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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】杭状補強体作成方法及び注入ヘッド
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/28 20060101AFI20220823BHJP
   E02D 13/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
E02D5/28
E02D13/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018068550
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178551
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】596091428
【氏名又は名称】報国エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004905
【氏名又は名称】株式会社山本水圧工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 潔
(72)【発明者】
【氏名】浅井 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】平澤 暢
(72)【発明者】
【氏名】内藤 康夫
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰朗
(72)【発明者】
【氏名】黒▲柳▼ 信之
(72)【発明者】
【氏名】松原 茂雄
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-095252(JP,A)
【文献】特開2017-106187(JP,A)
【文献】特開2017-110428(JP,A)
【文献】特開2006-265965(JP,A)
【文献】特開平06-287943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/28
E02D 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張型鋼管杭の杭頭と注入ヘッドとを互いに接続する接続工程と、
前記接続工程の後に、前記杭頭及び前記注入ヘッドが互いに接続された状態で前記拡張型鋼管杭を地盤に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後に、前記注入ヘッドを通して前記拡張型鋼管杭の内部に圧力流体を注入する注入工程と、
前記杭頭から前記注入ヘッドを取り外す工程と
を含み、
前記注入ヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔の延在方向に沿って前記ヘッド本体の上面を見た時に前記上面内に位置するように前記上面から延出されたホース接続ジョイントと
を有している、
状補強体作成方法。
【請求項2】
拡張型鋼管杭の杭頭と注入ヘッドとを互いに接続する接続工程と、
前記接続工程の後に、前記杭頭及び前記注入ヘッドが互いに接続された状態で前記拡張型鋼管杭を地盤に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後に、前記注入ヘッドを通して前記拡張型鋼管杭の内部に圧力流体を注入する注入工程と、
前記杭頭から前記注入ヘッドを取り外す工程と
を含み、
前記注入ヘッドは、
内側に段部を有する筒状のヘッド本体と、
前記ヘッド本体の上面に設けられた開口から前記ヘッド本体の内側に進退自在に挿入されたインナープラグと
を有し、
前記ヘッド本体の前記上面に上蓋が接続されることにより、前記上蓋と前記段部との間に前記インナープラグが保持されている、
状補強体作成方法。
【請求項3】
前記注入ヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔の延在方向に沿って前記ヘッド本体の上面を見た時に前記上面内に位置するように前記上面から延出されたホース接続ジョイントと
を有している、
請求項2に記載の杭状補強体作成方法。
【請求項4】
前記上蓋は、前記注入ヘッドを杭打機に接続するためのアタッチメントが兼ねている、
請求項2又は3記載の杭状補強体作成方法。
【請求項5】
前記注入ヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔に挿入された前記杭頭に係合されて、前記杭頭挿入孔内で前記杭頭を保持するための保持機構と
を有しており、
