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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 315A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020148245
(22)【出願日】2020-09-03
(62)【分割の表示】P 2016225950の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2020192434
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和泉 敦司
【審査官】大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第6823848(JP,B2)
【文献】特開2017-189548(JP,A)
【文献】特開2012-120674(JP,A)
【文献】特開2011-010741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時入球可能な第1始動口と、
作動口への入球に起因して普図当否判定が行なわれ、当選と判定されると作動する可変入賞装置内に設けた第2始動口と、
前記第1始動口への入球に起因して行なわれる特図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する第1特別図柄と、
前記第2始動口への入球に起因して行なわれる前記特図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する第2特別図柄と、
前記普図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する普通図柄と、を備え、
前記特図当否判定は確率変動を行わず、少なくとも、前記第2特別図柄には小当り図柄を備えており、該小当り図柄で確定表示が行なわれると、入球した遊技球が通過可能な特定領域を備えた大入賞口を開放する小当り遊技を実施し、該小当り遊技により前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域を通過するか、又は前記第1特別図柄、若しくは前記第2特別図柄が大当り図柄を確定表示することに基づいて大当り遊技を行う弾球遊技機であって、
前記第1始動口への入球に起因して抽出した乱数を、前記特図当否判定が実施されるまで第1保留記憶として所定の上限数まで記憶する第1保留記憶手段と、
前記第2始動口への入球に起因して抽出した乱数を、前記特図当否判定が実施されるまで第2保留記憶として所定の上限数まで記憶する第2保留記憶手段と、
前記特図当否判定の当選に応じて複数種類の大当り図柄の中から、確定表示する大当り図柄を決定する大当り図柄決定手段と、
前記大当り遊技終了後に所定の確率で作動し、前記特図当否判定が所定回数行なわれると終了する前記可変入賞装置の開放延長手段と、
前記開放延長手段の実施時に、前記普通図柄の変動時間テーブルとしていずれかが設定され、平均変動時間が異なる複数の普図時短変動時間テーブルと、
前記開放延長手段の実施時に、前記第1特別図柄の変動時間テーブルとしていずれかが設定され、平均変動時間が異なる複数の特図時短変動時間テーブルと、
前記大当り図柄の種類に基づいて、設定する前記普図時短変動時間テーブルを決定する普図時短変動時間テーブル決定手段と、
前記大当り図柄の種類に基づいて、設定する前記特図時短変動時間テーブルを決定する特図時短変動時間テーブル決定手段と、
前記第1始動口又は前記第2始動口への入球に起因して抽出した前記乱数を前記特図当否判定以前に判定する先読判定手段とを備え、
該先読判定手段の判定結果に基づいて前記特図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記特図時短変動時間テーブルの種類、又は/及び前記普図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記普図時短変動時間テーブルの種類を示唆する先読演出を行い、
前記第2始動口への入球に起因した前記特図当否判定により、小当り図柄と判定される小当り確率は、前記第2始動口への入球に起因した前記大当り図柄、前記大当り図柄及び前記小当り図柄の何れでもないと判定される確率よりも高い確率とする
ことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾球遊技機、特に始動口への入賞に起因して大当りを生起させるか否かの抽選を実施する弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機たるパチンコ機は、遊技球が始動口へ入球すると、当否判定用の乱数値が抽出され、該乱数値に基づいて抽選が行われ、図柄表示装置にて図柄の変動が開始されるとともに、前記抽選の結果を示す図柄を確定表示することで報知し、抽選結果が当りであれば大入賞口を開放して遊技者にとって有利な大当り遊技を実行する構成の所謂「デジパチ」と称されるタイプの機種が主流である。
【0003】
また、従来のパチンコ機には、デジパチと羽根物タイプのパチンコ機を融合させた混合機と呼ばれるタイプがあり、この混合機は、前記デジパチタイプのように、図柄により大当りが決定する遊技構成と、所定の条件で開放する役物の内部に設けられている特定領域に遊技球が入球すると大当りが生起する所謂「羽根物」と呼ばれる遊技構成と、二つの遊技構成を備えている。
【0004】
このような混合機は、図柄始動口への遊技球の入球に起因して当否判定を行い、当否判定の結果が大当りの時は、条件装置と役物連続作動装置とを作動させてデジパチ同様の大当り遊技を行い、当否判定の結果が小当りの時は、条件装置のみを作動させて、大入賞口を短時間開放させる小当り遊技を行う。この小当り遊技により大入賞口に入球した遊技球が、大入賞口内に設けられた特定領域に入球すると、役物連続作動装置が作動し、デジパチ同様の大当り遊技が開始される構成となる。
【0005】
さらに、このような混合機の具体的なゲーム内容としては、通常状態では第1始動口への遊技球の入球に起因して当否判定を行い、当否判定の結果が大当りの時は大当り遊技を行い、該大当り遊技終了後は、図柄の変動時間を変化させながら(時短状態)第2始動口となる普通電動役物が頻繁に作動する開放延長状態とし、第2始動口入球時は小当り当選確率を高く設定することで、通常遊技時は、デジパチの遊技性である図柄当りを目指す遊技を、時短、開放延長状態時は羽根物の遊技性である役物当りを目指す遊技を1つの遊技機で楽しむことができるようになっている。<特許文献1>
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-050608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上述した混合機には、開放延長状態中に普通電動役物である第2始動口への入賞に起因する抽選が行われると高確率で小当りが発生し、当該小当りからほぼ役物大当りが生起する構成のものがある。この構成により、開放延長状態中は間断なく大当り遊技が行われ短時間で多量出玉の獲得を可能としている。また、この構成では、第2始動口である普通電動役物を開放させることとなる普通図柄の当選確率が、事実上の役物大当り確率となる。
【0008】
そこで、本発明は、開放延長状態中の小当りがほぼ役物大当りにつながる混合機の構成において、新規の遊技性を備えた弾球遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の弾球遊技機は、
常時入球可能な第1始動口と、
作動口への入球に起因して普図当否判定が行なわれ、当選と判定されると作動する可変入賞装置内に設けた第2始動口と、
前記第1始動口への入球に起因して行なわれる特図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する第1特別図柄と、
前記第2始動口への入球に起因して行なわれる前記特図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する第2特別図柄と、
前記普図当否判定の結果を変動表示後の確定表示によって報知する普通図柄と、を備え、
前記特図当否判定は確率変動を行わず、少なくとも、前記第2特別図柄には小当り図柄を備えており、該小当り図柄で確定表示が行なわれると、入球した遊技球が通過可能な特定領域を備えた大入賞口を開放する小当り遊技を実施し、該小当り遊技により前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域を通過するか、又は前記第1特別図柄、若しくは前記第2特別図柄が大当り図柄を確定表示することに基づいて大当り遊技を行う弾球遊技機であって、
前記第1始動口への入球に起因して抽出した乱数を、前記特図当否判定が実施されるまで第1保留記憶として所定の上限数まで記憶する第1保留記憶手段と、
前記第2始動口への入球に起因して抽出した乱数を、前記特図当否判定が実施されるまで第2保留記憶として所定の上限数まで記憶する第2保留記憶手段と、
前記特図当否判定の当選に応じて複数種類の大当り図柄の中から、確定表示する大当り図柄を決定する大当り図柄決定手段と、
前記大当り遊技終了後に所定の確率で作動し、前記特図当否判定が所定回数行なわれると終了する前記可変入賞装置の開放延長手段と、
前記開放延長手段の実施時に、前記普通図柄の変動時間テーブルとしていずれかが設定され、平均変動時間が異なる複数の普図時短変動時間テーブルと、
前記開放延長手段の実施時に、前記第1特別図柄の変動時間テーブルとしていずれかが設定され、平均変動時間が異なる複数の特図時短変動時間テーブルと、
前記大当り図柄の種類に基づいて、設定する前記普図時短変動時間テーブルを決定する普図時短変動時間テーブル決定手段と、
前記大当り図柄の種類に基づいて、設定する前記特図時短変動時間テーブルを決定する特図時短変動時間テーブル決定手段と、
前記第1始動口又は前記第2始動口への入球に起因して抽出した前記乱数を前記特図当否判定以前に判定する先読判定手段とを備え、
該先読判定手段の判定結果に基づいて前記特図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記特図時短変動時間テーブルの種類、又は/及び前記普図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記普図時短変動時間テーブルの種類を示唆する先読演出を行い、
前記第2始動口への入球に起因した前記特図当否判定により、小当り図柄と判定される小当り確率は、前記第2始動口への入球に起因した前記大当り図柄、前記大当り図柄及び前記小当り図柄の何れでもないと判定される確率よりも高い確率とする
ことを特徴とする弾球遊技機である。
【0010】
第1始動口と第2始動口とに遊技球が入球すると、該入球に起因して複数の乱数を抽出する構成が好適であり、大当りを生起させるか否かを抽選するための当否(大当り)判定用乱数の他に、該大当り判定用乱数の抽選結果に応じた図柄の種類と、当該図柄を導出表示するまでの可変表示時間とを決定するために用いる乱数であればよく、例えば大当り,小当り,ハズレの図柄決定用乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン決定用乱数としてもよく、当否判定の結果に応じて、使用する乱数と使用しない乱数とがある構成としてもよい。また、乱数値の抽出時期は、始動口への遊技球の入球時に限らず、図柄の変動開始時に行われる当否判定実施時としてもよい。また、常時入球可能な第1始動口を常時入球率が変化しない始動口として複数設けてもよい。
