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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】医療情報共有システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20220823BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021179864
(22)【出願日】2021-11-02
【審査請求日】2021-11-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513260579
【氏名又は名称】株式会社トマーレ
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野間口 敬
(72)【発明者】
【氏名】大林 淳子
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸一
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-171191(JP,A)
【文献】特開2017-091356(JP,A)
【文献】特開2021-082104(JP,A)
【文献】特開2016-123571(JP,A)
【文献】特開2020-035410(JP,A)
【文献】特開2020-194607(JP,A)
【文献】特開2018-050739(JP,A)
【文献】特開2020-35410(JP,A)
【文献】特開2018-18531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関において患者の医療情報を共有するための医療情報共有システムであって、
医療機関スタッフが携帯する端末装置と、
患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報として、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関するピクトグラム化された医療情報とを対応付けて記憶するサーバ装置と、
を備え
記端末装置は、
医療機関スタッフを識別する第1のスタッフ識別情報を取得する第3取得部、
前記第3取得部が取得した前記第1のスタッフ識別情報を前記サーバ装置に送信する第2送信部、
前記第2送信部が送信した前記第1のスタッフ識別情報と、予め記憶された医療事務職員、薬剤師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、調理師、診療放射線技師、臨床検査技師、警備スタッフ又は災害派遣医療スタッフを識別するスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、患者が所持する情報媒体から前記患者を識別する患者識別情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部が取得した前記患者識別情報を前記サーバ装置に送信する第1送信部、
前記第1送信部が送信した前記患者識別情報に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第2取得部、及び、
前記第2取得部が取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する表示部、
を備えることを特徴とする医療情報共有システム。
【請求項2】
前記端末装置が、さらに
前記表示部が表示した前記表示画面を、所定時間が経過した後に非表示にする、及び/又は、前記第2取得部が取得した前記被共有医療情報を、所定時間が経過した後に前記端末装置から消去する制御部、
を備えることを特徴とする請求項に記載の医療情報共有システム。
【請求項3】
前記端末装置が、さらに、
前記端末装置を識別する端末識別情報を前記サーバ装置に送信する第3送信部
を備え、
前記第2取得部は、
前記第3送信部が送信した前記端末識別情報と予め記憶された端末識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療情報共有システム。
【請求項4】
医療機関において患者の医療情報を共有するための医療情報共有システムであって、
医療機関スタッフが携帯する端末装置と、
サーバ装置と、
患者が所持する発信機、
を備え、
前記サーバ装置は、
患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報として、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関するピクトグラム化された医療情報とを対応付けて記憶するとともに、
患者と、その患者が所持する発信機を識別する発信機識別情報とを対応付けて記憶しており、
前記端末装置は、
医療機関スタッフを識別する第1のスタッフ識別情報を取得する第3取得部、
前記第3取得部が取得した前記第1のスタッフ識別情報を前記サーバ装置に送信する第2送信部、
前記第2送信部が送信した前記第1のスタッフ識別情報と、予め記憶された医療事務職員、薬剤師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、調理師、診療放射線技師、臨床検査技師、警備スタッフ又は災害派遣医療スタッフを識別するスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、患者が所持する発信機から当該発信機を識別する発信機識別情報を取得する第5取得部
前記第5取得部が取得した前記発信機識別情報を前記サーバ装置に送信する第5送信部、
前記第5送信部が送信した前記発信機識別情報で特定される発信機に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第6取得部、及び、
前記第6取得部が取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する表示部、
を備えることを特徴とする医療情報共有システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、さらに、
被共有医療情報と、その被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアとを対応付けて記憶しており、
前記端末装置において、
前記第5送信部は、前記第5取得部が取得した前記発信機識別情報とともに前記端末装置の位置を特定できる位置特定情報を前記サーバ装置に送信し、
前記第6取得部が取得する前記被共有医療情報は、前記第5送信部が送信した前記発信機識別情報で特定される発信機に対応する患者についての被共有医療情報であって、当該被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアと、前記位置特定情報により特定される位置とを比較して、医療機関スタッフに報知されるべきと前記サーバ装置が判定した被共有医療情報であり、
前記端末装置は、前記第6取得部が被共有医療情報を取得したとき、音信号を発する、光信号を発する及び/又は振動する
ことを特徴とする請求項に記載の医療情報共有システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機関において患者の医療情報を共有するための医療情報共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に適切な医療乃至看護を提供するために、患者の状態を適切に把握することは極めて重要である。特に、病院などの医療機関に入院している患者には、その患者が患っている疾患の種類や病状等に応じて、移動、姿勢、排泄、食事等に関する条件や制限が課せられている場合があり、これらの条件又は制限を遵守しない場合には、患者に重大な影響を及ぼす可能性がある。よって、これらの条件又は制限は、患者自身はもとより、医師や看護師などの医療機関スタッフを含む患者と接する全ての人に共有されることが望ましい医療情報の一つである。
【0003】
患者の移動、姿勢、排泄、食事等に関する条件又は制限を共有するため、これらの医療情報をピクトグラムにして患者のベッドサイドに貼り付けるという取り組みが為されている。このような場合には、患者のベッドサイドにピクトグラムを一個一個貼り付けなければならず、また、患者の病状が変化した場合には、それに応じてピクトグラムを貼り直さなければならない。このようにピクトグラムの貼り付けを全て手作業で行うと、多大な労力を要するとともに、時には、ピクトグラムの貼り忘れ、変更し忘れ、貼り間違いが生じ得る。
