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<図1>
  • 特許-ナースコールシステム 図1
  • 特許-ナースコールシステム 図2
  • 特許-ナースコールシステム 図3
  • 特許-ナースコールシステム 図4
  • 特許-ナースコールシステム 図5
  • 特許-ナースコールシステム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20220823BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H04M9/00 D
A61G12/00 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018132117
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020010272
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 修
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067825(JP,A)
【文献】特開2014-217590(JP,A)
【文献】特開2010-005057(JP,A)
【文献】特開2004-153784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G9/00-15/12
99/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-99/00
G16H10/00-80/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者からの1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末に対する報知を順次行うスライド呼出機能を備えたナースコールシステムであって、
上記患者からの呼び出しを受け付ける呼出受付部と、
上記呼出受付部が上記呼び出しを受け付けた場合、上記複数の携帯端末に対する報知を順番に実行する報知処理部と、
上記報知処理部により上記報知が行われた携帯端末からの応答を受け付ける応答受付部と、
上記報知処理部が上記携帯端末に対して上記報知を実行した時刻である報知時刻および上記応答受付部が上記応答を受け付けた時刻である応答時刻を呼出履歴情報として記録する履歴記録部とを備え
上記履歴記録部は、上記報知に対する上記応答を行った携帯端末についてのみ上記呼出履歴情報を記録し、上記報知に対する上記応答を行っていない携帯端末については上記呼出履歴情報を記録しないことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
患者からの1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末に対する報知を順次行うスライド呼出機能を備えたナースコールシステムであって、
上記患者からの呼び出しを受け付ける呼出受付部と、
上記呼出受付部が上記呼び出しを受け付けた場合、上記複数の携帯端末に対する報知を順番に実行する報知処理部と、
上記報知処理部により上記報知が行われた携帯端末からの応答を受け付ける応答受付部と、
上記報知処理部が上記携帯端末に対して上記報知を実行した時刻である報知時刻および上記応答受付部が上記応答を受け付けた時刻である応答時刻を呼出履歴情報として記録する履歴記録部とを備え、
上記履歴記録部は、上記スライド呼出機能による呼び出しに関する上記呼出履歴情報と、上記患者からの1回の呼び出しに対応して1つの携帯端末に対する報知を行う通常呼出機能による呼び出しに関する上記呼出履歴情報とを互いに識別可能な状態にして上記呼出履歴情報を記録することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項3】
上記履歴記録部は、上記スライド呼出機能による呼び出しに関する上記呼出履歴情報については、上記報知時刻および上記応答時刻を記録し、上記通常呼出機能による呼び出しに関する上記呼出履歴情報については、上記呼出受付部が上記呼び出しを受け付けた時刻である呼出時刻および上記応答時刻を記録することを特徴とする請求項2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
上記履歴記録部は、上記報知処理部が上記報知を実行した携帯端末ごとに上記呼出履歴情報を記録し、上記報知に対する上記応答を行っていない携帯端末については上記報知時刻を記録して上記応答時刻を無記録とし、上記報知に対する上記応答を行った携帯端末については上記報知時刻および上記応答時刻を記録することを特徴とする請求項2または3に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記履歴記録部は、上記報知に対する上記応答を行った携帯端末についてのみ上記呼出履歴情報を記録し、上記報知に対する上記応答を行っていない携帯端末については上記呼出履歴情報を記録しないことを特徴とする請求項2または3に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
