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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/388 20060101AFI20220823BHJP
   E06B 9/262 20060101ALI20220823BHJP
   E06B 9/78 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
E06B9/388
E06B9/262
E06B9/78
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018069393
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019178581
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-218567(JP,A)
【文献】特開2018-048521(JP,A)
【文献】特開2008-266939(JP,A)
【文献】特開2016-089573(JP,A)
【文献】特開2007-009485(JP,A)
【文献】実開昭63-140497(JP,U)
【文献】特開2012-251311(JP,A)
【文献】実開昭56-86300(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0020240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
G03B 21/56-21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールを手引操作することにより前記レールに積層される遮蔽材を備え、
前記レールを前記手引操作する位置は、前記遮蔽材の下端から下方に離間した位置であり、
前記遮蔽材は、前後方向において前記レールを前記手引操作する位置と重なるように配置され、
前記レールは、前記レールを前記手引操作する位置に前後方向に延びる操作を備え、
前記遮蔽材の前後方向での中心は、前記操作の前後方向の中心よりも後方に位置する
遮蔽装置。
【請求項2】
レールと、
遮蔽材と、を備え、
前記レールの手引操作によって前記遮蔽材を昇降する遮蔽装置であって、
前記レールを前記手引操作する位置に前記レールに取り付けられる操作部を備え、
前記操作部は、前記遮蔽材の上下方向において前記遮蔽材の下方に位置し、かつ、前記操作部の一部が前記遮蔽材の前後方向において前記遮蔽材と重なり、
前記遮蔽材の前後方向での中心は、前記レールよりも前方に位置する
遮蔽装置。
【請求項3】
レールと、
遮蔽材と、
前記レールに接続される昇降コードと、を備え、
前記レールの手引操作によって前記遮蔽材を昇降する遮蔽装置であって、
前記レールは、前記レールを前記手引操作する位置に操作を備え、
前記操作は、前記遮蔽材の上下方向において前記遮蔽材の下方に位置し、かつ、前記遮蔽材の前後方向において前記遮蔽材と重なり、
前記操作の前後方向での位置は、前記昇降コードよりも前方であり、
前記遮蔽材の前後方向での中心は、前記昇降コードよりも前方に位置する
遮蔽装置。
【請求項4】
前記遮蔽材の前後方向において前記遮蔽材の重心が前記手引操作する位置に含まれるように配置された
請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記遮蔽材の前後方向において前記手引操作する位置は前記遮蔽材の占める範囲内である
請求項1から4のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記レールの前後方向での長さは、前記レールの上下方向での長さよりも短く、かつ、前記遮蔽材の前後方向での長さよりも短い
請求項1から5のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記レールは、操作補助具と係合する係合部を備え、
前記遮蔽材の前後方向での中心は、前後方向において前記係合部よりも前方に位置する
