IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フォーサイトの特許一覧

特許7127848レコメンドシステムおよびレコメンド方法
<>
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図1
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図2
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図3
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図4
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図5
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図6
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図7
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図8
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図9
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図10
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図11
  • 特許-レコメンドシステムおよびレコメンド方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】レコメンドシステムおよびレコメンド方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20220823BHJP
【FI】
G06Q50/20 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019145241
(22)【出願日】2019-08-07
(62)【分割の表示】P 2018012346の分割
【原出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019192303
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503128216
【氏名又は名称】株式会社フォーサイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-090473(JP,A)
【文献】特開2016-148719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有し、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量によりレベル分けされた選択肢を有する数量アンケート項目が含まれ、
前記推奨行動決定部は、前記数量アンケート項目については、前記対象者が選択した選択肢の数量と前記選択された既受験者が選択した選択肢の数量との差異を行動差異量とし、前記行動差異量が所定の行動変更量上限値を超えていれば前記対象者が選択した選択肢の数量より大きく前記選択された既受験者が選択した選択肢を代表する既受験者代表数量より小さい数量に対応する行動を推奨する
コメンドシステム。
【請求項2】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有し、
前記アンケートには所定期間内の勉強時間を複数レベルに分類する項目があり、
前記推奨行動決定部は、前記対象者が回答したレベルと前記選択された既受験者が回答したレベルとで所定期間内の勉強時間の差異が前記行動変更量上限値を超えていれば、前記対象者が回答したレベルの勉強時間より長く前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間より短い目標勉強時間を推奨し、前記差異が前記行動変更量上限値以下であれば前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間に対応する目標勉強時間を推奨する
コメンドシステム。
【請求項3】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有し、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量で3レベル以上にレベル分けされた選択肢を有するアンケート項目があり、
前記推奨行動決定部は、前記対象者が選択した選択肢に対応する現状レベルと、前記選択された既受験者が選択した選択肢に対応する好適レベルとが2レベル以上異なる場合には、前記現状レベルと前記好適レベルの間にある中間目標レベルに対応する選択肢を推奨行動とする
コメンドシステム。
【請求項4】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータが実行するレコメンド方法であって、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量によりレベル分けされた選択肢を有する数量アンケート項目が含まれ、
前記コンピュータが、前記数量アンケート項目については、前記対象者が選択した選択肢の数量と前記選択された既受験者が選択した選択肢の数量との差異を行動差異量とし、前記行動差異量が所定の行動変更量上限値を超えていれば前記対象者が選択した選択肢の数量より大きく前記選択された既受験者が選択した選択肢を代表する既受験者代表数量より小さい数量に対応する行動を推奨する、
レコメンド方法。
【請求項5】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータが実行するレコメンド方法であって、
前記アンケートには所定期間内の勉強時間を複数レベルに分類する項目があり、
前記コンピュータが、前記対象者が回答したレベルと前記選択された既受験者が回答したレベルとで所定期間内の勉強時間の差異が前記行動変更量上限値を超えていれば、前記対象者が回答したレベルの勉強時間より長く前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間より短い目標勉強時間を推奨し、前記差異が前記行動変更量上限値以下であれば前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間に対応する目標勉強時間を推奨する、
レコメンド方法。
【請求項6】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータが実行するレコメンド方法であって、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量で3レベル以上にレベル分けされた選択肢を有するアンケート項目があり、
前記コンピュータが、前記対象者が選択した選択肢に対応する現状レベルと、前記選択された既受験者が選択した選択肢に対応する好適レベルとが2レベル以上異なる場合には、前記現状レベルと前記好適レベルの間にある中間目標レベルに対応する選択肢を推奨行動とする、
レコメンド方法。
【請求項7】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータに実行させるためのレコメンドプログラムであって、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量によりレベル分けされた選択肢を有する数量アンケート項目が含まれ、
前記数量アンケート項目については、前記対象者が選択した選択肢の数量と前記選択された既受験者が選択した選択肢の数量との差異を行動差異量とし、前記行動差異量が所定の行動変更量上限値を超えていれば前記対象者が選択した選択肢の数量より大きく前記選択された既受験者が選択した選択肢を代表する既受験者代表数量より小さい数量に対応する行動を推奨する、ことを前記コンピュータに実行させる、
