(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/26 20180101AFI20220823BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220823BHJP
C09J 7/24 20180101ALI20220823BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J7/24
(21)【出願番号】P 2018161764
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2017166087
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】片岡 寛幸
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175984(JP,A)
【文献】特開2004-204154(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146108(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体からなる基材と、粘着剤層とを有する粘着テープであって、
前記基材は、23℃におけるせん断弾性率が0.8MPa以上であり、かつ、23℃における曲げ弾性率が70MPa以下であ
り、
前記発泡体は発泡倍率が4cm
3
/g以上15cm
3
/g以下であり、
気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)が1.0~3.1であり、
ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン発泡体である
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
基材は、示差走査熱量計により測定される結晶融解温度ピークが140℃以上であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
基材は、発泡体の発泡倍率が
4.5cm
3
/g以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
基材は、厚みが1500μm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
基材は、発泡体の気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)が1.0~3.0であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
【請求項6】
基材は、厚さ方向の25%圧縮強度が50~1000kPaであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
【請求項7】
発泡体は、ポリプロピレン系樹脂を60~90重量%含有するポリオレフィン発泡体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の粘着テープ。
【請求項8】
総厚みが30~2000μmであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の粘着テープ。
【請求項9】
発泡体からなる基材の両面に粘着剤層を有し、車載用電子部品の固定に用いられることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両において車載用電子部品を固定する用途に、両面粘着テープが用いられている。このような車載用電子部品固定用途においては、衝撃が加わっても部品が外れたり破損したりしないよう部品の固定配置又は機器本体のデザインが検討されている。車載用電子部品を固定するために用いられる両面粘着テープとしても、衝撃が加わった場合であっても部品が外れることがなく、かつ、部品に強い衝撃が加わらない両面粘着テープが望まれている。
【0003】
このような耐衝撃性に優れた両面粘着テープとして、発泡体を基材とする両面粘着テープが用いられている。例えば、特許文献1及び2には、基材層の少なくとも片面にアクリル粘着剤層が積層一体化されており、基材層が特定の架橋度及び気泡のアスペクト比を有する架橋ポリオレフィン樹脂発泡シートからなる衝撃吸収テープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-242541号公報
【文献】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の車載用パネルや車載用ヘッドアップディスプレイ等のカバーを固定する用途においては、従来の電子機器分野よりも重量のある部品を固定することが多いため、両面粘着テープが力を受けて伸びてしまい、部品が設計位置とずれてしまう等の不具合が起こることがあった。
これに対して、本発明者らは、基材として、23℃におけるせん断弾性率が一定以上の値となる比較的硬い発泡体を用いることにより、荷重がかかった際の両面粘着テープの伸び量を抑制することを検討した。しかしながら、23℃におけるせん断弾性率が一定以上の値となる比較的硬い発泡体を用いると、両面粘着テープの柔軟性及び被着体への追従性が低下し、剥離しやすくなることがあった。特に、近年の車載用パネルや車載用ヘッドアップディスプレイ等では、意匠性に優れた曲面を多用したデザインが採用されている。このような曲面に両面粘着テープを適用する場合には、部品や両面粘着テープを変形させた状態で固定することが多いため、部品や両面粘着テープの元の形状に戻ろうとする力(即ち、反発力)により剥離しやすくなることがあった。
【0006】
本発明は、荷重がかかった際に伸びにくく、耐反発性にも優れた粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発泡体からなる基材と、粘着剤層とを有する粘着テープであって、前記基材は、23℃におけるせん断弾性率が0.8MPa以上であり、かつ、23℃における曲げ弾性率が70MPa以下である粘着テープである。
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明者は、基材と粘着剤層とを有する粘着テープにおいて、基材として、23℃におけるせん断弾性率と曲げ弾性率とが特定範囲内となる発泡体を用いることにより、荷重がかかった際の粘着テープの伸び量を抑制しつつ、粘着テープの耐反発性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の粘着テープは、発泡体からなる基材と、粘着剤層とを有する。
上記基材は、発泡体からなる。上記発泡体は、例えばシート状であってもよい。
上記基材は、23℃におけるせん断弾性率が0.8MPa以上であり、かつ、23℃における曲げ弾性率が70MPa以下である。上記基材として、23℃におけるせん断弾性率と曲げ弾性率とがこの範囲内となる発泡体を用いることにより、荷重がかかった際の粘着テープの伸び量を抑制しつつ、粘着テープの耐反発性を向上させることができる。
【0010】
上記基材は、23℃におけるせん断弾性率の下限が0.8MPaである。上記23℃におけるせん断弾性率が0.8MPa以上であれば、荷重がかかった際に粘着テープが伸びにくくなる。同様の観点から、上記23℃におけるせん断弾性率の好ましい下限は1.0MPa、より好ましい下限は1.2MPaである。
上記23℃におけるせん断弾性率の上限は特に限定されないが、好ましい上限は3.0MPaである。上記23℃におけるせん断弾性率が3.0MPa以下であれば、粘着テープの耐反発性が向上する。同様の観点から、上記23℃におけるせん断弾性率のより好ましい上限は2.5MPa、更に好ましい上限は2.0MPaである。
