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特許7128085防塵キャップ及びそれを備えた放水ノズル
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  • 特許-防塵キャップ及びそれを備えた放水ノズル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】防塵キャップ及びそれを備えた放水ノズル
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/28 20060101AFI20220823BHJP
   A62C 31/02 20060101ALI20220823BHJP
   B05B 1/26 20060101ALI20220823BHJP
   A62C 3/00 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
A62C31/28
A62C31/02
B05B1/26 A
A62C3/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018201185
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020065809
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕之
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-042293(JP,A)
【文献】特開2011-222254(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1287348(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265865(US,A1)
【文献】特開2016-137098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
B05B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放水ノズルに取り付けられる防塵キャップであって、
前記ノズルの放水口部を開閉可能に覆う開閉部を備えており、
前記開閉部は、複数の部分に分割されてそれぞれが、放水時に放水口部からの水を受水して放水圧によって開方向に回転して開き、放水停止時に付勢部材の付勢力によって閉方向に回転して閉じるように構成され、
また、前記開閉部は、放水口部からの水の受水面となる内面に段部が設けられることを特徴とする防塵キャップ。
【請求項2】
前記放水口部の周囲に固定される筒状の固定部をさらに備えており、前記固定部には、前記開閉部の分割される各部分を回転させる回転軸がそれぞれ、各部分の境目の近傍に位置して設けられることを特徴とする請求項1に記載の防塵キャップ。
【請求項3】
前記段部は、放水方向に交差する方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防塵キャップ。
【請求項4】
前記開閉部は、分割される各部分が閉じている状態で、各部分の境目部分が互いに重なるように設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の防塵キャップ。
【請求項5】
前記開閉部の各部分の互いに重なる部分は、前記開閉部の内外を連通させる排水部を介して互いに重なることを特徴とする請求項4に記載の防塵キャップ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の前記防塵キャップを備えていることを特徴とする放水ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防塵キャップ及びそのキャップを備えた放水ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネル(以下、単に「トンネル」と言う)には、防災設備として、消火器や消火栓等の消火設備に加えて、水噴霧設備が設けられることがある。水噴霧設備は、トンネルの天井や側壁上方等の高所に設置される水噴霧ヘッド(「水噴霧ヘッド」とも称される)を備え、火災発生時、水噴霧ヘッドのノズルから水を霧状にして放水し、火勢の抑制や延焼の防止等を行う。なお、水噴霧ヘッドとしては、通常、散水距離や散水パターンを異にする複数の放水ノズル(近投ノズルや遠投ノズル等)を組み合わせて有するものが用いられる。
