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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】作物収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/22 20060101AFI20220823BHJP
   A01D 33/14 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A01D45/22 Z
A01D33/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018122219
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020000081
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-275450(JP,A)
【文献】実開平5-31530(JP,U)
【文献】特開平6-78620(JP,A)
【文献】実開昭55-47289(JP,U)
【文献】実開昭50-149521(JP,U)
【文献】中国特許第1305364(CN,C)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00 - 33/14
A01D 43/00 - 43/04
A01D 43/08 - 46/30
A01D 51/00
A01D 57/00 - 57/30
A01D 63/00 - 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
右及び左の走行装置により支持された機体と、
圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げて、持ち上げた作物を斜め上側の後側に搬送する右及び左の搬送体を有する収穫部とが備えられ、
前記収穫部の前部が側面視で前記走行装置の前側に位置して圃場付近に位置し、前記収穫部の後部が側面視で前記走行装置の上側に位置するように、前記収穫部が前記機体の右部又は左部に前後方向に沿って支持されて、
前記収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、前記収穫部側の前記走行装置の前側の領域に入り込むのを防止する入り込み防止部材が備えられ
前記入り込み防止部材は、
前記収穫部の前部と前記収穫部側の前記走行装置とに亘って前後方向に沿って配置されて、前部が前記収穫部の前部に取り付けられた前後向き部分と、
前記前後向き部分の後部から上側に延出されて、上部が前記収穫部に取り付けられた上下向き部分とを有する作物収穫機。
【請求項2】
前記収穫部が前記機体に昇降自在に支持されて、前記収穫部を昇降操作する昇降機構が備えられ、
前記入り込み防止部材が前記収穫部に取り付けられている請求項1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記機体における前記収穫部側の前記走行装置の上側の部分に取り付けられて、前記収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、前記収穫部側の前記走行装置に接触するのを防止する接触防止部材が備えられている請求項1又は2に記載の作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
作物収穫機の一例である枝豆収穫機では、特許文献1に開示されているような構成を備えたものがある。特許文献1では、右及び左のクローラ型式の走行装置により機体が支持され、圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げて、持ち上げた作物を斜め上側の後側に搬送する右及び左の搬送体を有する収穫部が備えられており、収穫部が機体の左部に前後方向に沿って支持されている。
【0003】
これにより、圃場の作物の列に沿って機体を走行させて、収穫部により圃場の作物を収穫する。平面視で、収穫部の前部の後側に左の走行装置が位置し、収穫部により収穫される圃場の作物の列に対して左側に、収穫前の作物が隣接して存在しており、収穫部により収穫される圃場の作物の列に対して右側が、作物の収穫を終了した領域となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-201519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の作物収穫機によると、収穫部の前部の後側に左の走行装置が位置し、収穫部により収穫される圃場の作物の列に対して左側に、収穫前の作物が隣接して存在しているので、左の走行装置は、収獲前の作物の近傍を収獲前の作物に沿って走行する状態となっている。収穫部が機体の左部に前後方向に沿って支持されているので、収穫部の前部と左の走行装置との間が比較的空いた状態となっている。
【0006】
これにより、収穫作業中において、収穫前の作物が左の走行装置の前側の領域に入り込む可能性があり、収穫前の作物が左の走行装置の前側の領域に入り込むと、左の走行装置により収穫前の作物を踏み潰してしまうことがあるので、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、作物収穫機において、走行装置により収穫前の作物を踏み潰してしまう状態を少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作物収穫機は、
右及び左の走行装置により支持された機体と、
圃場の作物を右側及び左側から挟持して圃場から持ち上げて、持ち上げた作物を斜め上側の後側に搬送する右及び左の搬送体を有する収穫部とが備えられ、
前記収穫部の前部が側面視で前記走行装置の前側に位置して圃場付近に位置し、前記収穫部の後部が側面視で前記走行装置の上側に位置するように、前記収穫部が前記機体の右部又は左部に前後方向に沿って支持されて、