【0011】
なお、上記基材の23℃におけるせん断弾性率は、JIS K7224-4に準拠して、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御社製のDVA-200)を用いて下記条件にて測定することができる。
サンプルサイズ 厚さ1mm、長さ10mm、6mm
変形モード せん断
設定歪 0.30%(G>1.00E+08Pa)
設定昇温速度 5℃/min
測定周波数 10Hz
【0012】
上記基材は、23℃における曲げ弾性率の上限が70MPaである。上記23℃における曲げ弾性率が70MPa以下であれば、粘着テープの耐反発性が向上し、粘着テープを曲面に適用した際にも剥離しにくくなる。同様の観点から、上記23℃における曲げ弾性率の好ましい上限は60MPa、より好ましい上限は50MPa、更に好ましい上限は45MPaである。
上記23℃における曲げ弾性率の下限は特に限定されないが、好ましい下限は5.0MPaである。上記23℃における曲げ弾性率が5.0MPa以上であれば、得られる粘着テープのハンドリング性を保つことができる。同様の観点から、上記23℃における曲げ弾性率のより好ましい下限は10MPa、更に好ましい下限は15MPaである。
【0013】
なお、上記基材の23℃における曲げ弾性率(E)は、下記条件を採用すること以外はJIS K7221-2に準拠して測定を行い、下記式(1)により算出することができる。
測定速度 1mm/min
支点間距離 試験片の厚みの16倍
試験片の幅 10mm
試験片加圧くさびの先端R 5mm
【0014】
【0015】
式(1)中、Lは支点間距離(mm)を表し、bは試験片の幅(mm)を表し、dは試験片の厚み(mm)を表し、Ftはたわみ量に対応する荷重(kN)を表し、xtはたわみ量(mm)を表す。
【0016】
上記基材は、示差走査熱量計により測定される結晶融解温度ピークの好ましい下限が140℃である。上記結晶融解温度ピークが140℃以上であれば、上記基材の23℃におけるせん断弾性率が上記範囲内になりやすくなり、荷重がかかった際に粘着テープが伸びにくくなるとともに、粘着テープの耐熱性も向上し、車載用電子部品固定用途に想定される高温下でも粘着テープが剥離しにくくなる。同様の観点から、上記結晶融解温度ピークのより好ましい下限は141℃、更に好ましい下限は142℃、更により好ましい下限は143℃、とりわけ好ましい下限は144℃、一層好ましい下限は145℃、非常に好ましい下限は147℃、特に好ましい下限は149℃、最も好ましい下限は152℃である。上記結晶融解温度ピークの上限は特に限定されないが、好ましい上限は175℃である。
なお、本明細書において示差走査熱量計により測定される結晶融解温度ピークとは、上記基材100mgを示差走査熱量計を用いて大気中において昇温速度10℃/分の条件下で測定された際のピーク温度を意味する。上記示差走査熱量計は、具体的には例えば、セイコーインスツルメンツ社製の商品名「220C」等を用いることができる。
【0017】
上記基材は、厚さ方向の25%圧縮強度の好ましい下限が50kPa、好ましい上限が1000kPa以下である。上記25%圧縮強度が1000kPa以下であれば、上記基材の23℃における曲げ断弾性率が上記範囲内になりやすくなり、粘着テープの耐反発性が向上する。耐反発性の観点から、上記25%圧縮強度のより好ましい下限は55kPa、より好ましい上限は900kPa、更に好ましい下限は60kPa、更に好ましい上限は500kPa、更により好ましい下限は70kPa、更により好ましい上限は300kPa、とりわけ好ましい下限は80kPa、とりわけ好ましい上限は200kPa、一層好ましい下限は100kPa、一層好ましい上限は150kPaである。
なお、上記基材の厚さ方向の25%圧縮強度は、JIS K6767-7.2.3(JIS2009)に準拠して測定することができる。
【0018】
上述した基材の23℃におけるせん断弾性率、23℃における曲げ弾性率、示差走査熱量計により測定される結晶融解温度ピーク、厚さ方向の25%圧縮強度等は、上記基材を構成する発泡体の材料、発泡倍率、気泡のアスペクト比、厚み等により調整することができる。
上記基材を構成する発泡体は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体及びポリイミド発泡体を用いることができる。上記ポリオレフィン発泡体としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン発泡体を用いることができる。なかでも、荷重がかかった際の伸び及び耐反発性を制御し易い観点から、ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン発泡体が好ましい。
【0019】
上記ポリプロピレン系樹脂は特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、得られるポリオレフィン発泡体のせん断弾性率と曲げ弾性率とが上記範囲内になりやすいことから、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンランダム共重合体を含有することが好ましい。また、耐寒性向上の観点から、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンブロック共重合体を含有してもよい。
なおここで、プロピレンを主成分とするとは、共重合体中のプロピレン含有量が50重量%以上であることを意味する。
【0020】
上記プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンブロック共重合体は、エチレンブロック部分とプロピレンブロック部分とが海島構造を取るものであり、プロピレンブロック部分が海相でエチレンブロック部分が島相になっているものが好ましい。この場合、島相であるエチレンブロック部分の、海相であるプロピレンブロック部分への分散状態は特には限定されないが、上記ポリオレフィン発泡体の架橋構造の分布がより均一になり、強度、耐熱性、分散性等が発泡体全体にわたって均一になるので、エチレンブロック部分が平均粒径30μm以下の島相として分散しているのが好ましい。同様の観点から、より好ましくは島相の平均粒径が10μm以下であり、更に好ましくは島相の平均粒径が3μm以下であり、特に好ましくは島相の平均粒径が1μm以下である。
【0021】
上記分散状態及びエチレンブロック部分の島相の平均粒径は、以下の方法により測定される。
まず、酸化ルテニウムによりエチレン-プロピレンブロック共重合体のエチレンブロック部分を染色し、5000~50000倍に拡大された顕微鏡写真を撮影する。この撮影した顕微鏡写真を画像処理することによりエチレンブロック部分の平均粒径を算出する。本発明では、ピアス社製の画像処理装置(商品名「HI-PIAS IV」)を用いてエチレンブロック部分の平均粒径を算出する。
【0022】
上記ポリプロピレン系樹脂のクロス分別法による0℃での溶出量は特には限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は50重量%である。上記0℃での溶出量がこの範囲内であると、荷重がかかった際に粘着テープがより一層伸びにくくなり、粘着テープの耐反発性も向上する。同様の観点から、上記0℃での溶出量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は30重量%であり、更に好ましい下限は5重量%、更に好ましい上限は25重量%である。
【0023】