【0011】
同様に、普図当否判定に係る作動口へ遊技球が入球すると、該入球に起因して複数の乱数を抽出する構成が好適である。作動口入球時は、可変入賞装置が作動する当りか否かを判定(普図当否判定)する乱数と、当り図柄を決定する乱数と、普通図柄の変動時間を決定する乱数値としてもよい。また、決定した当り図柄に基づいて可変入賞装置の作動内容を決定する構成としてもよいし、当りか否かを判定する乱数の値に応じて可変入賞装置の作動内容を決定してもよい。
【0012】
小当り遊技時に大入賞口に入球した遊技球は、所定の確率で特定領域に入球する構成としてもよく、例えば、大入賞口内に振分装置を備え、当該大入賞口に入球した遊技球を異なる経路に振り分け可能とすることで特定領域への入球確率を所定の確率としてもよいし、大入賞口への入賞率によって特定領域への入球確率を設定する構成でもよく、これらを組み合せて設定する構成でもよい。
【0013】
開放延長手段は、大当り遊技終了後から可変入賞装置が開放する開放時間を開放延長手段未実施時に比べ延長、又は/及び開放回数を増加させるものであり、開放延長手段が実施される特図当否判定が所定回数行われる間は、第1特別図柄、第2特別図柄、及び普通図柄の変動時間が開放延長手段未実施時とは変化する時短状態となるのが好適であるが、開放延長手段が実施される状態、時短状態が実施される状態と各々単独で実施される状態としてもよい。
【0014】
なお、開放延長手段は、大当り遊技終了時に開始し特図当否判定が所定回数行なわれると終了するが、該終了する条件の特図当否判定が所定回数行われるとは、当否判定の結果が報知されるまでの特図の変動を所定回数行うとしてもよい。また、開放延長手段実施時に可変入賞装置が開放した場合、入賞数が規定入賞数に達すると可変入賞装置の開放を終了する構成が好適である。
【0015】
また、第2の弾球遊技機では、前記第1始動口への入球に起因して抽出した前記乱数を前記特図当否判定以前に判定する第1先読判定手段を備え、
該第1先読判定手段の判定結果に基づいて前記特図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記特図時短変動時間テーブルの種類、又は/及び前記普図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記普図時短変動時間テーブルの種類を示唆する第1先読演出を行うことを特徴とする。
【0016】
第1先読判定手段は乱数を抽出する毎に毎回実施してもよいし、所定の遊技状態であることを条件に実施してもよい。また乱数の判定(先読判定)自体は毎回行いながらも、演出機器を制御するサブ制御装置への該判定結果の送信を所定の遊技状態の場合のみとしてもよい。
【0017】
また、第3の弾球遊技機では、前記第2始動口への入球に起因して抽出した前記乱数を前記特図当否判定以前に判定する第2先読判定手段を備え、
該第2先読判定手段の判定結果に基づいて前記特図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記特図時短変動時間テーブルの種類、又は/及び前記普図時短変動時間テーブル決定手段が決定する前記普図時短変動時間テーブルの種類を示唆する第2先読演出を行うことを特徴とする。
【0018】
第2先読判定手段は乱数を抽出する毎に毎回実施してもよいし、所定の遊技状態であることを条件に実施してもよい。また乱数の判定(先読判定)自体は毎回行いながらも、演出機器を制御するサブ制御装置への該判定結果の送信を所定の遊技状態の場合のみとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の弾球遊技機によれば、大当り図柄に応じて決定する特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとに基づく開放延長手段の実施期間となる特図の変動時間と普図の変動時間との組合せにより、開放延長手段の実施期間における普図当否判定の回数に差が出るようにすることで、大当り図柄に基づいて決定した特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとによって役物大当り獲得数の優位度が変化するという新規の遊技性を備えた遊技機を提供することが可能となる。
【0020】
比較して開放延長中の普図の変動回数が多くなる特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとの組合せを決定する大当り図柄で大当りすれば、当該大当り遊技終了後に獲得可能な役物大当りはより多くの回数が期待でき、
比較して開放延長中の普図の変動回数が少なくなる特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとの組合せを決定する大当り図柄で大当りすれば、当該大当り遊技終了後に獲得可能な役物大当りはより少なくなる。但し、結果が必ずそうなるわけではなく、開放延長中の普図の当選確率の偏りにより、開放延長中の普図の変動回数が多くても結果的に獲得した役物大当りの数が少なくなったり、その逆に開放延長中の普図の変動回数が少なくても確率が甘く偏ることで期待以上に多くの役物大当りを獲得する場合もある。
【0021】
第2の弾球遊技機によれば、請求項1と同様の効果を奏しながら、初当りを狙う通常の遊技状態において、従来の先読演出のように大当たりか否かのみを示唆するだけでなく、大当り遊技後の開放延長中においてより多くの役物大当りを獲得するための有利度を事前に示唆することが可能となる。
【0022】
第3の弾球遊技機によれば、請求項1又は第2の弾球遊技機と同様の効果を奏しながら、第2保留記憶を発生させる開放延長手段の実施中において、役物大当り遊技終了後の開放延長中により多くの役物大当りを獲得するための有利度を事前に示唆することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】遊技盤1の正面図。
図2】振分装置92の動作を説明する図。
図3】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図。
図4】実施例1のパチンコ機の作動内容を示す図表。
図5】実施例1における大当り図柄の種類と時短時に設定される普図時短変動時間テーブルとの関係を示す図表。
図6】主制御装置80が実行するメインルーチンを示すフローチャート。
図7】主制御装置80が実行する始動入賞処理を示すフローチャート。
図8】主制御装置80が実行する特図当否判定処理1を示すフローチャート1。
図9】主制御装置80が実行する特図当否判定処理1を示すフローチャート2。
図10】主制御装置80が実行する特図当否判定処理1を示すフローチャート3。
図11】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート1。
図12】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート2。
図13】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート3。
図14】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート4。
図15】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート5。
図16】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート6。
図17】主制御装置80が実行する特別遊技処理を示すフローチャート7。
図18】サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理を示すフローチャート。
図19】サブ統合制御装置83が実行する先読判定コマンド受信処理を示すフローチャート。
図20】サブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を示すフローチャート。
図21】演出図柄表示装置6の表示例1。
図22】演出図柄表示装置6の表示例2。
図23】演出図柄表示装置6の表示例3。
図24】演出図柄表示装置6の表示例4。
図25】実施例2のパチンコ機の作動内容を示す図表。
図26】実施例2における大当り図柄の種類と時短時に設定される第1特図時短変動時間テーブルとの関係を示す図表。
図27】実施例2のパチンコ機の作動内容を示す図表。
図28】実施例2における大当り図柄の種類と時短時に設定される第1特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとの関係を示す図表。
図29】変形例としてのパチンコ機の作動内容を示す図表。
図30】変形例としての普通図柄の種類と普通図柄の変動時間との関係を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施形態例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
【実施例1】
【0025】
図1は、遊技盤1の正面図である。図1に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域が、ほぼ中央部に配置されたセンターケース5を境に第1遊技領域3aと第2遊技領域3bとに分けられており、センターケース5の左側が第1遊技領域3a、右側が第2遊技領域3bとなり、図に示したA部まで到達した遊技球は、第2遊技領域誘導路101を転動し、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に至り、Aに到達しない遊技球が第1遊技領域3a(センターケース5の左側)を流下することになる。また、この第1遊技領域3a,第2遊技領域3bには多数の遊技釘が植設されている。
【0026】
センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の左側を流下した遊技球が転動可能なセンターケース5の中央直下には、第1の第1始動口11(本発明の第1始動口に相当)が配置され、第1始動口11の左方には、3個の入球率が変化しない普通入賞口31が設けられている。
【0027】
センターケース5の右の第2遊技領域3bには、上から第2の第1始動口111が配置され、その下には普通図柄作動ゲート17(本発明の作動口に相当)が配置され、その左下には、センターケース5右側面と一体化し片羽根が開閉動作を行う第1大入賞口14が設置されている。第2の第1始動口111は、第1の第1始動口11に比べ入球率が低く、遊技者が通常時に入賞を狙うには不利な始動口となっている。
【0028】
第1大入賞口14の下には、普通電動役物16(本発明の可変入賞装置に相当)が配置され、この普通電動役物16が作動すると第2始動口12(本発明の第2始動口に相当)への遊技球の入球が可能となる。
【0029】
第2始動口12の左下(第1始動口11の右)には、特定領域94(本発明の特定領域に相当)を備えた振分装置92を設けた第2大入賞口91(本発明の入球した遊技球が通過可能な特定領域を備えた大入賞口に相当)が配置されている。この振分装置92の構造については図2を用いて後述する。なお、第1大入賞口14は大当り遊技時(役物大当り生起後の大当り遊技も含む)に作動し、第2大入賞口91は小当り遊技時に作動する。
【0030】
第1始動口11は、植設された遊技釘及びセンターケース5の成型形状により、第2遊技領域3bを流下した遊技球が入球困難な構成となっている。これにより、第1始動口11は、ほぼ第1遊技領域3aを流下した遊技球のみが入球可能となる。また、第2の第1始動口111、普通図柄作動ゲート17、第1大入賞口14、第2始動口12、第2大入賞口91については、同様の理由により第2遊技領域3bを流下した遊技球のみが入球可能となっている。
