(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】遮蔽壁
(51)【国際特許分類】
G21F 3/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G21F3/00 S
G21F3/00 L
(21)【出願番号】P 2018079133
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】小田川 雅信
(72)【発明者】
【氏名】乗物 丈巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正樹
(72)【発明者】
【氏名】平沼 靖博
(72)【発明者】
【氏名】柳 博通
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-238495(JP,A)
【文献】特開2017-207371(JP,A)
【文献】特開2007-046996(JP,A)
【文献】実開昭55-121816(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 3/00
E04B 2/00
E04C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁であり、当該遮蔽壁よりも建物の外側又は内側に設けられる放射線源からの放射線を遮蔽するための遮蔽壁であって、
前記遮蔽壁は、開口部の近傍に設置されて、前記開口部を封止するものであり、
前記複数の遮蔽ブロックは、
第1遮蔽ブロックと、
前記第1遮蔽ブロックに隣接し、且つ前記第1遮蔽ブロックよりも上方に位置する第2遮蔽ブロックと、を含み、
前記第1遮蔽ブロックは、
第1遮蔽ブロック本体と、
前記第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて突出する凸部と、を備え、
前記第2遮蔽ブロックは、
第2遮蔽ブロック本体と、
前記第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて窪んだ凹部であって、当該凹部によって前記凸部の水平移動が制限されるように、前記凸部と嵌合可能な凹部と、を備え、
前記第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、
前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面として形成し、
前記第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、前記第1遮蔽面と対応するように形成される遮蔽面であって前記第1遮蔽面と当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面として形成し、
前記複数の遮蔽ブロックのうち最下方に位置する前記遮蔽ブロックの下面が前記開口部の下端よりも下方に位置するように、前記遮蔽壁を設置した、
遮蔽壁。
【請求項2】
上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁であり、当該遮蔽壁よりも建物の外側又は内側に設けられる放射線源からの放射線を遮蔽するための遮蔽壁であって、
前記複数の遮蔽ブロックは、
第1遮蔽ブロックと、
前記第1遮蔽ブロックに隣接し、且つ前記第1遮蔽ブロックよりも上方に位置する第2遮蔽ブロックと、を含み、
前記第1遮蔽ブロックは、
第1遮蔽ブロック本体と、
前記第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて突出する凸部と、を備え、
前記第2遮蔽ブロックは、
第2遮蔽ブロック本体と、
前記第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて窪んだ凹部であって、当該凹部によって前記凸部の水平移動が制限されるように、前記凸部と嵌合可能な凹部と、を備え、
前記第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、
前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面として形成し、
前記第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、前記第1遮蔽面と対応するように形成される遮蔽面であって前記第1遮蔽面と当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面として形成し、
前記遮蔽壁が設けられる設置面に、前記第1遮蔽ブロックのうち最下方に位置する前記第1遮蔽ブロックの前記凹部に嵌合可能な凸部材を設けた、
遮蔽壁。
【請求項3】
前記第1遮蔽面及び前記第2遮蔽面の各々を、当該遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成した、
請求項1又は2に記載の遮蔽壁。
【請求項4】
前記凸部の上面部分又は前記凹部における前記凸部の上面部分と対向する対向部分の少なくともいずれか一方を、前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第3遮蔽面として形成した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性物質が取り扱われる施設(例えば、原子力施設)又は放射線が発生する施設(例えば、加速器施設)を対象として、放出される放射線を遮蔽する技術が提案されている。この技術においては、例えば、放射性遮蔽材組成物により成形された複数の遮蔽ブロックを上下方向に積み重ねることで遮蔽壁が構成されている。また、複数の遮蔽ブロックのうち隣接する遮蔽ブロックの合せ面(具体的には、当該遮蔽ブロックの上面又は下面)が、遮蔽壁の表面から裏面にわたって非直線状となる非直線面であり、且つ当該合せ面の幅方向の全長にわたって形成される非直線面に形成されている。このような構成により、隣接する遮蔽ブロック同士の隙間を介して放射線が通過することを防止でき、当該放射線を効果的に遮蔽することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、上述したように、上記隣接する遮蔽ブロックの合せ面が、遮蔽壁の表面から裏面にわたって非直線状となる非直線面であり、且つ当該合せ面の幅方向の全長にわたって形成される非直線面であるので、遮蔽ブロックの幅方向の移動を許容することになることから、例えば、遮蔽壁に地震力が作用した際に、一部の遮蔽ブロックが脱落するおそれがあった。