レコメンドプログラム。
【請求項8】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータに実行させるためのレコメンドプログラムであって、
前記アンケートには所定期間内の勉強時間を複数レベルに分類する項目があり、
前記対象者が回答したレベルと前記選択された既受験者が回答したレベルとで所定期間内の勉強時間の差異が前記行動変更量上限値を超えていれば、前記対象者が回答したレベルの勉強時間より長く前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間より短い目標勉強時間を推奨し、前記差異が前記行動変更量上限値以下であれば前記選択された既受験者が回答したレベルの勉強時間に対応する目標勉強時間を推奨する、ことを前記コンピュータに実行させる、
レコメンドプログラム。
【請求項9】
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択し、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答とに基づき、前記対象者と前記選択された既受験者の間の行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の行動を前記選択された既受験者の行動に近づける前記対象者への推奨行動を決定する、
ことをコンピュータに実行させるためのレコメンドプログラムであって、
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量で3レベル以上にレベル分けされた選択肢を有するアンケート項目があり、
前記対象者が選択した選択肢に対応する現状レベルと、前記選択された既受験者が選択した選択肢に対応する好適レベルとが2レベル以上異なる場合には、前記現状レベルと前記好適レベルの間にある中間目標レベルに対応する選択肢を推奨行動とする、ことを前記コンピュータに実行させる、
レコメンドプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験合格のための生活改善を提案する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高校入試、大学入試、国家資格試験、その他、様々な試験がある。受験者は試験に合格するために試験勉強を行う。難易度の高い試験では、多くの知識を習得する必要があり、長期にわたる試験勉強が必要な場合もある。その場合、勉強の内容や方法、更には生活も試験勉強に合わせて改善し、勉強の効率を上げることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、ユーザによる知識の習得を支援する情報処理装置が開示されている。具体的には、学習対象のコンテンツに対するユーザのフィードバックを取得し、フィードバックをクラスタ毎に集計した結果に基づく協調フィルタリングを用いて、ユーザに学習対象のコンテンツを推薦することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、各種教科に関してコンピュータを用いて学習するための学習支援システムが開示されている。具体的には、学習履歴に基づく協調フィルタリングを用いることによって、再出題の対象となる対象学習問題に類似する類似問題、又は、再出題が為される対象学習者に類似する類似学習者を推定し、当該推定した類似問題、類似学習者及びその双方に基づいて、対象学習者に対象問題を再度出題するタイミング、すなわち、次に学習すべき時期(インターバル)を決定し、当該決定されたタイミングに基づいて対象問題を対象学習者に提供することが記載されている。
【0005】
特許文献3には、健康管理の提案を生成するシステムにおいて、ユーザに対する個人向けの健康管理アドバイスおよび指導を提供する上での問題を、クラウドソーシングおよび協調フィルタリングを使用することにより解決し、健康管理関連の提案コンテンツを生成する技術が記載されている。具体的には、健康管理の質問を生成してウェブサイトフォーラム上に投稿し、フォーラムユーザから応答を求め、健康管理の質問に対する応答をウェブサイトフォーラム上で監視し、健康管理の質問に対処する提案された解決策を、投稿された健康管理の質問に対する応答に基づいて生成することが記載されている。
【0006】
特許文献4には、情報処理端末を用いた学習を支援する学習支援システムにおいて、各生徒識別情報に、所定期間における学習履歴に関する履歴情報及び志望校における合否情報を少なくとも関連付けた生徒関連情報を記憶しておき、入力された志望校に関する情報を受け付け、認証された生徒の履歴情報と、受け付けられた情報に基づく志望校を志望した過去の生徒の履歴情報とを比較し、履歴情報の比較結果に基づいて、「良いペースだ」、「もう少し頑張れ」、「国語、理科は順調!算数(又は数学)の問題をもっと解いて!」などのフィードバックを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】再公表2014-17164号
【文献】特開2015-69160号公報
【文献】特開2016-184403号公報
【文献】特開2016-148719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された技術は、学習のための教材などを推薦するものであり、行動の改善を提案するものではない。特許文献2に開示された技術は、学習履歴に基づく協調フィルタリングによって問題や学習者のモデル化を行い、これに基づいて問題を出題するタイミングを決定するものであり、行動の改善を提案するものではない。特許文献3に開示された技術は、健康管理の質問に対する回答を協調フィルタリングによってモデル化し、それに基づく解決策を提案するものであり、試験合格のための行動の改善を提案するものではない。
【0009】
特許文献4に開示された技術は、対象者の学習状況を合格者の学習状況の履歴と対比し、対象者に学習行動に関するフィードバックを行うものである。対象者の学習状況を、例えば、同じ学校で同じ部活の先輩、同じバイトの先輩、可処分時間の時間帯が同様の先輩など、対象者と同様の境遇の先輩合格者の学習状況と比較する。
【0010】
しかしながら、同様の境遇にいても対象者と先輩合格者の学習や生活の行動の状況がかけ離れていることもあり得る。かけ離れた先輩合格者の状況に基づくアドバイスは、対象者に大きな行動の変更を要求するものとなる可能性がある。大きな変更を要求した場合、対象者がそれを実行できなければアドバイスの効果は得られない。更に、アドバイスを実行できなかったことによる対象者への心理的な悪影響の恐れもある。
【0011】
本発明の目的は、対象者の現状を考慮した行動の推奨を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様に従うレコメンドシステムは、所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、1人以上の既受験者が属するグループであり、そのグループに属する既受験者の回答が対象者による回答に類似し試験結果が特定試験結果であるグループを抽出する既受験者選択部と、対象者の回答と抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者に対する推奨行動を決定する推奨行動決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象者の現状を考慮した行動の推奨が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1によるレコメンドシステムのブロック図である。
図2】実施例1によるレコメンドシステムが実行する事前処理のフローチャートである。
図3】実施例1によるレコメンドシステムが利用するアンケートの一例を示す図である。
図4】アンケートに対する回答をダミーコーディングした結果の一例を示す図である。
図5】アンケートに対する回答を集計した結果の一例を示す図である。