上記履歴記録部は、上記報知処理部が上記報知を実行した携帯端末ごとに、上記呼出受付部が上記呼び出しを受け付けた時刻である呼出時刻を上記呼出履歴情報として更に記録することを特徴とする請求項1または2に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に、1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末に対する報知を順次行う機能を備えたナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が医師または看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、単に「患者」と言う)が呼出ボタン等を押下することによって医者、看護師または介護師(以下、単に「看護師」と言う)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
従来、携帯端末を採用したナースコールシステムにおいて、例えば、一人の患者からの1回の呼び出しに対応して、複数の携帯端末に対する報知を所定の時間間隔ごとに順番に行い、最初に携帯端末で応答した看護師が患者と通話できるようになされたシステムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。以下、このような呼び出し機能を「スライド呼出」という。スライド呼出機能は、例えば一人の患者を複数の看護師でサポートするチームナーシングを行う場合などに有効である。
【0004】
また、携帯端末を採用したナースコールシステムにおいて、看護師が患者からの呼び出しに対して携帯端末で応答を行った場合に、その呼び出しと応答に関する情報を呼出履歴情報として記録するように成されたナースコールシステムも知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載のナースコールシステムでは、呼出履歴情報として、ナースコール親機での受信日時(呼出日時)、患者名、応答日時、看護師名、呼出理由などの情報を記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-349020号公報
【文献】特開2009-165089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載のようにナースコールの呼出日時と応答日時とを呼出履歴情報として記録する場合、患者からの呼び出しに対して何れかの看護師が応答するまでの時間を把握することが可能である。そのため、特許文献2の呼出履歴情報は、病院全体としての看護品質(ナースコールの呼び出しに対する応答の迅速さ)を評価する際の指標としては有用な情報と言える。
【0007】
しかしながら、特許文献2の呼出履歴情報は、特許文献1に記載されたスライド呼出を行うナースコールシステムにおいて、看護師ごとの看護品質を評価する際の指標としては使えないという問題があった。2番目以降に呼び出される看護師については、患者からの呼び出しが行われてから各看護師の携帯端末に対して報知が行われるまでには呼び出し順に応じたタイムラグがあるため、ナースコールの呼出日時から応答日時までの時間が、その看護師が患者からの呼び出しを把握してから応答するまでの反応時間に相当するものとは言えないからである。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、スライド呼出を行うナースコールシステムにおいて、看護師ごとの看護品質を評価する際の指標として有用な情報を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、患者からの1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末に対する報知を順次行うスライド呼出機能を備えたナースコールシステムにおいて、スライド呼出により携帯端末に対して報知を実行した時刻である報知時刻と、報知が行われた携帯端末の何れかから応答を受け付けた時刻である応答時刻とを呼出履歴情報として記録するようにしている。ここで、本発明の一態様では、報知に対する応答を行った携帯端末についてのみ呼出履歴情報を記録し、報知に対する応答を行っていない携帯端末については呼出履歴情報を記録しないようにする。また、本発明の他の態様では、スライド呼出機能による呼び出しに関する呼出履歴情報と、患者からの1回の呼び出しに対応して1つの携帯端末に対する報知を行う通常呼出機能による呼び出しに関する呼出履歴情報とを互いに識別可能な状態にして呼出履歴情報を記録するようにする。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、患者からの呼び出しが行われた場合、スライド呼出による報知に対して応答した看護師の携帯端末について、スライド呼出の順番に応じた報知時刻と、報知に対する応答時刻とが呼出履歴情報として記録される。このため、報知時刻から応答時刻までの時間を、看護師が患者からの呼び出しを報知により把握してから応答するまでの反応時間として把握することが可能となる。これにより、スライド呼出を行うナースコールシステムにおいて、看護師ごとの看護品質を評価する際の指標として有用な情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態によるナースコール親機の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態の呼出履歴記憶部に記憶される呼出履歴情報の一例を模式的に示す図である。
