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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】飲料用グラスシステム
(51)【国際特許分類】
   G09F 23/00 20060101AFI20220823BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20220823BHJP
   G09F 23/08 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G09F23/00 D
A47G19/22 S
G09F23/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022032994
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特許第6679076(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0319894(US,A1)
【文献】特開2009-103728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 23/00
A47G 19/22
G09F 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像を用いて一つのオリジナル画像を表示する飲料用グラスシステムであり、
前記オリジナル画像を第1から第nの画像に分割する画像分割部と、
前記第1から第nの画像に対応する第1から第nの飲料用グラスと、
前記第1から第nの画像に対応する第1から第nの映像表示装置と、
前記第1から第nの飲料用グラスと前記第1から第nの映像表示装置とを各々固定するための第1から第n固定機構と、
前記第1から第nの画像を前記第1から第nの飲料用グラス越しに視認するための第1から第nの透明部とを備え、
前記第1から第nの飲料用グラスは全て上部開口を有する有底の筒状体であり、
前記第1から第nの透明部は全て水平方向に湾曲しており、
前記第1から第nの映像表示装置は前記第1から第nの飲料用グラスの側面に各々固定されており、
前記第1から第nの映像表示装置にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像が表示され、
前記第1から第nの透明部と前記第1から第nの画像は1対1で対応しており、
前記第1から第nの透明部にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像が透過し、
前記第1から第nの飲料用グラスが飲料充填時に前記第1から第nの飲料用グラスを横一列又は縦一列に並べると前記第1から第nの画像により前記オリジナル画像の拡大像が前記第1から第nの透明部に表示されることを特徴とする飲料用グラスシステム。
【請求項2】
前記第1から第nの飲料用グラスの内少なくとも一つには前記上部開口を塞ぐ蓋を備えることを特徴とする請求項1に記載の飲料用グラスシステム。
【請求項3】
前記画像分割部がコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムであることを特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の飲料用グラスシステム。
【請求項4】
前記第1から第nの画像をそれぞれ対応する前記第1から第nの映像表示装置に表示するためのコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料用グラスシステム。
【請求項5】
前記オリジナル画像が動画を構成している各フレームの画像であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料用グラスシステム。
【請求項6】
前記オリジナル画像が男女の接吻画像であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料用グラスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用グラスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を入れる機能以外に様々な機能を持ったグラスが開発されている。
例えば特許文献1~3には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス本体と、グラス本体の底部から内部側にのびており携帯電話又はスマートフォンを格納するための格納部と、グラス本体の側面から内部側にのびており携帯電話の電波を通過させるための導波部とを備えている。この飲料用演出グラスはグラス本体内に飲料を充填した状態でも携帯電話の電波を導波部を通して外部に出して無線通信できる。
特許文献4には本願発明者が発明した飲料用演出グラスが開示されている。この飲料用演出グラスは、グラス側面に固定された映像表示装置と、グラス本体内部に配置された反射鏡とを備えてりおり、映像表示装置の映像を疑似的にグラス内部に投影する演出が可能なグラスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6337256号
【文献】特許第6406742号
【文献】特許第6432960号
【文献】特許第6488049号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1~4の飲料用演出グラスは、グラス側面に大きいサイズの画像を映すことは不可能である。
【0005】
