでは、前述と同じ第2時間T21である。
【0109】
図15に示すように、第2下回転体22の打撃部22bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過してから、第2上回転体21の打撃部21cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過するまでの第2時間T22を想定する。
【0110】
図16に示すように、第2下回転体22の打撃部22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過してから、第2上回転体21の打撃部21bが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を通過するまでは、前述と同じ第2時間T22である。
【0111】
この場合、第2上回転体21の打撃部21b,21cの回転位相と、第2下回転体22の打撃部22b,22cの回転位相が、90度よりも小さな角度(大きな角度)で異なるように設定されていることにより、第2時間T21が、第2時間T22よりも短いものに設定されている。
【0112】
前述の(第1上回転体及び第1下回転体の回転位相)及び第1時間T1(
図13参照)と、第2時間T21,T22とを比較すると、第2上回転体21及び第2下回転体22の回転数が、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転数よりも少し高いものとなっていることにより、第2時間T21,T22は第1時間T1よりも短いものに設定されている。
この場合、第2時間T21が第1時間T1よりも短いものに設定され、第1時間T1が第2時間T22よりも短いものに設定されるように構成してもよい。
【0113】
(第1間隔変更部の構成)
図4,7,8,9,10に示すように、壁部44において、第1上回転体11及び第1下回転体12(第2上回転体21及び第2下回転体22)の反対側の面に、ガイド部81が上下方向に沿って連結されており、平板状の支持板82が、ガイド部81により壁部44に沿って上下方向にスライド自在に支持されている。
【0114】
支持板82に軸受け部83が連結されており、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9の反対側の部分が、軸受け部83に回転自在に支持されている。前述の(分離部における第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の伝動系の構成)に記載のように、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9の反対側の部分に、伝動軸78が自在継手79を介して接続されている。
【0115】
壁部44の上部の横向き部44aに、ボルト84が上下方向の軸芯周りに回転自在に支持されており、ボルト84の頭部に、平板状の操作部84aが連結されている。ボルト84に皿バネ85及びナット86が取り付けられて、上及び下の皿バネ85により壁部44の横向き部44aが挟まれており、ボルト84が回転操作されても、壁部44の横向き部44aに対してボルト84が上下に移動しないようになっている。
【0116】
支持板82にボス部82aが連結されており、ボス部82aの内面に雌ネジ部が形成されている。ボルト84が支持板82のボス部82aに挿入されており、支持板82のボス部82aとナット86との間に、バネ87が取り付けられている。
以上のように、第1間隔変更部41,51は、支持板82(ボス部82a)、ボルト84(操作部84a)、皿バネ85及びナット86、バネ87等を備えている。
【0117】
(第2間隔変更部の構成)
図4及び
図11に示すように、壁部40において、第1上回転体11及び第1下回転体12(第2上回転体21及び第2下回転体22)側の面に、ガイド部81が上下方向に沿って連結されている。平面視でアングル材状に折り曲げられた支持板82が、ガイド部81により壁部40に沿って上下方向にスライド自在に支持されている。
【0118】
支持板82に軸受け部83が連結されており、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9側の部分が、軸受け部83に回転自在に支持されている。
【0119】
分離部5の上部の横向き部88に、ボルト84が上下方向の軸芯周りに回転自在に支持されており、ボルト84の頭部に、平板状の操作部84aが連結されている。ボルト84に皿バネ85及びナット86が取り付けられて、上及び下の皿バネ85により横向き部88が挟まれており、ボルト84が回転操作されても、横向き部88に対してボルト84が上下に移動しないようになっている。
【0120】
支持板82にボス部82aが連結されており、ボス部82aの内面に雌ネジ部が形成されている。ボルト84が支持板82のボス部82aに挿入されており、支持板82のボス部82aとナット86との間に、バネ87が取り付けられている。
以上のように、第2間隔変更部42,52は、支持板82(ボス部82a)、ボルト84(操作部84a)、皿バネ85及びナット86、バネ87等を備えている。
【0121】
(第1間隔変更部及び第2間隔変更部の操作状態)
図1及び
図2に示すように、カバー53を閉位置に操作していると、第1間隔変更部41,51及び第2間隔変更部42,52は、カバー53の下側に位置して、カバー53により覆われている。カバー53を開位置に操作すると、第1間隔変更部41,51及び第2間隔変更部42,52において、ボルト84の操作部84aが露出する状態となる。
【0122】
図4,7,8に示すように、第1間隔変更部41,51及び第2間隔変更部42,52において、ボルト84の操作部84aを持って、ボルト84を回転操作すると、ボルト84と支持板82のボス部82aとのネジ作用によって、支持板82が上下方向にスライド操作される。
【0123】
