(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ヘッドライトカバー用シート
(51)【国際特許分類】
F21S 41/275 20180101AFI20220823BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20220823BHJP
F21S 41/50 20180101ALI20220823BHJP
F21S 45/10 20180101ALI20220823BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20220823BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20220823BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/29
F21S41/50
F21S45/10
B32B7/06
F21V3/10 310
(21)【出願番号】P 2018237648
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】508345313
【氏名又は名称】株式会社洗車の王国
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】相原 浩
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04439817(US,A)
【文献】特開2011-146246(JP,A)
【文献】特開昭63-269403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/29
F21S 41/50
F21S 45/10
B32B 7/06
F21V 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライトカバーの立体形状を2次元平面に展開したヘッドライトカバー用シートであって、
シート本体を備え、
前記シート本体は、前記ヘッドライトカバーの光軸調整用目印と略同位置に、貼付け用目印を有していることを特徴とするヘッドライトカバー用シート。
【請求項2】
前記貼付け用目印は、貫通孔であることを特徴とする、請求項1に記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項3】
前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項4】
前記切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項5】
前記一対の当接辺の少なくとも何れか一方は、湾曲していることを特徴とする、請求項4に記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項6】
前記切り込み部を複数有していることを特徴とする、請求項3~5の何れかに記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項7】
前記シート本体と別体に構成された補助シートを備え、
前記補助シートは、その周縁が、前記シート本体の周縁に当接可能に構成されていることを特徴とする、請求項1~6の何れかに記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項8】
前記補助シートを複数備えていることを特徴とする、請求項7に記載のヘッドライトカバー用シート。
【請求項9】
基シートを備え、
前記シート本体又は前記補助シートの少なくとも何れか一方は、前記基シートに着脱可能に積層されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載のヘッドライトカバー用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライトカバー用シートに係るものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライトカバーは、長期にわたる使用により、その表面に、太陽光に含まれる紫外線等に起因した黄ばみや曇りが発生してしまう。
【0003】
そして、表面に黄ばみや曇りが発生すると、自動車の外観が悪化するばかりか、ヘッドライトの光量不足の原因にもなってしまうという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、特許文献1には、ヘッドライトカバーの黄ばみやくもりを除去して、ヘッドライトカバーの透明性を回復させることができるとともに、回復したヘッドライトカバーの透明性を長期間に渡って維持することができるヘッドライトカバー用シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のヘッドライトカバー用シートには、なおも以下の問題点が残されている。
即ち、ヘッドライトカバーの外形状に合わせて、迅速にシートを貼付けることが困難であるという問題である。
【0007】
ヘッドライトカバーは、車種により形状が様々であるため、当然に、シートも様々な形状のものが製造されている。
そして、特に外形状が複雑なものや複数枚のシートから構成されるものについては、どの部分から貼付け始めたら良いか、見極めが困難であり、貼付けに時間を要するばかりか、外形状に沿った綺麗な貼付けを行えない可能性も高くなる。
【0008】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、ヘッドライトカバーの外形状に合わせて、迅速に貼付けることが可能な、ヘッドライトカバー用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
ヘッドライトカバーの立体形状を2次元平面に展開したヘッドライトカバー用シートであって、
シート本体を備え、