【0031】
第2遊技領域3bの下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7、普通図柄保留数表示装置8と、7セグメント表示装置からなる第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10と、複数個のLEDからなる第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19とが配置されている。この位置に配置した各種表示装置の表示内容を遊技者が確実に認識することは困難となり、遊技中の遊技者は遊技盤中央に配置された演出図柄表示装置6の表示内容に注目して遊技を行うことになる。
【0032】
上記のように遊技盤1を構成することによって、第1遊技領域3a、又は第2遊技領域3bに遊技球を流下させることにより、第1の第1始動口11、又は第2の第1始動口111に遊技球が入球すると(第1の第1始動口スイッチ11a、第2の第1始動口スイッチ111a(図3参照)が遊技球を検出)、第1特別図柄表示装置9において第1特別図柄(本発明の第1特別図柄に相当)が変動を開始し、所定時間後に停止する。
【0033】
第2遊技領域3bに遊技球を流下させることにより、普通図柄作動ゲート17に遊技球が入球すると(普通図柄作動スイッチ17a(図3参照)が遊技球を検出)、普通図柄表示装置7で普図が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普図の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド12b(図3参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド12bが駆動すると、ほぼ同期して普通電動役物16の扉部が開放して、第2始動口12への入球(第2始動口スイッチ12a(図3参照)の検出)が可能となるように構成されている。第2始動口12に遊技球が入球すると、第2特別図柄表示装置10において第2特別図柄(本発明の第2特別図柄に相当)が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0034】
第1特別図柄(以降、第1特図ともいう)及び第2特別図柄(以降、第2特図ともいう)の変動中は、演出図柄表示装置6において各々の特別図柄(以降、特図ともいう)の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、同時に変動することはなく、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動(当否判定)を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し、且つ、第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。なお、後述する時短状態(開放延長状態)中においては、演出図柄表示装置6には普通図柄の変動及び確定表示に対応した擬似図柄の演出態様を表示する。
【0035】
第1特別図柄及び第2特別図柄の確定表示した態様に応じて、後述する第1大入賞口ソレノイド14b(図3参照)、又は第2大入賞口ソレノイド91bが駆動する。第1大入賞口ソレノイド14bが駆動(大当り遊技時)すると、ほぼ同期して第1大入賞口14の扉部材が開放し、第1大入賞口14への遊技球の入球(第1カウントスイッチ14a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となり、第2大入賞口ソレノイド91bが駆動(小当り遊技時)すると、ほぼ同期して第2大入賞口91の扉部材が開放し、第2大入賞口91への遊技球の入球(第2カウントスイッチ91a(図3参照)が遊技球を検出)が可能となるように構成されている。
【0036】
普通電動役物16からなる第2始動口12、第1大入賞口14、第2大入賞口91は、第2遊技領域3b(センターケース5の右側)に配置されているため、遊技状態が開放延長遊技状態に移行した場合、大当り遊技に移行した場合、小当り遊技に移行した場合は、発射した遊技球の全てが第2遊技領域3bに到達するように発射ハンドルを調整することになる。また、第2遊技領域3bには第2の第1始動口111が配置されているため、大当り遊技状態(開放延長遊技状態、、小当り遊技状態)においても第2の第1始動口111に遊技球が入球する構成(大当り遊技中に第1保留記憶が記憶される構成)となっている。
【0037】
次に、図2を用いて、特定領域94を備えた振分装置92を説明する。振分装置92の内側上部にはワープ出口92aが設けられており、第2大入賞口91に入球した遊技球は全てワープ出口92aから振分装置92内に流れ込む。ワープ出口92aの下方には一対の振分羽根93が設けられており、第2大入賞口91の開閉動作時に作動する。
【0038】
振分羽根93が閉鎖されているとき(図(a))にワープ出口92aから遊技球が流出すると、遊技球はハズレ口92bに導かれるため特定領域94には入球しない。開放されているとき(図(b))にワープ出口92aから遊技球が流出すると、Vで示された特定領域94に入球する。従って、図(a)の閉鎖状態と図(b)の開放状態とで各々の時間を設定し交互に組み合わせることで特定領域94への遊技球の入球率が設定できる。また、第2大入賞口91の開閉タイミングと組み合わせても同様に入球率の設定ができる。なお、振分装置92に誘導される遊技球は、第2カウントスイッチ91aで検出済の遊技球となる。
【0039】
図3は、パチンコ機の電気的構成を示すブロック図となり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細な図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本実施例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0040】
主制御装置80には、第1の第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1の第1始動口スイッチ11a、第2の第1始動口111に入球した遊技球を検出する第2の第1始動口スイッチ111a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、普通図柄を作動させる普通図柄作動ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、第1大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第2大入賞口91に入球した遊技球を計数するための第2カウントスイッチ91a、普通入賞口31に入球した遊技球を検出する普通入賞口スイッチ31a、特定領域94に入球した遊技球を検出する特定領域スイッチ94a等の検出信号が入力され、裏配線中継端子板75を介して、前枠(ガラス枠)および内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36の検出信号が入力される。
【0041】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている第1特別図柄表示装置9、第2特別図柄表示装置10及び普通図柄表示装置7の表示、第1特別図柄保留数表示装置18、第2特別図柄保留数表示装置19、普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0042】
更に、主制御装置80は、第1大入賞口ソレノイド14bを制御することで第1大入賞口14の開閉を制御し、第2大入賞口ソレノイド91bを制御することで第2大入賞口91の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(図3では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで普通電動役物16の開閉を制御し、振分羽根ソレノイド93bを制御することで振分装置92内の振分羽根93の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が外部接続端子78に出力されてホールコンピュータ87に送られる。
【0043】
主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が行われ、払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を制御して賞球を払い出す。本実施例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出スイッチ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出スイッチ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0044】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0045】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してプリペイドカードユニットと交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示基板25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示基板25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸ボタン、精算を要求するための返却ボタン、残高表示器が接続されている。
【0046】
また、払出制御装置81は、外部接続端子78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータに送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお本実施例では遊技球を払い出す構成であるが、入賞等に応じて発生した遊技球を払い出さずに記憶する封入式の構成にしても良い。
【0047】
発射制御装置84は発射モータ30を制御して遊技球を発射させる。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドルからの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。回動量信号は、遊技者が発射ハンドルを操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドルを触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドルを触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0048】
サブ統合制御装置83(本発明のサブ制御装置に相当)はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ67aの入力ならびに主制御装置80から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄制御装置82に出力する。
【0049】
また、サブ統合制御装置83には、音量を調節する音量調節スイッチ83aが備えられ、音量調節スイッチ83aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ66へ送信する内容とを判断し、スピーカ66から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。
