(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 45/22 20060101AFI20220823BHJP
A01F 11/00 20060101ALI20220823BHJP
A23N 15/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A01D45/22 A
A01F11/00 A
A23N15/00 Z
(21)【出願番号】P 2018122218
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 義貴
(72)【発明者】
【氏名】守山 千仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-95847(JP,U)
【文献】特開平2-117306(JP,A)
【文献】実開昭55-142946(JP,U)
【文献】特開平6-78620(JP,A)
【文献】特開平9-233932(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106818044(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/00 - 43/04
A01D 43/08 - 46/30
A01D 51/00
A01D 13/00 - 33/14
A01F 5/00 - 11/08
A01F 12/10 - 12/16
A23N 1/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、横向きの軸芯周りに回転駆動される無端の搬送体と、前記搬送体
の上側に沿って配置されたガイドレールと、前記搬送体の横側に配置された分離部とが備えられ、
前記搬送体は、
前記搬送体における前記分離部から遠い側の第1部分に、前記搬送体の移動方向に沿って第1間隔を置いて設けられて、前記ガイドレール側に突出した第1突部と、
前記搬送体における前記分離部に近い側の第2部分に、前記搬送体の移動方向に沿って第2間隔を置いて設けられて、前記ガイドレール側に突出した第2突部とを有して、
前記第2間隔が前記第1間隔よりも大きなものに設定さ
れて、
前記収穫部により収穫された作物の株元が、横倒れ姿勢で前記搬送体と前記ガイドレールとの間に挟持され、前記搬送体が回転駆動されることによる前記第1突部及び前記第2突部の移動により、作物が搬送され、搬送される作物から前記分離部により実が分離されて回収され
、
前記ガイドレールにおける前記分離部に近い側の部分が、背面視で前記第1部分と前記第2部分との間に配置されている作物収穫機。
【請求項2】
前記分離部に、平面視で前記搬送体と交差する向きの上軸芯周りに回転駆動される上回転体と、前記上軸芯の下側で前記上軸芯に沿った下軸芯周りに回転駆動される下回転体とが設けられて、
搬送される作物が前記上回転体と前記下回転体との間を通り、作物に前記上回転体及び前記下回転体が当たることにより、作物から実が分離される請求項
1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体側の部分が、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分よりも、前記搬送体の搬送始端部側に位置するように、前記上回転体及び前記下回転体が前記搬送体に対して平面視で傾斜して配置され、
前記上回転体と前記下回転体との間を通る作物が、前記上回転体及び前記下回転体により前記搬送体の搬送始端部側に押される側に、前記上回転体及び前記下回転体の回転方向が設定されている請求項
2に記載の作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機の一例である枝豆収穫機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、圃場の作物を収穫する収穫部と、収穫部により収穫された作物を、横倒れ姿勢で挟持して後側に搬送する搬送体と、搬送体の右側に配置された分離部とが備えられている。
【0003】
特許文献1では、分離部に、平面視で搬送体と交差する向きの軸芯周りに回転駆動される回転体が設けられている。搬送体により作物が搬送されるのに伴って、回転する回転体が作物に当たり、作物から実が分離されて回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、作物から実が分離されて回収される場合、作物の株元が搬送体により挟持された状態で、回転体から作物の上部(実が付いている部分)に大きな分離作用が掛かる。
これにより、例えば茎等が弱い作物では、作物の茎が折れる可能性があり、作物の茎が折れてしまうと、作物の姿勢が横倒れ姿勢から例えば下向きに大きく変化して、回転体が作物に適切に当たらなくなり、作物からの実の分離が適切に行えなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、収穫部により収穫された作物の株元が、横倒れ姿勢で搬送体に挟持されて、搬送体により作物が横倒れ姿勢で搬送され、分離部により作物から実が分離されて回収される作物収穫機において、分離部よる作物からの実の分離性能の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作物収穫機は、
圃場の作物を収穫する収穫部と、横向きの軸芯周りに回転駆動される無端の搬送体と、前記搬送体の上側に沿って配置されたガイドレールと、前記搬送体の横側に配置された分離部とが備えられ、
前記搬送体は、
前記搬送体における前記分離部から遠い側の第1部分に、前記搬送体の移動方向に沿って第1間隔を置いて設けられて、前記ガイドレール側に突出した第1突部と、
前記搬送体における前記分離部に近い側の第2部分に、前記搬送体の移動方向に沿って第2間隔を置いて設けられて、前記ガイドレール側に突出した第2突部とを有して、
前記第2間隔が前記第1間隔よりも大きなものに設定されて、
前記収穫部により収穫された作物の株元が、横倒れ姿勢で前記搬送体と前記ガイドレールとの間に挟持され、前記搬送体が回転駆動されることによる前記第1突部及び前記第2突部の移動により、作物が搬送され、搬送される作物から前記分離部により実が分離されて回収され、
前記ガイドレールにおける前記分離部に近い側の部分が、背面視で前記第1部分と前記第2部分との間に配置されている。
【0008】
