IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチハ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-建築板、および施工構造 図1
  • 特許-建築板、および施工構造 図2
  • 特許-建築板、および施工構造 図3
  • 特許-建築板、および施工構造 図4
  • 特許-建築板、および施工構造 図5
  • 特許-建築板、および施工構造 図6
  • 特許-建築板、および施工構造 図7
  • 特許-建築板、および施工構造 図8
  • 特許-建築板、および施工構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】建築板、および施工構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
E04F13/08 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018220414
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020084571
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ニチハ株式会社が平成30年7月13日に配布したカタログ「ニチハ/Vol.3/住み続ける人のことを、/考えて、考えて、考えて、/誕生した外壁材です。/窯業系サイディング業界初。/変色・褐色30年保証/プラチナコート30」 ニチハ株式会社が平成30年7月13日に配布した冊子「視点の先の未来を見つめて/n・a-view/[ナビュー]Nichiha across the view/Vol.462」ニチハ株式会社が平成30年7月17日に配布した商品「モエンエクセラード18 Fu-ge PREMIUM レイシェイド プレミアム」のチラシ ニチハ株式会社が平成30年7月31日に配布したカタログ「メンテナンスコストで大きく差をつける/Fu-ge フュージェ」
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和則
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-129886(JP,A)
【文献】特開2010-64939(JP,A)
【文献】特開2002-129694(JP,A)
【文献】特開2003-155819(JP,A)
【文献】特開2013-167075(JP,A)
【文献】特開2003-184262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
B44B 1/00-11/04
B44C 1/00- 1/14
B44C 1/18- 7/08
B44D 2/00- 7/00
B44F 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる複数の第1目地と、
前記第1方向と直交する第2方向に延びる複数の第2目地と、
前記第1目地及び前記第2目地によって区画された複数の第1凸部、第2凸部と、
各前記第1凸部を複数の第1ブロックに区画する、前記第2方向に延びた細溝と、
建築板の前記第1方向の両端部に配された端ブロックと、
前記建築板の前記第1方向の一方の端部に配され、前記第2方向に延びた凹部と、を備え、
前記第2凸部の前記第2方向の幅は、前記第1凸部の前記第2方向の幅よりも広く、
各前記細溝は、表面からの深さが前記第2目地の深さよりも浅く、前記第1方向の幅が前記第2目地の前記第1方向の幅よりも狭く、
各前記第1目地は、前記建築板の前記一方の端部から前記他方の端部まで連続し、
前記両端部の前記端ブロックの間には、前記第1凸部が前記第1方向に沿って配されており、
前記凹部の他方側には、複数の前記第2凸部が前記第1方向に沿って配されており、
2つの前記建築板を前記第1方向に隣合わせて施工した際に、一方側の前記建築板の前記他方の端部に配された前記端ブロックと、他方側の前記建築板の前記一方の端部に配された前記端ブロックが突き合わされることにより、前記第1目地及び前記第2目地によって区画された第3凸部が形成され、
前記一方側の前記建築板の前記第2凸部と、前記他方側の前記建築板の前記第2凸部は、前記凹部を介して隣り合う建築板。
【請求項2】
前記第1凸部において、前記第1方向で前記細溝を介して隣接する前記第1ブロックの前記第2方向の位置は互いに異なる形態を有する請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
前記両端部の前記端ブロックの前記第2方向の位置は互いに異なる形態を有する請求項2に記載の建築板。
