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特許7127871放熱構造及びそれを用いる中性子線発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】放熱構造及びそれを用いる中性子線発生装置
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20220823BHJP
   H05H 13/04 20060101ALI20220823BHJP
   G21K 5/04 20060101ALI20220823BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G21K5/08 C
H05H13/04 H
G21K5/08 N
G21K5/04 A
A61N5/10 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020083164
(22)【出願日】2020-05-11
(65)【公開番号】P2020187122
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-05-11
(31)【優先権主張番号】108116969
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518296517
【氏名又は名称】禾榮科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HERON NEUTRON MEDICAL CORP.
【住所又は居所原語表記】No.66-2, Shengyi 5th Rd., Zhubei City, Hsinchu County, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】葉 吉田
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-058398(JP,U)
【文献】特開2018-021881(JP,A)
【文献】特開2011-112413(JP,A)
【文献】米国特許第05898261(US,A)
【文献】特開平09-320795(JP,A)
【文献】米国特許第05602899(US,A)
【文献】特開2002-289400(JP,A)
【文献】実公昭40-030717(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00-15/00
G21K 5/08
G21K 5/02
G21K 5/04
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面、水入口チャンネル、水出口チャンネル及び突出部を有するハウジングを含み、前記水入口チャンネル及び前記水出口チャンネルが前記ハウジングの対向する両端に位置し前記下面の上に位置し、且つ第1の方向に沿って延伸し、前記突出部が、前記第1の方向に沿って前記水入口チャンネルと前記水出口チャンネルとの間に位置し前記下面の上に位置し、前記突出部が前記下面から離れる方向へ突出し、且つ前記突出部が前記下面と反対側を向いた突出面を有し、前記突出面と前記下面との間の距離が前記第1の方向に沿って最初に増加しその後減少し、前記ハウジングは、それぞれ前記突出部の対向する両端に位置し且つ前記水入口チャンネルと前記水出口チャンネルとの間に位置する一対の緩衝溝を有する放熱構造と、
前記放熱構造に設けられ、チャンネルを有するチューブと、
前記チューブに接続され、前記チャンネルを通して前記放熱構造と前記チューブとの間に配置されるターゲットに向かってイオンビームを放出することに用いられる加速器と、
を含む中性子線発生装置
【請求項2】
前記放熱構造の前記突出面は凸曲面である請求項1に記載の中性子線発生装置
【請求項3】
前記放熱構造の前記突出面は、対称線を有し、前記対称線が第1の方向に沿って延伸し、且つ前記突出面が前記対称線に対して線対称となる請求項1又は2に記載の中性子線発生装置
【請求項4】
前記放熱構造の前記突出面と前記下面の間の距離は、第2の方向に沿って実際に同じであり、且つ前記第2の方向が前記第1の方向と垂直となる請求項1~3の何れか1項に記載の中性子線発生装置
【請求項5】
前記放熱構造の前記ハウジングは、第1の開口部を有し、且つ前記突出部が前記第1の開口部内に延伸する請求項1~4の何れか1項に記載の中性子線発生装置
【請求項6】
前記放熱構造の前記ハウジングは、第2の開口部を有し、前記第2の開口部が前記第1の開口部に連通され、前記第1の開口部よりも前記突出部から遠く離れ、且つ前記第2の開口部のサイズが前記第1の開口部のサイズよりも大きい請求項5に記載の中性子線発生装置
【請求項7】
前記放熱構造の前記突出面の最高位置は、前記放熱構造の前記水入口チャンネル及び前記水出口チャンネルの最高位置よりも高い請求項1~6の何れか1項に記載の中性子線発生装置
【請求項8】
