(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】プレハブ建物のプレキャスト壁体、組立構成及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/61 20060101AFI20220823BHJP
E04B 1/04 20060101ALI20220823BHJP
E04C 5/18 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
E04B1/61 502K
E04B1/04 F
E04B1/61 504B
E04C5/18 102
(21)【出願番号】P 2021524091
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2019095384
(87)【国際公開番号】W WO2020011186
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】201810753058.1
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521014205
【氏名又は名称】周 兆弟
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 兆弟
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132910(JP,A)
【文献】特開2001-055812(JP,A)
【文献】中国実用新案第207003837(CN,U)
【文献】特開平11-062920(JP,A)
【文献】中国実用新案第202809892(CN,U)
【文献】特開2006-045871(JP,A)
【文献】特開2005-016157(JP,A)
【文献】特開2016-065397(JP,A)
【文献】特開2014-148849(JP,A)
【文献】特開2009-144400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/04
E04C 5/18
E04B 5/17-5/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層壁体と、下層壁体と締付ユニットとを有するプレハブ建物の組立構成であって、前記上層壁体と下層壁体とは、
プレハブ建物のプレキャスト壁体であり、
前述プレハブ建物のプレキャスト壁体は、コンクリート本体とコンクリート本体に設けられた剛性骨組とを有するプレハブ建物のプレキャスト壁体であって、剛性骨組は縦方向に延伸するn本の鉛直筋を有し、nが3以上の整数であり、プレキャスト壁体の上端面及び下端面は、鉛直筋の同一軸線の位置で合計、m個の露出した機械接続部を形成し、mが2n以下の整数であり、前記機械接続部はいずれも鉛直筋の先端部に形成され、
機械接続部は受け先端を有し、鉛直筋の先端部に形成される、コンクリート本体の鉛直方向の端面に突出する受け部は受け先端であり、
受け先端には雄ネジが設けられ、受け先端の外径は鉛直筋外径の0.7~2倍であり、
機械接続部は受け室を有し、鉛直筋の先端部に形成される、その軸線方向に沿って内部に凹んだ開放式受け部は受け室であり、
受け室内には雌ネジが設けられ、受け室の外径は鉛直筋の外径の1.2~3倍であり、
受け先端と受け室とは、プレキャスト壁体の上端と下端にランダムに分布され、プレキャスト壁体の上端と下端には、いずれも受け先端と受け室の両方が形成されており、
上層壁体は下層壁体の上方にあり、上層壁体内の鉛直筋は締付ユニットにより下層壁体内の鉛直筋に機械的接続され
、
締付ユニットは挿入棒と、係止部材と、バックルと、中継スリーブとを有し、
上層壁体の機械接続部は、中継スリーブに対応して接続され、下層壁体の機械接続部は挿入棒に対応して接続され、または、上層壁体の機械接続部は挿入棒に対応して接続され、下層壁体の機械接続部は中継スリーブに対応して接続され、
バックルは中継スリーブ内に固定され、挿入棒はバックルに挿入され、係止部材は挿入棒の外縁に外嵌されることで、挿入棒とバックルとを隙間なく係止させることを特徴とする組立構成。
【請求項2】
さらに、上層壁体と下層壁体との間にあるとともに、締付ユニットを被覆するコンクリート現場打設領域を有することを特徴とする請求項
1に記載の組立構成。
【請求項3】
さらに、プレキャスト床スラブを有し、プレキャスト床スラブの下縁は2つごとに隣接する下層壁体にかけられることを特徴とする請求項
1に記載の組立構成。
【請求項4】
プレキャスト床スラブの上面には剛性トラスが露出することを特徴とする請求項
3に記載の組立構成。
【請求項5】
さらに、プレキャスト床スラブに敷設されるとともに、プレキャスト床スラブ、上層壁体及び下層壁体の間の組立隙間に充填できる現場打設層を有することを特徴とする請求項
3または
4に記載の組立構成。
【請求項6】
プレハブ建物の施工方法であって、
下層壁体を地盤または支持台、或いは組立が完成したフロアに固定する下層壁体固定ステップ
と、
設計要求に応じて、下層壁体の周辺にプレキャスト床スラブを支持するための支持フレームを組み付ける支持配置ステップと、
プレキャスト床スラブを支持フレームに敷設させ、プレキャスト床スラブの端部を下層壁体の天井部にオーバーラップするプレキャスト床スラブ敷設ステップと、
上層壁体を所定位置に吊り上げることで、上層壁体の鉛直筋を、締付ユニットにより下層壁体の鉛直筋に機械的接続させる壁体の突き合わせステップ
と、
上層壁体と下層壁体との接続固定の引抜き、引張の要求を満たすように、締付ユニットを調節する締付部材調節ステップと、
コンクリート充填材をプレキャスト床スラブ、上層壁体及び下層壁体の間の組立隙間に打設し、現場打設層を形成し、床スラブ、上層壁体及び下層壁体を隙間がない全体構造に形成させる現場打設ステップと、を有し、
プレハブ建物の施工を完成するまで、前記支持配置ステップ~現場打設ステップを繰り返
し、
前述下層壁体及び前述上層壁体は、プレハブ建物のプレキャスト壁体であり、
