(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】繊維用処理剤、繊維用第1処理剤、繊維用第2処理剤、繊維用第1処理剤含有組成物、繊維用処理剤の希釈液、繊維の処理方法、及び繊維
(51)【国際特許分類】
D06M 13/184 20060101AFI20220823BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20220823BHJP
D06M 13/292 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
D06M13/184
D06M15/53
D06M13/292
(21)【出願番号】P 2021114219
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2021-07-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 一輝
(72)【発明者】
【氏名】高山 義弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 智八
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕子
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/203808(WO,A1)
【文献】特開2005-054333(JP,A)
【文献】国際公開第2009/098845(WO,A1)
【文献】特開昭61-119777(JP,A)
【文献】特開平04-002879(JP,A)
【文献】特開平03-234866(JP,A)
【文献】特開2011-038186(JP,A)
【文献】特開2017-075414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
D06P 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する繊維用処理剤であって、
前記有機リン酸エステル化合物(B)を含有する繊維用第1処理剤、及び前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する繊維用第2処理剤を含み、前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に前記脂肪酸類(A)を含有しており、
電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、
前記繊維用第1処理剤は、当該繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられることを特徴とする繊維用処理剤。
脂肪酸類(A):炭素数1~
4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【請求項2】
前記脂肪酸類(A)、前記有機リン酸エステル化合物(B)、及び前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記脂肪酸類(A)を0.001質量%以上20質量%以下の割合で含有する請求項1に記載の繊維用処理剤。
【請求項3】
前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(B)及び前記脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記有機リン酸エステル化合物(B)を90質量%以上100質量%以下、及び前記脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有し、
且つ前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)及び前記脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を90質量%以上100質量%以下、及び前記脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有する請求項1又は2に記載の繊維用処理剤。
【請求項4】
前記有機リン酸エステル化合物(B)が、分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステル、及びその塩から選ばれる少なくとも1つを含むものである請求項1~
3のいずれか一項に記載の繊維用処理剤。
【請求項5】
前記繊維が、合成繊維である請求項1~
4のいずれか一項に記載の繊維用処理剤。
【請求項6】
前記繊維が、ポリエステル短繊維である請求項1~
4のいずれか一項に記載の繊維用処理剤。
【請求項7】
前記繊維が、ポリエチレンテレフタラート繊維である請求項1~
4のいずれか一項に記載の繊維用処理剤。
【請求項8】
前記繊維が、短繊維である請求項1~
4のいずれか一項に記載の繊維用処理剤。
【請求項9】
(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する繊維用第2処理剤と併用される、有機リン酸エステル化合物(E)を含有する繊維用第1処理剤であって、前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に下記の脂肪酸類(D)を更に含有し、
電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、
前記繊維用第1処理剤は、当該繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられることを特徴とする繊維用第1処理剤。
脂肪酸類(D):炭素数1~
4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【請求項10】
前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有する請求項
9に記載の繊維用第1処理剤。
【請求項11】
前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有する請求項
10に記載の繊維用第1処理剤。
【請求項12】
前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤が前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有する請求項
9に記載の繊維用第1処理剤。
【請求項13】
前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤が前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有する請求項
12に記載の繊維用第1処理剤。
【請求項14】
有機リン酸エステル化合物(E)を含有する繊維用第1処理剤と併用される繊維用第2処理剤であって、前記繊維用第1処理剤は、電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、
前記繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられ、
前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に下記の脂肪酸類(D)を更に含有することを特徴とする繊維用第2処理剤。
脂肪酸類(D):炭素数1~
4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【請求項15】
前記繊維用第2処理剤が
、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有する請求項
14に記載の繊維用第2処理剤。
【請求項16】
前記繊維用第2処理剤が、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有する請求項
15に記載の繊維用第2処理剤。
【請求項17】
前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤
が(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有する請求項
14に記載の繊維用第2処理剤。
【請求項18】
前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、
前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有する請求項
17に記載の繊維用第2処理剤。
【請求項19】
請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第1処理剤、及び水を含有することを特徴とする繊維用第1処理剤含有組成物。
【請求項20】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の繊維用処理剤、及び水を含有することを特徴とする繊維用処理剤の希釈液。
【請求項21】