図6】実施例1によるレコメンドシステムが実行するリアルタイム処理のフローチャートである。
図7】実施例1による優先度情報の一例を示す図である。
図8】実施例1による推奨行動決定処理を示すフローチャートである。
図9】実施例1によるレコメンドシステム10のハードウェア構成を示す図である。
図10】実施例1によるレコメンドシステムの画面表示例を示す図である。
図11】実施例2によるレコメンドシステムが実行するリアルタイム処理のフローチャートである。
図12】実施例2によるレコメンドシステムの画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1によるレコメンドシステムのブロック図である。本レコメンドシステム10は、国家試験、技能検定、入学試験、学力検査など、所定の試験(以下「対象試験」という)を受験しようとしているユーザを対象者20とし、その対象者20にアンケートへの回答を求め、得られたアンケートへの回答に基づき、例えば試験合格のために対象者20が実行すべき好ましい行動を抽出し、提示するシステムである。本レコメンドシステム10は、その対象試験を過去に受験した複数の既受験者から得られたアンケート結果をデータベースとして蓄積しており、対象者20のアンケートへの回答とデータベースに蓄積された過去の受験者のアンケート結果に基づいて対象者20への推奨行動を決定する。
【0017】
図1を参照すると、レコメンドシステム10は、対象者情報取得部11、推奨行動決定部12、既受験者選択部13、およびアンケート結果データベース14を有している。
【0018】
アンケート結果データベース14は、対象試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データを蓄積している。
【0019】
対象者情報取得部11は、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含む、既受験者からアンケート結果が得られているのと同様のアンケートへの回答を対象者20に求め、対象者20のアンケートへの回答を取得する。
【0020】
既受験者選択部13は、アンケート結果データベース14に蓄積されているアンケート結果データに基づき、1人以上(通常は複数)の既受験者が属するグループであり、そのグループに属する既受験者の回答が対象者20による回答に類似し試験結果が特定試験結果であるグループを抽出する。
【0021】
推奨行動決定部12は、対象者20の回答と抽出されグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に対する推奨行動を決定する。差異には、差分(引き算)の他、比率(割り算)も含まれる。ここでは差分を例として説明を行う。
【0022】
対象者20と大きく異なる回答をした既受験者の回答に基づいて対象者20への推奨行動を抽出すると推奨行動が過度になる可能性があるが、本実施例のレコメンドシステム10によれば、特定試験結果を得られ、回答が対象者20と類似する既受験者のグループを抽出し、その回答に基づいて対象者20への推奨行動を決定するので、対象者20の状況を考慮して過度な行動変更の要求となるのを抑制しつつ、特定試験結果を得るのに好適な行動を推奨することができる。
【0023】
なお、ここでいう試験結果は、例えば、対象試験の合格/不合格、対象試験の得点などである。本実施例では、特定定試験結果とは、例えば、合格や合格率が高い、得点が高いといった、望ましい試験結果である。その場合、対象者20の回答と抽出されグループに属する既受験者の回答との差異を低減させるような行動を対象者20に対する推奨行動とすればよい。
【0024】
既受験者の合格率が高いというのは、既受験者の合格率が所定合格率閾値以上、あるいは抽出されたグループに属さない既受験者と比べて相対的に高い、など、望ましい合格率であることをいう。また、得点が高いというのは、得点が所定得点閾値を超えている、抽出されたグループに属さない既受験者と比べて得点が相対的に高い、など、望ましい得点を得ることをいう。グループとしての得点は、グループに属する既受験者の平均点、グループに属する既受験者の最低点、全員の合計得点、などを含む。回答が類似するというのは何等かの手法で算出される類似度が所定値以上あるいは相対的に高いことをいう。例えば、コサイン類似度が所定値以上のことをいう。
【0025】
例えば、既受験者選択部13は、属する既受験者の合格率が高くその既受験者の回答が対象者20による回答に類似するグループを抽出し、推奨行動決定部12は、対象者20の回答と抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に実行することを推奨する推奨行動を決定する。合格率が高く回答が対象者20の回答と類似するグループの回答に基づいて対象者20へ実行を推奨する行動を決定するので、対象者20に過度な行動変更の要求するのを抑制しつつ、合格率を上げるために実行すべき行動を決定することができる。
【0026】
以下、実施例1によるレコメンドシステム10が実行する各処理について説明する。
【0027】
レコメンドシステム10が実行する処理には、対象試験の既受験者から得られたアンケート結果を基に事前に実行する事前処理と、対象者20の操作に応じてリアルタイムで実行するリアルタイム処理とがある。
【0028】
(事前処理)
図2は、実施例1によるレコメンドシステムが実行する事前処理のフローチャートである。事前処理は、複数の既受験者からアンケートに対する回答が得られた状態であれば実行可能である。
【0029】
図2を参照すると、レコメンドシステム10は、ステップS101にて、既受験者選択部13により既受験者のアンケート結果を用いて関連項目抽出処理を実行する。
【0030】
図3は、実施例1によるレコメンドシステムが利用するアンケートの一例を示す図である。図3を参照すると、アンケートA1には、複数のアンケート項目A11が含まれ、各アンケート項目A11には複数の選択肢A12がある。図3の例では、1つのアンケート項目A11に最大5個の選択肢A12がある。例えば、最初のアンケート項目A11は「性別は?」という質問であり、その選択肢として、「男」という回答と「女」という回答とがある。図3の例では「女」と回答がされている。アンケート項目A11は、いずれか1つの選択肢を選択することを求めるものであっても良いし、複数の選択肢を選択することが許容されるものであってもよい。
【0031】
アンケート結果は統計処理が可能なようにダミーコーディングし、それをさらに集計し、ダミーコーディング結果と集計結果がアンケート結果データベース14に蓄積してある。
【0032】
図4は、アンケートに対する回答をダミーコーディングした結果の一例を示す図である。各選択肢に対して2値のダミー変数が付与されている。ダミー変数は、その選択肢が選択された場合に1とし、その選択肢が選択されなかった場合に0とする。例えば、図4において、アンケート項目1には選択肢1-1~1-5という5個の選択肢があり、その中で選択肢1-2のみが選択されている。
【0033】
図5は、アンケートに対する回答を集計した結果の一例を示す図である。ここでは、ロジスティック回帰L1正則化を行い、試験の合否と関連するアンケート項目のみを抽出し、集計する。具体的には、全ての選択肢の値が0となったアンケート項目を除外し、残ったアンケート項目を関連項目とし、関連項目のデータを集計する。
【0034】
ここでは残ったアンケート項目の選択肢をアイテムとし既受験者をユーザとして、アンケートに対する回答をユーザとアイテムのマトリクスとして集計している。図5を参照すると、アンケートの集計結果であるアンケート結果データAD1は、各既受験者1~Nのそれぞれについて、各選択肢1-1~m-5のそれぞれを選択したか否かが示されている。
【0035】
図2に戻り、レコメンドシステム10は、ステップS102にて、既受験者選択部13によりグループ分け処理を実行する。
【0036】
図5に例示したアンケート結果データAD1(ユーザアイテムマトリクス)に基づき各既受験者間の類似度を算出し、類似度の高い既受験者同士をグループ化することで、既受験者を複数のグループに分ける。類似度としては例えばコサイング類似度を用いることができる。また、グループ間で、そのグループに属する既受験者の人数に大きなばらつきが生じないように、1つのグループに属する既受験者の人数には上限を設けてもよい。