【請求項4】
前記第2目地を介して前記第1方向で隣接する前記第1凸部の前記第2方向の位置は互いに異なる形態を有する請求項1に記載の建築板。
【請求項5】
前記第2目地を介して前記第1方向で隣接する前記第2凸部の前記第2方向の位置は互いに異なる形態を有する請求項1に記載の建築板。
【請求項6】
2つの建築板を、第1方向に隣合わせて施工した建築板の施工構造であって、
前記建築板は、第1方向に延びる複数の第1目地と、
前記第1方向と直交する第2方向に延びる複数の第2目地と、
前記第1目地及び前記第2目地によって区画された複数の第1凸部、第2凸部と、
各前記第1凸部を複数の第1ブロックに区画する、前記第2方向に延びた細溝と、
建築板の前記第1方向の両端部に配された端ブロックと、
前記建築板の前記第1方向の一方の端部に配され、前記第2方向に延びた凹部と、を備え、
前記第2凸部の前記第2方向の幅は、前記第1凸部の前記第2方向の幅よりも広く、
各前記細溝は、表面からの深さが前記第2目地の深さよりも浅く、前記第1方向の幅が前記第2目地の前記第1方向の幅よりも狭く、
各前記第1目地は、前記建築板の前記一方の端部から前記他方の端部まで連続し、
前記両端部の前記端ブロックの間には、前記第1凸部が前記第1方向に沿って配されており、
前記凹部の他方側には、複数の前記第2凸部が前記第1方向に沿って配されており、
前記第1方向に隣合わせて施工された前記建築板において、一方側の前記建築板の前記他方の端部に配された前記端ブロックと、他方側の前記建築板の前記一方の端部に配された前記端ブロックが突き合わされることにより、前記第1目地及び前記第2目地によって区画された第3凸部が形成されており、
前記一方側の前記建築板の前記第2凸部と、前記他方側の前記建築板の前記第2凸部は、前記凹部を介して隣り合う建築板の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁を構成する建築板、及び建築板を隣合わせた建築板の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁を構成する建築板として、窯業系サイディングボードや金属系サイディングボードなどが用いられる。建築板の表面には、タイル、煉瓦、石の外観模様を創出すべく、方形状の凹凸模様を形成することが行われている。このような建築板を上下左右に施工すると、タイル、煉瓦、石などが積み重ねられた外観模様を呈する、意匠性の高い外壁が構成される。
【0003】
方形状の凹凸模様を有する建築板の場合、凸模様と凸模様の間には縦横方向に凹模様(縦目地、横目地)が馬目地として形成されることが行われている。その場合、一枚の建築板の両端には、一つの凸模様が分割された凸模様部分が一段置きに形成されるようになり、また、端には縦目地が通しで形成される。従って、横方向に建築板を継ぎ合わせた場合、継ぎ目部分は馬目地状とはならず、一つの凸部模様が縦目地で分断されているように見え、違和感を感じるという不具合があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、建築板の両端を凸模様に沿って夫々ジグザグ状とすることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、建築板の一方の端部には半ブリック部分の端部を全ブリック部分の端部と揃えて配し、他方の端部には全ブリック部分の端部に縦目地を設けると共に、半ブリック部分の端部に縦目地を設けることなくその縦目地分だけ大きくして全ブリック部分の端部の縦目地に揃えて配することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-161026号公報
【文献】特開2000-129886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の建築板は両端が夫々ジグザグ状の凹凸組み合わせとなっているので、隣接する建築板の凹凸部を正確に合致させながら凹部に凸部を挿入して咬み合わせるように嵌合させなければならず、その作業が大変であると共に、施工不良が生じ易い等の問題があった。
【0008】
特許文献2の建築板においては、並列された複数の建築板の一方側の半ブリック部分と他方側の半ブリック部分を相互に位置合わせして継ぎ合わせた際には、両側の半ブリック部分が一体となって全ブリック模様を現すことができる。
【0009】
しかし、一方側の半ブリック部分と他方側の半ブリック部分の継ぎ目を無くすことはできず、継ぎ目が目立つ。