前述プレハブ建物のプレキャスト壁体は、コンクリート本体とコンクリート本体に設けられた剛性骨組とを有するプレハブ建物のプレキャスト壁体であって、剛性骨組は縦方向に延伸するn本の鉛直筋を有し、nが3以上の整数であり、プレキャスト壁体の上端面及び下端面は、鉛直筋の同一軸線の位置で合計、m個の露出した機械接続部を形成し、mが2n以下の整数であり、前記機械接続部はいずれも鉛直筋の先端部に形成され、
機械接続部は受け先端を有し、鉛直筋の先端部に形成される、コンクリート本体の鉛直方向の端面に突出する受け部は受け先端であり、
受け先端には雄ネジが設けられ、受け先端の外径は鉛直筋外径の0.7~2倍であり、
機械接続部は受け室を有し、鉛直筋の先端部に形成される、その軸線方向に沿って内部に凹んだ開放式受け部は受け室であり、
受け室内には雌ネジが設けられ、受け室の外径は鉛直筋の外径の1.2~3倍であり、
受け先端と受け室とは、プレキャスト壁体の上端と下端にランダムに分布され、プレキャスト壁体の上端と下端には、いずれも受け先端と受け室の両方が形成されており、
前述締付ユニットは挿入棒と、係止部材と、バックルと、中継スリーブとを有し、
上層壁体の機械接続部は、中継スリーブに対応して接続され、下層壁体の機械接続部は挿入棒に対応して接続され、または、上層壁体の機械接続部は挿入棒に対応して接続され、 下層壁体の機械接続部は中継スリーブに対応して接続され、
バックルは中継スリーブ内に固定され、挿入棒はバックルに挿入され、係止部材は挿入棒の外縁に外嵌されることで、挿入棒とバックルとを隙間なく係止させることを特徴とする施工方法。
【請求項7】
受け室は鉛直筋の先端部に剛性接続されたスリーブに基づき形成されたものであり、スリーブの、鉛直筋から離れた一端には開放式の受け室が形成されることを特徴とする請求項1に記載の組立構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年07月10日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201810753058.1であり、発明名称が「プレハブ建物のプレキャスト壁体、組立構成及びその施工方法」である中国特許出願の優先権を主張して、該特許に記載の全ての内容は援用されることで、本出願に結合される。
【0002】
本発明は建物構成という分野に関わり、特に、プレハブのプレキャスト壁体、組立構成及び構成の施工方法に関わる。
【背景技術】
【0003】
現在、我が国は住宅工業化を積極的に推進していることに連れて、各地は続々と若干のプレハブ住宅項目を行って、従来のプレハブ建物技術は多く外国から引かれて、アメリカ及び和日本などの国家において一般的に応用する「スリーブグラウトアンカー接続」及び「予備孔間接オーバーラップグラウトアンカー接続」という技術を採用し、「スリーブグラウトアンカー接続」及び「予備孔間接オーバーラップグラウトアンカー接続」という技術の共通点は、コンクリートにグラウト注入スリーブを埋め込み、コンクリートが要求の強度に達した後、鉄筋がグラウト注入スリーブに入り込み、高強度且つ収縮なしのグラウトをグラウト注入スリーブに注入してメンテナンスすることで、鉄筋に対するアンカー固定作用を果たす。
図1を参照し、鉄筋スリーブグラウチングという技術により、建物が組立可能性を実現し、工事応用者に認められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、以上の2つの接続方式にとって必要な構造または構成に限定されるから、以下の欠陥が存在し:
まず、以上の2つの接続技術において、壁体の間の鉄筋の力伝達方式はいずれも間接的な力伝達であり、予備孔内のグラウトから伝達され、力伝達は直接ではなく、正常に受力した際、距離が遠い2本の鉄筋は互いに力を伝達し、このような力伝達方式は、周囲のコンクリートに対して、付加的な曲げモーメント及び剪断力が生じることで、ここで、壁体の受力が複雑になり、その同時、軸圧が高い場合、グラウトの天井部の局所が受圧し割れる。そして、2つの接続工程の、グラウト及びグラウチング工程に対する要求が高く、グラウトはグラウト注入スリーブにおいて、気泡または緻密ではない他の要因が存在すると、このような接続方式に大きく影響する。
【0005】
そして、このような接続方式は壁体内部に隠れるから、施工過程で、グラウチングが緻密ではなく、または後続で、わずかな漏洩によりグラウチングの長さが十分ではないなどの現象が、施工者または品質検査員に検査され難く、組立の品質を保証できないというおそれがある。
【0006】
また、グラウチング工程の要求に達するために、グラウト注入スリーブに、グラウト注入スリーブから突出したグラウチング孔及び排気孔を予備する必要があり、縦方向鉄筋が多い壁体内で、グラウチング孔及び排気孔は、壁体の底部の大きい体積を占有し、実際の工程において、壁体の底部領域は受力が一般的に大きく、壁体の延性のために大きい貢献を提供する部位であり、しかし、以上の配置方式により、壁体の底部領域はかえって、壁体の弱い部分になり、実践で、割れは一般的に、グラウチング孔または排気孔から周囲に拡散するとともに、コンクリートがここで、塊全体で脱落するという現象が出現する。グラウト注入スリーブの外径が大きく、4~5cm範囲にあり、現在、グラウト注入スリーブの外面は一般的に滑らかに製造されるから、周囲のコンクリートと有効な制約をよく形成できないため、工程の後期で、底部のコンクリートはしょっちゅう大塊で外部に落下し、底部の有効な受圧面積が小さくなり、従って、該組立構成自体は壁体の後期の積載能力に影響し、壁体の延性を低減させる。
【0007】
以上に基づき、プレハブ建物の分野において、力伝達が直接で、構成が安定であるプレキャスト壁体、組立の品質が制御可能で、壁体に対する影響が小さい組立構成及び施工方法を必要とする。
【0008】
本発明は、従来の技術に基づき、プレキャスト壁体の隅部の構造部材が多く、且つ複雑であるから、壁体の積載力にひどく影響したという技術問題を解决するために、壁体の骨組が簡単で、埋め込み部材を追加する必要がないプレハブプレキャスト壁体を提供することを、1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記各目的を実現するために、本発明がそれぞれ採用した技術案は以下の通り:
コンクリート本体とコンクリート本体に打設された剛性骨組とを有するプレハブプレキャスト壁体であって、剛性骨組は縦方向に延伸するn本の鉛直筋を有し、nは3以上の整数であり、プレキャスト壁体の上端面及び下端面は、鉛直筋の同一の軸線の位置で、合計m個の機械接続部を形成し、mは2n以下の整数であり、前記機械接続部はいずれも鉛直筋の先端部に形成される。このように配置する目的は以下の通り:本発明は機械接続部を鉛直筋の端部に配置することで、プレキャスト壁体の隅部の埋め込み部材を全部なくし、プレキャスト壁体の内部アーキテクチャの構成を大幅に簡単化し、壁体のプレキャスト過程で、骨組に対する位置決め及び固定に寄与し、打設過程での機械接続部の位置ずれ及び変位という問題を効果的に避け、振動緻密化の安定性をさらに便利にする。その一方、機械接続部は鉛直筋の端部に配置されることで、接続後の力の直接的な伝達に寄与する。また、接続点はコンクリート本体の外部に露出することで、接続の堅牢程度は可視且つ制御可能になり、接続品質を有力的に保証する。
【0010】
機械接続部は受け先端及び/または受け室を有し、プレキャスト壁体の上端面及び/または下端面に、鉛直筋の先端部はコンクリート本体の表面から張り出すとともに、その先端部に形成された受け部は受け先端であり、鉛直筋の先端部に形成される、その軸線方向に沿って内部に凹んだ開放式の受け部は受け室である。このような配置の目的は以下のとおり:機械接続部は、コンクリート本体から延伸でき、機械接続部をもうコンクリート本体に埋め込まなく、接続が可視化になり、検査を便利にして、接続の堅牢程度を直観的に了解し、接続品質を便利に保証する一方で、従来の技術においてコンクリート本体にはスリーブが埋め込まれた壁体構成を変更し、機械接続部にグラウチング孔及び排気孔を配置する必要がなくなり、従来の技術において壁体の隅部の構造部材が多く且つ複雑であるから、壁体の延性を低減させるという技術問題を克服する。
【0011】
受け先端の外径は鉛直筋の外径の0.7~2倍であり、受け室の外径は鉛直筋の外径の1.2~3倍である。このような配置の目的は以下の通り:従来のスリーブに比べると、機械接続部の体積を大幅に短くし及び小さくすることで、従来の技術においてスリーブの接続またはオーバーラップ中、スリーブのグラウチング孔及び排気孔の、底部に対する占有体積が大きすぎて、壁体の底部領域が壁体の弱い部分になることを克服しており、受力際、グラウチング孔または排気孔の周囲が弱いから、拡散の割れを形成する現象、及びここで、コンクリートは塊全体で脱落するという現象を避ける。
【0012】
受け先端には雄ネジが設けられ、受け室内には雌ネジが設けられる。このような配置の目的は以下の通り、ネジを介して複数のユニットを接続し、機械接続部及び他のユニットの加工及び装着を便利にして、ネジ接続を介して力伝達が明確で、接続が確実で、装着が便利であり、施工速度を明らかに向上させる。
【0013】
受け室は鉛直筋の先端部に剛性接続されたスリーブに基づき形成されたものであり、スリーブの、鉛直筋から離れた一端には開放式の受け室が形成される。このような配置の目的は以下の通り、受け室は、鉛直筋と、その端部に接続されたスリーブとを組み合わせることで形成されるから、鉛直筋から一体成形された受け室に比べると、加工コストがより低く、壁体プレキャストの過程で、骨組を固定する際、受け室を回動させる場合、鉛直筋とスリーブとは相対に独立し、スリーブを単独に回転させばよく、鉛直筋及びスリーブの、金型における位置決め及び固定に寄与する。
【0014】
プレハブプレキャスト壁体は1つのフラット造形の壁体だけではなく、さらに、L形、矩形、U形弧状などの異形壁体を含み、プレキャスト壁体は異形構造である場合、プレキャスト壁体の間の互いに隣接する壁面は、水平方向で∠αを呈して、0°<∠α<360°であり、異形のプレキャスト壁体の成形は、複数の壁体が固定に接合接続され、または一体成形されてもよい。このような配置の目的は以下の通り、単一のプレキャスト壁体が建物の必要を満足できない場合、プレキャスト壁体を組み合わせまたは変形させ、前記プレキャスト壁体を、横方向で1つの非直線の全体の壁体に形成させば、プレキャスト壁体の縦方向で、「前記壁体の鉛直筋+機械接続部」に類似にする構成を形成し、このように、形成されたプレキャスト壁体内の埋め込み部材、及びプレキャスト壁体内の剛性骨組の構成構造を大幅に簡単化し、金型で複雑な壁体をプレキャストすることに、大きい便利及び実践基礎を提供する。その同時、壁体の間の縦方向の接続に、大きい便利を提供する。
【0015】
本発明は、従来のプレハブプレキャスト壁体の接続方式において、力伝達が間接であり、シールの要求が高く、接続品質を保証し難いという技術問題に対して、組立が便利で、力伝達が直接であるプレキャスト部材の接続方式、または組立構成及びその施工方法を提出することを、もう1つの目的とする。
【0016】
前記プレキャスト壁体を有するプレハブ建物の組立構成であって、上層壁体と、下層壁体と、締付ユニットとを備え、前記上層壁体と下層壁体とは前記プレキャスト壁体であり、上層壁体は下層壁体の上方にあり、上層壁体内の鉛直筋は締付ユニットにより下層壁体内の鉛直筋に機械的接続される。
【0017】
さらに、上層壁体と下層壁体との間にあるとともに、締付ユニットを被覆するコンクリート現場打設領域を有する。
【0018】
締付ユニットは挿入棒と、係止部材と、バックルと、中継スリーブとを有し、上層壁体または下層壁体の機械接続部はそれぞれ中継スリーブと挿入棒に対応して接続され、バックルは中継スリーブ内に固定され、挿入棒はバックルに挿入され、係止部材は挿入棒の外縁に外嵌されることで、挿入棒とバックルとを隙間がないように係止させる。これによって、上層壁体と下層壁体とを縦方向で現場打設領域にしっかり接続させ、このような接続構造は、接続された部分はもう壁体内に隠れていなく、接続が十分であるかどうかを明らかに観察でき、壁体接続の安定性及び組立品質の制御可能性を保証し、また、このような接続構造は、壁体または壁体内の縦方向(垂直)筋を直接的に接続し、力の伝達はより直接的であり、壁体接続構造の内部に貫通筋を形成し、壁体及び壁体からなる建物の全体の延性を向上させる。