図4】本実施形態によるナースコール親機の動作例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の呼出履歴記憶部に記憶される呼出履歴情報の他の例を模式的に示す図である。
図6】本実施形態の呼出履歴記憶部に記憶される呼出履歴情報の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、ハンド形子機5、ハンディナースコール主装置6、構内交換機(PBX)7、無線基地局8および携帯端末(例えば、PHS端末またはスマートフォン)10を備えて構成されている。
【0014】
ナースコール親機1は、患者(ナースコール子機)からの呼び出しに対する応答の操作または患者(ナースコール子機)の呼び出しの操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。ナースコール親機1は、患者からの呼び出しを受けたとき、所定の報知処理を行う。この報知処理は、ナースコール親機1での報知処理のほか、携帯端末10に対する報知処理を含む。本実施形態のナースコール親機1は、患者からの1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末10に対する報知を順次行うスライド呼出機能を備えている。
【0015】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。
【0016】
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者が壁埋込形子機4またはハンド形子機5を用いて看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。また、廊下灯3は、壁埋込形子機4またはハンド形子機5から送信された呼出信号を、制御機2を介してナースコール親機1に転送する。
【0017】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカ、ハンド形子機5を接続するための接続端子を備えている。なお、壁埋込形子機4の構成はこれに限定されない。例えば、呼出ボタンを備えないものであってもよい。また、呼び出しに応じて行われている報知処理を停止するための復旧ボタンを備えたものであってもよい。
【0018】
ハンド形子機5は、壁埋込形子機4に接続される。ハンド形子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。なお、ハンド形子機5の構成はこれに限定されない。例えば、マイクおよびスピーカを備えないもの(握り押しボタン)であってもよい。
【0019】
患者が壁埋込形子機4またはハンド形子機5の呼出ボタンを操作すると、呼出信号が廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信されるようになっている。以下では、壁埋込形子機4およびハンド形子機5をまとめてナースコール子機4,5と記す。
【0020】
ハンディナースコール主装置6は、PBX7を介して、看護師が所持する携帯端末10との間で通話やデータの送受信に関する制御を行う。このハンディナースコール主装置6は、例えば病院内の通信センタに設置され、ナースコール親機1と接続されている。ハンディナースコール主装置6は、ナースコール親機1からの制御に従って、複数の携帯端末10に対するスライド呼出を実行する。無線基地局8は、携帯端末10との間で通話やデータの無線通信をするためのものであり、PBX7と接続されている。
【0021】
以上のように構成された本実施形態のナースコールシステムは、患者が使用するナースコール子機4,5からの呼び出しに対し、ナースセンタに設置されたナースコール親機1および看護師が所持する携帯端末10で所定の報知処理を実行し、これに応じて看護師が応答の操作を行うことが可能に成されている。また、本実施形態のナースコールシステムは、後述するように、以上のような呼び出しから応答までの状況を呼出履歴情報として記録するように成されている。
【0022】
図2は、本実施形態によるナースコール親機1の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、ナースコール親機1は、その機能構成として、呼出受付部21、報知処理部22、応答受付部23および履歴記録部24を備えている。また、ナースコール親機1は、記憶媒体として管理情報記憶部11および呼出履歴記憶部12を備えている。
【0023】
なお、上記各機能ブロック21~24は、ハードウェア構成、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック21~24は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0024】