【0010】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、施工した時に継ぎ目が目立ちにくい建築板、および建築板の施工構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によると、第1方向に延びる複数の第1目地と、第1方向と直交する第2方向に延びる複数の第2目地と、第1目地及び第2目地によって区画された複数の第1凸部、第2凸部と、各第1凸部を複数の第1ブロックに区画する、第2方向に延びた細溝と、建築板の第1方向の両端部に配された端ブロックと、建築板の第1方向の一方の端部に配され、第2方向に延びた凹部と、を備えた建築板が提供される。第2凸部の第2方向の幅は、第1凸部の第2方向の幅よりも広い。各細溝は、表面からの深さが第2目地の深さよりも浅く、第1方向の幅が第2目地の第1方向の幅よりも狭い。各第1目地は、建築板の一方の端部から他方の端部まで連続する。両端部の端ブロックの間には、第1凸部が第1方向に沿って配されており、凹部の他方には、複数の第2凸部が第1方向に沿って配されている。そして、2つの建築板を第1方向に隣合わせて施工した際に、一方の建築板の他方の端部に配された端ブロックと、他方の建築板の一方の端部に配された端ブロックが突き合わされることにより、第1目地及び第2目地によって区画された第3凸部が形成されるとともに、一方の建築板の第2凸部と、他方の建築板の第2凸部は、凹部を介して隣り合う。
【0012】
第1の態様の建築板では、第1方向の両端部に端ブロックが配されており、両端の端ブロックの間には、第2目地によって区画された複数の第1凸部が第1方向に沿って配されている。そして、2つの建築板を第1方向に隣合わせて施工すると、一方側の建築板の他方の端部に配された端ブロックと、他方側の建築板の一方の端部に配された端ブロックが突き合わされることにより、第1目地及び第2目地によって区画された第3凸部が形成され、第1凸部と第1方向に沿って並ぶ。
【0013】
第3凸部には第2方向に沿った建築板の継ぎ目が形成されるが、第1凸部も第2方向に沿って延びた細溝を有する。第3凸部の建築板の継ぎ目が第1凸部の細溝と類似するので、建築板の継ぎ目は目立ちにくく、違和感を生じにくい。
【0014】
また、第1の態様の建築板では、第1方向の一方の端部に凹部が配されており、凹部の他方には、第2目地によって区画された複数の第2凸部が第1方向に沿って配されている。そして、2つの建築板を第1方向に隣合わせて施工すると、一方側の建築板の第2凸部と、他方側の建築板の第2凸部は、凹部を介して隣り合う。凹部は第2目地に類似するとともに、板の継ぎ目は凹部側に形成されるので、建築板の継ぎ目は目立ちにくく、違和感を生じにくい。
【0015】
更に、第2凸部の第2方向の幅は、第1凸部の第2方向の幅よりも広いので、凹部側に形成される板の継ぎ目が多くなり、建築板の継ぎ目は目立ちにくい。
【0016】
以上のように、本発明の第1の態様は、第1方向に隣合わせて施工した時に、継ぎ目が目立ちにくい建築板を実現するのに適する。
【0017】
本発明の第2の態様による建築板は、第1の態様に加え、第1凸部において、第1方向で細溝を介して隣接する第1ブロックの第2方向の位置は互いに異なる形態を有する。ここで、形態を有するとは、第1方向で細溝を介して隣接する第1ブロックの第2方向の位置は、全てが互いに異なっても良いし、一部の第1ブロックだけが異なっても良いことを示す。
【0018】
端ブロックにより形成される第3凸部は、不陸等により端ブロックの第2方向の位置がずれることもある。その場合、隣接する端ブロックの第2方向の位置は互いに異なる。しかし、第1凸部においても、隣接する第1ブロックの第2方向の位置が互いに異なる形態を有するので、隣接する端ブロックの第2方向の位置が互いに異なっても目立ちにくくなるので好ましい。
【0019】
本発明の第3の態様による建築板は、第2の態様に加え、両端部の端ブロックの第2方向の位置は互いに異なる形態を有する。
【0020】
本発明の第3の態様では、第3凸部内で隣接する端ブロックの第2方向の位置がずれるが、第1凸部においても、隣接する第1ブロックの第2方向の位置が互いに異なる形態を有するので、第3凸部の端ブロックの第2方向の位置ずれが目立ちにくくなるので好ましい。また、両端の端ブロックの第2方向の位置を厳密に合わせる必要がないので、作業性に優れる。
【0021】
本発明の第4の態様による建築板は、第1の態様に加え、第2目地を介して第1方向で隣接する第1凸部の第2方向の位置は互いに異なる形態を有する。
【0022】
一方側の建築板の第1凸部と、他方側の建築板の第1凸部は、不陸等により第2方向の位置がずれることもある。しかし、建築板内においても、第2目地を介して第1方向で隣接する第1凸部の第2方向の位置が互いに異なる形態を有するので、一方側の建築板の第1凸部と他方側の建築板の第1凸部の第2方向の位置が異なっても目立ちにくくなるので好ましい。
【0023】