前記保持機構は、前記ヘッド本体の下部に内蔵された複数のボールプランジャを有しており、前記ボールプランジャの先端が、前記ヘッド本体の下部の下部内周壁から前記杭頭挿入孔内に突出されているとともに、前記下部内周壁の内部に隠れるように前記杭頭挿入孔の径方向に進退可能とされている、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の杭状補強体作成方法。
【請求項6】
拡張型鋼管杭の杭頭と注入ヘッドとを互いに接続する接続工程と、
前記接続工程の後に、前記杭頭及び前記注入ヘッドが互いに接続された状態で前記拡張型鋼管杭を地盤に圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後に、前記注入ヘッドを通して前記拡張型鋼管杭の内部に圧力流体を注入する注入工程と、
前記杭頭から前記注入ヘッドを取り外す工程と
を含み、
前記注入ヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔に挿入された前記杭頭に係合されて、前記杭頭挿入孔内で前記杭頭を保持するための保持機構と
を有しており、
前記保持機構は、前記ヘッド本体の下部に内蔵された複数のボールプランジャを有しており、前記ボールプランジャの先端が、前記ヘッド本体の下部の下部内周壁から前記杭頭挿入孔内に突出されているとともに、前記下部内周壁の内部に隠れるように前記杭頭挿入孔の径方向に進退可能とされている、
杭状補強体作成方法。
【請求項7】
前記接続工程では、前記注入ヘッドが杭打機により吊り下げられており、前記注入ヘッドの下面の開口から前記注入ヘッドの内部に前記拡張型鋼管杭の前記杭頭が挿入されることで、前記拡張型鋼管杭の前記杭頭と前記注入ヘッドとが互いに接続される、
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の杭状補強体作成方法。
【請求項8】
前記杭打機は、前記注入ヘッドを搬送することができる、
請求項記載の杭状補強体作成方法。
【請求項9】
拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、前記拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔の延在方向に沿って前記ヘッド本体の上面を見た時に前記上面内に位置するように前記上面から延出されたホース接続ジョイントと
を備えている、注入ヘッド。
【請求項10】
拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、前記拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、
内側に段部を有する筒状のヘッド本体と、
前記ヘッド本体の上面に設けられた開口から前記ヘッド本体の内側に進退自在に挿入されたインナープラグと
を備え、
前記ヘッド本体の前記上面に上蓋が接続されることにより、前記上蓋と前記段部との間に前記インナープラグが保持されるように構成されている、
注入ヘッド。
【請求項11】
拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、前記拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の下面において開口するように前記ヘッド本体に設けられており、前記杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、
前記杭頭挿入孔に挿入された前記杭頭に係合されて、前記杭頭挿入孔内で前記杭頭を保持するための保持機構と
を備えており、
前記保持機構は、前記ヘッド本体の下部に内蔵された複数のボールプランジャを有しており、前記ボールプランジャの先端が、前記ヘッド本体の下部の下部内周壁から前記杭頭挿入孔内に突出されているとともに、前記下部内周壁の内部に隠れるように前記杭頭挿入孔の径方向に進退可能とされている、注入ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張型鋼管杭を地盤に圧入する杭状補強体作成方法及び拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の杭状補強体作成方法及び注入ヘッドとしては、例えば下記の特許文献1,2等に記載されている構成を挙げることができる。特許文献1には、先細り形状の圧入冶具を地盤に圧入した後にその圧入冶具を地盤から除去することにより、圧密又は締め固められた土により構成された内周壁を有する凹部を地盤に形成するとともに、その凹部内に杭頭が位置するように拡張型鋼管杭を地盤に圧入する杭状補強体作成方法が記載されている。凹部は、杭頭に注入ヘッドを取り付けるためのスペースを確保している。特許文献2には、地中の杭頭に容易に取り付けられるように取手が取り付けられた注入ヘッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-110426号公報
