IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社江沼チヱン製作所の特許一覧

<>
  • 特許-チェーン 図1
  • 特許-チェーン 図2
  • 特許-チェーン 図3
  • 特許-チェーン 図4
  • 特許-チェーン 図5
  • 特許-チェーン 図6
  • 特許-チェーン 図7
  • 特許-チェーン 図8
  • 特許-チェーン 図9
  • 特許-チェーン 図10
  • 特許-チェーン 図11
  • 特許-チェーン 図12
  • 特許-チェーン 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】チェーン
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/02 20060101AFI20220823BHJP
   F16G 13/06 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
F16G13/02 A
F16G13/06 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018066507
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2018179292
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2017078777
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143260
【氏名又は名称】株式会社江沼チヱン製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】西野 俊明
(72)【発明者】
【氏名】上月 洋明
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-185745(JP,U)
【文献】特開2012-041938(JP,A)
【文献】特開2012-240140(JP,A)
【文献】特開昭63-235298(JP,A)
【文献】特開2006-162018(JP,A)
【文献】特開平10-030923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/02
F16G 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、当該連結部における伸びの判定用のマークを前記内プレート、外プレートの外表面に個別に表示し、前記各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることを特徴とするチェーン。
【請求項2】
前記各マークは、それぞれチェーンの長さ方向の寸法を許容伸び相当に設定することを特徴とする請求項1記載のチェーン。
【請求項3】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを前記内プレート、外プレートに個別に表示し、前記各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であり、前記マークの一方には、チェーンの長さ方向に許容伸び相当の間隔をおいて補助マークを付加することを特徴とするチェーン。
【請求項4】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを前記外プレートの外周面上に表示し、前記マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じると前記マークを表示した前記外プレートに連結する前記内プレートの先端が前記マークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることを特徴とするチェーン。
【請求項5】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを前記内プレートの外周面上に表示し、前記マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じると前記マークを表示した前記内プレートに連結する前記外プレートの先端が前記マークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることを特徴とするチェーン。
【請求項6】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを前記内プレートの外表面に表示し、前記マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びがないときは前記マークを表示した前記内プレートに連結する前記外プレートの先端により前記マークの一部が隠蔽され、伸びが生じると前記外プレートの先端が前記マークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、許容伸び相当の伸びが生じると前記マークの全体が外部に露出して伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることを特徴とするチェーン。
【請求項7】
前記マークは、孔として形成することを特徴とする請求項記載のチェーン。
【請求項8】
ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、前記内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、当該連結部における伸びの判定用のマークを前記内プレート、外プレートの外周面上に個別に表示し、前記各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることを特徴とするチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目視により伸びを簡単にチェックして交換時期の判別に資することができるチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンは、使用によって伸びを生じ、許容伸び以上に伸びると、交換することが必要である。一般に、チェーンの許容伸びは、たとえばオートバイのドライブ用などのシールチェーンでは1%、一般機械の動力伝導用などのノンシールチェーンでは1.5%といわれており、それ以上の伸びが生じると、スプロケットとの噛合いが不安定になるおそれがある。
【0003】
そこで、チェーンの伸びを簡単にチェックするゲージが提案されている。たとえば、チェーンの所定ピッチ分だけ離れた2位置のローラ間に同時に挿入可能な一対のロッドを基材に設け、各ロッドの外面間の距離を許容伸び値に設定すると、各ロッドが同時に2位置のローラ間に挿入できないことにより、チェーンの伸びが許容伸び以内であることをチェックすることができる(特許文献1)。また、2位置のローラ間に同時に挿入して係合させる一対の楔形の突部の一方を搖動可能とすることにより、チェーンの伸びを拡大表示させる形式も実用されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-254085号公報
【文献】特開2006-349353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、いずれの形式のゲージも、所定ピッチ数における伸びをチェックすることができるだけであるから、内プレート、外プレートの特定の連結部における局部的な伸びをチェックすることが不可能であるという問題があった。また、ゲージを必要とすること自体、チェック作業が煩雑であるという問題もあった。なお、チェーンの伸びは、ピン、ブシュによる内プレート、外プレートの連結部において、ピン、ブシュの摺動面が摩耗し、両者の間の間隙が大きくなることによって生じるから、連結部ごとに大きくばらつくことが珍しくない。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、内プレート、外プレートの連結部に目視判定用のマークを表示することによって、目視により局部的な伸びを簡単にチェックすることができるチェーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、当該連結部における伸びの判定用のマークを内プレート、外プレートの外表面に個別に表示し、各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることをその要旨とする。
【0008】
なお、各マークは、それぞれチェーンの長さ方向の寸法を許容伸び相当に設定することができる。
【0009】
請求項3の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを内プレート、外プレートに個別に表示し、各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であり、マークの一方には、チェーンの長さ方向に許容伸び相当の間隔をおいて補助マークを付加することをその要旨とする。
【0010】
請求項4の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを外プレートの外周面上に表示し、マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとマークを表示した外プレートに連結する内プレートの先端がマークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることをその要旨とする。また、請求項5の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを内プレートの外周面上に表示し、マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとマークを表示した内プレートに連結する外プレートの先端がマークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることをその要旨とする。
【0011】
請求項6の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、判定用のマークを内プレートの外表面に表示し、マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びがないときはマークを表示した内プレートに連結する外プレートの先端によりマークの一部が隠蔽され、伸びが生じると外プレートの先端がマークに対してチェーンの長さ方向に相対移動し、許容伸び相当の伸びが生じるとマークの全体が外部に露出して伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることをその要旨とする。なお、マークは、孔として形成することができる。