したがって、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させる観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させること可能となる、遮蔽壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の遮蔽壁は、上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁であり、当該遮蔽壁よりも建物の外側又は内側に設けられる放射線源からの放射線を遮蔽するための遮蔽壁であって、前記遮蔽壁は、開口部の近傍に設置されて、前記開口部を封止するものであり、前記複数の遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロックと、前記第1遮蔽ブロックに隣接し、且つ前記第1遮蔽ブロックよりも上方に位置する第2遮蔽ブロックと、を含み、前記第1遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロック本体と、前記第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて突出する凸部と、を備え、前記第2遮蔽ブロックは、第2遮蔽ブロック本体と、前記第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて窪んだ凹部であって、当該凹部によって前記凸部の水平移動が制限されるように、前記凸部と嵌合可能な凹部と、を備え、前記第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面として形成し、前記第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、前記第1遮蔽面と対応するように形成される遮蔽面であって前記第1遮蔽面と当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面として形成し、前記複数の遮蔽ブロックのうち最下方に位置する前記遮蔽ブロックの下面が前記開口部の下端よりも下方に位置するように、前記遮蔽壁を設置した。
【0007】
請求項2に記載の遮蔽壁は、上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁であり、当該遮蔽壁よりも建物の外側又は内側に設けられる放射線源からの放射線を遮蔽するための遮蔽壁であって、前記複数の遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロックと、前記第1遮蔽ブロックに隣接し、且つ前記第1遮蔽ブロックよりも上方に位置する第2遮蔽ブロックと、を含み、前記第1遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロック本体と、前記第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて突出する凸部と、を備え、前記第2遮蔽ブロックは、第2遮蔽ブロック本体と、前記第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて窪んだ凹部であって、当該凹部によって前記凸部の水平移動が制限されるように、前記凸部と嵌合可能な凹部と、を備え、前記第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面として形成し、前記第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、前記第1遮蔽面と対応するように形成される遮蔽面であって前記第1遮蔽面と当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面として形成し、前記遮蔽壁が設けられる設置面に、前記第1遮蔽ブロックのうち最下方に位置する前記第1遮蔽ブロックの前記凹部に嵌合可能な凸部材を設けた。
【0008】
請求項3に記載の遮蔽壁は、請求項1又は2に記載の遮蔽壁において、前記第1遮蔽面及び前記第2遮蔽面の各々を、当該遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成した。
【0009】
請求項4に記載の遮蔽壁は、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮蔽壁において、前記凸部の上面部分又は前記凹部における前記凸部の上面部分と対向する対向部分の少なくともいずれか一方を、前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第3遮蔽面として形成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の遮蔽壁によれば、第1遮蔽ブロックが、第1遮蔽ブロック本体と、第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられた凸部と、を備え、第2遮蔽ブロックが、第2遮蔽ブロック本体と、第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられた凹部であって、当該凹部によって凸部の水平移動が制限されるように、凸部と嵌合可能な凹部と、を備えたので、凸部と凹部との嵌合によって第1遮蔽ブロックの水平移動を制限でき、第1遮蔽ブロックが脱落することを回避できる。また、第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、放射線の放射方向に非平行な第1遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される第1遮蔽面として形成し、第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、第1遮蔽面と対応するように形成される第2遮蔽面として形成したので、第1遮蔽面又は第2遮蔽面によって放射線を遮蔽でき、放射線が遮蔽壁を通過することを回避できる。したがって、従来技術(隣接する遮蔽ブロックの合せ面を幅方向の全長にわたって形成される非直線面とする技術)に比べて、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させることが可能となる。
また、最下方に位置する遮蔽ブロックの下面が開口部の下端よりも下方に位置するように、遮蔽壁を設置したので、最下方の遮蔽ブロックの下面が開口部の下端と面一である場合に比べて、最下方の遮蔽ブロックの下面と設置面との隙間を介して放射線が通過することを回避でき、遮蔽性をさらに向上できる。
【0011】
請求項2に記載の遮蔽壁によれば、第1遮蔽ブロックが、第1遮蔽ブロック本体と、第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられた凸部と、を備え、第2遮蔽ブロックが、第2遮蔽ブロック本体と、第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられた凹部であって、当該凹部によって凸部の水平移動が制限されるように、凸部と嵌合可能な凹部と、を備えたので、凸部と凹部との嵌合によって第1遮蔽ブロックの水平移動を制限でき、第1遮蔽ブロックが脱落することを回避できる。また、第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、放射線の放射方向に非平行な第1遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される第1遮蔽面として形成し、第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、第1遮蔽面と対応するように形成される第2遮蔽面として形成したので、第1遮蔽面又は第2遮蔽面によって放射線を遮蔽でき、放射線が遮蔽壁を通過することを回避できる。したがって、従来技術(隣接する遮蔽ブロックの合せ面を幅方向の全長にわたって形成される非直線面とする技術)に比べて、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の遮蔽壁によれば、第1遮蔽面及び第2遮蔽面の各々を、当該遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成したので、第1遮蔽面を遮蔽壁の外側に向かうにつれて上方に傾斜するように形成した場合に比べて、第1遮蔽ブロック本体の上面に水が溜まることを抑制でき、浸水による遮蔽壁の劣化を抑制できる。
