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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】紙幣搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/22 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
B65H5/22 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022084370
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022017473
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070352(JP,A)
【文献】特開2017-186133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B65H 29/70
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙幣を前記キャリアが搬送する紙幣搬送装置において、
前記紙幣が前記ダクト内に投入される前において、前記キャリアの走行方向と平行な方向に延びる折り目を前記紙幣に付ける折り目付与装置を備えており、
前記折り目付与装置は、軸線が前記キャリアの走行方向と直交し、かつ、相互に平行である二つのローラーを備えており、
これら二つのローラーは水平面内に形成された凹凸を表面に有しており、一方のローラーの凸は他方のローラーの凹に篏合し、前記紙幣はこれら二つのローラーの間に挟まれることにより前記折り目が付与されることを特徴とする紙幣搬送装置。
【請求項2】
前記二つのローラーの少なくとも何れか一方には前記軸線と平行に延びる少なくとも一つのスリットが形成されていることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項3】
前記折り目付与装置は、
第一のローラー対と、
前記第一のローラー対に対して前記紙幣の搬送方向の下流側に配置されている第二のローラー対と、を備え、
前記第一のローラー対及び前記第二のローラー対の各々は前記二つのローラーからなり、
前記第一のローラー対の一方のローラーは当該ローラーに対応する位置にある前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸を中心として回動可能に形成されており、前記第一のローラー対の他方のローラーと接する位置と前記第一のローラー対の他方のローラーから離れる位置との間において回動可能であることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項4】
前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸には着脱自在に連結部材が取り付けられており、
前記第一のローラー対の一方のローラーは前記連結部材の内部に回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項5】
前記連結部材は前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸に磁力式クラッチを介して取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項6】
前記折り目付与装置は前記二つのローラーの上流側に配置された準備用ローラー対を備えており、前記準備用ローラー対の少なくとも何れか一方のローラーの表面は常時湿るように構成されていることを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項7】
前記二つのローラーの表面を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項8】
前記折り目付与装置は、前記紙幣の搬送経路に沿って延びる第一壁部と、前記第一壁部に対向して配置されている第二壁部と、を備えており、
前記第一壁部及び前記第二壁部の何れか一方は他方に向かって、または、他方から離れる方向に移動可能であり、
前記第一壁部及び前記第二壁部の表面には前記紙幣の搬送方向に延びる凹凸が形成されており、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方の凸は他方の凹に篏合し、前記紙幣は前記第一壁部及び前記第二壁部の間に挟まれることにより前記折り目が付与されることを特徴とする請求項1に記載の紙幣搬送装置。
【請求項9】
前記折り目付与装置は前記第一壁部及び前記第二壁部の上流側に配置された準備用ローラー対を備えており、前記準備用ローラー対の各ローラーの表面は常時湿るように構成されていることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項10】
前記第一壁部及び前記第二壁部の表面を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項11】
前記折り目付与装置は前記紙幣が前記ダクトに投入される位置よりも前記紙幣の搬送方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の紙幣搬送装置。
【請求項12】
前記紙幣搬送装置は紙幣を収容する紙幣収容室に通じる第二のダクトを備えており、
前記折り目付与装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置され、前記紙幣は前記ダクトから前記折り目付与装置を経て前記第二のダクトに送られることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の紙幣搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト内に発生させた空気流によりダクト内において紙幣を搬送する紙幣搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような紙幣搬送装置の一例として特開2016-160038号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図50乃至図55は同公報に記載された紙幣搬送装置を示す。図50は同紙幣搬送装置の構造及び同紙幣搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
この紙幣搬送装置は、図50に示すように、紙幣をその前面で押すことにより当該紙幣を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、かつ、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、キャリア10が搬送してきた紙幣を収容する紙幣収容室14と、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14に向かう方向に走行させる空気流を発生させる第一送風機12aと、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14から離れる方向に走行させる空気流を発生させる第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
【0003】
図50に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が図50の左右方向に一列に配置されており(図50においては、単純化するため1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横には紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。紙幣投入装置21に投入された紙幣の額に応じて遊技媒体(パチンコ玉やメダルなど)が払い出される。
パチンコ台20の裏側には、当該紙幣搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図51はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図51に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
【0004】
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
図52はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその後縁を押されて搬送される。