【0019】
さらに、プレキャスト床スラブと現場打設層とを有し、プレキャスト床スラブの下縁は2つごとに隣接する下層壁体にかけられ、現場打設層はプレキャスト床スラブ、上層壁体及び下層壁体の間の組立隙間に充填され、縦方向で、現場打設層の高さは少なくとも上層プレハブプレキャスト壁体、または壁体の下端面と揃える。本発明の技術案において、壁体の間の機械接続部分を、プレキャスト壁体外に配置するから、建物全体を形成する場合、現場打設層により架空部分を充填しまたは埋める必要があり、現場打設層は組立隙間をより埋め、現場打設コンクリート材料は流動性を有し、全面且つ効果的に、全ての組立隙間に対する埋めを一回で完了させることができるから、プレハブ接続構成の全体性をさらに保証し、接続構造全体は隙間がなく、渾然一体であるように確保し、さらに、その安定性を向上させる。
【0020】
さらに、現場打設層により充填される組立隙間は、上層壁体の下端面と下層壁体の上端面との間の架空領域、及びプレキャスト床スラブの上面から上層壁体の下端面が所在する平面までの間の空間を含む。現場打設層の成形にとって一定の時間を必要とするので、プレキャスト床スラブに現場打設層を充填することで、現場打設層の成形過程で、床タイル、フロアキール、プラグボードなどのような他の付加物を追加するように、プレキャスト床スラブ上の現場打設層に対してさらに施工する。
【0021】
さらに、プレキャスト床スラブの上面には剛性トラスが露出し、現場打設層は埋めるように剛性トラスを被覆する。プレキャスト床スラブに剛性トラスを露出させ、現場打設層により被覆され充填されることで、プレキャスト床スラブ内の埋込物を便利に固定し、及びプレキャスト床スラブの内部構造に対してさらに施工し、プレキャスト床スラブの埋込物を剛性トラスに固定させ、またはプレキャスト床スラブに敷設させ、或いは剛性トラスの隙間を挿通させ、現場打設層により埋められるように被覆された後、これらの埋込物はフロア内に固定され、埋込物はプレキャスト床スラブの横方向筋または縦方向筋、電線管路、空調管路、床暖房管路、給水管路などを有する。
【0022】
プレハブ建物の施工方法であって、
下層壁体を地盤または支持台、或いは組立が完成したフロアに固定する下層壁体固定ステップと、
設計要求に応じて、下層壁体の周辺にプレキャスト床スラブを支持するための支持フレームを組み付ける支持配置ステップと、
プレキャスト床スラブを支持フレームに敷設させ、プレキャスト床スラブの端部を下層壁体の天井部にオーバーラップさせるプレキャスト床スラブ敷設ステップと、
上層壁体を所定位置に吊り上げることで、上層壁体の鉛直筋を、締付ユニットにより下層壁体の鉛直筋に機械的接続させる壁体の突き合わせステップと、
上層壁体と下層壁体との接続固定の引抜き、引張の要求を満たすように、締付ユニットを調節する締付部材調節ステップと、
コンクリート充填材をプレキャスト床スラブ、上層壁体及び下層壁体の間の組立隙間に打設し、現場打設層を形成し、床スラブ、上層壁体及び下層壁体を隙間がない全体構造に形成させる現場打設ステップと、を有し、
プレハブ建物の施工を完成するまで、前記支持配置ステップ~現場打設ステップを繰り返す。
【0023】
支持配置ステップにおいて、支持作用を果たすブラケットを下層壁体の上端面に揃えるように組み付け、固定することで、支持フレームは水平方向でプレキャスト床スラブを支持し、プレキャスト床スラブの落下事故を避ける。
【0024】
さらに、壁体の突き合わせステップにおいて、調節位置決めを有し、上層壁体と下層壁体との間に調節パッドを配置し、プレキャスト床スラブと上層壁体との間に方杖を配置する。このように、壁体を突き合わせる場合、パッドの多さを調節することで、壁体の長辺の水平及び高さを調節し、方杖により、壁体の垂直、短辺の水平及び傾斜度を調節し、スプレッダを解放できる上に、正確な突き合わせをさらに実現し、接続精度を向上させる。
【0025】
従来の技術に比べると、本発明は以下の特点及び有益な効果を有し:
本発明の方法は、締付ユニット及び機械接続部により、鉛直筋を直接的に突き合わせる接続方法を採用し、プレハブ壁体を快速に装着し位置決めでき、接続点の接続剛性を増やし、強い接続点、弱い部材という設計原則を実現する。このような接続点構造は優れた耐震性能を有するとともに、壁体の接続はよい安定性を有するように保証できる。プレキャスト壁体の設計は、壁体受力の全体性を考量し、鉛直筋によりコンクリート壁体の一部の強度を補強させ、隅部の延性を向上させ、部材の全体の安定性を補強させ、壁体の安全確実を保証する。鉛直筋が互いに接続された後、プレハブ接続構造内で貫通筋を形成し、接続構造の全体性をよりよく保証し、壁体の受力を有力的に保証し、積載力は削減されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】背景技術におけるスリーブグラウト注入壁体の構成模式図である。
【
図2】本発明のプレキャスト壁体の構成模式図である。
【
図3】本発明のプレキャスト壁体の内部構成模式図である。
【
図4】本発明のプレキャスト壁体の機械接続部の構成模式図である。
【
図7】本発明の受け先端と受け室との具体的な位置の構成模式図である。
【
図8】本発明の他の受け先端と受け室との具体的な位置の構成模式図である。
【
図9】本発明の受け先端と受け室との具体的な構成模式図である。
【
図10】本発明の他の受け先端と受け室との具体的な構成模式図である。
【
図11】本発明のプレキャスト壁体の構成模式図である。
【
図12】本発明の他のプレキャスト壁体の構成模式図である。
【
図13】本発明の他のプレキャスト壁体の構成模式図である。
【
図14】本発明のプレキャスト壁体の接続構造の接続前の構成模式図である。
【
図15】本発明のプレキャスト壁体の接続構造の構成模式図である。
【
図16】他のプレキャスト壁体の接続構造の接続前の構成模式図である。
【
図17】他のプレキャスト壁体の接続構造の構成模式図である。
【
図18】他のプレキャスト壁体の接続構造の接続前の構成模式図である。
【
図19】他のプレキャスト壁体の接続構造の構成模式図である。