本発明の第5の態様による建築板は、第1の態様に加え、第2目地を介して第1方向で隣接する第2凸部の第2方向の位置は互いに異なる形態を有する。
【0024】
一方側の建築板の第2凸部と、他方側の建築板の第2凸部は、不陸等により第2方向の位置がずれることもある。しかし、建築板内においても、第2目地を介して第1方向で隣接する第2凸部の第2方向の位置が互いに異なる形態を有するので、一方側の建築板の第2凸部と他方側の建築板の第2凸部の第2方向の位置が異なっても目立ちにくくなるので好ましい。
【0025】
本発明の第6の態様によると、2つの建築板を、第1方向に隣合わせて施工した建築板の施工構造が提供される。
【0026】
建築板は、第1方向に延びる複数の第1目地と、第1方向と直交する第2方向に延びる複数の第2目地と、第1目地及び第2目地によって区画された複数の第1凸部、第2凸部と、各第1凸部を複数の第1ブロックに区画する、第2方向に延びた細溝と、建築板の第1方向の両端部に配された端ブロックと、建築板の第1方向の一方の端部に配され、第2方向に延びた凹部と、を備える。第2凸部の第2方向の幅は、第1凸部の第2方向の幅よりも広い。各細溝は、表面からの深さが第2目地の深さよりも浅く、第1方向の幅が第2目地の第1方向の幅よりも狭い。各第1目地は、建築板の一方の端部から他方の端部まで連続する。両端部の端ブロックの間には、第1凸部が第1方向に沿って配されており、凹部の他方には、複数の第2凸部が第1方向に沿って配されている。そして、第1方向に隣合わせて施工された建築板において、一方の建築板の他方の端部に配された端ブロックと、他方の建築板の一方の端部に配された端ブロックが突き合わされることにより、第1目地及び第2目地によって区画された第3凸部が形成されており、一方の建築板の第2凸部と、他方の建築板の第2凸部は、凹部を介して隣り合う。
【0027】
本態様では、建築板の第1方向の両端部に端ブロックが配されており、両端の端ブロックの間には、第2目地によって区画された複数の第1凸部が第1方向に沿って配されている。そして、2つの建築板を第1方向に隣合わせて施工するので、一方側の建築板の他方の端部に配された端ブロックと、他方側の建築板の一方の端部に配された端ブロックが突き合わされて、第1目地及び第2目地によって区画された第3凸部が形成され、第1凸部と第1方向に沿って並ぶ。
【0028】
第3凸部には第2方向に沿った建築板の継ぎ目が形成されるが、第1凸部も第2方向に沿って延びた細溝を有する。第3凸部の建築板の継ぎ目が第1凸部の細溝と類似するので、建築板の継ぎ目は目立ちにくく、違和感を生じにくい。
【0029】
また本態様では、建築板の第1方向の一方の端部に凹部が配されており、凹部の他方には、第2目地によって区画された複数の第2凸部が第1方向に沿って配されている。そして、2つの建築板を第1方向に隣合わせて施工するので、一方側の建築板の第2凸部と、他方側の建築板の第2凸部は、凹部を介して隣り合う。凹部は第2目地に類似するとともに、板の継ぎ目は凹部側に形成されるので、建築板の継ぎ目は目立ちにくく、違和感を生じにくい。
【0030】
更に、第2凸部の第2方向の幅は、第1凸部の第2方向の幅よりも広いので、凹部側に形成される板の継ぎ目が多くなり、建築板の継ぎ目は目立ちにくい。
【0031】
以上のように、本発明の第6の態様による建築板の施工構造は、板の継ぎ目が目立ちにくい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態1に係る外壁板の正面図である。
図2図1におけるA-A線による断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る外壁板を左右に施工した接合構造を示す図である。
図4図3におけるB-B線による断面図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る外壁板の正面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る外壁板を左右に施工した接合構造を示す図である。
図7図6におけるC-C線による断面図である。
図8】本発明の実施の形態3に係る外壁板の正面図である。
図9】本発明の実施の形態4に係る外壁板の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した実施の形態1~4を、図面を参照しつつ説明する。なお、図1において、上下左右の方向を矢印で表示する。また、図1において、紙面手前を表面とし、紙面奥を裏面とする。そして、図2以降の各図に示す方向は、図1に対応させて表示する。
【0034】
(実施の形態1)
実施の形態1の建築板は、セメントを含む窯業系材料からなる外壁板1Aである。この外壁板1Aは、左右方向に長い略矩形状をなし、例えば、縦寸法が455~1000mm、横寸法が1800~3030mmである。