前記収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、前記収穫部側の前記走行装置の前側の領域に入り込むのを防止する入り込み防止部材が備えられ
前記入り込み防止部材は、
前記収穫部の前部と前記収穫部側の前記走行装置とに亘って前後方向に沿って配置されて、前部が前記収穫部の前部に取り付けられた前後向き部分と、
前記前後向き部分の後部から上側に延出されて、上部が前記収穫部に取り付けられた上下向き部分とを有する
【0009】
本発明によると、収穫作業中において、収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、収穫部側の走行装置の前側の領域に入り込もうとしても、入り込み防止部材により防止される。
これにより、走行装置により収穫前の作物を踏み潰してしまう状態を少なくすることができて、作物収穫機の収穫性能の向上を図ることができる。
本発明によると、収穫部の前部が走行装置の前側に位置して圃場付近に位置し、収穫部の後部が走行装置の上側に位置するように、収穫部は側面視で斜めに配置される。
入り込み防止部材が前後向き部分と上下向き部分とを有することにより、入り込み防止部材の前後向き部分に、収穫部側の走行装置の前側の領域への作物の入り込みを防止する機能を発揮させながら、入り込み防止部材を収穫部に無理なく取り付けることができる。
【0010】
本発明において、
前記収穫部が前記機体に昇降自在に支持されて、前記収穫部を昇降操作する昇降機構が備えられ、
前記入り込み防止部材が前記収穫部に取り付けられていると好適である。
【0011】
作物収穫機では、収穫部を機体に昇降自在に支持し、収穫部を昇降操作する昇降機構を備えて、収穫部を上昇操作することにより、圃場での旋回走行や路上走行を無理なく行えるようにすることがある。
【0012】
本発明によると、収穫部を機体に昇降自在に支持し、収穫部を昇降操作する昇降機構を備えた場合、入り込み防止部材が収穫部に取り付けられているので、収穫部を上昇操作すると、入り込み防止部材も収穫部と一緒に上昇操作される。
これにより、圃場での旋回走行時や路上走行時に、入り込み防止部材を圃場や路面の突起物に接触させて破損してしまうような状態を避けることができる。
【0013】
【0014】
【0015】
本発明において、
前記機体における前記収穫部側の前記走行装置の上側の部分に取り付けられて、前記収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、前記収穫部側の前記走行装置に接触するのを防止する接触防止部材が備えられていると好適である。
【0016】
本発明によると、収穫部により収穫される圃場の作物の列に隣接する収穫前の作物が、機体の進行に伴って入り込み防止部材から後側に離れた後、収穫部側の走行装置の横部分に接触しようとしても、接触防止部材により防止される。
これにより、収穫前の作物が走行措置の横部分に接触して傷められる状態を少なくすることができて、作物収穫機の収穫性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】枝豆収穫機の左側面図である。
図2】枝豆収穫機の平面図である。
図3】収穫部の後部及び分離部の付近の横断平面図である。
図4】収穫部の平面図である。
図5】下降操作された状態の収穫部の付近の左側面図である。
図6】上昇操作された状態の収穫部の付近の左側面図である。
図7】収穫部の付近を斜め後側から見た斜視図である。
図8】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、姿勢変更部、防塵カバーの付近の左側面図である。
図9】第1搬送体の搬送終端部及び第2搬送体の搬送始端部、姿勢変更部の付近の平面図である。
図10】第1搬送体及び姿勢変更部の伝動系を示す縦断背面図である。
図11】エンジンから各部への伝動系を示す概略図である。
図12】収穫作業の形態を示す平面図である。
図13】収穫作業の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図13に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機が示されている。
図1図13において、Fは機体1の「前方向」を示し、Bは機体1の「後方向」を示し、Uは機体1の「上方向」を示し、Dは機体1の「下方向」を示している。Rは機体1の「右方向」を示し、Lは機体1の「左方向」を示している。
【0019】
(枝豆収穫機の全体構成)
図1及び図2に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2により、機体1が支持されており、機体1の前部の左部に収穫部3が設けられ、機体1の前部の右部に運転部4が設けられている。機体1の後部に分離部5が設けられ、機体1の右部に支持台6及び作業デッキ7が設けられている。
【0020】
(枝豆収穫機における収穫の流れの概要)
図1及び図2に示すように、収穫部3に、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1,P2周りに回転駆動される右及び左の第1搬送体11(搬送体に相当)が備えられている。
【0021】
機体1の前進に伴って、収穫部3において右及び左の第1搬送体11により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体11により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部に3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0022】
分離部5の左側に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される第2搬送体12が、第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に延出されており、第2搬送体12に沿ってガイドレール13が配置されている。
【0023】