本発明は上記問題を鑑み、グラス側面に大きいサイズの画像を映すことが可能な飲料用グラスシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料用グラスシステムは、n個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像を用いて一つのオリジナル画像を表示する飲料用グラスシステムであり、前記オリジナル画像を第1から第nの画像に分割する画像分割部と、前記第1から第nの画像に対応する第1から第nの飲料用グラスと、前記第1から第nの画像に対応する第1から第nの映像表示装置と、前記第1から第nの飲料用グラスと前記第1から第nの映像表示装置とを各々固定するための第1から第n固定機構と、前記第1から第nの画像を前記第1から第nの飲料用グラス越しに視認するための第1から第nの透明部とを備え、前記第1から第nの飲料用グラスは全て上部開口を有する有底の筒状体であり、前記第1から第nの透明部は全て水平方向に湾曲しており、前記第1から第nの映像表示装置は前記第1から第nの飲料用グラスの側面に各々固定されており、前記第1から第nの映像表示装置にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像が表示され、前記第1から第nの透明部と前記第1から第nの画像は1対1で対応しており、前記第1から第nの透明部にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像が透過し、前記第1から第nの飲料用グラスが飲料充填時に前記第1から第nの飲料用グラスを横一列又は縦一列に並べると前記第1から第nの画像により前記オリジナル画像の拡大像が前記第1から第nの透明部に表示されることを特徴とする。
また、前記第1から第nの飲料用グラスの内少なくとも一つには前記上部開口を塞ぐ蓋を備えることを特徴とする。
また、前記画像分割部がコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムであることを特徴とする。
また、前記第1から第nの画像をそれぞれ対応する前記第1から第nの映像表示装置に表示するためのコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムを備えることを特徴とする。
また、前記オリジナル画像が動画を構成している各フレームの画像であることを特徴とする。
また、前記オリジナル画像が男女の接吻画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料用グラスシステムは、複数(2台以上)の映像表示装置と飲料用グラスを用いてオリジナル画像(厳密にはオリジナル画像の拡大像)を表示または構成(或いは形成)するシステムのため、原理的にはグラスと映像表示装置を増やせば増やす程画像サイズを大きく出来る。
本発明の飲料用グラスシステムは、飲料用グラス内の水平方向に湾曲した飲料のレンズ効果を用いてグラス側面(グラス側面の透明部)にオリジナル画像の拡大像を表示することが可能である。また、その拡大像は飲料用グラス内の飲料により色付けすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態の飲料用グラスシステムを示す斜視図
図2】第1の実施の形態の飲料用グラスシステムを示す正面図
図3】蓋を備える飲料用グラスシステムの例を示す正面図
図4】オリジナル画像が接吻画像である飲料用グラスシステムの例を示す正面図
図5】飲料用グラスシステムのコンピュータプログラムのフローチャート図
図6】飲料用グラスシステムのコンピュータプログラムのフローチャート図
図7】飲料用グラスシステムのコンピュータプログラムのフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[飲料用グラスシステムの第1の実施の形態]
以下、本発明の飲料用グラスシステムの第1の実施の形態を図面を用いて示す。
本発明の飲料用グラスシステム1はn個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像を用いて一つのオリジナル画像を表示する飲料用グラスシステムであるが、図1及び図2では説明のためにn=2の場合(オリジナル画像100を2個に分割する場合)の例を示す。
図1及び図2に示すように、n=2の場合の飲料用グラスシステム1はオリジナル画像100を第1の画像82と第2の画像92に分割する画像分割部200と、第1の飲料用グラス10と、第2の飲料用グラス20と、第1の映像表示装置80と、第2の映像表示装置90と、第1の映像表示装置80を第1の飲料用グラス10に固定する第1の固定機構15と、第2の映像表示装置90を第2の飲料用グラス20に固定する第2の固定機構25と、第1の画像82を第1の飲料用グラス10越しに視認するための第1の透明部12と、第2の画像92を第2の飲料用グラス20越しに視認するための第2の透明部22と、から概略構成される。