【0035】
外壁板1Aは、例えば、左右合決り構造のものである。右端縁には右側に隣接する外壁板1Aと重ね合わされる接合部として、裏面側で右方に突出した右実部41Aを有する。左端縁には左側に隣接する外壁板1Aと重ね合わせられる接合部として、裏面側が凹んだ左実部42Aを有する。
【0036】
図4に示すように、左側の外壁板1Aの右実部41Aに、右側の外壁板1Aの左実部42Aが重ね合わせられることにより、左右の外壁板1Aは接合されるようになっている。また、右実部41Aには上下方向に断面視ビード状のコーキングCが形成されており、右実部41Aの上に左実部42Aを重ね合わせると、コーキングCが潰れ、外壁板1Aの接合部分を水密な状態とするようになっている。
【0037】
外壁板1Aは、左右方向において、一方側である右側に右側面51Aを、他方側である左側に左側面52Aを有する。外壁板1A、1Aを左右に重ね合わせると、右側の外壁板1Aの右側面51Aと左側の外壁板1Aの左側面52Aは対向し、左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっている。
【0038】
外壁板1Aは、上下方向においても両側に上、下側面53A、54Aを有している。本実施の形態1の場合、上、下側面53A、54Aは、左右方向に延びた上、下実部43A、44Aを有するが、実部を有さない構成とすることもできる。
【0039】
そして、外壁板1Aは、表面側に意匠面2Aを有する。意匠面2Aは、外壁板1Aを施工した際に外壁の屋外側となる面であり、外壁板1Aの模様や柄を構成する部分である。本実施の形態1では、意匠面2Aは、左右方向において、左側面52Aの表面側の端部から右側面51Aの表面側の端部までの領域を占め、上下方向において、下側面54Aの表面側の端部から上側面53Aの表面側の端部までの領域を占めている。
【0040】
意匠面2Aは、上側面53A側に上側横目地111Aを備えると共に、下側面54A側に下側第2凸部221Aと下側縦目地121Aを備える。下側面54A側においては、下側第2凸部221Aと下側縦目地121Aが交互に左右方向に並ぶようになっている。
【0041】
上側横目地111Aは上端辺63aに沿って、外壁板1Aを左右に左端辺62aから右端辺61aまで形成されている。上側横目地111Aの上下方向の幅は、例えば4~5mmである。
【0042】
下側第2凸部221Aは左右方向に長い略矩形状であり、図1に示すように下端辺64aに沿って複数形成されている。一例として、下側第2凸部221Aは、上下方向の幅が81mm、左右方向の幅が600~615mmであり、下端辺64aに沿って3つ下側第2凸部221Aが左右方向に並ぶようになっている。
【0043】
下側縦目地121Aは、下側第2凸部221A、221Aの間で、右、左端辺61a、62aと平行に上下に延びている。一例として、下側縦目地121Aは、左右方向の幅が3~6mmであり、下端辺64aに沿って2つの下側縦目地121Aが左右方向に並ぶようになっている。
【0044】
また、意匠面2Aは、左側面52A側に上側横目地111A、第2凸部22A、横目地11A、左端ブロック34a及び下側第2凸部221Aを備える。左側面52A側においては、上端辺63a側から下端辺64aに向かって、上側横目地111A、第2凸部22A、横目地11A、左端ブロック34a、横目地11A、第2凸部22A、横目地11A、第2凸部22A、横目地11A、左端ブロック34a、横目地11A、下側第2凸部221Aが上下方向に並ぶようになっている。
【0045】
第2凸部22Aは左右方向に長い略矩形状であり、左端辺62aに沿って上下に複数形成されている。一例として、第2凸部22Aは、上下方向の幅が81mm、左右方向の幅が600~615mmであり、左端辺62aに沿って3つの第2凸部22Aが上下方向に並ぶようになっている。
【0046】
横目地11Aは、上端辺63aと平行に、外壁板1Aを左右に左端辺62aから右端辺61aまで延びている。横目地11Aは、第2凸部22A、22Aの間、第2凸部22Aと左端ブロック34aとの間、又は下側第2凸部221Aと左端ブロック34aとの間に形成されている。一例として、横目地11Aの上下方向の幅は4~5mmであり、5つの横目地11Aが上下方向に並ぶようになっている。
【0047】
左端ブロック34aは左右方向に長い略矩形状であるが、左右方向の幅が第2凸部22A、下側第2凸部221Aよりも狭い。また、左端ブロック34aは、第2凸部22Aと第2凸部22Aの間、第2凸部22Aと下側第2凸部221Aの間に形成されており、左端辺62aに沿って並ぶようになっている。一例として、左端ブロック34aは、上下方向の幅が52mm、左右方向の幅が150mmであり、左端辺62aに沿って2つの左端ブロック34aが上下方向に並ぶようになっている。