【0003】
水噴霧ヘッドのノズルには、トンネル内の塵埃(排気ガス由来の煤等を含む)が放水口に付着するのを防ぐための防塵キャップが装着される。防塵キャップとしては、従来、常時は放水口を覆う状態を維持する一方、放水時は水圧によりノズルから外れるように形成される樹脂成形品が用いられている。しかし、従来の防塵キャップの場合、定期点検等により放水をした後、設備を復旧する際に、高所に設置されているノズルに対し、外れたキャップを再装着する作業が必要となる。そのため、高所作業車を使用して行う必要がある等、復旧の作業が容易ではないという問題がある。
【0004】
そこで、例えば、特開2016-137098号公報(特許文献1)に記載の発明は、水噴霧ヘッドにおいて、防塵キャップとして機能するカバープレートを自動的に開閉させる技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-137098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の特許文献1の技術の場合、防塵キャップとして機能するカバープレートを開閉させるために放水ノズルを前後に移動させる機構部分を設けており、ノズルを含む全体の構造が複雑なものとなっている。
【0007】
前記の事情に鑑み、この発明は、自動的に開閉可能でありながら、構造が簡単な防塵キャップを提供することを目的とする。また、そのような防塵キャップを備えた放水ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、放水ノズルに取り付けられる防塵キャップであって、前記ノズルの放水口部を開閉可能に覆う開閉部を備えており、前記開閉部は、複数の部分に分割されてそれぞれが、放水時に放水口部からの水を受水して放水圧によって開方向に回転して開き、放水停止時に付勢部材の付勢力によって閉方向に回転して閉じるように構成され、また、前記開閉部は、放水口部からの水の受水面となる内面に段部が設けられることを特徴とする防塵キャップである。
【0009】
ここで、前記開閉部は、ノズルに取り付けられている状態で左右に位置する2つの部分に分割されるものとすることができ、観音扉式に開閉するものとすることができる。
【0010】
また、この発明は、前記放水口部の周囲に固定される筒状の固定部をさらに備えており、前記固定部には、前記開閉部の分割される各部分を回転させる回転軸がそれぞれ、各部分の境目の近傍に位置して設けられることを特徴とする防塵キャップである。
【0011】
ここで、前記回転軸はそれぞれ、一方の端部が前記開閉部の内側に向かい、かつ他方の端部が前記開閉部の外側に向かう配置で設けられるものとすることができる。
【0012】
また、この発明は、前記段部は、放水方向に交差する方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする防塵キャップである。
【0013】
また、この発明は、前記開閉部は、分割される各部分が閉じている状態で、各部分の境目部分が互いに重なるように設けられることを特徴とする防塵キャップである。
【0014】
ここで、前記開閉部の各部分の互いに重なる部分は、前記開閉部の内外を連通させる排水部を介して互いに重なることを特徴とする防塵キャップである。
【0015】
また、この発明は、前記防塵キャップを備えていることを特徴とする放水ノズルである。
【発明の効果】
【0016】
この発明においては、防塵キャップの開閉部を開閉させるための機構がキャップ側において完結しており、そのための機構をノズル側に設ける必要がない。
【0017】
したがって、この発明によれば、構造が簡単な防塵キャップを提供することができ、また、そのような防塵キャップを備えた放水ノズルを提供することができる。
【0018】
また、この発明によれば、開閉部が複数の部分に分割されることにより、開閉部の各部分に分散させて放水圧を開方向に効率的に作用させるようにすることができる。また、開閉部の受水面となる内面に段部が設けられることにより、受水面を放水方向に対する角度を異にする複数の面からなるものとすることができ、それら複数の面によって開閉部の各部分に放水圧を開方向に効率的に作用させるようにすることができる。
【0019】
また、この発明によれば、開閉部の複数の部分を回転させる回転軸が各部分の境目近傍に位置して設けられることにより、開閉部の各部分の回転角度を小さくすることができ、開閉部の各部分を回転させるのに要する力を小さくすることができる。
【0020】