【0005】
図53はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図53に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(図52参照)に嵌まり込む。
図50に示すように、紙幣収容室14はダクト11の一端(図50の右端)に配置されている。紙幣収容室14には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣が収容される。
ダクト11の内部に空気流(風)を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bはダクト11の両端に配置されている。
【0006】
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
なお、ダクト11の一方の端部(図50の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
図54は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
【0007】
図54に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、真贋や額面などの検査を経て、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
図55は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
【0008】
上記の構造を有する紙幣搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣を投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0009】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0010】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。このようにして、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2016-160038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
紙幣投入装置21に投入される紙幣には、真っ直ぐな平面状の紙幣(例えば、新札などの折り目が付いていないもの)の他に、折り目が付いた紙幣が含まれる。折り目が付いた紙幣は、縦方向(紙幣の短辺と平行な方向)に延びる折り目が付いたものと横方向(紙幣の長辺と平行な方向)に延びる折り目が付いたものの2種類がある。このうち、縦方向に折り目が付いた紙幣はダクト11の内部に送り込まれてからキャリア10に捕捉されるときに、ダクト11の内部で詰まりやすいという問題点があった。
図56は縦方向に折り目が付いた紙幣50がキャリア10に捕捉されるときの状況を示す概略的な斜視図である。
【0013】
図56(A)に示すように、紙幣50には短辺50aに平行な方向に延びる3個の折り目51A乃至51Cが付いている場合を想定する。3個の折り目51A乃至51Cによって、紙幣50は4個の領域52A乃至52Dに分かれている。
このような3個の折り目51A乃至51Cが付いている紙幣50がダクト11の内部に投入された後も、紙幣50は、図56(A)に示すように、3個の折り目51A乃至51Cに沿って折れ曲がった状態にある。
紙幣50に向かって走行してきたキャリア10は紙幣50の領域52D(短辺50aを含む領域)に最初に接触し、紙幣50の全体を走行方向に向けて押し込む。この場合、紙幣50には折り目51Cに沿って折れ曲がっているため、紙幣50はその全体がキャリア10によって押し込まれることはなく、紙幣50は折り目51Cを中心として単に折り曲がるだけになる。
【0014】
具体的には、図56(B)に示すように、キャリア10が紙幣50を押す力は領域52Dが折り目51Cを中心として折り曲がる力として作用することになるため、紙幣50の領域52Dは折り目51Cに沿ってキャリア10の走行方向(図56(B)の左方向)に折り曲がり、隣接する領域52Cに重なり合ってしまう。紙幣50の領域52Dが領域52Cに重なり合う状態(紙幣50が二つ折りになる状態)が生じると、紙幣50はいくらキャリア10に押されても、キャリア10による推進力は紙幣50の全体には伝わらず、紙幣50は前方(図56(B)の左方向)に進むことが不可能なり、結果的に、紙幣50はその場で詰まることになる。
本発明は以上のような従来の紙幣搬送装置における紙幣詰まりの問題点に鑑みてなされたものであり、縦方向に折り目が付いた紙幣であっても、ダクトの内部で詰まることなく搬送することを可能にする紙幣搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において一方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記一方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙幣を前記キャリアが搬送する紙幣搬送装置において、前記紙幣が前記ダクト内に投入される前において、前記キャリアの走行方向と平行な方向に延びる折り目を前記紙幣に付ける折り目付与装置を備えており、前記折り目付与装置は、軸線が前記キャリアの走行方向と直交し、かつ、相互に平行である二つのローラーを備えており、これら二つのローラーは水平面内に形成された凹凸を表面に有しており、一方のローラーの凸は他方のローラーの凹に篏合し、前記紙幣はこれら二つのローラーの間に挟まれることにより前記折り目が付与されることを特徴とする紙幣搬送装置を提供する。
【0016】
例えば、前記二つのローラーの少なくとも何れか一方には前記軸線と平行に延びる少なくとも一つのスリットが形成されている。
【0017】
前記折り目付与装置は、例えば、第一のローラー対と、前記第一のローラー対に対して前記紙幣の搬送方向の下流側に配置されている第二のローラー対と、を備えるものとして構成される。前記第一のローラー対及び前記第二のローラー対の各々は前記二つのローラーからなり、前記第一のローラー対の一方のローラーは当該ローラーに対応する位置にある前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸を中心として回動可能に形成されており、前記第一のローラー対の他方のローラーと接する位置と前記第一のローラー対の他方のローラーから離れる位置との間において回動可能である。
前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸には着脱自在に連結部材が取り付けられており、前記第一のローラー対の一方のローラーは前記連結部材の内部に回動自在に取り付けられていることが好ましい。
前記連結部材は前記第二のローラー対の一方のローラーの回転軸に磁力式クラッチを介して取り付けられていることが好ましい。
【0018】
前記折り目付与装置は前記二つのローラーの上流側に配置された準備用ローラー対を備えており、前記準備用ローラー対の少なくとも何れか一方のローラーの表面は常時湿るように構成されていることが好ましい。
本発明に係る紙幣搬送装置は前記二つのローラーの表面を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。
前記折り目付与装置は、例えば、前記紙幣の搬送経路に沿って延びる第一壁部と、前記第一壁部に対向して配置されている第二壁部と、を備えるものとして構成される。前記第一壁部及び前記第二壁部の何れか一方は他方に向かって、または、他方から離れる方向に移動可能であり、前記第一壁部及び前記第二壁部の表面には前記紙幣の搬送方向に延びる凹凸が形成されており、前記第一壁部及び前記第二壁部の一方の凸は他方の凹に篏合し、前記紙幣は前記第一壁部及び前記第二壁部の間に挟まれることにより前記折り目が付与される。
【0019】
前記折り目付与装置は、例えば、前記第一壁部及び前記第二壁部の上流側に配置された準備用ローラー対を備えるものとして構成される。前記準備用ローラー対の各ローラーの表面は常時湿るように構成されている。
本発明に係る紙幣搬送装置は前記第一壁部及び前記第二壁部の表面を加熱する加熱手段を備えることが好ましい。
前記折り目付与装置は前記紙幣が前記ダクトに投入される位置よりも前記紙幣の搬送方向の上流側に配置されていることが好ましい。