【0004】
一方、近年、医療機関においては、入院している患者がテレビや映画の視聴、インターネットの閲覧をすることができるとともに、患者が自己の状態を確認したり、処置、検査、リハビリ又は手術等のスケジュールを確認することができるベッドサイド端末が広く活用されている。そこで、患者に課せられている移動、姿勢、排泄、食事等に関する条件や制限を、患者のベッドサイドに設置されたベッドサイド端末で随時閲覧可能とするベッドサイド医療情報システムが、例えば、特許文献1乃至5に見られるとおり盛んに開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-275607号公報
【文献】特開2012-118782号公報
【文献】特開2014-97116号公報
【文献】特開2015-18461号公報
【文献】特開2017-091356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ベッドサイドに貼り付けられたピクトグラム或いはベッドサイド端末に表示されたピクトグラムから患者の医療情報を確認するには、その確認は、当然のことながらベッドサイドで行わなければならない。しかしながら、医療機関に入院している患者は、診察、検査、治療、リハビリ、面会、散歩、買い物等、多様な院内生活を送っており、必ずしも自分のベッドサイドにいるとは限らない。ある患者の医療情報を、その患者のベッドサイド以外の場所で確認したい場合には、一度、その患者のベッドサイドに戻るか、ナースステーションに戻って情報を確認しなければならず、必要な時、速やかに患者の医療情報を確認することは容易ではない。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するために為されたものであり、医療機関において、特に、患者のベッドサイド以外の場所においても患者の医療情報を効率的に確認することができる医療情報共有システムを提供することを一つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記のような従来技術においては、患者の移動、姿勢、排泄、食事等に関する条件や制限をはじめとする、多くの医療情報の提供場所が当該患者のベッドサイド近辺に限定されており、また、これにより患者の医療情報を把握する労力が看護師等の特定の医療機関スタッフに集中している点に着目した。そして、患者について医療機関スタッフの間で共有されるべき重要な医療情報を、必要な時に、必要な場所で、望ましくは、医師や看護師や以外の医療機関スタッフもが把握することができれば、医療機関スタッフ全体で患者を支えることができ、より患者に寄り添った、きめの細かい医療乃至看護サービスが提供できるのではないかと考え、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明はある一側面において、
医療機関において患者の医療情報を共有するための医療情報共有システムであって、
医療機関スタッフが携帯する端末装置と、
患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報とを対応付けて記憶するサーバ装置と、
を備え、
前記端末装置は、
患者を識別する患者識別情報を取得する第1取得部と、
前記第1取得部が取得した前記患者識別情報を前記サーバ装置に送信する第1送信部、
前記患者識別情報に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第2取得部、及び、
前記第2取得部が取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する表示部、
を備えることを特徴とする医療情報共有システムを提供することにより上記課題を解決するものである。なお、被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面は、前記被共有医療情報を含む表示画面であり得る。
【0010】
医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報は、患者及び/又はその関係者の同意が得られているものであれば、基本的にどのようなものであっても良いが、ある好適な一態様において、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報であることが好ましい。患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報は、それらが遵守されない場合には、患者に重大な影響を及ぼす可能性がある重要な医療情報である一方で、プライバシー性は比較的低い医療情報であるので、医療機関スタッフの間で積極的に共有されるべき医療情報と言える。なお、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報には、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物についての禁止事項、注意事項、補助具の要否、介助の要否及びその程度が含まれ得る。本発明の一態様に係る医療情報共有システムによれば、医療機関スタッフは、ベッドサイド以外の場所であっても、必要な時に、自己が携帯する端末装置を用いてこれらの医療情報を閲覧することができるので、個々の患者に適切な医療サービス乃至看護サービスを提供することができるという利点がある。
【0011】
また、ある好適な一態様において、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する前記医療情報はピクトグラム化された医療情報であることが好ましい。ピクトグラムを用いることにより、限られたスペースで、効率的に患者の医療情報を伝達することが可能となる。なお、本明細書でいう「ピクトグラム」は図形又は記号のみならず、必要な限度で文字列を含み得る。ピクトグラムに含まれる文字列を構成する文字数は、典型的には20文字以下、好ましくは15文字以下である。本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置は、主として、医療機関スタッフが携帯する端末装置、すなわち、携帯端末であるため、そのディスプレイサイズは小さい場合が多く、典型的には8.0インチ未満、多くの場合7.0インチ以下である。ディスプレイサイズが小さい携帯端末を用いた場合であっても、患者の医療情報をピクトグラム化して表示することにより、限られたスペースで効率良く医療情報を伝えることができる。
【0012】
また、ある好適な一態様において、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報には、転倒転落の危険度に関する情報が含まれ得る。転倒転落の危険度とは、例えば、患者の四肢の自由度や能力などを調べる転倒転落アセスメントと呼ばれる調査を患者ごとに行うことによって得ることができる情報であり、個々の患者についての転倒転落の危険度を、例えば「A」は危険度「小」、「B」は危険度「中」、「C」は危険度「大」というようにランク分けして記号で表した情報である。A、B、Cという各記号に数字を添えることで、各ランクの危険度をさらに細分して表すことも可能である。このような転倒転落の危険度を知ることにより、その患者の転倒、転落の危険度を知ることができるので、適切な介助乃至は対応をとることができる。
【0013】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置のユーザである前記医療機関スタッフには、例えば、医療事務スタッフ、薬剤師、助産師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、調理師、診療放射線技師、臨床検査技師、警備スタッフ及び/又は災害派遣医療スタッフ等の医師や看護師以外の医療機関スタッフもが含まれる。必要な患者の医療情報を、患者本人や医師、看護師に限らず、医療機関において患者と接する可能性がある全ての医療機関スタッフの間で広く共有することができれば、医療機関のスタッフ全員で個々の患者に気を配り、よりきめの細かい医療乃至看護サービスを提供することができるようになる。なお、念のため付言するに、医師や看護師が本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置のユーザであっても良いことは言うまでもない。
