(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】漁網防汚塗料組成物、該組成物を用いて形成される防汚塗膜を表面に有する漁網、漁網用具又は水中構造物
(51)【国際特許分類】
C09D 133/04 20060101AFI20220823BHJP
C09D 5/16 20060101ALI20220823BHJP
A01K 75/00 20060101ALI20220823BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220823BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220823BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20220823BHJP
C09D 131/04 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C09D133/04
C09D5/16
A01K75/00 B
C09D7/61
C09D7/63
C09D7/65
C09D131/04
(21)【出願番号】P 2019217369
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000227342
【氏名又は名称】日東化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】竹縄 博一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴義
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-061002(JP,A)
【文献】特開2006-052284(JP,A)
【文献】特開2002-265849(JP,A)
【文献】特開平11-323206(JP,A)
【文献】特開2018-141103(JP,A)
【文献】特開2016-222629(JP,A)
【文献】特開平05-170983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 133/04
A01K 75/00
C09D 5/16
C09D 7/61
C09D 7/63
C09D 7/65
C09D 131/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、エチレン酢酸ビニル共重合体(B)、シリコーンオイル(C)、及び、防汚薬剤(D)を含有する、漁網防汚塗料組成物
(但し、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(B)が塩素化物である場合を除く。)。
【請求項2】
請求項1に記載の漁網防汚塗料組成物を用いて形成される防汚塗膜を表面に有する、漁網、漁網用具及び水中構築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁網防汚塗料組成物、及び該組成物を用いて形成される防汚塗膜を表面に有する漁網、漁網用具又は水中構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
漁網、漁網用具及び水中構造物などは、海中に長期間設置されるため、漁網用の防汚塗料での処理をせずに使用すると、アオサ、アオノリ等の緑藻類、イギス等の紅藻類、フジツボ等の甲殻動物、ヒドラ虫等の腔腸動物、セルプラ、コケムシ、軟体動物類などの種々の水棲汚損生物が付着する。これにより、漁網の網の目がふさがれて海水の流れが悪くなり、酸素欠乏で養殖魚が大量に死んだり、伝染病が発生して出荷できなくなったりし、大きな損害を受けることがある。
【0003】
これらの水棲汚損生物の付着を防止するために、従来は有機錫化合物を用いた漁網用防汚塗料組成物が広く使用されてきたが、環境に対する配慮などから使用できなくなった。
【0004】
そこで、有機錫化合物に替わる漁網用防汚塗料組成物として、種々の研究、提案がなされ、無機化合物や有機化合物を防汚薬剤として用い、これを天然樹脂系または合成樹脂系展着樹脂に配合した漁網用防汚塗料組成物が使用されてきた。しかし、これらは塗膜物性が悪く、防汚期間が短い等の問題があった。
【0005】
それらの問題を解決すべく、展着樹脂に薬剤の溶出調整剤として特定のポリエーテル変性シリコーンオイルを配合した漁網用防汚塗料組成物が提案された(特許文献1~4)。
【0006】
しかしながら、上記発明はいずれも、漁網浸漬初期においては良好な防汚効果を発揮するものの浸漬期間が長期に亘るにつれ薬剤の溶出が不安定となり、長期間に亘る良好な防汚効果を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平3-20370
【文献】特開平9-176577
【文献】特開2001-19848
【文献】特開2009-215527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水中浸漬時から長期に亘り適度な薬剤放出量を維持し、優れた防汚性能を長期間継続的に発揮することができる漁網防汚塗料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、エチレン酢酸ビニル共重合体(B)、シリコーンオイル(C)、及び、防汚薬剤(D)を含有する漁網防汚塗料組成物が提供される。
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0012】
1.漁網防汚塗料組成物
本発明の漁網防汚塗料組成物は、養殖用又は定置網用の漁網およびこれらに使用される浮き子、ロープ等の漁網用具、ならびに発電所の冷却水導管等の水中構造物等に水棲汚損生物が付着することを防止するための組成物である。本発明の組成物は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、エチレン酢酸ビニル共重合体(B)、シリコーンオイル(C)、及び、防汚薬剤(D)を含有する。以下、詳細に説明する。
【0013】
<(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)>