上記ポリプロピレン系樹脂のクロス分別法による100℃での溶出量は特には限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限は95重量%である。上記100℃での溶出量がこの範囲内であると、荷重がかかった際に粘着テープがより一層伸びにくくなり、粘着テープの耐反発性も向上する。同様の観点から、上記100℃での溶出量のより好ましい下限は15重量%、更に好ましい下限は30重量%、特に好ましい下限は50重量%である。
【0024】
なお、クロス分別法は、以下の方法により行われる。
まず、ポリプロピレン系樹脂を140℃のo-ジクロロベンゼンに溶解して溶液とし、該溶液を一定速度で冷却して、予め用意しておいた不活性担体表面に、ポリプロピレン系樹脂の薄いポリマー層を、結晶性の高い順及び重量平均分子量の大きい順に生成させる。次に、温度を連続的又は段階的に昇温し、順次溶出した成分の濃度を検出し、組成分布(結晶性分布)を測定する。同時に、溶出したポリプロピレン系樹脂成分の重量平均分子量及び分子量分布を高温型GPCで測定し、所定温度範囲で溶出した成分の重量平均分子量を算出する。
従って、上記からポリプロピレン系樹脂の結晶化度分布毎の分子量分布を測定することができ、所定温度範囲での溶出量と該範囲での重量平均分子量を算出することができる。具体的には例えば、上述のようなシステムを備えているクロス分別クロマトグラフ装置(三菱油化社製、商品名「CFC-T150A型」等)を用いることができる。
【0025】
上記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)は特に限定されないが、好ましい下限は0.1g/10分、好ましい上限は70g/10分である。上記MFRがこの範囲内であると、荷重がかかった際に粘着テープがより一層伸びにくくなる。同様の観点から、上記MFRのより好ましい上限は50g/10分以下、更に好ましい上限は5g/10分以下である。
なお、本明細書においてMFRは、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.2Nの条件下で測定した値を意味する。
【0026】
上記ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン発泡体は、上記ポリプロピレン系樹脂の含有量の好ましい下限が60重量%、好ましい上限が90重量%である。上記ポリプロピレン系樹脂の含有量が60重量%以上であれば、上記基材の23℃におけるせん断弾性率が上記範囲内になりやすくなり、荷重がかかった際に粘着テープが伸びにくくなる。上記ポリプロピレン系樹脂の含有量が90重量%以下であれば、上記基材の23℃における曲げ弾性率が上記範囲内になりやすくなり、粘着テープの耐反発性が向上する。同様の観点から、上記ポリプロピレン系樹脂の含有量のより好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は80重量%である。
なお、上記ポリプロピレン系樹脂が、プロピレンと他のモノマーとの共重合体からなる場合、プロピレンが80重量%以上の割合で共重合体の構成単位として導入されている場合は、ポリプロピレンとしての特性が強く現れるので、この場合、本発明においては共重合体の含有量全体をポリプロピレンの含有量として算出するものとする。
【0027】
上記ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン発泡体は、上記ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂としては特には限定されないが、例えば、ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン-プロピレン共重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、粘着テープの耐反発性が向上することから、ポリエチレンが好ましい。
【0028】
上記ポリエチレンとしては特には限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらのポリエチレンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂のMFRは特に限定されないが、好ましい下限は0.5g/10分、好ましい上限は70g/10分である。上記MFRがこの範囲内であると、荷重がかかった際に伸びにくく耐熱性が高いポリオレフィン発泡体を容易に成形することができる。同様の観点から、上記MFRのより好ましい下限は1.5g/10分、より好ましい上限は50g/10分であり、更に好ましい下限は2g/10分、更に好ましい上限は30g/10分である。
【0030】
上記ポリオレフィン発泡体は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記ポリプロピレン系樹脂、上記ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂以外に、その他の樹脂を含有してもよい。
【0031】
上記発泡体の発泡倍率は、好ましい上限が15cm3/gである。上記発泡倍率が15cm3/g以下であれば、荷重がかかった際に粘着テープがより一層伸びにくくなるとともに、粘着テープを曲面に適用した際にも厚み方向に延びたり割れたりしにくくなる。同様の観点から、上記発泡倍率のより好ましい上限は13cm3/g、更に好ましい上限は11cm3/gである。
上記発泡体の発泡倍率の下限は特に限定されないが、好ましい下限は3cm3/gである。上記発泡倍率が3cm3/g以上であれば、粘着テープの耐反発性が向上する。同様の観点から、上記発泡倍率のより好ましい下限は4cm3/g、更に好ましい下限は4.5cm3/gである。
なお、上記発泡体の発泡倍率は、上記発泡体の密度の逆数である。上記発泡体の密度は、例えば、JIS K 7222に準拠して測定することができる。
【0032】
上記発泡体の気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)は、好ましい下限が1.0、好ましい上限が3.0である。
上記気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)が1.0以上であれば、粘着テープの耐反発性が向上するとともに、上記発泡体の厚み、耐反発性及び引張強度のばらつきが抑制される。上記気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)が3.0以下であれば、上記基材の23℃におけるせん断弾性率が上記範囲内になりやすくなり、荷重がかかった際に粘着テープがより一層伸びにくくなる。同様の観点から、上記気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)のより好ましい下限は1.2、より好ましい上限は2.5であり、更に好ましい下限は1.4、更に好ましい上限は2.0である。
【0033】
なお、上記発泡体の気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)は、TDの平均気泡径、及び、ZDの平均気泡径をそれぞれ算出し、得られた値から求めることができる。
ここで、発泡体のTD(Transverse Direction)とは、発泡体をシート状に押出加工する際の押出方向(MD:Machine Direction)に直交し、かつ、シート状の発泡体の表面に沿った方向をいう。発泡体のZD(Z‐axis Direction)とは、シート状の発泡体の表面に直交する方向(即ち、厚み方向)をいう。
【0034】
上記TDの平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。