【0014】
ちなみに、本明細書において「医療機関」という場合には、病院だけでなく、診療所、クリニック、医院、及び、リハビリテーション施設や介護施設等も含まれる。
【0015】
なお、前記第1取得部が取得する患者を識別する患者識別情報は、例えば、患者IDであり得るが、これに限定されない。患者識別情報を取得する具体的な方法に特段の制限はなく、例えば、端末装置に表示される患者識別情報入力画面に直接入力、すなわち、手動で入力するようにしても良いし、患者が所持する情報媒体から取得するようにしても良いが、患者が所持する情報媒体から取得されることが好ましい。端末装置に表示される入力画面に患者識別情報を直接入力するのではなく、患者が所持する情報媒体から患者識別情報を取得することにより、誤った患者識別情報が用いられ、患者を取り違えてしまうリスクが低減される。ちなみに、患者が所持する情報媒体とは、例えば、ICカード、ICチップ、バーコード、二次元バーコード等であり得る。また、患者が所持する情報媒体に代えて、又は、患者が所持する情報媒体に加えて、患者の指紋、虹彩、声紋、顔等の患者自身から直接取得できるバイオメトリクス情報を患者識別情報として用いても良い。
【0016】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る端末装置は、前記表示部が表示した前記表示画面を、所定時間が経過した後に非表示にする、及び/又は、前記第2取得部が取得した前記被共有医療情報を、所定時間が経過した後に前記端末装置から消去する制御部を備えていることが好ましい。本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が、上記制御部を備えている場合には、所定時間が経過した後に、患者の医療情報を含む表示画面が自動的に非表示となる、及び/又は、所定時間が経過した後に、患者の医療情報が端末装置から消去されるため、万が一、端末装置が盗難又は紛失した場合であっても、当該端末装置を介して患者の医療情報が漏洩するリスクを低減することができる。前記所定時間に特段の制限はないが、患者の医療情報が漏洩するリスクを低減するという観点からは、例えば、前記表示画面が表示されてから60分、より好ましくは40分、さらに好ましくは30分、よりさらに好ましくは15分とすることができる。
【0017】
また、前記第1取得部が患者を識別する患者識別情報を取得する前に、端末装置のユーザである医療機関スタッフの認証を行うようにしても良い。すなわち、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置は、医療機関スタッフを識別する第1のスタッフ識別情報を取得する第3取得部と、前記第3取得部が取得した前記第1のスタッフ識別情報を前記サーバ装置に送信する第2送信部を備え、前記第1取得部は、前記第1のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、患者を識別する患者識別情報を取得する、ことを特徴とする端末装置であり得る。この場合、例えば、前記サーバ装置は、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報の一覧を記憶部に記憶しており、また、前記第2送信部から受信した前記第1のスタッフ識別情報が、記憶部に記憶されたスタッフ識別情報と一致するか否かを判定する判定部を有するということになる。判定の結果、前記端末装置が取得した第1のスタッフ識別情報が正当なユーザとして予め記憶された医療機関スタッフのスタッフ識別情報と一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記端末装置は、患者を識別する患者識別情報を取得する。例えば、前記端末装置が取得した第1のスタッフ識別情報が正当なユーザとして予め記憶された医療機関スタッフのスタッフ識別情報と一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記端末装置が備える前記表示部に患者識別情報取得画面が表示され、当該患者識別情報取得画面を介して、患者を識別する患者識別情報を取得する構成としても良い。
【0018】
なお、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報は、例えば、スタッフIDであり得るが、これに限定されない。スタッフ識別情報は、例えば、端末装置に表示されるスタッフ識別情報入力画面から直接入力するようにしても良いし、医療機関スタッフが所持する情報媒体から取得するようにしても良い。医療機関スタッフが所持する情報媒体は、例えば、ICカード、ICチップ、バーコード、二次元バーコード等であり得る。また、医療機関スタッフが所持する情報媒体に代えて、又は、医療機関スタッフが所持する情報媒体に加えて、医療機関スタッフの指紋、虹彩、声紋、顔等の医療機関スタッフ自身から直接取得できるバイオメトリクス情報をスタッフ識別情報として用いても良い。
【0019】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置は、前記端末装置を識別する端末識別情報を前記サーバ装置に送信する第3送信部を備え、前記第2取得部は、前記第3送信部が送信した前記端末識別情報と、予め記憶された端末識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得することを特徴とする端末装置であり得る。この場合、例えば、前記サーバ装置は、患者の被共有医療情報へのアクセスが許可されている端末装置を識別する端末識別情報の一覧を記憶部に記憶しており、また、前記第3送信部から受信した前記端末識別情報が、記憶部に記憶された端末識別情報と一致するか否かを判定する判定部を有するということになる。なお、端末装置を識別する端末識別情報は、当該端末装置を識別することができる限りにおいて、どのような情報であっても良いが、例えば、各端末に割り当てられた個体識別番号、端末ID、MACアドレス(Media Access Control Address)等であり得る。本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が以上の構成を備えている場合には、患者の医療情報が表示される端末装置が予め登録された所定の端末装置に限定されるので、患者の医療情報が第三者に漏洩するリスクを低減することができる。
【0020】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置は、被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための前記表示画面が表示された状態から、さらに、医療機関スタッフを識別する第2のスタッフ識別情報を取得する第4取得部と、前記第4取得部が取得した前記第2のスタッフ識別情報を前記サーバ装置に送信する第4送信部、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記表示部は、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報の入力を受け付けるための入力画面を表示する、ことを特徴とする端末装置であり得る。この場合、例えば、前記サーバ装置は、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報の一覧を記憶部に記憶しており、また、前記第4送信部から受信した前記第2のスタッフ識別情報が、記憶部に記憶されたスタッフ識別情報と一致するか否かを判定する判定部を有するということになる。なお、前記第2のスタッフ識別情報と前記第1のスタッフ識別情報は同じものであっても良いが、異なるものであることが好ましく、前記第1のスタッフ識別情報と前記第2のスタッフ識別情報の少なくとも一方は、医療機関スタッフが所持する情報媒体から取得されたスタッフ識別情報であるか、医療機関スタッフのバイオメトリクス情報であることが好ましい。
【0021】