重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を用いて形成される重合体であり、1種類の単量体の単独重合体であってもよいが、複数種類の単量体の共重合体であることが好ましい。重合体(A)を形成するための単量体中は、(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を含有してもよい。
【0014】
重合体(A)を形成するための単量体中の(メタ)アクリル酸エステルの割合は、例えば、60質量%以上であり、具体的には例えば、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
重合体(A)を形成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロピレングリコールモノメチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、及び(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。
【0016】
この中でも特に、重合性の点から(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2一エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等が好ましい。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、例えば、例えば、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0018】
前記重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、-65~50℃程度が好ましく、-50~35℃程度がより好ましい。Tgが前記範囲内の場合、漁網へ塗布した後の塗膜のタックが大きくなりすぎて塗布作業に支障をきたす問題も生じず、また、塗膜の柔軟性が損なわれてクラックや割れなどを生じたり、防汚効果を落としたりという問題を生じない。前記のTgの値は、示差走査熱量測定装置(例:METTLER TOLEDO社製、DSC1)を用いて、JIS K 7121の測定法を参照し、実測した値をいう。
【0019】
前記重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、10000~7000000程度であり、好ましくは50000~5000000程度である。Mwが50000~5000000程度の場合、塗膜の強靭性という点で好ましい。Mwの測定方法としては、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)が挙げられる。GPCによってMwを測定する場合、Mwは、ポリスチレンを標準物質として検量線を作成して測定することにより求めた値(ポリスチレン換算値)として表示される。
【0020】
前記重合体(A)は、前記単量体を重合させることにより得られ、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体のいずれの共重合体であってもよい。
【0021】
重合方法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等が挙げられる。この中でも特に、簡便に、且つ、精度良く、前記重合体(A)を合成できる点で、溶液重合、乳化重合が好ましい。
【0022】
溶液重合の場合、前記重合体(A)の重合は、例えば、重合開始剤の存在下で行われる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物等が挙げられる。これら重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記重合開始剤としては、特に、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートが好ましい。前記重合開始剤の使用量を適宜設定することにより、前記共重合体の分子量を調整することができる。
【0023】
前記重合反応においては、必要に応じて水又は有機溶媒を用いてもよい。有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピル等のエステル系溶剤;イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。この中でも特に、芳香族炭化水素系溶剤が好ましく、キシレンがより好ましい。これら溶媒については、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0024】
重合反応における反応温度は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常70~140℃程度、好ましくは80~120℃程度である。重合反応における反応時間は、反応温度等に応じて適宜設定すればよく、通常4~8時間程度である。
重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
【0025】
また、乳化重合の場合、重合開始剤としては、従来、乳化重合において使用されているものであれば使用できる。重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、tert-ブチルハイドロパーオキサイド等の水溶性重合開始剤;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート等、過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。特に、水溶性重合開始剤が好ましい。また、これらの重合開始剤を還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することも可能である。
【0026】
乳化重合における反応温度は、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよく、通常40~80℃程度、好ましくは55~70℃程度である。重合反応における反応時間は、反応温度等に応じて適宜設定すればよく、通常4~10時間、好ましくは6~9時間程度である。