作物Aが第1搬送体11の搬送終端部11bに達すると、第1搬送体11の搬送終端部11bから第2搬送体12の搬送始端部12aへの受け渡し部分において、起立姿勢の作物Aが分離部5側の横倒れ姿勢に姿勢変更されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに受け渡される。横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持(保持)され、第2搬送体12により作物Aが後側に搬送される。
【0024】
図1,2,3に示すように、分離部5に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される上下2組の回転体8及び上下2組の回転体9と、回転体8,9の下側に前後方向に沿って配置された回収コンベア10と、回収コンベア10の後部の下側に左右方向に沿って配置された搬送コンベア14と、回収コンベア10の後部から後側に所定間隔を開けて配置された排出コンベア15と、回収コンベア10の下側に配置された唐箕16とが設けられている。
【0025】
第2搬送体12により横倒れ姿勢の作物Aが後側に搬送されると、作物Aは先ず上側及び下側の回転体8の間を通るのであり、回転体8の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。
【0026】
作物Aは次に上側及び下側の回転体9の間を通るのであり、回転体9の回転により作物Aから実A2が分離され、分離された実A2が回収コンベア10に落下する。実A2が分離された作物Aは、第2搬送体12の搬送終端部12bから圃場に放出される。回転体8,9により作物Aから実A2が分離される際、葉等の屑も一緒に回収コンベア10に落下する。
【0027】
回収コンベア10が後側に向けて回転駆動されており、回収コンベア10に落下した実A2及び屑は、回収コンベア10により後側に搬送され、回収コンベア10の後部から搬送コンベア14に落下する。
【0028】
唐箕16の搬送風が回収コンベア10の下側から後側に流れ、回収コンベア10と排出コンベア15との間を通って、排出コンベア15の上側を後側に流れている。
実A2及び屑が回収コンベア10の後部から落下する際に、実A2は唐箕16の搬送風に抗して搬送コンベア14に落下する。屑は唐箕16の搬送風により飛ばされて排出コンベア15に乗るのであり、排出コンベア15に乗った屑が、排出コンベア15により後側に搬送されて圃場に放出される。
【0029】
搬送コンベア14は支持台6側に向けて回転駆動されており、多数の回収箱17が支持台6に乗せられている。搬送コンベア14に落下した実A2は、搬送コンベア14により支持台6側に搬送されて、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17に投入される。作業デッキ7の補助作業者は、搬送コンベア14の搬送終端部に位置する回収箱17が満杯になると、空の回収箱17と入れ換える。
【0030】
(圃場での収穫作業の形態)
図12及び図13に示すように、圃場において、作物Aが多数の列L1~L5なるように植え付けられている。
【0031】
前述の状態において、作物Aの列L1~L5うち、端部の作物Aの列L1に沿って機体1を前進させて、収穫部3により列L1の作物Aを収穫する(位置K1参照)。この場合に、機体1の右側が作物Aの収穫を終了した領域(作物Aが存在しない領域)となり、機体1の左側に収穫前の作物Aが存在する領域となる。
【0032】
列L1の作物Aの収穫を終了して機体1が位置K2に達すると、収穫部3を上昇操作して、旋回走行M1を行い、機体1を反対側の作物Aの列L2の位置K3に位置させる。位置K3において収穫部3を下降操作し、作物Aの列L2に沿って機体1を前進させて、収穫部3により列L2の作物Aを収穫する。
この場合も前述と同様に、機体1の右側が作物Aの収穫を終了した領域(作物Aが存在しない領域)となり、機体1の左側に収穫前の作物Aが存在する領域となる。
【0033】
列L2の作物Aの収穫を終了して機体1が位置K4に達すると、収穫部3を上昇操作して、旋回走行M2を行い、機体1を反対側の作物Aの列L3の位置K5に位置させる。位置K5において収穫部3を下降操作し、作物Aの列L3に沿って機体1を前進させて、収穫部3により列L3の作物Aを収穫する。
【0034】
以上のようにして列L3の作物Aの収穫を行い、次に旋回走行M1を行って列L4の作物Aの収穫を行い、次に旋回走行M2を行って列L5の作物Aの収穫を行うというようにして、旋回走行M1,M2と、L1~L5の作物Aの収穫とを繰り返すことによって、圃場の作物Aを収穫する。
【0035】
(収穫部の構成)
図4,5,7に示すように、収穫部3において、右及び左の直線状の支持フレーム43が設けられている。右及び左の支持フレーム43に、右及び左のフレーム28,29が下向きに連結されており、右及び左のフレーム28,29の下部に亘って、支持フレーム30,44が左右方向に沿って連結されている。
【0036】
右及び左の支持フレーム43の後部の下部に、右及び左の支持フレーム31が下向きに連結されて、右及び左の支持フレーム31の下部に亘って、支持フレーム33が左右方向に沿って連結されている。支持フレーム30の右部及び左部と、支持フレーム33の右部及び左部とに亘って、右及び左の支持フレーム34が支持フレーム43に沿って連結されている。以上のようにして、収穫部3の骨格が構成されている。
【0037】
右及び左の支持フレーム43の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P1周りに、右及び左の従動プーリー45が回転自在に支持されている。右及び左の支持フレーム43の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯P2周りに、右及び左の駆動プーリー46が回転自在に支持されている。この場合、軸芯P1と軸芯P2とは、互いに平行である。
【0038】
右の従動プーリー45及び右の駆動プーリー46に亘って、ゴムベルト製の右の第1搬送体11が取り付けられている。左の従動プーリー45及び左の駆動プーリー46に亘って、ゴムベルト製の左の第1搬送体11が取り付けられている。右及び左の第1搬送体11が、支持フレーム43の全長に亘って合わせられている。