前記紙幣搬送装置は紙幣を収容する紙幣収容室に通じる第二のダクトを備えており、前記折り目付与装置は前記ダクトと前記第二のダクトとの間に配置され、前記紙幣は前記ダクトから前記折り目付与装置を経て前記第二のダクトに送られることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
図56(B)に示したように、縦方向(紙幣50の短辺50aに平行な方向)に折り目51A-51Cが付いた紙幣50がそのままの状態でダクト11に送り込まれると、走行してきたキャリア10から押されたときに、折り目51Cを中心として領域52Dが隣接する領域52Cに重なるように折れてしまい、その結果、その場で紙幣詰まりを起こしていた。
本発明に係る紙幣搬送装置によれば、縦方向に折り目51A-51Cが付いている紙幣50であっても、折り目付与装置によって、横方向に延びる折り目(紙幣50の長辺50b(または、キャリアの走行方向)に平行な折り目)が付けられる。
紙幣50に横方向の折り目を付けることにより、紙幣50の長辺50bに平行な方向(紙幣50の短辺50aに直交する方向)において紙幣50に作用する外力(キャリアが紙幣50に当たるときの衝撃力)に対する紙幣50の剛性が向上する(いわゆる「コシ」が強くなる)。
このため、紙幣50の短辺50aにキャリアが当たっても、紙幣50の長辺50bに平行な方向の外力に対する剛性が大きくなっているため、紙幣50が途中で折れ曲がるということはなくなり(図56(B)参照)、紙幣50を確実に紙幣収容室14まで搬送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において用いられるキャリアを正面側から見たときの斜視図である。
図2図1のキャリアを背面側から見たときの斜視図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において用いられるダクトの斜視図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
図6図6(A)は本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の横断面図、図6(B)は水平方向から見たときの紙幣折り目付与装置の正面図、図6(C)は図6(B)のA-A線における縦断面図である。
【0022】
図7図6(A)―図6(C)に示した紙幣折り目付与装置の分解斜視図である。
図8図6(A)―図6(C)に示した紙幣折り目付与装置の第一紙幣通路及び第二紙幣通路を取り外した場合の紙幣折り目付与装置の分解斜視図である。
図9図8には示さなかった第一紙幣通路及び第二紙幣通路のみの分解斜視図である。
図10】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における一対の紙幣折り目付与ローラーの正面図である。
図11図10に示した一対の紙幣折り目付与ローラーの斜視図である。
図12】一対の紙幣折り目付与ローラー一方の紙幣折り目付与ローラーの横断面図である。
図13】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における第二紙幣通路の斜視図である。
【0023】
図14図13に示した第二紙幣通路の部分的分解図である。
図15】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣送り出しローラー及び一対の紙幣押さえ板の斜視図である。
図16】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図17】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図18】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図19】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
【0024】
図20】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図21図21(A)は一対の紙幣折り目付与ローラーによって折り目がつけられた紙幣の正面図、図21(B)は紙幣の側面図である。
図22図22(A)及び図22(B)は紙幣折り目付与ローラーによって折り目が付けられた紙幣がキャリアに捕捉されるときの状況を示す概略的な斜視図である。
図23】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置の概略図である。
図24図24(A)は本発明の第二の実施形態における紙幣折り目付与装置の横断面図、図24(B)は紙幣折り目付与装置の縦断面図、図24(C)は図24(B)のA方向から見た紙幣折り目付与装置の側面図である。
図25図24(A)―図24(C)に示した紙幣折り目付与装置の斜視図である。
【0025】
図26図24(A)―図24(C)に示した紙幣折り目付与装置の部分的斜視図である。
図27】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における第一のダクト及び第一のダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの部分的横断面図である。
図28】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるキャリア収納用ダクト側から見たときの第一のダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
図29】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における第一のダクト側から見たときの第一のダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
図30】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の部分的な斜視図である。
【0026】
図31】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与ローラーの第二ローラー及び連結部材の分解斜視図である。
図32】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与ローラーの第二ローラーに連結部材を取り付けたときの斜視図である。
図33図33(A)は本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与ローラーの第二ローラーの縦断面図、図33(B)は連結部材の縦断面図、図33(C)は紙幣折り目付与ローラーの第二ローラーに連結部材を取り付けたときの縦断面図である。
図34】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における連結部材の動作を示す斜視図である。
図35】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における連結部材の動作を示す斜視図である。
【0027】
図36】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図37】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図38】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図39】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図40】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図41】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
【0028】
図42】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図43】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図44】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与装置の動作を示す断面図である。
図45】本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置における一対の紙幣折り目付与ローラーの間に紙幣が挟み込まれている状態を示す正面図である。
図46】紙幣が一対の紙幣折り目付与ローラーを通過する前と後の状態を示す斜視図である。
図47】本発明の第三の実施形態に係る紙幣搬送装置の部分的な平面図である。
図48】本発明の第三の実施形態の変形例に係る紙幣搬送装置の部分的な平面図である。