第1間隔変更部41,51において、支持板82の上下方向のスライド操作に伴い、軸受け部83の位置が上下に変更されて、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9の反対側の部分の位置が上下に変更される。
【0124】
これにより、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9側の部分(第2間隔変更部42,52)を支点として、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)の上下方向での傾斜角度が変更されて、第1上回転体11と第1下回転体12との上下間隔(第2上回転体21と第2下回転体22との上下間隔)が変更される。
【0125】
この場合、駆動軸71,73に対して、伝動軸78及び自在継手79が上下に屈曲することにより、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9の反対側の部分の位置の変更が許容される。
【0126】
図4,6,11に示すように、第2間隔変更部42,52において、支持板82の上下方向のスライド操作に伴い、軸受け部83の位置が上下に変更されて、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9側の部分の位置が上下に変更される。
【0127】
これにより、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)における第2搬送体9の反対側の部分(第1間隔変更部41,51)を支点として、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)の上下方向での傾斜角度が変更されて、第1上回転体11と第1下回転体12との上下間隔(第2上回転体21と第2下回転体22との上下間隔)が変更される。
【0128】
第1間隔変更部41,51及び第2間隔変更部42,52の両方を操作すると、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)の全体の位置が上下に変更されるのであり、第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部11a(軸部21a)の上下間隔が全体的に変更される。
【0129】
ボルト84の回転操作を止めた場合、バネ87が支持板82のボス部82a及びナット86を押圧することにより、皿バネ85が壁部44の横向き部44a及び横向き部88に上下から押圧されて、皿バネ85と壁部44の横向き部44a及び横向き部88との摩擦抵抗により、ボルト84が回転しないように保持される。
【0130】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、収穫部での状態)
枝豆収穫機における収穫の全体の流れについて、各部分での状態を、以下のように、本項から(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部での回収コンベア、搬送コンベア及び排出コンベアでの状態)において、順に説明する。
【0131】
図1及び
図2に示すように、収穫部3において、デバイダ48が圃場に接して、サブソイラ49が圃場に入り込んだ状態で、機体1を前進させると、圃場の作物Aがデバイダ48により分けられ、サブソイラ49により圃場が崩されながら、圃場の起立姿勢の作物Aが右及び左の第1搬送体8の搬送始端部8aに入る。
【0132】
右及び左の第1搬送体8により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体8により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0133】
作物Aが第1搬送体8の搬送終端部8bに達すると、第1搬送体8の搬送終端部8bから第2搬送体9の搬送始端部9aへの受け渡し部分において、姿勢変更部62により、起立姿勢の作物Aが分離部5側の横倒れ姿勢に姿勢変更されて、作物Aの上部が、倒れ込むようにして防塵カバー26の開口部26aに入る。
【0134】
前述のようにして、作物Aの株元A1が第2搬送体9の搬送始端部9aに受け渡されるのであり、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、第2搬送体9とガイドレール13との間に挟持(保持)され、第2搬送体9により作物Aが後側に搬送される。
【0135】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部(第1上回転体及び第1下回転体)での状態)
図3及び
図6に示すように、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、第2搬送体9とガイドレール13との間に挟持(保持)されて、作物Aが後側に搬送されると、作物Aが分離部5の開口部66から分離部5の内部に入り、第2搬送体9の搬送始端部9aから搬送終端部9bに向けて搬送される。
【0136】
分離部5において、作物Aは先ず、第1上回転体11と第1下回転体12との間に入るのであり、
図13に示すように、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが、交互に繰り返して作物Aに当たる状態となって、作物Aから実A2が分離されて回収コンベア10に落下する(前述の(分離部の構成)参照)。
【0137】
この場合、第1時間T1(前述の(第1上回転体及び第1下回転体の回転位相)参照)の各々が、同じ長さであることにより、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが、同じ長さの第1時間T1を置いて交互に繰り返して作物Aに当たる。
【0138】
図3及び