本発明によると、作物の株元が搬送体及びガイドレールに挟持された場合、作物の株元における分離部から遠い部分は、搬送体の移動方向において、搬送体の第1突部と第1突部との間に位置することがある。作物の株元における分離部に近い部分は、搬送体の移動方向において、搬送体の第2突部と第2突部との間に位置することがある。作物の株元における分離部から遠い部分及び分離部に近い部分は、上下方向において、搬送体とガイドレールとの間に位置している。
【0009】
以上の状態において、搬送体が回転駆動されることによる搬送体の第1突部及び第2突部の移動により、作物が搬送される。
この場合、搬送体の第1突部と第1突部との間、及び搬送体の第2突部と第2突部との間において、作物の株元は、搬送体により搬送されながら、搬送体に対して搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
【0010】
前述の状態において、本発明によると、搬送体の第2突部の第2間隔が、搬送体の第1突部の第1間隔よりも大きなものに設定されている。又は、搬送体の第1突部の第1間隔が、搬送体の第2突部の第2間隔よりも大きなものに設定されている。
【0011】
これにより、搬送体の第2突部の第2間隔が搬送体の第1突部の第1間隔よりも大きなものに設定されていると、搬送体における分離部から遠い側の第1部分の付近を支点として、作物の株元における分離部に近い部分が、搬送体の第2突部と第2突部との間を搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
【0012】
搬送体の第1突部の第1間隔が搬送体の第2突部の第2間隔よりも大きなものに設定されていると、搬送体における分離部に近い側の第2部分の付近を支点として、作物の株元における分離部から遠い部分が、搬送体の第1突部と第1突部との間を搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
【0013】
本発明によると、作物の株元が搬送体及びガイドレールに挟持されて、搬送体により作物が横倒れ姿勢で搬送される場合、作物の上部は、横倒れ姿勢を維持しながら、搬送体の付近を支点として、搬送体に対して搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に振れるように移動可能な状態である。
【0014】
これにより、分離部において、作物の上部(実が付いている部分)に大きな分離作用が掛かろうとしても、前述のように、作物の上部が搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に振れるように移動することによって、大きな分離作用を作物の上部から逃がすことができるのであり、作物の茎が折れるような状態を避けることができて、分離部よる作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0015】
前述のような搬送体に対する作物の上部の移動が大きすぎると、作物から実が分離され難くなる可能性がある。
本発明によると、作物の株元の移動が、搬送体の第1突部と第1突部との間、搬送体の第2突部と第2突部との間に抑えられて、搬送体に対する作物の上部の移動が大きくなりすぎる状態が抑えられるので、分離部よる作物からの実の分離性能の低下を招くことはない。
【0016】
【0017】
本発明によると、搬送体における分離部から遠い側の第1部分の付近を支点として、作物の株元における分離部に近い部分が、搬送体の第2突部と第2突部との間を搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
この場合、搬送体の第2部分から作物の上部までの長さに比べて、搬送体の第1部分から作物の上部までの長さが長いものとなり、前述の搬送体に対する作物の上部の移動幅が大きなものとなるので、分離部よる作物からの実の分離性能の向上の面で有利なものとなる。
【0018】
【0019】
本発明によると、下側に搬送体が配置され、上側にガイドレールが配置された状態において、搬送体における分離部に近い側の第2部分の真上に、ガイドレールにおける分離部に近い側の部分が存在しない状態となるので、作物の株元が搬送体及びガイドレールに挟持された状態において、作物の上部が横倒れ姿勢から上側にも移動し易くなる。
【0020】
これにより、作物の上部が移動可能な方向が増えることになって、分離部において大きな分離作用を作物の上部から逃し易くなるのであり、作物の茎が折れるような状態を避けることができて、分離部よる作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0021】
作物の上部が横倒れ姿勢から上側に移動しても、作物の自重により作物が横倒れ姿勢に戻り易いので、この点においても、分離部よる作物からの実の分離性能の向上を図ることができる。
【0022】
本発明において、
前記分離部に、平面視で前記搬送体と交差する向きの上軸芯周りに回転駆動される上回転体と、前記上軸芯の下側で前記上軸芯に沿った下軸芯周りに回転駆動される下回転体とが設けられて、
搬送される作物が前記上回転体と前記下回転体との間を通り、作物に前記上回転体及び前記下回転体が当たることにより、作物から実が分離されると好適である。
【0023】
本発明によると、分離部において、上回転体が作物に上側から当たり、下回転体が作物に下側から当たるのであり、作物の各部の実を残すことなく分離することができる。
【0024】
本発明によると、作物の上部が、横倒れ姿勢を維持しながら搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。これにより、分離部に上回転体及び下回転体が設けられることによって、上回転体と下回転体との間を、作物が搬送体の移動方向に沿って上手側及び下手側に無理なく移動可能となる。
【0025】
本発明において、
前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体側の部分が、前記上回転体及び前記下回転体における前記搬送体の反対側の部分よりも、前記搬送体の搬送始端部側に位置するように、前記上回転体及び前記下回転体が前記搬送体に対して平面視で傾斜して配置され、
前記上回転体と前記下回転体との間を通る作物が、前記上回転体及び前記下回転体により前記搬送体の搬送始端部側に押される側に、前記上回転体及び前記下回転体の回転方向が設定されていると好適である。
【0026】
本発明によると、上回転体と下回転体との間を通る作物に、上回転体及び下回転体が当たる場合、作物の株元が搬送体及びガイドレールに挟持された状態で、作物を株元側(搬送体側)から上部側に向けて引き出そうとする分力が発生する。