管理情報記憶部11は、患者に関する情報(以下、患者情報という)と、看護師に関する情報(以下、看護師情報という)と、ナースコールの呼出先に関する情報(以下、呼出先情報という)とをナースコールに関する管理情報として記憶している。
【0025】
本実施形態において患者情報は、例えば、患者の氏名、病室の部屋番号、患者が使用しているベッドを識別するベッド番号、患者を識別するための患者ID、患者が使用するナースコール子機4,5を識別するための子機IDなどの各種情報を含む。また、看護師情報は、例えば、看護師の氏名、看護師を識別するための看護師ID、担当する患者を識別するための患者ID、看護師が使用する携帯端末10を識別するための端末IDなどの各種情報を含む。
【0026】
呼出先情報は、患者(例えば、患者ID)と、当該患者からの呼び出しに対応して報知を行う担当看護師(例えば、看護師ID)と、当該担当看護師が所持する携帯端末10の端末IDおよび呼出先に関する情報(内線番号など)とを関連付けて記憶したものである。一人の患者を複数の看護師でサポートするチームナーシングを行う場合は、一人の患者と複数の看護師と各看護師が所持する複数の携帯端末10の呼出先とがグルーピングされて記憶される。
【0027】
呼出受付部21は、患者(ナースコール子機4,5)からの呼び出しを受け付ける。すなわち、呼出受付部21は、ナースコール子機4,5から廊下灯3および制御機2を介して送られてくる呼出信号を受信する。
【0028】
報知処理部22は、呼出受付部21が患者からの呼び出しを受け付けた場合、所定の報知処理を行う。上述したように、この報知処理は、ナースコール親機1での報知処理と、携帯端末10に対する報知処理とを含む。このうち、ナースコール親機1での報知処理は、以下のようにして行う。
【0029】
すなわち、報知処理部22は、呼出受付部21が受信した呼出信号によって伝えられる子機情報(呼び出しを行ったナースコール子機4,5を特定するための子機IDなど)に基づいて、管理情報記憶部11を参照することにより、呼び出しを行った患者を特定する。そして、報知処理部22は、特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)を管理情報記憶部11から読み出し、患者情報のポップアップ画面を生成して図示しないディスプレイに表示させる。また、報知処理部22は、ナースコール親機1の図示しないスピーカから呼出音を鳴らして看護師に対する報知を行う。
【0030】
また、携帯端末10に対する報知処理は、以下のようにして行う。すなわち、報知処理部22は、上述のようにして特定した患者を担当する看護師の呼出先情報を管理情報記憶部11から読み出し、当該読み出した呼出先情報に基づいて、チームナーシングのためにグルーピングされた複数の携帯端末10に対する報知を実行する。本実施形態では、スライド呼出機能によって、複数の携帯端末10に対する報知を順番に実行する。
【0031】
具体的には、報知処理部22は、ハンディナースコール主装置6を介してPBX7に対し、複数の携帯端末10に対する報知の実行を指示する呼出信号を所定の時間間隔ごとに順番に送信する。この呼出信号には、報知処理部22が特定した患者に関する患者情報の一部(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)が含まれている。PBX7は、ナースコール親機1からハンディナースコール主装置6を介して呼出信号を受信したとき、呼出先として指定されている携帯端末10に対する呼び出しを実行する。この呼出信号を受信した携帯端末10は、患者情報をディスプレイに表示させるとともに、スピーカから呼出音を鳴らして看護師に対する報知を行う。
【0032】
なお、複数の携帯端末10に対して行う呼び出しの順番は、例えば、管理情報記憶部11にあらかじめ記憶しておいた順番とすることが可能である。ここで、呼び出しの順番は常に固定としてもよいし、可変としてもよい。順番を可変とする場合、管理情報記憶部11にあらかじめ記憶されている並び順に沿って、最初に呼び出しを行う携帯端末10を、患者からの呼び出しがあるたびに変えるようにすることが考えられる。その他、複数の携帯端末10に対する呼び出しの順番は任意に設計してよい。
【0033】
PBX7からの呼び出しに対して、携帯端末10にて応答が行われると、応答が行われた携帯端末10から通話開始要求の応答信号が送られてくる。PBX7は、応答信号を受信すると、それ以降は携帯端末10に対する呼び出し動作を停止し、ハンディナースコール主装置6を介してナースコール親機1に対して応答信号を送信する。この後、ナースコール親機1からハンディナースコール主装置6およびPBX7を介して携帯端末10に通話開始承諾の承認信号が送られて、通話が開始される。
【0034】
応答受付部23は、報知処理部22により報知が行われたナースコール親機1または携帯端末10からの応答を受け付ける。例えば、看護師が患者からの呼び出しに応答するためにナースコール親機1のハンドセットをオフフックすると、オフフックされたことを応答受付部23が受け付けて、上述した報知処理部22による報知処理(ナースコール親機1での報知処理および携帯端末10に対する報知処理)を停止させる。
【0035】