前記放熱構造の前記突出面の最低位置は、前記放熱構造の前記水入口チャンネル及び前記水出口チャンネルの最高位置よりも高い請求項1~7の何れか1項に記載の中性子線発生装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、放熱構造及びそれを用いる中性子線発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、ホウ素中性子捕獲療法(Boron Neutron Capture Therapy;BNCT)の原理は、次のとおりである。ホウ素含有薬物を血液循環を介して腫瘍細胞に結合させてから、中性子線を腫瘍組織の位置を中心として照射して、ホウ素に中性子を吸収させてリチウムイオンとヘリウムイオンを生成し、他の正常組織を破壊せずにがん細胞を正確に破壊する。
【0003】
患者に対して、ホウ素中性子捕獲療法によれば、極小の損傷しか生じず、且つ外科手術と麻酔をする必要はない。更にいうと、脳腫瘍を治療する場合、ホウ素中性子捕獲療法として低浸透性の熱中性子を使用すれば、更に患者の頭蓋骨を開く必要がある。それに対して、ホウ素中性子捕獲療法としてエピサーマル中性子を採用する場合、患者の頭蓋骨を開く必要はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これについて、中性子線を発生する方式は、加速器型中性子線発生器によりイオンビームをターゲットに衝突させることであってよい。しかしながら、中性子線を発生する過程中に、イオンビームによって衝突されるターゲットは、不十分な放熱による予期しない損傷を引き起こす可能性がある。したがって、如何にターゲットの中性子線を発生する過程中の放熱を効果的に解決するかは、関連業界における研究開発する方向の1つとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示内容の一実施形態は、下面、水入口チャンネル、水出口チャンネル及び突出部を有するハウジングを含み、水入口チャンネル及び水出口チャンネルがハウジングの対向する両端に位置し下面の上に位置し、且つ第1の方向に沿って延伸し、突出部が水入口チャンネルと水出口チャンネルとの間に位置し下面の上に位置し、突出部が下面から離れる方向へ突出し、且つ突出部が下面と反対側を向いた突出面を有し、突出面と下面との間の距離が第1の方向に沿って最初に増加しその後減少する放熱構造を提供する。
【0006】
一部の実施形態において、突出面は凸曲面である。
【0007】
一部の実施形態において、突出面は、対称線を有し、前記対称線が第1の方向に沿って延伸し、且つ突出面が対称線に対して線対称となる。
【0008】
一部の実施形態において、突出面と下面との間の距離は、第2の方向に沿って実際に同じであり、且つ第2の方向が第1の方向と垂直となる。
【0009】
一部の実施形態において、ハウジングは、第1の開口部を有し、且つ突出部が第1の開口部内に延伸する。
【0010】
一部の実施形態において、ハウジングは、第2の開口部を有し、第2の開口部が第1の開口部に連通され、第1の開口部よりも突出部から遠く離れ、且つ第2の開口部のサイズが第1の開口部のサイズよりも大きい。
【0011】
一部の実施形態において、ハウジングは、それぞれ突出部の対向する両端に位置し且つ水入口チャンネルと水出口チャンネルとの間に位置する一対の緩衝溝を有する。
【0012】
一部の実施形態において、突出面の最高位置は、水入口チャンネル及び水出口チャンネルの最高位置よりも高い。
【0013】
一部の実施形態において、突出面の最低位置は、水入口チャンネル及び水出口チャンネルの最高位置よりも高い。
【0014】
本開示内容の一実施形態は、放熱構造と、放熱構造に設けられ、チャンネルを有するチューブと、チューブに接続され、チャンネルを通して放熱構造とチューブとの間に配置されるターゲットに向かってイオンビームを放出することに用いられる加速器と、を含む中性子線発生装置を提供する。
【0015】
上記の配置によれば、突出部の突出面とハウジングのターゲットの間に設けられる距離が第1の方向に沿って変化する可能性があるため、突出面を流れる冷却流体の流速を変化させることができ、結果として冷却流体が対応するターゲットの中心でより速い流速を有し、更にターゲットの中心により強い放熱効果を提供する。この機構により、放熱構造は中性子線発生装置に好適に適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示内容の一部の実施形態による放熱構造を示す上面模式図である。
図2図1の線分2-2’に沿った断面模式図である。
図3】本開示内容の一部の実施形態による中性子線発生装置を示す構造模式図である。
図4図3のターゲットの熱エネルギー分布を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記説明で、本開示の主題を実施するために、多くの異なる実施形態又は実施例を提供する。素子又は配列の具体例については、本開示を簡素化するように、下記で検討される。もちろん、これらの説明は、範例の一部だけであり、本開示がこれに限定されない。例えば、第1の特徴を第2の特徴又はその上方に形成する記述には、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触する実施形態に加えて、他の特徴が第1の特徴と第2の特徴との間に形成され、且つこの場合に第1の特徴と第2の特徴とが直接接触しない実施形態も含まれる。また、本開示は、異なる範例で符号又は文字を繰り返す場合がある。この繰り返しは、記述を簡単化及び明確化するためのものであり、検討された異なる実施形態と配列との関係を定義するためのものではない。