本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が、以上のような構成を備える場合には、端末装置のユーザである医療機関スタッフは、当該端末装置から患者についての必要最小限の医療情報の確認のみならず、患者についての医療情報の入力が可能となるので大変便利である。ここで、上記入力画面が入力を受け付ける医療情報の種類に特段の制限はないが、例えば、医療機関スタッフが看護師である場合には、体温、血圧、脈拍、呼吸、尿量又は看護記録等に関する医療情報、医療機関スタッフが診療放射線技師である場合には、レントゲン画像、CT画像又はMRI画像等に関する医療情報、医療機関スタッフが作業療法士や理学療法士である場合には、理学療法診療記録、作業療法診療記録又はリハビリ診療録等に関する医療情報であり得る。すなわち、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える前記サーバ装置は、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報と、前記スタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種を対応付けて記憶しており、端末装置の前記表示部は、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記第2のスタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種に応じた医療情報の入力を受け付けるための入力画面を表示する。敢えて具体例を挙げるとすれば、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える前記端末装置の前記表示部は、前記第2のスタッフ識別情報と、看護師を識別する識別情報として予め記憶された看護師識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての体温、血圧、脈拍、呼吸、尿量又は看護記録に関する医療情報の入力を受け付けるための入力画面を表示するということになる。一方、前記サーバ装置は、ある好適な一態様において、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報と、前記スタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種を対応付けて記憶しており、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記第2のスタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種に応じた医療情報の入力を受け付けるための入力画面を生成する手段を備えているということになる。
【0022】
なお、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が上記入力画面を表示する場合には、上記入力画面を、所定時間が経過した後に非表示にする、及び/又は、上記入力画面から入力された医療情報を所定時間が経過した後に前記端末装置から消去する制御部を備えていることが更に好ましい。前記所定時間に特段の制限はないが、例えば、前記入力画面が表示されてから60分、より好ましくは40分、さらに好ましくは30分、よりさらに好ましくは15分とすることができる。
【0023】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置は、被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための前記表示画面が表示された状態から、さらに、医療機関スタッフを識別する第2のスタッフ識別情報を取得する第4取得部と、前記第4取得部が取得した前記第2のスタッフ識別情報を前記サーバ装置に送信する第4送信部を備え、前記表示部は、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報の入力を受け付けるための入力画面に代えて、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記被共有医療情報以外の医療情報を含む表示画面を表示する、ことを特徴とする端末装置であり得る。この場合、前記端末装置は、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記被共有医療情報以外の医療情報を前記サーバ装置から取得する手段を備えているということになる。なお、被共有医療情報以外の前記医療情報が前記サーバ装置に記憶されることがセキュリティ上好ましくない場合等には、前記サーバ装置に代えて、電子カルテシステム等の院内ネットワークに含まれる他のサーバ装置や記憶装置から前記医療情報を取得するようにしても良い。
【0024】
本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が、以上のような構成を備える場合には、端末装置のユーザである医療機関スタッフは、当該端末装置から患者についての必要最小限の医療情報の確認のみならず、患者についての詳細な医療情報を確認することができるので大変便利である。ここで、上記表示画面に表示される被共有医療情報以外の前記医療情報の種類に特段の制限はないが、例えば、医療機関スタッフが看護師である場合には、患者の体温、血圧、脈拍、呼吸、尿量、看護記録、治療計画、検査スケジュール、クリニカルパス等に関する医療情報、医療機関スタッフが診療放射線技師である場合には、レントゲン画像、CT画像又はMRI画像等に関する医療情報、医療機関スタッフが作業療法士や理学療法士である場合には、理学療法診療記録、作業療法診療記録又はリハビリ診療録等に関する医療情報であり得る。すなわち、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える前記サーバ装置は、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報と、前記スタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種を対応付けて記憶しており、端末装置の前記表示部は、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記第2のスタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種に応じた医療情報を含む表示画面を表示する。敢えて具体例を挙げるとすれば、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムが備える前記端末装置の前記表示部は、前記第2のスタッフ識別情報と、看護師を識別する識別情報として予め記憶された看護師識別情報とが一致すると前記サーバ装置が判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての体温、血圧、脈拍、呼吸、尿量又は看護記録に関する医療情報を含む表示画面を表示するということになる。一方、前記サーバ装置は、ある好適な一態様において、端末装置の正当なユーザである医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報と、前記スタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種を対応付けて記憶しており、前記第2のスタッフ識別情報と、医療機関スタッフを識別するスタッフ識別情報として予め記憶されたスタッフ識別情報とが一致すると判定した場合、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての医療情報であって、前記第2のスタッフ識別情報に対応する医療機関スタッフの職種に応じた医療情報を含む表示画面を生成する手段を備えているということになる。
【0025】
なお、本発明に係る医療情報共有システムが備える端末装置が、被共有医療情報以外の医療情報を含む上記表示画面を表示する手段を備えている場合には、上記表示画面を所定時間が経過した後に非表示にする、及び/又は、取得した被共有医療情報以外の前記医療情報を所定時間が経過した後に前記端末装置から消去する制御部を備えていることが更に好ましい。前記所定時間に特段の制限はないが、例えば、前記表示画面が表示されてから60分、より好ましくは40分、さらに好ましくは30分、よりさらに好ましくは15分とすることができる。
【0026】
また、ある好適な一態様において、本発明に係る医療情報共有システムは、さらに、
患者が所持する発信機を備え、
前記サーバ装置は、さらに、
患者と、その患者が所持する発信機を識別する発信機識別情報とを対応付けて記憶しており、