【
図20】実施例4のプレキャスト壁体の接続構造の構成模式図である。
【
図22】実施例5のプレキャスト壁体の接続構造の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下は実施例を結合して本発明をさらに説明する。
【0028】
(実施例1)
図2を参照し、コンクリート本体2及びコンクリート本体2に打設された剛性骨組3を有するプレハブプレキャスト壁体であって、剛性骨組は鉛直筋、横方向筋及びフープ筋が互いに接続されることで形成され、剛性は、静的負荷の作用での変形抵抗の能力を指し、剛性骨組3は、収縮可能な材料または構成を利用していなく、圧力作用で、変形または変位が小さいブラケット構成を指し、鉄筋、複合金属及び硬質繊維などの材料から織られまたは挿通固定されることで形成された骨組を含み、
図3を参照して、剛性骨組3は、壁体の長さ方向に沿って、均一に間隔をもって配置された1組の鉛直筋4を有し、鉛直筋4は少なくとも3本であり、3本以下である場合、鉛直筋4は全部で接続されても、プレキャスト壁体とプレキャスト壁体との接続の安定性は不十分であるから、安定性を強化させるために、鉛直筋4は少なくとも3本であり、建物設計の要求に応じて、鉛直筋4を接続しようとすると、接続を必要とする鉛直筋4の端部に機械接続部5が形成されたから、機械接続部5はいずれもコンクリート本体で露出し、または開放され、即ち、接続を必要とすると、締付ユニットを介して、直接的に接続しており、少なくとも直接的に締付ユニットのうちの1つの部材と、接続を完成させ、このように、機械接続部5は鉛直筋4の先端部に形成される必要がある。
【0029】
該技術案は機械接続部の配置により、前記効果をもたらす上に、事前にグラウト注入スリーブを埋め込むことによる以下の欠陥を克服し、即ち、グラウト注入スリーブを事前に埋め込むこと、及びスリーブ内に鉄筋をオーバーラップすることの原因で、壁体の隅部の内部構造には、壁体の二倍の縦方向鉄筋が設けられ、水平補強鉄筋、埋め込みグラウト注入スリーブ及び螺旋フープ筋などに加えて、ここの構造部材が多く且つ複雑であり、その同時、より合理の付設機器及び完璧な施工工程がないため、ここの縦方向鉄筋及びスリーブに対する位置決めも相対により複雑になり、コンクリートの打設の際、グラウト注入スリーブの位置ずれを招致しやすく、壁体の接合に影響する。また、このような複雑な構造において、コンクリートの、ここの振動緻密化も保証し難い。本技術案において、鉛直筋及び機械接続部の配置により、プレキャスト壁体の内部構造を大幅に簡単化し、本方案の剛性骨組は完全に、伝統の現場打設における鉄筋かごという製造方式で製造されることができ、他の埋め込み部材を追加する必要がない。このように、プレキャスト壁体の内部構造は二倍の鉛直筋を必要とせず、必要な配筋のみを有する。
【0030】
図4を参照し、機械接続部5は受け先端6と受け室7とを有し、受け先端6は一般的に、コンクリート本体2の表面より高く、受け室7は一般的に、コンクリート本体2の表面と揃えるように配置され、受け先端6または受け室7の配置は、プレキャスト壁体1の組立の際、上下の壁体を接続するための接続ポートとし、受け先端6と受け室7とは、具体的な接続方式に応じて、接続のための、対応する接続口構成が設けられ、例えば、設計必要に応じて、係止するための相応的な締付ユニットを必要とすれば、受け先端6と受け室7に、係止するための係止溝または係止ストッパなどとして配置される。ネジ接続またはピン接続などに配置されてもよく、本実施例において、
図5、6を参照し、ネジ接続による力伝達が明確で、接続が確実で、装着が便利であるなどの利点のため、好ましくは、ネジ接続を選択し、即ち、受け先端6には雄ネジが設けられ、受け室7内には雌ネジが設けられ、また、従来の技術におい、接続するためのグラウチングスリーブ、またはオーバーラップスリーブ自体、及びそのグラウチング孔、排気孔の、底部に対する体積占有が大きすぎるという欠陥を克服するために、本発明は、機械接続部の外形サイズを小さくして同じ比率で短くする観点から考えてみると、本発明は大量の実験から取得するように、具体的なサイズは以下のように限定される場合、効果が最適であり、切り難いとともに、しっかり接続するという作用も果たし、即ち、受け先端6の外径は鉛直筋4の外径の0.7~2倍であり、受け室7の外径は鉛直筋4の外径の1.2~3倍であり、鉛直筋4の外径はdであり、受け先端6の外径はd1であり、受け室7の外径はd2であれば、2d≧d1≧0.7d、3d≧d2≧1.2dになり、このような配置は、受力際、埋め込み部材の占有体積が大きすぎることで、割れを形成し、コンクリートが脱落するという現象を避ける。
【0031】
受け先端6と受け室7とのプレキャスト壁体の端面での具体的な位置は、柔軟に配置されてもよく、
図7に示すように、受け先端6全体は、プレキャスト壁体1の上端にあり、受け室7全体はプレキャスト壁体1の下端にあり、このように配置すれば、受け先端6と受け室7との、プレキャスト壁体1での方向を統一にして、工場で、プレキャスト壁体1に対してプレキャスト加工を行う場合、材料配合、配筋及び骨組の固定に寄与し、プレキャスト壁体を組み立てる場合、端部の一致性のため、機械接続部5の接続方向を考量する必要がなく、装着及び組立を便利にする。
【0032】
図8に示すように、受け先端6と受け室7とはプレキャスト壁体1の上端と下端で、ランダムに分布され、このように配置すれば、プレキャスト加工の際、苦労するが、壁体の組立中、プレキャスト壁体1に対して、受け先端6及び受け室7自体は段差が存在するから、接続が完成した後、接続点も自然に段差を形成し、即ち、各接続点の高さも受け先端6と受け室7との配置に連れて段差を有する接続点を形成し、このように、接続後のコンクリート構造は剪切力を受けた場合、接続点が同一の水平面に位置していないから、より大きい剪切力を受けることができ、さらに、建物構造の安定性を向上させる。
【0033】
