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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】発泡シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/26 20180101AFI20220823BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20220823BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220823BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220823BHJP
   C08J 9/30 20060101ALI20220823BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/24
C09J7/38
C09J201/00
C08J9/30 CER
C08J9/04 CER
B32B5/18 101
B32B27/00 M
B32B27/30 A
B32B27/32 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018057890
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019167485
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】徳山 英幸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/029834(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025568(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/098123(WO,A1)
【文献】特開2013-032492(JP,A)
【文献】特開2010-155969(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204074(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/099755(WO,A1)
【文献】特開2016-183274(JP,A)
【文献】特開2012-238129(JP,A)
【文献】特開2017-203691(JP,A)
【文献】実開平07-040755(JP,U)
【文献】特開平05-186744(JP,A)
【文献】特開平10-001649(JP,A)
【文献】特開2017-190432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00-43/00
C08J 9/00-9/42
G01L 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡層と該発泡層の少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層を有する発泡シートであって、
該発泡層の密度が0.21g/cm ~0.5g/cm であり、
該発泡層が、アクリル系ポリマーおよびオレフィン系ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む樹脂組成物から形成され、
該発泡層の厚さ(μm)/該粘着剤層の総厚さ(μm)が1.5~10であり、
該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後の該発泡シートの誘電率をP(F/m)、該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に10%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をQ(F/m)としたときに、10%圧縮時誘電率向上量Q-Pが0.2(F/m)以上である、
静電容量センサーに用いられる、発泡シート。
【請求項2】
前記発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に50%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をR(F/m)としたときに、50%圧縮時誘電率向上量R-Pが0.3(F/m)以上である、請求項1に記載の発泡シート。
【請求項3】
前記発泡層の厚さが30μm~1000μmである、請求項1または2に記載の発泡シート。
【請求項4】
前記発泡層の平均セル径が10μm~200μmである、請求項1から3までのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項5】
前記発泡層の空孔率が20%~80%である、請求項1から4までのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項6】
前記発泡層の独泡率が0%~80%である、請求項1から5までのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項7】
前記粘着剤層の厚さが5μm~300μmである、請求項1からまでのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項8】
前記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項1からまでのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項9】
前記発泡シートの厚さが35μm~1300μmである、請求項1からまでのいずれかに記載の発泡シート。
【請求項10】
50%圧縮時反発力が0.1N/cm~20.0N/cmである、請求項1からまでのいずれかに記載の発泡シート。
ただし、50%圧縮時反発力は、JIS K 6767:1999に記載されている圧縮硬さの測定方法に準じ、幅30mm×長さ30mmに切り出したシート状試験片を、圧縮速度10mm/minで厚み方向に圧縮率が50%になるまで圧縮したときの応力(N)を試験片面積(9cm)で除して、単位面積(1cm)当たりに換算し、反発力(N/cm)として測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末などに装着された表示部材、カメラ、レンズ等の部材を、所定の部位(例えば、筐体等)に固定する際に、衝撃が加わった際にそれを吸収する特性(衝撃吸収性)などを付与する目的で、発泡材が使用されている。このような発泡材としては、低発泡で且つ独立気泡構造を有する微細セルウレタン系発泡体や高発泡ウレタンを圧縮成形したものの他、独立気泡を有する発泡倍率30倍程度のポリエチレン系発泡体等が使用されている。具体的には、例えば、密度0.3g/cm~0.5g/cmのポリウレタン系発泡体からなるガスケット(特許文献1)や、平均気泡径が1μm~500μmの発泡構造体からなる電気・電子機器用シール材(特許文献2)等が使用されている。
【0003】
近年、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯情報端末などの電子機器には、新たな機能を付与するため、静電容量センサーが組み込まれるようになっている。静電容量センサーは、通常、2枚の電極間の距離を変化させることによって、導通状態と非導通状態とを実現させる。2枚の電極間には、樹脂やゴムなどの弾性体、金属板、金属ばねなどの誘電体が一般的に配置されている。しかし、従来のこれらの誘電体は、柔軟性が十分でないため、高い感度を得ることが難しいという問題がある。
【0004】
本発明者らは、2枚の電極間に配置させる誘電体として、より柔軟性の高い材料がないかどうかの検討を行った結果、柔軟性の高い発泡体の適用に着目した。ところが、従来の発泡体は、それ自体の静電容量が低いため、厚みの変化による誘電率の変化が少なく、静電容量センサーとしての感度を向上させることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-100216号公報
【文献】特開2002-309198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、圧縮時の静電容量を底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度を向上できる発泡シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発泡シートは、
発泡層と該発泡層の少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層を有する発泡シートであって、
該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後の該発泡シートの誘電率をP(F/m)、該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に10%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をQ(F/m)としたときに、10%圧縮時誘電率向上量Q-Pが0.2(F/m)以上である。
【0008】
一つの実施形態においては、上記発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に50%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をR(F/m)としたときに、50%圧縮時誘電率向上量R-Pが0.3(F/m)以上である。
【0009】
一つの実施形態においては、上記発泡層の厚さが30μm~1000μmである。
【0010】
一つの実施形態においては、上記発泡層の平均セル径が10μm~200μmである。
【0011】
一つの実施形態においては、上記発泡層の空孔率が20%~80%である。
【0012】
一つの実施形態においては、上記発泡層の独泡率が0%~80%である。
【0013】
一つの実施形態においては、上記発泡層が、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、エステル系ポリマー、ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む樹脂組成物から形成される。
【0014】
一つの実施形態においては、上記粘着剤層の厚さが5μm~300μmである。
【0015】
一つの実施形態においては、上記粘着剤層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種である。
【0016】
一つの実施形態においては、上記発泡シートの厚さが35μm~1300μmである。
【0017】
一つの実施形態においては、本発明の発泡シートは、50%圧縮時反発力が0.1N/cm~20.0N/cmである。
ただし、50%圧縮時反発力は、JIS K 6767:1999に記載されている圧縮硬さの測定方法に準じ、幅30mm×長さ30mmに切り出したシート状試験片を、圧縮速度10mm/minで厚み方向に圧縮率が50%になるまで圧縮したときの応力(N)を試験片面積(9cm)で除して、単位面積(1cm)当たりに換算し、反発力(N/cm)として測定する。
【0018】
一つの実施形態においては、本発明の発泡シートは、静電容量センサーに用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧縮時の静電容量を底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度を向上できる発泡シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の発泡シートの一つの実施形態を示す概略断面図である。
図2】本発明の発泡シートの別の一つの実施形態を示す概略断面図である。
図3】振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)の概略構成図である。
図4】振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)の保持部材の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
≪≪発泡シート≫≫
本発明の発泡シートは、発泡層と該発泡層の少なくとも一方の側に設けられた粘着剤層を有する。本発明の発泡シートは、具体的には、発泡層と該発泡層の一方の側に設けられた粘着剤層を有する実施形態であってもよいし、発泡層と該発泡層の両方の側に設けられた粘着剤層を有する実施形態であってもよい。図1は、本発明の発泡シートの一つの実施形態を示す概略断面図であり、発泡シート1000は、発泡層100と該発泡層の一方の側に設けられた粘着剤層200を有する。図2は、本発明の発泡シートの別の一つの実施形態を示す概略断面図であり、発泡シート1000は、発泡層100と該発泡層の一方の側に設けられた粘着剤層200aともう一方の側に設けられた粘着剤層200bを有する。
【0022】
本発明の発泡シートは、該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後の該発泡シートの誘電率をP(F/m)、該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に10%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をQ(F/m)としたときに、10%圧縮時誘電率向上量Q-Pが0.2(F/m)以上であり、好ましくは0.22(F/m)以上であり、より好ましくは0.25(F/m)以上であり、さらに好ましくは0.27(F/m)以上であり、特に好ましくは0.3(F/m)以上である。10%圧縮時誘電率向上量Q-Pの上限は、大きいほどよいが、静電容量センサーに用いる等の実使用を考慮すると、現実的には、好ましくは3.0(F/m)以下である。本発明の発泡シートにおける上記10%圧縮時誘電率向上量Q-Pが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量を底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度を向上できる。
【0023】
本発明の発泡シートは、該発泡シートを温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後に50%圧縮した時の該発泡シートの誘電率をR(F/m)としたときに、50%圧縮時誘電率向上量R-Pが、好ましくは0.3(F/m)以上であり、より好ましくは0.4(F/m)以上であり、さらに好ましくは0.6(F/m)以上であり、さらに好ましくは0.8(F/m)以上であり、さらに好ましくは1.0(F/m)以上であり、さらに好ましくは1.2(F/m)以上であり、特に好ましくは1.4(F/m)以上であり、最も好ましくは1.5(F/m)以上である。50%圧縮時誘電率向上量R-Pの上限は、大きいほどよいが、静電容量センサーに用いる等の実使用を考慮すると、現実的には、好ましくは4.0(F/m)以下である。本発明の発泡シートにおける上記50%圧縮時誘電率向上量R-Pが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。
【0024】
本発明の発泡シートの厚さは、好ましくは35μm~1300μmであり、より好ましくは40μm~1000μmであり、さらに好ましくは45μm~900μmであり、特に好ましくは50μm~800μmである。本発明の発泡シートの厚さが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発現し得る。また、本発明の発泡シートの厚さが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。
【0025】
本発明の発泡シートは、50%圧縮時反発力が、好ましくは0.1N/cm~20.0N/cmであり、より好ましくは0.2N/cm~18.0N/cmであり、さらに好ましくは0.5N/cm~16.0N/cmであり、特に好ましくは0.8N/cm~14.0N/cmである。本発明の発泡シートの50%圧縮時反発力が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発現し得る。
【0026】
50%圧縮時反発力は、JIS K 6767:1999に記載されている圧縮硬さの測定方法に準じ、幅30mm×長さ30mmに切り出したシート状試験片を、圧縮速度10mm/minで厚み方向に圧縮率が50%になるまで圧縮したときの応力(N)を試験片面積(9cm)で除して、単位面積(1cm)当たりに換算し、反発力(N/cm)として測定する。
【0027】
≪発泡層≫
発泡層は、気泡構造(セル構造)を有する。このような気泡構造(セル構造)としては、独立気泡構造、連続気泡構造、半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造が混在している気泡構造)などが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡層の気泡構造は、連続気泡構造、半連続半独立気泡構造が好ましい。
【0028】
発泡層の厚さは、好ましくは30μm~1000μmであり、より好ましくは35μm~900μmであり、さらに好ましくは40μm~800μmであり、特に好ましくは45μm~700μmである。発泡層の厚さが上記範囲内にあることによって、気泡を均一に含有することができ、優れた衝撃吸収性を発現し得、さらに、微小クリアランスに対しても容易に追従できる。また、発泡層の厚さが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。
【0029】
発泡層の平均セル径は、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは15μm~180μmであり、さらに好ましくは20μm~150μmであり、特に好ましくは25μm~100μmである。発泡層の平均セル径が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてから短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0030】
発泡層の平均セル径(μm)と厚み(μm)の比(平均セル径/厚み)は、本発明の効果をより発現し得る観点から、好ましくは0.1~0.8であり、より好ましくは0.15~0.7であり、さらに好ましくは0.2~0.65であり、特に好ましくは0.25~0.6である。