【0013】
請求項4に記載の遮蔽壁によれば、凸部の上面部分又は凹部における凸部の上面部分と対向する対向部分の少なくともいずれか一方を、前記遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成された第3遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される第3遮蔽面として形成したので、凸部の上面部分又は凹部の上面部分によって放射線を遮蔽することができ、凸部の上面部分又は凹部の上面部分が平坦状である場合に比べて、遮蔽性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る遮蔽壁の概要を示す正面図である。
【
図4】中段遮蔽ブロックを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はB-B矢視断面図である。
【
図5】下段遮蔽ブロックを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はC-C矢視断面図である。
【
図6】上段遮蔽ブロックを示す図であり、(a)は斜視図、(b)はD-D矢視断面図である。
【
図7】中段遮蔽ブロックの変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はE-E矢視断面図である。
【
図8】中段遮蔽ブロックの変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はF-F矢視断面図である。
【
図9】中段遮蔽ブロックの変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はG-G矢視断面図である。
【
図10】中段遮蔽ブロックの変形例を示す断面図であって、
図4(b)に対応する断面図である
【
図11】遮蔽壁の変形例を示す側面図であって、
図2に対応する側面図である。
【
図12】遮蔽壁の変形例を示す側面図であって、
図2に対応する側面図である。
【
図13】遮蔽壁の変形例を示す断面図であって、
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る遮蔽壁の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、放射線を遮蔽するための遮蔽壁であり、上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁に関する。遮蔽壁の適用対象については任意であるが、例えば、建物の内部から外部に向けて放射線が放出される可能性がある建物(一例として、原子力施設、加速器施設、放射線が利用される研究施設、医療施設)や、建物の外部から内部に向けて放射線が放出される可能性がある建物に適用することができる。放射線の具体的な種類は任意であるが、例えば、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、ガンマ線(γ線)、X線、中性子線を含む概念である。また、放射線の放射方向については、実施の形態では、水平方向(後述の前後方向又は後述の左右方向)に略沿った方向として説明するが、これに限らず、例えば、水平方向に対して傾斜した方向であってもよい。
【0017】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0018】
(構成)
最初に、実施の形態に係る遮蔽壁の構成と、この遮蔽壁が設置される建物の構成とについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る遮蔽壁の概要を示す正面図である。
図2は、
図1の右側面図である。
図3は、
図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。ここで、
図1のX方向を遮蔽壁の左右方向又は幅方向(-X方向を遮蔽壁の左方向、+X方向を遮蔽壁の右方向)、
図2のY方向を遮蔽壁の前後方向(+Y方向を遮蔽壁の前方向、-Y方向を遮蔽壁の後方向)、
図1のZ方向を遮蔽壁の上下方向(+Z方向を遮蔽壁の上方向、-Z方向を遮蔽壁の下方向)と称する。
【0019】
(構成-建物)
建物1は、放射線が利用される研究施設として説明する。この建物1は、例えば鉄筋コンクリート造で構成されており、所定の敷地内に設けられており、
図1から
図3に示すように、床部1a、柱部(図示省略)、梁部(図示省略)、及び壁部1bを備えている。
【0020】
床部1aは、建物1を構成する床であり、相互に間隔を隔てて上下方向に向けて複数並設されている。また、柱部は、床部1aを支持する柱であり、床部1a同士の相互間に複数設けられている。また、梁部は、床部1aを支持する梁であり、各床部1aの下面と当接するように複数設けられている。また、壁部1bは、床部1a同士の相互間を仕切るための壁であり、床部1a同士の相互間に複数設けられている。
【0021】
また、
図1から
図3に示すように、複数の壁部1bのうち前方側の壁部1bには、開口部1c及び扉1dが設けられている。このうち、開口部1cは、研究施設に各種装置を搬入出するための開口である。この開口部1cは、
図1に示すように、横長の長方形状にて形成されており、当該開口部1cの下端が床面の上面に位置するように配置されている。また、この開口部1cの具体的な大きさについては任意であるが、例えば、開口部1cの左右方向の長さ及び上下方向の長さについては、上記各種装置を搬入出することが可能な長さに設定している。また、扉1dは、開口部1cを開閉するためのものであり、例えば公知の扉(一例として、両開き式の扉)を用いて構成され、建物1の壁部1bに対して図示しないヒンジ部材(例えば、公知の丁番)を介して回動可能に軸支されている。
【0022】
(構成-遮蔽壁)
図1に戻り、遮蔽壁2は、開口部1cを介して建物1の外部に向けて(
図2では、右方から左方に向けて)放射する放射線(図示省略)を遮蔽するための壁であって、開口部1cを封止するための壁である。この遮蔽壁2は、
図1から
図3に示すように、建物1の外部において設けられており、具体的には、開口部1cの近傍位置であって建物1の壁部1bと当接しない位置において、設置面3に対して立設されている。なお、この設置面3は、実施の形態では、
図2に示すように、建物1の床部1aよりも下方に設けられているものとする。また、
図1から
図3では、遮蔽壁2が扉1dの開閉を妨げてしまう位置に設けられているが、その理由は、以下に示す通りとなる。すなわち、扉1dによって開口部1cの開閉を行うことよりも、放射線を遮蔽することを優先させるためであり、且つ扉1dを開閉操作する頻度が少ないので、扉1dの使用に対する支障が生じにくいためである。
【0023】
また、遮蔽壁2の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では、正面側から見て遮蔽壁2によって開口部1c全体が覆われるような形状及び大きさに設定している。具体的には、遮蔽壁2の正面形状については、