【0018】
なお、例えば、「下」、「下方」、「よりも低い」、「上」、「上方」のような空間相対用語及び他の類似の用語等は、ここで、図面におけるある素子や特徴の別の素子や特徴に対する関係を説明しやすくするためのものである。空間相対用語は、図面に示す方位以外、使用又は操作される場合の他の方位を更に含む。つまり、前記装置の方位が図面のものと異なる(90度回転し又は他の方位に位置する)場合、本文で使用された空間相対用語は、同様に対応して解釈することができる。
【0019】
本開示内容の放熱構造は、構造の形状を変更することにより冷却流体の速度を制御することができ、冷却流体の速度とその冷却効果とが関連しているため、冷却ターゲット(例えば、ターゲット)の異なる領域に応じて、さまざまな冷却効果を提供することができる。
【0020】
図1及び図2を参照されたい。図1は、本開示内容の一部の実施形態による放熱構造100を示す上面模式図であり、図2は、図1の線分2-2’に沿った断面模式図である。図面が複雑になりすぎないように、図1のターゲット130は図2のようなネット底部を示していない。また、説明しやすくするために、図1及び図2には、第1の方向D1及び第2の方向D2が示され、第1の方向D1が第2の方向D2と異なる。例として、第1の方向D1は図1の横方向であってよく、第2の方向D2は図1の縦方向であってよく、且つ第1の方向D1が第2の方向D2と垂直となる。
【0021】
放熱構造100は、ハウジング110を含み、ハウジング110の材質がアルミニウムのような金属であってよい。ハウジング110は一体的に形成されてもよいし、組み立てにより形成されてもよい。ハウジング110は、突出部112、下面114、第1の開口部122、第2の開口部124、水入口チャンネル140及び水出口チャンネル150を有し、下面114がハウジング110の最下面と見なされてよい。第1の開口部122と第2の開口部124とは互いに連通され共に下面114の上に位置し、且つ第2の開口部124が第1の開口部122よりも下面114から遠く離れる。ハウジング110は、ターゲット130を支持することに用いられてよく、ターゲット130が板状ターゲットであってよい。第2の開口部124のサイズが第1の開口部122のサイズよりも大きくてよく、このサイズの差により、ターゲット130に対する位置合わせに寄与する。ここに、記載の「サイズ」は長さ又は幅であってよく、図2を例として、即ち第2の開口部124の幅が第1の開口部122の幅よりも大きい。また、ハウジング110が第1の開口部122を有するため、ターゲット130をハウジング110に配置した後、ターゲット130は、ハウジング110と共に収容スペースSをそれらの間に形成することができる。
【0022】
水入口チャンネル140及び水出口チャンネル150は、ハウジング110の対向する両端に位置し、且つ下面114の上に位置する。水入口チャンネル140及び水出口チャンネル150は、同じ方向に沿って延伸し、例えば第1の方向D1に沿って延伸し、各々収容スペースSに接続されてよい。一部の実施形態において、矢印A1で示すように、加圧装置(図示せず)を介して冷却流体160を水入口チャンネル140から放熱構造100内に送り、これにより冷却流体160は収容スペースSを通って流れターゲット130に接触して、ターゲット130の冷却効果を提供することができ、その後、矢印A2で示すように、冷却流体160は水出口チャンネル150を通って放熱構造100から離れることができる。
【0023】
突出部112は、水入口チャンネル140と水出口チャンネル150との間に位置し、且つ下面114の上に位置する。突出部112は、下面114から離れる方向へ突出する。
【0024】
突出部112は、突出を介して第1の開口部122内に延伸することができ、且つ第2の開口部124が第1の開口部122よりも突出部112から遠く離れる。突出部112は、下面114と反対側を向いた突出面116を有し、言い換えれば、突出面116は、第1の開口部122及び第2の開口部124に面する又は向かう。突出面116と下面114との間の距離は、第1の方向D1に沿って最初に増加しその後減少する。例として、突出面116は凸曲面であってよく、これにより突出面116と下面114との間の距離が第1の方向D1に沿って最初に次第に増加しその後次第に減少する。
【0025】
突出面116と下面114との間の距離を最初に増加しその後減少するように設計することにより、ターゲット130をハウジング110に配置した場合、ターゲット130とハウジング110の突出面116との間の距離は、最初に減少しその後増加する。この配置により、冷却流体160が水入口チャンネル140から水出口チャンネル150への方向に沿って突出面116を流れる場合、冷却流体160は、ターゲット130とハウジング110の突出面116との間の距離の変化により流速が変化される。