即ち、上記発泡体を、TDに平行でかつ厚み方向(ZD)に平行な面で厚み方向(ZD)に切断する。得られた切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、上記発泡体の厚み方向(ZD)の全長が収まるように写真撮影する。得られた写真における、上記発泡体の厚み方向(ZD)の中央部に対応する部分に、写真上での長さが15cm(拡大前の実際の長さ2500μm)の直線を、発泡体表面と平行になるように描く。次に、上記直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて気泡のTDの平均気泡径を算出する。
TDの平均気泡径(μm)=2500(μm)/気泡数(個)
【0035】
上記ZDの平均気泡径は下記の要領で測定されたものをいう。
即ち、上記発泡体を、TDにおける略中央部において、MDに平行でかつ厚み方向(ZD)に平行な面で厚み方向(ZD)に切断する。得られた切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて60倍に拡大し、上記発泡体の厚み方向(ZD)の全長が収まるように写真撮影する。得られた写真において、写真撮影された切断面をMDに四分割する三本の直線を、シート状の発泡体の表面に直交する方向(ZD)にシート状の発泡体の全長にわたって描く。各直線の長さを測定するとともに各直線上に位置する気泡数を目視により数え、下記式に基づいて各直線ごとに気泡のZDの平均気泡径を算出し、これらの相加平均をZDの平均気泡径とする。
ZDの平均気泡径(μm)=写真上における直線の長さ(μm)/(60×気泡数(個))
【0036】
なお、上述の平均気泡径を測定する要領において、直線上に位置する気泡数を数えるにあたっては、写真上に表れた気泡断面のみに基づいて気泡径を判断する。
即ち、気泡同士は、上記発泡体の切断面においては気泡壁によって互いに完全に分離しているように見えても、上記発泡体の切断面以外の部分において互いに連通している場合もある。本明細書においては、上記発泡体の切断面以外の部分において互いに連通しているか否かについて考慮せず、写真上に表れた気泡断面のみに基づいて気泡形態を判断し、写真上に表れた気泡断面により完全に囲まれた一個の空隙部分を一個の気泡として判断する。
なお、気泡が直線上に位置するとは、直線が気泡を該気泡の任意の部分において完全に貫通している場合をいう。直線の両端部において、直線が気泡を完全に貫通することなく直線の端部が気泡内に位置した状態となっている場合には、この気泡を0.5個として数える。
【0037】
上述した発泡体の発泡倍率は、上記発泡体の材料、厚み等により調整することができる。また、上述した発泡体の気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)は、上記発泡体の材料、発泡倍率、厚み等により調整することができる。
【0038】
上記発泡体は、厚み方向の表面に気泡が露出していないことが好ましく、厚み方向の表面にスキン層を有することがより好ましい。上記スキン層とは、上記発泡体の一部であって、気泡を含んでおらず、上記発泡体の表面から一定の厚みを占める領域を指す。厚み方向の表面に気泡が露出していたり、表面に露出した気泡が破れていたりする発泡体を用いると、粘着テープの耐衝撃性又は耐反発性が劣ることがある。
【0039】
上記発泡体を製造する方法としては、原料となる樹脂組成物を必要に応じて架橋した後に発泡する方法等の従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、以下の工程(1)~(3)を有する方法により製造することができる。なお、上記発泡体の製造方法としては、他にも例えば、国際公開第2005/007731号に記載された方法等も挙げられる。
工程(1):ポリプロピレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂等の樹脂成分、熱分解型発泡剤、並びに、その他の添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによってシート状にされたポリオレフィン樹脂組成物を得る工程
工程(2):シート状にされたポリオレフィン樹脂組成物を架橋する工程
工程(3):架橋させたシート状のポリオレフィン樹脂組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させる工程
【0040】
上記熱分解型発泡剤は特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これらの熱分解型発泡剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、アゾジカルボンアミドが好ましい。
【0041】
上記熱分解型発泡剤の含有量は特に限定されないが、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限は1重量部、好ましい上限は12重量部である。上記熱分解型発泡剤の含有量が上記範囲内であることで、上記ポリオレフィン樹脂組成物の発泡性が向上し、所望の発泡倍率を有するポリオレフィン発泡体を得ることができる。上記熱分解型発泡剤の含有量のより好ましい上限は8重量部である。
【0042】
上記ポリオレフィン樹脂組成物に配合するその他の添加剤としては、分解温度調整剤、架橋助剤、酸化防止剤等が挙げられる。
上記分解温度調整剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたりすることで、発泡体の表面状態等を調整するものとして配合される。上記分解温度調整剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。樹脂成分100重量部に対する上記分解温度調整剤の含有量の好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は5重量部である。
【0043】
上記架橋助剤は、後述する上記ポリオレフィン樹脂組成物の架橋において照射する電離性放射線量を低減し、電離性放射線の照射に伴う樹脂分子の切断、劣化を防止するために配合される。
上記架橋助剤としては、例えば、多官能モノマー等が挙げられる。具体的には例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物が挙げられる。また、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物が挙げられる。また、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記架橋助剤の添加量は、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限が0.2重量部、好ましい上限が10重量部である。上記架橋助剤の添加量がこの範囲内であると、所望の架橋度を持つ発泡体を安定して得ることができ、また、発泡体の架橋度の制御を容易にすることができる。同様の観点から、上記架橋助剤の添加量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部であり、更に好ましい下限は0.5重量部である。
【0044】
上記酸化防止剤は、熱による酸化劣化を防止するために配合される。上記酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0045】