【0012】
請求項8の発明の構成は、ピン、ブシュを介して内プレート、外プレートを交互に屈曲自在に連結してなり、内プレート、外プレートの少なくとも1箇所の連結部には、当該連結部における伸びの判定用のマークを内プレート、外プレートの外周面上に個別に表示し、各マークは、伸びの有無に拘らず外部から目視により所在位置が確認でき、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動し、伸びが許容伸びに達したことを目視により判別可能であることをその要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
かかる請求項1、3、8の発明の構成によるときは、内プレート、外プレートの連結部において内プレート、外プレートに個別に表示する判定用のマークは、伸びが生じるとチェーンの長さ方向に相対移動する。そこで、マークの相対移動状況をチェックすることにより、当該連結部における局部的な伸びの程度を目視により簡単に判別することができ、相対移動量が許容伸び相当に達したことにより、チェーンの交換時期の到来を判別することができる。ただし、判定用のマークは、伸びがないときは、チェーンの長さ方向の同位置を含む適切な設定位置に表示する。
【0014】
なお、判定用のマークをチェーンの全長のすべての連結部に設ければ、すべての連結部における伸びを個別にチェックすることができ、単なる目安としての伸びをチェックするだけであれば、チェーンの全長に対して1箇所ないし数箇所の連結部にだけ判定用のマークを設ければよい。また、アタッチメントチェーンにおいて、アタッチメントの取付箇所ごとに対応させて判定用のマークを設け、アタッチメント間の伸びをチェックしてもよい。
【0015】
判定用のマークは、単列のシングルチェーンの場合は、左右の内プレート、外プレートの各列の一方または双方に設けることができ、2列以上の多列チェーンの場合は、最外側の左右の内プレート、外プレートの各列の一方または双方に設けることができる。いずれの場合も、一方のみより双方に設ける方が、チェーンの両側から目視可能であり、チェック作業に便利である。また、ここでいうチェーンは、ローラチェーン、ブシュチェーン、リーフチェーンのいずれであってもよい。
【0016】
各マークは、チェーンの長さ方向の寸法を許容伸び相当に設定すると、相対移動によりたとえばそれぞれの間が物理的に離れることによって、許容伸びを超える伸びの発生を目視により容易に判別することができる。なお、この場合のマークは、たとえばチェーンの長さ方向に直角の線状にして、一方または双方を許容伸び相当の線幅に設定することができる。
【0017】
マークの一方に補助マークを付加すれば、たとえば他方のマークが相対移動して補助マークの位置に達したことにより、許容伸び相当の伸びが生じたことを判別することができる。なお、この場合のマークは、単純な細線状の他、小さい点状、頂角が対向する三角形状など、互いの相対位置が判別し易い任意の形状に設定することができる。また、マークの一方と補助マークとの間に目盛マークを表示すれば、許容伸び以下の伸びの程度を一層容易に読み取ることができる。
【0018】
請求項4、5、6の発明の構成によるときは、内プレート、外プレートの連結部において、判定用のマークは、内プレート、外プレートの一方に表示され、伸びが生じると、マークを表示した一方に連結する他方の先端がマークに対して相対移動し、当該連結部における伸びの程度を目視により簡単に判別することができ、結果的に請求項1、3、8の発明におけると同等の効果を実現することができる。
【0019】
判別用のマークは、内プレートの外表面に表示することにより、マーク自体の表示を十分に大きくして見易くすることができる。また、このとき、マークを孔として形成すれば、見易さを一層向上させるとともに、内プレートの重量を軽減することができる。ただし、孔の大きさや形状、位置などは、内プレートの過大な強度低下を来たすことがないように適切に設定するものとする。
【0020】
内プレート、外プレートの一方の外周面上に表示するマークは、チェーンのチェック方向が内プレート、外プレートに平行な方向に限定されている場合などに有益である。ただし、内プレートの外周面上のマークは、内プレートの長さ方向に直角に内プレートの外表面にまで延長して表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】要部正面説明図
図2図1の要部拡大模式説明図
図3】他の実施の形態を示す図2相当図(1)
図4】他の実施の形態を示す図2相当図(2)
図5】他の実施の形態を示す図2相当図(3)
図6】他の実施の形態を示す図2相当の要部拡大模式平面説明図
図7】他の実施の形態を示す図2相当図(4)
図8】他の実施の形態を示す図2相当図(5)
図9】他の実施の形態を示す図2相当図(6)
図10】他の実施の形態を示す図6相当図(1)
図11】他の実施の形態を示す図6相当図(2)
図12】他の実施の形態を示す図6相当図(3)
図13】他の実施の形態を示す図6相当図(4)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0023】
チェーンは、ピン13、ブシュ14を介して内プレート11、11…、外プレート12、12…を屈曲自在に連結してなる(図1図2)。なお、チェーンは、ローラチェーン、ブシュチェーンのいずれであってもよい。ただし、図1(A)、(B)は、それぞれ伸びがないとき、伸びを生じたときの要部正面図である。また、図2(A)、(B)は、それぞれ図1(A)、(B)の要部拡大模式図である。