請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第1処理剤と、請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第2処理剤とを、含むことを特徴とする繊維用処理剤の希釈液。
【請求項22】
前記繊維用第1処理剤と前記繊維用第2処理剤との含有割合の比が、前記繊維用第1処理剤/前記繊維用第2処理剤=1/9以上9/1以下である請求項
21に記載の繊維用処理剤の希釈液。
【請求項23】
水に、請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第1処理剤と、請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第2処理剤とを添加し得られた繊維用処理剤の希釈液を繊維に付与することを特徴とする繊維の処理方法。
【請求項24】
請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第1処理剤と、請求項
9~
18のいずれか一項に記載の繊維用第2処理剤とが、付着していることを特徴とする繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維用処理剤、繊維用第1処理剤、繊維用第2処理剤、繊維用第1処理剤含有組成物、繊維用処理剤の希釈液、繊維の処理方法、及び繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば合成繊維の紡糸延伸工程や仕上げ工程において、繊維の摩擦を低減させる観点から、繊維の表面に繊維用処理剤を付着させる処理が行われることがある。
従来、特許文献1~4に開示の繊維用油剤が知られている。
【0003】
特許文献1は、アルキルリン酸エステルのカリウム塩と、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルアミン類あるいは置換アルキルアミン類にエチレンオキシドを付加した化合物のリン酸中和物とを配合してなる繊維用油剤について開示する。
【0004】
特許文献2は、有機リン酸エステル塩と、オキシアルキレンポリマーとを含有する繊維用油剤について開示する。
特許文献3は、アルキルリン酸エステルカリウム塩と、パラフィンワックスと、カチオン型界面活性剤を含有する繊維用油剤について開示する。
【0005】
特許文献4は、アルキルリン酸エステルカリウム塩と、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを含有する繊維用油剤について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭60-224867号公報
【文献】特開平3-174067号公報
【文献】特開平6-108361号公報
【文献】特開2008-063713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、繊維用処理剤が付着した繊維の湿潤時の摩擦特性のさらなる向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための繊維用処理剤は、下記の脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する繊維用処理剤であって、前記有機リン酸エステル化合物(B)を含有する繊維用第1処理剤、及び前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する繊維用第2処理剤を含み、前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に前記脂肪酸類(A)を含有しており、電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、前記繊維用第1処理剤は、当該繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられることを要旨とする。
【0009】
脂肪酸類(A):炭素数1~4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【0010】
上記繊維用処理剤は、前記脂肪酸類(A)、前記有機リン酸エステル化合物(B)、及び前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記脂肪酸類(A)を0.001質量%以上20質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0011】
上記繊維用処理剤は、前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(B)及び前記脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(B)を90質量%以上100質量%以下、及び前記脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有し、且つ前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)及び前記脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を90質量%以上100質量%以下、及び前記脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0012】
上記繊維用処理剤は、前記有機リン酸エステル化合物(B)が、分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステル、及びその塩から選ばれる少なくとも1つを含むものであることが好ましい。
【0013】
上記繊維用処理剤は、前記繊維が、合成繊維であることが好ましい。
上記繊維用処理剤は、前記繊維が、ポリエステル短繊維であることが好ましい。
上記繊維用処理剤は、前記繊維が、ポリエチレンテレフタラート繊維であることが好ましい。
【0014】
上記繊維用処理剤は、前記繊維が、短繊維であることが好ましい。
上記課題を解決するための繊維用第1処理剤は、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する繊維用第2処理剤と併用される、有機リン酸エステル化合物(E)を含有する繊維用第1処理剤であって、前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に下記の脂肪酸類(D)を更に含有し、電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、前記繊維用第1処理剤は、当該繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられることを要旨とする。
【0015】
脂肪酸類(D):炭素数1~4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【0016】
上記繊維用第1処理剤は、前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0017】
上記繊維用第1処理剤は、前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0018】
上記繊維用第1処理剤は、前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤が前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0019】
上記繊維用第1処理剤は、前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤が前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第1処理剤における前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0020】
上記課題を解決するための繊維用第2処理剤は、有機リン酸エステル化合物(E)を含有する繊維用第1処理剤と併用される繊維用第2処理剤であって、前記繊維用第1処理剤は、電位差滴定法により前記繊維用第1処理剤から検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であり、前記繊維用第1処理剤と水とを含有する繊維用第1処理剤含有組成物として用いられ、前記繊維用第1処理剤及び前記繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に下記の脂肪酸類(D)を更に含有することを要旨とする。
【0021】
脂肪酸類(D):炭素数1~4の脂肪酸アルカリ金属塩、及び分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸アルカリ金属塩から選ばれる少なくとも一つ。
【0022】
上記繊維用第2処理剤は、前記繊維用第2処理剤が、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0023】
上記繊維用第2処理剤は、前記繊維用第2処理剤が、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0024】