【0031】
発泡層の最大セル径は、好ましくは40μm~400μmであり、より好ましくは60μm~300μmであり、さらに好ましくは70μm~250μmであり、特に好ましくは80μm~220μmである。発泡層の最大セル径が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてからより短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0032】
発泡層の最小セル径は、好ましくは5μm~70μmであり、より好ましくは7μm~60μmであり、さらに好ましくは9μm~55μmであり、特に好ましくは10μm~50μmである。発泡層の最小セル径が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてからより短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0033】
発泡層の空孔率は、好ましくは20%~80%であり、より好ましくは25%~77%であり、さらに好ましくは30%~75%であり、特に好ましくは35%~70%である。発泡層の空孔率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、強度を維持し得、優れた衝撃吸収性を発現し得る。
【0034】
発泡層の密度は、好ましくは0.2g/cm~0.7g/cmであり、より好ましくは0.21g/cm~0.5g/cmであり、さらに好ましくは0.22g/cm~0.4g/cmであり、特に好ましくは0.23g/cm~0.35g/cmである。発泡層の密度が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、強度を維持し得、優れた衝撃吸収性を発現し得る。なお、本明細書において、発泡層の密度とは「見掛け密度」を意味する。
【0035】
発泡層の独泡率は、好ましくは0%~80%であり、より好ましくは0%~70%であり、さらに好ましくは0%~60%であり、特に好ましくは0%~50%である。発泡層の独泡率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、強度を維持し得、優れた衝撃吸収性を発現し得る。
【0036】
本発明の発泡シートを温度60℃、湿度95%の条件下で24時間静置した直後の発泡層の水分含有率は、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは45重量%以下である。上記の発泡層の水分含有率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、強度を維持し得、優れた衝撃吸収性を発現し得る。
【0037】
発泡層の厚み回復率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。発泡層の厚み回復率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてから短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。また、防塵性やシール性にも優れ得る。また、発泡層の厚み回復率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。なお、発泡層の厚み回復率は、下記式で定義される。また、発泡層の厚み回復率を、単に、発泡層の「0.5秒後の厚み回復率」と称する場合がある。この発泡層の厚み回復率は、ある程度の面積をもって発泡シートに荷重をかけて圧縮して測定される回復率であり、局所的に荷重をかけて一部分のみを凹ませて測定するいわゆる凹み回復率とは異なる。
厚み回復率(%)={(圧縮状態を解除してから0.5秒後の厚み)/(初期厚み)}×100
初期厚み:荷重を加える前の発泡層の厚み。
圧縮状態を解除してから0.5秒後の厚み:発泡層に100g/cmの荷重を加えた状態で120秒間維持し、圧縮を解除し、解除してから0.5秒後の発泡層の厚み。
【0038】
発泡層の、動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは、好ましくは-60℃~30℃であり、より好ましくは-50℃~20℃であり、さらに好ましくは-40℃~10℃であり、特に好ましくは-30℃~0℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲内に入ることが好ましい。上記ピークトップが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてから短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0039】
-60℃~30℃の範囲内における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)は、衝撃吸収性等の観点から高い方が好ましく、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上である。-60℃~30℃の範囲内における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)の上限は、代表的には、2.0以下である。
【0040】
発泡層において、上記損失正接(tanδ)のピークトップ強度と上記密度の数値の比(ピークトップ強度/密度の数値)は、好ましくは1~5であり、より好ましくは1.5~4.5であり、さらに好ましくは2~4であり、特に好ましくは2.5~3.5である。上記の比が上記範囲内であることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてからより短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0041】
発泡層の初期弾性率(23℃環境下、引張速度300mm/minでの引張試験における10%歪み時の傾きから算出した値)は、好ましくは5N/mm以下であり、より好ましくは3N/mm以下であり、さらに好ましくは2N/mm以下であり、特に好ましくは1N/mm以下である。上記初期弾性率の下限は、代表的には、0.1N/mm以上ある。発泡層の初期弾性率が上記範囲内であることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発現し得る。
【0042】
発泡層は、好ましくは、優れた衝撃吸収性を有する。発泡層は、より好ましくは、非常に弱い衝撃に対しても高い衝撃吸収性を有し、衝撃の大きさによらず優れた衝撃吸収性を発揮する。振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験において、支持板と発泡層とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力(F1)は衝撃吸収性の指標とし得る。また、振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験において、下記式で定義される衝撃吸収率(%)を求め、該衝撃吸収率(%)を発泡層の厚み(μm)で除し、単位厚み当たりの衝撃吸収率Rとして評価することもできる。
衝撃吸収率(%)={(F0-F1)/F0}×100
F0:支持板のみに衝撃子を衝突させた時の衝撃力。
F1:支持板と発泡層とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力(衝撃吸収性)。
【0043】
振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)の概略構成について、図3および図4により説明する。図3および図4に示すように、衝撃試験装置1(振り子試験機1)は、試験片2(発泡層2)を任意の保持力で保持する保持手段としての保持部材3と、試験片2に衝撃応力を負荷する衝撃負荷部材4と、衝撃負荷部材4による試験片2に対する衝撃力を検出する衝撃力検出手段としての圧力センサー5等により構成されている。また、試験片2を任意の保持力で保持する保持部材3は、固定治具11と、固定治具11に対向して試験片2を挟み込んで保持できるようスライド可能な押さえ治具12とで構成されている。さらに、押さえ治具12には押さえ圧力調整手段16が設けられている。さらに、保持部材3によって保持された試験片2に衝撃力を負荷する衝撃負荷部材4は、一端22が支柱20に対して回動可能に軸支され、他端側に衝撃子24を有する支持棒23(シャフト23)と、衝撃子24を所定角度に持ち上げて保持するアーム21とで構成されている。ここで衝撃子24として鋼球を使用しているので、アームの一端に電磁石25を設けることによって衝撃子24を一体に所定角度持ち上げることが可能となっている。さらにまた、衝撃負荷部材4による試験片2に作用する衝撃力を検出する圧力センサー5は、固定治具11の試験片が接する面の反対面側に設けられている。
【0044】
衝撃子24は、鋼球(鉄球)である。また、衝撃子24がアーム21により持ち上げられる角度(図1中の振り上げ角度a)は、40°である。鋼球(鉄球)の重さは、66gである。
【0045】
図4に示すように、試験片2(発泡層2)は、固定治具11と押さえ治具12間に樹脂性板材(アクリル板、ポリカーボネート板等)や金属製板材等の高弾性な板材で構成される支持板28を介して挟持される。
【0046】
衝撃吸収率は、上記の衝撃試験装置を使用して、固定治具11と支持板28とを密着固定させてから衝撃子24を支持板28に衝突させることにより測定される衝撃力F0、および、固定治具11と支持板28と間に試験片2を挿入し密着固定させてから衝撃子24を支持板28に衝突させることにより測定される衝撃力F1を求め、上記式により算出される。なお、衝撃試験装置は、特開2006-47277号公報の実施例1と同様の装置である。
【0047】
上記振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験において、支持板と発泡層とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力(F1:衝撃吸収性)は、好ましくは1000N以下であり、より好ましくは900N以下であり、さらに好ましくは800N以下であり、特に好ましくは750N以下である。上記衝撃力が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発現し得る。上記衝撃力の下限は、代表的には、好ましくは0N以上であり、より好ましくは100N以上であり、さらに好ましくは300N以上であり、特に好ましくは500N以上である。なお、上記衝撃力は、大きな衝撃を受けていない初期の発泡層の衝撃力である。
【0048】
本発明の発泡シートにおいて、温度23℃、湿度50%の条件下で2時間静置した直後の発泡層の衝撃吸収性(F1)をP(単位:N)とし、温度60℃、湿度95%の条件下で24時間静置した直後の発泡層の衝撃吸収性(F1)をQ(単位:N)としたときに、衝撃吸収性変化量が、好ましくは10%以下であり、より好ましくは9%以下であり、さらに好ましくは8%以下であり、特に好ましくは7%以下であり、最も好ましくは6%以下である。ここで、衝撃吸収性変化量は、[(Y-X)×100]/Xで算出される。本発明の発泡シートにおける上記衝撃吸収性変化量が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、高湿度条件下に曝されても衝撃吸収性の変化が小さくなり得る。
【0049】
振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験における、支持板と発泡層とからなる構造体の支持板上に、1秒間隔で、5回連続で衝撃子を衝突させたときの、衝撃回数をx軸、衝撃力(N)をy軸として5点プロットし、該5点から最小二乗法によって得られた線形近似直線の傾きは、好ましくは10以下であり、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは1以下であり、特に好ましくは0.5以下である。上記傾きが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、繰り返し衝撃に対する耐性により優れ得る。上記傾きの下限は、代表的には、好ましくは-5以上である。
【0050】
振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験における、支持板と発泡層とからなる構造体の支持板上に、1秒間隔で、5回連続で衝撃子を衝突させたときの、初回の衝突時の衝撃力に対する5回目の衝突時の衝撃力の上昇率(%)[{(5回目の衝突時の衝撃力-初回の衝突時の衝撃力)/初回の衝突時の衝撃力}×100]は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下であり、特に好ましくは2%以下である。上記上昇率が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、繰り返し衝撃に対する耐性により優れ得る。上記上昇率の下限は、代表的には、好ましくは-10%以上である。
【0051】
発泡層は、高温時での厚み回復率が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。発泡層の高温時での厚み回復率が、上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、高温環境下(例えば、40~120℃の温度環境下)であっても、衝撃が加わった後の厚みの回復速度が速くなり得、高温環境下での繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。なお、発泡層の高温時での厚み回復率は、下記式で定義される。また、発泡層の高温時での厚み回復率を、単に「高温時での厚み回復率」と称する場合がある。
【0052】
高温時での厚み回復率:発泡層を、80℃雰囲気下、初期厚みに対して50%の厚みになるように厚み方向に圧縮して22時間経過後、23℃雰囲気下で2時間放置し、その後圧縮状態を解除し、圧縮状解除後から24時間後における厚みの初期厚みに対する割合。
【0053】
発泡層は、樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物により形成することができる。なお、未発泡状態の樹脂組成物(発泡させない場合の樹脂組成物(固形物))の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップは、好ましくは-60℃~30℃であり、より好ましくは-50℃~20℃であり、さらに好ましくは-40℃~10℃であり、特に好ましくは-30℃~0℃である。損失正接のピークトップを2個以上持つ場合は、そのうちの少なくとも1つが上記範囲内に入ることが好ましい。上記ピークトップが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得、また、優れた衝撃吸収性を発現し得、圧縮回復性にも優れ得、さらに、衝撃を受けてから短時間で元の厚み近くまで戻ることができるため、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ得る。
【0054】
未発泡状態の樹脂組成物(発泡させない場合の樹脂組成物(固形物))の-60℃~30℃の範囲内における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(この値は、上記発泡層における-60℃~30℃の範囲内における損失正接(tanδ)のピークトップ強度を発泡層の密度(g/cm)で除した値に相当する)は、衝撃吸収性等の観点から高い方が好ましく、好ましくは0.9(g/cm-1以上である。未発泡状態の樹脂組成物(発泡させない場合の樹脂組成物(固形物))の-60℃~30℃の範囲内における損失正接(tanδ)のピークトップ強度(最大値)の上限は、代表的には、3.0(g/cm-1以下である。
【0055】
未発泡状態の樹脂組成物(発泡させない場合の樹脂組成物(固形物))の初期弾性率(23℃、引張速度300mm/min)は、好ましくは50N/mm以下であり、より好ましくは30N/mm以下である。上記初期弾性率の下限は、代表的には、好ましくは0.3N/mm以上である。
【0056】
発泡層のメチルエチルケトンに対する溶剤不溶分(ゲル分率)は、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは90重量%以上である。発泡層のメチルエチルケトンに対する溶剤不溶分(ゲル分率)の上限は、代表的には、好ましくは100重量%以下である。
【0057】
発泡層のメチルエチルケトンに対する溶剤不溶分(ゲル分率)は、以下のようにして求められる。発泡層から約0.2gのサンプルを得て、このサンプルを精秤し、精秤により得られた重さを「保存前重量(g)」とする。次に、このサンプルを、50gのメチルエチルケトン(MEK)に投入し、室温条件で、5日間保存する。その後、サンプルをメチルエチルケトンから取り出し、取り出したサンプルを130℃で1時間乾燥させる。乾燥後、室温条件で30分間放置してから、サンプルを精秤する。この精秤により得られた重さを「保存後重量(g)」とする。そして、下記式より、メチルエチルケトンに対する溶剤不溶分を算出する。
発泡層のメチルエチルケトンに対する溶剤不溶分(重量%)={(保存後重量)/(保存前重量)}×100
【0058】
発泡層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂材料(ポリマー)としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な樹脂材料(ポリマー)を採用し得る。このような樹脂材料としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、エステル系ポリマー、ゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。このような樹脂材料(ポリマー)の中でも、本発明の発泡シートが、本発明の効果をより発現し得、また、強度を維持し得るとともに、優れた衝撃吸収性を発現し得うる点で、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、エステル系ポリマー、ゴムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。すなわち、発泡層は、好ましくは、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、エステル系ポリマー、ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む樹脂組成物から形成される。