【0050】
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄等の演出画像を表示する。尚、サブ統合制御装置83と主制御装置80とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置80からサブ統合制御装置83への一方向通信回路として構成され、サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とはサブ統合制御装置83から演出図柄制御装置82への一方向通信回路として構成されている。
【0051】
次に、図4図5に示した図表を用いて、実施例1のパチンコ機の作動内容について説明する。本実施例におけるパチンコ機の大当り確率は、第1特図と第2特図とで共通の1/320となり、特図当否判定(本発明の特図当否判定に相当)に係る確率変動機能は備えていない。小当りは第2特図のみが備え、その確率は1/1.003となり、そのため第2特図が変動(特図当否判定を実施)すると高確率で小当りに当選(ほぼ毎回小当りに当選)し、該当選に応じて第2大入賞口91が6.000秒の開放動作を1回行う小当り遊技を行う。
【0052】
第2特図の小当り当選により小当り遊技を行った場合、第2大入賞口91の開放と同時に上述した振分装置92内の振分羽根93も開放状態に変位し、振分羽根93の開放状態は特定領域94に遊技球が1個入球するか第2大入賞口91に遊技球が9個入賞するまで継続する。従って、第2特図が小当りに当選すると、第2大入賞口91に入賞した1個目の遊技球が特定領域94に入球するため、第2特図が変動すればほぼ役物大当りが生起する。
【0053】
無論、この遊技構成は一例であり、平均して1/5で役物大当りが生起するように設定して、役物大当りが生起するか否かで楽しませる遊技構成にしてもよいし、第2大入賞口91に特定領域94を備えず、小当りで単純に賞球を発生させて開放延長状態時は持玉が増加しやすくした遊技構成とすることも考えられる。
【0054】
役物大当り、又は図柄大当り当選に基づいて実行する大当り遊技の終了後は、特図と普図の変動時間が通常状態から変化するとともに、普通電動役物16の作動時間が変化する時短、開放延長状態に移行する。時短、開放延長状態への突入率(移行率)は、第1特図の場合は大当り図柄の種類に基づいて80%の確率となり、第2特図の大当り及び小当りからの役物大当りの場合は、大当り遊技終了後は100%の確率で時短、開放延長状態へ移行(突入)する。
【0055】
なお、本実施例のパチンコ機は、上述したように第2特図が変動すると高確率で役物大当りが生起する構成と、時短、開放延長状態を実施する「一定の期間」と、大当り図柄(又は小当り図柄)の種類に応じて異なる時短時の普図の平均変動時間と、の組合せにより、一定の期間の間に普図で当選して第2特図での抽選の機会を与えることができるか否かに特徴がある遊技性となり、一定期間となる時短中に第2保留記憶をより多く記憶(ストック)するためには、普図の変動時間がより短い方が普図の当否判定回数が多くなり有利となる。
【0056】
上記した「一定の期間」に相当する本実施例におけるパチンコ機の時短、開放延長期間は、大当り遊技終了後から変動を開始した第1特図(又は第2特図)が、当該開始した1回の変動を終了するまでの期間(特図が1回変動する期間)となり、時短状態への移行とともに第1特図が変動する場合(第2保留記憶が無い場合)は、時短、開放延長期間は100秒となり、第2特図が変動する場合(時短期間終了後、役物大当り終了後)は1秒となる(特図の種類に応じてその期間は一定に定められている)。
【0057】
また、大当り図柄の種類と、大当り遊技終了後の時短時に用いる普図時短変動時間テーブル(本発明の普図時短変動時間テーブルに相当)の平均変動時間との関係は、図5の図表に示す内容となり、大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄1、又は第2特図7ラウンド時短有図柄なら、大当り遊技終了時に設定される普図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約1.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図が変動可能な回数、即ち、普図の当否判定が可能な回数は最大100回となる。
【0058】
同様に大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄2、又は第2特図15ラウンド時短有図柄1なら、平均変動時間は約3.0秒で普図の当否判定可能回数は最大33回。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄3、又は第2特図15ラウンド時短有図柄2なら、平均変動時間は約5.0秒で普図の当否判定可能回数は最大20回。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄4、又は第2特図15ラウンド時短有図柄3なら、平均変動時間は約10.0秒で普図の当否判定可能回数は最大10回となる。
【0059】
なお、第1特図が大当りした場合は、大当り図柄の種類に拘わらず全ての大当りで第1大入賞口14が7ラウンドの大当り遊技(1ラウンドあたり10カウント又は29.0秒の開放を1回行う)を行う。また、第2特図が図柄大当り、又は小当りから役物大当りした場合は、1/4の確率で(7ラウンド時短有図柄の場合)第1大入賞口14が7ラウンドの大当り遊技を行い、3/4の確率で(15ラウンド時短有図柄1、2、3の場合)第1大入賞口14が15ラウンドの大当り遊技を行う(大当り、小当り図柄の種類に応じてラウンド振分)。また普通電動役物16は開放延長状態では普図の当選に応じて5.5秒の開放を1回行うが、非開放延長状態では普図当選時の開放時間が0.1秒となるため入球率はほぼ0%となる。
【0060】
上述した構成を組み合わせることによって成立する遊技性は、大当り遊技終了後に時短、開放延長状態に移行した場合は、時短、開放延長状態となる限られた時間内に(第1特図の1回の変動中に)より多くの大当りをストックし(普図に当選してより多くの第2保留記憶を記憶し)、限られた時間が終了した時点からストックを順次放出する(時短期間となる第1特図の変動終了後、時短中に記憶した第2保留記憶を優先変動により順次消化することで第2保留記憶分の役物大当りを生起させる)が、大当り図柄の種類に応じて大当りをストックする条件が変化する(限られた時間内で実施する普図の抽選回数が変化する)という従来にないものとなる。
【0061】
遊技の一例を実際の遊技進行に沿って説明する。遊技を開始した通常状態では、第1遊技領域3aに遊技球を流下させることで第1の第1始動口11への入賞を主に遊技を進行する。この状態から大当りすると、第2遊技領域3bに遊技球を流下させる大当り遊技を行う。大当り遊技が終了した時点では、大当り遊技中の第2の第1始動口111への入賞により第1保留記憶(第1の第1始動口11、又は第2の第1始動口111入球に起因する保留記憶)は記憶されているが、第2保留記憶は記憶されていない。従って、第1特図の大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄1から4のいずれかであったなら、時短、開放延長状態に移行し、時短、開放延長状態の期間として第1特図が100秒の変動を開始する。
【0062】
時短、開放延長状態を開始すると、遊技者は引き続き第2遊技領域3bへの遊技球の発射を継続することで、普通図柄作動ゲート17へ遊技球を入球させ普図当否判定を行う。普図当否判定の結果は、所定時間の普図の変動表示後確定表示し、当選であれば普通電動役物16が作動するが、この場合、開放延長状態であるため、普図の変動時間は大当り図柄に応じて設定された普図時短変動時間テーブルから選択され、当選時の普通電動役物16は5.5秒の開放を1回行う。但し、普通電動役物16の規定入賞数は1個であるため、開放した普通電動役物16に遊技球が1個入賞(第2始動口12に遊技球が1個入賞)すると開放動作を終了する。
【0063】
これにより、時短、開放延長状態中に普図が当選すると、当選する毎に第2保留記憶が1個増加(大当りを1回ストック)する。また、時短、開放延長状態を実施する時間は第1特図が変動する100秒間の一定時間となるが、普図の変動時間は大当り図柄に応じて設定される変動時間テーブルの種類によってその平均変動時間が異なる。従って、大当り図柄によって、時短、開放延長状態中に第2保留を記憶しやすいか否か(より多くの普図当否判定が行えるか否か)が決定し、遊技者の優位度(1/21の確率で100秒間に何回の普図当否判定が行える可能性があるか)が決まる。
【0064】
時短、開放延長状態が終了すると、優先変動によって時短、開放延長状態中に記憶した第2保留記憶の特図当否判定が順次行われ、該特図当否判定が行われる毎に小当りに当選し役物大当りが生起する。この役物大当りの生起が、時短、開放延長状態中に記憶した第2保留記憶の数分連続して行われる。なお、最後の第2保留記憶の小当りから役物大当りが生起した後は、第1特図が100秒の変動を行う時短、開放延長状態に再度移行するが、この場合の普図の変動パターンテーブルは、第2特図の小当り図柄に応じて設定される。
【0065】
次に、図6を用いて、主制御装置80が実行するメインルーチンを説明する。メインルーチンは、約2ms毎のハード割り込みにより定期的に実行される。本実施形態では、S10~S75までの1回だけ実行される処理を「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるS80の処理を「残余処理」と称する。「本処理」は上記割り込みにより定期的に実行されることになる。
【0066】
マイコンによるハード割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(S10)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。正常割り込みでない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、ほとんどが電源投入時である。電源投入時にはRAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
【0067】
S10が否定判定、即ち、正常割り込みでないと判断されると(S10:no)、初期設定(例えば前記メモリの所定領域への所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み等)が為され(S15)、残余処理(初期乱数更新処理(S80))に移行する。
【0068】
正常割り込みとの肯定判断がなされると(S10:yes)、初期値乱数更新処理(S20)、大当り決定用乱数更新処理(S25)、大当り図柄決定用乱数1更新処理(S30)、大当り図柄決定用乱数2更新処理(S35)、小当り図柄決定用乱数更新処理(S40)、当り決定用乱数更新処理(S45)、リーチ判定用乱数更新処理(S50)、変動パターン決定用乱数更新処理(S55)が行われる。
【0069】
続く入賞確認処理(S60)では、第1の第1始動口11、第2の第1始動口111、第2始動口12、第1大入賞口14、第2大入賞口91一般入賞口31への入賞及び普通図柄作動ゲート17、特定領域94への入球の確認、及びパチンコ機50に設けられ主制御装置80に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。各始動口及び作動口への入賞(入球)確認処理(始動入賞処理)については、図7を用いて後述する。
