IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧 ▶ NECプラットフォームズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水蒸気観測方法 図1
  • 特許-水蒸気観測方法 図2
  • 特許-水蒸気観測方法 図3
  • 特許-水蒸気観測方法 図4
  • 特許-水蒸気観測方法 図5
  • 特許-水蒸気観測方法 図6
  • 特許-水蒸気観測方法 図7
  • 特許-水蒸気観測方法 図8
  • 特許-水蒸気観測方法 図9
  • 特許-水蒸気観測方法 図10
  • 特許-水蒸気観測方法 図11
  • 特許-水蒸気観測方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】水蒸気観測方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/08 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G01W1/08 P
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539085
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2022011695
【審査請求日】2022-06-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 道彦
(72)【発明者】
【氏名】神山 雅介
(72)【発明者】
【氏名】大石 敏之
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038388(JP,A)
【文献】特開2022-013152(JP,A)
【文献】特開2020-063955(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115686(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/230501(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0125844(US,A1)
【文献】赤塚 慎 他,衛星画像とGPSを用いた陸域可降水量分布の推定,生産技術,日本,2006年,第58巻,第3号,pp.163-166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量に、当該所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の前記水蒸気情報が対応付けられており、
所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における鉛直方向の所定範囲内の全ての水蒸気値を前記新たな水蒸気値として取得し、
所定の地点における前記新たな水蒸気値に基づいて、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項4】
請求項3に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報に基づいて、所定の地点における前記新たな水蒸気値を分割して、鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報による所定の高さ位置毎の水蒸気値の割合に対応させて、所定の地点における前記新たな水蒸気値から所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量及び当該特徴量が抽出された前記撮影画像の撮影時刻に基づく時間情報に、前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記新たな撮影画像を撮影した撮影時刻に基づく情報と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
【請求項7】
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶する記憶部と、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得する取得部と、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出する抽出部と、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する算出部と、
を備えた水蒸気観測装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水蒸気観測装置であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量に、当該所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記算出部は、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の水蒸気観測装置であって、
前記取得部は、所定の地点における鉛直方向の所定範囲内の全ての水蒸気値を前記新たな水蒸気値として取得し、
前記算出部は、所定の地点における前記新たな水蒸気値に基づいて、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
【請求項10】
情報処理装置に、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気観測方法、水蒸気観測装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