上記ポリオレフィン樹脂組成物を架橋する方法としては、例えば、上記ポリオレフィン樹脂組成物に電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法や、上記ポリオレフィン樹脂組成物を形成する際に予め有機過酸化物を配合しておき、その後、上記ポリオレフィン樹脂組成物を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なかでも、均質に架橋を行う観点から、電離性放射線を照射する方法が好ましい。
【0046】
上記電離性放射線を照射する方法における電離性放射線の照射量は、上記ポリオレフィン樹脂組成物のゲル分率が5~45重量%となるように調節することが好ましい。具体的な照射量としては、0.5~20Mradが好ましく、3~12Mradがより好ましい。
【0047】
上記ポリオレフィン樹脂組成物に予め有機過酸化物を配合する方法における、有機過酸化物としては、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの有機過酸化物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機過酸化物の添加量は、樹脂成分100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が5重量部である。上記有機過酸化物の添加量がこの範囲内であると、上記ポリオレフィン樹脂組成物の架橋が進行しやすく、また、得られるポリオレフィン発泡体中に存在する有機過酸化物の分解残渣の量を抑制することができる。同様の観点から、上記有機過酸化物の添加量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は3重量部である。
【0048】
上記ポリオレフィン樹脂組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させる方法は特に限定されず、例えば、上記ポリオレフィン樹脂組成物を熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂組成物を加熱し、発泡させる方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物の発泡方法は、熱分解型発泡剤を用いる方法に限定されず、ブタンガス等による物理発泡を用いてもよい。
【0049】
上記工程(3)においては、必要に応じて、架橋させたシート状のポリオレフィン樹脂組成物をMD又はTDのいずれか一方又は双方に延伸してもよい。
上記架橋させたシート状のポリオレフィン樹脂組成物を延伸する方法としては、ポリオレフィン樹脂組成物を発泡させて、発泡体を得た後に延伸する方法や、ポリオレフィン樹脂組成物を発泡させつつ延伸する方法等が挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂組成物を発泡させて、発泡体を得た後に延伸を行う場合には、発泡体を冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡体を延伸したほうが好ましいが、冷却した発泡体を再度加熱して、溶融又は軟化状態とした後に発泡体を延伸してもよい。
【0050】
上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい上限は1500μmである。上記基材の厚みが1500μm以下と薄型であっても、上記基材として上述した発泡体を用いることにより、荷重がかかった際の粘着テープの伸び量を抑制しつつ、粘着テープの耐反発性を向上させることができる。同様の観点から、上記基材の厚みのより好ましい上限は1000μm、更に好ましい上限は900μm、更により好ましい上限は800μmである。
上記基材の下限は特に限定されないが、好ましい下限は100μmである。上記基材の厚みが100μm以上であれば、粘着テープの耐衝撃性が向上する。同様の観点から、上記基材の厚みのより好ましい下限は150μm、更に好ましい下限は200μmである。
【0051】
上記粘着剤層は特に限定されないが、アクリル共重合体を含有するアクリル粘着剤層が好ましい。
上記アクリル共重合体は特に限定されないが、高い粘着力が得られることから、ブチルアクリレートと2-エチルヘキシルアクリレートとを含むモノマー混合物を共重合して得られることが好ましい。
全モノマー混合物に占めるブチルアクリレートの含有量の好ましい下限は40重量%、好ましい上限は80重量%である。ブチルアクリレートの含有量がこの範囲内であると、高い粘着力と凝集力とを両立することができる。
全モノマー混合物に占める2-エチルヘキシルアクリレートの含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。2-エチルヘキシルアクリレートの含有量がこの範囲内であると、高い粘着力と凝集力とを両立することができる。
【0052】
上記モノマー混合物は、必要に応じてブチルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレート以外の共重合可能な他の重合性モノマーを含んでいてもよい。
上記共重合可能な他の重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等のアルキル基の炭素数が1~3の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、メタクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等のアルキル基の炭素数が13~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。
【0053】
上記モノマー混合物を共重合して上記アクリル共重合体を得るには、上記モノマー混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させればよい。上記モノマー混合物をラジカル反応させる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が40万、好ましい上限が100万である。重量平均分子量が40万未満であると、上記アクリル粘着剤層の凝集力が低下し、粘着テープのせん断粘着力が低下することがある。重量平均分子量が100万を超えると、上記アクリル粘着剤層の粘着力が低下し、粘着テープのせん断粘着力が低下することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は50万、より好ましい上限は70万である。
重量平均分子量を上記範囲に調整するためには、重合開始剤、重合温度等の重合条件を調整すればよい。
なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0055】
上記アクリル粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有してもよい。
上記粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル系樹脂、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、脂環族飽和炭化水素系樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5-C9共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量がこの範囲内であると、高い粘着力を発揮することができる。
【0057】