請求項1から6のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記レールを前記手引操作する位置は、前記遮蔽材の上下方向において前記レールの中心よりも下方に位置する
請求項1から7のいずれか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材、および、遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽材を昇降させる遮蔽装置の一例として、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、および、横型ブラインドが知られている。プリーツスクリーンやハニカムスクリーンは、遮蔽材としてスクリーンを備える。最上位置に位置するスクリーンの荷重は、スクリーンを吊下げる昇降コードに伝わる。スクリーンが徐々に下降するとき、下降した分のスクリーンの荷重は、昇降コードからヘッドボックスなどに移る。横型ブラインドは、遮蔽材として複数段のスラットを備える。各段のスラットが下降するとき、下降した分のスラットの荷重は、昇降コードからラダーコードなどに移る。
【0003】
遮蔽材を昇降させる駆動軸での回転トルクは、遮蔽材を下降させるほど、遮蔽材の荷重の低下に従い低下する。反対に、駆動軸での回転トルクは、遮蔽材を上昇させるほど、遮蔽材の荷重の増大に従い増大する。こうした駆動軸での回転トルクの変化は、駆動軸を駆動させる利用者に操作力の調整を強いている。そこで、上述した遮蔽装置では、遮蔽材の荷重とほぼ釣り合う回転トルクを駆動軸に予め加える定荷重ユニットを搭載し、遮蔽材の自動的な昇降を可能にする手引操作が可能な遮蔽装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-218567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した遮蔽装置では、手引操作を行うためのレバーが、前後方向において、スクリーンよりも前方に位置する。そのため、スクリーンを下方前側に向けて引き出したり、スクリーンを上方後側に向けて押し込んだりするように、スクリーンの前方から操作力が加わってしまう。すなわち、スクリーンを昇降させる本来の方向とは異なる方向に操作力が加わるため、上述した遮光装置では、こうした操作の円滑化が望まれている。
本発明は、操作の円滑化を可能にした遮蔽材、および、遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための遮蔽材は、レールを操作することにより前記レールに積層される遮蔽材であって、前記レールを操作する位置が前記遮蔽材の下端から下方に離間した位置であり、前記遮蔽材の前後方向において前記操作する位置と重なるように配置された。
上記課題を解決するための遮蔽装置は、レールの操作部に対する手引操作によって遮蔽材を昇降する遮蔽装置であって、前記操作部は、前記遮蔽材の上下方向において前記遮蔽材の下方に位置し、かつ、前記遮蔽材の前後方向において前記遮蔽材と重なる。
【0007】
上記遮蔽材は、前記遮蔽材の前後方向において前記遮蔽材の重心が前記操作する位置に含まれるように配置されてもよい。
上記遮蔽材は、前記遮蔽材の前後方向において前記操作する位置が前記遮蔽材の占める範囲内であってもよい。
上記遮蔽材において、前記遮蔽材の積層される方向は、前記レールの幅方向であってもよい。
上記遮蔽材において、前記レールは、前記操作する位置に、前記遮蔽材の前後方向に延びる操作片を備え、前記遮蔽材の前後方向での中心は、前記操作片の前後方向での中心よりも前方に位置してもよい。
【0008】
上記遮蔽材において、操作補助具と係合する係合部を備え、前記遮蔽材の前後方向での中心は、前後方向において前記係合部よりも前方に位置してもよい。
上記遮蔽装置において、前記操作部は、前記遮蔽材の上下方向において前記レールの中心よりも下方に位置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】遮蔽装置の一例であるプリーツスクリーンの正面構造、および、側面構造を示す図。
図2】ボトムハンドルの構造を示す斜視図。