また、この発明によれば、開閉部の複数の部分が閉じている状態で、各部分の境目部分が互いに重なるように設けられることにより、開閉部が分割されていても、防塵性能が落ちるのを防ぐことができる。
【0021】
さらに、開閉部の各部分の互いに重なる部分を開閉部の内外を連通させる排水部を介して互いに重なるものとすることにより、例えば、この発明の防塵キャップを下向き(斜め下方を含む)に設置される放水ノズルに取り付けられるものとして用いる場合に、排水部から内部の残水を外部に自然に排水することができ、防塵キャップ内部に水が溜まるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施形態の一例を示した図であり、開閉部が閉じた状態における防塵キャップ単体の開閉部を横に向けた状態の主に開閉部及び側部を斜め上方から見た斜視図である。なお、分割の境目を境に開閉部の一方の側のみ内部を透過させて示している。
図2】同上の防塵キャップ単体の開閉部を下に向けた状態の分割の境目側の側面図である。なお、分割の境目を境に開閉部の一方の側のみ内部を透過させて示している。
図3】同上の防塵キャップ単体の開閉部を下に向けた状態の主に分割の境目側及び側部を斜め上方から見た斜視図である。なお、分割の境目を境に開閉部の一方の側のみ内部を透過させて示している。
図4】同上の防塵キャップが水噴霧ヘッドの放水口部が設けられる前端部が下方に向けて設置される近投側の放水ノズルに取り付けられ、開閉部が閉じた状態における防塵キャップを横に向けた状態における水噴霧ヘッド全体を斜め上方から見た斜視図である。なお、防塵キャップの部分のみ内部を透過させて示している。
図5図4の状態における(a)が全体の縦断面図であり、(b)が(a)とは異なる角度のノズル側の部分のみの縦断面図である。
図6】開閉部が開いた状態における図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の防塵キャップと放水ノズルの実施形態について、トンネルの防災設備の一つとして設置される水噴霧設備における水噴霧ヘッドの放水ノズルに適用する場合を例として、図1乃至図6に基づいて説明する。なお、この発明は、トンネルに設置される水噴霧ヘッドの放水ノズルに限らず、種々の放水ノズル及びその防塵キャップとしても適用が可能であり、例えば、大空間に設置される放水型ヘッドの放水ノズル及びその防塵キャップとしても適用が可能である。
【0024】
[防塵キャップ]
まず、図1乃至図3に基づいて、防塵キャップ自体の実施形態について説明する。
【0025】
・全体構成
図1乃至図3に示されるように、防塵キャップ1は、放水ノズルの放水口部(詳細な例示は後記する)の周囲に固定される、全体として筒状をなす固定部2と、放水口部を前方から開閉自在に覆うと共に、放水口部の周囲を囲む、全体として有蓋筒状をなす開閉部3とを備えている。
【0026】
・固定部
固定部2には、後記で詳細に説明する回転軸3fが設けられ、その回転軸3fにより開閉部3が回転可能に取り付けられる。なお、固定部2は、例えば、ネジ止め部2aにより放水ノズルの放水口部の周囲に固定される。
【0027】
・開閉部
本実施形態において、全体として有蓋筒状の開閉部3は、その長さ方向(図2、3における上下方向)に略中央部を縦断して2つの部分3a、3b(以下、「開閉部3a、3b」ともいう)に分割されている。両開閉部3a、3bはそれぞれ、分割の境目3kに沿って長さ方向に延在して両側部の対称位置に設けられる一対の脚部3eを有している。また、両開閉部3a、3bはそれぞれ、一対の脚部3eのそれぞれの脚端側の対称位置に一対をなす回転軸3fが、開閉部3の長さ方向に直交する方向(図1における上下方向)に沿うと共に、一方の端部が開閉部3の内側(具体的には、各開閉部3a、3bの各脚部3eの内側)に向かい、かつ他方の端部が開閉部3の外側(具体的には、同前の外側)に向かう配置で設けられている。両開閉部3a、3bはそれぞれ、一対の回転軸3fにより開閉部3a、3bの長さ方向に直交する軸回りに開方向と閉方向に回転可能に固定部2に取り付けられている。さらに、両開閉部3a、3bにはそれぞれ、付勢部材の一例として、常時、各開閉部3a、3bを閉方向に付勢する捩じりバネ3gが1つずつ設けられている。
【0028】
そして、開閉部3は、各開閉部3a、3bが閉じている状態で両者の内面3cが放水口部からの水を受水する受水面となる配置で固定部2により放水ノズルに取り付けられる。
【0029】