図1に示すように、横長な長方形状に設定している。また、遮蔽壁2の左右方向の長さ(幅)については、開口部1cの左右方向の長さよりも長く設定している。また、遮蔽壁2の前後方向の長さ(奥行)については、遮蔽壁2の遮蔽性能が所望の遮蔽性能に達している限り短く設定することが望ましく、実験結果等に基づいて設定している。また、遮蔽壁2の上下方向の長さ(高さ)については、開口部1cの上下方向の長さよりも長く設定している。
【0024】
また、この遮蔽壁2は、
図1、
図2に示すように、遮蔽ブロック10~70を備えて構成されている。
【0025】
(構成-遮蔽壁-遮蔽ブロック)
図1に戻り、遮蔽ブロック10~70は、遮蔽壁2の基本構造体であり、
図1、
図2に示すように、設置面3に対して上下方向に積み重ねて設けられており、具体的には、下方から上方に向けて遮蔽ブロック10~70の順に設けられている。
【0026】
また、遮蔽ブロック10~70の材質については任意であるが、放射線の遮蔽性が高い材質が望ましく、実施の形態では、普通コンクリートで構成している。ただし、これに限らず、普通コンクリート以外の材質で構成してもよい。例えば、水素密度が高い材料(ポリエチレン、パラフィン、石膏)で構成してもよい。あるいは、ホウ素、ホウ素鉱物(コレマナイト等)、ガドリニウム、カドミウム、及びリチウムからなる群より選択される元素又はその同位体の少なくとも1種の熱中性子吸収断面積の大きな元素を含む材料で構成してもよい。あるいは、鉛、タングステン、ビスマス、鉄、酸化鉄、鉄鉱石、磁鉄鉱、赤鉄鉱、重晶石、バリウム、及びバリウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有する材料で構成してもよい。
【0027】
なお、以下では、必要に応じて、これら遮蔽ブロック10~70のうち、最下方に位置する遮蔽ブロック10を「下段遮蔽ブロック10」と称し、最上方に位置する遮蔽ブロック70を「上段遮蔽ブロック70」と称し、上段遮蔽ブロック70と下段遮蔽ブロック10との相互間に位置する遮蔽ブロック20~60を「中段遮蔽ブロック20~60」と称する。また、これら遮蔽ブロック10~70を特に区別する必要のないときは、単に「遮蔽ブロック80」と総称する。
【0028】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細)
次に、遮蔽壁2の構成の詳細について説明する。なお、以下では、遮蔽壁2の構成の詳細については、遮蔽ブロック80の構成の詳細と、遮蔽ブロック80以外の構成の詳細とについて説明する。
【0029】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-中段遮蔽ブロック)
まず、遮蔽ブロック80の構成の詳細のうち、中段遮蔽ブロック20~60の構成の詳細について説明する。
図4は、中段遮蔽ブロック30を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はB-B矢視断面図である。ただし、これら中段遮蔽ブロック20~60の各々の構成はそれぞれ略同一であるので、以下では、中段遮蔽ブロック30の構成のみについて説明することとする。なお、この中段遮蔽ブロック30は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0030】
実施の形態において、中段遮蔽ブロック30は、
図1に示すように、中段遮蔽ブロック40よりも下方に位置する第1遮蔽ブロックであると共に、中段遮蔽ブロック20よりも上方に位置する第2遮蔽ブロックである。この中段遮蔽ブロック30は、
図1、
図2、
図4に示すように、中段側遮蔽ブロック本体31と、中段側遮蔽ブロック本体31の上面に設けられた中段側凸部32と、中段側遮蔽ブロック本体31の下面に設けられた中段側凹部33とを備えている。
【0031】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-中段遮蔽ブロック-中段側遮蔽ブロック本体)
中段側遮蔽ブロック本体31は、中段遮蔽ブロック30の基本構造体である。この中段側遮蔽ブロック本体31は、長尺な略中実直方体にて形成されており、
図2、
図4に示すように、中段遮蔽ブロック20と中段遮蔽ブロック40との相互間において、当該中段側遮蔽ブロック本体31の長手方向が水平方向に略沿うように設けられている。
【0032】
また、中段側遮蔽ブロック本体31の具体的な大きさについては任意であるが、実施の形態では、以下の通りに設定している。すなわち、中段側遮蔽ブロック本体31の左右方向の長さ(幅)については、
図4(a)に示すように、遮蔽壁2の左右方向の長さと同一に設定している。また、中段側遮蔽ブロック本体31の前後方向の長さ(奥行)については、
図4に示すように、遮蔽壁2の前後方向の長さと同一に設定している。また、中段側遮蔽ブロック本体31の上下方向の長さ(高さ)については、遮蔽壁2の上下方向の長さよりも短く設定している。
【0033】
また、中段側遮蔽ブロック本体31の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、以下の通りに構成されている。
【0034】
すなわち、まず、中段側遮蔽ブロック本体31の上面の少なくとも一部は、放射線の放射方向(水平方向に沿った方向)に非平行な遮蔽面であって当該上面の幅方向(左右方向)の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面31aとして形成されている。具体的には、第1遮蔽面31aは、前側第1遮蔽面31b及び後側第1遮蔽面31cを備えている。このうち、前側第1遮蔽面31bは、中段側遮蔽ブロック本体31の上面の領域のうち、当該上面の前端部から中段側凸部32に至る領域に設けられた遮蔽面であり、遮蔽壁2の外側(
図4では、前方)に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている(
図4では、直線斜面にて形成されている)。また、後側第1遮蔽面31cは、中段側遮蔽ブロック本体31の上面の領域のうち、当該上面の後端部から中段側凸部32に至る領域に設けられた遮蔽面であり、遮蔽壁2の外側(
図4では、後方)に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている(
図4では、直線斜面にて形成されている)。このような構成により、第1遮蔽面31aによって放射線を遮蔽することができ、中段遮蔽ブロック30と中段遮蔽ブロック40との隙間を介して放射線が通過することを回避できる。また、第1遮蔽面31aを遮蔽壁2の外側に向かうにつれて上方に傾斜するように形成した場合に比べて、中段遮蔽ブロック30の中段側遮蔽ブロック本体31の上面に水が溜まることを抑制できるので、浸水による遮蔽壁2の劣化を抑制できる。
【0035】
また、中段側遮蔽ブロック本体31の下面の少なくとも一部は、中段遮蔽ブロック20の第1遮蔽面31aと対応するように形成される遮蔽面であって当該第1遮蔽面31aと当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面31dとして形成されている。具体的には、第2遮蔽面31dは、前側第2遮蔽面31e及び後側第2遮蔽面31fを備えている。このうち、前側第2遮蔽面31eは、中段側遮蔽ブロック本体31の下面の領域のうち、当該下面の前端部から中段側凹部33に至る領域に設けられた遮蔽面であり、遮蔽壁2の外側(