【0059】
なお、発泡層の動的粘弾性測定における角振動数1rad/sでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークトップを-60℃~30℃の範囲内にするためには、上記樹脂材料(ポリマー)のTgを指標あるいは目安とすることができる。例えば、上記樹脂材料(ポリマー)として、Tgが-60℃~30℃(下限は、好ましくは-50℃、より好ましくは-40℃、さらに好ましくは-30℃、上限は、好ましくは20℃、より好ましくは10℃、さらに好ましくは0℃)の範囲内にある樹脂材料(ポリマー)の中から選択することができる。
【0060】
発泡層は、樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物を発泡成形に付すことにより製造できる。発泡方法(気泡の形成方法)としては、物理的方法、化学的方法等、発泡成形に通常用いられる方法が採用できる。すなわち、発泡層は、物理的方法により発泡して形成された発泡体(物理発泡体)をシート状にしたものであってもよいし、化学的方法により発泡して形成された発泡体(化学発泡体)をシート状にしたものであってもよい。物理的方法は、一般的に、空気や窒素等のガス成分をポリマー溶液に分散させて、機械的混合により気泡を形成させるもの(機械発泡体)である。化学的方法は、一般的に、ポリマーベースに添加された発泡剤の熱分解により生じたガスによりセルを形成し、発泡体を得る方法である。
【0061】
発泡成形に付す樹脂組成物としては、例えば、樹脂材料(ポリマー)などを溶剤に溶解させた樹脂溶液を用いてもよいし、気泡性の観点から、樹脂材料(ポリマー)などを含むエマルションを用いてもよい。発泡成形に付す樹脂組成物は、例えば、構成成分を、任意の適切な溶融混練装置、例えば、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、1軸押出機、2軸押出機、連続式混練機、加圧ニーダーなどを用いて混合することにより調製できる。エマルションとしては、2種以上のエマルションをブレンドして用いてもよい。また、樹脂組成物は、架橋剤を含まない樹脂組成物として保存しておき、発泡成形に付す直前に架橋剤を混合してもよい。
【0062】
<発泡層を形成させる実施形態1>
発泡層を形成させる一つの実施形態1としては、エマルション樹脂組成物(樹脂材料(ポリマー)などを含むエマルション)を機械的に発泡させて起泡化させる工程(工程A)を経て発泡層を形成する方法が挙げられる。この場合、発泡層は、エマルション樹脂組成物の機械発泡体をシート状にしたものであることが好ましい。起泡装置としては、例えば、高速せん断方式の装置、振動方式の装置、加圧ガスの吐出方式の装置などが挙げられる。これらの起泡装置の中でも、気泡径の微細化、大容量作製の観点から、高速せん断方式の装置が好ましい。発泡層を形成させるこの一つの実施形態1は、どのような樹脂組成物からの形成にも適用可能である。発泡層を形成させるこの一つの実施形態1は、特に、アクリル系ポリマーを含む樹脂組成物からの形成に好ましく適用可能である。
【0063】
エマルションの固形分濃度は、成膜性の観点から高い方が好ましい。エマルションの固形分濃度は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。
【0064】
機械的撹拌により起泡した際の気泡は、気体(ガス)がエマルション中に取り込まれたものである。ガスとしては、エマルションに対して不活性であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なガスを採用し得る。このようなガスとしては、例えば、空気、窒素、二酸化炭素などが挙げられる。
【0065】
上記方法により起泡化したエマルション樹脂組成物(気泡含有エマルション樹脂組成物)を基材上に塗工して乾燥する工程(工程B)を経ることによって、発泡層を得ることができる。基材としては、例えば、剥離処理したプラスチックフィルム(剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム等)、プラスチックフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)等が挙げられる。
【0066】
工程Bにおいて、塗工方法、乾燥方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法を採用できる。工程Bは、基材上に塗布した気泡含有エマルション樹脂組成物を50℃以上125℃未満で乾燥する予備乾燥工程B1と、その後さらに125℃以上200℃以下で乾燥する本乾燥工程B2を含んでいることが好ましい。
【0067】
予備乾燥工程B1と本乾燥工程B2を設けることにより、急激な温度上昇による気泡の合一化、気泡の破裂を防止できる。特に、厚みの小さい発泡シートでは温度の急激な上昇により気泡が合一化、破裂するので、予備乾燥工程B1を設ける意義は大きい。予備乾燥工程B1における温度は、好ましくは50℃以上100℃以下である。予備乾燥工程B1の時間は、好ましくは0.5分~30分であり、より好ましくは1分~15分である。本乾燥工程B2における温度は、好ましくは130℃以上180℃以下であり、より好ましくは130℃以上160℃以下である。本乾燥工程B2の時間は、好ましくは0.5分~30分であり、より好ましくは1分~15分である。
【0068】
<発泡層を形成させる実施形態2>
発泡層を形成させる一つの実施形態2としては、樹脂組成物を発泡剤により発泡させて形成した発泡体をシート状にする方法が挙げられる。発泡剤としては、発泡成形に通常用いられるものを使用でき、環境保護及び被発泡体に対する低汚染性の観点から、高圧の不活性ガスを用いることが好ましい。発泡層を形成させるこの一つの実施形態2は、特に、オレフィン系ポリマーを含む樹脂組成物やエステル系ポリマーを含む樹脂組成物からの形成に好ましく適用可能である。
【0069】
不活性ガスとしては、樹脂組成物に対して不活性で且つ含浸可能なものであれば、任意の適切な不活性ガスを採用し得る。このような不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気などが挙げられる。これらのガスは混合して用いてもよい。これらのうち、樹脂材料(ポリマー)への含浸量が多く、含浸速度の速いという観点から、二酸化炭素が好ましい。
【0070】
不活性ガスは超臨界状態であることが好ましい。すなわち、超臨界状態の二酸化炭素を用いることが特に好ましい。超臨界状態では、樹脂組成物への不活性ガスの溶解度がより増大し、不活性ガスの高濃度の混入が可能であるとともに、急激な圧力降下時に不活性ガスが高濃度となるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が、気孔率が同じであっても他の状態の場合より大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0071】
樹脂組成物に高圧の不活性ガスを含浸させることにより発泡体を形成する方法としては、例えば、樹脂材料(ポリマー)を含む樹脂組成物に不活性ガスを高圧下で含浸させるガス含浸工程、該工程後に圧力を低下させて樹脂材料(ポリマー)を発泡させる減圧工程、および、必要に応じて加熱により気泡を成長させる加熱工程を経て形成する方法などが挙げられる。この場合、予め成形した未発泡成形体を不活性ガスに含浸させてもよく、また、溶融した樹脂組成物に不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後に減圧の際に成形に付してもよい。これらの工程は、バッチ方式、連続方式のいずれの方式で行ってもよい。すなわち、予め樹脂組成物を、シート状などの適宜な形状に成形して未発泡樹脂成形体とした後、この未発泡樹脂成形体に、高圧のガスを含浸させ、圧力を解放することにより発泡させるバッチ方式であってもよく、樹脂組成物を加圧下、高圧のガスと共に混練し、成形すると同時に圧力を解放し、成形と発泡を同時に行う連続方式であってもよい。
【0072】
バッチ方式で発泡体を製造する例を以下に示す。例えば、樹脂組成物を単軸押出機、2軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、発泡体成形用樹脂シートを作製する。あるいは、樹脂組成物を、ローラ、カム、ニーダー、バンバリ型等の羽根を設けた混練機を使用して均一に混練しておき、熱板のプレスなどを用いて所定の厚みにプレス加工することにより、未発泡樹脂成形体を作製する。こうして得られた未発泡樹脂成形体を高圧容器中に入れて、高圧不活性ガス(超臨界状態の二酸化炭素など)を注入し、未発泡樹脂成形体中に不活性ガスを含浸させる。十分に不活性ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、樹脂中に気泡核を発生させる。気泡核はそのまま室温で成長させてもよいが、場合によっては加熱することによって成長させてもよい。加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知や慣用の方法を採用できる。このようにして気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化することにより発泡体を得ることができる。なお、発泡に供する未発泡樹脂成形体はシート状物に限らず、用途に応じて種々の形状のものを使用できる。また、発泡に供する未発泡樹脂成形体は押出成形、プレス成形のほか、射出成形等の他の成形法により作製することもできる。
【0073】
連続方式で発泡体を製造する例を以下に示す。例えば、樹脂組成物を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら、高圧のガス(特に不活性ガス、さらには二酸化炭素)を注入(導入)し、十分に高圧のガスを樹脂組成物に含浸させる混練含浸工程、押出機の先端に設けられたダイスなどを通して樹脂組成物を押し出すことにより圧力を解放し(通常、大気圧まで)、成形と発泡を同時に行う成形減圧工程により発泡成形する。また、連続方式での発泡成形の際には、必要に応じて、加熱することによって気泡を成長させる加熱工程を設けてもよい。このようにして気泡を成長させた後、必要により冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化してもよい。また、高圧のガスの導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。さらに、混練含浸工程および成形減圧工程では、例えば、押出機や射出成形機を用い得る。なお、気泡核を成長させる際の加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの任意の適切な方法が挙げられる。発泡体の形状としては、任意の適切な形状を採用し得る。このような形状としては、例えば、シート状、角柱状、円筒状、異型状などが挙げられる。
【0074】
樹脂組成物を発泡成形する際のガスの混合量は、高発泡な発泡体を得られ得る点で、例えば、樹脂組成物全量に対して、好ましくは2重量%~10重量%であり、より好ましくは2.5重量%~8重量%であり、さらに好ましくは3重量%~6重量%である。
【0075】
不活性ガスを樹脂組成物に含浸させるときの圧力は、操作性等を考慮して適宜選択できる。このような圧力は、例えば、好ましくは6MPa以上(例えば、6MPa~100MPa)であり、より好ましくは8MPa以上(例えば、8MPa~50MPa)である。なお、超臨界状態の二酸化炭素を用いる場合の圧力は、二酸化炭素の超臨界状態を保持する観点から、好ましくは7.4MPa以上である。圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎて、好ましい平均セル径(平均気泡径)を得ることができない場合がある。これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0076】
ガス含浸工程における温度は、用いる不活性ガスや樹脂組成物中の成分の種類等によって異なり、広い範囲で選択できる。操作性等を考慮した場合、好ましくは10℃~350℃である。未発泡成形体に不活性ガスを含浸させる場合の含浸温度は、バッチ式では、好ましくは10℃~200℃であり、より好ましくは40℃~200℃である。また、ガスを含浸させた溶融ポリマーを押し出して発泡と成形とを同時に行う場合の含浸温度は、連続式では、好ましくは60℃~350℃である。なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度は、好ましくは32℃以上であり、より好ましくは40℃以上である。
【0077】
減圧工程において、減圧速度としては、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5MPa/秒~300MPa/秒である。
【0078】
加熱工程における加熱温度は、好ましくは40℃~250℃であり、より好ましくは60℃~250℃である。
【0079】
<アクリル系ポリマーを含む樹脂組成物(アクリル系樹脂組成物)>
アクリル系ポリマーとしては、ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度Tgが-10℃以上のモノマー(a)とホモポリマーを形成した際のガラス転移温度Tgが-10℃未満のモノマー(b)を必須に含むモノマー成分から形成されたアクリル系ポリマーが好ましい。このようなアクリル系ポリマーを採用すれば、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得る。
【0080】
ここで、「ホモポリマーを形成した際のガラス転移温度Tg」(単に、「ホモポリマーのTg」と称する場合がある)とは、そのホモポリマーを形成するモノマーの単独重合体のガラス転移温度Tgを意味し、具体的には、例えば、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley&Sons,Inc、1987年)に数値が挙げられている。なお、上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、例えば、以下の測定方法により得られる値(特開2007-51271号公報参照)をいう。すなわち、温度計、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100重量部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。次いで、このホモポリマー溶液をセパレーター上に流延塗布し、乾燥して厚み約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。そして、この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ARES、レオメトリックス社製)を用いて周波数1Hzの剪断歪を与えながら、温度領域-70~150℃、5℃/分の昇温速度で剪断モードにより粘弾性を測定し、tanδのピークトップ温度をホモポリマーのTgとする。なお、上記樹脂材料(ポリマー)のTgもこの方法により測定できる。
【0081】
ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマー(a)において、そのTgは、好ましくは-10℃~250℃であり、より好ましくは10℃~230℃であり、さらに好ましくは50℃~200℃である。
【0082】
ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマー(a)としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のホモポリマーのTgが-10℃以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル;N-ビニル-2-ピロリドン等の複素環含有ビニルモノマー;2-ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;等が挙げられる。ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマー(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマー(a)としては、これらの中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマー(a)として(メタ)アクリロニトリル(好ましくはアクリロニトリル)を採用すると、強いと推測される分子間相互作用により、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得る。
【0083】
ホモポリマーのTgが-10℃未満のモノマー(b)において、そのTgは、好ましくは-70℃以上-10℃未満であり、より好ましくは-70℃~-12℃であり、さらに好ましくは-65℃~-15℃である。
【0084】
ホモポリマーのTgが-10℃未満のモノマー(b)としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のホモポリマーのTgが-10℃未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;等が挙げられる。ホモポリマーのTgが-10℃未満のモノマー(b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。これらの中でも、アクリル酸C2-8アルキルエステルが好ましい。ここで、「Cx-yアルキルエステル」とは、炭素数がx-yのアルキル基のエステルを意味する。
【0085】
アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分(全モノマー成分)に対する、ホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマーの含有量は、好ましくは2重量%~30重量%であり、より好ましくは3重量%~25重量%であり、さらに好ましくは4重量%~20重量%であり、特に好ましくは5重量%~15重量%である。アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分(全モノマー成分)に対するホモポリマーのTgが-10℃以上のモノマーの含有量が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得る。
【0086】
アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分(全モノマー成分)に対する、ホモポリマーのTgが-10℃未満のモノマーの含有量は、好ましくは70重量%~98重量%であり、より好ましくは75重量%~97重量%であり、さらに好ましくは80重量%~96重量%であり、特に好ましくは85重量%~95重量%である。アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分(全モノマー成分)に対するホモポリマーのTgが-10℃未満のモノマーの含有量が上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、本発明の効果をより発現し得る。
【0087】
アクリル系樹脂組成物中のアクリル系ポリマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。アクリル系樹脂組成物中のアクリル系ポリマーの含有割合としては、固形分換算で、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは90重量%~100重量%である。
【0088】
アクリル系樹脂組成物は、アクリル系ポリマーの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含有していてもよい。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなその他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、防錆剤、シリコーン系化合物などが挙げられる。これらのその他の成分の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、架橋剤、シリコーン系化合物である。
【0089】
アクリル系樹脂組成物は、例えば、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性のために、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な界面活性剤を含んでいてもよい。
【0090】
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤としては、気泡径の微細化、起泡した泡の安定性の観点から、好ましくは、アニオン系界面活性剤であり、具体的には、例えば、ステアリン酸アンモニウム等の脂肪酸アンモニウム系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、異種の界面活性剤を併用してもよく、例えば、アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用してもよい。
【0091】
アクリル系樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量(固形分(不揮発分))は、アクリル系ポリマーの固形分(不揮発分)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて10重量部以下であり、より好ましくは0.5重量部~8重量部である。
【0092】
アクリル系樹脂組成物は、発泡シートの強度、耐熱性、耐湿性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を含んでいてもよい。
【0093】
架橋剤としては、油溶性であってもよいし、水溶性であってもよい。
【0094】
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、シリコーン系架橋剤(例えば、シランカップリング剤等)、金属酸化物系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。架橋剤としては、少なくともオキサゾリン系架橋剤を含むことが好ましい。
【0095】
アクリル系樹脂組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤の含有量(固形分(不揮発分))は、アクリル系ポリマーの固形分(不揮発分)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて10重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~9重量部である。
【0096】
アクリル系樹脂組成物は、起泡した泡の安定性、成膜性の向上のために、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な増粘剤を含んでいてもよい。増粘剤としては、例えば、アクリル酸系増粘剤、ウレタン系増粘剤、ポリビニルアルコール系増粘剤などが挙げられる。増粘剤としては、ポリアクリル酸系増粘剤、ウレタン系増粘剤が好ましい。
【0097】
アクリル系樹脂組成物が増粘剤を含む場合、増粘剤の含有量(固形分(不揮発分))は、アクリル系ポリマーの固形分(不揮発分)100重量部に対して、好ましくは0重量部を超えて10重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部~5重量部である。
【0098】
アクリル系樹脂組成物は、発泡シートに隣接する金属部材の腐食防止のため、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。防錆剤としては、アゾール環含有化合物が好ましい。アゾール環含有化合物を用いると、金属に対する腐食防止性と被着体に対する密着性とを高いレベルで両立できる。
【0099】
アゾール環含有化合物としては、環内に窒素原子を1個以上含む5員環を有する化合物であればよく、例えば、ジアゾール(イミダゾール、ピラゾール)環を有する化合物、トリアゾール環を有する化合物、テトラゾール環を有する化合物、オキサゾール環を有する化合物、イソオキサゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。これらの環は、ベンゼン環等の芳香環と縮合して縮合環を形成していてもよい。このような縮合環を有する化合物としては、例えば、ベンゾイミダゾール環を有する化合物、ベンゾピラゾール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール環を有する化合物、ベンゾオキサゾール環を有する化合物、ベンゾイソオキサゾール環を有する化合物、ベンゾチアゾール環を有する化合物、ベンゾイソチアゾール環を有する化合物などが挙げられる。
【0100】
アゾール環、縮合環(ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環等)は、それぞれ、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭素数1~6(好ましくは炭素数1~3)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~12(好ましくは炭素数1~3)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6~10のアリール基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の(モノまたはジ)C1~10アルキルアミノ基;アミノメチル基、2-アミノエチル基等のアミノ-C1~6アルキル基;N,N-ジエチルアミノメチル基、N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル基等のモノまたはジ(C1~10アルキル)アミノ-C1~6アルキル基;メルカプト基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;カルボキシメチル基等のカルボキシ-C1~6アルキル基;2-カルボキシエチルチオ基等のカルボキシ-C1~6アルキルチオ基;N,N-ビス(ヒドロキシメチル)アミノメチル基等のN,N-ビス(ヒドロキシ-C1~4アルキル)アミノ-C1~4アルキル基;スルホ基;などが挙げられる。アゾール環含有化合物は、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩を形成していてもよい。
【0101】
防錆剤としては、金属に対する防錆作用が大きい点から、好ましくは、アゾール環がベンゼン環等の芳香環と縮合環を形成している化合物であり、より好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール環を有する化合物)、ベンゾチアゾール系化合物(ベンゾチアアゾール環を有する化合物)である。
【0102】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、カルボキシメチルベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2′-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、またはこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0103】
ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、3-(2-(ベンゾチアゾリル)チオ)プロピオン酸、またはこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0104】
アゾール環含有化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0105】
アクリル系樹脂組成物が防錆剤を含む場合、防錆剤(例えば、上記アゾール環含有化合物)(固形分(不揮発分))の添加量(固形分(不揮発分))は、アクリル系ポリマーの固形分(不揮発分)100重量部に対して、好ましくは0.2重量部~5重量部であり、より好ましくは0.3重量部~3重量部であり、さらに好ましくは0.4重量部~2重量部である。
【0106】
アクリル系樹脂組成物は、圧縮された後の発泡シートの厚みの回復性、回復速度を向上させるため、シリコーン系化合物を添加してもよい。また、同様の目的で、シリコーン変性ポリマー(例えば、シリコーン変性アクリル系ポリマー、シリコーン変性ウレタン系ポリマー等)を、アクリル系ポリマーと併用してもよい。シリコーン系化合物やシリコーン変性ポリマーは、1種のみであってもいし、2種以上であってもよい。
【0107】
シリコーン系化合物としては、シロキサン結合が2000以下のシリコーン系化合物が好ましい。シリコーン系化合物としはて、例えば、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーンレジンなどが挙げられる。
【0108】
シリコーンオイル(ストレートシリコーンオイル)としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどが挙げられる。
【0109】
変性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性ジメチルシリコーンオイル等)、アルキル変性シリコーンオイル(アルキル変性ジメチルシリコーンオイル等)、アラルキル変性シリコーンオイル(アラルキル変性ジメチルシリコーンオイル等)、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル(高級脂肪酸エステル変性ジメチルシリコーンオイル等)、フルオロアルキル変性シリコーンオイル(フルオロアルキル変性ジメチルシリコーンオイル等)などが挙げられる。
【0110】
変性シリコーンオイルの中でも、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンオイルの市販品としては、例えば、「PEG11メチルエーテルジメチコン」、「PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン」、「PEG-9メチルエーテルジメチコン」、「PEG-32メチルエーテルジメチコン」、「PEG-9ジメチコン」、「PEG-3ジメチコン」、「PEG-10ジメチコン」等の直鎖タイプ(信越化学工業(株)製);「PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」、「ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン」等の分岐タイプ(信越化学工業(株)製);などが挙げられる。
【0111】
シリコーンレジンとしては、例えば、ストレートシリコーンレジン、変性シリコーンレジンなどが挙げられる。ストレートシリコーンレジンとしては、例えば、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンなどが挙げられる。変性シリコーンレジンとしては、例えば、アルキッド変性シリコーンレジン、エポキシ変性シリコーンレジン、アクリル変性シリコーンレジン、ポリエステル変性シリコーンレジンなどが挙げられる。
【0112】
アクリル系樹脂組成物中における、シリコーン系化合物と、シリコーン変性ポリマー中に存在するシリコーン鎖部の総含有割合は、アクリル系ポリマーの固形分(不揮発分)100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~5重量部であり、より好ましくは0.05重量部~4重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~3重量部である。アクリル系樹脂組成物中における、シリコーン系化合物と、シリコーン変性ポリマー中に存在するシリコーン鎖部の総含有割合が上記範囲内にあれば、発泡シートとしての特性を損なうことなく、圧縮後の回復性および回復速度を向上させ得る。
【0113】
アクリル系樹脂組成物が、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよいその他の成分としては、例えば、他のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、pH調整剤、溶剤(有機溶剤)、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
【0114】
充填剤としては、例えば、シリカ、クレイ(マイカ、タルク、スメクタイト等)、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化スズ、ゼオライト、グラファイト、カーボンナノチューブ、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維等)、有機繊維、金属粉(銀、銅等)、圧電粒子(酸化チタン等)、導電性粒子、熱伝導性粒子(窒化ホウ素等)、有機フィラー(シリコーンパウダー等)などが挙げられる。
【0115】
<シリコーン系ポリマーを含む樹脂組成物(シリコーン系樹脂組成物)>
シリコーン系ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なシリコーン系ポリマーを採用し得る。
【0116】
シリコーン系樹脂組成物中のシリコーン系ポリマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。シリコーン系樹脂組成物中のシリコーン系ポリマーの含有割合としては、固形分換算で、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは90重量%~100重量%である。
【0117】
シリコーン系樹脂組成物は、シリコーン系ポリマーの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、防錆剤、シリコーン系化合物、他のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、pH調整剤、溶剤(有機溶剤)、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0118】
<ウレタン系ポリマーを含む樹脂組成物(ウレタン系樹脂組成物)>
ウレタン系ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等が挙げられる。
【0119】
ウレタン系樹脂組成物中のウレタン系ポリマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。ウレタン系樹脂組成物中のウレタン系ポリマーの含有割合としては、固形分換算で、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは90重量%~100重量%である。
【0120】
ウレタン系樹脂組成物は、ウレタン系ポリマーの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、防錆剤、シリコーン系化合物、他のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、pH調整剤、溶剤(有機溶剤)、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0121】
<オレフィン系ポリマーを含む樹脂組成物(オレフィン系樹脂組成物)>
オレフィン系樹脂組成物としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(成分A)を必須に含むポリオレフィン系樹脂組成物が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂組成物は、ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)を含んでいてもよい。ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)は、好ましくは、ガラス転移温度が室温以下(例えば20℃以下)であるため、発泡層の柔軟性および形状追随性を向上し得る。
【0122】
ポリオレフィン系樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂(成分A)の含有割合は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは40重量%以上であり、最も好ましくは50重量%以上である。
【0123】
ポリオレフィン系樹脂組成物がゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)を含む場合、ポリオレフィン系樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂(成分A)の含有量は、ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)100重量部に対して、好ましくは10重量部~200重量部であり、より好ましくは20重量部~100重量部である。