重合反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
【0027】
乳化重合における界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤を一種又は二種以上で使用できる。また、カチオン性界面活性剤や両性界面活性剤を使用することもできる。
【0028】
前記重合体(A)としては、市販品として、例えば、バンスター X1290B11 (中部サイデン(株)製)、ポリゾール(R) AP-4650N(昭和電工(株)製)、ポリゾール(R) AP-4780N(昭和電工(株)製)などが挙げられる。
【0029】
前記重合体(A)の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で塗料組成物中に1~50質量%使用され、好ましくは3~30質量%である。
【0030】
<エチレン酢酸ビニル共重合体(B)>
共重合体(B)は、エチレンと酢酸ビニルを含む単量体を用いて形成される共重合体である。共重合体(B)を形成するための単量体は、エチレン、酢酸ビニル以外に、これらと共重合可能なエチレン性不飽和単量体を含有してもよい。
【0031】
共重合体(B)を形成するための単量体中のエチレンと酢酸ビニルの合計の割合は、例えば、60質量%以上であり、具体的には例えば、60、65、70、75、80、85、90、95、100質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0032】
エチレンと酢酸ビニル以外の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体として上述したものが挙げられる。
【0033】
前記共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、10000~7000000程度であり、好ましくは50000~5000000程度である。Mwが50000~5000000程度の場合、塗膜の強靭性という点で好ましい。
【0034】
前記共重合体(B)は、前記単量体を重合させることにより得られ、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体のいずれの共重合体であってもよい。
【0035】
重合方法、開始剤、溶媒、温度、その他の条件、Mwの測定方法等は、重合体(A)で既記の手法が適用できる。
【0036】
前記共重合体(B)としては、市販品として、例えば、ポリゾール(R) EVA P-3N(昭和電工(株)製)、ノバテック(TM)EVA LV-211A(日本ポリエチレン(株)製)などが挙げられる。
【0037】
共重合体(B)の含有量は、重合体(A)と共重合体(B)の合計質量に対して、20~90質量%であることが好ましく、30~90質量%が更に好ましく、50~80質量%であることが特に好ましい。前記範囲内にある場合、長期に亘り良好な防汚効果を維持でき、更に、海水への浸漬時における塗膜物性が著しく向上し、特にナイロン網のような比較的塗膜形成が難しい素材の網に対しても良好な塗膜物性を維持することができる。
【0038】
<シリコーンオイル(C)>
シリコーンオイル(C)としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリアルキル(メチル)シロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、長鎖アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル長鎖アルキルアラルキル変性ジメチルシリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、その他各種官能基による変性シリコーンオイル等が挙げられる。特に、親水親油バランス(HLB値)が0.5~9のポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく、具体的には0.5~9のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエーテル長鎖アルキルアラルキル変性ジメチルシリコーンオイルが望ましい。さらに好ましいものとして、親水親油バランス(HLB値)が1~5の範囲にあるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエーテル長鎖アルキルアラルキル変性ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。HLB値が0.5~9の範囲内のシリコーンオイルを使用することで、十分な防汚性能を得ることができる。
本発明では、これらのシリコーンオイルを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
シリコーンオイルの粘度は、塗工性能および塗膜物性の観点から、1000ポイズ以下が好ましく、100ポイズ以下がより好ましい。
【0040】
シリコーンオイル(C)の含有量は、特に限定されないが、固形分換算で、重合体(A)及び共重合体(B)の合計量100質量部に対して1~150質量部であり、好ましくは5~100質量部であり、さらに好ましくは、10~50質量部である。
【0041】
シリコーンオイル(C)を水性防汚組成物中において用いる場合、乳化剤や分散剤等によりエマルション化したものを用いる。その際、シリコーンオイルが、平均粒子径0.01~100μm、好ましくは0.1~50μmの粒子として分散していることが分散性や貯蔵安定性の観点から好ましい。
【0042】
前記エマルション化の方法としては、例えば、シリコーンオイルと乳化剤とを仕込み、その後、攪拌機で攪拌しながら、蒸留水を添加し、目的の粒子径範囲の乳化粒子が得られるように適宜設定しながら撹拌を行えばよい。
【0043】
前記乳化剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0044】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤の硫酸エステル塩、リン酸エステル塩や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