気象観測の方法として、大気中の水蒸気量を推定することが行われている。例えば、特許文献1に記載のように、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から発信されるGNSS信号を地上にて受信する際に、大気中の水蒸気によるGNSS信号の遅延時間を計測することで、受信地点における大気中の水蒸気量を推定する技術が知られている。これにより、各地点における降雨予測、特に、突発的な積乱雲の発生による集中豪雨の予測を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-198645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した水蒸気量の観測方法では、受信装置が設置されている地点の上空全体における総水蒸気量を観測しているだけであり、高さ位置毎の水蒸気量を観測することができない。このため、さらに精度よく水蒸気量を観測することが困難である、という問題が生じる。
【0005】
一方で、所定地点における高さ位置毎の水蒸気量を観測する方法として、ラジオゾンデを用いる方法や、ライダーセンサーを用いる方法が考えられる。ラジオゾンデを用いる方法は、気象センサと無線通信機を備えた気象観測器をゴム気球につるして飛揚させる方法である。また、ライダーセンサーを用いる方法は、パルス状のレーザ光を大気中に照射し、反射光を検出して測定する方法である。
【0006】
ところが、上述したラジオゾンデやライダーセンサーを用いる方法では、計測地点が限られてしまい、計測していない地点では水蒸気量を精度よく計測することができない、という問題が生じる。また、ラジオゾンデやライダーセンサーで計測する地点を増やすことも考えられるが、コストや時間を考慮すると現実的ではない。その結果、あらゆる地点でより精度よく水蒸気量を観測することが困難である、という問題が生じる。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、あらゆる地点でより精度よく水蒸気量を観測することが困難である、ことを解決することができる水蒸気観測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である水蒸気観測方法は、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態である水蒸気観測装置は、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶する記憶部と、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得する取得部と、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出する抽出部と、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する算出部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0010】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
処理を実行させる、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成されることにより、あらゆる地点でより精度よく水蒸気量を観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1における水蒸気観測システムの全体構成を図である。
図2図1に開示した水蒸気観測装置の構成を示すブロック図である。
図3図1に開示した水蒸気観測装置に記憶される水蒸気対応情報の一例を示す図である。
図4図1に開示した水蒸気観測装置による衛星画像の処理の様子を示す図である。
図5図1に開示した水蒸気観測装置による水蒸気値算出処理の様子を示す図である。
図6図1に開示した水蒸気観測装置による水蒸気値算出処理の様子を示す図である。
図7図1に開示した水蒸気観測装置の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態2における水蒸気観測装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施形態2における水蒸気観測装置の第一の例の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態2における水蒸気観測装置の第一の例の動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態2における水蒸気観測装置の第二の例の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態2における水蒸気観測装置の第二の例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図3は、水蒸気観測システムの構成を説明するための図であり、図4乃至図7は、水蒸気観測装置の処理動作を説明するための図である。
【0014】
[構成]
本発明における水蒸気観測システムは、気象予測のために気象観測を行うためのシステムであり、特に、降雨や集中豪雨の予測を行うために、各地点における水蒸気の量を表す水蒸気値を観測するためのものである。
【0015】
図1に示すように、水蒸気観測システムは、水蒸気観測装置10と、当該水蒸気観測装置10にネットワークを介して接続された、気象情報提供装置20及び衛星画像提供装置30と、を備えている。以下、各装置の構成について詳述する。
【0016】
気象情報提供装置20は、地上に設置されたGNSS(Global Navigation Satellite System)信号受信装置21に接続されている。GNSS信号受信装置21は、地球の上空に存在するGNSS衛星22から発信された電波信号であるGNSS信号を受信し、当該GNSS信号を気象情報提供装置20に提供する。なお、GNSS信号受信装置21は、地上の複数の地点に設置されており、例えば、他のGNSS信号受信装置との距離が30kmほど離れている場合もある。但し、GNSS信号受信装置21は、必ずしも地上に固定されて設置されていることに限定されず、車両に搭載されるなど移動体で構成されていてもよい。
【0017】