【0026】
具体的に、水入口チャンネル140から水出口チャンネル150への方向に沿って突出面116を流れる前半分エリアR1の冷却流体160については、ターゲット130とハウジング110の突出面116との間の距離が次第に減少するため、冷却流体160の流速を次第に増加させる。これに対して、冷却流体160の流速とその提供可能な放熱効果に正に関連するため、冷却流体160の流速を増加して放熱効果を向上させることができる。言い換えれば、突出面116の前半分エリアR1内で、冷却流体160によって提供される放熱効果は、突出面116の隆起した形に伴って次第に増加する。
【0027】
その後、水入口チャンネル140から水出口チャンネル150への方向に沿って突出面116を流れる後半分エリアR2の冷却流体160については、ターゲット130とハウジング110の突出面116との間の距離が次第に増加することにより冷却流体160の流速を次第に減少させる。冷却流体160の流速を減少させたため、冷却流体160が予ターゲット130の中心に与える圧力を減少させて、更にターゲット130による応力を減少させる。
【0028】
つまり、放熱構造100により、冷却流体160が対応するターゲット130の中心で早い流速を持ち、冷却流体160がターゲット130の中心に強い放熱効果を提供し、又は冷却流体160によってターゲット130に提供される放熱効果が突出面116の突出する最高点から水入口チャンネル140/水出口チャンネル150へ逓減するということができる。この機構により、放熱構造100は、熱源分布が「中心から両側へ逓減する」表現を呈するターゲット130に対する放熱に適され、「中心から両側へ逓減する」表現が例えばガウス分布、正規分布又はベル曲線であってよい。
【0029】
逆に、このように突出面116と下面114との間の距離が最初に増加しその後減少するように設計されていない場合、即ち冷却流体のチャンネルギャップが固定されている場合、冷却流体の流速が水入口チャンネルから水出口チャンネルまで一定とされ、なお、総流量が一定の場合、固定ギャップ幅が小さいほど、流速が大きくなり、結果として圧力勾配が大きくなる。このようにチャンネルギャップが固定された構造は、熱源分布が「中心から両側へ逓減する」表現を呈するターゲットに対する放熱に適されることができない。
【0030】
一方、突出面116の逓増幅と逓減幅を同じに又は異なるように設計することができて、冷却流体160の流れ方向に対する制御に寄与する。具体的に、突出面116の逓増幅と逓減幅が等しくてもよく、この条件の下で、突出面116は、第2の方向D2に沿って延伸する第1の対称線L1(図1に示すように)を有し、且つ第1の対称線L1に対して線対称となる。しかしながら、本開示内容はこれに限定されず、他の実施形態において、突出面116の逓増幅と逓減幅が異なってもよく、例として、突出面116の水入口チャンネル140に近い一端と下面114との間の距離が突出面116の水出口チャンネル150に近い一端と下面114との間の距離よりも大きくてよく、これにより突出面116の逓増幅が逓減幅よりも小さい。
【0031】
突出面116を第1の方向D1だけで突出し変化させるように設計することができて、冷却流体160の流れ方向に対する制御に寄与し、例えば、冷却流体160に対する水入口チャンネル140から水出口チャンネル150への方向上の加速効果が他の方向上の加速効果よりも大きい。具体的に、突出面116と下面114との間の距離が第2の方向D2に沿って実際に同じであり、この条件の下で、突出面116は、第1の方向D1に沿って延伸する第2の対称線L2(図1に示すように)を有し、且つ第2の対称線L2に対して線対称となる。また、ハウジング110は、一対の緩衝溝118A及び118Bを有してよい。緩衝溝118A及び118Bは、突出部112の対向する両端に位置し且つ水入口チャンネル140と水出口チャンネル150との間に位置し、且つ突出面116の最低位置と最高位置は、水入口チャンネル140及び水出口チャンネル150の最高位置よりも高い。
【0032】
この配置により、冷却流体160が水入口チャンネル140から放熱構造100内へ流れる場合、冷却流体160が直接ターゲット130と突出面116との間の収容スペースSに流れることを防止することができる。具体的に、水入口チャンネル140から放熱構造100内へ流れる冷却流体160は、少なくとも方向が2回変えられてから、ターゲット130と突出面116との間の収容スペースSへ流れ、冷却流体の流れ速度に対する制御に寄与する。一方、放熱構造100は、シーリングガスケット170A及び170Bを更に含んでよく、ハウジング110が凹溝126A及び126Bを有してよく、且つシーリングガスケット170A及び170Bがそれぞれ凹溝126A及び126B内に設けられてよく、シーリングガスケット170A及び170Bが気密性及び防水効果を提供することができる。
【0033】