上記繊維用第2処理剤は、前記繊維用第1処理剤が前記有機リン酸エステル化合物(E)及び前記脂肪酸類(D)を含み、且つ前記繊維用第2処理剤が(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)を含み、前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0025】
上記繊維用第2処理剤は、前記繊維用第2処理剤における前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び前記脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0026】
上記課題を解決するための繊維用第1処理剤含有組成物は、繊維用第1処理剤、及び水を含有することを要旨とする。
上記課題を解決するための繊維用処理剤の希釈液は、繊維用処理剤、及び水を含有することを要旨とする。
【0027】
上記課題を解決するための繊維用処理剤の希釈液は、繊維用第1処理剤と、繊維用第2処理剤とを、含むことを要旨とする。
上記繊維用処理剤の希釈液は、前記繊維用第1処理剤と前記繊維用第2処理剤との含有割合の比が、前記繊維用第1処理剤/前記繊維用第2処理剤=1/9以上9/1以下であることが好ましい。
【0028】
上記課題を解決するための繊維の処理方法は、水に、繊維用第1処理剤と、繊維用第2処理剤とを添加し得られた繊維用処理剤の希釈液を繊維に付与することを要旨とする。
上記課題を解決するための繊維は、繊維用第1処理剤と、繊維用第2処理剤とが、付着していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、繊維用処理剤が付着した繊維の湿潤時の摩擦特性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
本発明に係る繊維用処理剤(以下、単に処理剤ともいう。)を具体化した第1実施形態について説明する。
【0031】
本実施形態の処理剤は、下記の脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する。
(脂肪酸類(A))
脂肪酸類(A)は、炭素数1~6の脂肪酸、炭素数1~6のヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一つである。
【0032】
脂肪酸類(A)が上記化合物であることにより、処理剤が付着した繊維における湿潤時の摩擦を低減することができる。言い換えれば、湿潤時の摩擦特性を向上させることができる。
【0033】
脂肪酸類(A)を構成する炭素数1~6の脂肪酸は、公知のものが適宜挙げられ、飽和脂肪酸であっても、不飽和脂肪酸であってもよい。また、直鎖状のものであっても、分岐鎖構造を有するものであってもよい。また、一価脂肪酸であっても、二価脂肪酸であってもよい。
【0034】
炭素数1~6の脂肪酸の具体例としては、例えばメタン酸、エタン酸(酢酸)、ブタン酸、プロパン酸(プロピオン酸)、ペンタン酸、ヘキサン酸、ブタン二酸(コハク酸)等が挙げられる。
【0035】
脂肪酸類(A)を構成する炭素数1~6のヒドロキシ脂肪酸は、公知のものが適宜挙げられ、飽和ヒドロキシ脂肪酸であっても、不飽和ヒドロキシ脂肪酸であってもよい。また、直鎖状のものであっても、分岐鎖構造を有するものであってもよい。また、一価ヒドロキシ脂肪酸であっても、二価ヒドロキシ脂肪酸であってもよい。
【0036】
炭素数1~6のヒドロキシ脂肪酸の具体例としては、例えばヒドロキシエタン酸、ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸、クエン酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸(酒石酸)等が挙げられる。
【0037】
上記脂肪酸類(A)を構成する塩は、公知のものが適宜挙げられるが、金属塩であることが好ましい。金属塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩であることがより好ましい。
【0038】
アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属を構成するアルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0039】
上記脂肪酸類(A)が、炭素数1~4の脂肪酸、分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸、及びこれらのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの中でも、脂肪酸類(A)が炭素数1~4の脂肪酸のアルカリ金属塩、又は分子中に一つのヒドロキシ基を有する炭素数1~4のヒドロキシ脂肪酸のアルカリ金属塩であることにより、湿潤時の摩擦特性をより向上させることができる。
【0040】
これらの脂肪酸類(A)は、一種類の脂肪酸類(A)を単独で使用してもよいし、二種以上の脂肪酸類(A)を適宜組み合わせて使用してもよい。
(有機リン酸エステル化合物(B))
有機リン酸エステル化合物(B)としては、例えばアルキルリン酸エステル、アルケニルリン酸エステル、ポリオキシアルキレン基を有するアルキルリン酸エステル又はアルケニルリン酸エステル、それらの塩等が挙げられる。アルキルリン酸エステルを構成するアルキル基、又はアルケニルリン酸エステルを構成するアルケニル基は、特に制限はなく、例えば、直鎖状であっても、分岐鎖構造を有するものでもよい。また、分岐鎖構造における分岐位置は、特に制限はなく、例えば、α位が分岐したものであってもよいし、β位が分岐したものであってもよい。
【0041】
アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30が好ましく、炭素数12~22がより好ましい。
アルキル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イコシル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソヘプチル基、イソオクチル基、イソデシル基、イソウンデシル基、イソドデシル基、イソトリデシル基、イソテトラデシル基、イソペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、イソオクタデシル基、イソイコシル基等が挙げられる。
【0042】
アルケニル基の具体例としては、例えばブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル基、イソウンデセニル基、イソドデセニル基、イソトリデセニル基、イソテトラデセニル基、イソペンタデセニル基、イソヘキサデセニル基、イソヘプタデセニル基、イソオクタデセニル基、イソイコセニル基等が挙げられる。
【0043】
有機リン酸エステル化合物(B)を構成するリン酸は、特に制限はなく、オルトリン酸であってもよいし、二リン酸等のポリリン酸であってもよい。
有機リン酸エステル化合物(B)として有機リン酸エステル塩が適用される場合、塩としては、例えばリン酸エステルアミン塩、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。
【0044】
金属塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属の具体例としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、第2族元素に該当する金属、例えばカルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
【0045】
アミン塩を構成するアミンは、一級アミン、二級アミン、及び三級アミンのいずれであってもよい。アミン塩を構成するアミンの具体例としては、例えば、(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N-N-ジイソプロピルエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-メチルブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルラウリルアミン等の脂肪族アミン、(2)アニリン、N-メチルベンジルアミン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン、(3)モノエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジブチルエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン、(4)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、(5)アンモニア等が挙げられる。
【0046】