図4では、前方)に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている(
図4では、直線斜面にて形成されている)。また、後側第2遮蔽面31fは、中段側遮蔽ブロック本体31の下面の領域のうち、当該下面の後端部から中段側凸部32に至る領域に設けられた遮蔽面であり、遮蔽壁2の外側(
図4では、後方)に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている(
図4では、直線斜面にて形成されている)。このような構成により、第2遮蔽面31dによって放射線を遮蔽することができ、中段遮蔽ブロック20と中段遮蔽ブロック30との隙間を介して放射線が通過することを回避できる。なお、上述した「中段側遮蔽ブロック本体31」は、特許請求の範囲における「第1遮蔽ブロック本体」及び「第2遮蔽ブロック本体」に対応する。
【0036】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-中段遮蔽ブロック-中段側凸部、中段側凹部)
中段側凸部32は、中段遮蔽ブロック40の中段側凹部33(中段遮蔽ブロック30の中段側凹部33の構成と同一)に嵌合する凸部であり、
図4に示すように、中段側遮蔽ブロック本体31の上面(具体的には、当該上面の前後方向の中央部)から上方に向けて突出するように形成されている。また、中段側凹部33は、中段遮蔽ブロック20の中段側凸部32(中段遮蔽ブロック30の中段側凸部32の構成と同一)に嵌合される凹部であり、中段側遮蔽ブロック本体31の下面(具体的には、当該下面の前後方向の中央部)から上方に向けて窪むように形成されている。
【0037】
ここで、中段側凸部32及び中段側凹部33の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では、以下の通りに設定している。すなわち、
図4に示すように、中段側凸部32の形状については、長尺な直方体に設定していると共に、中段側凹部33の形状については、中段側凸部32に対応する凹状に設定している。また、中段側凸部32及び中段側凹部33の大きさについては、中段側凸部32のせん断耐力を考慮して設定することが望ましく、実験結果等に基づいて設定している。具体的には、中段側凸部32の左右方向の長さ(幅)については、遮蔽壁2を施工しやすくするために、中段側遮蔽ブロック本体31の左右方向の長さよりも短く設定していると共に、中段側凹部33の左右方向の長さ(幅)については、中段側凸部32の左右方向の長さよりも若干長く設定している。また、中段側凸部32の前後方向の長さ(奥行)については、中段側遮蔽ブロック本体31の前後方向の長さよりも短く設定していると共に、中段側凹部33の前後方向の長さ(奥行)については、中段側凸部32の前後方向の長さよりも若干長く設定している。また、中段側凸部32の上下方向の長さ(高さ)については、隣接する中段遮蔽ブロック30との密着性を維持するために、中段側遮蔽ブロック本体31の上下方向の長さよりも短く設定していると共に、中段側凹部33の上下方向の長さ(深さ)については、中段側凸部32の上下方向の長さよりも若干長く設定している。このような設定により、中段遮蔽ブロック30の中段側凸部32と中段遮蔽ブロック40の中段側凹部33との嵌合、及び中段遮蔽ブロック20の中段側凸部32と中段遮蔽ブロック30の中段側凹部33との嵌合によって、中段遮蔽ブロック30の水平移動(具体的には、左右方向及び前後方向への移動)を制限することが可能となる。
【0038】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-中段遮蔽ブロック-その他の構成)
また、中段遮蔽ブロック30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図4に示すように、中段遮蔽ブロック30における複数の角部の一部には、補強部材34(例えば、公知のアングル材)が当該角部の前後方向の全長にわたって設けられている。また、中段遮蔽ブロック30における複数の角部の他の一部には、面取り部35が当該角部の前後方向の全長にわたって形成されている。このような構成により、中段遮蔽ブロック30が中段遮蔽ブロック20又は中段遮蔽ブロック40と接触することで中段遮蔽ブロック30の破損等が生じることを抑制できる。
【0039】
また、中段遮蔽ブロック30の形成方法については任意であるが、例えば、普通コンクリートを所定の型枠内に打設した後に所定期間養生することにより、中段遮蔽ブロック30の構成要素を一体に形成してもよい(なお、上段遮蔽ブロック70の形成方法、及び下段遮蔽ブロック10の形成方法についても同様とする)。
【0040】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-下段遮蔽ブロック)
次に、遮蔽ブロック80の構成の詳細のうち、下段遮蔽ブロック10の構成の詳細について説明する。
図5は、下段遮蔽ブロック10を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はC-C矢視断面図である。なお、この下段遮蔽ブロック10は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0041】
実施の形態において、下段遮蔽ブロック10は、中段遮蔽ブロック20よりも下方に位置する第1遮蔽ブロックであり、
図5に示すように、下段側遮蔽ブロック本体11と、下段側遮蔽ブロック本体11の上面に設けられた下段側凸部12とを備えている。
【0042】
下段側遮蔽ブロック本体11は、下段遮蔽ブロック10の基本構造体である。この下段側遮蔽ブロック本体11は、
図5に示すように、中段遮蔽ブロック30とほぼ同様に構成されているものの、下段側遮蔽ブロック本体11の下面については、以下に示す工夫が施されている。すなわち、下段側遮蔽ブロック本体11の下面は、設置面3に対応するように形成されており、具体的には、当該下面全体が略平坦状に形成されている。これにより、下段側遮蔽ブロック本体11の下面全体を設置面3に当接させることができ、遮蔽壁2を安定して設置することができる。なお、上述した「下段側遮蔽ブロック本体11」は、特許請求の範囲における「第1遮蔽ブロック本体」に対応する。
【0043】
下段側凸部12は、中段遮蔽ブロック20の中段側凹部33に嵌合する凸部であり、中段側凸部32の構成と略同一に構成されている。
【0044】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロックの構成の詳細-上段遮蔽ブロック)
次いで、遮蔽ブロック80の構成の詳細のうち、上段遮蔽ブロック70の構成の詳細について説明する。
図6は、上段遮蔽ブロック70を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はD-D矢視断面図である。なお、この上段遮蔽ブロック70は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0045】
実施の形態において、上段遮蔽ブロック70は、中段遮蔽ブロック60よりも上方に位置する第2遮蔽ブロックであり、
図6に示すように、上段側遮蔽ブロック本体71と、上段側遮蔽ブロック本体71の下面に設けられた上段側凹部72とを備えている。
【0046】