そして、気象情報提供装置20は、演算装置及び記憶装置を備えた情報処理装置であり、取得したGNSS信号を解析することで、GNSS信号受信装置21の設置位置に対応する計測地点の上空の水蒸気量を表す可降水量Dを計測する機能を有する。具体的に、気象情報提供装置20は、GNSS受信装置21が設置されている計測地点において、その鉛直方向に位置しているGNSS衛星22から受信したGNSS信号の大気中の水蒸気による遅延時間を計測することで、その計測地点の所定領域の鉛直方向上空に含まれる総水蒸気量である可降水量Dを計測する。例えば、本実施形態では、可降水量Dは、計測地点の地上から上空12kmまでの総水蒸気量を表していることとする。そして、気象情報提供装置20は、各計測地点の位置を表す位置情報と、その計測地点の可降水量Dと、計測時刻と、を関連付けて、水蒸気観測装置10に提供する機能を有する。
【0018】
なお、上述した気象情報提供装置20による水蒸気値を計測する機能は、当該気象情報提供装置20の演算装置が当該機能を実現するためのプログラムを実行することにより、実現することができる。但し、気象情報提供装置20による水蒸気値の計測は、いかなる装置で行われてもよく、また、他の方法で行われてもよい。
【0019】
衛星画像提供装置30は、地上に設置された衛星画像受信装置31に接続されている。衛星画像受信装置31は、地球の上空に存在する気象衛星32に搭載された撮影装置にて撮影され発信された気象に関する衛星画像P(撮影画像)を受信し、当該衛星画像Pを衛星画像提供装置30に提供する。そして、衛星画像提供装置30は、取得した衛星画像Pを水蒸気観測装置10に提供する機能を有する。なお、衛星画像Pは、上述した水蒸気量が計測された各計測地点を含む領域を撮影した画像であり、例えば、日本国内の各計測地点の水蒸気量を計測する場合には、日本の本土及び日本の周囲に位置するの海や島、大陸などが映る領域の画像となるが、世界各国の各計測地点の水蒸気量を計測する場合には、世界各国の領域を撮影した画像となる。また、衛星画像Pは複数の種類があり、衛星画像Pをその種類を表す情報と併せて、水蒸気観測装置10に提供する。衛星画像Pの種類としては、例えば、可視画像、赤外画像、水蒸気画像、雲頂強調画像、カラー合成画像、トゥルーカラー再現画像、などがある。
【0020】
ここで、図4に、上述した衛星画像Pの一例を示す。図4内の濃淡を施したグレー箇所に示すように、各種類の画像で観測できる気象状況、例えば、雲の有無、雲の厚さ、雲の高さ、雲の温度、水蒸気量など、が強調されて表示されることとなる。なお、図4はグレースケールで示しているため、気象状況をグレー箇所で図しているが、実際には、衛星画像Pの種類毎に設定された色で表示されることとなる。なお、衛星画像Pは、必ずしも上述した種類に限定されない。
【0021】
また、衛星画像提供装置30は、気象衛星32から衛星画像Pを取得する際に、気象衛星32の上空における位置を特定する衛星位置情報も取得する。さらに、衛星画像提供装置30は、複数の気象衛星32から衛星画像Pを取得する際には、かかる気象衛星32を特定する衛星識別情報も取得する。そして、衛星画像提供装置30は、衛星画像Pを、その画像の種類と、その衛星画像を撮影した気象衛星32の衛星位置情報及び衛星識別情報と、その衛星画像を撮影した時刻情報と、を併せて、水蒸気観測装置10に提供する。なお、上述した衛星画像提供装置30による衛星画像Pを取得して提供する機能は、当該衛星画像提供装置30の演算装置が当該機能を実現するためのプログラムを実行することにより、実現することができる。但し、衛星画像提供装置30による衛星画像の取得と提供は、いかなる装置で行われてもよく、また、他の方法で行われてもよい。
【0022】
水蒸気観測装置10は、演算装置と記憶装置とを備えた1台又は複数台の情報処理装置にて構成される。そして、水蒸気観測装置10は、図2に示すように、取得部11、抽出部12、算出部13、を備える。取得部11、抽出部12、算出部13の各機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。また、水蒸気観測装置10は、水蒸気値記憶部16、衛星画像記憶部17、水蒸気対応情報記憶部18、を備える。水蒸気値記憶部16、衛星画像記憶部17、水蒸気対応情報記憶部18は、記憶装置により構成される。以下、各構成について詳述する。
【0023】
水蒸気対応情報記憶部18は、予め生成された水蒸気対応情報を記憶する。水蒸気対応情報は、予め上空から撮影された撮影画像における所定地点の画像特徴量に、予め計測された所定地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた情報である。具体的に、水蒸気対応情報について、図3を参照して説明する。
【0024】
まず、事前に、特定の計測地点における高さ位置毎の水蒸気量が観測されていることとする。例えば、ラジオゾンデやライダーセンサーを用いて、特定の計測地点の地上から上空12kmの高さ位置まで1kmの高さ位置毎に、水蒸気値が計測されていることとする。併せて、かかる水蒸気値の計測時における、特定の計測地点の衛星画像が撮影されていることとする。そして、衛星画像内の特定の計測地点における画像特徴量を抽出し、かかる画像特徴量と、特定の計測地点における高さ位置毎の水蒸気値と、を関連付けることで、水蒸気対応情報が生成される。これにより、画像特徴量毎に対応して、高さ位置毎の水蒸気値が設定されていることとなる。
【0025】
ここで、図3の例では、画像特徴量として、輝度値及びRGB値が設定されており、一例として、計測地点に対応する画像領域の輝度値分布やRGB値分布などが設定されている。但し、画像特徴量は、いかなる特徴量が設定されていてもよい。そして、各画像特徴量に対して、地上から上空12kmの高さ位置まで1kmの高さ位置毎の水蒸気値が対応付けられている。このとき、水蒸気値は、図3に示すように、所定の色の濃淡度合いによって表されているが、数値で表されていてもよい。一例として、ある画像特徴量に対応付けられる水蒸気値として、「1km:1.1g、2km:1.4g、・・・」などと設定されていてもよい。また、水蒸気値は、水蒸気量そのものが設定されていることに限定されず、例えば、画像特徴量に対応する上空全体における可降水量に対する高さ位置毎の割合が設定されていてもよい。一例として、ある画像特徴量に対応付けられる水蒸気値として、「1km:10%、2km:20%、・・・」などと設定されていてもよい。