【0029】
図49図49(A)は本発明の第四の実施形態に係る紙幣搬送装置における紙幣折り目付与ユニットの平面図、図49(B)及び図49(C)は紙幣折り目付与ユニットの側面図である。
図50】従来の紙幣搬送装置及びそれが使用される周囲の環境を示す概略図である。
図51図50に示した従来の紙幣搬送装置の一構成要素であるダクトの部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図52図50に示した従来の紙幣搬送装置の一構成要素であるキャリアの斜視図である。
図53図52に示したキャリアが図51に示したダクトの内部に収納された状態を示す斜視図である。
図54図50に示した従来の紙幣搬送装置の一構成要素である紙幣投入装置の内部構造を示す概略図である。
図55図50に示した従来の紙幣搬送装置の一構成要素であるストッパーを示す断面図である。
図56図56(A)及び図56(B)は縦方向に折り目が付いた紙幣がキャリアに捕捉されるときの状況を示す概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100において用いられるキャリア110を正面側から見たときの斜視図、図2はキャリア110を背面側から見たときの斜視図である。
図1及び図2に示すように、キャリア110は「砲弾」型をなしており、具体的には、円柱形状の本体部分110aと、本体部分110aの背面側に本体部分110aと連続して形成された半球形状の後方部分110bと、から構成されている。
キャリア110は軽量化を図るために中空構造とされている。
キャリア110は本体部分110aの前面110cにおいて紙幣を押して紙幣を搬送する。本体部分110aの前面110cには円周に沿って同一形状の複数個の突起110dが等間隔に形成されている。相互に隣接する2個の突起110dの間に紙幣を挟み込み、紙幣を保持するようになっている。突起110dは、例えば、半球形状をなしている。
【0031】
キャリア110の本体部分110aの中心軸方向における長さは可能な限り短く設定されている。本体部分110aの長さを短くすることにより、カーブしているダクトをスムーズに曲がることが可能になる。
キャリア110は後方部分110bにおいて第一送風機12aからの空気流(風)を受けることにより前進する。
図3は本実施形態に係る紙幣搬送装置100において用いられるダクト120の斜視図である。図4及び図5はキャリア110、紙幣50及びダクト120の相互の位置関係を示す斜視図である。
ダクト120は、図3に示すように、第一領域120aと第二領域120bとから構成されている。
第一領域120aは上下に長い長方形の形状をなしており、その高さは紙幣50の短辺50a(図4参照)が通過できる高さである。
【0032】
第二領域120bは円形の縦断面を有しており、キャリア110が通過できるような大きさ(半径)に設定されている。
第一領域120aと第二領域120bとは部分的に重なり合っており、第一領域120aが第二領域120bの中心を通り、第二領域120bから上下の方向に等しい長さで突出している。
図4及び図5に示すように、キャリア110はその前面110cにおいて紙幣50の短辺50aを押し、ダクト120の内部において紙幣50を搬送する。紙幣50はダクト120の第一領域120aを通過し、キャリア110はダクト120の第二領域120bを通過する。
このように、第一領域120aは紙幣50のみが通過可能であり、キャリア110は第一領域120aを通過することはできない(正確には、キャリア110は第二領域120bから上下の方向に突出している第一領域120aの部分を通過することはできない)。
【0033】
従来の紙幣搬送装置と比較して、本実施形態に係る紙幣搬送装置100は紙幣折り目付与装置200を追加的に備えている。紙幣折り目付与装置200は、後述するように、紙幣50に横方向(紙幣50の長辺50bに平行な方向)に折り目を付ける装置である。
図6(A)は紙幣折り目付与装置200の横断面図、図6(B)は水平方向から見たときの紙幣折り目付与装置200の正面図、図6(C)は図6(B)のA-A線における縦断面図である。図7は紙幣折り目付与装置200の分解斜視図である。
図6(A)に示すように、紙幣折り目付与装置200は紙幣投入装置21(図54参照)とダクト120との間に配置されている。
【0034】
紙幣折り目付与装置200は、紙幣投入装置21から搬送されてきた紙幣50を紙幣折り目付与装置200の内部に取り込む一対の紙幣取り込みローラー210と、紙幣50に紙幣50の横方向に平行な方向に折り目を付ける一対の紙幣折り目付与ローラー220と、紙幣取り込みローラー210から紙幣折り目付与ローラー220に向かって紙幣50が通過するための第一紙幣通路230と、紙幣折り目付与ローラー220からダクト120に向かって紙幣50が通過するための第二紙幣通路240と、第二紙幣通路240の出口の手前に配置され、紙幣50をダクト120に送り出す紙幣送り出しローラー250と、紙幣送り出しローラー250に対して紙幣50を押さえ付ける一対の紙幣押さえ板260と、一対の紙幣取り込みローラー210、一対の紙幣折り目付与ローラー220及び紙幣送り出しローラー250を駆動する駆動モーター270と,から構成されている。
図8は第一紙幣通路230及び第二紙幣通路240を取り外した場合の紙幣折り目付与装置200の分解斜視図、図9は第一紙幣通路230及び第二紙幣通路240のみの分解斜視図である。
【0035】
図6(A)、図7及び図8に示すように、一対の紙幣取り込みローラー210は紙幣投入装置21から送り出されてくる紙幣50の進行方向上に配置されており、紙幣投入装置21から送り出されてくる紙幣50を挟み込み、第一紙幣通路230を介して一対の紙幣折り目付与ローラー220に紙幣50を送り込む。
図9に示すように、第一紙幣通路230は相互に平行に直立している一対の壁からなり、一対の紙幣取り込みローラー210から送り出された紙幣は第一紙幣通路230を通って一対の紙幣折り目付与ローラー220に送られる。
図10は一対の紙幣折り目付与ローラー220の正面図、図11は一対の紙幣折り目付与ローラー220の斜視図、図12は一対の紙幣折り目付与ローラー220の一方のローラーの横断面図である。
【0036】
一対の紙幣折り目付与ローラー220は第一ローラー220Aと第二ローラー220Bとからなり、これらの二つのローラー220A、220Bは軸線が相互に平行になるように、具体的には、どちらの軸線も鉛直方向になるように配置されている。
図8に示すように、第一ローラー220Aはベルト272を介して駆動モーター270により駆動される駆動側ローラーであり、第二ローラー220Bは第一ローラー220Aにより駆動される従動側ローラーである。
第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの各表面にはそれぞれ断面が三角形形状の複数個の凹凸221が形成されている。各凹凸221は水平面内に位置するように形成されているとともに、二つのローラー220A、220Bの各軸線方向に一定間隔で並列されている。第一ローラー220A及び第二ローラー220Bは二つのローラー220A、220Bの各凹凸221が相互に噛み合うように隣接して配置されている。第一ローラー220Aの凸は第二ローラー220Bの凹に噛み合い、第一ローラー220Aの凹は第二ローラー220Bの凸に噛み合っている。
【0037】
図10乃至図12に示すように、第二ローラー220Bにはその表面に鉛直方向に延びる4個のスリット222が形成されている。各スリット222は三角形状の横断面を有している。図12に示すように、4個のスリット222は第二ローラー220Bの円周方向において等間隔に(90度の円周角で)設けられている。
図10に示すように、紙幣50は第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの各凹凸221の間に挟み込まれた状態で二つのローラー220A、220Bを通過する。これにより、紙幣50には長辺50bに平行(キャリア110の走行方向に平行)に延びる折り目が付けられる(これについては後述する)。
【0038】
従来のように、ローラーの表面が平面であると、紙幣50を搬送するときに紙幣50がスリップする事象が発生していた。これに対して、一対の紙幣折り目付与ローラー220の第二ローラー220Bにはスリット222が形成されている。スリット222を設けることにより、第二ローラー220Bと紙幣50との接触が面ではなく点または線になるため、第二ローラー220Bと紙幣50との間に引っ掛かりが生じ、その結果として、紙幣50の搬送時におけるグリップ力が向上し、紙幣50の搬送時における紙幣50のスリップを防止することができる。
図13は第二紙幣通路240の斜視図、図14は第二紙幣通路240の部分的な分解図である。