【0037】
なお、ここでは既受験者選択部13が事前処理を実行する例を示したが、オペレータが手動で事前処理を行ってもよいし、既受験者選択部13がオペレータの操作入力に応じて事前処理を実行してもよい。
【0038】
実施例1によるレコメンドシステム10は以上の事前処理が完了した状態で対象者20の操作を受け付け、操作入力に応じてリアルタイム処理を実行する。
【0039】
図6は、実施例1によるレコメンドシステムが実行するリアルタイム処理のフローチャートである。
【0040】
図6を参照すると、レコメンドシステム10は、まず、ステップS201にて、対象者情報取得処理を実行する。対象者情報取得処理は、アンケートのアンケート項目および選択肢を対象者20に提示して回答を促し、対象者20によるアンケート項目に対する回答を取得する処理である。対象者20に提示するアンケートは図3に例示したものと同様であり、対象者20による回答は、図4に示したものと同様にダミーコーディングされる。
【0041】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS202にて、既受験者選択処理を実行する。既受験者選択処理とは、既受験者選択部13が、アンケート結果データベース14に蓄積されているアンケート結果データに基づき、そのグループに属する既受験者の回答が対象者20による回答に類似し試験結果が特定試験結果であるグループを抽出する処理である。類似度としては例えば上述したコサイン類似度を用いることができる。
【0042】
グループの選択方法としては、所定のグループ評価式に基づき評価値の高いグループを選択するという方法を用いる。全グループのグループ評価値を算出し、グループ評価値が最大のグループを選択する。
【0043】
グループ評価式として例えば以下の式を用いることができる
【0044】
(グループ評価値)=(l×(平均類似度)+m×(合格率))/(l+m)
平均類似度は、グループ内の各既受験者と対象者20とのコサイン類似度の平均値であり、グループと対象者20との類似度を表す。合格率は、グループに属する既受験者に示す合格者の割合であり、特定試験結果の尺度である。
【0045】
l,mは平均類似度と合格率のそれぞれの重みである。グループ評価式は、l,mにより重みづけした平均類似度と合格率の加重平均を算出する式である。平均類似度および合格率はそれぞれ標準化した値を用いる。
【0046】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS203にて、推奨行動決定処理を実行する。推奨行動決定処理とは、推奨行動決定部12が、対象者20の回答と抽出されグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に対する推奨行動を決定する処理である。対象者20の回答と抽出されグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に対する推奨行動を決定する処理である。本実施例では、特定試験結果として試験結果が良好なグループ、具体的には合格率が高いグループを選択しているので、そのグループに属する既受験者の回答と対象者20の回答との差異を低減するような行動を推奨行動とすればよい。例えば、選択したグループに属する既受験者の多くが選択している選択肢を対象者20が選択していなければ、その選択肢を選択することになるような行動、すなわちその選択肢の行動を推奨すればよい。
【0047】
このとき、推奨行動決定部12は、対象者20をターゲットユーザとし抽出されたグループの既受験者を類似ユーザとし、アンケート結果データベース14にデータが集計されているアンケート項目の選択肢をそれぞれアイテムとする協調フィルタリングを実行する。なお、全ての選択肢の値が0となったアンケート項目を除外し、残ったアンケート項目のデータを集計してある。それにより、推奨行動決定部12は、各選択肢(アイテム)について、当該選択肢を対象者20への推奨が適切である度合いを示す評価値を算出することができる。推奨行動決定部12は、対象者が選択していない選択肢のうち評価値が高い選択肢を推奨行動とすればよい。アンケート項目の選択肢をアイテムとした協調フィルタリングにより評価値を算出し、評価値に基づいて推奨行動を決定するので、対象者が特定試験結果に近いグループの既受験者との差を埋めるのにどのような行動をすればよいかを容易に判断することができる。
【0048】
協調フィルタリングにより算出される評価値は、既受験者(類似ユーザ)が選択した選択肢は評価値を1とし、対象者20(ターゲットユーザ)の評価値を推定したものである。この推定評価値をその選択肢の評価値とし、評価値の高い選択肢を推奨行動とする。多くの既受験者が1としているので、対象者が1とすれば、よりそのグループの既受験者と類似度が上がる。合格率の高いグループの既受験者との類似度が上がるということは、対象者20が合格に近づくと想定される。
【0049】
推奨行動決定処理については、より詳細を後述する。
【0050】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS204にて、推奨行動順位付け処理を実行する。推奨行動順位付け処理とは、推奨行動決定部12が、ステップS103で決定した推奨行動に順位付けする処理である。対象者20への推奨する度合いが高い順に推奨行動を順位付けすればよい。例えば、上記協調フィルタリングで算出された評価値が高い順に推奨行動を順位付けしてもよい。多くの既受験者が選択した選択肢が高い評価値となり、順位の高い推奨行動となる。
【0051】
またこのとき、推奨行動決定部12は、所定の教育ポリシに従って推奨順位を調整してもよい。教育ポリシとして、受験指導の経験などから得られた教育上の配慮を加えることが考えられる。ここでは、教育ポリシとして、実行しやすい行動を優先する、効果が高いことが想定される行動を優先する、などという教師の実経験などに基づいて、各アンケート項目の各選択肢の優先度を予め設定しておく。推奨行動決定部12は、選択肢の評価値と優先度に基づいて推奨行動の推奨順位を決定する。例えば、優先度を、優先度が高いほど大きな値となる係数で表現し、協調フィルタリングで算出された選択肢の評価値とその選択肢の優先度とを乗算し、得られた結果をその選択肢の評価値としてもよい。図7は、実施例1による優先度情報の一例を示す図である。図7を参照すると、優先度情報D1には、各選択肢の優先度を示す係数が例示されている。評価値にこの係数を乗算した値で順位を定めればよい。
【0052】
協調フィルタリングの評価値による順位を教育ポリシで調整して推奨行動を推奨するので教育上の配慮を加味して推奨行動を順位づけることにより、より効果的に対象者の行動を改善することが可能となる。
【0053】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS205にて、推奨行動提示処理を実行する。推奨行動提示処理とは、推奨行動決定部12が、ステップS204で順位付けした推奨行動を対象者20に提示する処理である。
【0054】
本実施例では、試験結果は、グループ分けには考慮せず、グループを選択するときに考慮する。既受験者選択部13は、アンケートの回答が互いに類似する既受験者の複数のグループを作成し、複数のグループの中から、当該グループに属する既受験者の回答が前記対象者による回答に類似し試験結果が特定試験結果と同じまたは近似するグループを選択する。
【0055】
一例として、既受験者選択部13は、当該グループに属する既受験者のうち合格者の割合である合格率と、当該グループに属する既受験者の回答と対象者20の回答の類似度との加重平均を評価指標として、複数のグループの中から対象者20への推奨行動を抽出するグループを選択する。
【0056】
なお、推奨行動決定部12は、合格率と平均類似度のそれぞれの重みをオペレータの入力により変更可能とし、合格率と平均類似度の関係を可視化して表示し、入力に従って重みを決定することにしてもよい。