上記アクリル粘着剤層は、架橋剤が添加されることにより上記アクリル粘着剤層を構成する樹脂(上記アクリル共重合体及び/又は上記粘着付与樹脂)の主鎖間に架橋構造が形成されていることが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、イソシアネート系架橋剤が好ましい。上記アクリル粘着剤層にイソシアネート系架橋剤が添加されることで、イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基と上記アクリル粘着剤層を構成する樹脂中のアルコール性水酸基とが反応して、上記アクリル粘着剤層の架橋が緩くなる。従って、上記アクリル粘着剤層は、断続的に加わる剥離応力を分散させることができ、粘着テープのせん断粘着力がより向上する。
上記架橋剤の添加量は、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部であり、より好ましい下限が0.1重量部、より好ましい上限が3重量部である。
【0058】
上記アクリル粘着剤層の架橋度は、高すぎても低すぎても、大きなせん断方向の負荷が加わると被着体から剥離しやすくなることがあるので、5~40重量%が好ましく、10~40重量%がより好ましく、15~35重量%が特に好ましい。
なお、上記アクリル粘着剤層の架橋度は、アクリル粘着剤層をW1(g)採取し、このアクリル粘着剤層を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過した後、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量W2(g)を測定し、下記式(2)により算出する。
架橋度(重量%)=100×W2/W1 (2)
【0059】
上記アクリル粘着剤層の厚みは特に限定されないが、片面のアクリル粘着剤層の厚みの好ましい下限は10μm、好ましい上限は100μmである。上記アクリル粘着剤層の厚みがこの範囲内であると、高い粘着力と、リワーク性又は再剥離性とを両立することができる。
【0060】
本発明の粘着テープは、総厚みの好ましい下限が30μm、好ましい上限が2000μmである。総厚みがこの範囲内であると、使用される電子機器等の薄型化に寄与することができる。また、総厚みが30~2000μmと薄型であっても、上記基材として上述した発泡体を用いることにより、荷重がかかった際の粘着テープの伸び量を抑制しつつ、粘着テープの耐反発性を向上させることができる。同様の観点から、総厚みのより好ましい下限は150μm、より好ましい上限は1700μmであり、更に好ましい下限は200μm、更に好ましい上限は1100μmであり、更により好ましい下限は300μm、更により好ましい上限は900μmである。
【0061】
本発明の粘着テープの製造方法として、例えば、発泡体からなる基材の両面に粘着剤層を有する場合、以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体、粘着付与樹脂、必要に応じて架橋剤等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去してアクリル粘着剤層Aを形成する。次に、形成されたアクリル粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面がアクリル粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面にアクリル粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムをアクリル粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、アクリル粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面にアクリル粘着剤層を有し、かつ、アクリル粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0062】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムのアクリル粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧してもよい。これにより、基材の両面にアクリル粘着剤層を有し、かつ、アクリル粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0063】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されず、例えば、輸送機器の部品固定に用いることができる。なかでも、車載用電子部品の固定に用いられることが好ましく、車載用パネルや車載用ヘッドアップディスプレイ等のカバーの固定に用いられることがより好ましい。本発明の粘着テープは、荷重がかかった際に伸びにくく、耐反発性にも優れることから、車載用パネルや車載用ヘッドアップディスプレイ等のカバーを固定する用途において重量のある部品を固定したり曲面に適用されたりした場合にも、剥離しにくい。なお、これらの用途に用いられる場合、本発明の粘着テープは、発泡体からなる基材の両面に粘着剤層を有することが好ましい。
本発明の粘着テープは、また、携帯電子機器を構成する部品の固定にも好適に用いることができる。具体的には例えば、大型の携帯電子機器における部品の接着固定にも本発明の粘着テープを好適に用いることができる。
これらの用途における本発明の粘着テープの形状は特に限定されず、例えば、長方形、額縁状、円形、楕円形、ドーナツ型等が挙げられる。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、荷重がかかった際に伸びにくく、耐反発性にも優れた粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】実施例及び比較例で得られた両面粘着テープの50N荷重時の伸び量の評価方法を示す模式図である。
【
図2】実施例及び比較例で得られた両面粘着テープの耐反発性の評価方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0067】
(実施例1)
(1)ポリオレフィン発泡体の調製
ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)70重量部と、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)30重量部とからなる樹脂成分を用いた。この樹脂成分に、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)7.0重量部及びジビニルベンゼン(架橋助剤)3.0重量部を添加した。更に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(酸化防止剤)0.3重量部、ジラウリルチオプロピオネート(酸化防止剤)0.3重量部、及び、メチルベンゾトリアゾール(金属害防止剤)0.5重量部を添加してポリオレフィン樹脂組成物を得た。このポリオレフィン樹脂組成物を単軸押出機により温度185℃で溶融混練して、厚み600μmの原反シートとして押出した。
上記原反シートを、その両面に加速電圧800kVの電子線を1.5Mrad照射して架橋した後、熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させ、厚さ1000μmのポリオレフィン発泡体を得た。
【0068】
(2)ポリオレフィン発泡体の物性測定
得られたポリオレフィン発泡体について以下の物性を測定した。結果を表1に示した。
【0069】
(2-1)23℃におけるせん断弾性率の測定
JIS K7224-4に準拠して、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製のDVA-200)を用いて下記条件にてポリオレフィン発泡体の23℃におけるせん断弾性率を測定した。