画像分割部200はオリジナル画像100を第1の画像82と第2の画像92に分割するのに用いられる。画像分割部200は専用ICやASIC等の形態で第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の底面や壁面内部に埋め込まれていても良い。また、コンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムとして第1の映像表示装置80や第2の映像表示装置90の筐体の内部又は外部のコンピュータに実装されていても良い。また、画像分割部200はクラウドサーバーにコンピュータソフトウェアとして実装されていても構わない。画像分割部200はコンピュータ(通常のパソコン、携帯電話のコンピュータ、サーバーコンピューターなど)に存在する(または保存されている)オリジナル画像100を第1の画像82と第2の画像92に分割さえできればどのような形態でどこに実装されていても構わない。なお、図1図2の例では、オリジナル画像100を横方向(水平方向)に左右に分割している(図1図2の例ではAの文字画像をオリジナル画像100として第1の画像82と第2の画像93に分割している)。第1の画像82と第2の画像92に分割されたオリジナル画像100は第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20を横一列に並べることにより構成(又は再構成)される。なお、オリジナル画像100を縦方向(鉛直方向)に分割して飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20を縦一列に並べることにより構成(又は再構成)されるようにしても良い。また、図1図2の例では画像分割部200は第1の画像82と第2の画像92のデータを第1の映像表示装置80や第2の映像表示装置90に電波を使って転送しているが、画像分割部200と第1の映像表示装置80や第2の映像表示装置90とは有線等で直結しても良い。
第1の飲料用グラス10及び第2の飲料用グラス20は上部開口を有する有底の筒状体であり、第1の飲料用グラス10及び第2の飲料用グラス20の形状の例としては、図1のように水平方向に湾曲した通常のコップ型の形状や取っ手16(又は取っ手26)を備えたビールジョッキ型(又はマグカップ型)の形状が挙げられる。第1の飲料用グラス10及び第2の飲料用グラス20の材質としてはガラスや透明な樹脂等が挙げられる。第1の飲料用グラス10及び第2の飲料用グラス20は有底の筒状体(水平方向に湾曲した円筒形)であり、その内部には飲料Lが充填される。第1の飲料用グラス10には第1の映像表示装置80が固定され、同じく第2の飲料用グラス20には第2の映像表示装置90が固定される。
第1の映像表示装置80は第1の画像82を表示するための映像表示装置である。同じく第2の映像表示装置90は第2の画像92を表示するための映像表示装置である。本発明の飲料用グラスシステム1では図1に示すように各映像表示装置にそれぞれ対応したオリジナル画像100の各分割画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)が表示される。
第1の固定機構15は第1の映像表示装置80を第1の飲料用グラス10の側面に固定するための固定機構であり、同じく第2の固定機構25は第2の飲料用グラス20の側面に第2の映像表示装置90を固定するための固定機構である。第1の固定機構15及び第2の固定機構25は各映像表示装置を各飲料用グラスに固定さえ出来ればどのような種類の固定機構を用いても良く、第1の固定機構15(又は第2の固定機構25)は図1のようなポケット機構だけでなくネジ機構やマグネット機構等を用いても良い。
第1の透明部12は第1の飲料用グラス10越しに第1の映像表示装置80の画像(第1の画像82)を視認するための(第1の飲料用グラス10の側面に設けた)透明部である。同じく第2の透明部22は第2の飲料用グラス20越しに第2の映像表示装置90の画像(第2の画像92)を視認するための(第2の飲料用グラス20の側面に設けた)透明部である。第1の透明部12及び第2の透明部22はオリジナル画像100の各分割画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)を各飲料用グラスの外部に透過させる。また、第1の透明部12及び第2の透明部22は水平方向に湾曲している。なお、図1の第1の飲料用グラス10(又は第2の飲料用グラス20)は通常の飲料用グラスと同じく全てが透明、つまり全てが第1の透明部12(又は第2の透明部22)であることを想定している。なお、必ずしも第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20の側面が全て透明(つまり透明部)である必要は無く、ユーザーUがそれらグラス越しに(飲料グラス側面に取り付けられた)各映像表示装置の画像を視認出来れば他のエリアは透明でなくても構わない。
【0010】
第1の透明部12及び第2の透明部22について補足しておく、
第1の透明部12(又は第2の透明部22)は、図1のようにユーザーUが第1の映像表示装置80(又は第2の映像表示装置90)の画像を第1の飲料用グラス10(又は第2の飲料用グラス20)越しに視認するためにこれらグラス側面に設けられた透明なエリアである。ユーザーUは第1の透明部12や第2の透明部22を介して第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の内部の飲料L越しに第1の画像82(第1の映像表示装置80の画像)や第2の画像92(第2の映像表示装置90の画像)を第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の外部から視認することが可能である。
なお、図1内の破線P1は第1の映像表示装置80から投射された第1の画像82の光の光路P1のイメージを説明のために図示した物であり、光路P1のように第1の映像表示装置80(より厳密には映像表示面81)に表示された第1の画像82は第1の飲料用グラス10内の飲料Lと第1の透明部12を透過(又は通過)して第1の飲料用グラス10の外部に至る。なお、図1内の光路P2も光路P1と同じく、第2の映像表示装置90(より厳密には映像表示面91)から投射された第2の画像92の光の光路P2のイメージを説明のために図示した物ある。