これにより、作物が株元側に圧縮され座屈して折れ曲がったりするようなことがなく、作物から実を無理なく分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】収穫部の後部、分離部の第1下回転体及び第2下回転体の付近の横断平面図である。
【
図4】第2搬送体及びガイドレールの左側面図である。
【
図5】収穫部の後部、第2搬送体及びガイドレールの前部、姿勢変更部の付近の左側面図である。
【
図6】第2搬送体及びガイドレールの搬送始端部、分離部の第1上回転体及び第1下回転体の付近の縦断背面図である。
【
図7】第1上回転体(第2上回転体)及び第1下回転体(第2下回転体)の断面図である。
【
図8】第2搬送体及びガイドレールの搬送始端部の付近の斜視図である。
【
図11】第2搬送体及びガイドレールの縦断左側面図である。
【
図12】第2搬送体及びガイドレールの縦断背面図である。
【
図13】作物の挟持状態を示す第2搬送体の平面図である。
【
図14】
図13において、XIV-XIV方向から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~
図14に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機が示されている。
図1~
図14において、Fは機体1の「前方向」を示し、Bは機体1の「後方向」を示し、Uは機体1の「上方向」を示し、Dは機体1の「下方向」を示している。Rは機体1の「右方向」を示し、Lは機体1の「左方向」を示している。
【0029】
(枝豆収穫機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の前部の左部に収穫部3が設けられ、機体1の前部の右部に運転部4が設けられている。
【0030】
機体1の後部に分離部5が設けられており、分離部5の左側に、第2搬送体9(搬送体に相当)及びガイドレール13が設けられている。機体1の右部に支持台6及び作業デッキ7が設けられており、支持台6に回収箱17が置かれている。
【0031】
(収穫部の構成)
図1,2,3に示すように、収穫部3の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1周りに、右及び左の従動プーリー45が回転自在に支持されている。収穫部3の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P2周りに、右及び左の駆動プーリー46が回転自在に支持されている。この場合、軸芯P1と軸芯P2とは互いに平行である。
【0032】
右の従動プーリー45及び右の駆動プーリー46に亘り、ゴムベルト製の右の第1搬送体8が取り付けられている。左の従動プーリー45及び左の駆動プーリー46に亘り、ゴムベルト製の左の第1搬送体8が取り付けられている。
【0033】
右及び左の第1搬送体8が、収穫部3の全長に亘って合わせられている。収穫部3に、多数のローラー47が回転自在に支持されており、ローラー47により第1搬送体8の合わせ部分(作物Aの挟持部分)の反対側が支持されている。収穫部3の前部に、右及び左のデバイダ48、サブソイラ49が取り付けられている。
【0034】
収穫部3の前部が下側で、収穫部3の後部が上側となるように、収穫部3が側面視で斜めの姿勢で、機体1の前部の左部に前後方向に沿って支持されている。
第1搬送体8において、従動プーリー45の付近が搬送始端部8aであり、駆動プーリー46の付近が搬送終端部8bである。これにより、右及び左の第1搬送体8が、第1搬送体8の搬送始端部8aから搬送終端部8bに亘って、捩じられることなく、直線的に斜め上側の後側に向けて延出されている。
【0035】
(分離部の構成)
図1,2,3に示すように、分離部5が機体1に設けられている。分離部5に、第1上回転体11(上回転体に相当)、第1下回転体12(下回転体に相当)、第2上回転体21(上回転体に相当)、第2下回転体22(下回転体に相当)が設けられている。
【0036】
分離部5において、第1上回転体11及び第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22の下側に、前後方向に沿って配置された回収コンベア10が設けられている。
【0037】
回収コンベア10の後部の下側に左右方向に沿って搬送コンベア14が設けられ、回収コンベア10の後部から後側に所定間隔を開けて排出コンベア15が設けられており、回収コンベア10の下側に唐箕16が設けられている。
【0038】
図3及び
図6に示すように、分離部5の右側に、壁部43,44が設けられている。壁部43は平面視で前後方向に配置され、壁部44は平面視で前後方向と交差する斜めに配置されている。分離部5の左側に、壁部40,29が設けられている。壁部40,29は平面視で前後方向に配置されており、上側の壁部40と下側の壁部29との間に、前後方向に沿った開口部30が設けられている。
【0039】
(第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の構成)
図3,6,7に示すように、第1上回転体11(第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22)において、軸部18と2個の打撃部19とが設けられている。
【0040】
軸部18は六角軸状に形成されている。打撃部19は平板状に形成されており、互いに180度の位相の違いで軸部18に連結されて、半径方向外側に延出されている。打撃部19の外端部に、硬質ゴム製の縁部20が取り付けられている。
【0041】
図7に示すように、第1上回転体11の回転軌跡の直径D1と、第1下回転体12の回転軌跡の直径D1とが同じものに設定されている。第2上回転体21の回転軌跡の直径D1と、第2下回転体22の回転軌跡の直径D1とが同じものに設定されており、第2上回転体21(第2下回転体22)の回転軌跡の直径D1が、第1上回転体11(第1下回転体12)の回転軌跡の直径D1よりも、少し小径に設定されている。
【0042】
(第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の配置)
図3,6,7に示すように、第1上回転体11が、第1上軸芯P11(上軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部40とに亘って、ベアリング23により支持されている。
【0043】