前記端末装置は、
患者が所持する発信機から、当該発信機を識別する発信機識別情報を取得する第5取得部と、
前記第5取得部が取得した前記発信機識別情報を前記サーバ装置に送信する第5送信部、及び、
前記第5送信部が送信した前記発信機識別情報で特定される発信機に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第6取得部を備え、
前記表示部は、前記第6取得部が被共有医療情報を取得した場合、取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する
ことを特徴とするものであり得る。ここで前記発信機は前記端末装置と近距離無線通信が可能であるものであれば、基本的にどのようなものであっても良いが、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンなどのビーコンであり得る。
【0027】
本発明に係る医療情報共有システムは、前記第1取得部、第1送信部、第2取得部に代えて、上記第5取得部、第5送信部、第6取得部を備えるものであっても良いし、前記第1取得部、第1送信部、第2取得部とともに上記第5取得部、第5送信部、第6取得部を備えるものであっても良い。すなわち、本発明は、ある一側面において、
医療機関スタッフが携帯する端末装置と、
患者が所持する発信機と、
患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフに共有されるべき被共有医療情報とを対応付けて記憶するとともに、
患者と、その患者が所持する発信機を識別する発信機識別情報とを対応付けて記憶するサーバ装置と、
を備え、
前記端末装置は、
患者が所持する発信機から、当該発信機を識別する発信機識別情報を取得する第5取得部と、
前記第5取得部が取得した前記発信機識別情報を前記サーバ装置に送信する第5送信部、
前記第5送信部が送信した前記発信機識別情報で特定される発信機に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第6取得部、及び、
前記第6取得部が取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する表示部、
を備えることを特徴とする医療情報共有システムであり得る。
【0028】
また、本発明に係る医療情報共有システムのある好適な一態様において、
前記サーバ装置は、さらに、
被共有医療情報と、その被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアとを対応付けて記憶しており、
前記第5送信部は、前記第5取得部が取得した前記発信機識別情報とともに前記端末装置の位置を特定できる位置特定情報を前記サーバ装置に送信し、
前記端末装置は、
前記第5送信部が送信した前記発信機識別情報で特定される発信機に対応する患者についての前記被共有医療情報であって、当該被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアと、前記位置特定情報により特定される位置とを比較して、医療機関スタッフに報知されるべきと前記サーバ装置が判定した被報知医療情報を前記サーバ装置から取得する第7取得部を備え、
前記第7取得部が被報知医療情報を取得したとき、前記被報知医療情報の取得を報知する、
ことを特徴とする医療情報共有システムであり得る。
【0029】
ここで、被報知医療情報の取得を報知する具体的な方法に特段の制限はないが、例えば、音信号、光信号を発するようにしても良いし、端末装置が振動するようにしても良いし、これらの組み合わせであっても良い。さらに、これらと組み合わせて、取得した前記被報知医療情報を含む報知画面を表示するようにしても良い。
【0030】
なお、端末装置の位置を特定できる位置特定情報は、端末装置の位置を直接又は間接的に特定できるものであれば基本的にどのようなものであっても良いが、例えば、医療機関内の所定位置に予め設置された1又は複数のビーコンを識別するビーコン識別情報やこれらのビーコンからの受信電波強度、周波数等を含み得る。
【0031】
また、本発明は、他の一側面において、上述したいずれかの医療情報共有システムが備える端末装置又はサーバ装置を提供することにより上記課題を解決するものである。端末装置又はサーバ装置が備える手段及び作用については、医療情報共有システムについての説明において、既に説明したとおりであるので、簡潔のため説明を省略する。
【0032】
また、本発明は、その好適な一態様において、コンピュータを上記いずれかの端末装置又はサーバ装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することにより上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、医療機関スタッフの間で、特に、医療機関のベッドサイド以外の場所において、患者の医療情報を効率的に共有することができるので、よりきめの細かい医療乃至看護サービスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1の実施形態に係る医療情報共有システムの全体構成を説明する概念図である。
図2】第1の実施形態に係る医療情報共有システムが備えるサーバ装置の記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。第1の実施形態に係る医療情報共有システムがサーバ装置S1の記憶部S11には、患者と、前記患者についての被共有医療情報が対応づけられて記憶されている。
図3】第2の実施形態に係る医療情報共有システムが備える携帯端末の表示部に表示される表示画面及びそこに表示される情報の一例を示す図である。
図4】第2の実施形態に係る医療情報共有システムが備えるサーバ装置の記憶部に記憶されている情報の一例を示す図である。第2の実施形態に係る医療情報共有システムがサーバ装置S2の記憶部S21には、患者を識別する患者識別情報と、前記患者が所持するビーコンを識別するビーコン識別情報を対応づけられて記憶されている。
図5】第2の実施形態に係る医療情報共有システムが備えるサーバ装置S2の記憶部S21に記憶されている情報の一例を示す図である。第2の実施形態に係る医療情報共有システムがサーバ装置S2の記憶部S21には、被共有医療情報と、前記被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアとが対応付けられて記憶されている。
図6】第2の実施形態に係る医療情報共有システムが備える携帯端末T3の表示部に表示される報知画面及びそこに表示される情報の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る医療情報共有システムが備える携帯端末T3の表示部に表示される表示画面及びそこに表示される情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が実施例のものに限られないことは言うまでもない。
【0036】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る医療情報共有システム100について説明する。
【0037】
図1は、第1の実施形態に係る医療情報共有システム100の全体構成を説明する概念図である。図1に示すように、本実施形態に係る医療情報共有システム100は、サーバ装置S1と携帯端末T1、携帯端末T2を含む。サーバ装置S1は、携帯端末T1及び携帯端末T2とネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、電話回線又は専用回線であり得る。
【0038】
本例において、サーバ装置S1は情報処理装置であり、携帯端末T1、携帯端末T2と連携して動作する。サーバ装置S1は、1つのサーバ装置であっても良いし、複数のサーバ装置であっても良い。サーバ装置は医療機関が管理するものであっても良いし、管理会社によって管理されるものであっても良い。
【0039】
サーバ装置S1は、機能概念的に、記憶部S11、通信部S12、制御部S13を備えている。なお、サーバ装置S1がこれら以外の構成を備えていても良いことは言うまでもなく、例えば、ディスプレイ等の表示部、キーボード等の入力部等を備えていても良い。
【0040】