【0039】
支持フレーム43に、多数のローラー47が回転自在に支持されており、ローラー47により第1搬送体11の合わせ部分(作物Aの挟持部分)の反対側が支持されている。右及び左の支持フレーム43の前部に、右及び左のデバイダ48、サブソイラ49が取り付けられている。
【0040】
右及び左の支持フレーム43が左右方向で等間隔を維持して、支持フレーム43の前部が下側で、支持フレーム43の後部が上側となるように、側面視で斜めの姿勢で、支持フレーム43が、機体1の前部の左部に前後方向に沿って支持されている。
【0041】
第1搬送体11において、従動プーリー45の付近が搬送始端部11aであり、駆動プーリー46の付近が搬送終端部11bである。これによって、右及び左の第1搬送体11が、第1搬送体11の搬送始端部11aから搬送終端部11bに亘って、捩じられることなく、直線的に斜め上側の後側に向けて延出されている。
【0042】
(収穫部の昇降構造)
図3,7,8,10に示すように、機体1の前部の左部に、4本の支柱35が連結されている。支柱35の上部に亘って、前後方向の右及び左の支持フレーム36が連結され、支柱35の下部に亘って、左右方向の右及び左の支持フレーム37が連結されている。
【0043】
右及び左の支持フレーム36に、パイプ状の右及び左の揺動支持部38が連結されている。右及び左の揺動支持部38は、左右方向の支持軸芯P11に沿って配置されており、互いに間隔を開けて配置されている。
【0044】
図4及び図5に示すように、右の支持フレーム43の後部に、収穫部3の右の後部である支持板39が連結されて、支持板39の上部に、鋳物のケース状の右の揺動支点部50が連結されて上側に延出されている。
【0045】
左の支持フレーム43の後部に、収穫部3の左の後部である支持板40が連結されて、支持板40の上部に、鋳物のケース状の左の揺動支点部51が連結されて上側に延出されている。
【0046】
図4及び図5に示すように、右及び左の揺動支点部50,51に、横向きのボス部50a,51aが設けられており、図3,7,10に示すように、右及び左の揺動支点部50,51のボス部50a,51aが、右及び左の揺動支持部38に回転自在に支持されている。
【0047】
これにより、収穫部3(右及び左の揺動支点部50,51)が、右及び左の揺動支持部38によって、収穫部3の後部(第1搬送体11の搬送終端部11b)から上側に離れた左右方向の支持軸芯P11周りに、上下に揺動自在(昇降自在)に支持されている。
右の揺動支点部50及び右の揺動支持部38と、左の揺動支点部51と左の揺動支持部38との間に、作物Aが通過する通路Cが設けられている。
【0048】
図5及び図7に示すように、収穫部3において、支持フレーム30の左右中央部にブラケット30aが連結されており、機体1の前部と支持フレーム30のブラケット30aとに亘って、油圧シリンダ41(昇降機構に相当)が接続されている。
【0049】
図6に示すように、油圧シリンダ41を伸長作動させると、収穫部3を上昇操作することができ、図5に示すように、油圧シリンダ41を収縮作動させると、収穫部3を下降操作することができる。
【0050】
(負荷支持部の構成)
図5,6,7に示すように、負荷支持部72が、機体1における収穫部3の後部(揺動支点部50,51)の下側の部分と、収穫部3とに亘って接続されている。負荷支持部72において、第1支持部材73と第2支持部材74とが備えられている。
【0051】
第1支持部材73は右側と左側の2組が備えられており、機体1の前部の左右方向の軸芯P3周りに上下に揺動自在に支持されて、前側に延出されている。右及び左の第1支持部材73の複数箇所に亘って、左右方向に沿ったフレーム75が連結されている。
【0052】
第2支持部材74は、正面視で四角形状の平板状であり、第2支持部材74の下部が、第1支持部材73の前部の左右方向の軸芯P4周りに揺動自在に支持されている。第2支持部材74の上部が、収穫部3の右及び左のフレーム29の左右方向の軸芯P5周りに揺動自在に接続されている。
【0053】
前述の(収穫部の昇降構造)に記載のように、収穫部3を昇降操作する場合、負荷支持部72において、第1支持部材73及び第2支持部材74が、軸芯P3,P4,P5周りに揺動することによって、収穫部3の昇降操作が許容される。
【0054】
収穫部3に左右方向の負荷が掛かる場合、収穫部3に左右方向に掛かる負荷が負荷支持部72によって支持されるのであり、収穫部3に左右方向に掛かる負荷が、収穫部3の揺動支点部50,51や揺動支持部38に掛かる状態を避けることができる。
【0055】
(収穫部への伝動系の構成)
図2及び図11に示すように、運転部4の下部に、エンジン18が支持されている。エンジン18の動力が、伝動ベルト27から、第2搬送体12の駆動機構32、分離部5の回転体8,9、回収コンベア10、搬送コンベア14、排出コンベア15及び唐箕16に伝達されている。
【0056】
機体1の前部の左右中央にミッションケース19が支持されており、静油圧式の無段変速装置20がミッションケース19に連結されている。エンジン18の動力が、伝動ベルト21を介して無段変速装置20の入力軸に伝達されて、無段変速装置20の動力が、ミッションケース19の内部の副変速装置(図示せず)等を介して、走行装置2に伝達される。
【0057】
無段変速装置20の動力が、ギヤ伝動機構22、伝動ベルト23、伝動軸24及び伝動ベルト25を介して、伝動軸26に伝達される。
図7,8,10に示すように、支柱35の下部に、右及び左の支持フレーム42が前後方向に沿って連結されており、伝動軸26が右及び左の支持フレーム42に左右方向に沿って支持されている。
【0058】
図3,10,11に示すように、揺動支点部50,51に、駆動軸52が軸芯P2に沿って支持されて、駆動軸52の下部に駆動プーリー46が連結されている。揺動支点部50,51において、支持軸芯P11の位置に伝動軸53が横向きに支持されており、駆動軸52のベベルギヤ52aと、伝動軸53のベベルギヤ53aとが咬合している。伝動軸26のプーリー26aと、伝動軸53のプーリー53bとに亘って、伝動ベルト54が取り付けられている。
【0059】