一部の実施形態において、突出面116とターゲット130との間の最小距離と、突出面116とターゲット130との間の最大距離との差値は、0.3ミリメートルと0.7ミリメートルの間にあってよく、例えば、突出面116とターゲット130との間の最小距離は0.5ミリメートルであってよく、突出面116とターゲット130との間の最大距離は1ミリメートルであってよい。一部の実施形態において、図1Aの突出面116は、第1の方向D1上の長さが160ミリメートルと200ミリメートルにあってよく、図1Aの突出面116は、第2の方向D2上の長さが60ミリメートルと70ミリメートルにあってよい。一部の実施形態において、緩衝溝118A及び118Bの底部からターゲット130までの距離は25ミリメートル~35ミリメートルの間にあってよく、緩衝溝118A及び118Bの幅が8ミリメートル~12ミリメートルの間にあってよい。一部の実施形態において、水入口チャンネル140及び水出口チャンネル150は円筒形チャンネルであってよく、且つこの円筒形チャンネルの直径が18ミリメートル~22ミリメートルの間にあってよい。
【0034】
前記のように、放熱構造100は、熱源分布が中心から両側へ逓減する表現を呈するターゲット130に対する放熱に適されるので、中性子線発生装置のような、動作中にターゲット130にこの熱源分布を持たせる装置に適用されてよく、以下、中性子線発生装置を例として説明する。
【0035】
図3を参照されたい。図3は、本開示内容の一部の実施形態による中性子線発生装置200を示す構造模式図である。図面を複雑にしすぎないように、図3に示す各層の間の比例関係は、必ずしも実際の比率と同じではなく、且つ示される構造が説明を補助するために使用され、構造における各層の相対的な位置関係を定義するために使用されず、他の実施形態において、一部の層を省略してもよいし、他の層を追加してもよい。
【0036】
図3に示すように、中性子線発生装置200は、放熱構造100、チューブ210及び加速器220を含む。チューブ210は、放熱構造100に設けられ、且つターゲット130が放熱構造100とチューブ210との間に配置されてよく、具体的に、ターゲット130が放熱構造100のハウジング110の第2の開口部124内に固定されてよい。一部の実施形態において、ターゲット130は、材質としてベリリウム(Be)を含んでよく、且つ厚さが1.5ミリメートルと2.5ミリメートルの間にあってよい。チューブ210は、チャンネル212を有し、且つ加速器220がチューブ210に接続されてよく、加速器220がチャンネル212を通してターゲット130に向かってイオンビームIを放出することに用いられてよい。つまり、加速器220からのイオンビームIは、チャンネル212を通過して、更にイオンビームIをターゲット130に衝突させて、結果としてホウ素中性子捕獲療法に好適に用いられる中性子線Nを励起することができる。
【0037】
図3及び図4を同時に参照されたい。図4は、図3のターゲット130の熱エネルギー分布を示す模式図である。加速器220がチャンネル212を通してターゲット130に向かってイオンビームIを放出する場合、放出されるイオンビームIの密度分布はガウス分布を示し、結果として、図4の熱源分布270のように、イオンビームIによって衝突されたターゲット130の熱源分布もガウス分布を示す。言い換えれば、ターゲット130がガウス分布を有する熱源と見なされてよく、放熱構造100は、このような熱源を有するものの放熱に適されるので、ターゲット130の過熱による破裂を防止するように、中性子線発生装置200の動作中に発生する予期しない損害を防止することができる。
【0038】
上記をまとめると、本開示内容の放熱構造は、ハウジングを含む。ハウジングは、突出部を有し、且つ突出部の突出面とハウジングのターゲットとの間に設けられる距離が第1の方向に沿って変化して、更に突出面を流れる冷却流体の流速を変化させる。したがって、冷却流体が対応するターゲットの中心でより速い流速を有してよく、更にターゲットの中心により強い放熱効果を提供する。この機構により、放熱構造は中性子線発生装置に好適に適用されることができる。
【0039】
本開示内容を実施形態で前述の通り開示したが、これは本開示内容を限定するためのものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、各種の変更や修正を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0040】
100 放熱構造
110 ハウジング
112 突出部
114 下面
116 突出面
118A、118B 緩衝溝
122 第1の開口部
124 第2の開口部
126A、126B 凹溝
130 ターゲット
140 水入口チャンネル
150 水出口チャンネル
160 冷却流体
170A、170B シーリングガスケット
200 中性子線発生装置
210 チューブ
220 加速器
270 熱源分布
2-2’ 線分
A1、A2 矢印
D1 第1の方向
D2 第2の方向
I イオンビーム
L1 第1の対称線
L2 第2の対称線
N 中性子線
R1 前半分エリア
R2 後半分エリア
S 収容スペース
図1
図2
図3
図4