図13及び図14に示すように、第二紙幣通路240は、相互に平行に直立し、その間に通路を構成している一対の第一壁部240Aと、一対の第一壁部240Aへの入り口240Bから一対の第一壁部240Aと直交して外側に延びる一対の第二壁部240Cと、からなる。
【0039】
一対の紙幣折り目付与ローラー220を通過した紙幣は入り口240Bから一対の第一壁部240Aの間の通路を通り、図6(A)に示すように、ダクト120に向かって送られる。
図15は紙幣送り出しローラー250及び一対の紙幣押さえ板260の斜視図である。
紙幣送り出しローラー250は、図15に示すように、軸線方向に相互に離れて配置された二つの同心の小ローラー250A、250Bからなり、第二紙幣通路240の一対の第一壁部240Aの一方の壁部(ダクト120から遠い方の壁部)は二つの小ローラー250A、250Bの間のスペースに入り込むように延びている。
一対の紙幣押さえ板260の各々は、押さえ板260Aと、バネ260Bとから構成されている。
【0040】
押さえ板260Aの先端は櫛の歯状に分かれているとともに、紙幣送り出しローラー250の小ローラー250A、250Bの外周形状に合わせて円弧形状に形成されている。先端が円弧形状であることにより、押さえ板260Aの先端は小ローラー250A、250Bの外周に密接することが可能になっている。
押さえ板260Aはピン260Cを介して一対の第一壁部240Aの他方の壁部(ダクト120に近い方の壁部)に回動可能に取り付けられている。
押さえ板260Aの後端と一対の第一壁部240Aの他方の壁部との間にはバネ260Bが挟み込まれている。バネ260Bは押さえ板260Aの後端を一対の第一壁部240Aの他方の壁部から離す方向の弾性力を押さえ板260Aに作用させる。このため、ピン260Cを中心として回動可能な各押さえ板260Aはその先端において常に紙幣送り出しローラー250の小ローラー250A、250Bの表面に押さえ付けられている。
【0041】
図6(B)及び図8に示すように、駆動モーター270はベルト271を介して紙幣送り出しローラー250を駆動するとともに、ベルト272を介して一対の紙幣折り目付与ローラー220の第一ローラー220Aを駆動する。一対の紙幣取り込みローラー210の一方のローラー(駆動モーター270に近い方のローラー)は第一ローラー220A及びベルト273を介して駆動モーター270により駆動される。
図16乃至図20は本実施形態における紙幣折り目付与装置200の動作を示す断面図である。以下、図16乃至図20を参照して紙幣折り目付与装置200の動作を説明する。
図16に示すように、紙幣投入装置21から送られてきた紙幣50は一対の紙幣取り込みローラー210に挟み込まれ、紙幣折り目付与装置200の内部に取り込まれる。
次いで、図17に示すように、紙幣50は一対の紙幣取り込みローラー210によって第一紙幣通路230の内部を一対の紙幣折り目付与ローラー220まで送られる。
【0042】
図21(A)は一対の紙幣折り目付与ローラー220によって折り目がつけられた紙幣50の正面図、図21(B)は紙幣50の側面図である。
紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー220を構成する第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの間を通過する間に二つのローラー220A、220Bのそれぞれの凹凸221から相互に異なる方向に押圧力を受ける。具体的には、第一ローラー220Aは凹凸221のうちの凸によって右から左に向かう方向に紙幣50に押圧力を作用させ、第二ローラー220Bは凹凸221のうちの凸によって左から右に向かう方向に紙幣50に押圧力を作用させる。このように、紙幣50は右から左に向かう押圧力と左から右に向かう押圧力をジグザグに受けることによって、図21(A)及び図21(B)に示すように、紙幣50には横方向(紙幣50の長辺50bに平行な方向)に延びる5個の折り目53A乃至53Eが付けられる。
【0043】
第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの凹凸221の間隔を大きくすれば折り目の数は減り、凹凸221の間隔を小さくすれば折り目の数は増える。
一対の紙幣折り目付与ローラー220によって折り目53A-53Eを付けられた紙幣50は、図18に示すように、一対の紙幣折り目付与ローラー220から第二紙幣通路240を介して紙幣送り出しローラー250に送られる。
紙幣送り出しローラー250に送られた紙幣50は、図19に示すように、紙幣送り出しローラー250と一対の紙幣押さえ板260の各押さえ板260Aとの間に挟み込まれ、その状態のままダクト120に向かって送られる。
次いで、図20に示すように、紙幣50はダクト120の第一領域120aの内部に送り込まれる。この後、紙幣50はキャリア110に捕捉され、紙幣収容室14に搬送される。
以上の動作が紙幣投入装置21に投入された紙幣50が紙幣折り目付与装置200を経てダクト120に送り込まれるまでの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
【0044】
図22は紙幣折り目付与ローラー220によって折り目53A-53Eが付けられた紙幣50がキャリア110に捕捉されるときの状況を示す概略的な斜視図である。
図22(A)に示すように、紙幣投入装置21に投入される前の紙幣50には縦方向(紙幣50の短辺50aに平行な方向)に折り目51A-51Cが付いているものとする。図56(B)に示したように、縦方向に折り目51A-51Cが付いた紙幣50がそのままの状態でダクト120に送り込まれると、走行してきたキャリア110から押されたときに、折り目51Cを中心として領域52Dが隣接する領域52Cに重なるように折れてしまい、その結果、紙幣詰まりを起こしていた。
【0045】
これに対して、本実施形態に係る紙幣搬送装置100によれば、縦方向に折り目51A-51Cが付いている紙幣50であっても、一対の紙幣折り目付与ローラー220の間を通過することにより、図22(A)に示すように、紙幣50には縦方向の折り目51A-51Cに加えて横方向に延びる折り目(紙幣50の長辺50bに平行な折り目)53A-53Eが付けられる。
このように、紙幣50に横方向の折り目53A-53Eを付けることにより、キャリア110の進行方向、すなわち、紙幣50の長辺50bに平行な方向(紙幣50の短辺50aに直交する方向)において紙幣50に作用する外力に対して、紙幣50の剛性が向上する(いわゆる「コシ」が強くなる)。
このため、図22(B)に示すように、紙幣50の短辺50aにキャリア110が当たっても、紙幣50の長辺50bに平行な方向の外力(キャリア110が当たったときの衝撃力)に対する剛性が大きくなっているため、図56(B)に示したように、紙幣50が途中で折れ曲がるということはなくなり、紙幣50を確実に紙幣収容室14まで搬送することができる。
【0046】
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は以下の効果を奏する。
本実施形態に係る紙幣搬送装置100によれば、縦方向に折り目51A-51Cが付いている紙幣50であっても、一対の紙幣折り目付与ローラー220の間を通過することにより、図22(A)に示すように、紙幣50には縦方向に延びる折り目51A-51Cに加えて横方向に延びる折り目(紙幣50の長辺50bに平行な折り目)53A-53Eが付けられる。これにより、紙幣50の長辺50bに平行な方向の外力に対する紙幣50の剛性が向上する(いわゆる「コシ」が強くなる)。
このため、図22(B)に示すように、紙幣50の短辺50aにキャリア110が当たっても、紙幣50の長辺50bに平行な方向の外力(キャリア110が当たったときの衝撃力)に対する剛性が大きくなっているため、紙幣50が縦方向の折れ目51Cで折れ曲がる(図56(B)参照)ということはなくなり、紙幣50を確実に紙幣収容室14まで搬送することができる。
【0047】
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
例えば、本実施形態における一対の紙幣折り目付与ローラー220を構成する第一ローラー220A及び第二ローラー220Bの各表面には断面が三角形形状の凹凸221が形成されているが、凹凸221の形状はこれには限定されない。例えば、三角形断面の凹凸221に代えて、四角形、台形、半円形などの断面を有する凹凸を形成することも可能である。
紙幣50の長辺50bに平行な折り目53A―53Eを付けることができる形状であれば、任意の形状を凹凸221の形状として採用することができる。なお、紙幣50の長辺50bに平行な折り目53A―53Eの数は5に限定されるものではなく、紙幣50の搬送速度、キャリア110の走行速度、紙幣50の新旧(新札か否か)などに応じて、任意の数を選定することができる。