記憶部S11は、各種処理に必要な情報を記憶する手段であり、揮発性メモリであっても良いし、不揮発性メモリであっても良い。具体的には、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、キャッシュメモリ、バッファメモリなどであり得る。
【0041】
なお、本例において、記憶部S11はサーバ装置S1が備える記憶部であるが、記憶部S11は必ずしもサーバ装置S1が備えている記憶部である必要はなく、サーバ装置S1が随時接続して、少なくともデータの読み取りが可能である限り、サーバ装置S1と直接又はネットワークNを介して接続され、サーバ装置S1とは独立して存在する1つ又は2つ以上の記憶装置又はその一部であっても良い。また、サーバ装置S1が接続可能であって、医療機関が備える院内ネットワーク内に他のサーバ装置や記憶装置が存在する場合には、それらの記憶部の一部又は全部を記憶部S11として使用しても良い。このようなサーバ装置及び/又は記憶装置には、例えば、データベース、ストレージ等が含まれる。
【0042】
通信部S12は、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークカード等を含んで構成される、適宜のネットワークを介して各種の情報の送信又は受信を行う手段である。本例において、通信部S12は、ネットワークNを介して、携帯端末T1及び携帯端末T2へデータ等を送信する送信部S12a、及び、携帯端末T1及び携帯端末T2からデータ等を受信する受信部S12bを機能概念的に含んでいる。
【0043】
制御部S13は、例えば、一つ又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Ramdom Access Memory)等を含んで構成されており、サーバ装置S1の各部を制御する制御手段である。制御部S13は、記憶部S11等に記憶されているプログラムを適宜読み出して各種の処理を実行する。
【0044】
一方、携帯端末T1及び携帯端末T2は、各種の画面を表示するディスプレイを備える端末装置であって携帯可能なもの、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又は腕時計型等のウェアラブルデバイスである。
【0045】
携帯端末T1は、機能概念的に、表示部T11、記憶部T12、通信部T13、制御部T14を備えている。なお、携帯端末T1がこれら以外の構成を備えていても良いことは言うまでもなく、例えば、タッチパネル等の入力部等を備えていても良い。携帯端末T2については、携帯端末T1についてと同様であるので、以下、簡略のため説明を省略する。
【0046】
表示部T11は、例えば、図示しない液晶モニター、有機ELディスプレイ等を含んで構成される、サーバ装置S1から送信される情報や画面を含む各種の情報や画面を表示する表示手段である。これらの各種情報及び画面は、表示部T11が表示可能な任意の形式で、サーバ装置S1から出力され得る。例えば、表示部T11がブラウザ機能を搭載している液晶モニター、有機ELディスプレイ等である場合には、HTML(Hyper Text Markup Language)等の形式で出力されても良い。
【0047】
なお、携帯端末T1の大きさに特段の制限はないが、持ち運びが容易な方が好ましいという観点からは、そのディスプレイのサイズは8インチ未満であることが好ましく、7インチ以下であることがより好ましい。
【0048】
記憶部T12は、各種処理に必要な情報を記憶する手段であり、揮発性メモリであっても、不揮発性メモリであっても良く、具体的には、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、キャッシュメモリ、バッファメモリなどであり得る。
【0049】
通信部T13は、例えば、LANカード、ネットワークカード等を含んで構成される、適宜のネットワークを介して各種の情報の送信又は受信を行う手段である。本例において、通信部T13は、ネットワークNを介して、サーバ装置S1へデータ等を送信する送信部T13a、及び、サーバ装置S1からデータ等を受信する受信部T13bを機能概念的に含んでいる。
【0050】
制御部T14は、例えば、一つ又は複数のCPU、MPU、GPU、ROM、RAM等を含んで構成されており、携帯端末T1の各部を制御する制御手段である。制御部T14は、記憶部T12等に記憶されているプログラムを適宜読み出して各種の処理を実行する。
【0051】
<基本動作>
以下、第1の実施形態に係る医療情報共有システム100の基本動作を説明する。図1において、P1は患者番号「0001」で特定される患者であり、ICカードを所持している。当該ICカードには、患者P1を識別する患者識別情報として、患者P1の患者番号「0001」が記憶されている。MS1は作業療法士(医療機関スタッフ)であり、携帯端末T1を携帯している。一方、MS2は理学療法士(医療機関スタッフ)であり、携帯端末T2を携帯している。
【0052】
また、サーバ装置S1の記憶部S11には、患者と、その患者の医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報が対応づけて記憶されている。より具体的に説明すると、本例において、サーバ装置S1の記憶部S11には、患者と、その患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報が対応づけて記憶されている。サーバ装置S1の記憶部S11に記憶されている情報の一例を図2に示す。図2に示すとおり、サーバ装置S1の記憶部S11には、患者を識別する患者識別情報として患者IDと、患者名、病室、担当医、及び、その患者について医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報として、患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報が対応づけて記憶されている。例えば、患者ID「0001」で特定される患者は「患者一郎」であり、当該患者についての被共有医療情報は「移動制限(杖)」、「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」、及び「アルコール禁止」である。
【0053】
本例において、患者P1は作業療法士MS1とともにリハビリテーションを行うため自分の病床を離れ、リハビリテーション病棟にやってきた。ここで作業療法士MS1が患者P1の医療情報を確認する手段を例にして基本動作を説明する。
【0054】
まず、作業療法士MS1は自己が携帯する携帯端末T1を用いて、患者P1が所持しているICカードから患者P1を識別する患者識別情報、本例では、患者番号「0001」を取得する。すなわち、本例において、携帯端末T1はICカードリーダを備えており、患者P1が所持するICカードから患者P1を識別する患者識別情報である患者番号「0001」を取得する。なお、携帯端末T1が患者識別情報を取得する具体的な手段に特段の制限はないが、例えば、非接触通信方式であることが望ましく、非接触通信方式としては、例えば、NFC(Near Field Communication)に基づいた通信方式等が含まれ得る。
【0055】
このようにして携帯端末T1が患者P1を識別する患者識別情報を取得すると、取得した患者識別情報は、携帯端末T1を識別する端末識別情報とともにサーバ装置S1へ送信される。なお、本例において、携帯端末T1を識別する端末識別情報は、携帯端末T1に割り当てられた個体識別番号であり得る。
【0056】
サーバ装置S1は、携帯端末T1から患者P1を識別する患者識別情報と携帯端末T1を識別する端末識別情報とを受信する。サーバ装置S1は、記憶部S11に、当該医療機関が管理する携帯端末の端末識別情報を予め記憶している。サーバ装置S1は、携帯端末T1から当該携帯端末を識別する端末識別情報を受信すると、受信した端末識別情報が予め記憶された端末識別情報のいずれかと一致するか否かを判定する。
【0057】
上記判定の結果、サーバ装置S1が携帯端末T1から受信した前記端末識別情報がサーバ装置S1の記憶部S11に予め記憶された端末識別情報のいずれかと一致すると判定した場合、同じく携帯端末T1から受信した前記患者識別情報に対応する患者、すなわち、患者P1についての医療情報のうち、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報を携帯端末T1に送信する。本例においては、患者P1を識別する患者識別情報に対応する患者についての被共有医療情報として「移動制限(杖)」、「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」、及び「アルコール禁止」が携帯端末T1に送信される。なお、本例においては、上記の被共有医療情報とともに、患者P1の患者名、病棟、及び担当医などの患者情報が携帯端末T1に送信される。