第1下回転体12が、第1上軸芯P11の下側で第1上軸芯P11に沿った第1下軸芯P12(下軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部29とに亘って、ベアリング23により支持されている。
【0044】
第2上回転体21が、第2上軸芯P21(上軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部40とに亘って、ベアリング23により支持されている。
第2下回転体22が、第2上軸芯P21の下側で第2上軸芯P21に沿った第2下軸芯P22(下軸芯に相当)周りに回転自在に、壁部44と壁部29とに亘って、ベアリング23により支持されている。
【0045】
図3に示すように、第1上回転体11及び第1下回転体12が、第2上回転体21及び第2下回転体22よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)(後述の(第2搬送体の全体構成)参照)に配置されている。
【0046】
第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9側の部分が、第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)に位置するように、第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)が、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置されている。
【0047】
第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9側の部分が、第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送始端部9a側(前側)に位置するように、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)が、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置されている。
【0048】
第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)と第2搬送体9との角度B1よりも、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)と第2搬送体9との角度B2が大きいものに設定されている。
【0049】
第1上回転体11(第2上回転体21)の軸部18における第2搬送体9の反対側の部分に、伝動軸24を介して駆動軸25が接続されており、駆動軸25の動力により、第1上回転体11(第2上回転体21)が、回転方向C1に回転駆動される(
図7参照)。
【0050】
第1下回転体12(第2下回転体22)の軸部18における第2搬送体9の反対側の部分に、伝動軸24を介して駆動軸25が接続されており、駆動軸25の動力により、第1下回転体12(第2下回転体22)が、回転方向C1とは逆方向の回転方向C2に回転駆動される(
図7参照)。
【0051】
(姿勢変更部及び防塵カバーの構成)
図1,2,5に示すように、第1搬送体8の搬送終端部8bの上部に、姿勢変更部62が取り付けられている。姿勢変更部62に、ガイド部63、無端回動体64及び爪体65が設けられている。
【0052】
ガイド部63は、上側及び下側の2組備えられており、第1搬送体8の搬送終端部8bから後側に延出され、平面視で分離部5に近い側(右側)に斜めに傾斜して配置されている。
【0053】
第1搬送体8(駆動プーリー46)に伝達された動力が分岐して、無端回動体64に伝達されており、無端回動体64が
図2の時計方向に回転駆動される。爪体65は、無端回動体64の移動方向に沿って所定間隔を置いて無端回動体64に取り付けられており、無端回動体64と一体で
図2の時計方向に回転駆動される。
【0054】
姿勢変更部62の右側に位置するように、防塵カバー26が設けられている。防塵カバー26は、板材を組み合わせて箱状に構成されており、防塵カバー26の左部に開口部26aが開口されている。
【0055】
防塵カバー26は、分離部5の入り口に相当するものであり、後述の(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、収穫部での状態)に記載のように、作物Aの上部が、倒れ込むようにして防塵カバー26の開口部26aに入り、防塵カバー26から分離部5に入る。
【0056】
(第2搬送体の全体構成)
図1,4,5に示すように、機体1の左部に駆動機構27が支持されて、駆動機構27に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される駆動スプロケット27aが設けられている。機体1の左部の前部に、回転輪55,56が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持され、機体1の左部の後部に、回転輪57が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持されている。
【0057】
駆動機構27の駆動スプロケット27a及び回転輪55,56,57に亘って、第2搬送体9が取り付けられており、機体1の左部(分離部5の左側)に、第2搬送体9が前後方向に沿って配置されている。第2搬送体9は、駆動機構27の駆動スプロケット27aにより、
図1及び
図4の時計方向に回転駆動される。
【0058】
第2搬送体9は、第1搬送体8の搬送終端部8bから後側に延出されており、第2搬送体9において、回転輪55と回転輪56との間の部分が搬送始端部9aであり、回転輪57の付近が搬送終端部9bである。
【0059】
第2搬送体9の搬送始端部9aの前部分(回転輪55の部分)が、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)よりも下側の位置に配置されて、第2搬送体9の搬送始端部9aが、第1搬送体8の搬送終端部8bの下側に沿って斜め上向きの傾斜姿勢に配置されている。
第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)から搬送終端部9bに亘る部分が、側面視で略水平姿勢に配置されている。
【0060】
(第2搬送体の具体的構成)
図8,9,12,13に示すように、第2搬送体9に、第1部分31、第2部分32、接続部分33、ピン34及びカラー35が設けられている。
【0061】