第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20は(通常のグラスやジョッキと同じく)筒状の円筒形の形状のため、第1の透明部12や第2の透明部22(つまり第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の側面)は水平方向に湾曲している。そのため、必然的にそれら飲料用グラス内の飲料Lも図1のように水平方向に湾曲する。水の光の屈折率(約1.33)は空気の光の屈折率(約1.0003)に比して大きい為、水平方向に湾曲したその飲料Lがレンズの働きをするため第1の画像82や第2の画像92を水平方向に拡大する。別の言い方をすれば、湾曲した飲料Lが円柱形レンズ(又は両凸レンズ)の光屈折媒質として働く。
図1のように、水平方向に湾曲した第1の透明部12や第2の透明部22を介して、ユーザーUは第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の内部にある湾曲した飲料L越し(つまり飲料レンズ越し)に第1の画像82や第2の画像92を見ることにより、第1の画像の拡大像83と第2の画像の拡大像93を見ることが可能である。別の言い方をすれば、第1の透明部12と第2の透明部22に飲料レンズで拡大されたオリジナル画像の拡大像101(第1の画像の拡大像83と第2の画像の拡大像93から成るオリジナル画像の拡大像)が表示される。
本発明の飲料用グラスシステム1では、飲料Lそのものがレンズとして機能するため別途拡大用のレンズを飲料用グラスに設ける必要が無く、第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20の軽量化が可能である。なお、第1の画像82や第2の画像92の画像拡大率は第1の飲料用グラス10(厳密には第1の透明部12)や第2の飲料用グラス20(厳密には第2の透明部22)の曲率半径(つまりレンズである飲料Lの曲率半径)を小さくすることで大きくすることが可能である。これはレンズの曲率半径を小さくするとレンズの拡大率は大きくなるという光学やレンズの基本原理に基づく(詳細はレンズや光学の専門書を参照されたい)。
【0011】
図2のように、本発明の飲料用グラスシステム1は第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20の内部の飲料のレンズ効果により、第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20を横一列に並べるだけで第1の画像82(厳密には第1の画像の拡大像83)と第2の画像92(厳密には第2の画像の拡大像93)によりオリジナル画像の拡大像101を第1の透明部12と第2の透明部22に表示(又は投影)することが可能である。
図1図2ではn=2(つまりオリジナル画像100を2個に分割する場合)の例を示して本発明の飲料用グラスシステム1を説明したが、nが2より大きい整数の場合、例えばn=3(つまりオリジナル画像100を3個に分割する場合)やn=100(つまりオリジナル画像100を100個に分割する場合)でも、飲料用グラスと映像表示装置の数がその分増えるだけでn=2の場合と基本的な構成や原理は全く同じである。
図1図2のように、本発明の飲料用グラスシステム1はn個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像(又は映像表示装置)を用いて一つのオリジナル画像100(より厳密にはオリジナル画像の拡大像101)を表示(又は構成)する方式のため、一つの映像表示装置や飲料用グラスを用いた方式に比して遥かに大きなサイズの画像を投影することが可能である(原理的には映像表示装置と飲料用グラスの数を増やせば増やす程、再現無く画像のサイズを大きくする事が可能)。また、各グラス内で(水平方向に)湾曲した飲料のレンズ効果との相乗効果により非常に大きなサイズの画像の投影が可能である。
本発明の飲料用グラスシステム1は飲料Lその物をレンズの光屈折媒質として用いる方式のため、グラス内の飲料Lの色によりユーザーUから見えるオリジナル画像100(厳密にはオリジナル画像の拡大像101)に色付けすることが可能である。例えば飲料Lとして琥珀色のウィスキーを用いれば、ユーザーUから見えるオリジナル画像の拡大像101を琥珀色に演色することが可能である。
外気温と湿度にもよるが、冷たい飲料を入れると飲料用グラスは結露するため(グラス表面に水滴が付くため)、第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20のいずれか一方のみの結露を拭き取ればオリジナル画像100(厳密にはオリジナル画像の拡大像101)の左右半分のいずれか一方を結露でマスキングした状態に保つことも可能である。
本発明の飲料用グラスシステム1は第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20のいずれか一方のみに光透過性が低い飲料(例えば赤ワインやコーヒー等)を充填することによりオリジナル画像100(厳密にはオリジナル画像の拡大像101)の左右半分のいずれか一方をマスキングすることも可能である。
【0012】
図1図2ではn=2(つまりオリジナル画像100を2個に分割する場合)の例を示して本発明の飲料用グラスシステム1を説明したが、nが2より大きい整数の場合においても本発明の飲料用グラスシステム1はn=2の場合と基本的に同じであり、ただ単に飲料用グラスと映像表示装置の数がオリジナル画像100の分割数分だけ増えるだけである。