【0058】
一方、上記の判定の結果、サーバ装置S1が一致しないと判定した場合には、携帯端末T1はサーバ装置S1の記憶部S11に記憶されている医療情報へのアクセスすることができず、携帯端末T1には患者P1についての被共有医療情報に代えて、エラーメッセージが送信される。
【0059】
携帯端末T1は、サーバ装置S1から送信される被共有医療情報を取得する。携帯端末T1は、サーバ装置S1から被共有医療情報を取得すると、取得した被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示部に表示する。このようにして表示される表示画面及びそこに表示される情報の一例を図3に示す。図3に示されるとおり、携帯端末T1に表示される表示画面には、患者P1の患者名、ID、病室、主治医等の患者情報とともに、患者P1の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報として「移動制限(杖)」、「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」、及び「アルコール禁止」が表示されており、「移動制限(杖)」、「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」についてはピクトグラム化された医療情報として表示されている。作業療法士MS1は、図3に示す表示画面を確認することにより、患者P1についての被共有医療情報、本例においては、「移動制限(杖)」、「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」、及び「アルコール禁止」を確認することができるので、これから行うリハビリテーションにおいて上記医療情報に注意を払い適切な対応ができる。
【0060】
その後、リハビリテーションが終了し、患者P1は病室へ戻ることとなった。しかしながら、その道のりで、患者P1は転倒してしまったとする。このような場合、患者P1の近くを通りかかった理学療法士MS2は、自己が所有する携帯端末T2を用いて、上述したのと同様の手順にて、患者P1についての上記被共有医療情報を確認することができる。これにより理学療法士MS2は、患者P1が「移動制限(杖)」及び「姿勢制限(ベッドアップ制限60о)」という制限又は条件がある患者であることを速やかに把握することが可能となるので、患者P1の状態に注意を払い、適切な介助を行うことができる。
【0061】
このように本実施形態に係る医療情報共有システムによれば、患者P1の医療情報、本例においては、患者P1の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報を、ナースステーションやベッドサイドに戻ることなく、容易に確認することができるようになるため、よりきめの細かい医療サービス乃至看護サービスを提供することが可能となる。また、それだけに限らず、本実施形態に係る医療情報共有システムは医療機関スタッフと患者の間のコミュニケーションツールになり得る。例えば、本実施形態に係る医療情報共有システムによれば、医療機関スタッフであるMS1やMS2が患者P1の患者情報を容易に確認できるので、患者P1の病状が回復していること等をすぐに知ることができる。これにより、患者P1への積極的な声掛けが可能となるし、このような声掛けは患者P1がリハビリテーションを頑張るモチベーションとなり得る。このように本実施形態に係る医療情報共有システムによれば、医療情報共有の利便性が高まるだけでなく、患者と医療機関スタッフのコミュニケーションを活発にするきっかけが与えられる。
【0062】
なお、携帯端末T1に表示された患者P1についての被共有医療情報を含む表示画面は、所定時間が経過した後に非表示となり、また、患者P1についての医療情報は、所定時間が経過した後に携帯端末T1から消去される。これにより、患者P1が所持するICカードから患者P1を識別する患者識別情報を再度取得しない限り、携帯端末T1から患者P1についての被共有医療情報を閲覧することはできない。携帯端末はベッドサイドに配置されるベッドサイド端末等の据え置き型の端末と比較して、持ち運ばれて使用されるため、常に紛失する危険性がある。また、容易に持ち運び可能であることから第三者に盗難されるリスクも大きくなる。これに対して、本実施形態に係る医療情報共有システムが備える携帯端末T1によれば、万が一、携帯端末T1が紛失した場合であっても、患者P1の医療情報が第三者に漏洩するリスクを最小限に留めることができる。
【0063】
<第2の実施形態>
被共有医療情報のうち、いくつかの被共有医療情報は特定の位置条件下において、特に共有されるべき優先度が高い。第2の実施形態は、このような被共有医療情報を有する患者が特定の位置に存在する場合、そのことを医療機関スタッフに報知する実施の形態に関する。以下、本発明の第2の実施形態に係る医療情報共有システム200の動作を説明する。以下、特に説明する場合を除いて、第2の実施形態に係る医療情報共有システム200の構成は第1の実施形態に係る医療情報共有システム100と同様であるので、簡潔のため説明を省略する場合がある。
【0064】
本実施形態において、MS3は医療事務スタッフであり携帯端末T3を携帯している。一方、P2は患者番号「0002」で特定される患者であり、ビーコンを所持している。当該ビーコンは、当該ビーコンを識別するビーコン識別情報を記憶しており、当該ビーコン識別情報を送信する手段を備えている発信機である。
【0065】
一方、携帯端末T3は上記ビーコンからビーコン識別情報を取得する手段を備えている。すなわち、携帯端末T3は、患者P2が近傍に存在する場合、当該患者P2が所持するビーコンから、前記ビーコンを識別するビーコン識別情報を取得することができる。なお、本例において、患者P2が所持するビーコンのビーコン識別情報はビーコンID「B0002」であるとする。
【0066】
一方、サーバ装置S2の記憶部S21には、患者を識別する患者識別情報と、前記患者が所持するビーコンを識別するビーコン識別情報を対応づけて記憶されている。サーバ装置S2の記憶部S21に記憶されている情報の一例を図4に示す。図4に示されるとおり、患者番号「0002」で特定される患者に対応するビーコンは、ビーコンID「B0002」で特定されるビーコンであることが分かる。
【0067】
第1の実施形態についての説明において述べたと同様に、サーバ装置S2の記憶部S21には、患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報が対応付けられて記憶されている。より具体的に説明すると、本例において、サーバ装置S2の記憶部S21には、患者と、その患者の移動、姿勢、排泄、食事又は飲み物に課せられた条件又は制限に関する医療情報が対応づけて記憶されている。サーバ装置S2の記憶部S21に記憶されている情報の一例は既に図2に示したとおりである。図2に示されるとおり、患者番号「0002」で特定される患者P2についての被共有医療情報は「徘徊注意」である。
【0068】
一方、本例において、サーバ装置S2の記憶部S21には、さらに、被共有医療情報と、前記被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアとが対応付けられて記憶されている。サーバ装置S2の記憶部S21に記憶されている情報の一例を図5に示す。図5において「〇」は、その被共有医療情報が、対応する医療機関内の特定のエリアにおいて報知されるべき被報知医療情報であることを示している。一方、図5において「×」は、被共有医療情報が、対応する医療機関内の特定のエリアにおいて報知されるべき被報知医療情報ではないことを示している。本例においては、図5に示されるとおり、「徘徊注意」は「エントランス」においては、報知されるべき被報知医療情報である(図5において、「徘徊注意」は「エントランス」において「〇」)。その一方で、「徘徊注意」は、「売店」や「トイレ」においては、報知されるべき被報知医療情報ではない(図5において、「徘徊注意」は「売店」や「トイレ」において「×」)。
【0069】