図3】中間ハンドルの構造を示す斜視図。
図4】ボトムハンドルをボトムレールに取付ける過程を示す側面図。
図5】ボトムレールに取付けられたボトムハンドルを示す側面図。
図6】中間ハンドルを中間レールに取付ける過程を示す側面図。
図7】中間レールに取付けられた中間ハンドルを示す側面図。
図8】プリーツスクリーンと操作ハンドルとの位置関係を示す側面図。
図9】変更例のボトムハンドルを示す側面図。
図10】変更例のボトムハンドルを示す側面図。
図11】遮蔽装置の他の例であるハニカムスクリーンの正面構造、および、側面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から図8を参照して遮蔽装置の一実施形態を説明する。
図1が示すように、プリーツスクリーンは、遮蔽材の一例である上スクリーン10Aと、遮蔽材の一例である下スクリーン20Aとを備える。また、プリーツスクリーンは、ヘッドボックス100と、中間レール11Pと、ボトムレール21Pとを備える。
【0011】
各スクリーン10A,20Aは、上下方向にジグザグ状に折り曲げられている。上スクリーン10Aの上端は、ヘッドボックス100に接続されて、上スクリーン10Aの下端は、中間レール11Pに接続されている。上スクリーン10Aは、中間レール11Pの操作によって中間レール11Pに積層される。下スクリーン20Aの上端は、中間レール11Pに接続されて、下スクリーン20Aの下端は、ボトムレール21Pに接続されている。下スクリーン20Aは、ボトムレール21Pの操作によってボトムレール21Pに積層される。
【0012】
中間ハンドル12Aは、中間レール11Pの延在方向(左右方向)での中央に取付けられている。ボトムハンドル22Aは、操作部の一例であり、ボトムレール21Pの延在方向(左右方向)での中央に取付けられている。中間レール11Pは、前後方向を幅方向とし、左右方向から見て前後方向に延びる矩形状を有する。ボトムレール21Pは、上下方向を幅方向とし、左右方向から見て前後方向に延びる矩形状を有する。
【0013】
ヘッドボックス100は、前後方向に並ぶ2本の駆動軸101(図1では1本を図示)と、2体の巻き取りユニット102と、2体のギヤユニット103と、2体の定荷重ユニット104とを備える。各駆動軸101は、左右方向に延びる多角柱状を有する。
【0014】
各巻き取りユニット102は、昇降コード23の巻き取りと巻き出しとをレール11P,21Pごとに行う。各昇降コード13,23は、駆動伝達部材の一例であり、各スクリーン10A,20Aの前後方向における後端部(後側の折り目での継代)を通る。昇降コード23は、各スクリーン10A,20Aの前方からは視認不能である。ボトムレール21Pは、昇降コード13,23の直下に位置する。
【0015】
各ギヤユニット103は、駆動軸101の回転を変速して定荷重ユニット104に伝える。定荷重ユニット104は、ギヤユニット103に定荷重を出力する。
【0016】
ここで、各スクリーン10A,20Aや各レール11P,21Pは、昇降コード13,23を通じて、駆動軸101に回転トルクを与える。この荷重による回転トルクは、各駆動軸101において巻き出し方向に作用する。これに対して、定荷重ユニット104が出力する回転トルクは、各駆動軸101において巻き取り方向に作用する。そして、駆動軸101での回転トルクが釣り合って、各駆動軸101は、荷重による回転トルクでは回転せずに、静止した状態を保つ。
【0017】
一方で、各レール11P,21Pが持ち上げられると、荷重による回転トルクが一旦低下する。これによって、定荷重ユニット104による回転トルクが相対的に強まり、昇降コード13,23が巻き取られる。そして、各レール11P,21Pから操作力が除かれると、駆動軸101での回転トルクが再び釣り合って、各レール11P,21Pの上昇が止まる。
【0018】
なお、各レール11P,21Pが引き下げられると、昇降コード13,23が巻き出される。そして、各レール11P,21Pから操作力が除かれると、回転トルクが再び釣り合って、各レール11P,21Pの下降が止まる。すなわち、手引操作に従って各レール11P,21Pは動き、手引操作が終了した状態で、各レール11P,21Pは静止する。