【0026】
なお、水蒸気対応情報は、撮影画像の種類ごとに生成されていてもよい。つまり、撮影画像である衛星画像Pの種類によっては、画像特徴量の特性が異なるため、衛星画像Pの種類ごとに、それぞれ図3に示すような水蒸気対応情報を生成して、水蒸気対応情報記憶部18に記憶されていてもよい。また、水蒸気対応情報には、撮影画像である衛星画像Pが撮影された時刻に基づく時間情報が関連付けられていてもよい。つまり、衛星画像Pの画像特徴量や水蒸気値は、時間帯や月日、季節などによっても変化しうるため、時間情報毎に、それぞれ図3に示すような水蒸気対応情報を生成して、水蒸気対応情報記憶部18に記憶しておいてもよい。
【0027】
取得部11は、上述した気象情報提供装置20から提供される各計測地点の可降水量Dを取得して、水蒸気値記憶部16に記憶する。このとき、取得部11は、各計測地点を特定する位置情報と、その計測地点の可降水量Dと、日時といった時間情報と、を関連付けて記憶する。また、取得部11は、上述した衛星画像提供装置30から提供される衛星画像Pを取得して、衛星画像記憶部17に記憶する。このとき、取得部11は、衛星画像Pと、その画像の種類と、その衛星画像を撮影した気象衛星32の衛星位置情報及び衛星識別情報と、撮影した日時といった時間情報と、を関連付けて記憶する。
【0028】
抽出部12は、衛星画像記憶部17から衛星画像Pを読み出し、まず、かかる衛星画像P上において、可降水量Dを計測した各計測地点の位置を特定する処理を行う。例えば、抽出部12は、衛星画像Pに関連付けられている衛星位置情報と、上述したGNSS受信装置21の位置を表すGNSS受信位置情報と、に基づいて、衛星画像Pを撮影した気象衛星32とGNSS受信装置21との角度を算出する。なお、GNSS受信装置21のGNSS受信位置情報は、予め水蒸気観測装置10に記憶されていることとする。そして、抽出部12は、衛星位置情報、GNSS位置情報、さらには、算出した気象衛星32とGNSS受信装置21との角度に基づいて、衛星画像P上における各計測地点の位置を特定する。例えば、抽出部12は、図4の●印に示すように、衛星画像Pから各計測地点を特定する。
【0029】
そして、抽出部12は、図4に示すように、衛星画像Pから、当該衛星画像P上における各計測地点における画像特徴量Qを抽出する。具体的に、抽出部12は、衛星画像Pの種類に応じて、画像の特性から抽出可能な雲や水蒸気の状況を表す画像特徴量を抽出する。特に、抽出部12は、上述した水蒸気対応情報に設定されている画像特徴量に合わせて、同一種類の画像特徴量を抽出する。このため、本実施形態では、撮影画像P内の計測地点が位置する画像領域における輝度値とRGB値とを、かかる計測地点の画像特徴量として抽出する。なお、抽出部12は、抽出した画像特徴量に、元となる衛星画像Pが撮影された時刻に基づく時間情報や、衛星画像Pの種類を関連付けておく。
【0030】
算出部13は、水蒸気対応情報を用いて、各計測地点の可降水量Dと、その計測地点の画像特徴量と、に基づいて、各計測地点における高さ位置毎の水蒸気値を算出する。具体的に、算出部13は、まず、図3に示すような水蒸気対応情報内から、撮影画像Pから抽出した計測地点の画像特徴量Qに対応する画像特徴量を特定し、かかる画像特徴量に対応付けられている水蒸気対応情報内の水蒸気情報を取得する。そして、算出部13は、取得した水蒸気情報に含まれる高さ位置毎の水蒸気値に基づいて、計測地点の可降水量Dから高さ位置毎の水蒸気値を算出する。例えば、算出部13は、取得した水蒸気情報に含まれる高さ位置毎の水蒸気値の割合に対応するよう、計測地点の可降水量Dを高さ位置毎に分割して、高さ位置毎の水蒸気値を算出する。
【0031】
ここで、算出部13による水蒸気値の算出の様子を、さらに図5を参照して説明する。まず、各計測地点においては、図5に示すように、可降水量Dと画像特徴量Qが取得されている。そして、画像特徴量Qから、図3に示すような水蒸気対応情報を用いて、かかる画像特徴量に対応する高さ位置毎の水蒸気値がわかる。このため、計測地点における上空の総水蒸気量である可降水量Dを、画像特徴量Qに対応する高さ位置毎の水蒸気値の割合に応じて分割するなどすることで、図5の●印で示した高さ位置毎の水蒸気値を算出することができる。
【0032】
このとき、算出部13は、可降水量Dや画像特徴量に時間情報が関連付けられており、かかる時間情報に対応する時間情報が関連付けられた水蒸気対応情報が記憶されている場合には、かかる水蒸気対応情報を用いて上述同様に高さ位置毎の水蒸気値を算出する。これにより、衛星画像Pが撮影された時間帯や月日、季節などに応じた水蒸気対応情報を利用して、より精度よく水蒸気値を算出することができる。また、算出部13は、画像特徴量に衛星画像Pの種類が関連付けられており、かかる衛星画像Pの種類に対応する種類が関連付けられた水蒸気対応情報が記憶されている場合には、かかる水蒸気対応情報を用いて上述同様に高さ位置毎の水蒸気値を算出する。
【0033】
また、算出部13は、上述したようにGNSS受信装置21が設置されていない計測地点ではない他の地点についても、以下のようにして高さ位置毎の水蒸気値を算出する。ここでは、図6に●印に示すように、上述した方法で2つの計測地点A,Bの高さ位置毎の水蒸気値が算出されており、その間の地点Cを、水蒸気値を算出する対象地点とすることとする。このとき、2つの計測地点A,Bの間の距離Dab(第一距離)と、2つの計測地点A,Bの少なくとも一方から対象地点Cまでの距離Dac又はDbc(第二距離)と、がわかっている必要がある。一例として、計測地点A,B間の距離Dabが1000m、地点A,C間の距離Dacが600m、地点B,C間の距離Dbcが400mであることとする。
【0034】