つまり、開閉部3は、各開閉部3a、3bが、放水時に放水ノズルの放水口部からの水を受水して放水圧によって開方向に回転して自動的に開く一方、放水停止時に捩じりバネ3gの付勢力によって閉方向に回転して自動的に閉じるように構成されている。これにより、放水ノズルの放水口部を簡単な構造によって自動的に開閉可能に覆うことができる。
【0030】
また、開閉部3は、複数の開閉部3a、3bに分割されていることにより、各開閉部3a、3bに分散させて放水圧を開方向に効率的に作用させるようにすることもできる。
【0031】
ここで、開閉部3において、分割される各開閉部3a、3bの数は、例えば、3つ以上としてもよいが、本実施形態のように2つとすることにより構造をより簡単なものとすることができる。また、各開閉部3a、3bを閉方向に付勢する捩じりバネ3gについても、その数は適宜変更してもよく、例えば、回転軸3fごとに1つずつ設けるようにしてもよい。また、バネ部材の種類自体変更してもよく、例えば、板バネ、引張バネ、圧縮バネとしてもよい。
【0032】
・回転軸
各開閉部3a、3bを回転させる回転軸3fは、分割の境目3k近傍に位置して設けられるものとすることができる。本実施形態において、一対の回転軸3fは、分割の境目3k近傍に位置して設けられている。具体的には、前記の通り、各開閉部3a、3bの分割の境目3kに沿って長さ方向に延在して両側部の対称位置に設けられる一対の脚部3eの脚端部のそれぞれに設けられている。そして、一対の回転軸3fは、開閉部3の長さ方向に直交する方向に沿うと共に、一方の端部が開閉部3の内側(具体的には、各開閉部3a、3bの各脚部3eの内側)に向かい、かつ他方の端部が開閉部3の外側(具体的には、同前の外側)に向かう配置でそれぞれ設けられている。それにより、本実施形態において、開閉部3は、各開閉部3a、3bをそれらの長さ方向に直交する方向の軸回りに開方向と閉方向に回転可能としつつ、小さい回転角度で開閉でき、各回転部3a、3bを回転させて開閉させるのに要する力を小さくすることができる。
【0033】
なお、各開閉部3a、3bを回転させる回転軸3fについては、各開閉部3a、3bのそれぞれの分割の境目3kとは反対側の側部に1つずつ設けるようにしてもよいが、本実施形態のような配置で設けた方が、開閉時の軌道が短くなり、各開閉部3a、3bを回転させて開閉させるのに必要な回転角度を小さくすることができる点で有利である。
【0034】
・段部
開閉部3において、各開閉部3a、3bにより形成され、放水ノズルの放水口部からの放水の受水面となる内面3cには、段部3dが設けられている。開閉部3は、この段部3dが設けられていることにより、受水面となる内面3cを放水方向に対する角度を異にする複数の面からなるものとすることができる。
【0035】
・傾斜面
本実施形態において、段部3dは、各開閉部3a、3bが閉じている状態で、防塵キャップ1が取り付けられる放水ノズルの前端部の前方に対面し、平坦な面を形成する部分の周囲部分に環状をなすように設けられている。また、放水ノズルの前端部に設けられる放水口部から放水される水の放水方向と交差する方向に傾斜する傾斜面3h(放水方向前方に向けて内側に傾斜する傾斜面)を形成するように設けられている。これにより、放水時、各開閉部3a、3bに放水圧を開方向に回転させる力として効率的に作用させることができ、各開閉部3a、3bを確実に開状態にすることができると共に、確実に開状態を維持することができる。
【0036】
・重なり部分
各開閉部3a、3bは、本実施形態の場合、両者の分割の境目3k部分が互いに重なるように設けられている。具体的には、本実施形態の場合、両者の分割の境目3k部分における一方の開閉部3a側の部分に対し、他方の開閉部3b側の部分に段状に形成されるラップ部3iが前方から重なるように設けられている。これにより、開閉部3は、本実施形態においては、2つの開閉部3a、3bに分割されていても、防塵性能が落ちるのを防ぐことができる。
【0037】
・排水部
ラップ部3iは、本実施形態の場合、開閉部3の内外を連通させる排水部3jを介して開閉部3aの分割の境目3k部分に重なるように設けられている。これにより、開閉部3は、本実施形態においては、ラップ部3iによって防塵性能を維持しつつも、 防塵キャップ1を下向き(斜め下方を含む)に設置される放水ノズル(例えば、後記で説明する近投ノズル10)に取り付けられるものとして用いる場合に、ラップ部3iから内部の残水を外部に自然に排水することができ、防塵キャップ1内部に水が溜まるのを防ぐことができる。
【0038】
[放水ノズル]
次に、図4乃至図6に基づいて、この発明の防塵キャップが取り付けられる放水ノズルの実施形態について説明する。
【0039】