第1部分31は、細長い平板状(リンク状)に形成されて、前後中央部に側面視で三角形状の第1突部31aが設けられている。
第2部分32は、第1部分31と同様に細長い平板状(リンク状)に形成されて、前後中央部に側面視で三角形状の第2突部32aが設けられている。
接続部分33は、第2部分32と同様に細長い平板状(リンク状)に形成されて、第2部分32と同じ長さに形成されているが、突部は設けられていない。
【0062】
第1部分31が左右方向に交互に配置されながら、第1部分31の前部及び後部が重ね合わされている。第2部分32及び接続部分33が、左右方向に交互に配置されながら、第2部分32及び接続部分33の前部及び後部が重ね合わされている。第1部分31と第2部分32との間にカラー35が配置された状態で、ピン34が挿入されて、ピン34が第1部分31及び第2部分32(接続部分33)に取り付けられている。
【0063】
これにより、第1部分31がピン34により接続され、第2部分32及び接続部分33がピン34により接続されて、第2搬送体9が無端のチェーン状に構成されている。第1部分31及び第2部分32(接続部分33)は、カラー35の長さに相当する間隔を置いて配置され、ピン34の部分において、第1部分31及び第2部分32(接続部分33)が、自由に屈曲できる。
【0064】
(第2搬送体の配置)
図8,11,12に示すように、回転輪55の位置と回転輪57の位置とに亘って、細長い支持部材28が、壁部29の上部に連結されており、第2搬送体9において、ピン34及びカラー35が支持部材28に乗せられている。これにより、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)から搬送終端部9bに亘る部分が、側面視で略水平姿勢に配置されている。
【0065】
駆動機構27により第2搬送体9が回転駆動されると、ピン34及びカラー35が支持部材28に沿って移動することにより、第1部分31及び第2部分32(接続部分33)が、回転輪55の位置から回転輪57の位置に向かって移動する。
【0066】
図8,12,13に示すように、第2搬送体9において、第1部分31が、支持部材28の左側に配置されて、分離部5から遠い側に配置されている。第2部分32及び接続部分33が、支持部材28の右側に配置されて、分離部5に近い側に配置されており、開口部30に少し入り込んでいる。
【0067】
支持部材28が正面視で第1部分31及び第2部分32(接続部分33)の間に入り込んでおり、第2搬送体9(第1部分31及び第2部分32、接続部分33)の左右方向の位置が、支持部材28により決められている。
【0068】
第2搬送体9の移動方向に沿って、第1部分31が並ぶように配置されて、第1部分31の第1突部31aが、第1間隔W1を置いて設けられている。回転輪55の位置と回転輪57の位置とに亘って、第1部分31の第1突部31aが上側(ガイドレール13側)に突出している。
【0069】
第2搬送体9の移動方向に沿って、第2部分32及び接続部分33が並ぶように配置されて、第2部分32の第2突部32aが、第2間隔W2を置いて設けられている。回転輪55の位置と回転輪57の位置とに亘って、第2部分32の第2突部32aが上側(ガイドレール13側)に突出している。
【0070】
第2部分32と第2部分32との間に接続部分33が設けられていることにより、第2間隔W2が第1間隔W1よりも大きなものとなっている。この場合、第2部分32と接続部分33とが同じ長さであるので、第2間隔W2は第1間隔W1の2倍となっている。
【0071】
(ガイドレールの構成)
図1,4,5に示すように、ガイドレール13が、第2搬送体9の上側に沿って配置されており、ガイドレール13に、第1レール部分41及び第2レール部分42、ピン36が設けられている。
【0072】
図8,10,11,12に示すように、板材がチャンネル状に折り曲げられて、第1レール部分41が構成されており、第1レール部分41に、上側部41aと、上側部41aから下側に延出された横側部41b,41cとが設けられている。第1レール部分41において、横側部41b,41cの前後長は上側部41aの前後長よりも長いものとなっており、横側部41b,41cにおける上側部41aから出た部分に、丸孔状の開口部41dが開口されている。
【0073】
板状の右及び左の第2レール部分42が設けられており、第2レール部分42に、長孔状の開口部42aが開口されている。第2レール部分42が第1レール部分41に入れられて、第1レール部分41と第2レール部分42とが連結されている。
【0074】
前述のように連結された第1レール部分41及び第2レール部分42が、第2搬送体9に沿って並べて配置されている。前後に並ぶ第1レール部分41及び第2レール部分42において、第1レール部分41の横側部41b,41cの内側に、第2レール部分42が挿入されて、第1レール部分41の開口部41dと第2レール部分42の開口部42aとに亘って、ピン36が取り付けられている。
これにより、第1レール部分41及び第2レール部分42が、ピン36により接続されており、ピン36の部分において屈曲できる。
【0075】
図1,4,5に示すように、丸棒材により構成された案内部材61が、ガイドレール13において、第2搬送体9の搬送始端部9a側の前端の第1レール部分41に取り付けられている。案内部材61は、第2搬送体9に沿って前向きに延出されており、第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)から、側面視で斜め上向きの前向きに延出されている。
【0076】
丸棒材により構成された案内部材52が、ガイドレール13において、第2搬送体9の搬送終端部9b側の後端の第1レール部分41に取り付けられている。案内部材52は、第2搬送体9に沿って後向きに延出されており、第2搬送体9の搬送終端部9b(回転輪57の部分)から、側面視で斜め下向きの後向きに延出されている。
【0077】
(ガイドレールの支持構成)
図4及び
図5に示すように、機体1の左部の上部に、前後方向に沿って支持フレーム58が支持されている。
図8,10,11,12に示すように、支持フレーム58にパイプ状のガイド部材37が上下方向に沿って取り付けられており、支持ロッド59がガイド部材37に上下動自在に挿入されている。
【0078】
支持ロッド59の上端部に、リング状の止め部材38及び固定ピン39が取り付けられている。止め部材38及び固定ピン39がガイド部材37の上端部に当たることにより、支持ロッド59の上下動の下限位置が決められる。
【0079】