そして、算出部13は、地点Cにおける地上から高さ12kmの高さ位置の水蒸気値C12を算出するにあたって、計測地点A,Bにおける地上から高さ12kmといった同一の高さ位置の水蒸気値A12,B12を用いる。このとき、例えば、計測地点A,Bにおける地上から高さ12kmの高さ位置の水蒸気値A12,B12が、それぞれ10gと15gであったとする。この場合、水蒸気値A12,B12の差が5gとなり、この5gを、計測地点Aから、計測地点Bまでの距離Dabと地点Cまでの距離Dacとの割合に応じて、地点Cに割り当てる。すると、5gを600/1000で地点Cに割り当てることとなり、その割当量3gを計測地点Aの水蒸気値A12である10gに加算することで、地点Cの地上から高さ12kmの高さ位置の水蒸気値C12を13gとして算出することができる。
【0035】
以上のようにして、算出部13は、図6の○印で示した地点Cの高さ位置毎の水蒸気値を算出することができる。なお、このとき使用する既知の2つの地点A,Bの水蒸気値は、上述したように算出したものであってもよく、例えば、ラジオゾンデやライダーセンサーを用いて計測され、取得部11によって取得されたものであってもよい。
【0036】
なお、算出部13は、上述したように算出した各地点の高さ位置毎の水蒸気値を、水蒸気値記憶部16に記憶する。そして、算出部13は、気象予測に用いられる際など必要に応じて、水蒸気値記憶部16に記憶されている水蒸気値を、計測地点を表す位置情報と共に出力する。
【0037】
[動作]
次に、上述した水蒸気観測装置10の動作を、主に図7のフローチャートを参照して説明する。まず、水蒸気観測装置10は、事前に生成された水蒸気対応情報を記憶しておく(ステップS1)。水蒸気対応情報は、図3に示すように、予め上空から撮影された撮影画像Pにおける所定地点の画像特徴量に、予め計測された所定地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた情報である。
【0038】
その後、水蒸気観測装置10は、気象情報提供装置20から各計測地点の可降水量Dを取得する。また、水蒸気観測装置10は、衛星画像提供装置30から衛星画像Pを取得する(ステップS2)。
【0039】
続いて、水蒸気観測装置10は、各衛星画像P上において、可降水量Dを計測した各計測地点の位置を特定する処理を行う(ステップS3)。そして、水蒸気観測装置10は、図4に示すように、衛星画像Pから、当該衛星画像P上における各計測地点における画像特徴量Qを抽出する(ステップS4)。
【0040】
続いて、水蒸気観測装置10は、記憶している水蒸気対応情報を用いて、各計測地点の可降水量Dと、その計測地点の画像特徴量Qと、に基づいて、各計測地点における高さ位置毎の水蒸気値を算出する(ステップS5)。具体的に、水蒸気観測装置10は、図3に示すような水蒸気対応情報内から、計測地点の画像特徴量Qに対応する画像特徴量を特定し、かかる画像特徴量に対応付けられている水蒸気対応情報内の水蒸気情報を取得する。そして、水蒸気観測装置10は、取得した水蒸気情報に含まれる高さ位置毎の水蒸気値に基づいて、計測地点の可降水量Dから高さ位置毎の水蒸気値を算出する。例えば、水蒸気観測装置10は、取得した水蒸気情報に含まれる高さ位置毎の水蒸気値の割合に応じて、計測地点の可降水量Dを高さ位置毎に分割して、高さ位置毎の水蒸気値を算出する。このようにして、水蒸気観測装置10は、図5の●印に示すように、各計測地点において、高さ位置毎の水蒸気値を算出する。
【0041】
また、水蒸気観測装置10は、GNSS受信装置21が設置されていない計測地点ではない他の地点についても、高さ位置毎の水蒸気値を算出する(ステップS6)。このとき、水蒸気観測装置10は、図6に示すように、既知である2つの計測地点A,Bの高さ位置毎の水蒸気値と、計測地点A,B及びその間の対象地点Cの距離関係を用いて、対象地点Cの高さ位置毎の水蒸気値を算出する。
【0042】
以上のように、本発明によると、ラジオゾンデやライダーセンサーなどコストや時間がかかり、計測地点が限られてしまうような方法を利用することなく、事前に作成した水蒸気対応情報を用いることで、GNSS信号と衛星画像とに基づいて、所定地点における高さ位置毎の水蒸気値を計測することができる。その結果、あらゆる地点でより精度よく水蒸気量を観測することができる。そして、観測した水蒸気量を用いて気象予測を行うことで、降雨や集中豪雨を精度よく予測することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、図8乃至図12を参照して説明する。図8乃至図9は、実施形態2における水蒸気観測装置の第一の例の構成を示すブロック図であり、図10は、水蒸気観測方法の第一の例の動作を示すフローチャートである。図11は、実施形態2における水蒸気観測装置の第二の例の構成を示すブロック図であり、図12は、水蒸気観測方法の第二の例の動作を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、上述した実施形態で説明した水蒸気観測装置及び水蒸気観測方法の構成の概略を示している。
【0044】
まず、図8を参照して、本実施形態における水蒸気観測装置100のハードウェア構成を説明する。水蒸気観測装置100は、一般的な情報処理装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を装備している。
・CPU(Central Processing Unit)101(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)102(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)103(記憶装置)
・RAM103にロードされるプログラム群104
・プログラム群104を格納する記憶装置105
・情報処理装置外部の記憶媒体110の読み書きを行うドライブ装置106
・情報処理装置外部の通信ネットワーク111と接続する通信インタフェース107
・データの入出力を行う入出力インタフェース108
・各構成要素を接続するバス109
【0045】
そして、水蒸気観測装置100の第一の例では、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、図9に示す記憶部121と取得部122と抽出部123と算出部124とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した記憶部121と取得部122と抽出部123と算出部124とは、かかる手段を実現させるための専用の電子回路で構築されるものであってもよい。