【0070】
続いて、当否判定処理(S65)、画像出力処理等の各出力処理(S70)、不正監視処理(S75)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S80)をループ処理する。
【0071】
次に、図7を用いて、主制御装置80が実行する始動入賞処理を説明する。本処理は、図6に示した入賞確認処理(S60)のサブルーチンの一つとなる(本発明の第1保留記憶手段、第2保留記憶手段、第1先読判定手段、第2先読判定手段を含む)。
【0072】
第1の第1始動口11及び第2の第1始動口111に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第1保留記憶、第2始動口12に遊技球が入球したときに格納される保留記憶を第2保留記憶、普通図柄始動ゲート17を遊技球が通過したときに格納される保留記憶を普図保留記憶として説明する。なお、本実施例では第1保留記憶、第2保留記憶、普図保留記憶の上限数を4個としている。
【0073】
本処理を開始すると、第1の第1始動口スイッチ11a、又は第2の第1始動口スイッチ111aが遊技球を検出したか否か判定する(S100)。肯定判定であれば(S100:yes)、主制御装置80に既に格納されている第1保留記憶数が上限数(本実施例では4個)未満であるか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第1保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第1保留記憶の数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(S110)。
【0074】
S110に続いては、記憶した第1保留記憶の先読判定を行う(S115)(第1先読判定手段)。具体的には、大当り決定用乱数の値が大当りを生起させる値か否かを確認し、大当り値なら大当り図柄の種類を確認する。大当り判定がハズレなら、期待度の高いリーチを行うか否か確認する。
【0075】
続いて、S115の先読判定結果に基づいて第1先読判定コマンドを生成してサブ統合制御装置83に送信し(S120)、S110で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信する(S125)。本実施例では、第1先読判定コマンドと第1保留数指示コマンドとを個別のコマンドとしてサブ統合制御装置83に送信しているが、この二つのコマンド内容を一つのコマンドに生成してサブ統合制御装置83に送信する構成も考えられる。
【0076】
S125の処理、又はS100、S105の否定判定(S100:no、S105:no)に続いては、第2始動口スイッチ12aが遊技球を検出したか否か判定する(S130)。否定判定なら(S130:no)S160に進み、肯定判定なら(S130:yes)、主制御装置80に格納されている第2保留記憶の数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S135)。否定判定なら(S135:no)S160に進み、肯定判定であれば(S135:yes)、当否乱数等の各種乱数値(大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数1,2、小当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等)を抽出し、第2保留記憶として主制御装置80の保留記憶数に応じた記憶領域に格納し、第2保留記憶の数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算し(S140)、S115と同様に記憶した第2保留記憶の先読判定を行う(S145)(第2先読判定手段)。
【0077】
続いて、S145の判定結果に基づいて第2先読判定コマンドを生成しサブ統合制御装置83に送信し(S150)、S140で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信して(S155)S160に進む。
【0078】
S160では、普通図柄作動スイッチ17aが遊技球を検出したか否か判定し(S160)、否定判定なら(S160:no)、リターンに抜ける。S160が肯定判定なら(S160:yes)、主制御装置80に格納されている普図保留記憶数が上限数(=4個)未満か否か判定する(S170)。否定判定なら(S170:no)リターンに抜け、肯定判定であれば(S170:yes)、抽出した当り判定用乱数、当り図柄決定用乱数、普図変動パターン決定用乱数を普図保留記憶として記憶し、普図保留記憶数を示す普図保留記憶カウンタに1を加算し(S175)、加算した普図保留記憶カウンタの値を示す普図保留記憶数指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S180)、リターンする。
【0079】
サブ統合制御装置83は第1及び第2保留記憶数指示コマンドを受信すると、受信したコマンドが示す保留記憶数に応じて演出図柄表示装置6上で表示する各保留記憶数を変化させる指示信号を演出図柄制御装置82に送信する。また、本実施例では、演出図柄表示装置6上では普通図柄の保留記憶数表示は行わないが、普図保留記憶数指示コマンドの受信に応じて表示する構成としてもよいし、普図保留記憶数指示コマンド自体を送信しない構成としてもよい。また、普図の先読判定を実施し判定結果をサブ統合制御装置に送信する構成も考えられる。これにより、時短状態時の普通電動役物16の開放や、普図の変動時間を示唆する(大当りストックの優位度を示唆する)普図先読予告演出の実施が可能となる。
【0080】
次に、図8,9,10を用いて、主制御装置80が実行する特図当否判定処理を説明する。本処理は、第1保留記憶と第2保留記憶の当否判定及び該当否判定の結果に応じた第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示時間選択、確定図柄選択、大当り遊技の内容設定、大当り遊技終了後の遊技状態設定を行う処理となり、本発明の優先判定手段、大当り図柄決定手段を含む処理となる。
【0081】
本処理を開始すると、条件装置が作動中、即ち大入賞口が作動中か否かを判定し(S500)、肯定判定なら(S500:yes)、リターンし、否定判定なら(S500:no)、第1又は第2特図が変動中か否かを判定し(S505)、変動中でなければ(505:no)、第1又は第2特図の確定図柄表示中であるか否か判定し(S510)、確定表示中でなければ(S510:no)、第2保留記憶が有るか否か判定し(S515)、否定判定なら(S515:no)、第1保留記憶が有るか否か判定し(S520)、否定判定なら(S520:no)リターンし、S515、又はS520が肯定判定なら(S515:yes,S520:yes)、S525に進む。このS515とS520の判定順序により、第2保留記憶の当否判定を優先して実施する。
【0082】
S525では、時短フラグが0か否か判定し(S525)、否定判定、即ち、時短状態及び開放延長状態なら(S525:no)、時短状態中の処理を行うが、時短状態では、当否判定結果に応じて選択する変動パターンの選択テーブルが異なるだけとなり従来技術と何ら変わらないため、説明は割愛する。
【0083】
S525が肯定判定、即ち、通常状態なら(S525:yes)、保留記憶のシフト処理を行う(S530)。これにより最も古い(保留記憶されてから最も時間が経過している)第1又は第2保留記憶を当否判定の対象とするとともに、該当する保留記憶を示す保留記憶カウンタから1を減算する。
【0084】
続く、大当り判定用乱数比較処理では、特図当否判定の対象とした保留記憶の大当り判定用乱数と予め設定された当否判定テーブルとを比較して、大当り判定用乱数の値が当否判定テーブル内の判定値と一致するか比較する(S535)。
【0085】
続くS540では、S535の結果が大当り(大当り判定値と同一)であるか否か判定する。肯定判定なら(S540:yes)、図柄モード設定処理を行う(S545)。図柄モード設定処理では、判定対象となる第1又は第2保留記憶の大当り図柄決定用乱数1に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態、時短,開放延長状態)を決定する図柄モードを設定する。
【0086】
続いて、設定した図柄モードの種類と大当り図柄決定用乱数2に基づいて大当り図柄選択処理を行う(S550)。これは、図柄モードの設定によって決定した大当り遊技の種類を大当り図柄によって報知するために、図柄モードの種類毎に設定された図柄郡の中から確定表示する大当り図柄を決定する処理となる(本発明の大当り図柄決定手段に相当)。
【0087】
次にS545で設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理を行う(S555)。モードバッファは当否判定時に確定した大当り遊技終了後の遊技状態の内容を、該遊技状態を設定する大当り遊技終了時まで記憶する装置である(大当り遊技中は遊技状態を設定する確変フラグ、時短フラグをクリアする必要があるため)。モードバッファとしては、具体的な遊技内容は記憶せず、具体的な遊技内容に対応した値を記憶する構成となっている。
【0088】
次に、S545で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる第1大入賞口14の開放パターン設定処理を行い(S560)、当否判定の対象とした第1又は第2保留記憶のリーチ決定用乱数および変動パターン決定用乱数に基づいて、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10、及び演出図柄表示装置6に表示する図柄の変動時間となる変動パターンを選択する変動パターン選択処理を行う(S565)。
【0089】
続いて、選択した大当り図柄および変動パターンの情報を、変動指示コマンドとしてサブ統合制御装置83へ送信する(S570)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づいて、演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、第1又は第2特別図柄の大当り図柄及び変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の演出変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0090】
S540が否定判定、即ちハズレなら(S540:no)、当否判定の対象が第2保留記憶か否か判定し(S580)、肯定判定なら(S580:yes)、S535の比較処理の結果が小当りか否か判定し(S585)、肯定判定なら(S585:yes)、小当り図柄決定用乱数に基づいて小当り図柄を選択し(S590)、続いて第2大入賞口91の開放パターン設定処理を行い(S560)、小当り図柄に対応する前述した変動パターン選択処理を行い(S565)、小当り図柄および変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S570)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、小当り図柄および変動パターンの情報に基づいた第1又は第2特図に対応した演出図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に、主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は、第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0091】