前記シート本体は、前記ヘッドライトカバーの光軸調整用目印と略同位置に、貼付け用目印を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、作業者は、ヘッドライトカバーの外形状に合わせて、ヘッドライトカバー用シートを迅速に貼付けることが可能となる。
即ち、作業者は、光軸調整用目印と貼付け用目印とを一致させ、この貼付け用目印を起点として、貼付け作業を行う。これにより、貼付け始める部位の見極めが不要となり、作業者は、自然とヘッドライトカバーの外形状に沿って、シートを貼付けることが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記貼付け用目印は、貫通孔であることを特徴とする。
【0012】
このような構成とすることで、迅速な貼付け作業を可能にすると共に、貼付けた後、貫通孔から水や空気を抜くことができるため、施工性が大幅に向上する。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記シート本体は、その周縁に連設する切り込み部を有していることを特徴とする。
【0014】
このような構成とすることで、周縁に連設する切り込み部を有していることで、ヘッドライトカバーの曲面上での皺の発生を防止し、シート本体を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記切り込み部には、前記シート本体の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺が形成されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成とすることで、シート本体を、ヘッドライトカバー上に均一な厚みで、かつ隙間をつくることなく貼付けることが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記当接辺は、湾曲していることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、ヘッドライトカバーの複雑な曲面上での皺の発生を防止し、シート本体を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記切り込み部を複数有していることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、複雑な立体形状を有するヘッドライトカバーに対しても、シート本体を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記シート本体と別体に構成された補助シートを備え、前記補助シートは、その周縁が、前記シート本体の周縁に当接可能に構成されていることを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることで、ヘッドライトカバーに対して、確実に全面を覆うようにして、シート本体及び補助シートを綺麗に貼付けることが可能となる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記補助シートを複数備えていることを特徴とする。
【0024】
このような構成とすることで、様々な立体形状のヘッドライトカバーに対して、確実に全面を覆うようにして、シート本体及び補助シートを綺麗に貼付けることが可能となる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、基シートを備え、前記シート本体は、前記基シートに着脱可能に積層されていることを特徴とする。
【0026】
このような構成とすることで、シート本体を、基シートから剥離させながら、ヘッドライトカバーに貼付けることができるため、シート本体の裏面への指紋や埃の付着を防止することが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記補助シートは、前記基シートに着脱可能に積層されていることを特徴とする。
【0028】
このような構成とすることで、シート本体及び補助シートを、基シートから剥離させながら、ヘッドライトカバーに貼付けることができるため、シート本体及び補助シートの裏面への指紋や埃の付着を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ヘッドライトカバーの外形状に合わせて、迅速に貼付けることが可能な、ヘッドライトカバー用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係るヘッドライトカバー用シートを示す図であって、(a)表面図、(b)XX′線部分拡大断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るヘッドライトカバー用シートの貼付け方法を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るヘッドライトカバー用シートの使用例を示す図である。
【0031】
以下、
図1~
図3を用いて、本発明の実施形態に係るヘッドライトカバー用シートについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態に係るヘッドライトカバー用シートを示す。
【0032】
図1に示すように、ヘッドライトカバー用シート1は、ヘッドライトカバーH(
図2、
図3参照)の立体形状を2次元平面に展開したシートであり、基シートBと、基シートBに着脱可能に積層された1枚のシート本体11と、基シートBに着脱可能に積層された一枚の補助シート12を備えている。
シート本体11及び補助シート12は、共に透明性を有し、シート本体11は、その周縁に連設する切り込み部Nと、貼付け用目印Pと、を有している。
【0033】
さらに詳述すれば、シート本体11は、ヘッドライトカバーHに貼付けた際、表面に露出する表層11aと、ヘッドライトカバーHに当接し粘着する粘着層11bと、により構成されている。
補助シート12は、ヘッドライトカバーHに貼付けた際、表面に露出する表層12aと、ヘッドライトカバーHに当接し粘着する粘着層12bと、により構成されている。