【0048】
また、本実施形態のように一組の一対の紙幣折り目付与ローラー220のみならず、複数組の一対の紙幣折り目付与ローラー220を紙幣50の搬送方向に沿って配置することも可能である。この場合、複数組の一対の紙幣折り目付与ローラー220の各対の紙幣折り目付与ローラー220に形成される凹凸221のプロファイル(形状、数、間隔など)を相互に異なるものにすることができる。
本実施形態に係る紙幣搬送装置100においては、第二ローラー220Bに4個のスリット222が形成されているが、スリット222の個数は4には限定されない。紙幣50の搬送速度などに応じて1以上の任意の数を選択することができる。
【0049】
本実施形態に係る紙幣搬送装置100においては、一対の紙幣折り目付与ローラー220の一方のローラー(第二ローラー220B)にのみスリット222が形成されているが、一対の紙幣折り目付与ローラー220の双方のローラーにスリット222を形成することも可能である。
一対の紙幣折り目付与ローラー220の双方のローラー(第一ローラー220A及び第二ローラー220B)にスリット222を形成する場合、第一ローラー220Aに形成するスリットと第二ローラー220Bに形成するスリットとは相互に異なるプロファイル(形状、数、間隔など)とすることが可能である。このように、双方のローラーに形成されるスリットを相互に異なるプロファイルとすることにより、紙幣50に対するグリップ力を大きくすることが可能である。
【0050】
(第二の実施形態)
上述の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100においては、図6(A)に示したように、紙幣折り目付与装置200は紙幣投入装置21とダクト120との間に配置されていたが、紙幣折り目付与装置200が配置される位置はこれに限定されるものではない。以下に述べるように、第二の実施形態に係る紙幣搬送装置300においては、紙幣折り目付与装置は第一のダクトと第二のダクトとの間に配置される。
図23は本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置300の全体概略図である。
【0051】
図23に示すように、本実施形態に係る紙幣搬送装置300は2個のダクト、すなわち、第一のダクト1201(第一の実施形態におけるダクト120に対応するダクト)と第二のダクト1202とを有している。各パチンコ台(図示せず)に隣接する紙幣投入装置21に投入された紙幣は第一のダクト1201及び第二のダクト1202を通って紙幣収容室14に搬送される。本実施形態における紙幣折り目付与装置400は第一のダクト1201と第二のダクト1202との間に配置されている。
図24(A)は本実施形態における紙幣折り目付与装置400の横断面図、図24(B)は紙幣折り目付与装置400の縦断面図、図24(C)は図24(B)のA方向から見た紙幣折り目付与装置400の側面図である。図25は紙幣折り目付与装置400の斜視図、図26は紙幣折り目付与装置400の部分的斜視図である。
図24(A)、図25及び図26に示すように、本実施形態に係る紙幣搬送装置300においては、紙幣折り目付与装置400の手前で第一のダクト1201から分岐するキャリア収納用ダクト130が形成されている。
【0052】
図27は第一のダクト1201及び第一のダクト1201から分岐したキャリア収納用ダクト130の部分的横断面図、図28はキャリア収納用ダクト130側から見たときの第一のダクト1201及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図、図29は第一のダクト1201側から見たときの第一のダクト1201及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図である。
図27乃至図29に示すように、第一のダクト1201を構成する第一領域120a及び第二領域120bのうち、第一領域120aは紙幣折り目付与装置400まで延びており、第二領域120bは紙幣折り目付与装置400の手前で第一領域120aから一方の側(図27においては、キャリア110の進行方向の左側)に分岐している。この分岐した第二領域120bがキャリア収納用ダクト130を構成している。
図24(B)及び図27に示すように、キャリア収納用ダクト130はその先端において第二送風機12bに接続されている。
【0053】
図30は紙幣折り目付与装置400の部分的な斜視図である。
図24(A)、図25及び図30に示すように、紙幣折り目付与装置400は、一対の搬送ローラー410と、一対の紙幣折り目付与ローラー420と、紙幣通路430と、連結部材440と、紙幣送り出しローラー450と、一対の紙幣押さえ板460と、駆動モーター470と、から構成されている。
一対の搬送ローラー410は、図30に示すように、表面に凹凸が形成されている円柱形状の第一ローラー410Aと、表面に凹凸は形成されていない円柱形状の第二ローラー410Bと、からなる。第一ローラー410A及び第二ローラー410Bは同一半径及び同一高さを有している。
一対の紙幣折り目付与ローラー420は第一ローラー420Aと第二ローラー420Bとからなる。
【0054】
第一ローラー420Aは、上方から順に、いずれも表面に凹凸221が形成されている円柱形状の第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cからなる。第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cの各々の間にはスペースが設けられている。第一部分421A、第二部分421B及び第三部分421Cは同一半径を有しており、同心に配置されている。第一部分421Aと第三部分421Cは同一の高さを有しており、第二部分421Bの高さは第一部分421Aと第三部分421Cの高さより小さい。
第二ローラー420Bは、上方から順に、第一部分422A、第二部分422B、第三部分422C及び第四部分422Dからなる。第二部分422Bの表面には凹凸が形成されていない点及び第四部分422Dが設けられている点を除いて、第二ローラー420Bは第一ローラー420Aと同様の構造を有している。第四部分422Dは第一乃至第三部分422A―422Cよりも小径の円柱形状を有している。
【0055】
第一ローラー420A及び第二ローラー420Bは、それぞれの第一部分421A、422Aが対向し、第二部分421B、422Bが対向し、第三部分421C、第三部分422Cが対向するように配置されている。
紙幣通路430は紙幣折り目付与装置400まで延びてきている第一のダクト1201の第一領域120aと連通しており、図24(A)に示すように、その先端は第二のダクト1202に連通している。
図26に示すように、紙幣通路430には、一対の搬送ローラー410及び一対の紙幣折り目付与ローラー420との干渉を避けるための開口430Aが設けられている。
紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460は第一の実施形態における紙幣送り出しローラー250及び紙幣押さえ板260とそれぞれ同一のものである。
【0056】
図30に示すように、駆動モーター470はベルト471を介して紙幣送り出しローラー450及び紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bを駆動する。紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bの第二部分422Bと搬送ローラー410の第二ローラー410Bとの間にはベルト472が掛け渡されており、駆動モーター470に駆動される紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bはベルト472を介して搬送ローラー410の第二ローラー410Bを駆動する。
図31は紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420B及び連結部材440の分解斜視図、図32は紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bに連結部材440を取り付けたときの斜視図、図33(A)は紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bの縦断面図、図33(B)は連結部材440の縦断面図、図33(C)は紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bに連結部材440を取り付けたときの縦断面図である。
【0057】