【文献】特開2017-110428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1では、圧入冶具により地盤に凹部を形成することを提案している。一般的な地盤であれば、このような方法にて、地盤に凹部を形成でき、凹部内の杭頭に注入ヘッドを取り付けることができる。しかしながら、軟弱な地盤の場合、又は補強材の頭部の収まりが著しく深い場合、重機を介して地盤を除去する作業が発生し、施工期間が長くなる。圧入冶具により地盤に凹部を形成しても、凹部が崩れて杭頭が土に埋まってしまうことがある。杭頭が土に埋まると、杭頭を掘り起こすとともに杭頭を掃除する必要が生じる。また、地下水面が高い地盤の場合には、凹部が崩れなくても杭頭が水面下に位置し杭頭の位置を確認しづらいことがある。すなわち、上記のような従来方法だけでは、注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じ、施工期間が長くなってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる杭状補強体作成方法及び注入ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る杭状補強体作成方法は、拡張型鋼管杭の杭頭と注入ヘッドとを互いに接続する接続工程と、接続工程の後に、杭頭及び注入ヘッドが互いに接続された状態で拡張型鋼管杭を地盤に圧入する圧入工程と、圧入工程の後に、注入ヘッドを通して拡張型鋼管杭の内部に圧力流体を注入する注入工程と、杭頭から注入ヘッドを取り外す工程とを含み、
注入ヘッドは、ヘッド本体と、ヘッド本体の下面において開口するようにヘッド本体に設けられており、杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、杭頭挿入孔の延在方向に沿ってヘッド本体の上面を見た時に上面内に位置するように上面から延出されたホース接続ジョイントとを有しているか、
注入ヘッドは、内側に段部を有する筒状のヘッド本体と、ヘッド本体の上面に設けられた開口からヘッド本体の内側に進退自在に挿入されたインナープラグとを有し、ヘッド本体の上面に上蓋が接続されることにより、上蓋と段部との間にインナープラグが保持されているか、又は
注入ヘッドは、ヘッド本体と、ヘッド本体の下面において開口するようにヘッド本体に設けられており、杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、杭頭挿入孔に挿入された杭頭に係合されて、杭頭挿入孔内で杭頭を保持するための保持機構とを有しており、保持機構は、ヘッド本体の下部に内蔵された複数のボールプランジャを有しており、ボールプランジャの先端が、ヘッド本体の下部の下部内周壁から杭頭挿入孔内に突出されているとともに、下部内周壁の内部に隠れるように杭頭挿入孔の径方向に進退可能とされている
【0007】
本発明の一態様に係る注入ヘッドは、拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、ヘッド本体と、ヘッド本体の下面において開口するようにヘッド本体に設けられており、杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、杭頭挿入孔の延在方向に沿ってヘッド本体の上面を見た時に上面内に位置するように上面から延出されたホース接続ジョイントとを備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る注入ヘッドは、拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、内側に段部を有する筒状のヘッド本体と、ヘッド本体の上面に設けられた開口からヘッド本体の内側に進退自在に挿入されたインナープラグとを備え、ヘッド本体の上面に上蓋が接続されることにより、上蓋と段部との間にインナープラグが保持されるように構成されている。
【0009】