<防汚薬剤(D)>
防汚薬剤(D)としては、海棲汚損生物に対して殺傷又は忌避作用を有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、以下の有機化合物及び無機化合物が挙げられる。
【0047】
有機化合物としては、例えば、2-メルカプトピリジンN―オキシド銅、2-メルカプトピリジンN―オキシド亜鉛、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、ビス(ジメチルジチオカルバミン酸)亜鉛、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、ピリジン・トリフェニルボラン、n-オクタデシルアミン・トリフェニルボラン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン・トリフェニルボラン、4-イソプロピル-ジフェニルメチル、4-フェニルピリジル-ジフェニルボラン、2,4,6-トリクロロマレイミド、n-(2,6ジエチルフェニル)2,3ジクロロマレイミド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、クロロメチル-n-オクチルジスルフィド、4,5-ジクロロ-2-n-オクチルー3-イソチアゾロン、3,4-ジクロロフェニル-N-N-ジメチルウレア、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N',N'-ジメチル-N-p-トリルスルファミド、N-ジクロロメチルチオ-N',N'-ジメチル-N-フェニルスルファミド、2-(4-チアゾリル)ベンズイミダゾール、等が挙げられる。
【0048】
上記有機化合物のうち、n-オクタデシルアミン・トリフェニルボラン、テトラエチルチウラムジスルフィド、2-メルカプトピリジンN―オキシド銅、2-メルカプトピリジンN-オキシド亜鉛及びビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートが特に好ましく、1種または2種以上併用してもよい。
【0049】
無機化合物としては、例えば、亜酸化銅、1価の銅ガラス、2価の銅ガラス、チオシアン酸銅、キュプロニッケル、銅粉等が挙げられ、亜酸化銅、1価の銅ガラス及び2価の銅ガラスが特に好ましく、1種または2種以上併用してもよい。
【0050】
上記防汚薬剤(D)のうち、溶剤又は水に不溶の防汚薬剤については、分散性の問題から平均粒径10μm以下のものが好ましく、特に3μm以下のものが好ましい。これらの平均粒径は、日機装(株)社製粒度分布計、機種マイクロトラックMT3300EXII(測定原理レーザー回析・散乱法)により測定することができる。
【0051】
本発明の塗料組成物における防汚薬剤(D)の含有量は限定的ではないが、重合体(A)及び共重合体(B)の合計量100質量部に対して、通常1~300質量部であり、好ましくは5~200質量部である。防汚薬剤の使用量が1質量部未満では防汚性が充分でなく、一方、300質量部超では塗工性能、塗膜物性が劣化する傾向がある。
【0052】
<その他の添加成分>
本発明に用いられる塗料組成物は、他の展着樹脂、他の溶出調整剤、染料、顔料、ワックス類、防腐剤、可塑剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、沈降防止剤、タレ止め剤、界面活性剤、溶剤等を、本発明の目的を損なわない範囲内で任意に、任意の配合割合で含有することができる。
【0053】
他の展着樹脂としては、重合体(A)および共重合体(B)以外の、ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、塩素化ポリエチレン等の合成樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、変性ロジン等の天然樹脂が挙げられる。
【0054】
他の溶出調整剤としては、例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体、ポリブテン類、パラフィン類、ワセリン類、ジアルキルスルフィド化合物等が挙げられる。
【0055】
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリクレジルフォスフェート等が挙げられる。
【0056】
分散剤としては、例えば、ポリアマイド燐酸系分散剤、ポリアマイド系分散剤、不飽和ポリカルボン酸系分散剤、酸化ポリエチレン系分散剤等が挙げられる。例として、楠本化成(株)製、ディスパロン6900-20X、ディスパロン4200、ディスパロン1860等が挙げられる。これら分散剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0057】
溶剤としては、有機溶剤や水が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150(いずれも登録商標、エクソンモービル製)等の芳香族系溶剤;イソブチルメチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル等のエステル系溶剤が使用できる。
【0058】
また、低毒・低臭・低環境負荷を考慮した有機溶剤も使用することができ、例えば、ペガソールAN45、ペガソールAS100(いずれも登録商標、エクソンモービル製)、LAWS、HAWS(いずれもシェルケミカルズ製)等の芳香族・脂環式・脂肪族炭化水素混合溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコール系エステル溶剤;エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、リカソルブ(登録商標)900(C9芳香族水添体)、リカソルブ(登録商標)1000(C10芳香族水添体)等の脂環式炭化水素系溶剤;シェルゾールD40(登録商標、シェルケミカルズ製)、エクソールD30、エクソールD40(いずれも登録商標、エクソンモービル製)等の脂環式・脂肪族炭化水素混合溶剤;アイソパーG、アイソパーH(いずれも登録商標、エクソンモービル製)等の脂肪族炭化水素混合溶剤なども使用することができる。