【0057】
本実施例の変形例として、試験結果をグループ分けにも考慮することしてもよい。その場合、既受験者選択部13は、試験結果が同じあるいは近似し、回答が互いに類似する既受験者の複数のグループを作成し、複数のグループの中から、当該グループに属する既受験者の回答が対象者20による回答に類似し試験結果が特定試験結果と同じまたは近似するグループを選択することにすればよい。その際、既受験者を類似度だけでなく試験結果も考慮して、より多くのグループに細分化することにしてもよく、グループ内の既受験者数を十分に確保できる程度の総既受験者数がある場合に好適である。
【0058】
図8は、実施例1による推奨行動決定処理を示すフローチャートである。
【0059】
まず、レコメンドシステム10は、ステップS301にて、推奨行動決定部12により、選択されたグループの既受験者および対象者20のアンケート結果を用い、対象者20をターゲットユーザとし、選択されたグループの既受験者を類似ユーザとし、アンケート結果データベース14にデータが集計されている全てのアンケート項目の全ての選択肢をそれぞれアイテムとする協調フィルタリングの処理を実行する。
【0060】
このとき、対象者20への推奨が適切である度合いを評価しようとする選択肢に対する対象者20の回答をブランクにしてその選択肢の推奨度合いの評価値を算出する。この処理を各アンケート項目の各選択肢についてそれぞれ実行し、各アンケート項目の各選択肢の評価値をそれぞれ算出する。これにより、推奨行動決定部12は、各選択肢(アイテム)について、当該選択肢を対象者20への推奨が適切である度合いを示す評価値を算出することができる。
【0061】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS302にて、推奨行動決定部12により、評価値と対象者20の回答との差異が大きい項目を抽出する。ここでは一例として、対象者20の回答においてその選択肢が選択されておらず、評価値が高い選択肢を抽出すればよい。すなわち、選択されなかった選択肢のダミー変数が0なので、評価値が高い項目を抽出すればよい。
【0062】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS303にて、ステップS304~308の処理を、抽出された選択肢のそれぞれを対象として繰り返す。
【0063】
ステップS304では、レコメンドシステム10は、推奨行動決定部12により、対象の選択肢が行動アンケート項目の選択肢であるか否か判定する。
【0064】
アンケート項目には、回答者の属性を問うアンケート項目である属性アンケート項目と、回答者の行動を問う項目である行動アンケート項目とが含まれている。属性アンケート項目は、性別、年齢、など、容易には意図的に変更することができない事項を問うアンケート項目である。行動アンケート項目は、勉強時間、勉強の時間帯、マーカを使うかどうか、など、比較的容易に意図的に変更できる事項を問うアンケート項目である。行動アンケート項目では、行動に関する選択肢が提示され、回答者は自身の行動が該当する選択肢を選択する。
【0065】
対象の選択肢が行動アンケート項目の選択肢でなければ、対象を次の選択肢に移行する。対象の選択肢が行動アンケート項目の選択肢であれば、レコメンドシステム10は、ステップS305にて、推奨行動決定部12により、その選択肢が数量アンケート項目であるか否か判定する。数量アンケート項目とは、所定の行動に関連する数量によりレベル分けされた選択肢を有するアンケート項目である。例えば、1日の勉強時間、過去問反復回数、復習回数などである。対象の選択肢が数量アンケート項目の選択肢でなければ、レコメンドシステム10は、ステップS306にて、推奨行動決定部12により、その選択肢に相当する行動を推奨行動とする。
【0066】
対象の選択肢が数量アンケート項目の選択肢であれば、レコメンドシステム10は、ステップS307にて、対象の選択肢が示す数量と、対象者20が選択した選択肢が示す数量との差異(行動差異量)を算出し、その行動差異量が所定の閾値(行動変更量上限値)以下か否か判定する。行動差異量が行動変更量上限値以下であれば、レコメンドシステム10は、ステップS306に進み、その対象の選択肢に相当する行動を推奨行動とする。一方、行動差異量が行動変更量上限値を超えていれば、レコメンドシステム10は、ステップS308に進み、対象者20が選択した選択肢の数量と、対象の選択肢の数量との間にある数量に相当する行動を推奨行動とする。上述したように、差異には、差分(引き算)の他、比率(割り算)も含まれる。差分の場合、例えば、1日の勉強時間を、現在の1時間から、5時間に増やすなら、行動差異量は4時間となる。比率の場合、例えば、1日の勉強時間を、現在の1時間から、5時間に増やすなら、行動差異量は5倍となる。
【0067】
本処理は、対象者20が選択した選択肢の数量と、グループに属する既受験者が選択した選択肢を代表する数量(既受験者代表数量)との間にある数量に対応する行動を推奨することに相当する。既受験者代表数量は、選択された既受験者のそれぞれが選択した選択肢を全体として代表する数量(例:平均値)である。既受験者代表数量は、演算により明示的に算出してもよいし、算出しなくてもよい。対象者と既受験者との回答の類似度により間接的に考慮して、推奨する行動の数量を決めればよい。
【0068】
また、数量アンケート項目の選択肢の数量が数値範囲で表現されているものであれば、その数値範囲にある値(例えば、最小値、最大値、中央値など)を用いて上記演算を行うことにしてもよい。
【0069】
ここで説明したように、本実施例では、既受験者選択部13は、属性アンケート項目と行動アンケート項目とを含めて回答の類似を判断するが、推奨行動決定部12は、行動アンケート項目の選択肢の中から推奨行動とする選択肢を決定する。アンケート項目を属性に関する項目と行動に関する項目に分け、既受験者および対象者の類似性は行動だけでなく属性も含めて判断し、推奨行動は行動に関するアンケート項目から生成するので、類似判断の精度と推奨行動の適切さを両立させることができる。類似性については属性を含めて適切に判断し、推奨行動については容易に変更できない属性の変更が推奨されるのが防止される。
【0070】
なお、本実施例では、教育ポリシとして、内容としては行動アンケート項目に入るが推奨行動としたくない選択肢は予め推奨除外選択肢としておいてもよい。推奨行動決定部12は、行動アンケート項目の選択肢のうち推奨除外選択肢でない選択肢の中から推奨行動とする選択肢を決定すればよい。推奨除外選択肢は、過去の経験やノウハウに基づいて予め定めておけばよい。
【0071】
また、本実施例によれば、推奨行動決定部12は、対象者20の回答と、抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づき、対象者20の回答を抽出されたグループに属する既受験者の回答に近づける中間レベルの行動を対象者への推奨行動とすることができる。対象者20の行動とグループの回答の行動との差異を考慮して推奨する行動を決定するので、差異が大きかったとしても行動を過度に変化させることを推奨するのを抑制することができる。
【0072】
図9は、実施例1によるレコメンドシステム10のハードウェア構成を示す図である。本実施例では、レコメンドシステム10はインターネット等の通信ネットワーク経由でパーソナルコンピュータやスマートホン等の端末装置38から利用可能である。対象者20は、端末装置38上のブラウザ39を用いてレコメンドシステム10に接続し、そのサービスを利用する。
【0073】
レコメンドシステム10は、ハードウェアとして、処理装置31、メインメモリ32、記憶装置33、通信装置34、入力装置35、および表示装置36を有し、それらがバス37に接続されている。
【0074】