さらに、本発明の一態様に係る注入ヘッドは、拡張型鋼管杭の杭頭と接続されて、拡張型鋼管杭に圧力流体を注入するための注入ヘッドであって、ヘッド本体と、ヘッド本体の下面において開口するようにヘッド本体に設けられており、杭頭が挿入されるための杭頭挿入孔と、杭頭挿入孔に挿入された杭頭に係合されて、杭頭挿入孔内で杭頭を保持するための保持機構とを備えており、保持機構は、ヘッド本体の下部に内蔵された複数のボールプランジャを有しており、ボールプランジャの先端が、ヘッド本体の下部の下部内周壁から杭頭挿入孔内に突出されているとともに、下部内周壁の内部に隠れるように杭頭挿入孔の径方向に進退可能とされている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る杭状補強体作成方法によれば、拡張型鋼管杭の杭頭と注入ヘッドとを互いに接続する接続工程と、接続工程の後に、杭頭及び注入ヘッドが互いに接続された状態で拡張型鋼管杭を地盤に圧入する圧入工程と、圧入工程の後に、注入ヘッドを通して拡張型鋼管杭の内部に圧力流体を注入する注入工程とを含むので、注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0011】
本発明の一態様に係る注入ヘッドによれば、杭頭挿入孔の延在方向に沿ってヘッド本体の上面を見た時に上面内に位置するようにホース接続ジョイントがヘッド本体の上面から延出されているので、拡張型鋼管杭とともに注入ヘッドが地盤に圧入される際にホース接続ジョイントが破損する虞を低減でき、より確実に注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る注入ヘッドによれば、ヘッド本体の上面に設けられた開口からヘッド本体の内側にインナープラグが進退自在に挿入されており、ヘッド本体内の段部と上蓋との間にインナープラグが保持されるように構成されているので、インナープラグをヘッド本体に螺合させる態様と比較して圧入時の圧力によりインナープラグ及びヘッド本体が破損する虞を低減でき、より確実に注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0013】
さらに、本発明の一態様に係る注入ヘッドによれば、保持機構が杭頭挿入孔内で杭頭を保持するので、拡張型鋼管杭の杭頭に注入ヘッドを取り付けた後に拡張型鋼管杭が脱落することを防止でき、より確実に注入ヘッドを取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による杭状補強体作成方法を示す説明図である。
図2図1の注入ヘッドの断面図である。
図3図2の注入ヘッドを示す平面図である。
図4図2の注入ヘッドの底面図である。
図5図1のアタッチメントを示す正面図である。
図6図5のアタッチメントを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態による杭状補強体作成方法を示す説明図である。本実施の形態の杭状補強体作成方法は、接続工程(ステップS1)、圧入工程(ステップS2)、注入工程(ステップS3)、取外工程(ステップS4)及び基礎形成工程(ステップS5)を含んでいる。
【0017】
接続工程(ステップS1)は、拡張型鋼管杭1の杭頭1aと注入ヘッド2とを互いに接続する工程である。
【0018】
拡張型鋼管杭1は、断面凹形状の鋼製異形管の両端がスリーブで密封されたものである。拡張型鋼管杭1の一端のスリーブが杭頭1aを構成している。杭頭1aには、拡張型鋼管杭1の内部に連通された開口部1bが設けられている。拡張型鋼管杭1は、内方に窪むように拡張型鋼管杭1の周壁が変形された拡張溝1cを有している。開口部1bを通して拡張型鋼管杭1の内部に圧力流体が注入されることで、拡張溝1cが拡げられ、拡張型鋼管杭1が径方向に拡張可能とされている。圧力流体としては、例えば高圧水等を用いることができる。
【0019】
注入ヘッド2は、杭頭1aの開口部1bを通して拡張型鋼管杭1の内部に圧力流体を注入するための器具である。注入ヘッド2には、注入ヘッド2に圧力流体を供給するためのホース3が接続されている。注入ヘッド2の具体的な構成については、後に図面を用いて説明する。
【0020】
注入ヘッド2には、アタッチメント4を介して杭打機5が接続されている。アタッチメント4の具体的な構成については、後に図面を用いて説明する。図1では杭打機5の一部のみを示している。
【0021】
本実施の形態の注入ヘッド2は、アタッチメント4を介して杭打機5により吊り下げられている。杭打機5は、敷地内の任意の位置に注入ヘッド2を搬送することができる。本実施の形態では、注入ヘッド2の下面の開口から注入ヘッド2の内部に拡張型鋼管杭1の杭頭1aが挿入されることで、拡張型鋼管杭1の杭頭1aと注入ヘッド2とが互いに接続されている。
【0022】
杭打機5は、拡張型鋼管杭1を地盤6に圧入するための建設機械である。ここでいう圧入とは、静荷重及び動荷重の少なくとも一方からなる圧力を拡張型鋼管杭1に加えて拡張型鋼管杭1を地盤6に押し入れることを意味する。静荷重又は動荷重のみで拡張型鋼管杭1を地盤6に押し入れることができる。また、静荷重を拡張型鋼管杭1に加えつつ、打撃による動荷重を拡張型鋼管杭1にさらに加えることにより、拡張型鋼管杭1を地盤6に押し入れることもできる。