図9を参照し、受け先端6の形成は、鉛直筋4の、コンクリート本体2から張り出した一端の端部により加工されることで、形成され、受け室7の形成は、鉛直筋4の先端部が据込まれた後、その軸線方向に沿って、内部に凹んだ開放式の室に加工されることで、形成される。このように、受け先端6と受け室7を介してプレキャスト壁体1を接続した場合、直接的にプレキャスト壁体1の間の鉛直筋4を接続することに相当し、これによって、壁体構造内に、構造体を貫通する縦方向貫通筋を形成し、その構造の全体性をよりよく保証し、壁体の安定性及び安全性を向上させる。
【0034】
図10を参照し、受け先端6の形成は、鉛直筋4の、コンクリート本体2から張り出した一端の端部から加工されることで形成され、受け室7の形成は、鉛直筋4の先端部に剛性接続されたスリーブ8に基づき形成され、スリーブ8の、鉛直筋4から離れた一端は、開放式の受け室を形成する。ここで、剛性接続とは、2つの物体の間で、一方の物体で変位または受力が生じると、それと接続された他方の物体が、前述一方の物体に対して変位または相対的な変形が生じることがなく、つまり、2つの物体は1つの全体として接続されたことを指す。ネジ接続、ピン係止、溶接及び熱処理または冷間圧延接続などであってもよい。このように、受け室と鉛直筋との一体性をわずか消耗したが、装着及び加工の便利性を大幅に向上させ、柔軟に加工及び組立を行うとともに、加工コストもより低くなる。
【0035】
(実施例2)
図11~13を参照し、異形プレキャスト壁体9は単板のプレキャスト壁体1から組み合わせることで形成され、即ち、複数のプレキャスト壁体1の間の、互いに隣接するプレキャスト壁体は横方向で、一定の角度をなすように、接合されることで形成され、接合方式または横方向接続は本発明の保護範囲内に該当していなく、その接合方式は当業者にとって、従来の技術に基づき、多種の接合方式を取得でき、無論、プレキャスト壁体の間の横方向筋の接続も、前記鉛直筋の構成構造、及び本案の以下に記載の接続方式を採用できるから、ここで贅言していなく、本発明の特点は以下の通り、即ち、異形プレキャスト壁体9は前記プレキャスト壁体1から組み合わせることで形成されるため、異形プレキャスト壁体9の縦方向の機械接続部5、及び異形プレキャスト壁体9内の埋め込み骨組構成はいずれもプレキャスト壁体1に由来するから、該異形プレキャスト壁体9には、プレキャスト壁体1自体の利点が集合される。また、該異形プレキャスト壁体9は複雑な壁体のプレキャストを実現するために、可能な実践基礎を提供し、即ち、異形プレキャスト壁体9は全体でプレキャストされる場合、その簡単な内部骨組のため、骨組の金型での固定を大幅に便利にして、内部の埋め込み部材を基本的に無視でき、複雑な壁体であっても、その壁体属性も変化しないから、複雑な壁体のプレキャストのために、大幅な便利及び実践性を提供する。無論、プレキャスト壁体1と異形プレキャスト壁体9とはただ形状で変化し、その肝心な鉛直筋及び機械接続部が同様であるから、異形プレキャスト壁体9は、プレキャスト壁体の1つの変形とみなされてもよいから、本案におけるプレキャスト壁体1はフラットの壁体と異形の壁体とを有する。
【0036】
本実施例において、
図11に示すように、プレキャスト壁体1は「L」状のプレキャスト壁体であり、その壁体の間の内壁面の夾角∠aは90°であり、壁体の縦方向には機械接続部5が設けられることで、壁体の間の接続を便利にする。
【0037】
本実施例において、
図12に示すように、プレキャスト壁体1は「V」状のプレキャスト壁体であり、その壁体の間の内壁面の夾角∠bは90°より小さく、壁体の縦方向には機械接続部5が設けられることで、壁体の間の接続を便利にする。
【0038】
本実施例において、
図13に示すように、プレキャスト壁体1は開口式の等脚台形プレキャスト壁体であり、隣接する壁体の間の内壁面の夾角∠cは91°~179°であり、壁体の縦方向には機械接続部5が設けられることで、壁体の間の接続を便利にする。
【0039】
(実施例3)
図14、15を参照して、プレハブ建物の組立構成であって、上層壁体10は、上層にある端面が整合する、実施例1におけるプレキャスト壁体1、または実施例2における異形プレキャスト壁体9(以下は上層壁体と略称される)として設定され、下層壁体11は、下層にある端面が整合する、実施例1におけるプレキャスト壁体1または実施例2における異形プレキャスト壁体9(以下は下層壁体と略称される)として設定され、端面が整合することは、壁体または壁体の端面に配置された機械接続部が互いに対応することを指し、具体的に、2つの壁体の上下の端面が対向する場合、同一軸線にあるとともに、壁体間の接続のための機械接続部5は、壁体の間の配筋接続という要求を満たす。上層壁体10と下層壁体11との共通の特点は以下の通り、即ち、設計需要に応じて、その縦方向に設けられた鉛直筋4の先端部は、壁体に相応的な機械接続部5が形成され、上層壁体10と下層壁体11の間は締付ユニット12を介して、機械接続部5を連通させるとともに、締め付けられるように固定され、さらに、プレハブ建物の組立構成を形成し、締付ユニット12は対応するように、壁体の間に予備された架空領域18に組立接続される。
【0040】
該壁体の接続構造において、さらに現場打設層17を有し、上層壁体10と下層壁体11のとの間に形成された接続用の架空領域18内に締付ユニット12を組み立て、堅牢に接続した後、上層壁体10と下層壁体11とは1つの全体として形成されるように、現場打設層17は架空領域18を詰みに充填する。
【0041】
上層壁体10と下層壁体11との間の接続は、締付ユニット5を介して壁体の間に予備された架空領域18に、対応するように締付ユニット12を組み立て形成されたものであり、即ち、上層壁体10と下層壁体11との間に接続用の架空領域18を形成し、架空領域18に締付ユニット12を組み立て、締付ユニット12はただ、壁体に予備された接続ポートに接続されることで、上下層の壁体を相対的に接続し、壁体接続が設計要求を満足すればよいから、締付ユニット12の組み合わせ方式及び接続構成は、多種の選択を有しても良く、当業者が理解できるように、一般的に、剛性骨組において、メイン筋の接続方式及びメイン筋の間の締付ユニットは、ここで適用されてもよい。例えば、溶接接続、ネジ接続、ピン接続などがあり、ここで、ネジ接続のうちの1つの方案を挙げて、締付ユニット12は挿入棒13と、係止部材14と、バックル15と、中継スリーブ16とを有し、上層壁体10の機械接続部5は中継スリーブ16に対応するように接続され、下層壁体11の機械接続部5は挿入棒13に対応するように接続され、または、上層壁体10の機械接続部5は挿入棒13に対応するように接続され、下層壁体11の機械接続部5は中継スリーブ16に対応するように接続され、バックル15は中継スリーブ16内に固定され、挿入棒13はバックル15に挿入され、係止部材14は挿入棒13の外縁に外嵌されることで、挿入棒13とバックル15とを隙間なし係止させえる。これによって、上層壁体10と下層壁体11とを縦方向でしっかり接続し、このような接続構造は、接続された部分をもう壁体内に隠していなく、接続が十分であるかどうかを明らかに観察でき、壁体接続の安定性を保証し、また、このような接続構造は、壁体内の縦方向(鉛直)筋を直接的に接続し、力の伝達がより直接になり、壁体及び壁体からなる建物の全体の延性を向上させる。