図31及び図33(B)に示すように、連結部材440は、鉛直面内に広がる長方形の平板状の第一部分440Aと、第一部分440Aの上縁から第一部分440Aと直交して延びる長方形の平板状の第二部分440Bと、第一部分440Aの下縁から第一部分440Aと直交して第二部分440Bと同じ方向に延びる長方形の平板状の第三部分440Cと、第三部分440Cの下面から下方に延びる中空の円柱形状の第四部分440Dと、からなる。
第二部分440Bと第三部分440Cとの間の間隔は、図32及び図33(C)に示すように、第二ローラー420Bの第二部分422B及び搬送ローラー410の第二ローラー410Bが第二部分440Bと第三部分440Cとの間に篏合可能な間隔に設定されている。
第二部分440B及び第三部分440Cには貫通孔441,442が形成されている。貫通孔441と搬送ローラー410の第二ローラー410Bとを同心に配置し、ピンを通すことにより、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440に対して回動自在に連結される。
【0058】
貫通孔442は円柱形状の第四部分440Dと同心になるように形成されている。
図33(A)に示すように、第二ローラー420Bの第三部分422Cには第四部分440Dが篏合可能なリング状の溝422Eが形成されている。第四部分440Dを溝422Eに嵌め込んだ状態においては、連結部材440は第二ローラー420Bの第三部分422Cに対して回動可能である。第四部分440Dを溝422Eに嵌め込み、貫通孔442と第二ローラー420Bの第一部分422A及び第二部分422Bにピンを通すことにより、連結部材440と紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bとは相互に回動自在に連結され、連結された状態においては、図32に示すように、第二部分422Bは搬送ローラー410の第二ローラー410Bとともに連結部材440の内部に収容されている状態にある。
第四部分440Dは鉄製であり、第二ローラー420Bの第三部分422Cは磁石その他の磁力を発する素材で作られている。このため、第四部分440Dひいては連結部材440は紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bとともに回転する。このように、第四部分440Dは磁力式クラッチとしての機能を有している。
【0059】
図34及び図35は連結部材440の動作を示す斜視図である。
第一のダクト1201から紙幣通路430に紙幣50が送られてこないときには、紙幣折り目付与ローラー420の第一ローラー420A及び第二ローラー420Bを正転方向S1(挟み込んだ紙幣50を第一のダクト1201に送り返す方向)に回転させる。これにより、図34に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aからは離れた状態となる。
【0060】
第一のダクト1201から紙幣通路430に紙幣50が送られ、紙幣50が一対の紙幣折り目付与ローラー420の間に挟み込まれると、紙幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bを逆転方向S2(紙幣50を一対の紙幣折り目付与ローラー420に挟み込む方向)に回転させる。これにより、図35に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー410Aと接触した状態となる。紙幣50は搬送ローラー410の第一ローラー410Aと第二ローラー410Bとの間に挟み込まれ、搬送ローラー410及び紙幣折り目付与ローラー420が回転すると、紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー420を通過する。
図36乃至図44は本実施形態における紙幣折り目付与装置400の動作を示す断面図である。以下、図36乃至図44を参照して、紙幣折り目付与装置400の動作を説明する。
【0061】
第一のダクト1201の内部に紙幣50が投入されると、第一送風機12aが作動し、第一のダクト1201の内部において第二のダクト1202に向かう方向に空気流(風)Wを発生させる。図36に示すように、この空気流Wに押されたキャリア110は第一のダクト1201の内部で紙幣50を捕捉し、紙幣折り目付与装置400に向かって紙幣50を搬送する。
この状態においては、図36に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは第一ローラー410Aからは離れた状態(図34に示す状態)にある。一対の搬送ローラー410及び一対の紙幣折り目付与ローラー420は何れも作動しておらず、静止状態にある。
第一のダクト1201の第一領域120aを通過してきた紙幣50は紙幣通路430に進入し、図37に示すように、一対の搬送ローラー410の間を通過し、一対の紙幣折り目付与ローラー420に当たって、一対の紙幣折り目付与ローラー420の間に挟み込まれた状態となる。
【0062】
図37に示すように、紙幣50を搬送してきたキャリア110は第一のダクト1201からキャリア収納用ダクト130に進入し、キャリア収納用ダクト130の内部で停止する。
紙幣50が一対の紙幣折り目付与ローラー420に到達すると、紙幣検知センサー(図示せず)がこれを検知し、紙幣到達信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣到達信号を受信した中央制御装置は、図38に示すように、第一送風機12aの作動を停止させるとともに、紙幣折り目付与ローラー420を逆転方向S2(図35参照)に回転させる。これによって、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは幣折り目付与ローラー420の第二ローラー420Bの中心を中心として連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aと接触した状態(図35に示す状態)となる。この状態においては、紙幣50はその前方を一対の紙幣折り目付与ローラー420に、その後方を一対の搬送ローラー410の間に挟み込まれている。
【0063】
次いで、中央制御装置は駆動モーター470を作動させる。これにより、図39に示すように、紙幣50は搬送ローラー410及びベルト472により前方に搬送され、一対の紙幣折り目付与ローラー420を通過し始める。
紙幣50がさらに進むと、図40に示すように、紙幣50の後縁は搬送ローラー410を離れ、前縁は紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460を介して第二のダクト1202の内部に進み始める。
次いで、図41に示すように、紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー420を離れ、紙幣送り出しローラー450及び紙幣押さえ板460に送られて、紙幣50の大部分が第二のダクト1202の内部に進入する。
【0064】
次いで、図42に示すように、紙幣50の全体が第二のダクト1202の内部に進入する。この後、紙幣50は、第一のダクト1201の内部を搬送されてきたのと同様に、第二のダクト1202の内部においてキャリア110に捕捉され、紙幣収容室14に搬送される(図23参照)。
紙幣50が第二のダクト1202に進入したことを紙幣センサー(図示せず)が検知すると、紙幣センサーは検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は紙幣折り目付与ローラー420の第一ローラー420A及び第二ローラー420Bを正転方向S1(図33参照)に回転させる。これにより、図43に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは連結部材440とともに回転し、第一ローラー420Aからは離れた状態(図34に示す状態)となる。
この後、図44に示すように、搬送ローラー410の第二ローラー410Bは第一ローラー410Aから離れた状態に維持される。このように、紙幣折り目付与装置400は紙幣50を受け入れる前の状態(図36に示す状態)に戻る。
【0065】
複数個のキャリア110がキャリア収納用ダクト130に収納されると、これを検知したセンサー(図示せず)が検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機12b(図24(B)参照)を作動させる。これにより、キャリア収納用ダクト130内に収納されている複数個のキャリア110は第二送風機12bが発生させた空気流(風)の風圧を受けて第一のダクト1201の内部を第一送風機12aに向かって送り返される。