以上をまとめると、図2及び図5より、患者番号「0002」で特定される患者P2の被共有医療情報は「徘徊注意」であり、この被共有医療情報は「エントランス」において報知されるべき被報知医療情報であることが分かる。
【0070】
まず、携帯端末T3を携帯する医療事務スタッフMS3が医療機関のエントランスで出歩いている患者P2を見かけた場合を例として本実施形態に係る医療情報共有システムの動作を説明する。
【0071】
医療事務スタッフMS3が携帯する携帯端末T3は、当該携帯端末T3の近傍に存在する患者P2が所持するビーコンから当該ビーコンを識別するビーコン識別情報を取得する。
【0072】
一方、携帯端末T3は患者が所持するビーコンからビーコン識別情報を取得する手段を備えており、ビーコン識別情報を取得すると、取得したビーコン識別情報とともに携帯端末T3の位置を特定できる位置特定情報をサーバ装置S2に送信する。なお、第1の実施形態において説明したとおり、ビーコン識別情報とともに携帯端末T3を識別する端末識別情報をサーバ装置S2へ送信する構成としても良いことは言うまでもない。この場合、サーバ装置S2は、受信した端末識別情報が予め記憶された端末識別情報と一致するか否かの判定を行い、以後の処理を続行するか否かを決定する。
【0073】
なお、携帯端末T3の位置を特定できる位置特定情報は、携帯端末T3の位置を特定できる限りにおいて基本的にどのようなものであっても良いが、医療機関内の所定位置に予め設置された1又は複数のビーコンを識別するビーコン識別情報やこれらのビーコンからの受信電波強度を含み得る。
【0074】
サーバ装置S2は、携帯端末T3から患者P2が所持するビーコンを識別するビーコン識別情報及び携帯端末T3の位置を特定できる位置特定情報を受信する。
【0075】
サーバ装置S2は、記憶部S21を参照し、ビーコンID「B0002」に対応する患者番号「0002」を取得する。
【0076】
そして、患者番号「0002」に対応する患者、すなわち、患者P2についての医療情報のうち、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報のそれぞれについて、当該被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアと、携帯端末T3から取得した前記位置特定情報により特定される位置とを比較して、各被共有医療情報が医療機関スタッフに報知されるべき被報知医療情報であるか否かを判定する。
【0077】
本例においては、図5に示されるとおり、患者番号「0002」に対応する患者、すなわち、患者P2についての「徘徊注意」という被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアは「エントランス」である。これに対して、医療機関内のエントランスにいる医療事務スタッフMS3が所持する携帯端末T3から取得した前記位置特定情報から、携帯端末T3が「エントランス」に存在することが分かる。したがって、サーバ装置S3は患者P2についての「徘徊注意」という被共有医療情報は、携帯端末T3に報知されるべき被報知医療情報であると判定し、当該被報知医療情報を携帯端末T3に送信する。このようにして、携帯端末T3は、患者P2についての被共有医療情報であって、サーバ装置S3が携帯端末T3に報知されるべきと判定した被報知医療情報、本例においては、「徘徊注意」という医療情報をサーバ装置S3から取得する。
【0078】
携帯端末T3がサーバ装置S3から被報知医療情報を取得すると、携帯端末T3は着信音を発するとともに振動することで、当該被報知医療情報の取得を報知する。これにより、医療事務スタッフMS3は、携帯端末T3が、近傍に存在するいずれかの患者について被報知医療情報を取得したことを知ることができる。なお、本例においては、医療事務スタッフMS3が携帯する携帯端末T3は、さらに、前記被報知医療情報の取得を報知する報知画面を表示することにより、前記被報知医療情報の取得を報知する。このようにして携帯端末T3に表示される報知画面及びそこに含まれる情報の一例を図6に示す。図6に示すとおり、携帯端末T3に表示される報知画面から、医療事務スタッフMS3は、「徘徊注意」の患者が近くに存在することを直ちに把握することができる。
【0079】
そこで、医療事務スタッフMS3は、図6に表示された報知画面から、さらに、「∨」ボタンを押すことによって、取得した被報知医療情報を確認するための表示画面を表示させることができる。このようにして携帯端末T2に表示される表示画面及びそこに含まれる情報の一例を図7に示す。図7に示される表示画面を確認することにより医療事務スタッフMS3は「徘徊注意」の患者は患者P2であることが分かる。なお、被報知医療情報を医療機関スタッフが確認するための前記表示画面には、患者名等の患者を判別するための患者判別情報が含まれることが好ましい。すなわち、ある好適な一態様において、被報知医療情報を医療機関スタッフが確認するための前記表示画面は、被報知医療情報とともに患者を判別するための患者判別情報が含まれる。患者判別情報としては、例えば、患者名、顔写真、似顔絵等が含まれ得る。
【0080】
本例において、「徘徊注意」の患者P2を発見した医療事務スタッフMS3は、例えば、患者P2が医療機関のエントランスから外に出て行きそうなときは、患者P2に声掛けし、静止することができる。一方、患者P2が医療機関内を歩き回っているだけの場合には、静かに見守ることを選択しても良いし、担当の看護師に連絡しても良い。いずれにせよ、本実施形態に係る医療情報共有システムによれば、医療事務スタッフMS3は、患者P2について注意すべき医療情報を即座に把握することができるので、適切な対応をとることができる。
【0081】
一方、携帯端末T3を携帯する医療事務スタッフMS3が、今度は、患者P2の病室付近を出歩いている患者P2を見かけたとする。この場合、携帯端末T3が送信する位置特定情報に基づいて特定される位置は患者P2の病室付近であり、「徘徊注意」という被共有医療情報が報知されるべき医療機関内のエリアである「エントランス」に含まれない。したがって、サーバ装置S2は「徘徊注意」という被共有医療情報は、携帯端末T3に報知されるべき被報知医療情報ではないと判定し、当該被共有医療情報(すなわち「徘徊注意」)を携帯端末T3に送信しない。よって、携帯端末T3を携帯する医療事務スタッフMS3が、患者P2の病室付近で出歩いている患者P2を見かけたとしても、携帯端末T3に患者P2についての被共有医療情報が表示乃至報知されることはない。
【0082】
このように本実施形態に係る医療情報共有システムによれば、医療機関スタッフは、周囲に注意を払うべき患者がいるときに限り、そのことを即座に把握できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したとおり、本発明によれば、医療機関スタッフが個々の患者について把握すべき必要な医療情報を効率的に把握することができるので、医療機関に入院する患者に、より一層、きめの細かい看護サービス乃至医療サービスを提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
100 医療情報共有システム
N ネットワーク
S1、S2、S3 サーバ装置
T1、T2、T3 携帯端末
P1、P2 患者
MS1 医療機関スタッフ(作業療法士)
MS2 医療機関スタッフ(理学療法士)
MS3 医療機関スタッフ(医療事務スタッフ)

【要約】
【課題】医療機関において、特に、患者のベッドサイド以外の場所においても患者の医療情報を効率的に共有することができる医療情報共有システムを提供することを課題とする。
【解決手段】医療機関スタッフが携帯する端末装置と、患者と、その患者についての医療情報であって、医療機関スタッフの間で共有されるべき被共有医療情報とを対応付けて記憶するサーバ装置と、を備える医療情報共有システムであって、前記端末装置は、患者を識別する患者識別情報を取得する第1取得部と、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報を前記サーバ装置に送信する第1送信部、前記第1取得部が取得した前記患者識別情報に対応する患者についての前記被共有医療情報を前記サーバ装置から取得する第2取得部、及び、前記第2取得部が取得した前記被共有医療情報を医療機関スタッフが確認するための表示画面を表示する表示部、を備えることを特徴とする医療情報共有システムを提供する。
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7