【0019】
図2が示すように、ボトムハンドル22Aは、ハンドル本体221、および、操作片の一例である手引操作レバー222を備える。また、ボトムハンドル22Aは、左右で一対のポールサポート223、左右で一対の第1固定爪224、および、左右で一対の第2固定爪225を備える。
【0020】
ハンドル本体221は、ボトムレール21Pの前面、下面、および、後面に追従した形状を有する。例えば、ハンドル本体221は、左右方向から見てU字状を有する。ハンドル本体221の前方上端は、手引操作レバー222、および、第1固定爪224と一体である。
【0021】
ハンドル本体221の後面は、左右で一対の延設片225Aを備える。各延設片225Aは、上方に突き出る片持ち梁状を有する。各延設片225Aの上端部は、第2固定爪225と一体である。ハンドル本体221の前後方向の幅2WBは、各スクリーン10A,20Aの前後方向の幅の半分以下であり、各スクリーン10A,20Aの前後方向の幅よりも十分に小さい。
【0022】
手引操作レバー222は、ハンドル本体221の左右方向の全幅にわたって、ハンドル本体221から前方に突き出る板状を有する。手引操作レバー222の位置は、ボトムレール21Pを操作する位置である。手引操作レバー222は、上下方向に貫通したフック挿通孔22Hを備える。フック挿通孔22Hは、操作補助具と係合する係合部の一例である。フック挿通孔22Hは、左右方向に延びる長孔であって、手引操作レバー222における左右方向の中央に位置する。
【0023】
手引操作レバー222の上面は、左右で一対のフック止め22Tを備える。一対のフック止め22Tは、フック挿通孔22Hよりも前方に位置する。一対のフック止め22Tは、前後方向に延在する突条であって、左右方向に所定の間隔を空けて並ぶ。
【0024】
ポールサポート223は、ハンドル本体221の左右両端に位置し、ハンドル本体221から前方に向けて突き出る。ポールサポート223は、手引操作レバー222の下方に位置して、平坦な上端面であるサポート面を備える。一対のポールサポート223の隙間と、フック挿通孔22Hとは、上下方向で相互に対向する。
【0025】
ポールサポート223のサポート面は、手引操作レバー222に向けて突き出るポール止め226を備える。手引操作レバー222の下面は、ポール止め226と対向する位置に、ポール止め227を備える。手引操作レバー222と、左右で一対のポールサポート223との間の空間は、操作ポール30が保持される保持空間である。
【0026】
第1固定爪224は、手引操作レバー222から後方に向けて突き出る片持ち梁状を有する。一対の第1固定爪224は、手引操作レバー222の左右方向での両端に位置する。第2固定爪225は、延設片225Aの上端から前方に向けて突き出る。一対の第2固定爪225は、ハンドル本体221の左右方向での両端に位置する。
【0027】
図3が示すように、中間ハンドル12Aは、ハンドル本体121、および、手引操作レバー122を備える。また、中間ハンドル12Aは、左右で一対のポールサポート123、左右で一対の固定爪124、および、左右で一対の固定爪125を備える。
【0028】
ハンドル本体121は、中間レール11Pの前面、上面、および、下面に追従した形状をする。例えば、ハンドル本体121は、左右方向から見て逆コ字状を有する。ハンドル本体121の前後方向の幅は、中間レール11Pの前後方向の幅よりも十分に小さい。ハンドル本体121の前方上端は、手引操作レバー122、および、固定爪124と一体である。ハンドル本体121の後方下端は、固定爪125と一体である。
【0029】
手引操作レバー122は、ハンドル本体121の左右方向の全幅にわたって、ハンドル本体121から前方に突き出る板状を有する。手引操作レバー122は、上下方向に貫通したフック挿通孔12Hを備える。フック挿通孔12Hは、左右方向に延びる長孔であって、手引操作レバー122における左右方向の中央に位置する。手引操作レバー122の上面は、左右で一対のフック止め12Tを備える。一対のフック止め12Tは、フック挿通孔12Hよりも前方に位置する。一対のフック止め12Tは、前後方向に延在する突条であって、左右方向に所定の間隔を空けて並ぶ。