以上の構成により、伝動軸26の動力が、伝動ベルト54及び伝動軸53を介して駆動軸52に伝達されて、右の駆動軸52(右の駆動プーリー46)が回転駆動されて、右の第1搬送体11が図2及び図3の反時計方向に回転駆動される。左の駆動軸52(左の駆動プーリー46)が回転駆動されて、左の第1搬送体11が図2及び図3の時計方向に回転駆動される。
【0060】
(入り込み防止部材の構成)
図1,2,5,7に示すように、入り込み防止部材78が収穫部3に取り付けられている。入り込み防止部材78は、丸棒状に形成されて、前後向き部分78aと上下向き部分78bとが備えられている。
【0061】
入り込み防止部材78の前後向き部分78aの前部が、収穫部3の前部である左のフレーム28に取り付けられており、入り込み防止部材78の前後向き部分78aが、収穫部3の前部の左部と、収穫部3側である左の走行装置2の前部付近とに亘って、前後方向に沿って配置されている。
【0062】
入り込み防止部材78の上下向き部分78bは、入り込み防止部材78の前後向き部分78aの後部から上側に延出されており、入り込み防止部材78の上下向き部分78bの上部が、収穫部3の後部である支持フレーム33の左部に取り付けられている。
【0063】
入り込み防止部材78(前後向き部分78a及び上下向き部分78b)が、平面視で負荷支持部72(第1支持部材73及び第2支持部材74)の外側(左側)に位置し、側面視で負荷支持部72(第1支持部材73及び第2支持部材74)と交差する状態となっている。
【0064】
(接触防止部材の構成)
図1,2,5,7に示すように、機体1の左の横部の前部及び後部(機体1における収穫部3側の走行装置2の上側の部分に相当)に、接触防止部材79,80が取り付けられている。
【0065】
前の接触防止部材79は、丸棒状に形成されており、前の接触防止部材79の前部は機体1の左の横部の前部に連結されている。前の接触防止部材79の前部が、入り込み防止部材78の上下向き部分78bよりも内側(右側)に位置しており、前の接触防止部材79が斜め左の横側の後側に延出されている。前の接触防止部材79の後部が、平面視で入り込み防止部材78の上下向き部分78bよりも外側(左側)に位置している。
【0066】
後の接触防止部材80は、平面視で長方形状の枠状に形成されて、機体1の左の横部の後部に連結されており、後の接触防止部材80に作業者が立って乗ることができる。
後の接触防止部材80は、平面視で入り込み防止部材78の上下向き部分78bよりも外側(左側)に出ており、前の接触防止部材79の後部が、後の接触防止部材80の前部に接続されている。
【0067】
(入り込み防止部材及び接触防止部材の機能)
前述の(圃場での収穫作業の形態)、図12及び図13に示すように、作物Aの列L1~L5に沿って機体1を前進させて、収穫部3により列L1~L5の作物Aを収穫する場合、機体1の右側が作物Aの収穫を終了した領域(作物Aが存在しない領域)となり、機体1の左側に収穫前の作物Aが存在する領域となる。
【0068】
作物Aの列L1を例にすると、図13に示すように、平面視で、収穫部3の前部の後側に左の走行装置2が位置し、収穫部3により収穫される作物Aの列L1に対して左側に、収穫前の作物Aの列L3が隣接して存在しており、左の走行装置2は、収獲前の作物Aの列L3の近傍を、収獲前の作物Aの列L3に沿って走行する状態となる。
【0069】
図1及び図5に示すように、収穫部3の前部が圃場に接する位置まで、収穫部3を下降操作した状態において、収穫部3の前部が側面視で左の走行装置2の前側に位置して圃場付近に位置し、収穫部3の後部が側面視で左の走行装置2の上側に位置するように、収穫部3が機体1の左部に前後方向に沿って支持された状態となる。
【0070】
以上の状態において、収穫前の作物A(列L3)が、左の走行装置2の前側の領域(収穫部3の前部と左の走行装置2の前部との間の領域)に入り込もうとしても、入り込み防止部材78(前後向き部分78a)により収穫前の作物A(列L3)が止められて、収穫前の作物A(列L3)における左の走行装置2の前側の領域への入り込みが防止される。
【0071】
次に収穫前の作物A(列L3)は、左の走行装置2の前側の領域を通過すると、左の走行装置2の横側に達する。収穫前の作物A(列L3)が左の走行装置2に接触しようとしても、前及び後の接触防止部材79,80によって収穫前の作物A(列L3)が止められて、収穫前の作物A(列L3)の左の走行装置2との接触が防止される。
【0072】
(第2搬送体の構成)
図1,2,3に示すように、機体1の左部に駆動機構32が支持されて、駆動機構32に、左右方向の軸芯周りに回転駆動される駆動スプロケット32aが備えられている。機体1の左部の前部に、回転輪55,56が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持され、機体1の左部の後部に、回転輪57が左右方向の軸芯周りに回転自在に支持されている。
【0073】
駆動機構32の駆動スプロケット32a及び回転輪55,56,57に亘って、第2搬送体12が取り付けられている。第2搬送体12は、金属製のチェーンであり、外側に向けて、側面視で三角形状の凸部が備えられている。駆動機構32の駆動スプロケット32aにより、第2搬送体12が図1の時計方向に回転駆動される。
【0074】
第2搬送体12は、第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に延出されて、機体1の左部に前後方向に沿って配置されており、第2搬送体12の右側に分離部5が配置されている。第2搬送体12において、回転輪55と回転輪56との間の部分が搬送始端部12aであり、回転輪57の付近が搬送終端部12bである。
【0075】
図1及び図8に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aの前部分(回転輪55の部分)が、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)よりも下側の位置に配置されて、第2搬送体12の搬送始端部12aが、第1搬送体11の搬送終端部11bに沿って斜め上向きの傾斜姿勢に配置されている。