S580、又はS585が否定判定なら(S580:no、S585:no)、ハズレ図柄を選択し(S595)、続いてハズレ図柄に対応する変動パターン設定処理を行い(S565)、ハズレに関する図柄及び変動パターンの情報となる変動指示コマンドをサブ統合制御装置83へ送信する(S570)。この情報を受信したサブ統合制御装置83からの指示に基づき演出図柄制御装置82は演出図柄表示装置6を制御し、ハズレ図柄および変動パターンの情報に基づいた擬似図柄の変動表示を開始する。サブ統合制御装置83への送信とほぼ同時に主制御装置80は、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を直接制御して特別図柄の変動を開始する。
【0092】
次に、S505が肯定判定、即ち、特別図柄の変動中であれば(S505:yes)、図9のフローチャートに進み、特別図柄の変動時間(S565で選択された変動パターンに基づく)が経過したか否か判定する(S600)。否定判定なら(S600:no)リターンし、肯定判断なら(S600:yes)、確定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御してS550,S590又はS595で選択した確定図柄を確定表示させる(S605)。確定コマンドを受信したサブ統合制御装置83は演出図柄制御装置82に予め選択されていた擬似図柄を確定表示させる指示信号を送信し、演出図柄制御装置82は、その信号に応じて演出図柄表示装置6を制御して擬似図柄を確定表示させる。これにより、第1又は第2特別図柄と擬似図柄の変動の開始と終了とが同じタイミングになる(同期する)。
【0093】
S605に続いては、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10で確定表示させた第1又は第2特別図柄が大当り図柄か否か判定し(S610)、肯定判定なら(S610:yes)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S615)、時短フラグが1か否か判定し(S620)、肯定判定なら(S620:yes)、時短フラグに0をセットし(S625)、S625、又はS620の否定判定(S620:no)に続いては、条件装置作動開始処理(S630)と、役物連続作動装置作動開始処理(S635)とを行うことで大当り遊技を開始し、大当り開始演出指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S640)、大当りフラグに1をセットし(S643)、上記処理の結果に基づく遊技状態を示す状態指定コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S645)リターンする。
【0094】
一方、S610が否定判定、即ち、確定図柄が大当りでなければ(S610:no)、確定図柄の表示設定処理(確定図柄で表示させておく時間の設定)を行い(S650)、時短フラグが1か否か判定し(S655)、肯定判定なら(S655:yes)、時短カウンタからデクリメントし(S660)、時短カウンタが0か否か判定し(S665)、肯定判定なら(S665:yes)、時短フラグに0をセットする(S670)。S655からS670によって、特別図柄が当否判定に応じたハズレ確定表示を行うごとに、時短(開放延長)状態を規制する時短カウンタが計数され、これらのカウンタが所定値に至ることで遊技状態が変化(時短(開放延長)状態が終了し通常状態(通常開放状態)に移行)する。
【0095】
続いて、S670、又はS655,S665が否定判定なら(S655:no,S665:no)、判定対象が第2特図か否か判定し(S675)、肯定判定なら(S675:yes)、確定表示された特別図柄が小当り図柄か否かを判定し(S680)、肯定判定なら(S680:yes)、小当り遊技設定処理を行い(S685)、サブ統合制御装置83に小当り開始演出指示コマンドを送信し(S690)、小当りフラグに1をセットする(S695)。S695、又はS675、S680の否定判定(S675:no、S680:no)に続いては、上述したS645に進みリターンする。
【0096】
図8に戻り、S510が肯定判定、即ち、確定図柄の表示中なら(S510:yes)、図10のフローチャートに進み、確定図柄表示時間が経過したか否か判定し(S700)、否定判定なら(S700:no)リターンし、肯定判定なら(S700:yes)、確定図柄表示終了処理(S705)を行い、第1特別図柄表示装置9又は第2特別図柄表示装置10を制御して特別図柄の確定表示を終了させ、サブ統合制御装置83に疑似図柄の確定表示を終了させる指示を行う。
【0097】
次に、図11から図17を用いて、主制御装置80が実行する特別遊技処理(第1大入賞口14と第2大入賞口91とを制御)を説明する。本処理を開始すると、大当りフラグの値が0か否か判定する(S800)。肯定判定なら(S800:yes)、小当りフラグの値が0か否か判定する(S805)。肯定判定なら(S805:yes)リターンし、否定判定、即ち小当り遊技中なら(S805:no)、図12のS850に進む。
【0098】
S850では、小当り開始インターバル中であるか否か判定し(S850)、否定判定なら(S850:no)、第2大入賞口91が開放中か否か判定し(S855)、否定判定なら(S855:no)、特定領域94が有効か(遊技球を検出すると役物連続作動装置が作動する期間か)否か判定し(S860)、否定判定なら(S860:no)、小当り終了演出中か否か判定し(S865)、肯定判定なら(S865:yes)、小当り終了演出終了時間が経過したか否か判定し(S870)、否定判定なら(S870:no)リターンし、肯定判定なら(S870:yes)、条件装置の作動終了処理を行って小当りフラグに0をセットし(S875)リターンする。S865が否定判定なら(S865:no)、小当り開始インターバル開始処理を行ない(S895)、サブ統合制御装置83へ小当り開始コマンドを送信し、リターンする。
【0099】
S850が肯定判定なら(S850:yes)、小当り開始インターバル時間が終了した否か判定する(S880)。肯定判定なら(S880:yes)、第2大入賞口91開放処理を行い(S885)、特定領域94の有効化処理を行う(S890)。S890の処理後又はS880が否定判定なら(S880:no)、リターンする。
【0100】
S855が肯定判定、即ち第2大入賞口91が開放中なら(S855:yes)、図13のS900に進み、第2大入賞口91への入賞数が10個未満か否か判定し(S900)、肯定判定なら(S900:yes)、第2大入賞口91の開放時間が終了したか否か判定する(S905)。S905が肯定判定(S905:yes)、又はS900が否定判定なら(S900:no)、第2大入賞口91の閉鎖処理を行い(S910)、リターンする。
【0101】
S905が否定判定、又は図12のS860が肯定判定なら(S905:no、S860:yes)、図14のS950に進み、特定領域スイッチ94aが遊技球を検出したか否か判定する(S950)。否定判定なら(S950:no)、特定領域有効化期間が終了したか否か判定し(S1015)、肯定判定なら(S1015:yes)、小当り終了演出処理を行う(S1020)。この小当り終了演出処理では、サブ統合制御装置83へ小当り終了コマンドを送信する。小当り終了コマンドを受信したサブ統合制御装置83側では演出図柄制御装置82の制御により演出図柄表示装置6に演出(役物大当りが生起せずに小当り遊技が終了したことを報知する内容)が表示される。
【0102】
S950が肯定判定、即ち、遊技球が特定領域94に入球したなら(S950:yes)、役物連続作動装置の作動開始処理を行い(S955)、第2大入賞口91が開放中か否か判定し(S960)、肯定判定なら(S960:yes)、第2大入賞口91閉鎖処理を行う(S965)。
【0103】
S965の後、又はS960が否定判定なら(S960:no)、小当り図柄を参照し(S970)、参照した図柄の種類に基づいて、大当り遊技の内容と大当り遊技終了後の遊技状態を決定する図柄モードを設定し(S975)、設定した図柄モードに基づいてモードバッファ設定処理(S555と共通内容)を行い(S980)、S975で設定した図柄モードに基づいて大当り遊技の内容となる第1大入賞口14の開放パターン設定処理を行い(S985)、特定領域無効化処理を行い(S990)、大当り開始演出指示コマンドをサブ統合制御装置83に送信し(S1000)、大当りフラグに1をセットし(S1005)、役物大当り(特別遊技)に移行する。S1005、S1020、又はS1015の否定判定(S1015:no)に続いては、小当りフラグに0をセットし(S1010)リターンする。ここまでが小当り遊技に係る処理構成となる。
【0104】
図11のフローチャートに戻り、S800が否定判定、即ち、大当りフラグが立っていれば(S800:no)、図15のフローチャートに進み、第1大入賞口14が開放中か否か判定し(S1050)、否定判定なら(S1050:no)、開放間インターバル中か否か判定する(S1055)。否定判定なら(S1055:no)、大当り終了演出中か否か判定し(S1060)、否定判定なら(S1060:no)、大当り開始演出中か否か判定し(S1065)、肯定判定なら(S1065:yes)、大当り開始演出時間が経過したか否か判定し(S1070)、否定判定なら(S1070:no)リターンし、肯定判定なら(S1070:yes)、第1大入賞口14の開放処理を行い(S1075)リターンする。
【0105】
S1055が肯定判定、即ち開放間インターバル中なら(S1055:yes)、インターバル時間が終了したか否か判定し(S1085)、否定判定なら(S1085:no)リターンし、肯定判定なら(S1085:yes)、第1大入賞口14の開放処理を行い(S1090)リターンする。S1065が否定判定なら(S1065:no)、大当り開始演出処理を行ないサブ統合制御装置83へ大当り開始コマンドを送信し(S1080)リターンする。
【0106】
S1050が肯定判定なら(S1050:yes)、図16のフローチャートに進み、第1大入賞口14への入賞が規定数である10個を満たしたか否か判定し(S1100)、否定判定なら(S1100:no)、第1大入賞口14の開放時間が終了したか否か判定する(S1105)。否定判定なら(S1105:no)リターンし、肯定判定なら(S1105:yes)又はS1100が肯定判定なら(S1100:no)、第1大入賞口14の閉鎖処理を行い(S1110)、大当り遊技の最終ラウンドが終了したか否か判定する(S1115)。肯定判定なら(S1115:yes)、大当り終了演出処理を行い(S1120)リターンし、否定判定なら(S1115:no)、開放間インターバル処理を行ない(S1125)、リターンする。
【0107】
大当り終了演出処理(S1120)ではサブ統合制御装置83へ大当り終了コマンドを送信し、開放間インターバル処理(S1125)では、同様にインターバルコマンドをサブ統合制御装置83に送信する。大当り終了コマンド又はインターバルコマンドを受信したサブ統合制御装置83側では演出図柄制御装置82の制御により演出図柄表示装置6に演出が表示される。
【0108】