支持ロッド59の下端部に、接続部材50が連結されている。接続部材50に、円形の受け部50a、受け部50aの縁部分が上側に折り曲げられた外れ止め部50b、受け部50aの縁部分が下側に折り曲げられた横側部50cが設けられている。
【0080】
前述の(ガイドレールの構成)に記載のように、第1レール部分41の開口部41dと第2レール部分42の開口部42aとに亘って、ピン36が取り付けられる場合、ピン36が接続部材50の横側部50cの開口部にも挿入されており、接続部材50(支持ロッド59)が、ガイドレール13(第1レール部分41及び第2レール部分42)に接続されている。
【0081】
ガイド部材37の下端部に、受け部材51が取り付けられて、接続部材50の受け部50aと受け部材51とに亘って、バネ60が取り付けられており、バネ60により支持ロッド59が第2搬送体9側(下側)に付勢されている。
【0082】
支持ロッド59が下限位置に位置している状態において、バネ60は自由長から少し圧縮された状態となっており、バネ60に初期付勢力が発生している。バネ60における接続部材50の受け部50aからの外れが、接続部材50の外れ止め部50bにより防止される。
【0083】
(第2搬送体とガイドレールとの位置関係)
図1及び
図4に示すように、ガイドレール13において、第2搬送体9の搬送始端部9a側の先頭の第1レール部分41が搬送始端部13aであり、第2搬送体9の搬送終端部9b側の後端の第2レール部分42が搬送終端部13bである。
【0084】
図4及び
図5に示すように、ガイドレール13の搬送始端部13aが、側面視で第2搬送体9の搬送始端部9aの後部分(回転輪56の部分)よりも少し後側に位置している。ガイドレール13の搬送終端部13bが、側面視で第2搬送体9の搬送終端部9b(回転輪57の部分)よりも少し前側に位置している。
【0085】
図12に示すように、ガイドレール13における分離部5に近い側の部分(第1レール部分41の横側部41c及び右の第2レール部分42)が、背面視及び平面視で、第2搬送体9の第2部分32及び接続部分33に対して、分離部5から遠い側(左側)に配置されており、第2搬送体9の第1部分31と第2部分32及び接続部分33との間に配置されている。
【0086】
ガイドレール13における分離部5から遠い側の部分(第1レール部分41の横側部41b及び左の第2レール部分42)が、背面視及び平面視で、第2搬送体9の第1部分31に対して、分離部5から遠い側(左側)に配置されている。
【0087】
これにより、第2搬送体9の第1部分31が、背面視及び平面視で、ガイドレール13の第1レール部分41の横側部41b,41c及び第2レール部分42の間に配置されている。
【0088】
図11及び
図12に示すように、支持ロッド59が下限位置に位置している状態において、ガイドレール13の第1レール部分41の横側部41c及び第2レール部分42の下端部が、第2搬送体9のピン34及びカラー35から少し上側に離れている。
【0089】
支持ロッド59が下限位置に位置している状態において、ガイドレール13の第1レール部分41の横側部41b,41c及び第2レール部分42と、第2搬送体9の第1部分31の第1突部31a及び第2部分32の第2突部32aとが、側面視で重複している。
【0090】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、収穫部での状態)
枝豆収穫機における収穫の全体の流れについて、各部分での状態を、以下のように、本項から(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部での回収コンベア、搬送コンベア及び排出コンベアでの状態)において、順に説明する。
【0091】
図1及び
図2に示すように、収穫部3において、デバイダ48が圃場に接して、サブソイラ49が圃場に入り込んだ状態で、機体1を前進させると、圃場の作物Aがデバイダ48により分けられ、サブソイラ49により圃場が崩されながら、圃場の起立姿勢の作物Aが右及び左の第1搬送体8の搬送始端部8aに入る。
【0092】
右及び左の第1搬送体8により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体8により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0093】
作物Aが第1搬送体8の搬送終端部8bに達すると、第1搬送体8の搬送終端部8bから第2搬送体9の搬送始端部9aへの受け渡し部分において、姿勢変更部62により、起立姿勢の作物Aが分離部5側の横倒れ姿勢に姿勢変更されて、作物Aの上部が、倒れ込むようにして防塵カバー26の開口部26aに入る。
【0094】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、第2搬送体及びガイドレールによる作物の搬送状態)
作物Aの上部が倒れ込むようにして防塵カバー26の開口部26aに入るのに伴って、作物Aの株元A1が第2搬送体9の搬送始端部9aに受け渡されるのであり、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、案内部材61により案内されながら、第2搬送体9の搬送始端部9aとガイドレール13の搬送始端部13aとの間に挟持される。
【0095】
図4及び
図5に示すように、作物Aの株元A1が、第2搬送体9とガイドレール13との間に挟持されると、作物Aの株元A1によって、ガイドレール13(第1レール部分41及び第2レール部分42)が折れ曲がるようにして上側に持ち上げられるのであり、バネ60の付勢力によって第2搬送体9とガイドレール13(第1レール部分41及び第2レール部分42)との間に、作物Aの株元A1が十分な挟持力によって挟持される。
【0096】
横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、第2搬送体9とガイドレール13との間に挟持された状態で、第2搬送体9が回転駆動されると、第2搬送体9(第1部分31の第1突部31a及び第2部分32の第2突部32a)により、作物Aの株元A1が後側に搬送されるのであり、作物Aが分離部5の開口部30から分離部5の内部に入り、第2搬送体9の搬送始端部9aから搬送終端部9bに向けて搬送される。
【0097】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、第2搬送体及びガイドレールによる搬送される際の作物の状態)
第2搬送体9により作物Aの株元A1が後側に搬送される場合、
図13及び