アルキレンオキサイド鎖を付加した有機リン酸エステル化合物が用いられる場合、炭素数2~4のアルキレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは1モル以上、さらに好ましくは2モル以上である。かかる付加モル数の上限は、適宜設定されるが、好ましくは50モル以下、より好ましくは40モル以下、さらに好ましくは30モル以下である。上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中における脂肪族アルコール化合物1モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。
【0047】
アルキレンオキサイドは、一種類のアルキレンオキサイドを単独で使用してもよいし、又は二種以上のアルキレンオキサイドを適宜組み合わせて使用してもよい。アルキレンオキサイドが2種類以上適用される場合、それらの付加形態は、ブロック付加、ランダム付加、及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
【0048】
これらの中で、有機リン酸エステル化合物(B)が、分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステル、及びその塩から選ばれる少なくとも1つを含むものであることが好ましい。かかる化合物を使用することにより、処理剤が付着した繊維のカード通過性を向上させることができる。
【0049】
また、有機リン酸エステル化合物(B)は分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステルのアルカリ金属塩であることが好ましい。
【0050】
また、分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステルのカリウム金属塩であることがより好ましい。
【0051】
また、分子中に炭素数16~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数16~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステルのカリウム塩であることがさらに好ましい。また、分子中に炭素数16~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステルのカリウム塩であることが特に好ましい。
【0052】
これらの有機リン酸エステル化合物(B)は、一種類の有機リン酸エステル化合物(B)を単独で使用してもよいし、又は二種以上の有機リン酸エステル化合物(B)を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0053】
((ポリ)オキシアルキレン誘導体(C))
(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)としては、例えばアルコール類又はカルボン酸類にアルキレンオキサイドを付加させた化合物、カルボン酸類と多価アルコールとのエステル化合物にアルキレンオキサイドを付加させたエーテル・エステル化合物等が挙げられる。
【0054】
上記アルコール類又はカルボン酸類としては、直鎖状又は分岐鎖を有する脂肪族系のアルコール類又はカルボン酸類であってもよく、芳香族系のアルコール類又はカルボン酸類であってもよい。また、飽和のアルコール類又はカルボン酸類であっても、不飽和のアルコール類又はカルボン酸類であってもよい。また、一価又は二価以上のアルコール類又はカルボン酸類であってもよい。
【0055】
上記炭素数2~4のアルキレンオキサイドの具体例としては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加モル数の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1モル以上、より好ましくは1モル以上、さらに好ましくは3モル以上である。かかる付加モル数の上限は、適宜設定されるが、好ましくは50モル以下、より好ましくは40モル以下、さらに好ましくは30モル以下である。かかる数値範囲により、摩擦特性をより向上させることができる。上記の上限及び下限を任意に組み合わせた範囲も想定される。なお、アルキレンオキサイドの付加モル数は、仕込み原料中におけるアルコール化合物又はカルボン酸化合物1モルに対するアルキレンオキサイドのモル数を示す。
【0056】
アルキレンオキサイドは、一種類のアルキレンオキサイドを単独で使用してもよいし、又は二種以上のアルキレンオキサイドを適宜組み合わせて使用してもよい。アルキレンオキサイドが2種類以上適用される場合、それらの付加形態は、ブロック付加、ランダム付加、及びブロック付加とランダム付加の組み合わせのいずれでもよく、特に制限はない。
【0057】
(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)の具体例としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルケニルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルと無機酸との塩、及びポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテルと無機酸との塩等が挙げられる。
【0058】
これらの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)は、一種類の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を単独で使用してもよいし、又は二種以上の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0059】
(含有量)
処理剤中において、脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)の含有割合の合計を100質量%とすると、脂肪酸類(A)を0.001質量%以上20質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0060】
なお、各成分の含有量の測定方法は、特に制限させないが、例えばイオン成分の含有量の測定方法は、以下の方法を採用することができる。処理剤を105℃で2時間加熱し、不揮発分を得る。この不揮発分中のイオン成分の含有量が500ppm以下となるように純水で十分希釈する。希釈液を用いてイオンクロマトグラフ分析を行う。
【0061】
(保存形態)
処理剤は、保存時において有機リン酸エステル化合物(B)を含有する繊維用第1処理剤、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する繊維用第2処理剤を含むように構成することが好ましい。脂肪酸類(A)は、繊維用第1処理剤及び繊維用第2処理剤のいずれか一方又は両方に含有するように構成されることが好ましい。
【0062】
繊維用第1処理剤中における有機リン酸エステル化合物(B)及び脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、有機リン酸エステル化合物(B)を90質量%以上100質量%以下、及び脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0063】
また、繊維用第2処理剤中における(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)及び脂肪酸類(A)の含有割合の合計を100質量%とすると、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を90質量%以上100質量%以下、及び脂肪酸類(A)を0質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。
【0064】
繊維用第1処理剤及び繊維用第2処理剤の各成分の含有量を、上記範囲に規定することにより、保存時における処理剤の安定性、言い換えれば、製剤安定性を向上させることができる。
【0065】
第1実施形態の繊維用処理剤の作用及び効果について説明する。
(1-1)第1実施形態の繊維用処理剤は、所定の脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する。したがって、処理剤が付着した繊維における湿潤時の摩擦特性を向上させることができる。例えば、短繊維等の製造においてトウシートの延伸工程で用いられる延伸工程用処理剤として適用される場合、繊維金属間摩擦を低減させ、トウを均一な厚さで薄く広げることができる。それにより、生産性、品質性を向上させることができる。
【0066】
(1-2)有機リン酸エステル化合物(B)が、分子中に炭素数12~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基又は炭素数12~22の脂肪族アルコールに炭素数2~3のアルキレンオキサイドを付加したものから水酸基を除いた残基を有するアルキルリン酸エステル、及びその塩から選ばれる少なくとも1つを含む。したがって、処理剤が付着した繊維のカード通過性を向上させることができる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の繊維用第1処理剤(以下、第1処理剤という)を具体化した第2実施形態を説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