第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から搬送終端部12bに亘る部分が、側面視で略水平姿勢に配置されている。
【0076】
(ガイドレールの構成)
図1及び図8に示すように、機体1の左部の上部に、前後方向に沿って支持フレーム58が支持されており、支持フレーム58に、多数の支持ロッド59が上下動自在に支持されている。
【0077】
ガイドレール13は、短いチャンネル状部材が、開放側を下向きにして前後方向に沿って一列状に配置され、隣接する前後のチャンネル状部材が、上下方向に曲がるようにピンにより互いに接続されている。
【0078】
ガイドレール13が、第2搬送体12の上側に沿って後側に延出されている。支持ロッド59の下部に、ガイドレール13のチャンネル状部材を接続する前述のピンが支持されており、ガイドレール13(チャンネル状部材)が上下動自在に支持されている。支持ロッド59を下側に付勢するバネ60が備えられて、ガイドレール13が第2搬送体12に押圧されている。
【0079】
ガイドレール13において、第2搬送体12の搬送始端部12a側の先頭のチャンネル状部材が搬送始端部13aである。ガイドレール13の搬送始端部13aが、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)よりも少し後側に位置している。
【0080】
以上の構成により、後述の(第1搬送体の搬送終端部から第2搬送部の搬送始端部への受け渡し部分における作物の状態)に記載のように、作物Aの株元A1が第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持されると、作物Aの株元A1により、ガイドレール13が折れ曲がるようにして上側に持ち上げられるのであり、バネ60の付勢力によって第2搬送体12とガイドレール13との間に、作物Aの株元A1が十分な挟持力によって挟持される。
【0081】
丸棒材により構成された案内部材61が、ガイドレール13の搬送始端部13aに取り付けられている。案内部材61は、第2搬送体12に沿って前向きに延出されており、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から、側面視で斜め上向きの前向きに延出されている。案内部材61がガイドレール13の搬送始端部13aに取り付けられていることによって、案内部材61はガイドレール13の搬送始端部13aと一体で上下動する。
【0082】
(第1搬送体、第2搬送体及びガイドレールの位置関係)
図1に示すように、収穫部3の前部が圃場に接する位置まで、収穫部3を下降操作した状態において、収穫部3は側面視で前部(第1搬送体11の搬送始端部11a)が低く、後部(第1搬送体11の搬送終端部11b)が高い斜めの姿勢に配置される。
【0083】
この状態において図8及び図9に示すように、第1搬送体11の搬送終端部11bと第2搬送体12の搬送始端部12aとが、平面視で重複して配置されており、第2搬送体12の搬送始端部12aが、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bの下側の位置に配置されている。
【0084】
右及び左の第1搬送体11の互いに対向して接触する部分から第1搬送体11の搬送方向に沿って延出された仮想線B1に対して、平面視で第2搬送体12(搬送始端部12a)の左右中央部12cが、分離部5に近い側(右側)の位置に変位するように、第2搬送体12が配置されている。
【0085】
第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)が、側面視で、第1搬送体11の搬送終端部11bの後側の位置に配置されている。案内部材61及びガイドレール13の搬送始端部13aが、側面視で、第1搬送体11の搬送終端部11bの後側の位置に配置されている。
【0086】
第1搬送体11の搬送終端部11bが、側面視で案内部材61の前端部と、第2搬送体12の搬送始端部12aとの間に入り込む状態となっており、案内部材61の前端部が側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bの上側の位置に配置されている。
【0087】
以上のように、収穫部3の前部が圃場に接する位置まで、収穫部3を下降操作した状態において、第1搬送体11の搬送終端部11bと第2搬送体12の搬送始端部12aとの位置関係が、適正なものに設定されている。
【0088】
前述の状態において、収穫部3を上昇操作すると、収穫部3の後部から上側に離れた支持軸芯P11周りに、収穫部3が上側に揺動することにより、収穫部3の後部(第1搬送体の搬送終端部)が、第2搬送体12の搬送始端部12aから前側に離れる状態となる。
【0089】
収穫部3を下降操作すると、収穫部3の後部から上側に離れた支持軸芯P11周りに、収穫部3が下側に揺動することにより、収穫部3の後部(第1搬送体11の搬送終端部11b)が、後側に移動して第2搬送体12の搬送始端部12aに接近し、第1搬送体11の搬送終端部11bと第2搬送体12の搬送始端部12aとが、図8に示す適正な位置関係に戻る。
【0090】
(姿勢変更部の構成)
図1及び図2に示すように、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)の上部に、姿勢変更部62が連結されている。
【0091】
図8及び図9に示すように、姿勢変更部62に、ガイド部63、無端回動体64及び爪体65が備えられている。
ガイド部63は、上側及び下側の2組備えられており、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)から第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、平面視で分離部5に近い側(右側)に斜めに傾斜して配置されている。ガイド部63において、分離部5に近い側(右側)の辺部が、案内部63aとなる。
【0092】
図9,10,11に示すように、ガイド部63における軸芯P2の位置に伝動軸66が回転自在に支持されており、揺動支点部51において駆動軸52が上側に延出され、駆動軸52と伝動軸66とが連結部材67を介して連結されている。