【0024】
各内プレート11の両端の連結部には、それぞれチェーンの伸びの判定用のマーク21、21が、内プレート11の長さ方向の中心線に関して対称にブシュ14の両側の外表面に表示されている。各マーク21は、チェーンの長さ方向に直角の線状ないし長方形状に形成され、外プレート12の外周面相当の位置から内プレート11の外周面に到達する長さ、チェーンの長さ方向にチェーンの許容伸び相当の線幅ないし横幅に設定されている。ただし、各マーク21は、内プレート11の外周面上にまで延長して表示してもよい。
【0025】
各外プレート12の両端の連結部には、それぞれ内プレート11側のマーク21、21と対になる判定用のマーク22、22が、外プレート12の長さ方向の中心線に関して対称にピン13の両側の外表面に表示されている。各マーク22は、チェーンの長さ方向に直角の線状ないし長方形状に形成され、ピン13と外プレート12の外周面との間の適位置から外周面に到達する長さ、チェーンの長さ方向にチェーンの許容伸び相当の線幅ないし横幅に設定されている。ただし、各マーク22は、外プレート12の外周面上にまで延長して表示してもよい。
【0026】
内プレート11、外プレート12上の互いに対になる各マーク21、22は、チェーンの伸びがないときは、チェーンの長さ方向の同位置にある(図1(A)、図2(A))。チェーンに伸びが生じると、マーク21、22は、チェーンの長さ方向に相対移動し(図1(B)、図2(B))、マーク21、22の位置がチェーンの長さ方向にずれる。そこで、マーク21、22がそれぞれの線幅ないし横幅相当だけ相対移動することにより、チェーンの伸び、すなわちマーク21、22が表示されている連結部における局部的な伸びが許容伸びに達したことを目視により判別することができる。マーク21、22の線幅ないし横幅は、それぞれチェーンの許容伸び相当に設定されているからである。
【0027】
以上の説明において、各マーク21、22は、図1(A)、(B)のように、内プレート11、外プレート12に対してブシュ14、ピン13の両側に表示するに代えて、ブシュ14、ピン13の片側にのみ表示してもよい。また、各マーク21、22は、内プレート11、11…、外プレート12、12…のすべての連結部に表示するに代えて、2以上の適当なピッチ数ごとの連結部に表示してもよく、チェーンの全長について1箇所ないし数箇所の連結部に表示してもよい。なお、各マーク21、22は、アタッチメントチェーンにおいて、アタッチメントの取付箇所に対応させて表示してもよい。また、各マーク21、22は、図1(A)、(B)に図示されていない反対側の内プレート11、11…、外プレート12、12…に対し、併せて表示してもよく、表示しなくてもよい。
【0028】
なお、図2において、マーク21、22は、その一方を図1に示すような細線に変更し、伸びがないときに、他方の片側の端縁の位置に表示することができる。たとえば、マーク21を細線にして、チェーンの伸びが生じると、マーク21は、マーク22の片方の端縁から他方に向けてマーク22を横切るようにしてチェーンの長さ方向に相対移動する。マーク21に代えて、マーク22を細線にしても、同様に動作させることができる。ただし、マーク21、22は、一方を細線にするに代えて、一方をたとえば小さい点状や、三角形状などとしてもよい。なお、このような同一形状でないマーク21、22は、伸びがないとき、チェーンの長さ方向の同位置でなく、適切な設定位置に表示するものとする。
【他の実施の形態1】
【0029】
マーク21、22の一方、たとえばマーク21に対し、チェーンの長さ方向に許容伸び相当の間隔をおいて補助マーク23を付加することができる(図3)。ただし、図3(A)、(B)は、それぞれ図2(A)、(B)相当図であり、以後の図4(A)、(B)、図5(A)、(B)についても同様である。
【0030】
補助マーク23は、マーク21と対になる他方のマーク22がチェーンの伸びによって相対移動する方向に、マーク21からチェーンの許容伸び相当だけ離れている。そこで、伸びがないときマーク21と同位置にあったマーク22が補助マーク23の位置にまで相対移動すると(図3(B))、伸びが許容伸びに達したことを判別することができる。なお、補助マーク23は、内プレート11側のマーク21に代えて、外プレート12側のマーク22に付加してもよく、このときは、マーク22から見て他方のマーク21の相対移動方向に許容伸び相当の間隔をおいて付加するものとする。
【0031】
マーク21、補助マーク23の間には、目盛マーク24を表示してもよい(図4)。目盛マーク24と他方のマーク22とを対比することにより、許容伸び以内の伸びの程度を容易に読み取ることができる。なお、補助マーク23を外プレート12上に表示するときは、目盛マーク24をマーク22、補助マーク23の間に表示すればよい。ただし、図3図4の細線状のマーク21、22、補助マーク23、目盛マーク24は、小さい点状や、頂角が対向する三角形状などに変形してもよく、それらの形状を適宜混在させて使用してもよい。
【0032】
マーク21、22は、内プレート11、外プレート12の連結部において、ピン13、ブシュ14の両側から外プレート12の先端方向に適宜離して表示してもよい(図5)。なお、図5には、ダブルピッチのコンベヤチェーンが例示されている。
【0033】
また、マーク21、22は、内プレート11、外プレート12の外周面上に表示してもよい(図6)。ただし、図6(A)、(B)は、それぞれ図2(A)、(B)相当の要部拡大模式平面図である。なお、図6には、ローラ15付きのダブルピッチのコンベヤチェーンが例示されている。