本実施形態の第1処理剤では、有機リン酸エステル化合物(E)を含有する。有機リン酸エステル化合物(E)は、第1実施形態において説明した有機リン酸エステル化合物(B)と同一成分である。
【0069】
第1処理剤は、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する繊維用第2処理剤(以下、第2処理剤という)と併用される。(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)は、第1実施形態において説明した(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)と同一である。第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に脂肪酸類(D)を更に含有する。脂肪酸類(D)は、第1実施形態において説明した脂肪酸類(A)と同一成分である。
【0070】
第1処理剤は、電位差滴定法により検出される酸価が、0.01mgKOH/g以上60mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が上記数値範囲であることにより、第1処理剤の乳化不良を抑制することができる。酸価の測定方法については後述する。
【0071】
第1処理剤は、有機リン酸エステル化合物(E)及び脂肪酸類(D)を含み、さらに有機リン酸エステル化合物(E)及び脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。さらにその場合、有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することがより好ましい。
【0072】
第1処理剤は、有機リン酸エステル化合物(E)及び脂肪酸類(D)を含み、且つ第2処理剤が(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び脂肪酸類(D)を含む場合であっても、第1処理剤中における有機リン酸エステル化合物(E)及び脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、有機リン酸エステル化合物(E)を90質量%以上99.999質量%以下、前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。さらにその場合、有機リン酸エステル化合物(E)を95質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することがより好ましい。
【0073】
第2実施形態の第1処理剤の作用及び効果について説明する。本実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(2-1)第2実施形態の第1処理剤は、有機リン酸エステル化合物(E)を含有し、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する第2処理剤と併用される。そして、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に脂肪酸類(D)を更に含有する。したがって、第2処理剤との混合比率を調整することにより、得られる処理剤の成分を容易に調整することができる。また、第1処理剤を、第2処理剤とは別に保存することが可能になるため、第1処理剤の製剤安定性を向上させることができる。
【0074】
第1処理剤の保存形態は特に制限されないが、水性液の状態で保存、もしくは保管することが好ましい。
<第3実施形態>
次に、本発明の第2処理剤を具体化した第3実施形態を説明する。以下、第1、2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
本実施形態の第2処理剤は、上述した(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する。そして、第2実施形態の第1処理剤と併用される。また、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に上述した脂肪酸類(D)を更に含有する。
【0076】
第2処理剤は、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び脂肪酸類(D)を含み、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。さらにその場合、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することがより好ましい。
【0077】
第2処理剤は、第1処理剤が有機リン酸エステル化合物(E)及び脂肪酸類(D)を含み、且つ第2処理剤が(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び脂肪酸類(D)を含む場合であっても、第2処理剤中における(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)及び脂肪酸類(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を90質量%以上99.999質量%以下、前記脂肪酸類(D)を0.001質量%以上10質量%以下の割合で含有することが好ましい。さらにその場合、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を95質量%以上99.999質量%以下、及び脂肪酸類(D)を0.001質量%以上5質量%以下の割合で含有することがより好ましい。
【0078】
第3実施形態の第2処理剤の作用及び効果について説明する。本実施形態では、第1,2実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(3-1)第3実施形態の第2処理剤は、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)を含有する。そして、第2実施形態の第1処理剤と併用される。また、第1処理剤及び第2処理剤のいずれか一方又は両方に上述した脂肪酸類(D)を更に含有する。したがって、第1処理剤との混合比率を調整することにより、得られる処理剤の成分を容易に調整することができる。また、第2処理剤を、第1処理剤とは別に保存することが可能になるため、第2処理剤の製剤安定性を向上させることができる。
【0079】
<第4実施形態>
次に、本発明の繊維の処理方法を具体化した第4実施形態を説明する。
本実施形態の繊維の処理方法では、第1実施形態の繊維用処理剤及び水を含有する繊維用処理剤の希釈液(以下、希釈液ともいう)を繊維に付与することを特徴とする。
【0080】
希釈液は、水に第2実施形態の第1処理剤と、第3実施形態の第2処理剤とを添加して調製することが好ましい。希釈液は、水に、第1処理剤と水を含有する繊維用第1処理剤含有組成物(以下、第1処理剤含有組成物ともいう。)、及び第2処理剤を添加して調製することがより好ましい。第1処理剤と第2処理剤とを併用する形態は、第1処理剤と第2処理剤の混合比率を任意に変更できる。そのため、製造設備の違い又は温湿度等の気候の違い等の製造条件が異なる条件下においても、配合比率を微調整して常に最適な紡糸延伸性を得るための繊維用処理剤又は希釈液を調製することが容易になる。それにより安定した繊維製造が可能となる。第1処理剤と第2処理剤との含有割合の比は、不揮発分の質量比として第1処理剤と第2処理剤=1/9以上9/1以下であることが好ましい。かかる範囲に規定されることにより、操作性を向上できる。繊維の処理方法は、上記のように得られた希釈液を、例えば紡糸又は延伸工程、仕上げ工程等において繊維に付与する方法である。なお、不揮発分は、対象物を105℃で2時間熱処理して揮発性物質を十分に除去した絶乾物の質量から求められる。
【0081】
希釈液の調製方法は、例えば水に、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加し、不揮発分濃度を0.01質量%以上10質量%以下にする方法が用いられる。
【0082】
水に、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加する方法は、公知の方法を適宜採用できるが、下記の工程1及び下記の工程2を経ることが好ましい。かかる方法により、希釈液の安定性をより向上させることができる。
【0083】
工程1は、第1の水に、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加し、不揮発分濃度が2質量%超10質量%以下の繊維用処理剤の希釈液の母液を調製する工程である。第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤の第1の水への添加順は、特に限定されず、先に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を水に添加し、次に第2処理剤を水に添加してもよく、先に第2処理剤を水に添加し、次に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を水に添加してもよい。また、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を同時に水に添加してもよい。また、希釈する水の温度は、特に限定されない。エマルションの安定性の向上の観点から、先に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を第1の水に添加し、次に第2処理剤を第1の水に添加することが好ましい。