本発明の飲料用グラスシステムはn個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像を用いて一つのオリジナル画像を表示する飲料用グラスシステムであり、本発明の飲料用グラスシステムは、オリジナル画像(図1の例ではオリジナル画像100)を第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)に分割する画像分割部(図1の例では画像分割部200)と、前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)に対応する第1から第nの飲料用グラス(図1の例では第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20)と、前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)に対応する第1から第nの映像表示装置(図1の例では第1の映像表示装置80と第2の映像表示装置90)と、前記第1から第nの飲料用グラス(図1の例では第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20)と前記第1から第nの映像表示装置(図1の例では第1の映像表示装置80と第2の映像表示装置90)とを各々固定するための第1から第n固定機構(図1の例では第1の固定機構15と第2の固定機構25)と、前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)を前記第1から第nの飲料用グラス越しに視認するための第1から第nの透明部(図1の例では第1の透明部12と第2の透明部22)とを備え、前記第1から第nの飲料用グラス(図1の例では第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20)は全て上部開口(図1の例では上部開口11と上部開口21)を有する有底の筒状体であり、前記第1から第nの透明部(図1の例では第1の透明部12と第2の透明部22)は全て水平方向に湾曲しており、前記第1から第nの映像表示装置(図1の例では第1の映像表示装置80と第2の映像表示装置90)は前記第1から第nの飲料用グラス(図1の例では第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20)の側面に各々固定されており、前記第1から第nの映像表示装置(図1の例では第1の映像表示装置80と第2の映像表示装置90)にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)が表示され、前記第1から第nの透明部(図1の例では第1の透明部12と第2の透明部22)と前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)は1対1で対応しており、前記第1から第nの透明部(図1の例では第1の透明部12と第2の透明部22)にはそれぞれに対応する前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)が透過し、前記第1から第nの飲料用グラス(図1の例では第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20)が飲料充填時にそれら第1から第nの飲料用グラスを横一列又は縦一列に並べると前記第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)により前記オリジナル画像の拡大像(図1の例ではオリジナル画像の拡大像101)が前記第1から第nの透明部(図1の例では第1の透明部12と第2の透明部22)に表示されることを特徴とする。
【0013】
本発明の飲料用グラスシステム1は、第1から第nの画像(図1の例では第1の画像82と第2の画像92)をそれぞれ対応する第1から第nの映像表示装置(図1の例では第1の映像表示装置80と第2の映像表示装置90)に表示するためのコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムを備えても良い。これらコンピュータソフトウェア又はコンピュータプログラムの保存場所(実装場所)はどこでも良く、例えば、第1の映像表示装置80や第2の映像表示装置90の筐体の内部又は外部のコンピュータに実装されていても良いし、クラウドサーバーやストレージサーバー或いは画像配信サーバーのコンピュータに実装されていても構わない。また、飲料用グラス内に埋め込んだASICや専用ICのコンピュータに実装されていても構わない。
【0014】
本発明の飲料用グラスシステム1で用いる飲料用グラスの形状について補足しておく、
本発明の飲料用グラスシステム1で用いる飲料用グラスの形状は、図1のように第1の飲料用グラス10や第2の飲料用グラス20のように通常のコップやジョッキ型だけでなく、図3のように上部開口を塞ぐ蓋30を備えたボトル形状でも良い。
図3のように第1の飲料用グラス10又は第2の飲料用グラス20のどちらか一方に蓋30を備えても良いし、第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20の両方に蓋30を備えても良い。
【0015】
オリジナル画像100について補足しておく。
オリジナル画像100は動画像を構成する各フレームの画像(つまり動画像を構成する各フレームの一コマ分の静止画像)であっても良い。また、オリジナル画像100はコンピュータに存在する画像(より厳密にはコンピュータメモリやデータベース、コンピュータストレージメディアなど保存された)ならどんな画像を用いても良い。オリジナル画像100はカメラやビデオカメラで撮影した画像や動画像を用いても良いし、クラウドサーバー等のコンピュータからダウンロードした動画像の各フレーム画像などを用いても良い。