図14に示すように、作物Aの株元A1における分離部5から遠い部分は、第2搬送体の移動方向において、第2搬送体9(第1部分31)の第1突部31aと第1突部31aとの間に位置することがある。
【0098】
作物Aの株元A1における分離部5に近い部分は、第2搬送体9の移動方向において、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)の第2突部32aと第2突部32aとの間に位置することがある。
【0099】
作物Aの株元A1における分離部5から遠い部分及び分離部5に近い部分は、上下方向において、第2搬送体(第1部分31、第2部分32及び接続部分33)と、ガイドレール13(第1レール部分41及び第2レール部分42)との間に位置している。
【0100】
第2搬送体(第2部分32及び接続部分33)の第2突部32aの第2間隔W2が、第2搬送体(第1部分31)の第1突部31aの第1間隔W1よりも大きなものに設定されている。
【0101】
作物Aの株元A1における分離部5から遠い部分は、第2搬送体9(第1部分31)の第1突部31aと第1突部31aとの間で、第2搬送体9に対して第2搬送体9の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
この場合、第1間隔W1が小さいことにより、作物Aの株元A1における分離部5から遠い部分の移動範囲は小さいものとなっている。
【0102】
作物Aの株元A1における分離部5に近い部分は、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)の第2突部32aと第2突部32aとの間で、第2搬送体9に対して第2搬送体9の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
この場合、第2間隔W2が大きいことにより、作物Aの株元A1における分離部5に近い部分の移動範囲は大きいものとなっている。
【0103】
これにより、第2搬送体9の第1部分31(作物Aの株元A1における分離部5から遠い部分)の付近を支点として、作物Aの株元A1における分離部5に近い部分が、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)の第2突部32aと第2突部32aとの間を、第2搬送体9の移動方向に沿って上手側及び下手側に移動可能である。
【0104】
作物Aの株元A1における分離部5に近い部分に対して、接続部分33が第2搬送体9の搬送始端部9a側に位置する作物Aでは、作物Aの上部が、第2搬送体9の搬送始端部9a側に寄った範囲D1で移動し易い状態(振れ易い状態)となっている。
【0105】
作物Aの株元A1における分離部5に近い部分に対して、接続部分33が第2搬送体9の搬送終端部9b側に位置する作物Aでは、作物Aの上部が、第2搬送体9の搬送終端部9b側に寄った範囲D2で移動し易い状態(振れ易い状態)となっている。
【0106】
この場合、作物Aの上部が、範囲D1,D2を越えて移動しようとすると(振れようとすると)、作物Aの株元A1における分離部5に近い部分が、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)の第2突部32aにより止められて、作物Aの上部の移動(振れ)が止められる。
【0107】
図14に示すように、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)の真上に、ガイドレール13における第1レール部分41の横側部41c,42c及び第2レール部分42が存在しない状態であるので、作物Aの上部が横倒れ姿勢から上側の範囲D3において移動し易い状態(振れ易い状態)となっている。
【0108】
この場合、作物Aの上部が、範囲D3を越えて移動しようとすると(振れようとすると)、作物Aの株元A1における分離部5に近い部分が、第2搬送体9(第2部分32及び接続部分33)により止められて(ガイドレール13における第1レール部分41の横側部41c及び第2レール部分42により止められて)、作物Aの上部の移動(振れ)が止められる。
【0109】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部(第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体)での状態)
図2及び
図3に示すように、横倒れ姿勢の作物Aが第2搬送体9及びガイドレール13により後側に搬送されると、分離部5において、作物Aは先ず、第1上回転体11と第1下回転体12との間に入る。
【0110】
図7に示すように、第1上回転体11の打撃部19及び第1下回転体12の打撃部19が、交互に繰り返して作物Aに当たる状態となり、作物Aが第2搬送体9の搬送始端部9a側に押される状態となって、作物Aから実A2が分離されて回収コンベア10に落下する(前述の(分離部の構成)参照)。
【0111】
作物Aは次に、第2上回転体21と第2下回転体22との間に入る。第2上回転体21の打撃部19及び第2下回転体22の打撃部19が、交互に繰り返して作物Aに当たる状態となり、作物Aが第2搬送体9の搬送始端部9a側に押される状態となって、作物Aから実A2が分離されて回収コンベア10に落下する。
【0112】
第1上回転体11及び第1下回転体12が、第2搬送体9に対して角度B1を持って傾斜配置されている。第2上回転体21及び第2下回転体22が、第2搬送体9に対して角度B2を持って傾斜配置されている。
第1上回転体11(第2上回転体21)の回転方向C1、及び第1下回転体12(第2下回転体22)の回転方向C2が設定されている(前述の(第1上回転体及び第1下回転体、第2上回転体及び第2下回転体の配置)参照)。
【0113】
これにより、第1上回転体11(第2上回転体21)の打撃部19、及び第1下回転体12(第2下回転体22)の打撃部19が作物Aに当たる際に、作物Aの株元A1が第2搬送体9及びガイドレール13に挟持された状態で、作物Aを株元A1側(第2搬送体9側)から上部側に向けて引き出そうとする分力が発生するのであり、作物Aが株元A1側に圧縮され座屈して折れ曲がったりするようなことがなく、作物Aから実A2が無理なく分離される。
【0114】
前述の(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、第2搬送体及びガイドレールによる搬送される際の作物の状態)の記載、
図13及び
図14に示すように、作物Aの上部が範囲D1,D2,D3で移動し易い状態(振れ易い状態)である。
【0115】