【0046】
なお、図8は、水蒸気観測装置100である情報処理装置のハードウェア構成の一例を示しており、情報処理装置のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、情報処理装置は、ドライブ装置106を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0047】
そして、水蒸気観測装置100の第一の例は、上述したようにプログラムによって構築された、記憶部121と取得部122と抽出部123と算出部124との機能により、図7のフローチャートに示す水蒸気観測方法を実行する。
【0048】
図7に示すように、水蒸気観測装置100は、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し(ステップS101)、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し(ステップS102)、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し(ステップS103)、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する(ステップS104)、
という処理を実行する。
【0049】
また、水蒸気観測装置100は、第二の例として、プログラム群104をCPU101が取得して当該CPU101が実行することで、図11に示す取得部131と算出部132とを構築して装備することができる。なお、プログラム群104は、例えば、予め記憶装置105やROM102に格納されており、必要に応じてCPU101がRAM103にロードして実行する。また、プログラム群104は、通信ネットワーク111を介してCPU101に供給されてもよいし、予め記憶媒体110に格納されており、ドライブ装置106が該プログラムを読み出してCPU101に供給してもよい。但し、上述した取得部131と算出部132とは、かかる手段を実現させるための専用の電子回路で構築されるものであってもよい。
【0050】
そして、水蒸気観測装置100の第二の例は、上述したようにプログラムによって構築された取得部131と算出部132との機能により、図12のフローチャートに示す水蒸気観測方法を実行する。
【0051】
図12に示すように、水蒸気観測装置100は、
2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を計測水蒸気値として取得し(ステップS111)、
前記計測水蒸気値と、前記2つの地点の間の距離である第一距離と、前記2つの地点の少なくとも一方から当該2つの地点の間に位置する対象地点までの距離である第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する(ステップS112)、
という処理を実行する。
【0052】
本発明は、以上のように構成されることにより、事前に用意した水蒸気対応情報を用いることで、GNSS信号と衛星画像とに基づいて、所定地点における高さ位置毎の水蒸気値を計測することができる。また、GNSS信号を取得していない地点であっても、高さ位置毎の水蒸気値を計測することができる。その結果、あらゆる地点でより精度よく水蒸気量を観測することができる。
【0053】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0054】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、上述した水蒸気観測装置100が備える機能のうちの少なくとも一以上の機能は、ネットワーク上のいかなる場所に設置され接続された情報処理装置で実行されてもよく、つまり、いわゆるクラウドコンピューティングで実行されてもよい。
【0055】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における水蒸気観測方法、水蒸気観測装置、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記2)
付記1に記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量に、当該所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の前記水蒸気情報が対応付けられており、
所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記3)
付記1又は2に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における鉛直方向の所定範囲内の全ての水蒸気値を前記新たな水蒸気値として取得し、
所定の地点における前記新たな水蒸気値に基づいて、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記4)
付記3に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報に基づいて、所定の地点における前記新たな水蒸気値を分割して、鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記5)
付記3又は4に記載の水蒸気観測方法であって、
所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報による所定の高さ位置毎の水蒸気値の割合に対応させて、所定の地点における前記新たな水蒸気値から所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量及び当該特徴量が抽出された前記撮影画像の撮影時刻に基づく時間情報に、前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記新たな撮影画像を撮影した撮影時刻に基づく情報と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記7)