また、看護師が患者からの呼び出しに応答するために携帯端末10をオフフックすると、応答信号がハンディナースコール主装置6を介してナースコール親機1に送信され、応答受付部23にて受信される。応答受付部23は、この応答信号を受けて、上述の報知処理部22による報知処理(ナースコール親機1での報知処理および携帯端末10に対する報知処理)を停止させる。
【0036】
報知処理部22は、応答受付部23が応答信号を受け付けたか否かを監視しながら、複数の携帯端末10に対するスライド呼出を実行する。すなわち、報知処理部22がある携帯端末10を呼出先に指定して呼び出しを行った後(すなわち、ある携帯端末10に対する報知の実行を指示する呼出信号を、ハンディナースコール主装置6を介してPBX7に対して送信した後)、所定の時間以内に応答受付部23が応答信号を受け付けなかった場合、報知処理部22はその呼び出し動作を停止し、次の携帯端末10を呼出先に指定して呼び出しを行う。以下同様にして、報知処理部22は、応答受付部23が応答信号を受け付けるまで複数の携帯端末10に対するスライド呼出を実行する。
【0037】
履歴記録部24は、報知処理部22が携帯端末10に対して報知を実行した時刻である報知時刻(携帯端末10に対する報知の実行を指示する呼出信号を送信した時刻)と、応答受付部23が応答を受け付けた時刻である応答時刻とを呼出履歴情報として呼出履歴記憶部12に記録する。
【0038】
すなわち、報知処理部22は、携帯端末10に対する報知を実行すると、報知を行った携帯端末10の端末IDを履歴記録部24に通知する。報知処理部22は、スライド呼出によって複数の携帯端末10に対する報知を順番に実行するたびに、この通知を行う。履歴記録部24は、報知処理部22から通知を受けるごとに、そのときの時刻を携帯端末10ごとの報知時刻として呼出履歴記憶部12に記録する。
【0039】
このとき履歴記録部24は、携帯端末10の端末ID、あるいはこの端末IDから管理情報記憶部11を参照することによって得られる看護師IDまたは看護師の氏名などを報知時刻と共に呼出履歴記憶部12に記録する。なお、看護師IDまたは看護師の氏名は、報知処理部22にて特定してもよいし、履歴記録部24にて特定してもよい。
【0040】
また、応答受付部23は、携帯端末10から応答信号を受信すると、そのことを報知処理部22に通知するとともに、受信した応答信号によって伝えられる携帯端末10の端末IDを履歴記録部24に通知する。報知処理部22は、応答受付部23からの通知を受けて、ナースコール親機1および携帯端末10に対する報知処理を停止する。また、履歴記録部24は、応答受付部23から通知を受けた時刻を応答時刻として呼出履歴記憶部12に記録する。なお、スライド呼出の場合、1以上の呼び出しに対して応答する携帯端末10は1つのみである。よって、応答時刻に関しては、応答を行った携帯端末10についてのみ記録される。
【0041】
図3は、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報の一例を模式的に示す図である。図3に示す例では、報知を行った携帯端末10を所持する看護師の氏名、報知時刻(日付を含む)および応答時刻(日付を含む)を各レコードに記録するようにしている。ここで、履歴記録部24は、報知処理部22が報知を実行した携帯端末10ごとに各レコードの呼出履歴情報を記録し、報知に対する応答を行っていない携帯端末10については報知時刻を記録して応答時刻を無記録とし、報知に対する応答を行った携帯端末10については報知時刻および応答時刻を記録する。
【0042】
図3は、スライド呼出によって3人の看護師A,B,Cに対して順番に呼び出しを行い、1番目および2番目に報知した携帯端末10に対応する看護師A,Bは応答せず、3番目に報知した携帯端末10に対応する看護師Cが応答したときに記録される呼出履歴情報を示している。すなわち、報知処理部22が1番目の看護師Aに対応する携帯端末10に報知を行った時点で、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報に1つのレコードR1が作成され、そのレコードR1に看護師名と報知時刻とが記録される。この1番目の看護師Aは所定の時間以内(図3の例では30秒以内)に応答をしなかったため、レコードR1には応答時刻が記録されていない。
【0043】
次いで、1番目の看護師Aに対応する携帯端末10に報知を行ってから応答なく所定の時間が経過した時点で、報知処理部22により2番目の看護師Bに対応する携帯端末10に対する報知が行われる。この時点で、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報に1つのレコードR2が作成され、そのレコードR2に看護師名と報知時刻とが記録される。この2番目の看護師Bも所定の時間以内に応答をしなかったため、レコードR2には応答時刻が記録されていない。
【0044】
次いで、2番目の看護師Bに対応する携帯端末10に報知を行ってから応答なく所定の時間が経過した時点で、報知処理部22により3番目の看護師Cに対応する携帯端末10に対する報知が行われる。この時点で、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報に1つのレコードR3が作成され、そのレコードR3に看護師名と報知時刻とが記録される。その後、この3番目の看護師Cは所定の時間以内に応答をしたため、その応答時刻がレコードR3に追加して記録される。