図45は一対の紙幣折り目付与ローラー420の間に紙幣50が挟み込まれている状態を示す正面図、図46は紙幣50が一対の紙幣折り目付与ローラー420を通過する前と後の状態を示す斜視図である。
【0066】
一対の紙幣折り目付与ローラー420は第一の実施形態における一対の紙幣折り目付与ローラー220と同様の機能を奏する。具体的には、図22(A)に示したように、紙幣50には長辺50bに平行な折り目53A-53Eが付き、この折り目53A-53Eによって、紙幣50の長辺50bに平行な方向に作用する外力(具体的には、キャリア110が紙幣の短辺50aに当たるときの衝撃力)に対する紙幣50の剛性度が大きくなる(いわゆるコシが強くなる)。このため、図22(B)に示したように、紙幣50の短辺50aにキャリア110が当たっても、紙幣50が縦方向の折れ目51Cで折れ曲がるということはなくなり(図56(B)参照)、紙幣50を確実に紙幣収容室14まで搬送することができる。
【0067】
本実施形態に係る紙幣搬送装置300は第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100と同様の効果を奏する。紙幣折り目付与装置400がダクト内における紙幣50の搬送を確実に行うことを可能にするため、ダクトの長さ(第一のダクト1201及び第二のダクト1202の全長)が第一の実施形態におけるダクト120の長さよりも大きい本実施形態においては、紙幣折り目付与装置400は特に有用である。
(第三の実施形態)
図47は本発明の第三の実施形態に係る紙幣搬送装置の部分的な平面図である。
本実施形態に係る紙幣搬送装置は、第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100に対して一対の準備用ローラー480A、480Bをさらに備えている。一対の準備用ローラー480A、480Bは一対の紙幣折り目付与ローラー220(第一ローラー220A及び第二ローラー220B)の紙幣搬送方向の上流側に配置されている。
【0068】
一対の準備用ローラー480A、480Bのうち一方の準備用ローラー480Aはその表面が常に湿っているように構成されている。
例えば、準備用ローラー480Aは保湿性を有する樹脂で作られており、水供給手段481を介して準備用ローラー480Aに水分を供給することにより、準備用ローラー480Aの表面を湿った状態に維持することができる。
紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー220よりも先に一対の準備用ローラー480A、480Bを通過する。準備用ローラー480Aの表面は湿っているので、一対の準備用ローラー480A、480Bを通過した紙幣50もある程度湿った状態になる。湿った紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー220に送られ、紙幣折り目付与ローラー220によって紙幣50の長辺50bに平行な折り目53A-53Eが紙幣50に付けられるが、紙幣50は湿っているため、折り目53A-53Eを付けることが容易になる。
【0069】
本実施形態においては、一方の準備用ローラー480Aのみがその表面が常に湿っているように構成されているが、双方の準備用ローラー480A、480Bをそのように構成することも可能である。
本実施形態に係る紙幣搬送装置において一対の準備用ローラー480A、480Bを設ける場合、一対の紙幣折り目付与ローラー220にさらなる改良を施すことも可能である。
図48は本実施形態の変形例に係る紙幣搬送装置の部分的な平面図である。
本変形例に係る紙幣搬送装置は加熱装置482をさらに備えている。加熱装置482は一対の紙幣折り目付与ローラー220の表面を加熱する機能を有している。
【0070】
一対の準備用ローラー480A、480Bによって表面が湿っている紙幣50は一対の紙幣折り目付与ローラー220に送られる。一対の紙幣折り目付与ローラー220はその表面の凹凸221によって紙幣50に折り目53A―53Eを付けるとともに、加熱装置482によって加熱されている表面が紙幣50を加熱し、紙幣50の湿分を蒸発させる。
このように、本変形例に係る紙幣搬送装置によれば、湿った紙幣50に折り目53A―53Eを付けるとともに、紙幣50の湿り気を取り除くことが可能である。
【0071】
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る紙幣搬送装置は、第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100と比較して、一対の紙幣折り目付与ローラー220に代えて、紙幣折り目付与ユニット500を備えている。
図49(A)は紙幣折り目付与ユニット500の平面図、図49(B)及び図49(C)は紙幣折り目付与ユニット500の側面図である。
紙幣折り目付与ユニット500は、図49(A)に示すように、紙幣50の搬送経路に沿って延びる第一壁部510と、第一壁部510に対向して配置されている第二壁部520と、を備えている。第一壁部510は第二壁部520に向かう方向R1及び第二壁部520から離れる方向R2に移動可能であるように構成されている。
【0072】
図49(B)に示すように、第一壁部510及び第二壁部520の各表面には紙幣50の搬送方向(紙幣50の長辺50bに平行な方向)に延びる凹凸511,521が形成されている。図49(C)に示すように、第一壁部510及び第二壁部520の一方に形成された凸は他方に形成された凹に篏合する。
紙幣50が送られてこないときには、第一壁部510及び第二壁部520は、図49(A)及び図49(B)に示すように、相互に離れた状態にある。紙幣取り込みローラー210から送られてきた紙幣50が第一壁部510と第二壁部520との間に到達すると、第一壁部510は第二壁部520に向かう方向R1に移動し、第二壁部520との間に紙幣50を挟み込む。
第一壁部510は所定時間(紙幣50に折り目53A―53Eが付くのに十分な時間)にわたって第二壁部520との間に紙幣50を挟み込み、紙幣50に折り目53A―53Eを付ける。
【0073】
この後、図49(C)に示すように、第一壁部510は第二壁部520から離れる方向R2に移動し、紙幣50は紙幣送り出しローラー250に向かって搬送される。
このように、本実施形態に係る紙幣搬送装置は、第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100と同様に、紙幣50に長辺50bに平行な折り目53A―53Eを付けることが可能である。
紙幣50の搬送方向における第一壁部510及び第二壁部520の長さは紙幣50の長辺50bより長く、あるいは、紙幣50の長辺50bに等しく設定される。
【0074】
あるいは、紙幣50の搬送方向における第一壁部510及び第二壁部520の長さは紙幣50の長辺50bより短く設定することも可能である。例えば、紙幣50の長辺50bの長さの半分に設定することもできる。この場合には、紙幣50の搬送方向における紙幣50の後半分が第一壁部510及び第二壁部520に挟まれるように紙幣50の停止位置を調整する。紙幣50の後半分にのみ折り目53A―53Eが付けられても、紙幣50の長辺50bに平行な外力(キャリア110が紙幣50に当たったときの衝撃力)に対する剛性度を確保することができる。
また、第三の実施形態において述べた一対の準備用ローラー480A、480Bを紙幣折り目付与ユニット500の上流側に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置
110 キャリア
120 ダクト
130 キャリア収納用ダクト
200 紙幣折り目付与装置
210 紙幣取り込みローラー
220 紙幣折り目付与ローラー
230 第一紙幣通路
240 第二紙幣通路
250 紙幣送り出しローラー
260 紙幣押さえ板
270 駆動モーター
300 本発明の第二の実施形態に係る紙幣搬送装置
400 紙幣折り目付与装置
420 紙幣折り目付与ローラー
480A、480B 準備用ローラー
500 折り目付与ユニット
【要約】
【課題】縦方向(紙幣の搬送方向と直交する方向)に折れ曲がった紙幣がダクト内で詰まることを防止する。
【解決手段】紙幣(50)を搬送している途中において、表面に凹凸(221)が形成されている二つの紙幣折り目付与ローラー(220A,220B)の間に紙幣(50)を挟み込み、二つのローラー(220A,220B)から紙幣(50)に押圧力を作用させることにより、紙幣(50)に紙幣(50)の搬送方向と平行に延びる折り目を付ける。この折り目により、紙幣(50)には紙幣(50)の搬送方向と平行な外力に対する剛性が付与され、ダクト内での紙幣詰まりを防止することができる。
【選択図】図10
図1
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