【0124】
ポリオレフィン系樹脂(成分A)としては、例えば、α-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂(成分A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、それぞれにおいて、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0125】
α-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、α-オレフィンを主成分とするモノマー成分から形成された結晶性樹脂であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なα-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂を採用し得る。このようなα-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、α-オレフィンの単独重合体であってもよいし、α-オレフィンと他の単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。
【0126】
α-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂を形成するモノマー成分全体中のα-オレフィンの含有割合は、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。このようなα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロペン(プロピレン)、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン等の炭素数2~12のα-オレフィンが挙げられる。このようなα-オレフィンは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0127】
α-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂が共重合体である場合、この共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。ただし、結晶性を有するために、ランダム共重合体の場合は、α-オレフィンを除く構成単位の合計含有割合が、ランダム共重合体全体を100モル%とした場合に、好ましくは15モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下である。また、ブロック共重合体の場合は、α-オレフィンを除く構成単位の合計含有割合が、ブロック共重合体を100モル%とした場合に、好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは20モル%以下である。
【0128】
α-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、α-オレフィンを主成分とするモノマー成分から形成された非晶性樹脂であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なα-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を採用し得る。このようなα-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、α-オレフィンの単独重合体であってもよいし、α-オレフィンと他の単量体との共重合体であってもよい。また、これらの異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよい。
【0129】
α-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂を形成するモノマー成分全体中のα-オレフィンの含有割合は、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上である。このようなα-オレフィンとしては、炭素数3以上のα-オレフィンが好ましく、α-オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂において例示したものの一部と同様の、炭素数3~12のα-オレフィンがより好ましい。
【0130】
α-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂としては、例えば、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ-1-ブテン等の単独重合体;プロピレン(50モル%以上含有)と他のα-オレフィン(エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等)との共重合体;1-ブテン(50モル%以上含有)と他のα-オレフィン(エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等)との共重合体;等が挙げられる。この共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。ただし、ブロック共重合体の場合、主成分となるα-オレフィン単位(例えば、上記共重合体ではプロピレン、1-ブテン)は、アタクチック構造で結合していることが好ましい。また、α-オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が、炭素数3以上のα-オレフィンとエチレンとの共重合体である場合、共重合体全体を100モル%とすると、α-オレフィンの含有割合が、好ましくは50%モル以上であり、より好ましくは60モル%~100モル%である。
【0131】
ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なゴムおよび/または熱可塑性エラストマーを採用し得る。例えば、ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソブチレン、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブチルゴムなどの天然または合成ゴムが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレン共重合体、それらの水素添加物ポリマーなどのスチレン系エラストマー;熱可塑性ポリエステル系エラストマー;熱可塑性ポリウレタン系エラストマー;熱可塑性アクリル系エラストマー;などが挙げられる。これらのゴムや熱可塑性エラストマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。また、それぞれにおいて、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0132】
ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)としては、好ましくは、熱可塑性オレフィン系エラストマーが挙げられる。熱可塑性オレフィン系エラストマーは、オレフィン成分とオレフィン系ゴム成分とがミクロ相分離した構造を有したエラストマーであり、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好である。熱可塑性オレフィン系エラストマーとして、具体的には、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)と、エチレン-プロピレンゴム(EPM)および/またはエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)とがミクロ相分離した構造を有したエラストマーが挙げられる。なお、オレフィン成分とオレフィン系ゴム成分の重量比は、相溶性の観点から、オレフィン成分/オレフィン系ゴム成分として、好ましくは90/10~10/90であり、より好ましくは80/20~20/80である。
【0133】
熱可塑性オレフィン系エラストマーとしては、コスト等の観点から、非架橋型熱可塑性オレフィン系エラストマーが好ましい。
【0134】
ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)は、軟化剤を含有していてもよい。軟化剤を含有することにより、加工性、柔軟性を向上させることができる。軟化剤としては、ゴム製品に一般的に用いられる軟化剤を好適に用いることができる。
【0135】
軟化剤の具体例としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル化合物;マイクロクリスタリンワックス;サブ(ファクチス);液状ポリブタジエン;変性液状ポリブタジエン;液状チオコール;液状ポリイソプレン;液状ポリブテン;液状エチレン・α-オレフィン系共重合体;等が挙げられる。これらの軟化剤の中でも、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、液状エチレン・α-オレフィン系共重合体が好ましく、液状ポリイソプレン、液状ポリブテン、液状エチレン・α-オレフィン系共重合体がより好ましい。
【0136】
軟化剤の含有割合は、例えば、ゴムおよび/または熱可塑性エラストマー(成分B)中の熱可塑性オレフィン系エラストマー100質量部に対して、好ましくは0質量部~200質量部であり、より好ましくは0質量部~100質量部であり、さらに好ましくは0質量部~50質量部である。
【0137】
ポリオレフィン系樹脂組成物は、極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分C)を含んでいてもよい。
【0138】
ポリオレフィン系樹脂組成物が、極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分C)を含んでいる場合、成分Cの作用により、例えば、動的架橋型熱可塑性エラストマーを用いなくとも、打ち抜き加工時の優れた形状加工性を発揮できる。なお、動的架橋型熱可塑性エラストマーとは、架橋剤によりゴム成分が架橋構造を有するものであり、熱可塑性樹脂を海(マトリックス)、架橋したゴム成分の粒子を島(ドメイン)とする海島構造の特徴的な相構造(モルホロジー)を有している。非架橋型熱可塑性オレフィン系エラストマーとは、架橋剤を用いない単なるポリマーブレンドを指す。
【0139】
極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分C)は、カルボキシル基、その金属塩、アミド基などの極性官能基を有する、融点が50℃~150℃の脂肪族系化合物であり、具体的には、例えば、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つである。これらの中でも、極性の高い官能基を含むものが、ポリオレフィン系樹脂に相溶しにくいため、樹脂表面に析出しやすく、本発明の効果を発揮しやすい。このような化合物としては、脂肪酸、脂肪酸アミドが好ましい。脂肪酸アミドとしては、脂肪酸の炭素数18~38程度(より好ましくは、18~22)の脂肪酸アミドが好ましく、モノアミド、ビスアミドのいずれであってもよい。具体的には、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらの中でも、エルカ酸アミドが好ましい。また、脂肪酸としては、炭素数18~38程度(より好ましくは、18~22)のものが好ましく、具体的には、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。これらの中でも、ベヘニン酸が好ましい。脂肪酸金属石鹸としては、上記脂肪酸のアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、バリウム、亜鉛、鉛の塩などが挙げられる。
【0140】
極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分C)は、結晶性が高く、ポリオレフィン系樹脂に添加すると、好ましくは、樹脂表面に強固な膜を形成する。これによって、本発明の発泡シートや該発泡シートが有する発泡層を打ち抜き加工した際に、セルを形成する樹脂壁面同士が互いにブロッキングすることを防ぐ働きをするためと考えられるが、発泡層の気泡が潰れにくくなり、形状回復性が向上し得る。
【0141】
極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分C)の含有量は、例えば、成分Aと成分Bの合計量100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部であり、より好ましくは1.5重量部~3.5重量部であり、さらに好ましくは2重量部~3重量部である。
【0142】
極性官能基を有し融点が50℃~150℃である、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石鹸から選ばれた少なくとも1つの脂肪族系化合物(成分Cの融点は、成形温度を下げ、ポリオレフィン系樹脂組成物の劣化を抑制し、耐昇華性を付与する等の観点から、好ましくは50℃~150℃であり、より好ましくは70~100℃である。
【0143】
<エステル系ポリマーを含む樹脂組成物(エステル系樹脂組成物)>
エステル系ポリマーとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なエステル系ポリマーを採用し得る。このようなエステル系ポリマーとしては、好ましくは、ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応(重縮合)によるエステル結合部位を有する樹脂である。
【0144】
エステル系ポリマーとしては、好ましくは、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらはそれぞれの単独物であってもよいし、それぞれを併用した混合物であってもよい。
【0145】
ポリエステル系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート系樹脂が挙げられる。なお、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。ポリエステル系熱可塑性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0146】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸(二価の芳香族カルボン酸)とジオール成分との縮重合により得られるポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0147】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンカルボン酸(例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸など)、ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0148】
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,3,5-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-メチル-1,9-ノナンジオール、1,18-オクタデカンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオール;1,4-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、キシリレンジオール、ナフタレンジオール等の芳香族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のエーテルグリコール;などが挙げられる。なお、ジオール成分は、ポリエーテルジオールや、ポリエステルジオールなどの、ポリマー形態のジオール成分であってもよい。ポリエーテルジオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させた、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールや、これらを共重合させたコポリエーテルなどのポリエーテルジオールが挙げられる。ジオール成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0149】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントおよびソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。このようなハードセグメントおよびソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系熱可塑性エラストマーを採用すると、弾性率が向上し得るとともに、柔軟性が高くなり得る。
【0150】
ハードセグメントおよびソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、下記の(i)~(iii)が挙げられる。
【0151】
(i)芳香族ジカルボン酸と、ジオール成分のうちヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が2~4であるジオール成分との、重縮合により形成されるポリエステルをハードセグメントとし、芳香族ジカルボン酸と、ジオール成分のうちヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が5以上であるジオール成分との、重縮合により形成されるポリエステルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエステル型の共重合体。
【0152】
(ii)上記(i)と同様のポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルジオール、脂肪族ポリエーテルなどのポリエーテルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエーテル型の共重合体。
【0153】
(iii)上記(i)および(ii)と同様のポリエステルをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエステル型の共重合体。