【他の実施の形態2】
【0034】
内プレート11には、両端の各連結部に対応させるようにして、マーク21、21を外表面に表示することができる(図7)。ただし、図7(A)、(B)は、図2相当図であり、以後の図8(A)、(B)、図9(A)、(B)についても同様である。また、図7のチェーンは、ダブルピッチのコンベヤチェーンである。
【0035】
各マーク21は、内プレート11の長さ方向の中心線に垂直な細線として表示され、中心線に関して対称に延長されている。各マーク21は、チェーンの伸びがないとき、連結部に連結する外プレート12の先端によって中間部の大部分が隠蔽され(図7(A)の点線)、許容伸び相当の伸びが生じると、全体が外部に露出する(同図(B))。なお、図7(B)は、内プレート11の両端の連結部がそれぞれ許容伸び相当の伸びを生じた状態を図示しているが、各連結部は、必ずしも同時に同一の伸びが生じるとは限らない。また、内プレート11上のマーク21、21は、一方の連結部に対応する1本のみを表示してもよい。
【0036】
図7のマーク21、21は、通常ピッチのチェーンについても、そのまま適用可能である(図8)。
【0037】
内プレート11の外表面のマーク21、21は、内プレート11の長さ方向に長軸を有する共通の楕円形の孔25として形成してもよい(図9)。チェーンの伸びがないとき、孔25の長軸方向の先端部は、各連結部に連結する外プレート12の先端によって隠蔽され(図9(A)の点線)、許容伸び相当の伸びが生じると、孔25の先端部が外部に露出する(同図(B))。なお、孔25は、両端の連結部に対応する共通の楕円形とするに代えて、各連結部に個別に対応する一対の小径孔としてもよい。また、内プレート11には、一方の連結部に対応する1個の小径孔のみを形成してもよい。
【0038】
マーク21は、内プレート11の外周面上に表示してもよい(図10)。ただし、図10(A)、(B)は、それぞれ図6(A)、(B)相当図であり、以後の図11(A)、(B)~図13(A)、(B)についても同様である。また、図10図13のチェーンは、ローラ15を有するローラチェーンが例示されている。
【0039】
マーク21は、内プレート11の両端の連結部に対して共通に表示されている(図10(A))。チェーンの伸びがないとき、マーク21の先端部は、各連結部に連結する外プレート12の先端と重なり合い、許容伸び相当の伸びが生じると、外プレート12の先端との重なり合いが解消する(同図(B))。なお、マーク21は、内プレート11の長さ方向の中心線に対して垂直に内プレート11の外表面に帯状に延長してもよい。
【0040】
マーク22は、外プレート12の外周面上に表示することができる(図11)。マーク22は、外プレート12の両端の連結部に共通である。チェーンの伸びがないときは、マーク22の先端部は、各連結部に連結する内プレート11の先端と重なり合い(図11(A))、許容伸び相当の伸びが生じると、内プレート11の先端との重なり合いが解消する(図11(B))。
【0041】
マーク21、21は、それぞれ補助マーク23、目盛マーク24とともに、内プレート11の外周面上に表示してもよい(図12)。ただし、図12において、マーク21、21は、それぞれ内プレート11の両端の連結部に対応している。
【0042】
マーク21は、チェーンの伸びがないとき、対応する連結部に連結する外プレート12の先端の位置に対応しており(図12(A))、補助マーク23は、許容伸び相当の伸びが生じたときの外プレート12の先端の位置に対応している。また、目盛マーク24は、許容伸び以内の中間の伸びが生じたときの外プレート12の先端の位置に対応している(図12(B))。なお、各マーク21、補助マーク23、目盛マーク24は、それぞれ内プレート11の長さ方向の中心線に垂直な細線として内プレート11の外表面に延長してもよい。
【0043】
マーク22、22は、それぞれ補助マーク23、目盛マーク24とともに、外プレート12の外周面上に表示することができる(図13)。各マーク22、補助マーク23、目盛マーク24は、対応する連結部に連結する内プレート11の先端がチェーンの伸びに応じて相対移動することにより、伸びがないとき(図13(A))、許容伸び相当の伸びが生じたとき、許容伸び以内の中間の伸びが生じたとき(図13(B))を容易に判別することができる。
【0044】
以上の説明において、マーク21、22、補助マーク23、目盛マーク24は、たとえばレーザ方式、インクジェット方式、電磁式のドット方式などの各種のマーキング方式の他、プレス刻印、プレス打抜などの任意の手法によって表示形成することができる。また、これらのマーキングは、内プレート11、外プレート12に対し、組立前の部品段階において実施してもよく、チェーンとして組立中または組立後に実施してもよい。
【0045】
なお、図1図13に示す各実施の形態は、格別な事情がない限り、それぞれの技術的な特徴点、変形点などを相互に任意に適用可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、伸びを適切に管理すべき任意の用途のチェーンに対し、広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
11…内プレート
12…外プレート
13…ピン
14…ブシュ
21、22…マーク
23…補助マーク
24…目盛マーク
25…孔

特許出願人 株式会社 江沼チヱン製作所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13