【0093】
上及び下のガイド部63の間に、駆動スプロケット68が回転自在に支持されており、伝動軸66のスプロケット66aと駆動スプロケット68とに亘って、伝動チェーン69が取り付けられている。
【0094】
上及び下のガイド部63の間に、従動スプロケット70が回転自在に支持され、伝動軸66に、従動スプロケット71が相対回転自在に外嵌されている。上及び下のガイド部63の間において、チェーン状の無端回動体64が、駆動スプロケット68及び従動スプロケット70,71に亘って取り付けられている。
【0095】
これにより、駆動軸52の動力が、伝動軸66及び伝動チェーン69を介して駆動スプロケット68に伝達され、駆動スプロケット68が回転駆動されて、無端回動体64が図9の時計方向に回転駆動される。
【0096】
爪体65は、無端回動体64の移動方向に沿って所定間隔を開けて無端回動体64に取り付けられている。爪体65は、無端回動体64から外側に突出する作用姿勢、及び無端回動体64に沿うように倒れる非作用姿勢に姿勢変更自在に、無端回動体64に取り付けられている。
【0097】
爪体65が無端回動体64と一体で図9の時計方向に回転駆動される場合、爪体65が駆動スプロケット68に達すると、爪体65は非作用姿勢に操作され、駆動スプロケット68から従動スプロケット70を少し過ぎる付近から作用姿勢に操作される。
爪体65は、従動スプロケット70を少し過ぎて作用姿勢に操作されると、作用姿勢に維持されながら従動スプロケット71から駆動スプロケット68に移動し、駆動スプロケット68に達すると非作用姿勢に操作される。
【0098】
(姿勢変更部と第1搬送体及び第2搬送体、ガイドレールとの位置関係)
図1に示すように、収穫部3の前部が圃場に接する位置まで、収穫部3を下降操作した状態において、図8及び図9に示すように、姿勢変更部62は、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)の上側の位置と、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)から後側に離れた位置とに亘って配置されている。
【0099】
この状態において、姿勢変更部62は、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)の上側の位置から、側面視で斜め上向きに配置されており、平面視で第2搬送体12の搬送始端部12a及びガイドレール13(支持フレーム58)と重複している。
【0100】
姿勢変更部62においてガイド部63の案内部63aは、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)から第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、平面視で斜めに分離部5に近い側(右側)に傾斜して配置されている。
【0101】
姿勢変更部62において無端回動体64は、上下方向に沿った軸芯周りに回転駆動されて、ガイド部63の案内部63aに沿って、第1搬送体11の搬送終端部11b(揺動支点部51)側から、第2搬送体12の搬送始端部12a側に、駆動スプロケット68の位置まで移動する状態となっている。
【0102】
以上のように、収穫部3の前部が圃場に接する位置まで、収穫部3を下降操作した状態において、姿勢変更部62と、第2搬送体12の搬送始端部12a及びガイドレール13(支持フレーム58)との位置関係が、適正なものに設定されている。
【0103】
前述の状態において、収穫部3を上昇操作すると、収穫部3の後部から上側に離れた支持軸芯P11周りに、収穫部3が上側に揺動することにより、姿勢変更部62が後側の斜め下側に移動して、支持フレーム58に沿って支持フレーム58の上側に位置する状態となる。
【0104】
収穫部3を下降操作すると、収穫部3の後部から上側に離れた支持軸芯P11周りに、収穫部3が下側に揺動することにより、姿勢変更部62が前側の斜め上側に移動して、姿勢変更部62と、第2搬送体12の搬送始端部12a及びガイドレール13(支持フレーム58)とが、図8に示す適正な位置関係に戻る。
【0105】
(株元支持部、株元ガイド部、茎部ガイド部、上部ガイド部、後部ガイド部及び防塵カバーの構成)
図3及び図8に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aに対して、平面視で分離部5から遠い側(左側)の位置に、作物Aの株元A1を下側から受け止めて後側に案内する平板状の株元支持部76が配置されている。株元支持部76は、第2搬送体12の搬送始端部12aの後部分(回転輪56の部分)から、第2搬送体12の搬送始端部12aに沿って斜め下向きの前側に延出されている。
【0106】
図1及び図8に示すように、第2搬送体12の搬送始端部12aにおいて、第2搬送体12における分離部5から遠い側(左側)の側面に沿って、丸棒状の株元ガイド部77が配置されている。株元ガイド部77は、作物Aの株元A1が第2搬送体12の搬送始端部12aから離れるのを防止する。
【0107】
図8及び図9に示すように、側面視で第1搬送体11の搬送終端部11bと姿勢変更部62との間の位置に、丸棒状の茎部ガイド部81が設けられている。茎部ガイド部81は作物Aの茎部を第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に案内する。
【0108】
側面視で姿勢変更部62の上側の位置に、作物Aの上部を第2搬送体12の搬送始端部12a側に案内する平板状の上部ガイド部82が備えられている。
【0109】
支持フレーム58の前端部に、後部ガイド部83が連結されている。後部ガイド部83は、平板状に形成されており、平面視で左の第1搬送体11の搬送終端部11b側(左側)に向くように、斜め姿勢に設定されている。
【0110】
姿勢変更部62の右側に位置するように、防塵カバー84が機体1に取り付けられている。防塵カバー84は板材により箱状に形成されており、防塵カバー84の左部(姿勢変更部62側の部分)に、開口部84aが開口されている。