【0154】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、好ましくは、ハードセグメントおよびソフトセグメントのブロック共重合体であるポリエステル系エラストマーであり、より好ましくは上記(ii)のポリエステル・ポリエーテル型の共重合体(芳香族ジカルボン酸とヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が2~4であるジオール成分との重縮合により形成されるポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエーテル型の共重合体)である。
【0155】
上記(ii)のポリエステル・ポリエーテル型の共重合体としては、より具体的には、ハードセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートとソフトセグメントとしてのポリエーテルとを有するポリエステル・ポリエーテル型ブロック共重合体などが挙げられる。
【0156】
エステル系ポリマーの230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.5g/10min~4.0g/10minである。
【0157】
エステル系樹脂組成物中のエステル系ポリマーの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。エステル系樹脂組成物中のエステル系ポリマーの含有割合としては、固形分換算で、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは90重量%~100重量%である。
【0158】
エステル系樹脂組成物は、その他の樹脂(エステル系ポリマー以外の樹脂)を含んでいてもよい。その他の樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。その他の樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα-オレフィン(例えば、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1など)との共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなど)との共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;6-ナイロン、66-ナイロン、12-ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリアミドイミド;ポリウレタン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリフッ化ビニル;アルケニル芳香族樹脂;ビスフェノールA系ポリカーボネートなどのポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンスルフィド;などが挙げられる。なお、これらの樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。
【0159】
エステル系樹脂組成物は、発泡核剤を含むことが好ましい。エステル系樹脂組成物が発泡核剤を含有していると、良好な発泡状態が得やすくなる。なお、発泡核剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0160】
発泡核剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡核剤を採用し得る。このような発泡核剤としては、例えば、無機物が挙げられる。無機物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;クレイ(特にハードクレイ);タルク;シリカ;ゼオライト;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどアルカリ土類金属炭酸塩;酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナなどの金属酸化物;鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、亜鉛粉、チタン粉などの各種金属粉、合金の粉などの金属粉;マイカ;カーボン粒子;グラスファイバー;カーボンチューブ;層状ケイ酸塩;ガラスなどが挙げられる。無機物としては、粗大セルの発生を抑制し、均一で微細なセル構造を容易に得ることができる点より、好ましくは、クレイ、アルカリ土類金属炭酸塩であり、より好ましくはハードクレイである。
【0161】
ハードクレイは、粗い粒子をほとんど含まないクレイである。ハードクレイは、166メッシュ篩残分が0.01%以下であるクレイであることが好ましく、より好ましくは166メッシュ篩残分が0.001%以下であるクレイである。なお、篩残分(ふるい残分)は、ふるいでふるったときに、通過しないで残るものの、全体に対する割合(重量基準)である。
【0162】
ハードクレイは、酸化アルミニウムと酸化珪素とを必須の成分として構成される。ハードクレイ中の酸化アルミニウムおよび酸化珪素の合計の割合は、ハードクレイ全量(100重量%)に対して、好ましくは80重量%以上(例えば80~100重量%)であり、より好ましくは90重量%以上(例えば90~100重量%)である。ハードクレイは、焼成されていてもよい。
【0163】
ハードクレイの平均粒子径(平均粒径)としては、好ましくは0.1μm~10μmであり、より好ましくは0.2μm~5.0μmであり、さらに好ましくは0.5μm~1.0μmである。
【0164】
無機物は、表面処理されていることが好ましい。無機物の表面処理に用いられる表面処理剤としては、表面処理を施すことによってエステル系樹脂との親和性をよくして、発泡時、成形時、混練時、延伸時等にボイドが発生しない、発泡時にセルが破泡しないといった効果を得る点から、アルミニウム系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、高級脂肪酸またはその塩、リン酸エステル類が挙げられ、好ましくは、シラン系化合物(特にシランカップリング剤)、高級脂肪酸またはその塩(特にステアリン酸)である。表面処理剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。表面処理は、好ましくは、シランカップリング処理、高級脂肪酸またはその塩による処理である。
【0165】
アルミニウム系化合物としては、アルミニウム系カップリング剤が好ましい。アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec-ブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドイソステアレートなどが挙げられる。
【0166】
シラン系化合物としては、シラン系カップリング剤が好ましい。シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニル基含有シラン系カップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シラン系カップリング剤、アミノ基含有シラン系カップリング剤、エポキシ基含有シラン系カップリング剤、メルカプト基含有シラン系カップリング剤、カルボキシル基含有シラン系カップリング剤、ハロゲン原子含有シラン系カップリング剤などが挙げられる。具体的には、シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、2-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシ-プロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3-[N-(2-アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、2-[N-(2-アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシ-プロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシ-プロピルメチルジエトキシシラン、2-グリシドキシ-エチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシ-エチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、カルボキシメチルトリエトキシシラン、3-カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3-カルボキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0167】
チタネート系化合物としては、チタネート系カップリング剤が好ましい。チタネート系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジ-トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートなどが挙げられる。
【0168】
エポキシ化合物としては、エポキシ系樹脂、モノエポキシ系化合物が好ましい。エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂などが挙げられる。モノエポキシ系化合物としては、例えば、スチレンオキサイド、グリシジルフェニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,2-エポキシシクロヘキサン、エピクロロヒドリン、グリシドールなどが挙げられる。
【0169】
イソシアネート系化合物としては、ポリイソシアネート系化合物、モノイソシアネート系化合物が好ましい。ポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;これらのジイソシアネート化合物と、ポリオール化合物との反応による遊離イソシアネート基を有するポリマーなどが挙げられる。モノイソシアネート系化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、ステアリルイソシアネートなどが挙げられる。
【0170】
高級脂肪酸又はその塩としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸、および該高級脂肪酸の塩(例えば、金属塩など)が挙げられる。高級脂肪酸の金属塩における金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子などのアルカリ金属原子;マグネシウム原子、カルシウム原子などのアルカリ土類金属原子;などが挙げられる。
【0171】
リン酸エステル類としては、リン酸部分エステル類が好ましい。リン酸部分エステル類としては、例えば、リン酸(オルトリン酸など)が部分的にアルコール成分(ステアリルアルコールなど)によりエステル化(モノ又はジエステル化)されたリン酸部分エステル、リン酸部分エステルの塩(アルカリ金属などによる金属塩など)などが挙げられる。
【0172】
無機物へ表面処理剤により表面処理する際の方法としては、例えば、乾式方法、湿式方法、インテグラルブレンド方法などが挙げられる。また、無機物へ表面処理剤により表面処理する際の、表面処理剤の量は、無機物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~10重量部であり、より好ましくは0.3重量部~8重量部である。
【0173】
無機物の166メッシュ篩残分は、好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.001%以下である。エステル系樹脂組成物を発泡させる際に、粗い粒子が存在すると、セルの破泡が発生しやすくなるためである。これは、粒子の大きさがセル壁の厚みを超えることによる。
【0174】
無機物の平均粒子径(平均粒径)は、好ましくは0.1μm~10μmであり、より好ましくは0.2μm~5.0μmであり、さらに好ましくは0.5μm~1.0μmである。無機物の平均粒子径(平均粒径)が0.1μm未満であると、核剤として十分に機能しない場合がある。無機物の平均粒子径(平均粒径)が10μmを超えると、エステル系樹脂組成物の発泡時にガス抜けの原因となる場合がある。
【0175】
発泡核剤は、エステル系樹脂との親和性や、エステル系樹脂と無機物との界面におけるボイドの発生による発泡時の破泡を抑制して微細なセル構造を容易に得ることができる点より、表面処理された無機物(特に、表面処理されたハードクレイ)が好ましい。
【0176】
エステル系樹脂組成物中の発泡核剤の含有割合としては、エステル系樹脂組成物全量(100重量%)に対して、好ましくは0.1重量%~20重量%であり、より好ましくは0.3重量%~10重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%~6重量%である。エステル系樹脂組成物中の発泡核剤の含有割合が0.1重量%以上であると、気泡を形成するためのサイト(気泡形成部位)が十分に確保することができ、微細なセル構造を得やすくなる。エステル系樹脂組成物中の発泡核剤の含有割合が20重量%以下であると、エステル系樹脂組成物の粘度が著しく上昇することを抑制でき、エステル系樹脂組成物の発泡時のガス抜けを抑制でき、均一なセル構造が得やすくなる。
【0177】
エステル系樹脂組成物は、変性ポリマーを含んでいてもよい。変性ポリマーとしては、好ましくは、エポキシ変性ポリマーである。エポキシ変性ポリマーは、架橋剤や、エステル系樹脂組成物の溶融張力および歪硬化度を向上させる改質剤(樹脂改質剤)として作用し得る。このため、エステル系樹脂組成物がエポキシ変性ポリマーを含んでいると、所定の値以上の応力保持率を得て、優れた変形回復性能が得やすくなり、また、高発泡で微細なセル構造を得やすくなる。このようなエポキシ変性ポリマーなどの変性ポリマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0178】
エポキシ変性ポリマーとしては、低分子量のエポキシ基を有する化合物と比較して三次元網目構造を形成しにくく、溶融張力および歪硬化度に優れたエステル系樹脂組成物を容易に得ることができる点から、アクリル系ポリマーの主鎖の末端や側鎖にエポキシ基を有するポリマーであるエポキシ変性アクリル系ポリマーや、ポリエチレンの主鎖の末端や側鎖にエポキシ基を有するポリマーであるエポキシ変性ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種のポリマーが好ましい。
【0179】
エポキシ変性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは5000~100000であり、より好ましくは8000~80000であり、さらに好ましくは10000~70000であり、特に好ましくは20000~60000である。なお、エポキシ変性ポリマーの重量平均分子量が5000未満であると、エポキシ変性ポリマーの反応性が上がって高発泡化ができないおそれがある。
【0180】
エポキシ変性ポリマーのエポキシ当量は、好ましくは100g/eq~3000g/eqであり、より好ましく200g/eq~2500g/eqであり、さらに好ましくは300g/eq~2000g/eqであり、特に好ましくは800g/eq~1600g/eqである。エポキシ変性ポリマーのエポキシ当量が3000g/eq以下であると、エステル系樹脂組成物の溶融張力および歪硬化度を十分に向上させて、所定の値以上の応力保持率を得て、優れた変形回復性能が得やすくなり、また、高発泡で微細なセル構造を得やすくなり、好ましい。エポキシ変性ポリマーのエポキシ当量が100g/eq以上であると、エポキシ変性ポリマーの反応性が上がり、エステル系樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、高発泡化できないという不具合を抑制でき、好ましい。
【0181】
エポキシ変性ポリマーの粘度(B型粘度、25℃)は、好ましくは2000mPa・s~4000mPa・sであり、より好ましくは2500mPa・s~3200mPa・sである。エポキシ変性ポリマーの粘度が2000mPa・s以上であると、エステル系樹脂組成物の発泡時における気泡壁の破壊を抑制して、高発泡で微細なセル構造を得やすくなるので、好ましい。エポキシ変性ポリマーの粘度が4000mPa・s以下であると、エステル系樹脂組成物の流動性が得やすくなり、効率よく発泡させることができ、好ましい。
【0182】
エポキシ変性ポリマーは、好ましくは、重量平均分子量が5000~100000であり、エポキシ当量が100g/eq~3000g/eqである。
【0183】
エステル系樹脂組成物中の変性ポリマーの含有量は、エステル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.5重量部~15.0重量部であり、より好ましくは0.6重量部~10.0重量部であり、さらに好ましくは0.7重量部~7.0重量部であり、特に好ましくは0.8重量部~3.0重量部である。
【0184】
エステル系樹脂組成物中のエポキシ変性ポリマーの含有量が0.5重量部以上であるとエステル系樹脂組成物の溶融張力および歪硬化度を高くすることができ、所定の値以上の応力保持率を得て、優れた変形回復性能が得やすくなり、また、高発泡で微細なセル構造を得やすくなり、好ましい。エステル系樹脂組成物中のエポキシ変性ポリマーの含有量が15.0重量部以下であると、エステル系樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、高発泡化できないという不具合を抑制でき、高発泡で微細なセル構造を得やすくなるので、好ましい。
【0185】
エポキシ変性ポリマーは、加水分解(例えば、原料の吸湿に起因する加水分解など)、熱分解、酸化分解などによるポリエステル鎖の切断を防止でき、さらに、切断されたポリエステル鎖を再結合させることができるため、エステル系樹脂組成物の溶融張力をより向上させることができる。エポキシ変性ポリマーは、エポキシ基が一分子中に多数のエポキシ基を有するので、従来のエポキシ系架橋剤よりも分岐構造を形成させやすく、エステル系樹脂組成物の歪硬化度をより向上させることができる。
【0186】
エステル系樹脂組成物は、滑剤を含むことが好ましい。エステル系樹脂組成物が滑剤を含んでいると、エステル系樹脂組成物の成形性が向上し、滑り性がよくなり、例えば、押出機から、つまりなく、所望の形状で容易に押し出すことができ、好ましい。滑剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0187】