記憶装置33は、書込みおよび読み出しが可能にデータを記憶するものであって、この記憶装置33によって、図1に示したアンケート結果データベース14が実現される。処理装置31は、記憶装置33に記憶されたデータをメインメモリ32に読み出し、メインメモリ32を利用してソフトウェアプログラムの処理を実行するプロセッサである。処理装置31によって、図1に示した対象者情報取得部11、推奨行動決定部12、および既受験者選択部13が実現される。通信装置34は、処理装置31にて処理された情報を有線または無線あるいはそれら両方を含む通信ネットワーク90を介して送信し、また通信ネットワーク90を介して受信した情報を処理装置31に伝達する。受信した情報は処理装置31にてソフトウェアの処理に利用される。入力装置35は、キーボードやマウスなどオペレータによる操作入力による情報を受け付ける装置であり、入力された情報は処理装置31にてソフトウェア処理に利用される。例えば、アンケート結果は通信装置34や入力装置35を介して記憶装置33に入力される。表示装置36は、処理装置31によるソフトウェア処理に伴って画像やテキストの情報をディスプレイ画面に表示する装置である。
【0075】
図10は、実施例1によるレコメンドシステムの画面表示例を示す図である。図10には、端末装置38に表示される画面39が示されている。本画面40は、アンケートに回答した対象者20対して推奨行動を提示する画面である。画面40には、対象者20が入力したアンケートに対する回答と、対象者20の受験生活レベルと、対象者20に対する推奨行動とが示されている。対象者20への推奨行動は対象者20が入力したアンケート回答に基づいて上述の手法で抽出されたものである。推奨行動決定部12は、例えば、対象者20のアンケート回答と、上述の手法で選択されたグループに属する既受験者のアンケート回答とのトータルの類似度に基づいて受験生活レベルを判定すればよい。また、画面40には「合格者のアンケート回答はこちら」というスイッチが設けられている。本スイッチがクリックされると、既受験者選択部13は、対象者20に類似するグループに属する既受験者のうち合格者のアンケート回答を表示する。
【実施例2】
【0076】
実施例1では、対象者20に対して、実施することが好ましい推奨行動を提示するレコメンドシステムを例示した。これに対し、実施例2では、対象者20に対して、実施することが好ましい推奨行動と、実施しないことが好ましい逆推奨行動とを提示するレコメンドシステムを例示する。
【0077】
実施例2によるレコメンドシステムの基本的な構成は、図1に示した実施例1のものと同様である。また、実施例2によるレコメンドシステムのハードウェア構成は、図9に示した実施例1のものと同様である。
【0078】
実施例2では、既受験者選択部13は、既受験者の試験結果が良好であり既受験者のアンケート回答が対象者20によるアンケート回答に類似する第1グループと、既受験者の試験結果が不良であり既受験者のアンケート回答が対象者20によるアンケート回答に類似する第2グループとを抽出する。推奨行動決定部12は、対象者20と第1グループの既受験者のアンケート回答との差異に基づいて対象者20に実行することを推奨する第1推奨行動を決定し、対象者20と第2グループの既受験者のアンケート回答との差異に基づいて対象者20に実行しないことを推奨する第2推奨行動を決定する。これによれば、対象者20と類似するグループの既受験者のアンケート回答に基づいて対象者20へ実行あるいは非実行を推奨する行動を決定するので、対象者20に過度な行動変更の要求するのを抑制しつつ、実行すべき行動と、実行すべきでない行動との両方を対象者に提示することができる。なお、ここで、試験結果が良好とは、合格、合格率が高い、得点が高い、など好ましい試験結果が得られることをいう。試験結果が不良とは、不合格、合格率が低い、得点が低い、など好ましくない試験結果が得られることをいう。
【0079】
第1推奨行動は、実施例1における推奨行動と同様のものであるため、推奨行動決定部12は、第1グループの既受験者のアンケート回答に基づいて、実施例1と同様の手法で決定することができる。
【0080】
第2推奨行動については、推奨行動決定部12は、実施例1と同様の手法で、第2グループの既受験者のアンケート回答に基づいて決定してもよい。試験結果が不良のグループの既受験者のアンケート回答と対象者20のアンケート回答とを用いて実施例1と同様に協調フィルタリングを実行し、対象者20と試験結果が不良のグループの既受験者との差異が小さくなる行動を抽出し、その行動を第2推奨行動とすればよい。対象者20と試験結果が不良のグループの既受験者との差異が小さくなる行動は、協調フィルタリングによる評価値が所定値以上であり、かつ、対象者20が選択していない選択肢を抽出することで判断することができる。
【0081】
実施例2による事前処理は、図2に示した実施例1のものと同じである。
【0082】
図11は、実施例2によるレコメンドシステムが実行するリアルタイム処理のフローチャートである。実施例2によるリアルタイム処理は、既受験者選択処理、推奨行動決定処理、および推奨行動順位付け処理を第1推奨行動および第2推奨行動のそれぞれについて実行し、第1推奨行動および第2推奨行動を提示する点で異なる。
【0083】
図11を参照すると、レコメンドシステム10は、実施例1と同様に、まずステップS201にて対象者情報取得処理を実行する。
【0084】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS401にて、第1推奨行動抽出処理を実行する。第1推奨行動抽出処理は、第1推奨行動について、既受験者選択処理、推奨行動処理、および推奨行動順位付け処理を実行する処理である。ステップS401では行う既受験者選択処理、推奨行動処理、および推奨行動順位付け処理は、図6に示した実施例1の既受験者選択処理S202、推奨行動処理S203、および推奨行動順位付け処理S204と同様である。
【0085】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS402にて、第2推奨行動抽出処理を実行する。第2推奨行動抽出処理は、第2推奨行動について、既受験者選択処理、推奨行動決定処理、および推奨行動順位付け処理を実行する処理である。
【0086】
ステップS402で行う既受験者選択処理は、そのグループに属する既受験者の回答が対象者20による回答に類似し試験結果が不良であるグループを抽出する点で図6に示したステップS202の処理と異なる。
【0087】
グループの選択方法としては、以下のグループ評価式に基づき評価値の高いグループを選択するという方法を用いる。全グループのグループ評価値を算出し、グループ評価値が最大のグループを選択する
【0088】
(グループ評価値)=(l×(平均類似度)+m×(不合格率))/(l+m)
平均類似度は、グループ内の各既受験者と対象者20とのコサイン類似度の平均値であり、グループと対象者20との類似度を表す。不合格率は、グループに属する既受験者に示す不合格者の割合であり、特定試験結果の尺度である。
【0089】
l,mは平均類似度と不合格率のそれぞれの重みである。グループ評価式は、l,mにより重みづけした平均類似度と不合格率の加重平均を算出する式である。平均類似度および不合格率はそれぞれ標準化した値を用いる。
【0090】
ステップS402で行う推奨行動決定処理は、対象者20の回答と抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に対する第2推奨行動を決定する処理である。対象者20の回答と抽出されグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、対象者20に対する第2推奨行動を決定する。試験結果が不良なグループ、具体的には合格率が低いグループを選択しているので、そのグループに属する既受験者の回答と対象者20の回答との差異を低減するような行動を第2推奨行動(実行しないことを推奨する行動)とすればよい。
【0091】
このとき、推奨行動決定部12は、対象者20をターゲットユーザとし抽出されたグループの既受験者を類似ユーザとし、アンケート結果データベース14にデータが集計されているアンケート項目の選択肢をそれぞれアイテムとする協調フィルタリングを実行する。なお、全ての選択肢の値が0となったアンケート項目を除外し、残ったアンケート項目のデータを集計してある。それにより、推奨行動決定部12は、各選択肢(アイテム)について、当該選択肢を対象者20への逆推奨が適切である度合いを示す評価値を算出することができる。逆推奨は、実行しないことを推奨することである。推奨行動決定部12は、対象者が選択していない選択肢のうち評価値が高い選択肢を第2推奨行動とすればよい。