【0045】
図4は、上記のように構成した本実施形態によるナースコール親機1の動作例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、患者からの1回の呼び出しに対して実行される動作例を示しており、患者からの呼び出しが行われるたびに図4に示す動作が実行される。
【0046】
まず、呼出受付部21が患者からの呼び出しを受け付けると(ステップS1)、報知処理部22は、ナースコール親機1での報知処理を実行するとともに(ステップS2)、呼出信号に基づいて管理情報記憶部11を参照することによって特定される担当看護師に対応する複数の携帯端末10のうち、i番目(最初はi=1)の携帯端末10に対する報知処理を実行する(ステップS3)。このとき、履歴記録部24は、報知を行った携帯端末10の端末IDの通知を報知処理部22から受けて、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報のレコードを1つ作成し、端末IDから特定される看護師IDまたは看護師名と報知時刻とを当該レコードに記録する(ステップS4)。
【0047】
次に、応答受付部23は、応答を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。ここで、応答受付部23が応答を受け付けていない場合、報知処理部22は、携帯端末10に対する報知処理を開始した時点から、応答受付部23から応答があった旨の通知を受けることなく所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。所定の時間がまだ経過していない場合、処理はステップS5に戻る。
【0048】
一方、所定の時間が経過した場合、報知処理部22は、i番目の携帯端末10に対する報知処理を停止する一方、i+1番目の携帯端末10に対する報知処理を実行する(ステップS7)。その後、処理はステップS4に戻る。ここで、履歴記録部24は、新たに報知を行ったi+1番目の端末IDの通知を報知処理部22から受けて、呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報のレコードを1つ作成し、端末IDから特定される看護師IDまたは看護師名と報知時刻とを当該レコードに記録する。
【0049】
以上のようなステップS4~S7の処理を、ナースコール親機1または何れかの携帯端末10において応答が行われるまで繰り返し実行する。そして、ステップS5で応答受付部23が応答を受け付けた場合、応答受付部23は、それが携帯端末10からの応答か否かを判定する(ステップS8)。ここで、携帯端末10からの応答ではない、つまりナースコール親機1からの応答であると判定された場合、報知処理部22は、応答受付部23から応答があった旨の通知を受けて、ナースコール親機1および携帯端末10に対する報知処理を停止する(ステップS10)。これにより、図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0050】
一方、携帯端末10からの応答であると応答受付部23にて判定された場合、履歴記録部24は、応答した携帯端末10の端末IDの通知を応答受付部23から受けて、当該端末IDに対応する呼出履歴情報が記録されているレコードに応答時刻を追加して記録する(ステップS9)。そして、報知処理部22は、応答受付部23から応答があった旨の通知を受けて、ナースコール親機1および携帯端末10に対する報知処理を停止する(ステップS10)。これにより、図4に示すフローチャートの処理を終了する。
【0051】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、患者からの1回の呼び出しに対応して複数の携帯端末10に対する報知を順次行うスライド呼出機能を備えたナースコールシステムにおいて、スライド呼出により携帯端末10に対して報知を実行した時刻である報知時刻と、報知が行われた携帯端末10の何れかから応答を受け付けた時刻である応答時刻とを呼出履歴情報として呼出履歴記憶部12に記録するようにしている。
【0052】
このように構成した本実施形態によれば、患者からの呼び出しが行われた場合、スライド呼出による報知に対して応答した看護師の携帯端末10について、スライド呼出の順番に応じた報知時刻と、報知に対する応答時刻とが呼出履歴情報として記録されるので、報知時刻から応答時刻までの時間を、看護師が患者からの呼び出しを報知により把握してから応答するまでの反応時間として把握することが可能となる。これにより、スライド呼出を行うナースコールシステムにおいて、看護師ごとの看護品質を評価する際の指標として有用な情報を得ることができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、報知処理部22が報知を実行した携帯端末10ごとに呼出履歴情報を記録し、報知に対する応答を行っていない携帯端末10については報知時刻を記録して応答時刻を無記録とし、報知に対する応答を行った携帯端末10については報知時刻および応答時刻を記録する例について説明したが(図3参照)、本発明はこれに限定されない。例えば、履歴記録部24は、報知に対する応答を行った携帯端末10についてのみ呼出履歴情報を記録するようにしてもよい。