滑剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸およびその誘導体(例えば、脂肪族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。脂肪族カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、ラウリル酸およびその誘導体、ステアリン酸およびその誘導体、クロトン酸およびその誘導体、オレイン酸およびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、グルタン酸およびその誘導体、ベヘン酸およびその誘導体、モンタン酸およびその誘導体などの炭素数3~30の脂肪酸カルボン酸およびその誘導体が挙げられる。
【0188】
炭素数3~30の脂肪酸カルボン酸およびその誘導体の中でも、エステル系樹脂組成物への分散性、溶解性、表面外観改良の効果等の観点から、ステアリン酸およびその誘導体、モンタン酸およびその誘導体が好ましく、ステアリン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩がより好ましい。ステアリン酸のアルカリ金属塩、ステアリン酸のアルカリ土類金属塩の中でも、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムがより好ましい。
【0189】
滑剤としては、例えば、アクリル系滑剤も挙げられる。アクリル系滑剤の市販品としては、例えば、アクリル系高分子外部滑剤(商品名「メタブレンL」、三菱レイヨン株式会社製)などが挙げられる。
【0190】
滑剤としては、アクリル系滑剤が好ましい。
【0191】
エステル系樹脂組成物中の滑剤の含有量は、エステル系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部~20重量部であり、より好ましくは0.3重量部~10重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部~8重量部である。エステル系樹脂組成物中の滑剤の含有量が0.1重量部以上であると、滑剤を含むことにより得られる効果が得やすくなり、好ましい。滑剤の含有量が20重量部以下であると、エステル系樹脂組成物を発泡させる際の気泡抜けを抑制して、高発泡化できないという不具合を抑制でき、好ましい。
【0192】
エステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シラノール系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0193】
エステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な結晶化促進剤が含まれていてもよい。結晶化促進剤としては、例えば、オレフィン系樹脂が挙げられる。このようなオレフィン系樹脂としては、分子量分布が広く且つ高分子量側にショルダーを持つタイプの樹脂、微架橋タイプの樹脂(若干架橋されたタイプの樹脂)、長鎖分岐タイプの樹脂などが挙げられる。オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンまたはプロピレンと他のα-オレフィン(例えば、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1など)との共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなど)との共重合体などが挙げられる。なお、オレフィン系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの形態の共重合体であってもよい。また、オレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0194】
エステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な難燃剤が含まれていてもよい。難燃剤としては、例えば、難燃性を有しているパウダー粒子(例えば、パウダー状の各種の難燃剤など)が挙げられ、無機難燃剤が好ましい。無機難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、ノンハロゲン-ノンアンチモン系無機難燃剤(ハロゲン化合物およびアンチモン化合物が含まれていない無機難燃剤)が挙げられる。ノンハロゲン-ノンアンチモン系無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム・酸化ニッケルの水和物、酸化マグネシウム・酸化亜鉛の水和物等の水和金属化合物などが挙げられる。水和金属酸化物は表面処理されていてもよい。難燃剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0195】
エステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分が含まれていてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、結晶核剤、可塑剤、着色剤(例えば、黒色着色を目的としたカーボンブラック、顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、張力改質剤、収縮防止剤、流動性改質剤、加硫剤、表面処理剤、分散助剤、ポリエステル樹脂用改質剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0196】
エステル系樹脂組成物は、所定の値以上の応力保持率を有する発泡体の得やすさの点より、下記の(i)、(ii)を少なくとも含むことが好ましい。
【0197】
(i):230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1.5g/10min~4.0g/10minであるエステル系熱可塑性エラストマー(好ましくは、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1.5g/10min~4.0g/10minであり、ハードセグメントおよびソフトセグメントのブロック共重合体であるエステル系熱可塑性エラストマー、より好ましくは、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1.5g/10min~4.0g/10minであり、芳香族ジカルボン酸とヒドロキシル基とヒドロキシル基との間の主鎖中の炭素数が2~4であるジオール成分との重縮合により形成されるポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとする、ポリエステル・ポリエーテル型の共重合体)
【0198】
(ii):発泡核剤(好ましくは、表面処理加工された無機物、より好ましくは、表面処理加工されたハードクレイ)
【0199】
<ゴムを含む樹脂組成物(ゴム系樹脂組成物)>
ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムのいずれであってもよい。上記ゴムとして、例えば、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(AU)、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、ニトリルゴム(NBR)、メチルメタクリレート-ブタジエンゴム(MBR)、シリコーンゴムが好ましい。
【0200】
ゴム系樹脂組成物中のゴムの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。ゴム系樹脂組成物中のゴムの含有割合としては、固形分換算で、好ましくは30重量%~100重量%であり、より好ましくは50重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは90重量%~100重量%である。
【0201】
ゴム系樹脂組成物は、ゴムの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、増粘剤、防錆剤、シリコーン系化合物、他のポリマー成分、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、ゲル化剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、補強剤、発泡剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、pH調整剤、溶剤(有機溶剤)、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0202】
≪粘着剤層≫
粘着剤層の厚さは、好ましくは5μm~300μmであり、より6μm~200μmであり、さらに好ましくは7μm~100μmであり、特に好ましくは8μm~50μmである。粘着剤層の厚さが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、優れた衝撃吸収性を発揮できる。また、粘着剤層の厚さが上記範囲内にあることによって、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。
【0203】
一般に、粘着剤層の厚さが大きいほど、該厚さの変化による誘電率の変化は大きくなる傾向になり得る。しかし、粘着剤層の厚さが大き過ぎると、例えば、発泡層と粘着剤層を有する発泡シートをフォースタッチで押し込む場合に必要な力が大きくなってしまうおそれがある。このため、粘着剤層の厚さは、上記の好ましい範囲内にあるとともに、発泡層の厚さと粘着剤層の総厚さ(発泡層の両方の側に粘着剤層が設けられている場合は該両方の粘着剤層の厚さの和)との比率が特定の範囲であることが好ましい。このような比率は、発泡層の厚さ(μm)/粘着剤層の総厚さ(μm)として、好ましくは1~20であり、より好ましくは1.2~15であり、さらに好ましくは1.4~10であり、特に好ましくは1.5~7である。
【0204】
粘着剤層としては、任意の適切な粘着剤からなる層を採用し得る。粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤(合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤など)、ウレタン系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられる。粘着剤層を構成する粘着剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤から選ばれる少なくとも1種である。このような粘着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。粘着剤層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0205】
粘着剤としては、粘着形態で分類すると、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、紫外線架橋型(UV架橋型)粘着剤、電子線架橋型(EB架橋型)粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などが挙げられる。このような粘着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0206】
粘着剤層の水蒸気透湿度は、好ましくは50(g/(m・24時間))以下であり、より好ましくは30(g/(m・24時間))以下であり、さらに好ましくは20(g/(m・24時間))以下であり、特に好ましくは10(g/(m・24時間))以下である。粘着剤層の水蒸気透湿度が上記範囲内にあれば、本発明の発泡シートは、水分による影響を受けずに誘電率を安定化させることができる。また、粘着剤層の水蒸気透湿度が上記範囲内にあれば、本発明の発泡シートは、圧縮時の静電容量をより底上げでき、例えば、静電容量センサーに用いた場合に感度をより向上できる。
【0207】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、より好ましくは、アクリル系ポリマーから構成されるアクリル系粘着剤である。
【0208】
アクリル系ポリマーとしては、粘着性を発現できる任意の適切なアクリル系ポリマーを採用し得る。アクリル系ポリマーは、好ましくは、アクリル系モノマーを必須とするモノマー成分から形成し得る。アクリル系ポリマーを形成するために用い得る全モノマー中のアクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは60重量%~100重量%であり、さらに好ましくは70重量%~100重量%であり、特に好ましくは80重量%~100重量%であり、最も好ましくは90重量%~100重量%である。アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0209】
アクリル系モノマーとしては、好ましくは、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」を表す。
【0210】
アクリル系モノマー中のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは60重量%~99重量%であり、さらに好ましくは70重量%~98重量%であり、特に好ましくは80重量%~97重量%であり、最も好ましくは90重量%~96重量%である。
【0211】
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。なお、ここでいう(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステルを意味する。
【0212】
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは、アルキル基の炭素数が4~10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、さらに好ましくは、アルキル基の炭素数が4~8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0213】
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0214】
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、本発明の効果をより発現させ得る点で、少なくとも、(メタ)アクリル酸ブチルを含むことが好ましい。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル中の(メタ)アクリル酸ブチルの含有割合は、好ましくは10重量%~100重量%であり、より好ましくは30重量%~100重量%であり、さらに好ましくは50重量%~100重量%であり、特に好ましくは70重量%~100重量%であり、最も好ましくは90重量%~100重量%である。
【0215】
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、本発明の効果をより発現させ得る点で、(メタ)アクリル酸ブチルとともに、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルを含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸ブチル100重量部に対する(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルの含有割合は、好ましくは5重量部~200重量部であり、より好ましくは10重量部~150重量部であり、さらに好ましくは20重量部~100重量部であり、特に好ましくは30重量部~90重量部であり、最も好ましくは40重量部~80重量部である。
【0216】
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの全量中の、(メタ)アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルの合計量が、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
【0217】
アクリル系ポリマーを形成し得るモノマー成分としては、極性基含有モノマーを用い得る。極性基含有モノマーとしては、任意の適切な極性基含有モノマーを採用し得る。極性基含有モノマーを採用することにより、アクリル系ポリマーの凝集力を向上させることが可能となったり、アクリル系ポリマーの粘着力を向上させることが可能となったりする。極性基含有モノマーは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0218】
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;などが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、好ましくは、カルボキシル基含有モノマーまたはその無水物であり、より好ましくは、(メタ)アクリル酸であり、さらに好ましくは、アクリル酸である。
【0219】
アクリル系モノマー中の極性基含有モノマーの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0重量%~50重量%であり、より好ましくは1重量%~40重量%であり、さらに好ましくは2重量%~30重量%であり、特に好ましくは3重量%~20重量%であり、最も好ましくは4重量%~10重量%である。
【0220】
アクリル系ポリマーを形成し得るモノマー成分としては、多官能性モノマーを用い得る。多官能性モノマーとしては、任意の適切な多官能性モノマーを採用し得る。多官能性モノマーを採用することにより、アクリル系ポリマーに架橋構造を付与することができる。多官能性モノマーは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0221】