【0092】
協調フィルタリングにより算出される評価値は、既受験者(類似ユーザ)が選択した選択肢は評価値を1とし、対象者20(ターゲットユーザ)の評価値を推定したものである。この推定評価値をその選択肢の評価値とし、評価値の高い選択肢を第2推奨行動とする。多くの既受験者が1としているので、対象者が1とすれば、よりそのグループの既受験者と類似度が上がる。不合格率の高いグループの既受験者との類似度が上がるということは、対象者20が不合格に近づくと想定される。
【0093】
ステップS402で行う推奨行動順位付け処理は、実行しないことを推奨する第2推奨行動を、実行しないことを推奨する度合い(やらない方がよい度合い)により順位付ける処理である。例えば、協調フィルタリングで算出された評価値が高い順に第2推奨行動を順位付けしてもよい。多くの既受験者が選択した選択肢が高い評価値となり、順位の高い第2推奨行動となる。またこのとき、推奨行動決定部12は、所定の教育ポリシに従って推奨順位を調整してもよい。
【0094】
次に、レコメンドシステム10は、ステップS403にて推奨行動提示処理を実行する。ステップS403における推奨行動提示処理は、推奨行動決定部12が、ステップS401で順位付けした第1推奨行動と、ステップS402で順位付けした第2推奨行動と、を対象者20に提示する処理である。
【0095】
図12は、実施例2によるレコメンドシステムの画面表示例を示す図である。図12には、端末装置38に表示される画面40が示されている。本画面40は、アンケートに回答した対象者20に対して第1推奨行動および第2推奨行動を提示する画面である。画面40には、対象者20が入力したアンケートに対する回答と、対象者20の受験生活レベルと、対象者20に対する第1推奨行動及び第2推奨行動とが示されている。また、画面40には「合格者のアンケート回答はこちら」というスイッチと「合格者のアンケート回答はこちら」というスイッチとが設けられている。「合格者のアンケート回答はこちら」というスイッチがクリックされると、既受験者選択部13は、対象者20に類似するグループに属する既受験者のうち合格者のアンケート回答を表示する。「不合格者のアンケート回答はこちら」というスイッチがクリックされると、既受験者選択部13は、対象者20に類似するグループに属する既受験者のうち合格者のアンケート回答を表示する。
【0096】
なお、本実施例では、第2推奨行動を第1推奨行動の決定する処理から独立した処理により決定する例を示したが、他の例も可能である。例えば、推奨行動決定部12は、まず、上述と同様にして対象者20と第1グループの既受験者のアンケート回答との差異に基づいて対象者20に実行することを推奨する第1推奨行動を決定し、続いて、その第1推奨行動に対応する選択肢と同じアンケート項目において、対象者20が選択した選択肢が第2グループの既受験者の多くが選択したものであれば、その選択肢に対応する行動を第2推奨行動としてもよい。対象者20が選択した選択肢を第2グループの既受験者の多くが選択しているか否かは、例えば、対象者20が選択した選択肢の、第2グループの既受験者と対象者20のアンケート回答とを用いた協調フィルタリングにより算出される評価値が所定値以上であるか否かで判断することができる。
【0097】
上述した各実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の技術的範囲をそれらの実施例のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【0098】
また、以下の事項も上述した各実施例による開示の技術的範囲に属する
【0099】
(1)
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、1人以上の既受験者が属するグループであり、当該グループに属する既受験者の回答が前記対象者による回答に類似し試験結果が特定試験結果であるグループを抽出する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、前記対象者に対する推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有するレコメンドシステム。
特定試験結果を得られ、回答が対象者と類似する既受験者のグループを抽出し、その回答に基づいて対象者への推奨行動を決定するので、対象者の状況を考慮して過度な行動変更の要求となるのを抑制しつつ、特定試験結果を得るのに好適な行動を推奨することができる
【0100】
(2)
前記既受験者選択部は、当該グループに属する既受験者の試験結果である合格率が高く前記既受験者の回答が前記対象者による回答に類似するグループを抽出し、
前記推奨行動決定部は、前記対象者の回答と前記抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づいて、前記対象者に実行することを推奨する推奨行動を決定する
(1)に記載のレコメンドシステム。
合格率が高く回答が対象者の回答と類似するグループの回答に基づいて対象者へ実行を推奨する行動を決定するので、対象者に過度な行動変更の要求するのを抑制しつつ、合格率を上げるために実行すべき行動を決定することができる
【0101】
(3)
前記既受験者選択部は、既受験者の試験結果が良好であり前記既受験者の回答が前記対象者による回答に類似する第1グループと、既受験者の試験結果が不良であり前記既受験者の回答が前記対象者による回答に類似する第2グループとを抽出し、
前記推奨行動決定部は、前記対象者と前記第1グループの前記既受験者の回答との差異に基づいて前記対象者に実行することを推奨する第1推奨行動を決定し、前記対象者と前記第2グループの前記既受験者の回答との差異に基づいて前記対象者に実行しないことを推奨する第2推奨行動を決定する、(1)に記載のレコメンドシステム。
対象者と類似するグループ回答に基づいて対象者へ実行あるいは非実行を推奨する行動を決定するので、対象者に過度な行動変更の要求するのを抑制しつつ、実行すべき行動と、実行すべきでない行動との両方を対象者に提示することができる
【0102】
(4)
前記推奨行動決定部は、前記対象者をターゲットユーザとし前記抽出されたグループの既受験者を類似ユーザとし前記アンケート項目の選択肢をアイテムとする協調フィルタリングを実行することにより各選択肢の評価値を算出し、前記対象者が選択していない選択肢のうち前記評価値が高い選択肢を推奨行動とする
(1)に記載のレコメンドシステム。
アンケート項目の選択肢をアイテムとして協調フィルタリングにより評価値を算出し、評価値に基づいて推奨行動を決定するので、対象者が特定試験結果に近いグループの既受験者との差を埋めるのにどのような行動をすればよいかを容易に判断することができる
【0103】
(5)
前記アンケート項目の前記選択肢のそれぞれについて優先度が予め設定され、
前記推奨行動決定部は、前記選択肢の前記評価値と前記選択肢の前記優先度とに基づいて前記推奨行動の推奨順位を決定する
(4)に記載のレコメンドシステム。
協調フィルタリングの評価値による順位を教育ポリシで調整して推奨行動を推奨するので教育上の配慮を加味して推奨行動を順位づけることにより、より効果的に対象者の行動を改善することが可能となる
【0104】
(6)
前記アンケートには、属性を問うアンケート項目である属性アンケート項目と、行動を問う項目である行動アンケート項目とが含まれ、
前記既受験者選択部は、前記属性アンケート項目と前記行動アンケート項目とを含めて回答の類似を判断し、
前記推奨行動決定部は、前記行動アンケート項目の選択肢の中から前記推奨行動とする選択肢を決定する
(1)に記載のレコメンドシステム。
アンケート項目を属性に関する項目と行動に関する項目に分け、既受験者および対象者の類似は行動だけでなく属性も含めて判断し、推奨行動は行動に関するアンケート項目から生成するので、類似判断の精度と推奨行動の適切さを両立させることができる