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶する記憶部と、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得する取得部と、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出する抽出部と、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する算出部と、
を備えた水蒸気観測装置。
(付記8)
付記7に記載の水蒸気観測装置であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量に、当該所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記算出部は、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記9)
付記7又は8に記載の水蒸気観測装置であって、
前記取得部は、所定の地点における鉛直方向の所定範囲内の全ての水蒸気値を前記新たな水蒸気値として取得し、
前記算出部は、所定の地点における前記新たな水蒸気値に基づいて、所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記10)
付記9に記載の水蒸気観測装置であって、
前記算出部は、所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報に基づいて、所定の地点における前記新たな水蒸気値を分割して、鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記11)
付記9又は10に記載の水蒸気観測装置であって、
前記算出部は、所定の地点における前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報による所定の高さ位置毎の水蒸気値の割合に対応させて、所定の地点における前記新たな水蒸気値から所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記12)
付記7乃至11のいずれかに記載の水蒸気観測装置であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量及び当該特徴量が抽出された前記撮影画像の撮影時刻に基づく時間情報に、前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記算出部は、前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記新たな撮影画像を撮影した撮影時刻に基づく情報と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記13)
情報処理装置に、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、所定の地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、所定の地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
処理を実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータにて読み取り可能な記憶媒体。
(付記A1)
2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を計測水蒸気値として取得し、
前記計測水蒸気値と、前記2つの地点の間の距離である第一距離と、前記2つの地点の少なくとも一方から当該2つの地点の間に位置する対象地点までの距離である第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A2)
付記A1に記載の水蒸気観測方法であって、
前記第一距離と前記第二距離との割合に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A3)
付記A1又はA2に記載の水蒸気観測方法であって、
前記2つの地点それぞれにおける同一の高さ位置の水蒸気値と、前記第一距離と、前記第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A4)
付記A3に記載の水蒸気観測方法であって、
前記2つの地点それぞれにおける同一の高さ位置の水蒸気値の差と、前記第一距離と、前記第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A5)
付記A1乃至A4のいずれかに記載の水蒸気観測方法であって、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶し、
衛星からの受信信号に基づいて計測された、前記2つの地点における新たな水蒸気値を取得し、
新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、前記2つの地点の新たな特徴量を抽出し、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、前記2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出し、前記計測水蒸気値として取得する、
水蒸気観測方法。
(付記A6)
付記A5に記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量に、当該所定の地点における鉛直方向の所定の高さ位置毎の前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記2つの地点それぞれにおける鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A7)