【0030】
ポールサポート123は、ハンドル本体121の左右両端に位置し、ハンドル本体121から前方に向けて突き出る。ポールサポート123は、手引操作レバー122の下方に位置して、平坦な上端面であるサポート面を備える。一対のポールサポート123の隙間と、フック挿通孔12Hとは、上下方向で相互に対向する。
【0031】
ポールサポート123のサポート面は、手引操作レバー122に向けて突き出るポール止め126を備える。手引操作レバー122の下面は、ポール止め126と対向する位置に、ポール止め127を備える。手引操作レバー122と、左右で一対のポールサポート123との間の空間は、操作ポール30が保持される保持空間である。
【0032】
固定爪124は、手引操作レバー122から後方に向けて突き出る片持ち梁状を有する。一対の固定爪124は、手引操作レバー222の左右方向での両端に位置する。固定爪125は、ハンドル本体121の後方端から上方に向けて突き出る。一対の固定爪125は、ハンドル本体121の左右方向での両端に位置する。
【0033】
図4が示すように、ボトムハンドル22Aがボトムレール21Pに取付けられるとき、まず、左右で一対の第1固定爪224が、ボトムレール21Pの前カバーの係止片21Aに引っ掛けられる。次いで、左右で一対の第2固定爪225がボトムレール21Pの上面を後方から覆うように、手引操作レバー222の前端が押し下げられる。例えば、ボトムレール21Pにおける下スクリーン20Aの生地押さえ21Bが押し込まれることによって、手引操作レバー222の押し下げは許容される。
【0034】
図5が示すように、手引操作レバー222の押し下げが進むと、第1固定爪224がボトムレール21Pに引っ掛けられた状態で、第2固定爪225がボトムレール21Pに引っ掛かる。これによって、ボトムハンドル22Aがボトムレール21Pを下方、および、後方から包むように、ボトムハンドル22Aがボトムレール21Pに取付けられる。そして、ボトムレール21Pの前方に、手引操作レバー222(ポール止め227)とポールサポート223(ポール止め226)とで挟まれた保持空間が、ボトムハンドル22Aで区切られる。
【0035】
図6が示すように、中間ハンドル12Aが中間レール11Pに取付けられるとき、まず、第1固定爪124と第2固定爪125との間に、中間レール11Pが前面から挿しこまれる。この際、第1固定爪124と第2固定爪125との間隔が広がるように、ボトムハンドル22Aが変形して、中間レール11Pの挿し込みが進む。
【0036】
図7が示すように、中間レール11Pの挿し込みが進むと、第1固定爪124が中間レール11Pの係止片11Aに引っ掛けられ、また、第2固定爪125が中間レール11Pの係止片11Cに引っ掛けられる。これによって、中間ハンドル12Aが中間レール11Pを前方から包むように、中間ハンドル12Aが中間レール11Pに取付けられる。これによって、中間レール11Pの前側には、手引操作レバー122(ポール止め127)とポールサポート123(ポール止め126)とで挟まれた保持空間が、中間ハンドル12Aで区切られる。
【0037】
[操作ハンドルの作用]
ボトムレール21Pに対する手引操作の一例として、スクリーン20Aがボトムレール21Pに積層されて、ボトムレール21Pが最上位置に引き上げられた状態から、ボトムレール21Pを引き下げる操作を説明する。
【0038】
図8が示すように、まず、操作ポール30のフックがフック挿通孔22Hに挿通されて、操作ポール30が、手引操作レバー222に吊下げられる。次いで、下スクリーン20Aを引き下げるための操作力が、操作ポール30から、手引操作レバー222、および、ボトムレール21Pを通して、昇降コード23に伝えられる。なお、手引操作レバー222は、上下方向において、ボトムレール21Pの中心よりも下方に位置する。
【0039】
この際、図8における前後方向の座標軸が示すように、下スクリーン20Aは、前後方向において、遮蔽範囲20Wを占めている。手引操作レバー222の前方端C0は、下スクリーン20Aの下方に位置し、かつ、前後方向においては、遮蔽範囲20Wに含まれている。そのため、手引操作レバー222に加わる操作力は、下スクリーン20Aの荷重とほぼ同一方向に作用する。結果として、手引操作レバー222に加わる操作力は、下スクリーン20Aを下方前側に向けて引き出すように作用せず、下スクリーン20Aを直下に向けて引き下げるように円滑に作用する。