【0105】
(7)
前記推奨行動決定部は、前記対象者の回答と前記抽出されたグループに属する既受験者の回答との差異に基づき、前記対象者の回答を前記抽出されたグループに属する既受験者の回答に近づける中間レベルの行動を前記対象者への推奨行動とする
(1)に記載のレコメンドシステム。
対象者の行動とグループ回答の行動との差異を考慮して推奨する行動を決定するので、行動を過度に変化させることを推奨するのを抑制することができる
【0106】
(8)
前記既受験者選択部は、回答が互いに類似する既受験者の複数のグループを作成し、前記複数のグループの中から、当該グループに属する既受験者の回答が前記対象者による回答に類似し試験結果が前記特定試験結果と同じまたは近似するグループを選択する
(1)に記載のレコメンドシステム
【0107】
(9)
前記既受験者選択部は、当該グループに属する既受験者のうち合格者の割合である合格率と、当該グループに属する既受験者の回答と前記対象者の回答の類似度との加重平均を評価指標として、前記複数のグループの中から、前記対象者への推奨行動を抽出するグループを選択する
(8)に記載のレコメンドシステム
【0108】
(10)
前記既受験者選択部は、前記合格率と前記類似度のそれぞれの重みを入力により変更可能とし、前記合格率と前記類似度の関係を可視化して表示し、入力に従って前記重みを決定する
(9)に記載のレコメンドシステム
【0109】
(11)
前記既受験者選択部は、試験結果が同じあるいは近似し、回答が互いに類似する既受験者の複数のグループを作成し、前記複数のグループの中から、当該グループに属する既受験者の回答が前記対象者による回答に類似し試験結果が前記特定試験結果と同じまたは近似するグループを選択する
(1)に記載のレコメンドシステム。
【0110】
以下の事項も上述した各実施例による開示の技術的範囲に属する
【0111】
(A1)
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、所定選別基準に従って対象者への推奨行動を抽出するのに利用する既受験者を選択する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答との差異に基づき、行動変更量が所定の行動変更量上限値以下となるように、前記対象者の回答を前記選択された既受験者の回答に近づける中間レベルの行動を前記対象者への推奨行動とする推奨行動決定部と、
を有するレコメンドシステム。
対象者の行動とグループ回答の行動との差異を考慮して推奨する行動を決定するので、行動を過度に変化させることを推奨するのを抑制することができる
【0112】
(A2)
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量によりレベル分けされた選択肢を有する数量アンケート項目が含まれ、
前記推奨行動決定部は、前記数量アンケート項目については、前記対象者が選択した選択肢の数量と前記選択された既受験者が選択した選択肢の数量との差異を行動差異量とし、前記行動差異量が所定の行動変更量上限値を超えていれば前記対象者が選択した選択肢の数量と前記選択された既受験者が選択した選択肢を代表する既受験者代表数量との間にある数量に対応する行動を推奨し、前記行動差異量が前記行動変更量上限値以下であれば前記既受験者代表数量に対応する行動を推奨する、(A1)に記載のレコメンドシステム。
対象者の行動と既受験者の回答の行動との差異が小さければ既受験者が回答した行動を推奨し、差異が大きければスモールステップで既受験者の行動に近づく行動を推奨するので、対象者の状況を考慮した適切な行動を推奨することができる
【0113】
(A3)
前記アンケートには所定期間内の勉強時間を複数レベルに分類する項目があり、
前記推奨行動処理部は、前記対象者が回答したレベルと前記グループ回答のレベルとで所定期間内の勉強時間が前記行動変更量上限値を超えていれば、前記対象者が回答したレベルと前記グループ回答のレベルの間にある所定期間内の勉強時間を推奨する
(A2)に記載のレコメンドシステム。
対象者の勉強時間とグループ回答の勉強時間の差異が大きかった場合でも勉強時間を急に過度に増やすような行動の推奨を抑制し、効果的な行動の改善を段階的に勧めることができる
【0114】
(A4)
前記アンケートには、所定の行動に関連する数量で3レベル以上にレベル分けされた選択肢を有するアンケート項目があり、
前記推奨行動決定部は、前記対象者が選択した選択肢に対応する現状レベルと、前記グループ回答で選択された選択肢に対応する好適レベルとが2レベル以上異なる場合には、前記現状レベルと前記好適レベルの間にある中間目標レベルに対応する選択肢を推奨行動とする、(A1)に記載のレコメンドシステム。
対象者の行動とグループ回答の行動との2レベル以上離れていれば中間目標の推奨行動を設定するので、スモールステップで好適な行動に近づく行動を推奨し、対象者の状況を考慮した適切な行動を推奨することができる。
【0115】
以下の事項も上述した各実施例による開示の技術的範囲に属する
【0116】
(C1)
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、試験結果が良好な第1既受験者と、試験結果が不良な第2既受験者とを抽出する既受験者選択部と、
対象者と前記第1既受験者の回答との差異に基づいて前記対象者に実行することを推奨する第1推奨行動を決定し、前記対象者と前記第2既受験者の回答との差異に基づいて前記対象者に実行しないことを推奨する第2推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有するレコメンドシステム。
対象者と類似するグループ回答に基づいて対象者へ実行および非実行を推奨する行動を決定するので、実行すべき行動と、実行すべきでない行動との両方を対象者に提示し、対象者の行動を効率よく改善することを可能にすることができる
【0117】
(C2)
教育ポリシとして、前記アンケート項目の前記選択肢のそれぞれについて優先度が予め設定され、
前記推奨行動決定部は、前記第1推奨行動とする選択肢の前記評価値と前記優先度に基づいて該第1推奨行動の推奨順位を決定する
(C1)に記載のレコメンドシステム。
協調フィルタリングの評価値による順位を教育ポリシで調整して推奨行動を推奨するので教育上の配慮を加味して推奨行動を順位づけることにより、より効果的に対象者の行動を改善することが可能となる
【0118】
(C3)
前記推奨行動決定部は、前記第2推奨行動とする選択肢を含むアンケート項目において、前記対象者が選択した選択肢と前記既受験者が選択した選択肢との差異に基づいて、当該第2推奨行動の推奨順位を決定する
(C1)に記載のレコメンドシステム。
対象者と既受験者との差異に基づいて推奨行動を順位づけることにより、より効果的に対象者の行動を改善することが可能となる
【0119】
(D1)
所定の試験を過去に受験した複数の既受験者から得られた、複数の選択肢からいずれかを選択するアンケート項目を複数含むアンケートに対する回答を示すアンケート結果データに基づき、回答が対象者による回答に類似し試験結果が特定試験結果である既受験者を選択する既受験者選択部と、
前記対象者の回答と前記選択された既受験者の回答との差異に基づいて、前記対象者に対する推奨行動を決定する推奨行動決定部と、
を有するレコメンドシステム。
対象者と回答が類似する既受験者を選んでその回答に基づいて対象者への推奨行動を決定するので、対象者の状況を考慮して過度な行動変更の要求となるのを抑制しつつ、行動の推奨をすることができる。
【符号の説明】
【0120】
10…レコメンドシステム、11…対象者情報取得部、12…推奨行動決定部、13…既受験者選択部、14…アンケート結果データベース、20…対象者、31…処理装置、32…メインメモリ、33…記憶装置、34…通信装置、35…入力装置、36…表示装置、37…バス、38…端末装置、39…ブラウザ、40…画面、90…通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12