これら有機溶剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
本発明の組成物は、種々の漁業具、水中構造物等の防汚塗膜の形成に使用できる。特に、本発明の組成物は、漁網用防汚塗料組成物として好適に使用できる。
【0060】
本発明の漁網防汚塗料組成物は、上記(A)~(D)成分、ならびに必要に応じて上記の添加成分を混合することにより調製できる。混合する際の各成分の添加量については、上記配合量および含有量となるよう適宜調整すればよい。各成分を混合する順序については特に制限されない。混合方法については、撹拌装置を用いて混合する等、公知の方法を採用すればよい。
【0061】
2.漁網防汚塗膜の形成方法、防汚塗膜、および塗装物
本発明の漁網防汚塗膜の形成方法は、上記漁網防汚塗料組成物を用いて被塗膜形成物の表面に防汚塗膜を形成することを特徴とする。本発明の形成方法により得られる防汚塗膜は、表面から徐々に溶解し塗膜表面が常に更新されることにより、水棲汚損生物の付着防止を図ることができる。また、塗膜を溶解させた後、上記組成物を上塗りすることにより、継続的に防汚効果を発揮することができる。
【0062】
被塗膜形成物としては、例えば、漁業具、水中構造物等が挙げられる。漁業具としては、例えば、養殖用又は定置用の漁網、該漁網に使用される浮き子、ロープ等の漁網付属具等が挙げられる。水中構造物としては、例えば、発電所導水管、橋梁、港湾設備等が挙げられる。
【0063】
本発明の漁網防汚塗膜は、上記漁網防汚塗料組成物を被塗膜形成物の表面(全体又は一部)に塗布することにより形成できる。
【0064】
塗布方法としては、例えば、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法、フローコート法、スピンコート法等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を併用して行ってもよい。例えば、本発明の漁網防汚塗料組成物を漁網に塗布する場合、塗布方法としてはディッピング法を採用することが好ましい。
【0065】
塗布後、乾燥させる。乾燥温度は、室温でよい。乾燥時間は、漁網防汚塗料の付着量に応じて適宜設定すればよい。
【0066】
前記漁網防汚塗料の付着量は、被塗膜形成物の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、被塗膜形成物が漁網の場合、乾燥塗膜の付着量が漁網100質量部に対し、好ましくは1~30質量部、さらに好ましくは4~15質量部である。
【0067】
本発明の塗装物は、前記防汚塗膜を表面に有する。本発明の塗装物は、前記防汚塗膜を表面の全体に有していてもよく、一部に有していてもよい。
【実施例】
【0068】
以下に、実施例等を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。ただし、本発明は実施例等に限定されるものではない。
【0069】
1.分析方法
<分子量分析方法>
重量平均分子量(Mw)は、GPCにより求めた値(ポリスチレン換算値)である。GPCの条件は下記の通りである。
装置・・・ 東ソー株式会社製 HLC-8220GPC
ガードカラム・・・TSKguardcolumn SuperHZ-L(東ソー株式会社製)
カラム・・・ TSKgel SuperHZM-M(東ソー株式会社製)2本直列接続
流量・・・ 0.35 mL/min
検出器・・・ RI
カラム恒温槽温度・・・ 40℃
展開溶媒・・・ THF(和光純薬工業社製;試薬特級)
標準サンプル・・・TSK標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
【0070】
<加熱残分分析方法>
加熱残分は、JIS K5601-1-2(125℃、1時間加熱)により求めた値である。
【0071】
2.製造例
<製造例1(重合体溶液A-1の製造)>
温度計、冷却器、撹拌装置及び滴下ロートを備えた300mlフラスコに、キシレン41g、メチルメタクリレート17g、ブチルアクリレート21g、ステアリルメタクリレート2g、及びt-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.02g(初期添加)を仕込み、窒素ガスを導入しながら、95±5℃で1時間攪拌した。その後、同温度にて、キシレン40g、メチルメタクリレート17g、ブチルアクリレート21g、ステアリルメタクリレート2g、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.02gを滴下ロートより30分間かけて滴下した。その後同温度にて1時間攪拌の後、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート合計0.4g(後添加分)を1時間毎に3回に分けて添加して重合反応を完結した後、キシレン40gを添加し溶解させることにより、重合体溶液A-1を得た。重合体溶液A-1のMwは128000、加熱残分は39.8%であった。
【0072】
<製造例2(重合体溶液A-2の製造)>
温度計、冷却器、撹拌装置及び滴下ロートを備えた300mlフラスコに、キシレン29.0g、イソブチルメタクリレート60g、ブチルアクリレート19g、及びt-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.02g(初期添加)を仕込み、窒素ガスを導入しながら、95±5℃で1時間攪拌した。その後、同温度にて、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.02gを添加して、滴下ロートより20分間かけてキシレン20.2gを滴下して、40分間攪拌した。その後、同温度にて、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.04gを添加して、滴下ロートより20分間かけてキシレン20.2gを滴下して、40分間攪拌した。その後、同温度にて、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.21gを添加して、滴下ロートより20分間かけてキシレン30.6gを滴下して、40分間攪拌した。その後、同温度にて、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート0.16gを添加して、60分攪拌した。重合反応を完結した後、キシレン21gを添加し溶解させることにより、重合体溶液A-2を得た。重合体溶液A-2のMwは259000、加熱残分は39.8%であった。