これによって、第1上回転体11(第2上回転体21)の打撃部19、及び第1下回転体12(第2下回転体22)の打撃部19が作物Aに当たる際に、作物Aの上部に大きな分離作用が掛かろうとしても、作物Aの上部が範囲D1,D2,D3で移動することにより(振れることにより)、大きな分離作用を作物Aの上部から逃がすことができるのであり、作物Aの上部(茎)が折れるような状態を避けることができる。
【0116】
(枝豆収穫機の収穫全体の流れにおいて、分離部での回収コンベア、搬送コンベア及び排出コンベアでの状態)
図1,2,3に示すように、第1上回転体11及び第1下回転体12、第2上回転体21及び第2下回転体22により、作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。作物Aから実A2が分離される際、葉等の屑も一緒に分離されて回収コンベア10に落下する。
【0117】
実A2が分離された作物Aが、後側に搬送されてガイドレール13の搬送終端部13bから外れると、第2搬送体9及び案内部材52により挟持され、第2搬送体9の搬送終端部9b及び案内部材52から圃場に放出される。
【0118】
回収コンベア10が後側に向けて回転駆動されており、回収コンベア10に落下した実A2及び屑は、回収コンベア10により後側に搬送され、回収コンベア10の後部から搬送コンベア14に落下する。
【0119】
唐箕16の搬送風が回収コンベア10の下側から後側に流れ、回収コンベア10と排出コンベア15との間を通って、排出コンベア15の上側を後側に流れている。
実A2及び屑が回収コンベア10の後部から落下する際に、実A2は唐箕16の搬送風に抗して搬送コンベア14に落下する。屑は唐箕16の搬送風により飛ばされて排出コンベア15に乗るのであり、排出コンベア15に乗った屑が、排出コンベア15により後側に搬送されて圃場に放出される。
【0120】
搬送コンベア14は支持台6側に向けて回転駆動されており、多数の回収箱17が支持台6に乗せられている。搬送コンベア14に落下した実A2は、搬送コンベア14により支持台6側に搬送されて、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17に投入される。作業デッキ7の補助作業者は、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17が満杯になると、空の回収箱17と入れ換える。
【0121】
(発明の実施の第1別形態)
第2搬送体9において、第2部分32及び接続部分33が交互に配置される場合、1個の接続部分33を使用するのではなく、2個以上の接続部分33を第2搬送体9の移動方向に沿って接続したものを使用してもよい。この構成によると、第2間隔W2が、第1間隔W1の3倍以上の長いものとなる。
【0122】
(発明の実施の第2別形態)
第2搬送体9において、第2部分32に接続部分33を使用せずに、第2部分32を左右方向に交互に配置して接続してもよい。この構成において、第1部分31に1個又は2個以上の接続部分33を使用して、第1部分31及び接続部分33を交互に配置して接続すればよい。これにより、第1間隔W1が第2間隔W2よりも長いものとなる。
【0123】
(発明の実施の第3別形態)
接続部分33に、第1部分31の第1突部31a及び第2部分32の第2突部32aよりも小さな突部(図示せず)を、1個又は複数個設けてもよい。
この構成によると、作物Aの上部が範囲D1,D2で移動する際(振れる際)に、接続部分33の突部から作物Aの上部に軽い抵抗が作用して、作物Aの上部の急激な移動(振れ)が抑えられる。
【0124】
(発明の実施の第4別形態)
第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9側の部分が、第1上回転体11及び第1下回転体12における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送終端部9b側(後側)に位置するように、第1上回転体11及び第1下回転体12(第1上軸芯P11及び第1下軸芯P12)を、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置してもよい。
【0125】
この構成によると、第1上回転体11の打撃部19及び第1下回転体12の打撃部19が、作物Aを第2搬送体9の搬送終端部9b側に押すように、第1上回転体11及び第1下回転体12の回転方向C1,C2を設定すればよい。
【0126】
(発明の実施の第5別形態)
第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9側の部分が、第2上回転体21及び第2下回転体22における第2搬送体9の反対側の部分よりも、第2搬送体9の搬送終端部9b側(後側)に位置するように、第2上回転体21及び第2下回転体22(第2上軸芯P21及び第2下軸芯P22)を、第2搬送体9に対して平面視で傾斜(交差)して配置してもよい。
【0127】
この構成によると、第2上回転体21の打撃部19及び第2下回転体22の打撃部19が、作物Aを第2搬送体9の搬送終端部9b側に押すように、第2上回転体21及び第2下回転体22の回転方向C1,C2を設定すればよい。
【0128】
(発明の実施の第6別形態)
機体1の前部の右部に収穫部3(第1搬送体8)、第2搬送体9及びガイドレール13を設けてもよい。この構成によると、第2搬送体9及びガイドレール13の左側に分離部5が設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、枝豆収穫機ばかりではなく、大豆等の作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できるのであり、圃場の作物Aを引き抜くのではなく、圃場の作物Aの株元A1の付近をカッター等で切断して、根部を圃場に残しながら作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0130】
3 収穫部
5 分離部
9 第2搬送体(搬送体)
9a 搬送始端部
11 第1上回転体(上回転体)
12 第1下回転体(下回転体)
21 第2上回転体(上回転体)
P22 第2下回転体(下回転体)
13 ガイドレール
31 第1部分
32 第2部分
31a 第1突部
32a 第2突部
A 作物
A1 株元
A2 実
C1 回転方向
C2 回転方向
P11 第1上軸芯(上軸芯)
P12 第1下軸芯(下軸芯)
P21 第2上軸芯(上軸芯)
P22 第2下軸芯(下軸芯)
W1 第1間隔
W2 第2間隔