【0111】
(第1搬送体の搬送終端部から第2搬送体の搬送始端部への受け渡し部分における作物の状態)
第1搬送体11の搬送終端部11bから第2搬送体12の搬送始端部12aへの受け渡し部分において、起立姿勢の作物Aが横倒れ姿勢に姿勢変更されるのであり、第1搬送体11の搬送終端部11bから横倒れ姿勢に姿勢変更された作物Aの株元A1が、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持される。
前述の状態での作物Aの流れについて、以下のように説明する。
【0112】
図1及び図2に示すように、収穫部3において、デバイダ48が圃場に接して、サブソイラ49が圃場に入り込んだ状態で、機体1を前進させると、圃場の作物Aがデバイダ48により分けられ、サブソイラ49により圃場が崩されながら、圃場の起立姿勢の作物Aが右及び左の第1搬送体11の搬送始端部11aに入る。
【0113】
右及び左の第1搬送体11により、圃場の起立姿勢の作物Aが右側及び左側から挟持されて、右及び左の第1搬送体11により作物Aが引き抜かれ持ち上げられて、作物Aが起立姿勢に維持されながら収穫部に3に沿って斜め上側の後側に搬送される。
【0114】
図3,8,9に示すように、起立姿勢の作物Aが第1搬送体11の搬送終端部11bに達すると、作物Aの株元A1が株元支持部76により下側から受け止められながら、作物Aの株元A1が、第2搬送体12の搬送始端部12aと株元ガイド部77との間に入り、第2搬送体12の搬送始端部12aに案内される。
【0115】
次に、右及び左の第1搬送体11により作物Aが挟持された状態において、作物Aの株元A1が、第2搬送体12の搬送始端部12aと株元ガイド部77との間に挟持されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに接触する状態となり、作物Aの株元A1が株元支持部76により下側から受け止められる状態となる。
【0116】
右及び左の第1搬送体11により作物Aが挟持された状態において、作物Aの茎部が、茎部ガイド部81に接触して、第2搬送体12の搬送始端部12a側(右側)に案内される。
姿勢変更部62の爪体65(無端回動体64)の回転により、作物Aの上部が爪体65の間に入り込むのであり、上部ガイド部82が作物Aの上部に接触する。
【0117】
これにより、右及び左の第1搬送体11により作物Aが後側(第2搬送体12側)に搬送され、第2搬送体12の搬送始端部12aによって作物Aの株元A1が搬送される状態となり、作物Aの株元A1が少し横倒れ姿勢となる。
第1搬送体11の搬送終端部11bにおいて、右の揺動支点部50及び右の揺動支持部38と左の揺動支点部51と左の揺動支持部38との間の通路C(図7及び図10参照)を、作物Aが通過する。
【0118】
姿勢変更部62の爪体65(無端回動体64)が回転駆動されることにより、作物Aの上部が、爪体65によりガイド部63の案内部63aに沿って、第1搬送体11の搬送終端部11bから、第2搬送体12の搬送始端部12aに向けて、押し操作される状態となる。
【0119】
姿勢変更部62のガイド部63の案内部63a及び爪体65は、第1搬送体11の搬送終端部11bからの作物Aを、作物Aの実A2が付いている部分が作物Aの株元A1に対して分離部5に近い側(右側)となる横倒れ姿勢に姿勢変更する。上部ガイド部82は、前述の作物Aの横倒れ姿勢への姿勢変更を補助する。
【0120】
次に、第1搬送体11の搬送終端部11bから後側に離れて、姿勢変更部62により横倒れ姿勢に姿勢変更された作物Aの株元A1が、第2搬送体12の搬送始端部12aと株元ガイド部77との間に挟持されて、第2搬送体12の搬送始端部12aに乗る状態となる。
【0121】
これと同時に、作物Aの上部が、倒れ込むようにして防塵カバー84の開口部84aに入るのであり、作物Aの上部が後部ガイド部83により防塵カバー84の開口部84aに向けて案内される。
【0122】
次に、横倒れ姿勢の作物Aの株元A1が、案内部材61により第2搬送体12とガイドレール13の搬送始端部13aとの間に案内され、第2搬送体12とガイドレール13との間に挟持されるのであり、第2搬送体12とガイドレール13とにより作物Aが横倒れ姿勢で後側に搬送される。
【0123】
(発明の実施の別形態)
機体1の前部の右部に収穫部3(第1搬送体11)、第2搬送体12及びガイドレール13を設けてもよい。
この構成によると、第2搬送体12及びガイドレール13の左側に分離部5が設けられる。機体1の前部の右部に、油圧シリンダ41及び負荷支持部72が設けられる。
収穫部3の右部に、入り込み防止部材78が取り付けられ、機体1の右の横部の前部及び後部に、接触防止部材79,80が取り付けられる。
【0124】
入り込み防止部材78を、収穫部3ではなく機体1に取り付けてもよい。この構成によると、収穫部3を上昇操作した場合、入り込み防止部材78は、図1に示す位置の付近に残ることになる。
【0125】
姿勢変更部62において、無端回動体64及び爪体65を廃止して、ガイド部63により姿勢変更部62を構成してもよい。
【0126】
クローラ型式の走行装置2に代えて、多数の走行用の車輪(図示せず)を備えた走行装置2としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、枝豆収穫機ばかりではなく、大豆等の作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できるのであり、圃場の作物Aを引き抜くのではなく、圃場の作物Aの株元A1の付近をカッター等で切断して、根部を圃場に残しながら作物Aを収穫する作物収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0128】
1 機体
2 走行装置
3 収穫部
11 第1搬送体(搬送体)
41 油圧シリンダ(昇降機構)
78 入り込み防止部材
78a 入り込み防止部材の前後向き部分
78b 入り込み防止部材の上下向き部分
79 接触防止部材
80 接触防止部材
A 作物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13