【0073】
3.漁網防汚塗料組成物の製造
表1~表11に示す成分を同表に示す割合(質量部)で配合し、直径1.5~2.5mmのガラスビーズと混合分散することにより、実施例・比較例の漁網防汚塗料組成物を製造した。
なお表1~表7には水系防汚塗料、表8~表11には油性防汚塗料を示す。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
表1~表11中の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0086】
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A))
商品名「バンスター X1290B11」:アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体エマルション(中部サイデン(株)製)
商品名「ポリゾール(R) AP-4650N」:アクリル酸エステル共重合体エマルション(昭和電工(株)製)
商品名「ポリゾール(R) AP-4780N」:アクリル酸エステル共重合体エマルション(昭和電工(株)製)
【0087】
(エチレン酢酸ビニル共重合体(B))
商品名「ポリゾール(R) EVA P-3N」:エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン(昭和電工(株)製)
商品名「ノバテック(TM)EVA LV-211A」:エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(日本ポリエチレン(株)製)
【0088】
(他の展着樹脂)
商品名「ポリゾール(R) S-65」:酢酸ビニル樹脂エマルジョン(昭和電工(株)製)
【0089】
(シリコーンオイル(C))
商品名「KF-6020」:ポリエーテル変性ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製)
商品名「X-22-2516」:ポリエーテル長鎖アルキルアラルキル変性ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製)
【0090】
(防汚薬剤(D))
商品名「NC-301」:亜酸化銅(日進ケムコ(株)製)
商品名「Copper Omadine Powder」:銅ピリチオン「ビス(2―スルフィドピリジン-1―オラト)銅」(ロンザ・ジャパン(株)製)
商品名「TOC-3204F」:ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート(ロームアンドハース製)
商品名「OPA」:3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン・トリフェニルボラン(日東化成(株)製)
商品名「ODA」:n-オクタデシルアミン・トリフェニルボラン
商品名「ノクセラーTET-G」:テトラエチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業(株)製)
【0091】
(顔料)
商品名「タルクMS」:タルク[含水珪酸マグネシウム](日本タルク(株)製)
商品名「AFブラック E-2B」:水系顔料分散体(大日精化(株)製)
商品名「カーボンブラック#44」:黒色顔料(三菱ケミカル(株)製)
【0092】
(ワックス類)
商品名「EMUSTAR-0001」:マイクロクリスタリンワックスエマルション(日本精蝋(株)製)
【0093】
(防腐剤)
商品名「デルトップ100N」:防腐剤(大阪ガスケミカル(株)製)
【0094】
(可塑剤)
商品名「エマウエット30E」:ポリブテンエマルション(日油(株)製)
商品名「ポリブテン0N」:可塑剤(日本油脂製)
商品名「ルーカントHC-40」:可塑剤(三井化学株式会社)
商品名「DAF-1」:可塑剤(DIC株式会社)
【0095】
(分散剤)
商品名「OPTIGEL WM」:レオロジー添加剤(ビック・ケミージャパン(株)製)
商品名「ディスパロン630-20X」:ポリアマイド系ワックス(楠本化成(株)製)
商品名「ディスパロン4200-20」:酸化ポリエチレン系ワックス(楠本化成(株)製)
【0096】
(消泡剤)
商品名「アンチフロスS110」:消泡剤(第一工業製薬(株)製)
商品名「ディスパロンFA-62」:シリコン系消泡剤(楠本化成(株)製)
【0097】
(造膜助剤)
商品名「テキサノール」:造膜助剤(EASTMAN CHEMICAL製)
【0098】
4.漁網防汚塗料組成物の評価
得られた漁網防汚塗料組成物について、以下の方法で防汚効果確認試験を行った。その結果を表12~表18に示す。
【0099】
表12~表18に示すように、全ての実施例では、全ての比較例よりも良好な結果が得られた。
【0100】
<防汚効果確認試験>
実施例及び比較例の漁網防汚塗料組成物を、ポリエチレン製の漁網(400デニール、40本、8節)および、ナイロン製の漁網(210デニール、48本、10節)に、乾燥塗膜の付着量が漁網100質量部に対し、15質量部になるように浸漬塗布し乾燥させた。塗膜を形成した漁網を40×60cmSUSの枠に固定し、水棲汚損生物の活性の強い海域である三重県尾鷲の筏にて喫水部に浸漬し、その防汚評価を10ヶ月及び12ヶ月間にわたって定期的に観察した。
【0101】
評価は以下の方法で行った。なお、水棲生物の付着面積(%)は、試験期間(2、4、6、8、10又は12ヶ月)後に上から漁網の写真を撮影し、漁網における水棲生物の占有面積を目視で評価した。
◎:水棲生物の付着面積が0%
○:水棲生物の付着面積が0超10%未満
△:水棲生物の付着面積が10以上50%未満
×:水棲生物の付着面積が50%以上
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】