【0084】
さらに、工程1は、第1の水の全量のうち20~70質量%の水を60~95℃に加温し、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加した後、40℃以下に調整された残り30~80質量%の第1の水を添加する工程を経ることが好ましい。かかる方法により、希釈液の安定性をより向上させることができる。この場合も第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤の水への添加順は、特に限定されず、先に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を水に添加し、次に第2処理剤を水に添加してもよく、先に第2処理剤を水に添加し、次に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を水に添加してもよい。また、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を同時に水に添加してもよい。エマルションの安定性の向上の観点から、先に第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を第1の水に添加し、次に第2処理剤を第1の水に添加することが好ましい。
【0085】
また、工程1は、第1の水の全量のうち20~70質量%の水を60~95℃に加温し、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物を添加した後、40℃以下に調整された残り30~80質量%の第1の水を添加した後、最後に第2処理剤を添加する工程を経てもよい。かかる方法により、希釈液の安定性をより向上できる。
【0086】
工程2は、工程1で調製した繊維用処理剤の希釈液の母液に第2の水を添加し、不揮発分濃度が0.01質量%以上2質量%以下の希釈液を調製する工程である。
希釈液が付与される繊維の種類は、特に限定されない。繊維に付与された希釈液により、最終的に繊維用処理剤が繊維表面を覆い、摩擦特性を向上させるからである。希釈液が付与される繊維としては、合成繊維、天然繊維、再生繊維等が挙げられる。
【0087】
合成繊維の具体例としては、特に制限はなく、例えば(1)ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリ乳酸、これらのポリエステル系樹脂を含有して成る複合繊維等のポリエステル系繊維、(2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、(3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等が挙げられる。天然繊維又は再生繊維の具体例としては、例えば木綿繊維、晒し処理された木綿繊維、ビスコースレーヨン繊維、強力レーヨン繊維、高強力レーヨン繊維、高湿潤弾性レーヨン繊維、溶剤紡糸レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、アセテート繊維等が挙げられる。これらの中で製造工程において、特に繊維間の摩擦特性の付与が必要なポリエステル又はポリオレフィンに適用されることが好ましい。
【0088】
繊維の用途は、特に限定されず、例えば短繊維、紡績糸、不織布等が挙げられる。短繊維及び長繊維のいずれの繊維用途としても適用できるが、短繊維に適用されることが好ましい。短繊維は、一般にステープルと呼ばれるものが該当し、一般にフィラメントと呼ばれる長繊維を含まないものとする。また、短繊維の長さは、本技術分野において短繊維に該当するものであれば特に限定されないが、例えば100mm以下であることが好ましい。これらの中で、ポリエステル短繊維に適用されることが好ましい。
【0089】
希釈液を繊維に付着させる割合に特に制限はないが、希釈液を繊維に対し、最終的に固形分が0.1質量%以上3質量%以下の割合となるよう付着させることが好ましい。かかる構成により、各成分による効能を有効に発揮できる。また、希釈液を付着させる方法は、特に制限はなく、繊維の種類、形態、用途等により公知の方法、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等を採用できる。
【0090】
希釈液が付与された繊維は、公知の方法を用いて乾燥処理してもよい。乾燥処理により水等の溶媒が揮発され、第1処理剤及び第2処理剤中に含有される成分が付着している繊維が得られる。
【0091】
第4実施形態の繊維の処理方法の作用及び効果について説明する。本実施形態では、第1~3実施形態の効果に加えて、以下の効果を有する。
(4-1)本実施形態の繊維の処理方法における希釈液の調製方法は、例えば水に、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加し、不揮発分濃度を0.01質量%以上10質量%以下にする方法が用いられる。したがって、第1処理剤及び第2処理剤の混合物がエマルション形態の場合、エマルションの安定性を向上できる。また、予め調製された第1処理剤と第2処理剤を水に混合することにより、繊維付与形態である希釈液を調製できるため、使用時に試薬から調合する方法に比べて希釈液を簡易に調製できる。
【0092】
(4-2)また、水に、第1処理剤又は第1処理剤含有組成物、及び第2処理剤を添加し、不揮発分濃度が2質量%超10質量%以下の繊維用処理剤の希釈液の母液を調製する工程を経る場合、エマルションの安定性をより向上させることができる。それにより、成分の繊維への均一な付着性を低下させることがなく、各成分による効能を有効に発揮できる。
【0093】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態の各処理剤、第1処理剤含有組成物又は希釈液には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤、第1処理剤含有組成物又は希釈液の品質保持のため、その他の溶媒、安定化剤、制電剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常処理剤等に用いられる成分をさらに配合してもよい。
【0094】
・(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)において、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルのうち、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルは、環境特性の観点から繊維用処理剤中において、少量であることが好ましい。具体的には繊維用処理剤中において、1質量%以下であることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。実質的に含まないとは、別途、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを配合させることはしないという意味であり、各原料中に不純物等として含まれる少量のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルまで除外するものではない。上記実施形態の繊維用処理剤の構成により、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが少量である繊維用処理剤であっても、脂肪酸類(A)により摩擦特性を向上できる。
【0095】
・上記実施形態において、アルコールと無水リン酸との反応で得られた有機リン酸エステル化合物(B)を使用する場合、副産物として無機リン酸が0.01質量%以上10質量%以下含まれている有機リン酸エステル化合物が適用されてもよい。公知の製造方法で得られた有機リン酸エステル化合物は、無機リン酸が例えば0.01質量%以上5質量%以下の割合で混入することがある。
【0096】
・上記実施形態の繊維の処理方法における希釈液の調製方法について、希釈液を調整する前記工程1及び工程2から選ばれる任意の工程において、さらにシリコーン組成物を加えることが、繊維製造時の消泡性、繊維の紡績性能向上等の観点から好ましい。シリコーン組成物の具体例としては、特に限定されないが、例えばポリジメチルシロキサン、ポリオキシエチレン変性シリコーン等が好ましい。シリコーン組成物を加える工程としては、希釈液の安定性の観点から、工程2がより好ましい。
【実施例】
【0097】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に限定のない限り、部は質量部を、%は質量%を意味する。
【0098】
試験区分1(処理剤の調製)
処理剤は、表1~4に示される各成分を使用し、下記調製方法により調製した。
脂肪酸類(A)は、表1に示されるA-1~A-7、a-1、a-2を使用した。
【0099】