【0042】
上層壁体10の機械接続部5は受け室7であり、下層壁体6の機械接続部5は受け先端6である場合、上層壁体10のプレキャストが完成した後、受け室7に挿入棒13を装着し、下層壁体11のプレキャストが完成した後、受け先端6に中継スリーブ16を装着するとともに、バックル15を中継スリーブ16内に収容し固定し、上層壁体10が下層壁体11に接続する場合、上層壁体10の高さを調節し、挿入棒13をバックル15に挿着し、挿入棒13での挿着ヘッドは、広がってバックル15でのバネを貫通し、バネは自然に、締め状態に戻ることで、挿入棒13に対する位置規制及び後退止めという作用を形成し、そして、挿入棒13での係止部材14を締めることで、挿入棒13とバックル15とを隙間なし係止させる。
【0043】
上層壁体10の機械接続部5は受け先端6であり、下層壁体11の機械接続部5は受け室7である場合、上層壁体10と下層壁体11との接続は、前記状況とちょうど反対するから、接続方式を逆にすればよい。
【0044】
図16、17を参照し、上層壁体10の機械接続部5は受け先端6であり、下層壁体11の機械接続部5は受け先端6である場合、上層壁体10のプレキャストが完成した後、受け先端6に中継スリーブ16を装着し、該中継スリーブ16に挿入棒13を装着し、この場合、該中継スリーブ16の接続腔室は、受け室7の内部造形に造形される必要があり、下層壁体11のプレキャストが完成した後、受け先端6に中継スリーブ16を装着し、バックル15を該中継スリーブ16内に収容し固定し、上層壁体10が下層壁体11に接続する場合、上層壁体10の高さを調節し、挿入棒13をバックル15に挿着し、挿入棒13での挿着ヘッドが広がってバックル15でのバネを貫通し、バネは自然に、締め状態に戻ることで、挿入棒13に対する位置規制及び後退止めという作用を形成し、そして、挿入棒13での係止部材14を締めることで、挿入棒13とバックル15とを隙間なし係止させ、鉛直筋をしっかり接続する。
【0045】
図18、19を参照し、上層壁体10の機械接続部5は受け室7であり、下層壁体11の機械接続部5は受け室7である場合、下層壁体11の受け室7が、中継スリーブ16の内腔室に造形され、このように、上層壁体10のプレキャストが完成した後、受け室7に挿入棒13を装着し、下層壁体11のプレキャストが完成した後、受け室7に直接的にバックル15を収容し固定し、上層壁体10が下層壁体11に接続する場合、層壁体10の高さを調節し、挿入棒13をバックル15に挿着し、挿入棒13での挿着ヘッドは広がってバックル15でのバネを貫通し、バネは自然に、締め状態に戻ることで、挿入棒13に対する位置規制及び後退止めという作用を形成し、そして、挿入棒13での係止部材14を締めることで、挿入棒13とバックル15とを隙間なし係止させ、鉛直筋をしっかり接続する。
【0046】
(実施例4)
図20、21を参照し、プレハブ建物の組立構成であって、実施例4の壁体の組立構成、プレキャスト床スラブ19、及び現場打設層17を有し、プレキャスト床スラブ19の下縁が2つごとに隣接する下層壁体11にオーバーラップされ、現場打設層17はプレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11の間の組立隙間に埋められ、少なくとも上層壁体10の下端面と揃えるように、プレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11から形成された架空領域18に埋められ、即ち、縦方向で現場打設層の高さは少なくとも上層壁体10の下端面と揃える。現場打設層17は、流動コンクリート充填材または変性充填材であり、建物の充填材の力学要求を満足すればよく、具体的に、砂、石、セメント、水、添加物及び混合材などから、正確に計量して、コンクリート混練機により製造された低いスランプの新規混練コンクリートであってもよい。
【0047】
本実施例の組立構成において、上、下層壁体の組立構成は、
図14のような組立構成を採用して、即ち、上層壁体10の機械接続部5は受け室7であり、下層壁体11の機械接続部5は受け先端6であり、締付ユニット12を介して鉛直筋4を全体として接続し、その同時、壁体の間の端面には締付ユニット12を有するから、プレキャスト床スラブ19はただ水平的に下層壁体11の間にオーバーラップされ、プレキャスト床スラブ19の間の横方向筋もオーバーラップされなければならなく、このように、プレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11の間には、必ず組立隙間が存在し、組立隙間は、上層壁体10の下端面と下層壁体11の上端面との間の架空領域18、及びプレキャスト床スラブ19の上面から上層壁体10の下端面が所在する平面までの間の空間を有する。即ち、現場打設層17により埋められる領域は、上層壁体10の下端面と下層壁体11の上端面との間の架空領域18、及びプレキャスト床スラブ19の上面から上層壁体10の下端面が所在する平面までの間の空間を含む。本発明は壁体の間の、接続を必要とする全ての配筋を堅牢に接続した後、現場打設層17により組立隙間を充填することで、機械接続部が可視且つ制御可能になり、接続品質を保証する一方で、建物部材の接続構造を1つの全体にして、該構造には、複数本の貫通筋が接続形成され、建物構造の耐震、引抜き、引張能力を効果的に向上させ、建物構造全体がより安全且つ確実にある。