図4のようにオリジナル画像100を男女の接吻画像にしても良い。こうすることにより第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20を横一列(水平方向)に並べると男女の接吻画像(より厳密にはオリジナル画像の拡大像101)が第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20の側面部(図4の例では第1の透明部12と第2の透明部22)に写るため乾杯行為等で第1の飲料用グラス10と第2の飲料用グラス20を近付けた際にだけ男女の接吻画像を再現(又は構成、或いは形成)出来るという演出が可能である(本演出は恋人や夫婦間で乾杯する際の恋愛感情を盛り上げる演出に利用可能である)。
なお、図1図2図3図4では全てオリジナル画像100を横方向(水平方向)に分割してそれを横一列(水平方向)に並べた複数の飲料用グラスの側面(透明部)を用いて再構成して表示している例を示したが、本発明の飲料用グラスシステム1ではオリジナル画像100を縦方向(鉛直方向)に分割してそれを縦一列(鉛直方向)に並べた複数の飲料用グラスの側面(透明部)を用いて再構成して表示しても良い。また、オリジナル画像100の分割は横方向(水平方向)の分割と縦方向(鉛直方向)の分割を組み合わせても良い(この場合は各飲料用グラスを縦横方向に平面的に並べることでオリジナル画像100を再構成する)。
【0016】
飲料用グラスに映像表示装置固定時の映像表示装置の向きについても補足しておく、
本発明の飲料用グラスシステム1はオリジナル画像100を各飲料用グラス越し(厳密には各透明部越し)に視認するシステムのため、必然的に、図1のように第1の映像表示装置80を第1の飲料用グラス10の側面に固定する際はその映像表示面81が飲料用グラス10に向いた状態で固定される(同様に第2の映像表示装置90を第2の飲料用グラス20の側面に固定する際はその映像表示面91が飲料用グラス20に向いた状態で固定される)。つまり、本発明の飲料用グラスシステム1では第1から第nの映像表示装置はそれらの画像が各透明部を透過するように各飲料用グラスに固定されている。
【0017】
図5に本発明の飲料用グラスシステム1で用いるコンピュータプログラムのフローチャートを示す。STEP1において第1の映像表示装置80に第1の画像82を出力又は表示し、STEP2において第2の映像表示装置90に第2の画像92を出力又は表示した後にプログラムを終了する(つまり、STEP1とSTEP2で前記第1から第nの映像表示装置に、それぞれに対応する前記第1から第nの画像を出力又は表示している)。
図6に本発明の飲料用グラスシステム1で用いるコンピュータプログラムのフローチャートを示す。STEP1にてコンピュータメモリから取得したオリジナル画像を第1から第nの画像(図6の例では第1の画像82と第2の画像92)に分割後にプログラムを終了する。
図7に本発明の飲料用グラスシステム1で用いるコンピュータプログラムのフローチャートを示す。STEP1においてコンピュータメモリから取得したオリジナル画像を第1の画像82と第2の画像92に分割し、STEP2において第1の映像表示装置80に第1の画像82を出力又は表示し、STEP3において第2の映像表示装置90に第2の画像92を出力又は表示した後にプログラムを終了する。
図5図6図7に示したフローチャートのコンピュータプログラムはフラッシュメモリ、DRAM、磁気記憶媒体、光記憶媒体等の既知の記憶媒体に保存しても良い。また、第1の映像表示装置80や第2の映像表示装置90と同一筐体内のメモリにアプリケーションソフトウェアの形態でインストール(保存)しても良い。図5図6図7に示したフローチャートのコンピュータアルゴリズムは一例であり他のアルゴリズムを用いても構わない。図5図6図7に示したフローチャートのコンピュータアルゴリズムはn=2(つまりオリジナル画像100を2つに分割する場合)の例であるが、nがもっと大きい整数の場合も全く同じアルゴリズムで対応可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、2つ以上の飲料用グラスと映像表示装置を用いることで元のオリジナル画像を非常に大きなサイズの画像に拡大して表示又は形成或いは再構成することが出来る飲料用グラスシステムである。以上より本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0019】
U ユーザー
L 飲料(液体)
P1 光路
P2 光路
1 飲料用グラスシステム
10 第1の飲料用グラス
11 上部開口
12 第1の透明部
15 第1の固定機構
16 取っ手
20 第2の飲料用グラス
21 上部開口
22 第2の透明部
25 第2の固定機構
26 取っ手
30 蓋
80 第1の映像表示装置
81 映像表示面
82 第1の画像
83 第1の画像の拡大像
90 第2の映像表示装置
91 映像表示面
92 第2の画像
93 第2の画像の拡大像
100 オリジナル画像
101 オリジナル画像の拡大像
200 画像分割部
【要約】
【課題】 本発明はグラス側面に大きいサイズの画像を映すことが可能な飲料用グラスシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の飲料用グラスシステムはn個(nは2以上の整数)の飲料用グラスと画像を用いて一つのオリジナル画像を表示する飲料用グラスシステムであり、前記オリジナル画像を第1から第nの画像に分割する画像分割部と、第1から第nの飲料用グラスと、第1から第nの映像表示装置と、前記第1から第nの画像を前記第1から第nの飲料用グラス越しに視認するための第1から第nの透明部とを備え、前記第1から第nの画像により前記オリジナル画像の拡大像が前記第1から第nの透明部に表示されることを特徴とする飲料用グラスシステム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7