図15に戻り、S1060が肯定判定なら、即ち大当り終了演出中であれば(S1060:yes)、図17のフローチャートに進み、大当り終了演出の終了時間か否か判定し(S1150)、否定判定なら(S1150:no)リターンし、肯定判定なら(S1150:yes)、役物連続作動装置停止処理(S1155)、条件装置作動停止処理(S1160)を行い、設定されているモードバッファを参照し(S1165)、参照したモードバッファの内容に基づいて時短フラグと時短カウンタを設定し(S1170、S1175)、モードバッファをクリアし(S1180)、終了コマンドと、大当り遊技終了後の遊技状態を指示する状態指定コマンドとをサブ統合制御装置83に送信し(S1185、S1190)、大当りフラグに0をセットして(S1195)リターンする。
【0109】
次に、図18に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する保留数指示コマンド受信処理を説明する。本処理を開始すると、保留数指示コマンドを受信したか否か判定する(S1200)。否定判定なら(S1200:no)リターンし、肯定判定なら(S1200:yes)、サブ統合制御装置83が備える第1保留数カウンタ又は第2保留カウンタに受信した保留数指示コマンドの種類に応じて+1し(S1205)、演出図柄制御装置82に保留数表示信号を送信し(S1210)、リターンする。保留数カウンタの値は、後述する変動指示コマンド受信処理において変動指示コマンドを受信するごとにデクリメントされる。これにより、絶えず主制御装置80が記憶する保留記憶の数と同一数が管理される。
【0110】
次に、図19に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する先読判定コマンド受信処理を説明する。本処理は、主制御装置80からS120の処理に基づく第1先読判定コマンドの受信、又はS150の処理に基づく第2先読判定コマンドの受信に応じて、演出図柄表示装置6に表示する演出態様(先読演出用の保留図柄)を選択し、演出図柄制御装置82に表示制御を指示する処理となる。演出表示態様については図を用いて後述する。
【0111】
本処理を開始すると、先読判定コマンドを受信したか否か判定し(S1250)、否定判定なら(S1200:no)リターンし、肯定判定なら(S1250:yes)振分乱数を抽出し(S1255)、受信した先読判定コマンドの内容(大当り、大当り図柄、スーパーリーチ、リーチ、ハズレ)と抽出した振分乱数に基づいて、該内容と該値との組合せがサブ統合制御装置83が備える先読演出実行判定テーブルの実効値か否か比較して演出態様を選択する演出態様選択処理を行い(S1260)、S1260の比較結果より先読演出を実施するか否か判定し(S1265)、否定判定なら(S1265:no)リターンし、肯定判定なら(S1265:yes)、S1260で選択した先読演出態様を演出図柄表示装置6に表示する指示信号を演出図柄制御装置82に送信して(S1270)リターンする。同様に、普図先読判定を用いて普図先読演出を実施する構成としてもよい。
【0112】
次に、図20に示したフローチャートを用いて、サブ統合制御装置83が実行する変動指示コマンド受信処理を説明する。本処理は、主制御装置80からS570の処理に基づく変動指示コマンドを受信したことに応じて、演出図柄表示装置6に表示する演出態様を選択し、演出図柄制御装置82に表示制御を指示する処理となる。
【0113】
本処理を開始すると、変動指示コマンドを受信したか否か判定する(S1300)。否定判定なら(S1300:no)リターンし、肯定判定なら(S1300:yes)、振分乱数を抽出し(S1305)、サブ統合制御装置83が備える保留球数カウンタから-1すると共に、受信した変動指示コマンドとS1305で抽出した振分乱数の値に基づいて、サブ統合制御装置83が複数備える演出変動態様の中から、演出図柄表示装置6に表示する演出変動態様を選択し(S1310)、選択した演出変動態様の表示を開始する指示信号を演出図柄制御装置82に送信して(S1315)リターンする。
【0114】
次に、図21から24を用いて、演出図柄表示装置6に表示する表示例を説明する。図21(1)は、通常状態における特別図柄変動時の演出図柄表示装置6画面の基本構成となり、画面中央に擬似図柄表示領域が配置され、画面下部左に第1保留記憶数表示領域、画面上部右に期待度示唆キャラクタ(熊の達吉)が配置されている。通常時の擬似図柄表示領域には、第1特図に対応した擬似図柄が表示され、左中右の擬似図柄が第1特図の変動時間に応じて演出変動態様を表示する。第1保留記憶数表示領域には第1保留記憶を表す第1保留図柄が最高4個まで表示される。
【0115】
図21(2)は、通常時に実施する第1保留図柄の表示態様を変化させる第1先読演出(本発明の第1先読演出に相当)の表示例となる。本実施例のパチンコ遊技機が通常状態で実施する第1先読演出では、サブ統合制御装置83が受信した第1先読判定コマンドの内容と振分乱数とに基づいて、表示例で示すように第1保留図柄の表示態様を第1先読図柄1から4に変化させる。第1先読図柄1は第1保留記憶の大当り期待度、第1先読図柄2は大当り及び時短(ストックタイム)付与確定を示唆、第1先読図柄3は時短(ストックタイム)中の普通図柄の変動秒数が1秒であることを示唆、第1先読図柄4は時短(ストックタイム)中の普通図柄の変動秒数が3秒であることを示唆する。これら先読み図柄をステップアップ(表示位置が移動する毎に期待度の高い図柄にステップアップさせる)で移行させて表示していく構成も考えられ、一度第1先読図柄が出現すると、次回の変動を開始する毎に遊技者の期待度を煽ることができる。
【0116】
図22(3)は大当り時の表示例となり、図22(4)は、通常状態で初当りした場合の大当り遊技終了後から時短突入時を示す表示例となる。この場合の時短は、第1特図の1回の変動中に第2保留記憶(ほぼ役物大当りに繋がる)をより多く貯めることを目的とする遊技期間となるため、「ストックタイムスタート!」と表示することで遊技者に遊技内容を感覚的によりわかり易くして示している。
【0117】
図22(5)は、時短中(ストックタイム中)の表示例となる。時短中は、擬似図柄表示領域に表示される擬似図柄が普通図柄に対応したものとなり、画面上に時短状態の残り時間(第1特図の変動が終了するまでの時間)を表示する。
【0118】
図23(6)は、時短中(ストックタイム中)に普図が当選し、作動した普通電動役物16への1個の遊技球の入球により第2保留記憶が発生した場合の表示例となる。普図が当選し遊技球が普電に入賞して第2保留記憶が発生した時点でほぼ小当りが確定し(小当りでない場合は大当りとなる)、小当り遊技からは確実に役物大当りとなるため、第2保留図柄が「大当りストック図柄」となる。本実施例では、Vを丸で囲んだ「大当りストック図柄」を画面右端の第2保留図柄表示領域に表示することで大当りがストックされたことを報知する。また、ストックタイムの残り時間表示に加え、画面下部左が普図保留図柄表示領域となり、ストックタイム中のみ普図保留記憶の数に対応した普図保留図柄が表示される。
【0119】
図23(7)は、時短中(ストックタイム中)に第2保留記憶が上限数に達した場合の表示例となる。第2保留記憶の記憶数の上限は4個であるため、ストックタイム中の最高ストック数は4となるが、大当り遊技終了後に第1特図が1回変動する時短状態では、該第1特図の1回の変動時間、及び普図の平均変動時間によって時短状態における平均ストック数の設定を設計することができる。なお、第2特図の保留記憶可能数がそのままストック可能数となるため、目指す遊技性に応じて第2特図の保留記憶可能数を変更すればよい。
【0120】
図24(8)(9)は、時短中(ストックタイム中)に表示される第2保留図柄の表示態様を変化させる第2先読演出(本発明の第2先読演出に相当)の表示例となる。時短中(ストックタイム中)に発生する第2保留記憶は当該保留記憶が発生した時点でほぼ役物大当りの生起が確定するため、一番新しい第2保留記憶の情報のみが大当り遊技終了後の遊技状態に関係する。従って、当該最後の第2保留記憶のみが先読演出(第2先読演出)を実施する対象となる。
【0121】
図24(8)の図は、ストックタイム中に2個の第2保留記憶が記憶されたことにより、最後の2個目の第2保留図柄の表示態様が第2先読図柄1に変化し第2先読演出を実施している状態となる。なお、2個目の第2保留記憶が記憶される前は、1個目の第2保留図柄が第2先読演出を実施していたが、2個目の第2保留記憶が記憶された時点で1個目の第2保留図柄は通常の第2保留図柄の態様に戻っている。これは、1個目の保留図柄がどの図柄であろうと大当り遊技後に第2特図が変動開始することが決定しており、1変動で大当り遊技(大当り図柄による図柄大当りと役物大当りを含む)が発生することが確定しているため、ストックタイムは行なわれず、普図の平均変動時間を示唆しても意味を成さないためである。
【0122】
また、(8)の図例では2個目の第2保留図柄による第2先読演出が、役物大当り後のストックタイム中の普図の平均変動時間が10秒となることを示唆しており、このままストックタイムが終了してしまうと次のストックタイムが不利となってしまうので、3個目の第2保留記憶の獲得(普図の当選)を強く目指すことになる。
【0123】
図24(9)の図は、ストックタイム中のストック数(第2保留記憶数)が上限(MAX)になった状態を示し、この場合、最後4個目の第2保留記憶以上に第2保留記憶は増加しないため4個目の第2保留図柄の位置に表示された第2先読図柄2が示唆する1秒が、次回のストックタイム中の普図の平均変動時間として確定する。(9)の図例では4個目が第2先読図柄2として1秒を示唆したが、1から3個目で最も有利なストックタイム中の普図の変動時間1秒を示唆した場合は、その時点でさらに第2保留記憶を記憶する余地があっても、遊技球の発射をストックタイムが終了するまで中断することで次回のストックタイム中の普図の変動秒数1秒を確保するという遊技性も備えることになる。
【0124】
図24(10)の図は、ストックタイム中に普図保留図柄の表示態様を変化させることで実施する普図先読演出を行った場合の表示例となる。具体的には、ストックタイム中に表示する普図保留図柄の表示態様を変化させることで普図先読演出を実施し、図例で示すように普図先読図柄1は、当該普図保留記憶が10秒変動してからハズレることを示唆し、普図先読図柄2は、当該普図保留記憶が当りであることを示唆し、普図先読図柄3は、当該普図保留記憶が1秒変動してからハズレることを示唆し、普図先読図柄4は、当該普図保留記憶が5秒変動してか当ることを示唆する。
【0125】
ストックタイム中(時短中)に普図保留記憶が発生した場合に、当該普図保留記憶の当否だけでなく残りのストックタイム時間に関わる変動時間も先読演出として示唆する構成となっている。この構成により、例えば、当りを示唆されてもストックタイム中に変動できない場合もあるため、無事にストックタイム中に消化できるかどうかを計算しながら遊技を進めることができる。
【実施例2】
【0126】
次に、実施例2を説明する。実施例2におけるパチンコ遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通であり、特別に説明のない部分については共通内容であり重複する説明は割愛する。
【0127】
実施例1と異なるのは、実施例1では、時短期間を第1特図が変動する100秒で固定としながら、大当り図柄に応じて平均変動時間が異なる普図変動時間テーブルを設定することで、時短中に普図の変動可能な回数を大当り図柄に応じて変化させる構成としたが、実施例2では、同様に時短中の普図の変動可能な回数を大当り図柄に応じて変化させる構成とするが、その実施方法が異なり、時短中の普図の変動時間は固定し、時短期間となる第1特図の変動時間を複数備え、大当り図柄に応じて複数備える第1特図の変動時間から時短期間を決定する構成としている。
【0128】