付記A5又はA6に記載の水蒸気観測方法であって、
前記2つの地点それぞれにおける鉛直方向の所定範囲内の全ての水蒸気値を前記新たな水蒸気値として取得し、
前記2つの地点それぞれにおける前記新たな水蒸気値に基づいて、当該2つの地点それぞれにおける鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A8)
付記A7に記載の水蒸気観測方法であって、
前記2つの地点それぞれにおける前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報に基づいて、前記2つの地点それぞれにおける前記新たな水蒸気値を分割して、鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A9)
付記A7又はA8に記載の水蒸気観測方法であって、
前記2つの地点それぞれにおける前記新たな特徴量に対応する前記水蒸気対応情報内の前記水蒸気情報による所定の高さ位置毎の水蒸気値の割合に対応させて、前記2つの地点それぞれにおける前記新たな水蒸気値から当該2つの地点それぞれにおける鉛直方向の所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A10)
付記A5乃至A9のいずれかに記載の水蒸気観測方法であって、
前記水蒸気対応情報は、所定の地点の前記特徴量及び当該特徴量が抽出された前記撮影画像の撮影時刻に基づく時間情報に、前記水蒸気情報が対応付けられており、
前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記新たな撮影画像を撮影した撮影時刻に基づく情報と前記水蒸気対応情報とに基づいて、前記2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測方法。
(付記A11)
2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を計測水蒸気値として取得する取得部と、
前記計測水蒸気値と、前記2つの地点の間の距離である第一距離と、前記2つの地点の少なくとも一方から当該2つの地点の間に位置する対象地点までの距離である第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する算出部と、
を備えた水蒸気観測装置。
(付記A12)
付記A11に記載の水蒸気観測装置であって、
前記算出部は、前記第一距離と前記第二距離との割合に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記A13)
付記A11又はA12に記載の水蒸気観測装置であって、
前記算出部は、前記2つの地点それぞれにおける同一の高さ位置の水蒸気値と、前記第一距離と、前記第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記A14)
付記A13に記載の水蒸気観測装置であって、
前記算出部は、前記2つの地点それぞれにおける同一の高さ位置の水蒸気値の差と、前記第一距離と、前記第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
水蒸気観測装置。
(付記A15)
付記A11乃至A14のいずれかに記載の水蒸気観測装置であって、
予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記取得部は、衛星からの受信信号に基づいて計測された、前記2つの地点における新たな水蒸気値を取得し、新たに上空から撮影された新たな撮影画像から、前記2つの地点の新たな特徴量を抽出し、前記新たな水蒸気値と前記新たな特徴量と前記水蒸気対応情報とに基づいて、前記2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出して、前記計測水蒸気値として取得する、
水蒸気観測装置。
(付記A16)
情報処理装置に、
2つの地点それぞれにおける所定の高さ位置毎の水蒸気値を計測水蒸気値として取得し、
前記計測水蒸気値と、前記2つの地点の間の距離である第一距離と、前記2つの地点の少なくとも一方から当該2つの地点の間に位置する対象地点までの距離である第二距離と、に基づいて、前記対象地点の所定の高さ位置の水蒸気値を算出する、
処理を実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータにて読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0056】
10 水蒸気観測装置
11 取得部
12 抽出部
13 算出部
16 水蒸気値記憶部
17 衛星画像記憶部
18 水蒸気対応情報記憶部
20 気象情報提供装置
21 GNSS信号受信装置
22 GNSS衛星
30 衛星画像提供装置
31 衛星画像受信装置
32 気象衛星
100 水蒸気観測装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 プログラム群
105 記憶装置
106 ドライブ装置
107 通信インタフェース
108 入出力インタフェース
109 バス
110 記憶媒体
111 通信ネットワーク
121 記憶部
122 取得部
123 抽出部
124 算出部
131 取得部
132 算出部
【要約】
本発明の水蒸気観測装置100は、予め上空から撮影された撮影画像の所定の地点の特徴量に、予め計測された所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値に基づく情報である水蒸気情報が対応付けられた水蒸気対応情報を記憶する記憶部121と、衛星からの受信信号に基づいて計測された所定の地点における新たな水蒸気値を取得する取得部122と、新たに上空から撮影された新たな撮影画像から所定の地点の新たな特徴量を抽出する抽出部123と、新たな水蒸気値と新たな特徴量と水蒸気対応情報とに基づいて所定の地点における所定の高さ位置毎の水蒸気値を算出する算出部124と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12