サンプルサイズ 厚さ1mm、長さ10mm、6mm
変形モード せん断
設定歪 0.30%(G>1.00E+08Pa)
設定昇温速度 5℃/min
測定周波数 10Hz
【0070】
(2-2)23℃における曲げ弾性率の測定
下記条件を採用したこと以外はJIS K7221-2に準拠して測定を行い、下記式(1)によりポリオレフィン発泡体の23℃における曲げ弾性率(E)を算出した。
測定速度 1mm/min
支点間距離 試験片の厚みの16倍
試験片の幅 10mm
試験片加圧くさびの先端R 5mm
【0071】
【0072】
式(1)中、Lは支点間距離(mm)を表し、bは試験片の幅(mm)を表し、dは試験片の厚み(mm)を表し、Ftはたわみ量に対応する荷重(kN)を表し、xtはたわみ量(mm)を表す。
【0073】
(2-3)結晶融解温度ピークの測定
ポリオレフィン発泡体100mgを示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製の商品名「220C」)を用いて大気中において昇温速度10℃/分の条件下で測定し、結晶融解温度ピークを求めた。
【0074】
(2-4)気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)の測定
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて写真撮影することにより、ポリオレフィン発泡体のTDの平均気泡径、及び、ZDの平均気泡径をそれぞれ算出し、得られた値から気泡のアスペクト比(TDの平均気泡径/ZDの平均気泡径)を求めた。
【0075】
(2-5)発泡倍率の測定
電子比重計(ミラージュ社製、ED120T)を用いてポリオレフィン発泡体の密度を測定し、JIS K 7222に準拠して密度の逆数として発泡倍率を算出した。
【0076】
(2-6)厚さ方向の25%圧縮強度の測定
引張試験装置(島津製作所社製、AUTOGRAPH AGS-X)を用い、JIS K6767-7.2.3(JIS2009)に準拠してポリオレフィン発泡体の厚さ方向の25%圧縮強度を測定した。
【0077】
(3)粘着剤の調製
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にブチルアクリレート70重量部、2-エチルヘキシルアクリレート27重量部、アクリル酸3重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.2重量部、及び、酢酸エチル80重量部を加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加した。70℃、5時間還流させて、アクリル共重合体の溶液を得た。得られたアクリル共重合体について、カラムとしてWater社製「2690 Separations Model」を用いてGPC法により重量平均分子量を測定したところ、71万であった。
得られたアクリル共重合体の溶液に含まれるアクリル共重合体の固形分100重量部に対して、軟化点150℃の重合ロジンエステル15重量部、酢酸エチル(不二化学薬品社製)125重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製 商品名「コロネートL45」)1.5重量部を添加し、攪拌して、粘着剤を得た。
【0078】
(4)両面粘着テープの製造
厚み150μmの離型紙を用意し、この離型紙の離型処理面に粘着剤を塗布し、100℃で5分間乾燥させることにより、厚み50μmのアクリル粘着剤層を形成した。このアクリル粘着剤層を、ポリオレフィン発泡体の表面と貼り合わせた。次いで、同様の要領で、このポリオレフィン発泡体の反対の表面にも上記と同じアクリル粘着剤層を貼り合わせた。その後40℃で48時間加熱することで養生を行い、両面粘着テープを得た。
【0079】
(実施例2)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)75重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)25重量部に変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0080】
(実施例3)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)80重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)20重量部に変更した。また、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)7.5重量部に変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0081】
(実施例4)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)80重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)20重量部に変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0082】
(実施例5)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ500μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)80重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)20重量部に変更した。また、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)3.8重量部に変更した。また、原反シートの厚み300μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0083】
(実施例6)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ200μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)60重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)40重量部に変更した。また、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)3.5重量部に変更した。また、原反シートの厚み150μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0084】
(実施例7)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ500μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)4.5重量部、原反シートの厚み250μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0085】
(実施例8)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ200μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)4.5重量部、原反シートの厚み150μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0086】
(実施例9)