脂肪酸類(A)の種類、炭素数、ヒドロキシ基の数を、表1の「脂肪酸類(A)」欄、「炭素数」欄、「ヒドロキシ基の数」欄にそれぞれ示す。
有機リン酸エステル化合物(B)は、表2に示されるB-1~B-7を使用した。
【0100】
有機リン酸エステル化合物(B)の種類、脂肪族アルコール残基の炭素数を、表2の「有機リン酸エステル化合物(B)」欄、「脂肪族アルコール残基の炭素数」欄にそれぞれ示す。
【0101】
【0102】
【表2】
(参考例1)
表3に示されるように、酢酸カリウム(A-1)0.1部、オクタデシルリン酸エステルカリウム塩(B-1)34.9部、ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル(C-1)65部となるように各成分を秤量した。これらを撹拌し、混合して、参考例1の処理剤を調製した。
【0103】
(参考例2~54、比較例1~3)
参考例2~54、比較例1~3の処理剤は、参考例1の処理剤と同様にして各成分を表3、4に示した割合で含むように調製した。
【0104】
脂肪酸類(A)の種類と含有量、有機リン酸エステル化合物(B)の種類と含有量、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)の種類と含有量を、表3、4の「脂肪酸類(A)」欄、「有機リン酸エステル化合物(B)」欄、「(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)」欄にそれぞれ示す。
【0105】
【0106】
【表4】
表3、4に記載する(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)又は後述する表5、6の(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)の詳細は以下のとおりである。
【0107】
((ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)(F))
C-1:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル
C-2:ポリオキシエチレン(8モル)オレイルエーテル
C-3:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=70/30
C-4:ポリオキシエチレン(15モル)C12-13アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=50/50
C-5:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル/ポリオキシエチレン(10モル)ドデシルアミンエーテルと燐酸の塩=50/50
C-6:ポリオキシエチレン(5モル)オレイルエーテル/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=70/30
C-7:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8、nはオキシエチレン単位の数、mはオキシプロピレン単位の数、以下同様)C12-13アルコール=70/30
C-8:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)C12-13アルコール=50/50
C-9:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)C12-13アルコール/ポリオキシエチレン(10モル)ドデシルアミンエーテルと燐酸の塩=30/30/40
C-10:α-ドデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)/α-トリデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=10)C12-13アルコール=20/30/50
C-11:α-トリデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)=65/35
C-12:α-トリデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)=35/65
C-13:ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=12)C11-14アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)=20/40/40
C-14:α-トリデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(4モル)/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=60/20/20
C-15:α-ドデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=10)/ポリオキシエチレン(3モル)C12-14アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)/ステアリルアミン(ポリオキシエチレン)(5モル)=10/50/30/10
C-16:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)C12-13アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=40/40/20
C-17:ポリオキシエチレン(10モル)C12-13アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)C12-13アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(10モル)=30/30/40
C-18:α-デシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(6モル)/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)トリデシルエーテル/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)=40/20/40
C-19:α-デシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(6モル)/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=8)トリデシルエーテル/ポリオキシエチレン(15モル)ドデシルアミンエーテルと燐酸の塩=30/30/40
C-20:α-ドデシル-ω-ヒドロキシ(ポリオキシエチレン)(9モル)/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=7)デシルエーテル/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)=20/30/50
C-21:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(n+m=20)硬化ひまし油/ポリオキシエチレン(3モル)C12-14アルコール=70/30
C-22:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(n+m=20)硬化ひまし油/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=10)ステアリルエーテル=60/40
C-23:ポリオキシエチレン(10モル)C11-14アルコール/(ポリオキシエチレン)(ポリオキシプロピレン)(n+m=10)C12-13アルコール/α-ドデシルアミノ-ω-ヒドキシ(ポリオキシエチレン)(15モル)/ヤシ脂肪酸-ポリオキシエチレン(7モル)=30/30/30/10
C-24:ヤシ脂肪酸-ポリオキシエチレン(10モル)
C-25:ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエステル
C-26:ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル/ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエステル=20/80
C-27:ポリオキシエチレン(12モル)ラウリルエステル/ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエステル/ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル/ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル=20/20/30/30
試験区分2(処理剤の希釈液の調製)
試験区分1で調製した処理剤を、約80℃に加温した所定量の半量のイオン交換水に撹拌下で加え、完全に溶解させた。溶解後、加温を止め、約25℃の残り半量のイオン交換水を一気に加えて均一になるまで撹拌し、処理剤の5%希釈液を調製した。
【0108】
試験区分3(評価)