図4乃至図6は、この発明の防塵キャップが取り付けられる放水ノズルの実施形態の一例として、トンネルに設置される水噴霧ヘッド30における近投ノズル10とする場合を示したものである。
【0040】
ここで、水噴霧ヘッド30について簡単に説明する。水噴霧ヘッド30は、トンネルに設置されて、火災発生時、水を霧状にして放水し、火災の抑制や延焼の防止等を行う水噴霧設備が備えるものとして、トンネルの天井又は側壁上方等の高所に設置されるものである。この水噴霧ヘッド30は、防護区画に均一に放水することができるように、放水距離やパターンを異にする複数種類の放水ノズルとして、図示の例の場合、設置状態において、前端部が下方(斜め下方)に向かい、放水口部から近い領域に放水する近投ノズル10と、前端部が上方(斜め上方)に向かい、放水口部から遠い領域に放水する遠投ノズル20とを有するものとしている。さらに、近投ノズル10については、放水口部として、ノズル前端部に設けられる第1の放水口部11aと、ノズル前端部近傍の側部に設けられる第2の放水口部11bを有するものとしている。また、遠投ノズル20については、ノズル前端部に設けられる放水口部21の前方に放水方向を偏向するデフレクタ22を有するものとしている。なお、図示の例の場合、遠投ノズル20に対しても、その放水口部21を開閉可能に覆う防塵キャップ23が取り付けられるものとしているが、その防塵キャップ23についての詳細な説明は省略する。
【0041】
そして、防塵キャップ1は、水噴霧ヘッド30における近投ノズル10のような放水ノズルに対し、その放水口部である第1の放水口部11aと第2の放水口部11bを開閉部3によって開閉可能に覆うように取り付けることのできるものであり、具体的には、防塵キャップ1は、設置状態で、前端部が下方(斜め下方)に向かう近投ノズル10に対し、図4乃至図6に示されるように、開閉部3の2つの開閉部3a、3bが、第1の放水口部11aと第2の放水口部11bの両方を観音扉式に左右に開閉可能に覆う態様で取り付けられるものである。
【0042】
これにより、近投ノズル10は、常時は、防塵キャップ1の各開閉部3a、3bが捩じりバネ3gの付勢力によって閉じた状態が維持されて、第1の放水口部11aと第2の放水口部11bにトンネル内の塵埃が付着するのを防ぐことができ、放水時は、防塵キャップ1の各開閉部3a、3bが第1の放水口部11aと第2の放水口部11bからの放水の圧力によって自動的に開いて、第1の放水口部11aと第2の放水口部11bから所定通りに放水することができ、放水停止時は、防塵キャップ1の各開閉部3a、3bが捩じりバネ3gの付勢力により自動的に閉じて、常時の状態に自動的に復帰させることができる。
【0043】
なお、防塵キャップ1において、開閉部3の内面3cに形成される段部3dは、本実施形態の場合、前記の通り、放水ノズルの前端部に設けられる放水口部から放水される水の放水方向に対して傾斜する傾斜面(放水方向前方に向けて内側に傾斜する傾斜面)を形成するように設けられている。これにより、放水時には、前記の通り、各開閉部3a、3bに放水圧を開方向に回転させる力として効率的に作用させることができ、各開閉部3a、3bを確実に開状態にすることができると共に、確実に開状態を維持することができる。
【0044】
さらに、防塵キャップ1は、放水時、ポンプ起動直後の初期段階で空気と共に近投ノズル10から放出される水を受水して各開閉部3a、3bを半開状態になり、その後放出される主流の水を受水して各開閉部3a、3bを全開状態になる。すなわち、各開閉部3a、3bを段階的(二段階)に開かせることができる。なお、放水開始時、放水圧力をより高くすれば、各開閉部3a、3bは即座に全開状態とすることができる。
【0045】
以上、この発明の防塵キャップと放水ノズルの実施形態の一例について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、防塵キャップ1は、遠投ノズル20のようなノズルの防塵キャップとして適用することも可能であり、その際、開閉構造を前記のような観音開き式のものとすることも能である。
【符号の説明】
【0047】
1:防塵キャップ 2:固定部 2a:ネジ止め部 3:開閉部 3a~3b:開閉部
3c:内面 3d:段部 3e:脚部 3f:回転軸 3g:捩じりバネ
3h:傾斜面 3i:ラップ部 3j:排水部 3k:分割の境目 10:近投ノズル
11a:第1の放水口部 11b:第2の放水口部 20:遠投ノズル
21:放水口部 22:デフレクタ 23:防塵キャップ 30:水噴霧ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6