多官能性モノマーとしては、例えば、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルエーテル 2-イソシアナトエチルアクリレート、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネート(メタ)アクリレート、トリグリシジルイソシアヌレート、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキサヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2-エタンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、メチルトリイソシアネートシラン、テトライソシアネートシラン、ポリイソシアナート、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2,4-ブタントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、アミノメタノール、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジ-n-ブチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、水添トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水添ジフェニルメタンジアミン、トリジンアミン、ナフタリンジアミン、イソホロンジアミン、キシレンジアミン、水添キシレンジアミン、ビニルアミン、2-(2-チエニル)ビニルアミン、1-(アリルオキシ)ビニルアミン、アリルアルコール、1,3-ブタジエンモノエポキシド、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高い点で、好ましくはアクリレート系の多官能性モノマーであり、より好ましくは、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが挙げられる。
【0222】
アクリル系ポリマーを形成し得るモノマー成分としては、その他の共重合性モノマーを用い得る。その他の共重合性モノマーとしては、任意の適切なその他の共重合性モノマーを採用し得る。その他の共重合性モノマーを採用することにより、アクリル系ポリマーの凝集力を向上させることが可能となったり、アクリル系ポリマーの粘着力を向上させることが可能となったりする。その他の共重合性モノマーは、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0223】
その他の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
【0224】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10万~200万であり、より好ましくは20万~100万である。アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ法(GPC法)によって求めることができる。
【0225】
粘着剤層中のポリマー成分は、架橋構造を有していても良い。粘着剤層中のポリマー成分が架橋構造を有することにより、粘着剤層は非常に優れた耐熱性を発現することができる。
【0226】
上記架橋構造は、任意の適切な方法によって構築し得る。上記架橋構造は、好ましくは、上記ポリマー成分を構成する全モノマー成分中に架橋性モノマーを含有させることによって構築する。この場合、上記ポリマー成分を構成する全モノマー成分中の架橋性モノマーの含有割合は、好ましくは2.0重量%~60重量%であり、より好ましくは3.0重量%~57重量%であり、さらに好ましくは5.0重量%~55重量%であり、特に好ましくは7.0重量%~53重量%であり、最も好ましくは8.0重量%~50重量%である。上記架橋性モノマーの含有割合が上記範囲内に収まることによって、粘着剤層は一層非常に優れた耐熱性を発現することができる。
【0227】
上記架橋性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0228】
上記架橋性モノマーとしては、架橋構造を構築し得るモノマーであれば、任意の適切な架橋性モノマーを採用し得る。このような架橋性モノマーとしては、好ましくは、アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する架橋性モノマーが挙げられる。このような架橋性モノマーの具体例としては、例えば、前述の多官能性モノマーが挙げられる。
【0229】
粘着剤層中のポリマー成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。
【0230】
他の成分としては、例えば、他のポリマー成分、軟化剤、老化防止剤、硬化剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、熱重合開始剤、光重合開始剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤(顔料や染料など)、溶剤(有機溶剤)、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)などが挙げられる。なお、熱重合開始剤や光重合開始剤は、ポリマー成分を形成するための材料に含まれ得る。
【0231】
≪≪発泡シートの製造方法≫≫
本発明の発泡シートは、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明の発泡シートは、例えば、発泡層と粘着剤層とを積層して製造する方法や、粘着剤層の形成材料と発泡層を積層した後に硬化反応等によって粘着剤層を形成させて製造する方法などが挙げられる。
【実施例
【0232】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「質量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「質量%」を意味する。
【0233】
<発泡層の空孔率>
温度23℃、湿度50%の環境下で測定を行った。100mm×100mmの打抜き刃型にて発泡層を打抜き、打抜いた試料の寸法を測定した。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚みを測定した。これらの値から発泡層の体積を算出した。次に、発泡層の重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定した。これらの値より、発泡層の空孔率(%)を算出した。
【0234】
<発泡層の平均セル径>
温度23℃、湿度50%の環境下で測定を行った。低真空走査電子顕微鏡(「S-3400N型走査電子顕微鏡」、(株)日立ハイテクサイエンスシステムズ製)により、発泡層の断面の拡大画像を取り込み、画像解析することにより平均セル径(μm)を求めた。なお、解析した気泡数は10~20個程度である。また、平均セル径の測定と同様の測定方法で、発泡層の最小セル径(μm)および最大セル径(μm)を求めた。
【0235】
<発泡層の独泡率>
温度23℃、湿度50%の環境下で測定を行った。まず、測定対象を水分中に沈め、その後の質量を測定した。その後、80℃のオーブンで十分に乾燥させた後、再度質量を測定した。また、連続気泡であれば水分を保持できるため、その質量分を連続気泡として測定した。
【0236】
<発泡シートの高湿保存後水分含有率>
温度23℃、湿度50%の環境下で、100mm×100mmの打抜き刃型にて発泡シートを打抜き、打抜いた試料の寸法を測定した。また、測定端子の直径(φ)20mmである1/100ダイヤルゲージにて厚みを測定した。これらの値から発泡シートの体積を算出した。次に、発泡シートの重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定した。この発泡シートを温度60℃、湿度95%の環境下で24時間保存した。取り出した後、発泡シートの重量を最小目盛り0.01g以上の上皿天秤にて測定した。高湿保存前後の重量変化によって水分含有率を算出した。
【0237】
<発泡シートの誘電率>
温度23℃、湿度50%の環境下で、E4980A プレシジョンLCRメーター(Agilent Technologies)を用い、誘電率を測定した。平行平板コンデンサ法(JIS C 2138に基づく)により、圧縮率を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%として測定した。
【0238】
<発泡シートの衝撃吸収性>
温度23℃、湿度50%の環境下で、振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)(図3および図4参照)を用いて衝撃吸収性試験を行った。発泡シート(サンプルサイズ:20mm×20mm)について、66gの鉄球を40°傾けた条件で、1秒間隔で5回連続鉄球を衝突させて衝撃試験を行い、各衝突時における衝撃力(N)を測定した。
【0239】
<発泡シートの50%圧縮時反発力>
温度23℃、湿度50%の環境下で、50%圧縮時反発力は、JIS K 6767:1999に記載されている圧縮硬さの測定方法に準じ、幅30mm×長さ30mmに切り出したシート状試験片を、圧縮速度10mm/minで厚み方向に圧縮率が50%になるまで圧縮したときの応力(N)を試験片面積(9cm)で除して、単位面積(1cm)当たりに換算し、反発力(N/cm)として測定した。
【0240】
〔製造例1〕
(発泡層(A)の製造)
アクリルエマルション溶液(固形分量55%、アクリル酸エチル-アクリル酸ブチル-アクリロニトリル共重合体(重量比45:48:7))100重量部、脂肪酸アンモニウム系界面活性剤(ステアリン酸アンモニウムの水分散液、固形分量33%)(界面活性剤A)1.5重量部、カルボキシベタイン型両性界面活性剤(「アモーゲンCB-H」、第一工業製薬(株)製)(界面活性剤B)1.0重量部、オキサゾリン系架橋剤(「エポクロスWS-500」、(株)日本触媒製、固形分量39%)0.35重量部、ポリアクリル酸系増粘剤(アクリル酸エチル-アクリル酸共重合体(アクリル酸20%)、固形分量28.7%)0.78重量部をディスパー(「ロボミックス」、プライミクス(株)製)で撹拌混合して起泡化した。この発泡組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:38μm、商品名「MRF♯38」、三菱樹脂(株)製)上に塗布し、80℃で5分、140℃で5分乾燥させ、厚み100μm、密度0.32g/cm、最大セル径110μm、最小セル径20μm、平均セル径50μmの連続気泡構造の発泡層(A)を得た。
【0241】
〔製造例2〕
(発泡層(B)の製造)
製造例1の発泡層(A)の製造において、得られる発泡層の厚みが150μmとなるように調整し、厚みが150μmの発泡層(B)を得た。
【0242】
〔製造例3〕
(発泡層(C)の製造)
ポリプロピレン(メルトフローレート(MFR)(230℃)=0.35g/10min)45重量部、ポリオレフィン系エラストマー(メルトフローレート(MFR)=6g/10min、JIS-A硬度=79°)55重量部、水酸化マグネシウム10重量部、カーボン(商品名「旭♯35」旭カーボン株式会社製)10重量部、ステアリン酸モノグリセリド1重量部、および脂肪酸アミド(ラウリン酸ビスアミド)2重量部を、日本製鋼所(JSW)社製の二軸混練機にて、200℃の温度で混練した後、ストランド状に押出し、水冷後ペレット状に成形した。
このペレットを、日本製鋼所社製の単軸押出機に投入し、220℃の雰囲気下、13(注入後12)MPaの圧力で、二酸化炭素ガスを注入した。二酸化炭素ガスは、ポリマー100重量部に対して6重量部の割合で注入した。二酸化炭素ガスを十分飽和させた後、発泡に適した温度まで冷却後、ダイから押出して、発泡体を得た。そしてこの樹脂発泡体をスライスして、さらに、熱プレス機で所定厚みに調整することで、厚み100μm、密度0.10g/cm、最大セル径80μm、最小セル径20μm、平均セル径60μm、独泡率50%の気泡構造の発泡層(C)を得た。
【0243】
〔製造例4〕
(発泡層(D)の製造)
製造例3の発泡層(C)の製造において、得られる発泡層の厚みが150μmとなるように調整し、厚みが150μmの発泡層(D)を得た。
【0244】
〔製造例5〕
(粘着剤層(A)の製造)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのブチルアクリレート(BA)100部、アクリル酸(AA)5部と、重合溶媒としてのトルエン135部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を加え、60℃で6時間溶液重合してアクリル系ポリマーのトルエン溶液を得た。このアクリル系ポリマーのMwは40×10であった。
上記トルエン溶液に含まれるアクリル系ポリマー100部に対し、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD-125」、軟化点120~130℃、荒川化学工業社製)30部およびイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー社製、固形分75%)2部を加えてアクリル系粘着剤組成物を調製し、このアクリル系粘着剤組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:38μm、商品名「MRF♯38」、三菱樹脂(株)製)上に塗布し、120℃で5分乾燥させすることにより、厚みが30μmの粘着剤層(A)を得た。
【0245】
〔製造例6〕
(粘着剤層(B)の製造)
製造例5の粘着剤層(A)の製造において、得られる粘着剤層の厚みが10μmとなるように調整し、厚みが10μmの粘着剤層(B)を得た。
【0246】
〔製造例7〕
(粘着剤層(C)の製造)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのブチルアクリレート(BA)60部、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)40部、アクリル酸(AA)5部と、重合溶媒としてのトルエン135部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を加え、60℃で6時間溶液重合して、アクリル系ポリマーのトルエン溶液を得た。このアクリル系ポリマーのMwは40×10であった。
上記トルエン溶液に含まれるアクリル系ポリマー100部に対し、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD-125」、軟化点120~130℃、荒川化学工業社製)30部およびイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー社製、固形分75%)2部を加えてアクリル系粘着剤組成物を調製し、このアクリル系粘着剤組成物を、剥離処理をしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(厚み:38μm、商品名「MRF♯38」、三菱樹脂(株)製)上に塗布し、120℃で5分乾燥させ、厚みが30μmの粘着剤層(C)を得た。
【0247】
〔実施例1〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例5で得られた粘着剤層(A)について、発泡層に粘着剤層を両側に貼り合わせることで、粘着剤層(A)/発泡層(A)/粘着剤層(A)の3層構造の発泡シート(1)を得た。結果を表1に示した。
【0248】
〔実施例2〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例5で得られた粘着剤層(A)について、発泡層に粘着剤層を片側に貼り合わせることで、発泡層(A)/粘着剤層(A)の2層構造の発泡シート(2)を得た。結果を表1に示した。
【0249】
〔実施例3〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例6で得られた粘着剤層(B)について、発泡層に粘着剤層を両側に貼り合わせることで、粘着剤層(B)/発泡層(A)/粘着剤層(B)の3層構造の発泡シート(3)を得た。結果を表1に示した。
【0250】
〔実施例4〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例6で得られた粘着剤層(B)について、発泡層に粘着剤層を片側に貼り合わせることで、発泡層(A)/粘着剤層(B)の2層構造の発泡シート(4)を得た。結果を表1に示した。
【0251】
〔実施例5〕
製造例3で得られた発泡層(C)と製造例5で得られた粘着剤層(A)について、発泡層に粘着剤層を両側に貼り合わせることで、粘着剤層(A)/発泡層(C)/粘着剤層(A)の3層構造の発泡シート(5)を得た。結果を表1に示した。
【0252】
〔実施例6〕
製造例3で得られた発泡層(C)と製造例5で得られた粘着剤層(A)について、発泡層に粘着剤層を片側に貼り合わせることで、発泡層(C)/粘着剤層(A)の2層構造の発泡シート(6)を得た。結果を表1に示した。
【0253】
〔実施例7〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例7で得られた粘着剤層(C)について、発泡層に粘着剤層を両側に貼り合わせることで、粘着剤層(C)/発泡層(A)/粘着剤層(C)の3層構造の発泡シート(7)を得た。結果を表1に示した。
【0254】
〔実施例8〕
製造例1で得られた発泡層(A)と製造例7で得られた粘着剤層(C)について、発泡層に粘着剤層を片側に貼り合わせることで、発泡層(A)/粘着剤層(C)の2層構造の発泡シート(8)を得た。結果を表1に示した。
【0255】
〔比較例1〕
製造例1で得られた発泡層(A)単体を発泡シート(C1)とした。結果を表1に示した。
【0256】
〔比較例2〕
製造例2で得られた発泡層(B)単体を発泡シート(C2)とした。結果を表1に示した。
【0257】
〔比較例3〕
製造例3で得られた発泡層(C)単体を発泡シート(C3)とした。結果を表1に示した。
【0258】
〔比較例4〕
製造例4で得られた発泡層(D)単体を発泡シート(C4)とした。結果を表1に示した。
【0259】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0260】
本発明の発泡シートは、電子機器用衝撃吸収シートとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0261】
1 振り子型衝撃試験機(衝撃試験装置)
2 試験片(発泡シート)
3 保持部材
4 衝撃負荷部材
5 圧力センサー
11 固定治具
12 押さえ治具
16 圧力調整手段
20 支柱
21 アーム
22 支持棒(シャフト)の一端
23 支持棒(シャフト)
24 衝撃子
25 電磁石
28 支持板
a 振り上げ角度
100 発泡層
200 粘着剤層
200a 粘着剤層
200b 粘着剤層
1000 発泡シート
図1
図2
図3
図4