参考例1~54及び比較例1~3の処理剤について、希釈液を付着させた繊維の湿潤時摩擦特性、処理剤を付着させた繊維のカード通過性を評価した。各試験の手順について以下に示す。また、試験結果を表3、4の「製造工程性」欄、「紡績性」欄にそれぞれ示す。
【0109】
(湿潤時摩擦特性)
試験区分2で調製した処理剤の5%希釈液を、約25℃のイオン交換水で希釈し、0.35%希釈液を調製した。調製した0.35%希釈液80mLを、縦60mm×横230mm×高さ20mmの金属製のバッドに入れた。
【0110】
縦30mm×横90mm×高さ45mmで、重さ1kgの矩形板状の重りを用意した。この重りの底面に、両面テープを用いて、底面と同じサイズのポリエステルスパンボンド不織布を貼り付けた。上記の0.35%希釈液が入ったバッドに、不織布を貼り付けた底面側が下側となるように重りを置いた。
【0111】
最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ型式AGS-X)を用いて、20℃×60%RHの雰囲気下、水平速度100mm/minの条件で重りを引っ張る引張試験を行った。下記の基準で評価した。
【0112】
なお、上記の方法によって、湿潤時の繊維と金属との摩擦特性を評価した。具体的には、上記の方法によって、紡糸工程や延伸工程における、繊維と金属製ローラーとの摩擦特性を評価した。上記摩擦特性の評価は、0.35%希釈液を調製してから12時間以内に行った。
【0113】
・湿潤時摩擦特性の評価基準
◎(良好):脂肪酸類(A)を含まない比較例1の0.35%希釈液を用いて測定した摩擦Nと、各例の0.35%希釈液を用いて測定した摩擦Mとの比であるM/N比が、0.98以下である場合
○(可):上記M/N比が、0.98より大きく、0.99以下である場合
×(不可):上記M/N比が、0.99より大きい場合
(カード通過性)
試験区分2で調製した処理剤の5%希釈液を、約25℃のイオン交換水で希釈し、0.3%希釈液を調製した。この0.3%希釈液を、製綿工程で得られた繊度1.3×10-4g/m(1.2デニール)で繊維長38mmのセミダルのポリエステルステープル繊維に、溶媒を除く付着量が0.15質量%となるようにスプレー給油法で付着させた。その後、80℃の熱風乾燥機で2時間乾燥した後、25℃×65%RHの雰囲気下で一夜調湿して、処理剤を付着させたポリエステルステープル繊維を得た。
【0114】
得られたポリエステルステープル繊維30gを用いて、ミニチュアカード機(竹内製作所製)を通過させて繊維ウェブを作製した。原綿が全てカード機に入ってから20秒経過した時点での紡出量、繊維ウェブのネップ又は風綿の発生状況に基づいて以下の基準で評価した。
【0115】
なお、上記ネップとは、カード機内部で繊維同士が絡まることによって繊維ウェブ内に発生する粒状の繊維塊を意味するものとする。また、上記風綿とは、繊維ウェブを作製する際に舞い上がった繊維を意味するものとする。
【0116】
・カード通過性の評価基準
◎(良好):カード通過量が98%以上であり、ネップや風綿がほとんど発生せず、良好な繊維ウェブが得られた場合
○(可):カード通過量が95%以上98%未満であり、ネップや風綿が若干見られるが、均質な繊維ウェブが得られた場合
×(不可):カード通過量が95%未満であり、製造時に風綿が見られ、繊維ウェブにネップが多く見られた場合
試験区分4(第1処理剤の調製、第1処理剤含有組成物の調製)
表5に示されるように、脂肪酸類(D)として酢酸カリウム(A-1)0.3部、有機リン酸エステル化合物(E)としてオクタデシルリン酸エステルカリウム塩(B-1)99.7部となるように各成分を秤量した。これらを撹拌し、混合して、第1処理剤を調製した。さらに、表5の「第1処理剤濃度」欄に示す濃度となるように水と混合して、第1処理剤含有組成物(I-1)を調製した。
【0117】
第1処理剤含有組成物(I-1)と同様に、表5、6に示す含有割合となるように各成分を秤量した。これらを撹拌し、混合して、第1処理剤を調製した。さらに、表5、6の「第1処理剤濃度」欄に示す濃度となるように水と混合して、第1処理剤含有組成物(I-2)~(I-57)を調製した。
【0118】
【0119】
【表6】
第1処理剤について、下記の方法で酸価を測定した。
【0120】
まず、第1処理剤含有組成物を、エタノール/キシレン=1/2(容積比)の混合溶媒に溶解させて、試料溶液を作製した。作製した試料溶液を公知の電位差測定装置にセットして、0.1mol/Lの水酸化カリウムメタノール標準溶液で滴定した。下記の式を用いて、第1処理剤含有組成物の酸価を算出した。
【0121】
第1処理剤含有組成物の酸価(KOHmg/g)=(R×f×56.11×0.1)/S
f:0.1mol/Lの水酸化カリウムメタノール標準溶液のファクター
S:試料採取量(g、固形分換算量)
R:変曲点までの0.1mol/Lの水酸化カリウムメタノール標準溶液の使用量(mL)
次に、第1処理剤含有組成物の酸価に対して、下記の式を用いて、第1処理剤の酸価を算出した。すなわち、第1処理剤含有組成物の酸価から、第1処理剤の酸価を換算して求めた。
【0122】
第1処理剤の酸価(KOHmg/g)=(U×100)/T
U:第1処理剤含有組成物の酸価
T:第1処理剤濃度(質量%)
試験区分5(第2処理剤の調製)
(第2処理剤(II-1))
表7に示されるように、(ポリ)オキシアルキレン誘導体(F)として、ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル(C-1)を用いて第2処理剤(II-1)とした。
【0123】
(第2処理剤(II-2)~(II-57))
第2処理剤(II-1)と同様に、表7、8に示す含有割合となるように各成分を秤量した。これらを撹拌し、混合して、第2処理剤(II-2)~(II-57)を調製した。
【0124】
【0125】
【表8】
試験区分6(製剤安定性の評価)
上記第1処理剤含有組成物又は第2処理剤を、25℃又は50℃にて1週間保管した。1週間経過後の外観を観察し、下記の基準に従って評価した。すなわち、第1処理剤の製剤安定性の評価は、第1処理剤含有組成物で実施した。結果を表5、6の「製剤安定性」欄に示す。
【0126】
・製剤安定性の評価基準(第1処理剤含有組成物)
◎(良好):分離や増粘が起きていない場合
○(可):25℃において分離や増粘が起きていないが、50℃においては分離や増粘が起きている場合
×(不可):25℃、50℃どちらの条件においても分離や増粘が起きている場合
・製剤安定性の評価基準(第2処理剤)
◎(良好):外観透明で分離や増粘が起きていない場合
○(可):25℃において外観透明で、分離や増粘が起きていないが、50℃においては外観に濁りが生じる場合、又は分離や増粘が起きている場合
×(不可):25℃、50℃どちらの条件においても外観に濁りが生じる場合、又は分離や増粘が起きている場合
試験区分7(第1処理剤含有組成物と第2処理剤から繊維用処理剤の調製)
第1処理剤含有組成物及び第2処理剤を用いた繊維用処理剤の調製方法は特に制限されない。例えば、第1処理剤含有組成物及び第2処理剤を所定の含有量となるように秤量し、いずれか一方を撹拌しながら、いずれか他方を添加し、混合することにより調製することができる。
【0127】
また、第1処理剤含有組成物及び第2処理剤を用いた繊維用処理剤の希釈液の調製方法は特に制限されず、例えば以下の方法を採用することができる。
まず、試験区分4で調製した第1処理剤含有組成物を、約80℃に加温した所定量の半量のイオン交換水に撹拌下で加え、完全に溶解させる。溶解後、試験区分5で調製した第2処理剤を撹拌下で加えて完全に溶解させる。溶解後、加温を止め、約25℃の残り半量のイオン交換水を一気に加えて均一になるまで撹拌する。これにより、希釈液を調製することができる。
【0128】
(実施例55)
第1処理剤含有組成物(I-1)、第2処理剤(II-2)、及びイオン交換水を用いて、上記の方法で実施例55の繊維用処理剤の5%希釈液を調製した。表9には第1処理剤含有組成物と第2処理剤の不揮発分の質量比を示した。
【0129】
(実施例56~103、107、参考例104~106、108、比較例4~6)
実施例55と同様にして、表9に示される第1処理剤含有組成物、第2処理剤、及びイオン交換水を用いて、上記の方法で実施例56~103、107、参考例104~106、108、比較例4~6の繊維用処理剤の5%希釈液を調製した。
【0130】
第1処理剤含有組成物の種類と不揮発分の含有比率、第2処理剤の種類と不揮発分の含有比率を、表9の「第1処理剤含有組成物」欄、「第2処理剤」欄にそれぞれ示す。
得られた各例の繊維用処理剤の希釈液を用いて、参考例1と同様に、希釈液を付着させた繊維の湿潤時摩擦特性、処理剤を付着させた繊維のカード通過性を評価した。試験結果を表9の「製造工程性」欄、「紡績性」欄にそれぞれ示す。
【0131】
【表9】
本発明の繊維用処理剤は、繊維用処理剤が付着した繊維における湿潤時の摩擦特性を向上させることができる。繊維用処理剤が付着した繊維のカード通過性を向上させることができる。
【要約】
【課題】繊維用処理剤が付着した繊維の湿潤時の摩擦特性を向上させる。
【解決手段】繊維用処理剤は、下記の脂肪酸類(A)、有機リン酸エステル化合物(B)、及び(ポリ)オキシアルキレン誘導体(C)を含有する。
脂肪酸類(A):炭素数1~6の脂肪酸、炭素数1~6のヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一つ。
【選択図】なし