図4に示すように、第1上回転体11及び第1下回転体12が、第2搬送体9に対して角度B1を持って傾斜配置されている(前述の(分離部における第1上回転体及び第1下回転体の配置、第2上回転体及び第2下回転体の配置)参照)。
図13に示すように、第1上回転体11の回転方向C1及び第1下回転体12の回転方向C2が設定されている(前述の(第1上回転体及び第1下回転体の回転方向、第2上回転体及び第2下回転体の回転方向)参照)。
【0139】
以上の第1上回転体11及び第1下回転体12の傾斜配置及び回転方向C1,C2によって、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが作物Aに当たる際に、作物Aの株元A1が第2搬送体9に保持された状態で、作物Aを株元A1側(第2搬送体9側)から上部側に向けて引き出そうとする分力が発生する。これにより、作物Aが株元A1側に圧縮され座屈して折れ曲がったりするようなことがなく、作物Aから実A2が無理なく分離される。
【0140】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部(第2上回転体及び第2下回転体)での状態)
分離部5において、作物Aは次に、第2上回転体21と第2下回転体22との間に入るのであり、
図14,15,16に示すように、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが、交互に繰り返して作物Aに当たる状態となって、作物Aに残った実A2が、残ることなく分離されて回収コンベア10に落下する(前述の(分離部の構成)参照)。
【0141】
この場合、第2時間T21,T22が第1時間T1よりも短いことにより(前述の(第2上回転体及び第2下回転体の回転位相)参照)、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが作物Aに当たる回数が、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが作物Aに当たる回数よりも多くなっている。
【0142】
第2時間T21,T22の各々が異なる長さであることにより、第2上回転体21の打撃部21bが作物Aに当たってから、短い第2時間T21を置いて遅れることなく、第2下回転体22の打撃部22bが作物Aに当たる。次に少し長い時間T22を置いて、第2上回転体21の打撃部21cが作物Aに当たり、短い第2時間T21を置いて遅れることなく、第2下回転体22の打撃部22cが作物Aに当たる。
【0143】
これにより、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが、作物Aに同時に近い状態で当たる状態(短い第2時間T21での状態)が得られる。
【0144】
図3及び
図4に示すように、第2上回転体21及び第2下回転体22が、第2搬送体9に対して角度B2を持って傾斜配置されている(前述の(分離部における第1上回転体及び第1下回転体の配置、第2上回転体及び第2下回転体の配置)参照)。
図14,15,16に示すように、第2上回転体21の回転方向C1及び第2下回転体22の回転方向C2が設定されている(前述の(第1上回転体及び第1下回転体の回転方向、第2上回転体及び第2下回転体の回転方向)参照)。
【0145】
以上の第2上回転体21及び第2下回転体22の傾斜配置及び回転方向C1,C2によって、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが作物Aに当たる際に、作物Aの株元A1が第2搬送体9に保持された状態で、作物Aを株元A1側(第2搬送体9側)から上部側に向けて引き出そうとする分力が発生する。これにより、作物Aが株元A1側に圧縮され座屈して折れ曲がったりするようなことがなく、作物Aから実A2が無理なく分離される。
【0146】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部での回収コンベア、搬送コンベア及び排出コンベアでの状態)
図1,2,3に示すように、第1上回転体11及び第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22により、作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。作物Aから実A2が分離される際、葉等の屑も一緒に分離されて回収コンベア10に落下する。実A2が分離された作物Aは、第2搬送体9の搬送終端部9bから圃場に放出される。
【0147】
回収コンベア10が後側に向けて回転駆動されており、回収コンベア10に落下した実A2及び屑は、回収コンベア10により後側に搬送され、回収コンベア10の後部から搬送コンベア14に落下する。
【0148】
唐箕16の搬送風が回収コンベア10の下側から後側に流れ、回収コンベア10と排出コンベア15との間を通って、排出コンベア15の上側を後側に流れている。
実A2及び屑が回収コンベア10の後部から落下する際に、実A2は唐箕16の搬送風に抗して搬送コンベア14に落下する。屑は唐箕16の搬送風により飛ばされて排出コンベア15に乗るのであり、排出コンベア15に乗った屑が、排出コンベア15により後側に搬送されて圃場に放出される。
【0149】
搬送コンベア14は支持台6側に向けて回転駆動されており、多数の回収箱17が支持台6に乗せられている。搬送コンベア14に落下した実A2は、搬送コンベア14により支持台6側に搬送されて、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17に投入される。作業デッキ7の補助作業者は、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17が満杯になると、空の回収箱17と入れ換える。
【0150】
(発明の実施の第1別形態)
第1間隔変更部41を第1下回転体12に設け、第2間隔変更部42を前述のように第1上回転体11に設けてもよい。