【0023】
後に詳しく説明するように、本実施の形態の注入ヘッド2は、その注入ヘッド2に接続された拡張型鋼管杭1を保持できるように構成されている。換言すると、本実施の形態の注入ヘッド2は、注入ヘッド2に接続された拡張型鋼管杭1を人手により支えなくても、拡張型鋼管杭1が自重により注入ヘッド2から脱落することを防止できるように構成されている。杭打機5は、注入ヘッド2を介して吊り下げられた拡張型鋼管杭1を敷地内の任意の位置に搬送することができる。
【0024】
圧入工程(ステップS2)は、接続工程(ステップS1)の後に、杭頭1a及び注入ヘッド2が互いに接続された状態で拡張型鋼管杭1を地盤6に圧入する工程である。杭頭1aが地面の上に残るように拡張型鋼管杭1を地盤6に圧入してもよいが、杭頭1a及び注入ヘッド2が地中に位置するまで拡張型鋼管杭1を地盤6に圧入することができる。すなわち、本実施の形態の杭状補強体作成方法では、注入ヘッド2が拡張型鋼管杭1とともに地盤6に圧入され得る。
【0025】
注入工程(ステップS3)は、圧入工程(ステップS2)の後に、注入ヘッド2を通して拡張型鋼管杭1の内部に圧力流体を注入する工程である。拡張型鋼管杭1内に圧力流体が注入されることで、拡張溝1cが拡げられて拡張型鋼管杭1が径方向に拡張される。
【0026】
取外工程(ステップS4)は、注入工程(ステップS3)の後に、拡張型鋼管杭1の杭頭1aから注入ヘッド2を取り外す工程である。すなわち、本実施の形態の杭状補強体作成方法では、拡張型鋼管杭1のみが地盤6に残される。
【0027】
基礎形成工程(ステップS5)は、注入工程(ステップS3)の後に、根切りを行うとともに杭頭1aの上に基礎7を形成する工程である。
【0028】
次に、図2図1の注入ヘッド2の断面図であり、図3図2の注入ヘッド2を示す平面図であり、図4図2の注入ヘッド2の底面図である。注入ヘッド2としては任意の構成のものを使用することができるが、本実施の形態の杭状補強体作成方法には図2図4に示す注入ヘッド2を使用することが特に有用である。図2に示すように、本実施の形態の注入ヘッド2には、ヘッド本体20、インナープラグ21、ホース接続ジョイント22、第1環状パッキン23、スペーサリング24、第2環状パッキン25及び保持機構26が設けられている。
【0029】
ヘッド本体20は、円筒状の部材である。注入ヘッド2は、ヘッド本体20の下面200を先端として地盤6(図1参照)に圧入される。ヘッド本体20の下部外周面は先細り状のテーパ面201とされている。すなわち、本実施の形態の注入ヘッド2は、ヘッド本体20の下部は先細り形状とされており、地盤6に圧入される際の抵抗を小さくできるように構成されている。
【0030】
ヘッド本体20の内側には、ヘッド本体20の下面200と上面202との間を貫通する貫通孔203が設けられている。貫通孔203の下部は、ヘッド本体20の下面200において開口し、拡張型鋼管杭1の杭頭1aが挿入されるための杭頭挿入孔203aを構成している。拡張型鋼管杭1の杭頭1aは、ヘッド本体20の下面200の開口を通して杭頭挿入孔203aに挿入される。貫通孔203の上部は、ヘッド本体20の上面202において開口し、インナープラグ21が挿入されるためのインナープラグ挿入孔203bを構成している。
【0031】
また、ヘッド本体20の内側には、下部内周壁204、中間部内周壁205及び上部内周壁206が設けられている。下部内周壁204は、ヘッド本体20の下部に設けられており、貫通孔203の径方向203cに関して中間部内周壁205及び上部内周壁206の内側で延在されている。中間部内周壁205は、下部内周壁204の上部に設けられており、貫通孔203の径方向203cに関して上部内周壁206の内側かつ下部内周壁204の外側で延在されている。上部内周壁206は、中間部内周壁205の上部に設けられており、貫通孔203の径方向203cに関して下部内周壁204及び中間部内周壁205の外側で延在されている。下部内周壁204と中間部内周壁205との間には第1段部204aが形成されており、中間部内周壁205と上部内周壁206との間には第2段部205aが形成されている。
【0032】
本実施の形態のインナープラグ21は、端面に凹部21aを有する略円柱部材である。インナープラグ21は、凹部21aが下方に向かうようにヘッド本体20の上面202の開口を通してインナープラグ挿入孔203bに挿入されている。インナープラグ21の凹部21aには、拡張型鋼管杭1の杭頭1aが挿入される。インナープラグ21の下端は、第2段部205aに当接されている。
【0033】