すなわち、図3に示した例において、応答を行っていない看護師A,Bの携帯端末10に関するレコードR1,R2の呼出履歴情報は記録せず、応答を行った看護師Cの携帯端末10に関するレコードR3の呼出履歴情報のみを記録するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、履歴記録部24は、報知処理部22が報知を実行した携帯端末10ごとに、呼出受付部21が患者からの呼び出しを受け付けた時刻である呼出時刻を呼出履歴情報として更に記録するようにしてもよい。図5は、この場合に呼出履歴記憶部12に記憶される呼出履歴情報の一例を模式的に示す図である。図5に示す例では、報知を行った看護師A,B,Cの携帯端末10に関する呼出履歴情報の各レコードR1,R2,R3のそれぞれに、図3に示した看護師名、報知時刻および応答時刻の他に呼出時刻(日付を含む)が更に記録されている。各レコードR1,R2,R3の呼出時刻は何れも同じ値である。
【0055】
このように、呼出履歴情報として呼出時刻を更に記録することにより、報知時刻と応答時刻との組み合わせによって、看護師ごとの看護品質を評価する際の指標を得ることができるとともに、呼出時刻と応答時刻との組み合わせによって、病院全体としての看護品質を評価する際の指標を得ることができる。
【0056】
なお、呼出時刻を記録する場合、呼出受付部21が受け付けた呼出信号に基づいて管理情報記憶部11を参照することによって特定した患者の患者情報(例えば、患者の氏名)を呼出時刻と共に呼出履歴記憶部12に記録するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、患者からの呼び出しに対応して複数の携帯端末10に対するスライド呼出を行う場合についてのみ説明したが、患者からの1回の呼び出しに対応して1つの携帯端末10に対してのみ報知する通常呼出が行われる場合もある。そこで、履歴記録部24は、スライド呼出機能による呼び出しに関する呼出履歴情報と、通常呼出機能による呼び出しに関する呼出履歴情報とを互いに識別可能な状態にして呼出履歴情報を記録するようにしてもよい。
【0058】
例えば、スライド呼出機能に関する呼出履歴情報に対して所定のフラグ情報を付加して記録することが考えられる。あるいは、履歴記録部24は、図6に示すように、スライド呼出機能による呼び出しに関するレコードR1~R3の呼出履歴情報については、報知時刻および応答時刻を記録し、通常呼出機能による呼び出しに関するレコードR4の呼出履歴情報については、呼出時刻および応答時刻を記録することにより、スライド呼出機能に関する呼出履歴情報と通常呼出機能に関する呼出履歴情報とを互いに識別可能な状態にしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、スライド呼出の実行時において、同時に報知する携帯端末10の数が1つである例について説明したが、同時に報知する携帯端末10の数が複数であってもよい。この場合、同時に報知した複数の携帯端末10の履歴記録情報も複数のレコードに分けて記録する。複数の携帯端末10に対して同時に報知した場合でも、応答し得るのはその中の1つの携帯端末10のみであるから、どの携帯端末10から応答があったかを識別できるようにするために、レコードを分けて記録するのが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態では、スライド呼出の実行をナースコール親機1にて制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナースコール親機1からの指示を受けてハンディナースコール主装置6がスライド呼出の実行を制御するようにしてもよい。この場合、ナースコール親機1における呼出履歴記憶部12に対する呼出履歴情報の記録は、ナースコール親機1とハンディナースコール主装置6とが連携して必要な情報を授受することによって行う。
【0061】
また、上記実施形態では、スライド呼出の実行時において、次の携帯端末10を報知させる際に、現在報知を行っている携帯端末10の報知を停止させるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライド呼出の実行時に次の携帯端末10を報知させる際に、それよりも前に報知を行っていた携帯端末10の報知を継続させるようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ナースコール親機1にて応答した場合に呼出履歴情報として応答時刻を記録していないが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナースコール親機10にて応答した場合には、看護師名および報知時刻を記録せず、呼出時刻および応答時刻のみを呼出履歴情報として記録するようにしてもよい。
【0063】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ナースコール親機
4 壁埋込形子機
5 ハンド形子機
10 携帯端末
12 呼出履歴記憶部
21 呼出受付部
22 報知処理部
23 応答受付部
24 履歴記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6