【0040】
また、ボトムレール21Pは、上下方向に延びる断面矩形状を有して、昇降コード23の直下に吊下げられている。ボトムレール21Pの重心は、前後方向において、下スクリーン20Aの後端部とほぼ等しく、下スクリーン20Aの中心C2よりも後方に位置する。下スクリーン20Aの中心C2は、前後方向における中心であって、下スクリーン20Aの重心である。そして、ボトムレール21Pが上下方向に延びる形状であるから、ボトムレール21Pが左右方向に延びる形状と比べて、昇降コード23と手引操作レバー222との距離を、前後方向において、さらに短縮可能である。そのため、ボトムレール21Pでは、操作力が伝わる位置と、昇降コード23に支持される位置とを、前後方向において、より近づけることが可能となる。
【0041】
なお、下スクリーン20Aの前後方向での中心C2は、ヘッドボックス100の前後方向での中心C1よりも後方である。また、昇降コード23の前後方向での位置は、その下スクリーン20Aの中心C2よりも後方であって、下スクリーン20Aの後端部(下スクリーン20Aにおける後側の折り目での継代SB)である。すなわち、昇降コード23は、前後方向において、ヘッドボックス100の中心C1よりも後方であり、かつ、下スクリーン20Aの中心C2よりも後方に位置する。
【0042】
ここで、手引操作レバー222の位置は、前後方向において、下スクリーン20Aの中心C2を含む。また、フック挿通孔22Hの周囲は、手引操作レバー222の中で、操作ポール30から操作力が伝わる部位である。フック挿通孔22Hは、前後方向において、下スクリーン20Aの中心C2、もしくは、昇降コード23と同じく、下スクリーン20Aの中心C2よりも後方に位置する。すなわち、フック挿通孔22Hの位置と、昇降コード23の位置とは、いずれも中心C2よりも後方に位置する。それゆえに、ボトムレール21Pでは、操作力が伝わる位置と、昇降コード23に支持される位置とを、前後方向において、さらに近づけることが可能であって、操作力をさらに円滑に加えることが可能となる。
【0043】
なお、手引操作に使用された操作ポール30は、操作ポール30の延在方向と、ボトムレール21Pの延在方向とが一致するように、保持空間に向けて、ボトムレール21Pの前方から押し込まれる。押し込まれた操作ポール30は、左右で一対のポールサポート223に下方から支持された姿勢で、ボトムハンドル22Aに保持される。
【0044】
ポールサポート223のサポート面は、六角柱状をなす操作ポール30の一側面と面接触し、それによって、操作ポール30の姿勢を安定させる。また、上下方向で対向する各ポール止め226,227は、操作ポール30と当接し、それによって、保持空間から操作ポールが抜け落ちることを抑える。そして、操作ポール30は、非操作時の姿勢として、ボトムレール21Pの前方に視認可能に横置きされる。
【0045】
上記実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)手引操作レバー222が、下スクリーン20の下方に位置し、かつ、前後方向においては、遮蔽範囲20Wと重なるため、手引操作レバー222を引き下げる操作力は、下スクリーン20Aを下方前側に向けて引き出すように作用せず、下スクリーン20Aを下方に向けて引き下げるように作用する。そのため、昇降コード23が吊下げられる方向に沿って、操作力を円滑に加えることが可能となる。
【0046】
(2)さらに、手引操作レバー222が、前後方向において、遮蔽範囲20Wに含まれるため、上記(1)に準じた効果をさらに高めることが可能となる。
(3)ボトムレール21Pが、上下方向に延びる断面矩形状を有するため、遮蔽範囲20Wの中に手引操作レバー222を配置すること、すなわち、上記(2)に準じた構成を具体化することが容易となる。
【0047】
(4)また、昇降コード23と手引操作レバー222との距離を、前後方向において、短縮可能である。ボトムレール21Pの姿勢をほぼ保ちながら、下スクリーン20Aを下方に向けて引き下げることが可能となる。