インナープラグ21の外周面は、全体として上部内周壁206と平行な曲面によって構成されている。本実施の形態のインナープラグ21は、ヘッド本体20の内側に進退自在に挿入されている。ここでいう進退自在とは、貫通孔203の延在方向203dにインナープラグ21を押す又は引っ張ることでインナープラグ21を容易に進退させることができる状態を意味する。換言すると、本実施の形態のインナープラグ21はヘッド本体20に螺合されていない。インナープラグ21の外周面には、パッキンが嵌められた溝が形成されている。
【0034】
図3に特に表れているように、ヘッド本体20の上面202には、貫通孔203の周方向203eに互いに間隔を置いて複数の締結孔207が設けられている。ヘッド本体20の上面202にアタッチメント4が重ねられた状態で、ボルト等の締結部材が締結孔207に取り付けられることで、ヘッド本体20の上面202にアタッチメント4が接続される。ヘッド本体20の上面202にアタッチメント4が接続されることにより、アタッチメント4と第2段部205aとの間でインナープラグ21が保持される。本実施の形態のアタッチメント4は、インナープラグ21を保持するための上蓋を兼ねている。インナープラグ21を保持するための上蓋として、アタッチメント4とは別の部材を使用してもよい。
【0035】
ホース接続ジョイント22は、注入ヘッド2に圧力流体を供給するためのホース3が接続される部分である。本実施の形態のホース接続ジョイント22は、図2に示すように貫通孔203(杭頭挿入孔203a)の延在方向203dに沿ってヘッド本体20の上面202を見た時にその上面202内に位置するように上面202から延出されている。換言すると、ホース接続ジョイント22は、貫通孔203の径方向203cに関してヘッド本体20の上面202から突出されていない。このようにホース接続ジョイント22が上面202から延出されていることで、図1を用いて説明したように拡張型鋼管杭1とともに注入ヘッド2が地盤6に圧入される際に、ホース接続ジョイント22が破損する虞が低減される。
【0036】
図2に示すように、ヘッド本体20の内部には、ホース接続ジョイント22に連通された流路22aが設けられている。流路22aは、ホース接続ジョイント22から貫通孔203の延在方向203dに沿って下方に延びるとともに、中間部内周壁205の内側で貫通孔203の径方向203cに延び、中間部内周壁205において開口している。
【0037】
第1環状パッキン23、スペーサリング24及び第2環状パッキン25は、ヘッド本体20内の第1段部204aとインナープラグ21の下端との間に挟み込まれている。スペーサリング24は、杭頭挿入孔203a内に挿入された杭頭1aの溝部1dに対向するように配置されている。溝部1dには、拡張型鋼管杭1の内部に連通された開口部1bが設けられている。第1及び第2環状パッキン23,25は、スペーサリング24を挟むように配置されており、杭頭挿入孔203a内に挿入された杭頭1aの溝部1dの両側において杭頭1aの周壁に密接されるように配置されている。
【0038】
スペーサリング24には、スペーサリング24の周方向に互いに間隔をおいて複数の吐出穴240が設けられている。吐出穴240の間隔は、等間隔であることが好ましい。スペーサリング24の裏面とヘッド本体20の中間部内周壁205との間には、ホース接続ジョイント22からの流路22aに連通された環状の空隙部241が設けられている。ホース3及びホース接続ジョイント22を通して注入ヘッド2に供給された流体は、空隙部241に満たされるとともに吐出穴240から吐出される。杭頭1aが注入ヘッド2の杭頭挿入孔203a内に挿入されているとき、吐出穴240から吐出された流体が杭頭1aの開口部1bを通して拡張型鋼管杭1の内部に注入される。
【0039】
保持機構26は、杭頭挿入孔203aに挿入された杭頭1aに係合されて、杭頭挿入孔203a内で杭頭1aを保持するための機構である。保持機構26の構成は任意であるが、本実施の形態の保持機構26はヘッド本体20の下部に内蔵された複数のボールプランジャ260により構成されている。
【0040】
図4に特に表れているように、ボールプランジャ260は、貫通孔203(杭頭挿入孔203a)の周方向203eに互いに間隔を置いて配置されている。ボールプランジャ260の先端260aは、下部内周壁204から杭頭挿入孔203a内に突出されているとともに、下部内周壁204の内部に隠れるように貫通孔203の径方向203cに進退可能とされている。図2に特に表れているように、杭頭挿入孔203a内に挿入された杭頭1aの下部にボールプランジャ260の先端260aが進入することにより、各ボールプランジャ260が、杭頭挿入孔203aに挿入された杭頭1aに係合されて杭頭挿入孔203a内で杭頭1aを保持する。
【0041】
次に、図5図1のアタッチメント4を示す正面図であり、図6図5のアタッチメント4を示す底面図である。図5に示すように、アタッチメント4には、下部フランジ40、筒部41、上部フランジ42及び角柱部43が設けられている。これら下部フランジ40、筒部41、上部フランジ42及び角柱部43は互いに接合されている。