上段側遮蔽ブロック本体71は、上段遮蔽ブロック70の基本構造体である。この上段側遮蔽ブロック本体71は、中段遮蔽ブロック30とほぼ同様に構成されているが、上段側遮蔽ブロック本体71の上面については、以下に示す工夫が施されている。すなわち、上段側遮蔽ブロック本体71の上面は、非水平な傾斜面として形成されており、具体的には、当該上面全体が開口部1cから離れるにつれて下方に傾斜するように形成されている。これにより、上段遮蔽ブロック70の上面に水が溜まることを防止でき、浸水による遮蔽壁2の劣化を一層抑制することが可能となる。なお、上述した「上段側遮蔽ブロック本体71」は、特許請求の範囲における「第2遮蔽ブロック本体」に対応する。
【0047】
上段側凹部72は、中段遮蔽ブロック60の中段側凸部32に嵌合される凹部であり、中段側凹部33の構成と略同一に構成されている。
【0048】
(構成-遮蔽壁-遮蔽壁の構成の詳細-遮蔽ブロック以外の構成の詳細)
図2に戻り、次に、遮蔽ブロック80以外の構成の詳細について説明する。
【0049】
まず、実施の形態では、下段遮蔽ブロック10の下面が開口部1cの下端よりも下方に位置するように、遮蔽壁2は設置されている。具体的には、
図2に示すように、下段遮蔽ブロック10の下面が、開口部1cの下端よりも下方に位置する建物1の床部1aの下面と略面一となるように設置されている。これにより、下段遮蔽ブロック10の下面が開口部1cの下端と面一である場合に比べて、下段遮蔽ブロック10の下面と設置面3との隙間を介して放射線が通過することを回避でき、遮蔽性をさらに向上できる。
【0050】
また、実施の形態では、遮蔽壁2は、
図1から
図3に示すように、上側接続部材91、下側接続部材92、及び口開き防止部材93をさらに備えている。
【0051】
このうち、上側接続部材91は、遮蔽壁2と建物1の壁部1bとを接続するための上側接続手段である。この上側接続部材91は、例えば公知の金属製の水切部材を用いて構成されており、
図1から
図3に示すように、当該上側接続部材91が上段遮蔽ブロック70及び建物1の壁部1bの各々と当接するように配置されており、上段遮蔽ブロック70及び建物1の壁部1bの各々に対して固定具によって着脱自在に接続されている。
【0052】
また、下側接続部材92は、遮蔽壁2と設置面3とを接続するための下側接続手段である。この下側接続部材92は、例えば公知の鋼製のアングル材を用いて構成されており、当該下側接続部材92が下段遮蔽ブロック10及び設置面3の各々と当接するように配置されており、下段遮蔽ブロック10及び設置面3の各々に対して固定具によって着脱自在に接続されている。
【0053】
また、口開き防止部材93は、遮蔽ブロック10~70のうち隣接する遮蔽ブロック80との間の口開きを防止するための口開き防止手段である。この口開き防止部材93は、例えば鋼製の板状体にて形成されており、遮蔽壁2の左面及び右面の各々の部分のうち上記隣接する遮蔽ブロック80の境界部及びその近傍部分に設けられており、上記隣接する遮蔽ブロック80に対して固定具によって着脱自在に接続されている。
【0054】
このような構成により、上側接続部材91及び下側接続部材92によって遮蔽壁2と建物1及び設置面3との強固に接続することができると共に、口開き防止部材93によって遮蔽ブロック10~70のうち隣接する遮蔽ブロック80同士を強固に接続できる。したがって、遮蔽壁2に地震力の外力が作用した場合に遮蔽壁2の揺れを抑制でき、遮蔽壁2が転倒すること、又は遮蔽ブロック10~70のいずれかが脱落することを回避できる。また、口開き防止部材93については、遮蔽壁2を設置する際に口開き防止部材93を遮蔽ブロック80の位置合わせに用いることができ、遮蔽壁2全体の一体性を向上させることができる。
【0055】
また、以上のような遮蔽壁2により、遮蔽ブロック10~70の各々の第1遮蔽面31a又は第2遮蔽面31dによって放射線を遮蔽でき、放射線が遮蔽壁2を通過することを回避できる。また、遮蔽ブロック10~70の各々の各種の凸部と当該凸部に対応する凹部との嵌合によって当該凸部に対応する遮蔽ブロック80の水平移動を制限でき、遮蔽ブロック10~70のいずれかが脱落することを回避できる。したがって、従来技術(隣接する遮蔽ブロックの合せ面を幅方向の全長にわたって形成される非直線面とする技術)に比べて、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させることが可能となる。
【0056】
(遮蔽壁の作用について)
次に、このように構成された遮蔽壁2の作用について説明する。
【0057】
すなわち、例えば、放射線が遮蔽壁2を通過しようとすると、遮蔽ブロック10~70の各々の第1遮蔽面31a又は第2遮蔽面31dによって当該放射線が遮蔽されるので、当該放射線が遮蔽壁2を通過することを回避できる。
【0058】
また、例えば、遮蔽壁2に地震力が作用すると、遮蔽ブロック10~70の各々の各種の凸部と当該凸部に対応する凹部との嵌合によって当該凸部に対応する遮蔽ブロック80の水平移動が制限されると共に、上側接続部材91、下側接続部材92、及び口開き防止部材93によって遮蔽壁2の揺れが抑制されるので、遮蔽ブロック10~70のいずれかが脱落すること、又は遮蔽壁2が転倒することを回避できる。
【0059】
また、例えば、遮蔽壁2が雨水に晒されている場合において、遮蔽ブロック10~70のうち隣接する遮蔽ブロック80の隙間に当該雨水が浸入すると、遮蔽ブロック10~70の各々の第1遮蔽面31aによって当該雨水が遮蔽壁2の外側に向けて流れ落ちるので、当該第1遮蔽面31aに対応する遮蔽ブロック80の上面に当該雨水が溜まることを抑制できる。また、上段遮蔽ブロック70の上面に上記雨水が落ちると、当該上面によって当該雨水が遮蔽壁2の外側に向けて流れ落ちるので、当該上面に当該雨水が溜まることを抑制できる。
【0060】
(遮蔽壁の設置方法)
続いて、遮蔽壁2の設置方法について説明する。
【0061】
まず、工場等で製造された遮蔽ブロック10~70を、公知の建設用クレーン(図示省略)を用いて設置面3に対して順次積み重ねて設置する。具体的には、各遮蔽ブロック80の上面に図示しない吊り金具(例えば、アイボルト)を取り付けるための取付孔(図示省略)が形成されている場合において、遮蔽ブロック10~70のいずれかの取付孔に吊り金具を取り付けて、この吊り金具にクレーンのフック部を引掛けた後、この状態で当該遮蔽ブロック80を吊り上げて所定位置まで移動させるという作業を繰り返すことで設置する。この場合において、上記作業が終わる毎に直近に移動させた遮蔽ブロック80に口開き防止部材93を取り付けてもよい。これにより、この口開き防止部材93を、次に移動させる遮蔽ブロック80の位置合わせに利用することが可能となる。
【0062】
そして、遮蔽ブロック10~70が設置された後に、下段遮蔽ブロック10と設置面3とを下側接続部材92を介して接続すると共に、上段遮蔽ブロック70と建物1の壁部1bとを上側接続部材91を介して接続する。これにて、遮蔽壁2の設置が終了する。なお、遮蔽壁2を撤去する場合には、上記遮蔽壁2の設置方法の手順とは逆の手順を行うことで、遮蔽壁2を撤去することができる。
【0063】
(構成-遮蔽壁-その他の構成)
また、この他にも、遮蔽ブロック80は、任意の構造にて構成可能である。
【0064】
具体的には、実施の形態では、中段遮蔽ブロック30の中段側凸部32の設置数が1つであると説明したが、これに限らない。