【0048】
(5)また、手引操作レバー222が上下方向においてボトムレール21Pの中心よりも下方に位置する。そのため、手引操作レバー222と昇降コード23との前後方向での距離が同じである前提では、手引操作レバー222を引き下げながら、手引操作レバー222を昇降コード23の直下に配置させる際に、昇降コード23の下端を中心としたボトムレール21Pの回転を抑えることが可能となる。結果として、上記(4)に準じた効果をさらに高めることが可能となる。
【0049】
(6)フック挿通孔22Hが、前後方向において、下スクリーン20Aの中心C2よりも後方に位置するため、ボトムレール21Pでは、操作力が伝わる位置と、昇降コード23に支持される位置とを、前後方向において、さらに近づけることが可能である。それゆえに、上記(4)に準じた効果をさらに高めることが可能となる。
【0050】
(7)手引操作用の操作ポール30が、非操作時とは異なる姿勢で、各ハンドル12A,22Aに保持されるため、手引操作の実施に際しては、各ハンドル12A,22Aから操作ポール30が取出され、手引操作の完了に際しては、各ハンドル12A,22Aに操作ポール30が保持される。結果として、手引操作前であれ、手引操作中であれ、手引操作後であれ、操作対象となる各レール11P,21Pを操作ポール30の所在に設定可能であるから、操作ポール30の取扱性が向上可能である。
【0051】
(8)また、手引操作時における操作ポール30の姿勢と、非操作時における操作ポール30の姿勢とが相互に異なるため、非操作時における操作ポール30の姿勢として、上述した横置きのように、遮蔽に特化した姿勢が設定可能となる。
【0052】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[操作部]
・手引操作レバー222の位置は、下スクリーン20Aの重心を含む位置であって、下スクリーン20Aの重心と、下スクリーン20Aの中心C2とは、相互に異なる位置であってもよい。なお、下スクリーン20Aの位置は、前後方向において手引操作レバー222の位置と重なるように配置される構成であればよく、手引操作レバー222の位置が、前後方向において下スクリーン20Aの重心を含まなくともよい。ただし、手引操作レバー222の位置が、前後方向において下スクリーン20Aの重心を含む構成であれば、上記(1)(2)に準じた効果が高まる。
・遮蔽装置は、ボトムハンドル22Aを省略し、ボトムレール21Pと一体の操作部を備える構成に変更可能である。図9が示すように、操作部21Hは、前後方向に延びるレバーであってもよいし、前方下側に延びるレバーであってもよいし、下方に延びるレバーであってもよい。また、図10が示すように、操作部21Hは、ボトムレール21Pの前面にて後方に向けた窪みであってもよいし、下面にて上方に向けた窪みであってもよいし、後面にて前方に向けた窪みであってもよい。
・中間レール11Pは、左右方向に並ぶ複数のハンドルを備えることも可能である。各ボトムレール21Pは、左右方向に並ぶ複数のボトムハンドルを備えることも可能である。なお、各レールに作用する操作力がレールの長手方向で偏ることを抑える観点から、複数の中間ハンドルや複数のボトムハンドルは、左右で一対の昇降コードに挟まれることが好ましい。また、複数の中間ハンドルや複数のボトムハンドルは、各レールの左右方向での中心に対して左右対称に位置することが好ましい。
【0053】
・ボトムレール21Pは、手引操作レバー222と一体に構成されることも可能である。すなわち、遮蔽装置において、レールと操作部とは、別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0054】
・中間レール11Pは、中間ハンドル12Aとは異なる部位に、操作ポールを保持するための保持空間を区分することも可能である。この際、中間レール11Pは、手引操作レバーとポール支持部と一体であって、保持空間を区分することも可能である。
【0055】