ポリオールとして、ポリオール成分であるポリプロピレングリコール(PPG)(重量平均分子量800)90重量部及び、ネオペンチルグリコール(分子量800)10重量部と、酸成分であるε-カプロラクタム12.5重量部とからなるポリエステルポリオール(ポリオール成分/酸成分配合比率(重量比)=8:1)を準備した。このポリエステルポリオール100重量部に対してアミン触媒(三共エアープロダクト社製、商品名「ダブコLV33」)を0.7重量部、整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SZ5740M」)を1重量部添加し、攪拌した。そこへポリイソシアネート(東ソー社製、商品名「ポリメリックMDI」)をイソシアネートインデックス60になるよう調整し投入した。その後、0.2g/cm3になるように窒素ガスと混合攪拌し、微細な気泡が混入した溶液を得た。その溶液を厚み50μmのPETセパレーター(ニッパ社製、商品名「V-2」)上にアプリケーターを使用して所定の厚みに塗布し、発泡体原料を反応させ、厚み800μmのポリウレタン樹脂からなる発泡体(密度0.48g/cm3)を得た。得られたポリウレタン樹脂からなる発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
ポリオレフィン発泡体に代えて、得られたポリウレタン樹脂からなる発泡体を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
【0087】
(実施例10)
以下のポリイミド発泡体を用意し、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
ポリオレフィン発泡体に代えて以下のポリイミド発泡体を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面粘着テープを得た。
ポリイミド発泡体:アイ・エス・テイ社製、商品名「SKYBOND FORM」、TYPE 1、厚み:800μm
【0088】
(比較例1)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ1000μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)100重量部のみからなる樹脂成分を用い、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)6.5重量部、原反シートの厚み500μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0089】
(比較例2)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ800μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)100重量部のみからなる樹脂成分を用い、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)4.5重量部、原反シートの厚み400μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0090】
(比較例3)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ400μmのポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)4.5重量部、原反シートの厚み200μmに変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0091】
(比較例4)
下記のように変更した以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン発泡体を得た。
即ち、ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.9g/cm3、MFR0.5g/10分)90重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分、密度0.917g/cm3)10重量部に変更した。また、アゾジカルボンアミド(熱分解型発泡剤)3.0重量部に変更した。得られたポリオレフィン発泡体について、実施例1と同様の方法で各物性測定を行った。結果を表1に示した。
得られたポリオレフィン発泡体を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0092】
<評価>
実施例及び比較例で得られた両面粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0093】
(1)50N荷重時の伸び量の評価
図1に、両面粘着テープの50N荷重時の伸び量の評価方法を示す模式図を示した。まず、縦12.5mm×横25mmにカットした両面粘着テープ2、及び、ポリカーボネート板(長さ65mm×幅55mm、厚み1.0mm)1を2枚用いて、
図1に示すように積層して貼り合わせた。この積層体を5kg、10秒の条件で重しを用いて圧着した後、24時間静置し、両面粘着テープ2を介してポリカーボネート板1が2枚貼り合された試験用サンプルとした。この試験用サンプルのポリカーボネート板1の下端を固定した後、23℃、50%RHの条件下、ポリカーボネート板1の上端をせん断方向(図中、矢印方向)に10mm/minの条件で引っ張り、両面粘着テープ2に50Nの荷重がかかったときの伸び量を測定し、両面粘着テープの厚み1mmあたりの伸び量に換算した。得られた伸び量が1.0mm未満の場合を◎、1.0mm以上1.2mm未満の場合を○、1.2mm以上の場合を×と評価した。
【0094】
(2)耐反発性の評価
図2に、両面粘着テープの耐反発性の評価方法を示す模式図を示した。まず、両面粘着テープを、MDが縦方向の辺、TDが横方向の辺になるように縦150mm、横25mmの長方形状に切り出した。
図2に示すように、両面粘着テープ4の片面を、縦150mm、横25mm、厚み1mmのポリカーボネート板5に貼り合わせ、更にもう片面を縦200mm、横25mm、厚み1mmのポリカーボネート板6に貼り合わせ、2kgのローラーで1往復圧着し、24時間静置した。その後、得られた積層体を治具7により縦200mmから190mmになるように曲げて固定し、サンプルAとした。
サンプルAを110℃に調整したオーブン中に500時間置き、観察した。「浮き」の発生が全く認められなかった場合については同様に積層体をもうひとつ作製し、得られた積層体を治具7により縦200mmから165mmになるように曲げて固定し、サンプルBとした。サンプルBを110℃に調整したオーブン中に500時間置き、観察した。
165mmまで曲げたサンプルBでも「浮き」の発生が全く認められなかった場合を◎と評価した。190mmまで曲げたサンプルAでは「浮き」の発生が全く認められなかったが165mmまで曲げたサンプルBではテープ貼り付け面積の30%未満の「浮き」が認められた場合を○と評価した。190mmまで曲げたサンプルAでは「浮き」の発生が全く認められなかったが165mmまで曲げたサンプルBでは貼り付け面積の30%以上で「浮き」が認められた場合を△と評価した。190mmまで曲げたサンプルAでも「浮き」が認められた場合を×と評価した。
【0095】
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、荷重がかかった際に伸びにくく、耐反発性にも優れた粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 ポリカーボネート板
2 両面粘着テープ
4 両面粘着テープ
5 ポリカーボネート板(縦150mm、横25mm、厚み1mm)
6 ポリカーボネート板(縦200mm、横25mm、厚み1mm)
7 治具