図7は、中段遮蔽ブロック30の変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はE-E矢視断面図である。例えば、中段側凸部32(
図7では、円柱状の中段側凸部32)の設置数が2つ以上であってもよい(なお、下段遮蔽ブロック10の構成、及び上段遮蔽ブロック70の構成についても同様とする)。この場合には、中段側凹部33の設置数が中段側凸部32の設置数と対応する数となる。
【0065】
また、実施の形態では、中段遮蔽ブロック30の中段側凸部32が、長尺な直方体であると説明したが、これに限らない。
図8は、中段遮蔽ブロック30の変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はF-F矢視断面図である。例えば、中段側凸部32が長尺な三角柱体であってもよい(なお、下段遮蔽ブロック10の構成、及び上段遮蔽ブロック70の構成についても同様とする)。この場合には、中段側凹部33が中段側凸部32と対応する形状に形成される。
【0066】
また、実施の形態では、中段遮蔽ブロック30の第1遮蔽面31a及び第2遮蔽面31dが、直線斜面であると説明したが、これに限らない。
図9は、中段遮蔽ブロック30の変形例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)はG-G矢視断面図である。例えば、第1遮蔽面31a及び第2遮蔽面31dが湾曲斜面であってもよい(なお、下段遮蔽ブロック10の構成、及び上段遮蔽ブロック70の構成についても同様とする)。
【0067】
また、実施の形態では、中段遮蔽ブロック30の中段側凸部32の上面部分と、中段側凹部33における中段側凸部32の上面部分と対向する対向部分(すなわち、中段側凹部33の上面部分)とが、平坦状に形成されていると説明したが、これに限らない。
図10は、中段遮蔽ブロック30の変形例を示す断面図であって、
図4(b)に対応する断面図である。例えば、中段側凸部32の上面部分32a又は中段側凹部33の上面部分33aの少なくともいずれか一方(
図10では、両方)は、放射線の放射方向に非平行な遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第3遮蔽面として形成されてもよい(なお、下段遮蔽ブロック10の構成、及び上段遮蔽ブロック70の構成についても同様とする)。これにより、中段側凸部32の上面部分32a又は中段側凹部33の上面部分33aによって放射線を遮蔽することができ、中段側凸部32の上面部分32a又は中段側凹部33の上面部分33aが平坦状である場合に比べて、遮蔽性を向上できる。
【0068】
また、実施の形態では、下段遮蔽ブロック10及び上段遮蔽ブロック70が、中段遮蔽ブロック30とは異なる構成で構成されていると説明したが、これに限らない。
図11は、遮蔽壁2の変形例を示す側面図であって、
図2に対応する側面図である。例えば、下段遮蔽ブロック10又は上段遮蔽ブロック70が、中段遮蔽ブロック30と同一の構成で構成されてもよい。この場合において、下段遮蔽ブロック10が中段遮蔽ブロック30と同一の構成で構成されている場合には、下段遮蔽ブロック10の中段側凹部33に嵌合するための凸部材94が、設置面3に設けられてもよい。
【0069】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第1遮蔽ブロックが、第1遮蔽ブロック本体と、第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられた凸部と、を備え、第2遮蔽ブロックが、第2遮蔽ブロック本体と、第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられた凹部であって、当該凹部によって凸部の水平移動が制限されるように、凸部と嵌合可能な凹部と、を備えたので、凸部と凹部との嵌合によって第1遮蔽ブロックの水平移動を制限でき、第1遮蔽ブロックが脱落することを回避できる。また、第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、放射線の放射方向に非平行な第1遮蔽面31aであって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される第1遮蔽面31aとして形成し、第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、第1遮蔽面31aと対応するように形成される第2遮蔽面31dとして形成したので、第1遮蔽面31a又は第2遮蔽面31dによって放射線を遮蔽でき、放射線が遮蔽壁2を通過することを回避できる。したがって、従来技術(隣接する遮蔽ブロックの合せ面を幅方向の全長にわたって形成される非直線面とする技術)に比べて、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させることが可能となる。
【0070】
また、第1遮蔽面31a及び第2遮蔽面31dの各々を、当該遮蔽壁2の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成したので、第1遮蔽面31aを遮蔽壁2の外側に向かうにつれて上方に傾斜するように形成した場合に比べて、第1遮蔽ブロック本体の上面に水が溜まることを抑制でき、浸水による遮蔽壁2の劣化を抑制できる。
【0071】
また、下段遮蔽ブロック10の下面が開口部1cの下端よりも下方に位置するように、遮蔽壁2を設置したので、下段遮蔽ブロック10の下面が開口部1cの下端と面一である場合に比べて、下段遮蔽ブロック10の下面と設置面3との隙間を介して放射線が通過することを回避でき、遮蔽性をさらに向上できる。
【0072】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0073】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決することや、前記に記載されていない効果を奏することもできる。また、記載されている課題の一部のみを解決することや、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0074】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0075】
(遮蔽壁について)
上記実施の形態では、遮蔽壁2が、建物1の外部に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、建物1の内部に設けられてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、下段遮蔽ブロック10の下面が開口部1cの下端よりも下方に位置するように、遮蔽壁2が設置されていると説明したが、これに限らない。
図12は、遮蔽壁2の変形例を示す側面図であって、
図2に対応する側面図である。例えば、開口部1cの下端が設置面3と面一である場合には、設置面3を掘削することで形成された溝部3aに遮蔽壁2の一部が収容されるように設置されてよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、遮蔽壁2が、上側接続部材91、下側接続部材92、及び口開き防止部材93を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、上側接続部材91、下側接続部材92、又は口開き防止部材93の少なくともいずれか1つを省略してもよい。