【0042】
下部フランジ40は、アタッチメント4の下部に配置されている円盤状の部分であり、上述のヘッド本体20の上面202に重ねられる部分である。図6に特に表れているように、下部フランジ40には、下部フランジ40の周方向に互いに間隔をおいて複数の締結孔400が設けられている。上述のようにヘッド本体20の上面202にアタッチメント4を接続する際、下部フランジ40の締結孔400にボルト等の締結部材が通される。
【0043】
また、下部フランジ40には、ヘッド本体20の上面202に下部フランジ40が重ねられた際にホース接続ジョイント22が挿通される切欠401が設けられている。下部フランジ40に切欠401が設けられていることで、下部フランジ40とホース接続ジョイント22との干渉が回避される。
【0044】
筒部41は、下部フランジ40の上部に配置された筒部材である。上部フランジ42は、筒部41の上部に設けられた円盤状の部分である。角柱部43は、上部フランジ42の上部に設けられた角柱部分である。角柱部43には、杭打機5との接続に利用できる貫通孔430が設けられている。また、角柱部43の外周四隅にはテーパ面431が設けられている。また、角柱部43の下部からは突起432が突出されており、この突起432は上部フランジ42を貫くとともに筒部41の内側に挿入されている。
【0045】
このような杭状補強体作成方法では、拡張型鋼管杭1の杭頭1aと注入ヘッド2とを互いに接続する接続工程と、接続工程の後に、杭頭1a及び注入ヘッド2が互いに接続された状態で拡張型鋼管杭1を地盤6に圧入する圧入工程と、圧入工程の後に、注入ヘッド2を通して拡張型鋼管杭1の内部に圧力流体を注入する注入工程とを含むので、注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。この構成は、軟弱な地盤及び地下水面が高い地盤に特に有用である。
【0046】
また、貫通孔203(杭頭挿入孔203a)の延在方向203dに沿ってヘッド本体20の上面202を見た時に上面202内に位置するようにホース接続ジョイント22がヘッド本体20の上面202から延出されているので、拡張型鋼管杭1とともに注入ヘッド2が地盤6に圧入される際にホース接続ジョイント22が破損する虞を低減でき、より確実に注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0047】
さらに、ヘッド本体20の上面202に設けられた開口からヘッド本体20の内側にインナープラグ21が進退自在に挿入されており、ヘッド本体20内の第2段部205aとアタッチメント4との間にインナープラグ21が保持されるように構成されているので、インナープラグ21をヘッド本体20に螺合させる態様と比較して圧入時の圧力によりインナープラグ21及びヘッド本体20が破損する虞を低減でき、より確実に注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0048】
さらにまた、注入ヘッド2を杭打機5に接続するためのアタッチメント4がインナープラグ21を保持するための上蓋を兼ねているので、部品点数を少なくできる。
【0049】
また、保持機構26が杭頭挿入孔203a内で杭頭1aを保持するので、拡張型鋼管杭の杭頭1aに注入ヘッド2を取り付けた後に拡張型鋼管杭1が脱落することを防止でき、より確実に注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0050】
さらに、注入ヘッド2が杭打機5により吊り下げられており、注入ヘッド2の下面の開口から注入ヘッド2の内部に拡張型鋼管杭1の杭頭1aが挿入されることで、拡張型鋼管杭1の杭頭1aと注入ヘッド2とが互いに接続されるので、拡張型鋼管杭1の杭頭1aと注入ヘッド2との接続をより容易に行うことができ、より確実に注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【0051】
さらにまた、杭打機5が注入ヘッド2を搬送することができるので、注入ヘッド2の取り扱いを容易にすることができる。特に、保持機構26により杭頭1aを保持できる態様の場合、注入ヘッド2とともに拡張型鋼管杭1もより容易に搬送でき、より確実に注入ヘッド2を取り付けるために付加作業が生じる環境において施工期間を短縮できる。
【符号の説明】
【0052】
1 拡張型鋼管杭
1a 杭頭
2 注入ヘッド
20 ヘッド本体
200 下面
202 上面
203a 杭頭挿入孔
21 インナープラグ
22 ホース接続ジョイント
26 保持機構
4 アタッチメント
5 杭打機
6 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6