【0034】
表層11aは、樹脂製のフィルムが好ましく、透明性を有していればその材質は特に限定されない。
表層11aの材質としては、例えば、塩化ビニル系樹脂組成物、PET等を含有するポリエステル系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物等が挙げられる。
【0035】
粘着層11bは、透明性を有し、ヘッドライトカバーHに貼付けることができるものであれば特に限定されることなく、公知の粘着剤からなるものを用いることができる。
粘着層11bに用いられる粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0036】
切り込み部Nには、シート本体11の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺nが形成されている。また一対の当接辺nは、切っ先に向かうに伴い湾曲するように形成されている。
なお、切り込み部Nは、複数設けられていても良く、補助シート12に設けられていても良い。切り込み部Nが複数設けられていることで、複雑な立体形状を有するヘッドライトカバーに対しても、シート本体を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0037】
貼付け用目印Pは、円形の貫通孔であり、ヘッドライトカバーHの光軸調整用目印Q(
図2、
図3参照)と略同位置に設けられている。
なお、貼付け用目印Pは、必ずしも円形である必要はなく、光軸調整用目印Qの形状に合わせて、三角形や四角形等あらゆる形状を採用し得る。また、貼付け用目印Pは、貫通孔の他、シート本体11表面にシールを貼付ける、点や線等を描画する、といった方法で形成されても良い。
【0038】
図2は、ヘッドライトカバー用シート1の貼付け方法を説明するための図である。
なお、
図2において、ヘッドライトカバーの内部は、波線で示している。
【0039】
図2に示すように、作業者は、シート本体11を基シートBから剥離させた後、光軸調整用目印Qとシート本体11の貼付け用目印Pとを一致させ(矢印a)、シート本体11をヘッドライトカバーHに貼付ける。そして、作業者は、補助シート12を基シートBから剥離させた後、補助シート12の周縁がシート本体11の周縁に当接するように、補助シート12をヘッドライトカバーHに貼付ける。
【0040】
図3は、ヘッドライトカバーHの立体形状に沿って貼付けた際の概略斜視図である。
なお、
図3において、ヘッドライトカバーH及びヘッドライトカバーHを備える車体Wは、波線で示している。
【0041】
図3に示すように、粘着層11bがヘッドライトカバーHの立体形状に沿って当接することで一対の当接辺nが当接する。また、補助シート12の周縁がシート本体11の周縁に当接させることで、ヘッドライトカバー用シート1が、隙間を形成することなく、ヘッドライトカバーHに綺麗に貼付けられる。
【0042】
本実施形態によれば、貼付け始める部位の見極めが不要となり、作業者は、自然とヘッドライトカバーHの外形状に沿って、ヘッドライトカバー用シート1を貼付けることが可能となる。
【0043】
また、貼付けた後、貼付け用目印Pから水や空気を抜くことができるため、施工性が大幅に向上する。
【0044】
また、シート本体11の周縁に連設する切り込み部Nを有していることで、ヘッドライトカバーHの曲面上での皺の発生を防止し、シート本体11を、ヘッドライトカバーHに綺麗に貼付けることが可能となる。
【0045】
また、切り込み部Nに、シート本体11の周縁に向かうに伴い漸次離間する一対の当接辺nが形成されていることで、シート本体11を、ヘッドライトカバーH上に均一な厚みで、かつ隙間をつくることなく貼付けることが可能となる。
【0046】
また、一対の当接辺nが、湾曲していることで、ヘッドライトカバーHの複雑な曲面上での皺の発生を防止し、シート本体11を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0047】
また、シート本体11と別体に構成された補助シート12を三枚備え、各補助シート12の周縁が、シート本体11の周縁に当接可能に構成されていることで、立体形状のヘッドライトカバーHに対して、確実に全面を覆うようにして、シート本体11及び補助シート12を綺麗に貼付けることが可能となる。
【0048】
また、基シートBを備え、シート本体11及び補助シート12が、基シートBに着脱可能に積層されていることで、シート本体11及び補助シート12を、基シートBから剥離させながら、ヘッドライトカバーH′に貼付けることができるため、シート本体11及び補助シート12の裏面への指紋や埃の付着を防止することが可能となる。
【0049】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、シート本体11、補助シート12の外形状は、対象のヘッドライトカバーの形状に応じて、当然に変更可能である。
また、補助シート12の枚数は、一枚に限られず、何枚であっても良い。
また、シート本体11、補助シート12は、必ずしも二層構造である必要はなく、使用状況等に応じて、三層以上の多層構造としても良い。
また、シート本体11のみでヘッドライトカバー用シート1を構成しても良い。
また、補助シート12に貼付け用目印Pが設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
光軸調整用目印は、通常の車であれば設けられているものであるから、本発明は、様々な車のヘッドライトカバーに適用可能な汎用性があり、産業上の利用可能性が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0052】
1 ヘッドライトカバー用シート
11 シート本体
11a 表層
11b 粘着層
N 切り込み部
n 当接辺
12 補助シート
12a 表層
12b 粘着層
B 基シート
P 貼付け用目印
W 車体
H ヘッドライトカバー
Q 光軸調整用目印