【0078】
(遮蔽ブロックについて)
上記実施の形態では、中段遮蔽ブロック30の第1遮蔽面31a及び第2遮蔽面31dが、遮蔽壁2の外側に向けて下方に傾斜していると説明したが、これに限らず、例えば、遮蔽壁2の外側に向けて上方に傾斜してもよい(なお、下段遮蔽ブロック10及び上段遮蔽ブロック70についても同様とする)。
【0079】
また、上記実施の形態では、中段遮蔽ブロック30に、補強部材34及び面取り部35が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、補強部材34又は面取り部35の少なくともいずれか一方を省略してもよい(なお、下段遮蔽ブロック10及び上段遮蔽ブロック70についても同様とする)。
【0080】
また、上記実施の形態では、複数の遮蔽ブロック80が、左右一列に設けられていると説明したが、これに限らない。
図13は、遮蔽壁2の変形例を示す断面図であって、
図3に対応する断面図である。複数の遮蔽ブロック80が、左右二列以上で設けられてもよい。この場合には、例えば、左右に隣接する遮蔽ブロック80の境界面が非直線状に形成されることが望ましい。また、上記実施の形態では、複数の遮蔽ブロック80が、上下一列に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、上下二列以上に設けられてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、上段側遮蔽ブロック本体71の上面が、非水平な傾斜面であると説明したが、これに限らず、例えば、平坦面であってもよい。
【0082】
(付記)
付記1の遮蔽壁は、放射線を遮蔽するための遮蔽壁であり、上下方向に積み重ねられた複数の遮蔽ブロックを備える遮蔽壁であって、前記複数の遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロックと、前記第1遮蔽ブロックに隣接し、且つ前記第1遮蔽ブロックよりも上方に位置する第2遮蔽ブロックと、を含み、前記第1遮蔽ブロックは、第1遮蔽ブロック本体と、前記第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて突出する凸部と、を備え、前記第2遮蔽ブロックは、第2遮蔽ブロック本体と、前記第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられ、且つ上方に向けて窪んだ凹部であって、当該凹部によって前記凸部の水平移動が制限されるように、前記凸部と嵌合可能な凹部と、を備え、前記第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、前記放射線の放射方向に非平行な遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第1遮蔽面として形成し、前記第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、前記第1遮蔽面と対応するように形成される遮蔽面であって前記第1遮蔽面と当接可能な遮蔽面である第2遮蔽面として形成した。
【0083】
付記2の遮蔽壁は、付記1に記載の遮蔽壁において、前記第1遮蔽面及び前記第2遮蔽面の各々を、当該遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成した。
【0084】
付記3の遮蔽壁は、付記1又は2に記載の遮蔽壁において、前記凸部の上面部分又は前記凹部における前記凸部の上面部分と対向する対向部分の少なくともいずれか一方を、前記放射線の放射方向に非平行な遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される遮蔽面である第3遮蔽面として形成した。
【0085】
付記4の遮蔽壁は、付記1から3のいずれか一項に記載の遮蔽壁において、開口部の近傍に設置された前記遮蔽壁であり、前記開口部を封止するための前記遮蔽壁であって、前記複数の遮蔽ブロックのうち最下方に位置する遮蔽ブロックの下面が前記開口部の下端よりも下方に位置するように、前記遮蔽壁を設置した。
【0086】
(付記の効果)
付記1に記載の遮蔽壁によれば、第1遮蔽ブロックが、第1遮蔽ブロック本体と、第1遮蔽ブロック本体の上面に少なくとも1つ以上設けられた凸部と、を備え、第2遮蔽ブロックが、第2遮蔽ブロック本体と、第2遮蔽ブロック本体の下面に少なくとも1つ以上設けられた凹部であって、当該凹部によって凸部の水平移動が制限されるように、凸部と嵌合可能な凹部と、を備えたので、凸部と凹部との嵌合によって第1遮蔽ブロックの水平移動を制限でき、第1遮蔽ブロックが脱落することを回避できる。また、第1遮蔽ブロック本体の上面の少なくとも一部を、放射線の放射方向に非平行な第1遮蔽面であって当該上面の幅方向の全長にわたって形成される第1遮蔽面として形成し、第2遮蔽ブロック本体の下面のいずれか他方の少なくとも一部を、第1遮蔽面と対応するように形成される第2遮蔽面として形成したので、第1遮蔽面又は第2遮蔽面によって放射線を遮蔽でき、放射線が遮蔽壁を通過することを回避できる。したがって、従来技術(隣接する遮蔽ブロックの合せ面を幅方向の全長にわたって形成される非直線面とする技術)に比べて、遮蔽性を維持しながら、耐震性を向上させることが可能となる。
【0087】
付記2に記載の遮蔽壁によれば、第1遮蔽面及び第2遮蔽面の各々を、当該遮蔽壁の外側に向かうにつれて下方に傾斜するように形成したので、第1遮蔽面を遮蔽壁の外側に向かうにつれて上方に傾斜するように形成した場合に比べて、第1遮蔽ブロック本体の上面に水が溜まることを抑制でき、浸水による遮蔽壁の劣化を抑制できる。
【0088】
付記3に記載の遮蔽壁によれば、凸部の上面部分又は凹部における凸部の上面部分と対向する対向部分の少なくともいずれか一方を、放射線の放射方向に非平行な第3遮蔽面であって当該部分の幅方向の全長にわたって形成される第3遮蔽面として形成したので、凸部の上面部分又は凹部の上面部分によって放射線を遮蔽することができ、凸部の上面部分又は凹部の上面部分が平坦状である場合に比べて、遮蔽性を向上できる。
【0089】
付記4に記載の遮蔽壁によれば、最下方に位置する遮蔽ブロックの下面が開口部の下端よりも下方に位置するように、遮蔽壁を設置したので、最下方の遮蔽ブロックの下面が開口部の下端と面一である場合に比べて、最下方の遮蔽ブロックの下面と設置面との隙間を介して放射線が通過することを回避でき、遮蔽性をさらに向上できる。
【符号の説明】
【0090】
1 建物
1a 床部
1b 壁部
1c 開口部
1d 扉
2 遮蔽壁
3 設置面
3a 溝部
10 遮蔽ブロック、下段遮蔽ブロック
11 下段側遮蔽ブロック本体
12 下段側凸部
20 遮蔽ブロック、中段遮蔽ブロック
30 遮蔽ブロック、中段遮蔽ブロック
31 中段側遮蔽ブロック本体
31a 第1遮蔽面
31b 前側第1遮蔽面
31c 後側第1遮蔽面
31d 第2遮蔽面
31e 前側第2遮蔽面
31f 後側第2遮蔽面
32 中段側凸部
32a 上面部分
33 中段側凹部
33a 上面部分
34 補強部材
35 面取り部
40 遮蔽ブロック、中段遮蔽ブロック
50 遮蔽ブロック、中段遮蔽ブロック
60 遮蔽ブロック、中段遮蔽ブロック
70 遮蔽ブロック、上段遮蔽ブロック
71 上段側遮蔽ブロック本体
72 上段側凹部
80 遮蔽ブロック
91 上側接続部材
92 下側接続部材
93 口開き防止部材
94 凸部材