・ボトムレール21Pは、ボトムハンドル22Aとは異なる部位に、操作ポールを保持するための保持空間を区分することも可能である。この際、ボトムレール21Pは、手引操作レバーとポール支持部と一体であって、保持空間を区分することも可能である。
・手引操作レバー222は、前後方向において、遮蔽範囲20Wよりも前方に突き出る部分を有してもよい。
【0056】
・フック挿通孔22H、および、フック止め22Tの少なくとも一方は、前後方向において、下スクリーン20Aの中心C2よりも後方に位置する。すなわち、フック止め22Tは、前後方向において、中心C2よりも後方に位置可能である。また、フック止め22Tは、フック挿通孔22Hよりも後方に位置可能である。
【0057】
・手引操作レバーと操作補助具とは、フックと手引操作レバーとの係合による操作補助具の吊下げを、手引操作レバーと操作補助具との嵌合による吊下げ、または、手引操作レバーと操作補助具との磁気吸着による吊下げに変更可能である。要は、手引操作レバーと操作補助具とは、手引操作レバーに操作補助具を吊下げる構成であればよい。
【0058】
・遮蔽装置は、レールの操作部として、レールが備える窪み、切り欠き、突起、磁性体を備えることも可能である。この際、遮蔽装置は、手引操作レバーを省略することも可能である。要は、遮蔽装置は、上下方向において遮蔽材の下方に位置し、かつ、前後方向において遮蔽材と重なる操作部を備える構成であればよい。
・操作部は、ボトムレールに対して可動可能に構成されてもよい。例えば、図11が示すように、操作部の一例である操作ポール30は、鉛直面に沿って回転可能に、ボトムレール21Pの下面に軸支されている。操作ポール30は、ハニカム生地20Qの下方に位置し、かつ、前後方向においては、ハニカム生地20Qの遮蔽範囲と重なる。図11の破線が示すように、操作時の姿勢では、操作ポール30は鉛直方向に延在し、図11の実線が示すように、非操作時の姿勢では、操作ポール30は左右方向に延在する。ボトムレール21Pは、下方に向けて開口したC字状の保持部21Wを備える。そして、非操作時の操作ポール30は、保持部21Wに挟持される。この際、ボトムレール21Pの底面が上方に向けた窪みを備え、非操作時の操作ポール30が窪みに収納されて視認不能に構成可能である。
この構成によっても、上述した効果に準じた効果は得られる。また、非操作時の操作ポール30が視認不能であるから、操作ポール30を搭載しない遮蔽装置と同等の意匠性を、操作ポール30を搭載した遮蔽装置において得られる。
【0059】
[操作補助具]
・手引操作に用いられる操作補助具は、操作ポール30のような直線状に限らず、例えば、曲線状、折線状などの各種棒状を採用可能である。また、操作補助具は、紐状、環状などの各種形状を採用可能である。
【0060】
[遮蔽装置]
・遮蔽装置は、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、横型ブラインドのいずれか一種である。遮蔽材は、プリーツ生地、ハニカム生地、スラットのいずれか一種である。
【0061】
・遮蔽装置は、1体の遮蔽材を備える形式、複数の遮蔽材が上下に並ぶ形式、あるいは、複数の遮蔽材が前後に並ぶ形式に変更可能である。要は、遮蔽装置は、レールの操作部に対する手引操作によって遮蔽材を昇降する装置であればよい。
【符号の説明】
【0062】
C1,C2…中心、SB…継代、2WB…幅、10A…上スクリーン、11A,11C…係止片、11B,11D…生地押さえ、11P…中間レール、12A…中間ハンドル、12H…フック挿通孔、12T…フック止め、13,23…昇降コード、20A…下スクリーン、20W…遮蔽範囲、21P…ボトムレール、21A…係止片、21B…生地押さえ、22A…ボトムハンドル、22H…フック挿通孔、22T…フック止め、30…操作ポール、100…ヘッドボックス、101…駆動軸、102…巻き取りユニット、103…ギヤユニット、104…定荷重ユニット、121,221…ハンドル本体、122,222…手引操作レバー、123,223…ポールサポート、124,224…第1固定爪、125,225…第2固定爪、126,127,226,227…ポール止め、225A…延設片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11