実施例1と異なる内容を図25図26を用いて説明する。図25は、実施例2におけるパチンコ機の作動内容を示す図表となるが、実施例1で説明した図4の図表の内容と異なるのは、時短、開放延長時の第1特図の変動時間と、時短、開放延長時の普図の平均変動時間とになり、時短時普図平均変動時間は、大当り図柄に拘わらず3秒で固定となっている。なお、普図の当り確率は実施例1と同様に1/21となっている。
【0129】
時短、開放延長時の第1特図の変動時間テーブルは図26の図表に示すように大当り図柄の種類に応じて決定され(特図時短変動時間テーブル決定手段)、大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄1、又は第2特図7ラウンド時短有図柄なら、大当り遊技終了時に設定される第1特図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約300.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図が変動可能な回数、即ち、普図の当否判定が可能な回数は最大100回となる。
【0130】
同様に大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄2、又は第2特図15ラウンド時短有図柄1なら、平均変動時間は約100.0秒で普図の当否判定可能回数は最大33回。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄3、又は第2特図15ラウンド時短有図柄2なら、平均変動時間は約60.0秒で普図の当否判定可能回数は最大20回。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄4、又は第2特図15ラウンド時短有図柄3なら、平均変動時間は約30.0秒で普図の当否判定可能回数は最大10回となる。
【0131】
上記したように大当り図柄の種類と、時短、開放延長状態で使用する特図時短変動時間テーブルとに関係を持たせた場合、実施例1で図21(2)を用いて説明した第1先読演出は、本実施例においては以下の内容を示唆することになる。例えば、第1先読図柄3が表示されると、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が約300.0秒であることを示唆し、第1先読図柄4が表示されると、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が約100.0秒であることを示唆する。
【0132】
また、実施例1で図24(8)(9)を用いて説明した第2先読演出は、本実施例では第2先読図柄の表示態様を本実施用に変更することで時短、開放延長状態中の役物大当りストック時に先読演出を行う。具体的には、第2先読演出1の表示態様として保留図柄の中に「30」の文字を表示することで、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が最も不利な約30.0秒であることを示唆し、第2先読演出2の表示態様として保留図柄の中に「300」の文字を表示することで、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が最も有利な約300.0秒であることを示唆する。
【0133】
本実施例においても、上述した大当り図柄の種類に応じて決定する時短期間となる第1特図の変動時間と、固定された時短時の普図の変動時間とを組み合わせることで実施例1と同様の遊技性(大当り図柄によってストックタイムの優位度が変化)を発揮する。
【実施例3】
【0134】
次に、実施例3を説明する。実施例3におけるパチンコ遊技機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通であり、特別に説明のない部分については共通内容であり重複する説明は割愛する。
【0135】
実施例1、2と異なるのは、本実施例では時短期間となる第1特別図柄の変動時間を設定する第1特図時短変動時間テーブルと該時短期間に設定される普図の変動時間を設定する普図時短変動時間テーブルとを夫々に複数備え、大当り図柄の種類に応じてそれぞれの組合せを決定する構成となっている。
【0136】
具体的な内容を図27図28を用いて説明する。図27は、実施例3におけるパチンコ機の作動内容を示す図表となるが、実施例1、2と異なるのは、時短、開放延長時の第1特図の変動時間と、時短、開放延長時の普図の平均変動時間とのいずれもが大当り図柄に応じて決定する点となる。なお、普図の当り確率は実施例1、2と同様に1/21となっている。
【0137】
時短、開放延長時の第1特図の変動時間テーブルと普図の変動時間テーブルと大当り図柄との関係は図28の図表に示す内容となり(特図時短変動時間テーブル決定手段、普図時短変動時間テーブル決定手段)、大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄1、又は第2特図7ラウンド時短有図柄なら、大当り遊技終了時に設定される第1特図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約100.0秒、同様に設定される普図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約1.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図が変動可能な回数、即ち、普図の当否判定が可能な回数は最大100回となる。
【0138】
同様に大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄2、又は第2特図15ラウンド時短有図柄1なら、第1特図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約100.0秒、普図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約5.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図の当否判定が可能な回数は最大20回となる。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄3、又は第2特図15ラウンド時短有図柄2なら、第1特図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約200.0秒、普図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約10.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図の当否判定が可能な回数は最大20回となる。大当り図柄が第1特図7ラウンド時短有図柄4、又は第2特図15ラウンド時短有図柄3なら、第1特図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約30.0秒、普図時短変動時間テーブルの平均変動時間は約1.0秒となり、この秒数設定により時短中に普図の当否判定が可能な回数は最大30回となる。
【0139】
上記したように大当り図柄の種類と、時短、開放延長状態で使用する特図時短変動時間テーブルと普図時短変動時間テーブルとに関係を持たせた場合、実施例1で図21(2)を用いて説明した第1先読演出は、本実施例においては以下の内容を示唆する演出としてもよい。例えば、第1先読図柄3が表示されると、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が約100.0秒で、普図の変動時間が約1.0秒であることを示唆し、第1先読図柄4が表示されると、時短、開放延長状態となる第1特図の変動時間が約200.0秒で、普図の変動時間が約10.0秒であることを示唆する。
【0140】
また、実施例1で図24(8)(9)を用いて説明した第2先読演出は、本実施例では第2先読図柄の表示態様を本実施用に変更することで時短、開放延長状態中の役物大当りストック時に先読演出を行う。具体的には、第2先読演出1の表示態様として保留図柄の中に「100」と「5」の文字を表示することで、時短、開放延長状態中の普図の変動回数(普図当否判定回数)が20回であることを示唆し、第2先読演出2の表示態様として保留図柄の中に「100」と「1」の文字を表示することで、時短、開放延長状態中の普図の変動回数(普図当否判定回数)が100回であることを示唆する。
【0141】
また、実施例1で図24(10)を用いて説明した普図保留図柄の表示態様を変化させることで実施した普図先読演出は、本実施例においても同様の内容で実施することができる。
【0142】
本実施例においても、上述した大当り図柄の種類に応じて決定する時短期間となる第1特図の変動時間と、同様に決定した普図の変動時間とを組み合わせることで実施例1、2と同様の遊技性(大当り図柄によってストックタイムの優位度が変化)を発揮する。
【0143】
次に、図29図30を用いて変形例を説明する。この変形例では、時短中の普図の変動時間を、普図当否判定の判定結果に基づいて選択した図柄に対応して決定する構成としている。具体的には、図29に示すように、時短期間となる第1特図の変動時間は大当り図柄の種類に拘わらず毎回100秒とし、図30に示すように、時短中の普図の変動時間は、普図当否判定で選択された普図の種類が、普図ハズレ図柄1であれば普図の変動時間は約1.0秒、普図ハズレ図柄2であれば普図の変動時間は約5.0秒、普図ハズレ図柄3であれば普図の変動時間は約10.0秒、普図当り図柄1であれば普図の変動時間は約5.0秒、普図当り図柄2であれば普図の変動時間は約10.0秒となっている。
【0144】
このように図29図30の内容を組合せると、確定表示を行う普通図柄の種類に応じて普通図柄が異なる時間で変動を行なうようになり、ストックタイム100秒間に何回変動させられるかが普図当否判定時に選択された図柄によって変化する。
【0145】
同じ回数の開放延長状態を付与されたとしても普図の変動時間や特図の変動時間を変化させることにより有利度を異ならせることができるのだが、他にも、大当り図柄により普図当り時の普通電動役物の開放パターンを異ならせて、遊技球が入球し易い(第2特図の保留が発生しやすい)か否かを創り出したり、小当り時の大入賞口の開放パターンを異ならせて役物大当りが発生しやすいか否かを創り出したり、多様な有利度を設けることが考えられる。
【0146】
また、この遊技性の場合、一旦開放延長状態(ストックタイム)に突入すると、開放延長状態終了時に第2特図の保留がない状態になるまで遊技を休むことができないのだが、大当りした時に、大当り遊技を開始させるためのゲート(条件装置作動装置)に遊技球を通過させることにより大当り遊技が開始する構成にすれば、大当り遊技間で遊技者が任意に休憩することが可能となり、より快適な遊技を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
以上のように、本発明の弾球遊技機によれば、大当り図柄に応じてストックタイムとなる時短、開放延長状態中の優位度が変化するという遊技性を提供することが可能な遊技機となり、大入賞口内に特定領域を備え、小当りから役物大当りを生起させる構成の弾球遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 遊技盤
3a 第1遊技領域
3b 第2遊技領域
6 演出図柄表示装置
11 第1の第1始動口
12 第2始動口
14 第1大入賞口
16 普通電動役物
17 普通図柄作動ゲート
80 主制御装置
82 演出図柄制御装置
83 サブ統合制御装置
91 第2大入賞口
92 振分装置
93 振分羽根
94 特定領域
111 第2の第1始動口
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