第1間隔変更部41を前述のように第1上回転体11に設け、第2間隔変更部42を第1下回転体12(壁部54)に設けてもよい。
第1間隔変更部41及び第2間隔変更部42の両方を、第1下回転体12に設けてもよい。
第2間隔変更部42を廃止して、第1間隔変更部41を設けるように構成してもよく、第1間隔変更部41を廃止して、第2間隔変更部42を設けるように構成してもよい。
【0151】
(発明の実施の第2別形態)
第1間隔変更部51を第2下回転体22に設け、第2間隔変更部52を前述のように第2上回転体21に設けてもよい。
第1間隔変更部51を前述のように第2上回転体21に設け、第2間隔変更部52を第2下回転体22(壁部54)に設けてもよい。
第1間隔変更部51及び第2間隔変更部52の両方を、第2下回転体22に設けてもよい。
第2間隔変更部52を廃止して、第1間隔変更部51を設けるように構成してもよく、第1間隔変更部51を廃止して、第2間隔変更部52を設けるように構成してもよい。
【0152】
(発明の実施の第3別形態)
第1上回転体11において、1個の打撃部11bのみを設けてもよく、3個以上の打撃部11b,11cを設けてもよい。
第1下回転体12において、1個の打撃部12bのみを設けてもよく、3個以上の打撃部12b,12cを設けてもよい。
第2上回転体21において、1個の打撃部21bのみを設けてもよく、3個以上の打撃部21b,21cを設けてもよい。
第2下回転体22において、1個の打撃部22bのみを設けてもよく、3個以上の打撃部22b,22cを設けてもよい。
【0153】
(発明の実施の第4別形態)
第1上回転体11及び第1下回転体12において、第1上回転体11の打撃部11b,11cの回転位相と、第1下回転体12の打撃部12b,12cの回転位相とを、90度よりも少し大きな角度及び90度よりも少し小さな角度で異なるように設定してもよい。この構成によると、少しだけ長さが異なる複数の第1時間T1が生じる。
【0154】
(発明の実施の第5別形態)
第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9側の部分が、第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送終端部9b側(後側)に位置するように、第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)を、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置してもよい。
【0155】
この構成によると、第1上回転体11の打撃部11b,11c及び第1下回転体12の打撃部12b,12cが、第1上回転体11と第1下回転体12との間の部分を第2搬送体9の搬送終端部9b側に移動するように、第1上回転体11の回転方向C1及び第1下回転体12の回転方向C2を設定すればよい。
【0156】
(発明の実施の第6別形態)
第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9側の部分が、第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送終端部9b側(後側)に位置するように、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)を、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置してもよい。
【0157】
この構成によると、第2上回転体21の打撃部21b,21c及び第2下回転体22の打撃部22b,22cが、第2上回転体21と第2下回転体22との間の部分を第2搬送体9の搬送終端部9b側に移動するように、第2上回転体21の回転方向C1及び第2下回転体22の回転方向C2を設定すればよい。
【0158】
(発明の実施の第7別形態)
図3,7,8,12において、伝動軸28の動力が、伝動ベルト34を介して駆動軸71に伝達されるように構成してもよい。
【0159】
伝動ギヤ70a,71aを駆動軸70,71ではなく、駆動軸72,73に設けて、伝動軸28の動力が、伝動ベルト34を介して駆動軸71又は駆動軸73に伝達されるように構成してもよい。
この構成によると、駆動軸72の動力が伝動チェーン74を介して駆動軸70に伝達され、駆動軸73の動力が伝動チェーン75を介して駆動軸71に伝達されるように構成すればよい。
【0160】
(発明の実施の第8別形態)
機体1の前部の右部に収穫部3(第1搬送体8)、第2搬送体9及びガイドレール13を設けてもよい。この構成によると、第2搬送体12及びガイドレール13の左側に分離部5が設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、枝豆収穫機ばかりではなく、大豆等の作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できるのであり、圃場の作物Aを引き抜くのではなく、圃場の作物Aの株元A1の付近をカッター等で切断して、根部を圃場に残しながら作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0162】
3 収穫部
5 分離部
9 搬送体
11 第1上回転体(上回転体)
12 第1下回転体(下回転体)
21 第2上回転体(上回転体)
22 第2下回転体(下回転体)
41,51 第1間隔変更部(間隔変更部)
42,52 第2間隔変更部(間隔変更部)
40,54,58a 壁部
44 壁部
44a 横向き部
53 カバー
71,73 駆動軸
77 自在継手
78 伝動軸
82 支持板
82a ボス部
83 軸受け部
84 ボルト
84a 操作部
85 皿バネ
86 ナット
87 バネ
88 横向き部
A 作物
A1 株元
A2 実
P11 第1上軸芯(上軸芯)
P12 第1下軸芯(下軸芯)
P21 第2上軸芯(上軸芯)
P22 第2下軸芯(下軸芯)