【0048】
(実施例5)
図22、23を参照し、本実施例は実施例4と基本的に同様であり、相違点は以下の通り、即ち、プレキャスト床スラブ19内に付加物または埋込物を固定するように、プレキャスト床スラブ19の上面には剛性トラス20が露出し、プレキャスト床スラブ19の付加物または埋込物を剛性トラス20に固定し、またはプレキャスト床スラブ19での剛性トラス20の隙間に敷設し、付加物または埋込物は、プレキャスト床スラブ19の横方向筋または縦方向筋、電線管路、空調管路、床暖房管路、給水管路などを含み、このように、現場打設層17は剛性トラス20を埋めるように被覆し、これらの付加物または埋込物は、フロア内に固定されることで、建物の表面が爽やかで清潔になり、後期の内装際における溝切りなどの行為の、建物構造に対する損傷を避けるとともに、優れた経済効果を有し、資源を節約し、コストを低減させる。
【0049】
図24を参照し、さらに、プレハブ建物の組立構成の構造方法、特に、実施例4及び実施例5における組立構成の構造方法をさらに説明し、前記プレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11を有し、プレキャスト床スラブ19は支持フレーム24を介して2つごとに隣接する下層壁体11の上端にかけられ、上層壁体10がプレキャスト床スラブ19の厚さより高くするように、下層壁体11の上方に吊り上げられ、上層壁体10と下層壁体11との端面が対向し、上層壁体10、下層壁体11及びプレキャスト床スラブ19の間の架空領域18に、配筋をしっかり接続した後、現場打設層17により組立隙間を充填し、現場打設層17は少なくとも上層壁体10の下端面と揃えるように、プレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11から形成された架空領域18に埋められる。
【0050】
前記建物の組立構成の施工方法は、順に以下のステップに応じて施工し、即ち、
部材プレキャストステップ:プレハブプレキャスト壁体1とプレキャスト床スラブ19とに対してプレキャスト加工を行って、
部材搬送ステップ:加工が完成したプレハブプレキャスト壁体1とプレキャスト床スラブ19とを施工現場に搬送し、締付ユニット12をプレキャスト壁体1及びプレキャスト床スラブ19での、接続すべき部位に組み立て、
下層壁体固定ステップ:下層壁体11を組立が完成したフロアに装着し、
床スラブ組立ステップ:プレキャスト床スラブ19を下層壁体11の間に敷設し、便利にして、床スラブの落下を防止するために、まず、支持配置ステップを行ってもよく、設計要求に応じて、下層壁体の周辺にプレキャスト床スラブを支持するための支持フレーム24を組み付け、支持作用を果たすブラケットを下層壁体11の上端面に揃えるように組み付け固定することで、支持フレーム24が水平方向でプレキャスト床スラブ19を支持し、支持フレーム24は平ら且つ垂直な押上棒であってもよく、三角形の押上ホルダであってもよい。
【0051】
壁体の突き合わせステップ:上層壁体10を所定位置に吊り上げ、上層壁体10をよりよく位置決めするために、上層壁体10と下層壁体11との間に調節パッド25を配置し、調節パッド25を増やしまたは減らすことで高さを変更し、これによって、上層壁体10の長辺の水平及び高さを調節し、プレキャスト床スラブ19と上層壁体10との間に方杖26を配置し、方杖26により、上層壁体10の垂直、短辺の水平、及び傾斜度を調節する。
【0052】
締付部材調節ステップ:上層壁体10と下層壁体11との間に、締付ユニット12はそれぞれ、機械接続部5に対応して固定接続され、上層壁体10と下層壁体11との接続固定の引抜き、引張という要求を満足したまで、締付ユニット12を調節する。
【0053】
現場打設ステップ:施工現場で、コンクリート充填材をプレキャスト床スラブ19、上層壁体10及び下層壁体11の間の組立隙間に打設することで、プレキャスト床スラブ19、上層壁体10、及び下層壁体11は、隙間なしの全体構造として形成される。現場打設された部分は、現場打設層17を形成し、現場打設層17は流動コンクリート充填材であり、砂、石、セメント、水、添加物及び混合材などから、正確に計量し、コンクリート混練機により製造された低いスランプの新規混練コンクリートである。
【0054】
プレハブ建物の施工を完成させたまで、前記支持配置ステップ~現場打設ステップを繰り返す。
【0055】
該施工方法はスリーブグラウト注入技術に比べると、スリーブグラウト注入技術は、鋳鋼または型材の切削加工から成形されたグラウト注入スリーブを採用し、その加工コストが高く、オーバーラップの長さが長いため、より多い鉄筋及びグラウト用量を必要し、このように、プレキャスト壁体のコストはほぼ現場打設壁体の二倍になり、現場グラウチングの作業量が大きく、工期は完全に現場労働者のグラウチングに対する施工速度に依存し、労働者が技能習熟度、作業の真剣さなどの要因に制限されるから、施工過程で、グラウチングが緻密ではないという状況がしょっちゅう出現し、品質を保証しがたい。本案は従来の組立構成の装着速度が遅く、効率品質を保証しがたいという欠陥を克服し、壁体、床スラブの間の接続点の構成を最適化し、組立構成の接続が確実で、構成が簡単で、施工が便利になり、装着が易くなる。
【符号の説明】
【0056】
1 ・・・プレキャスト壁体;
2 ・・・コンクリート本体;
3 ・・・剛性骨組;
4 ・・・鉛直筋;
5 ・・・機械接続部;
6 ・・・受け先端;
7 ・・・受け室;
8 ・・・スリーブ;
9 ・・・異形プレキャスト壁体;
10 ・・・上層壁体;
11 ・・・下層壁体;
12 ・・・締付ユニット;
13 ・・・挿入棒;
14 ・・・係止部材;
15 ・・・バックル;
16 ・・・中継スリーブ;
17 ・・・現場打設層;
18 ・・・架空領域;
19 ・・・プレキャスト床スラブ;
20 ・・・剛性トラス;
21 ・・・グラウチングスリーブ;
22 ・・・グラウチング孔;
23 ・・・排気孔;
24 ・・・支持フレーム;
25 ・・・調節パッド;
26 ・・・方杖。