【0048】
更に意匠面2Aは、右側面51A側に上側横目地111A、凹部15A、横目地11A、右端ブロック33a及び下側第2凸部221Aを備える。右側面51A側においては、上端辺63a側から下端辺64aに向かって、上側横目地111A、凹部15A、横目地11A、右端ブロック33a、横目地11A、凹部15A、横目地11A、凹部15A、横目地11A、右端ブロック33a、横目地11A、凹部15Aが上下方向に並ぶようになっている。
【0049】
凹部15Aは右端辺61aに沿って上下に延びており、上下に複数形成されている。凹部15Aの形状は、縦目地12Aと類似し、凹部15Aの左右方向の幅は、一例として3~6mmである。凹部15Aの上下方向の幅は、左側に隣接する第2凸部22A又は下側第2凸部221Aの上下方向の幅と同じである。凹部15Aは、別の外壁板1Aと接合した際に、別の外壁板1Aの第2凸部22A又は下側第2凸部221Aと隣接する位置となるよう形成されている。
【0050】
右端ブロック33aは左右方向に長い略矩形状であり、上下寸法及び上下方向の位置が左端ブロック34aと同じである。右端ブロック33aの左右方向の幅は左端ブロック34aの左右方向の幅と類似し、一例として、右端ブロック33aの左右方向の幅は150mmである。右端ブロック33aは、凹部15A、15Aの間に右端辺61aに沿って並ぶよう複数形成されている。
【0051】
横目地11Aは、凹部15A、15Aの間、又は凹部15Aと右端ブロック33aとの間に形成されている。横目地11Aは、別の外壁板1Aと接合した際に、別の外壁板1Aの横目地11Aと隣接する位置となるよう形成されている。
【0052】
また、意匠面2Aには、上下方向に複数の縦目地12Aを有している。縦目地12Aは、左、右端辺62a、61aと平行に上下に延びており、第1凸部21A、21Aの間、第2凸部22A、22Aの間、第1凸部21Aと右端ブロック33aの間、第1凸部21Aと左端ブロック34aの間に形成されている。縦目地12Aの左右方向の幅は、例えば3~6mmである。
【0053】
なお、本実施の形態1においては、左右方向が第1方向に相当し、横目地11A、上側横目地111Aが第1目地に相当する。上下方向が第2方向に相当し、縦目地12A、下側縦目地121Aが第2目地に相当する。
【0054】
第1凸部21A、右端ブロック33a及び左端ブロック34aは、横目地11Aと縦目地12Aにより区画されるようになっている。第2凸部22Aは、横目地11A、上側横目地111A、縦目地12Aのいずれかにより区画されるようになっている。下側第2凸部221Aは、横目地11Aと下側縦目地121Aにより区画されるようになっている。
【0055】
第1凸部21Aは左右方向に長い略矩形状である。一例として、第1凸部21Aの上下方向の幅は52mm、左右方向の幅は300mmである。図1に示すように、左側面52A側に位置する左端ブロック34aと、右側面51A側に位置する右端ブロック33aとの間に、複数の第1凸部21Aが縦目地12Aを介して左右に並ぶようになっている。左端ブロック34aと右端ブロック33aとの間に並ぶ第1凸部21Aの数は、例えば5である。本実施の形態1においては、縦目地12Aを介して左右に隣接する2つの第1凸部21Aの上下方向の位置は、同じ、又は互いに異なるよう形成されている。
【0056】
また、第1凸部21Aは上下方向に延びる細溝14Aにより複数の第1ブロック31aに区画されている。
【0057】
細溝14Aは、表面からの深さが縦目地12A、下側縦目地121Aよりも浅く、左右の幅は縦目地12A、下側縦目地121Aよりも狭い。本実施の形態1では、細溝14Aは断面視V形状であるが、断面視で四角形状、台形形状、円形状、楕円形状としても良い。
【0058】
本実施の形態1では、第1凸部21Aは細溝14Aにより2つの第1ブロック31aに区画されている。第1ブロック31aは、左右方向に長い略矩形状であり、上下寸法及び左右寸法が左端ブロック34aと類似する。一例として、第1ブロック31aの左右方向の幅は150mmである。
【0059】
本実施の形態1においては、細溝14Aを介して左右に隣接する2つの第1ブロック31aの上下方向の位置は、同じ、又は互いに異なるようになっている。そのため、第1凸部21Aは、第1ブロック31aの上下位置が異なる第1凸部211Aと、第1ブロック31aの上下位置が同じ第1凸部212Aとからなるようになっている。
【0060】
第2凸部22Aも左右方向に長い略矩形状であるが、第1凸部21Aと形状が異なる。第2凸部22Aは、上下、左右の幅が第1凸部21Aよりも広く、一例として、第2凸部22Aの上下方向の幅は81mm、左右方向の幅は600~615mmである。図1に示すように、左側面52A側に位置する第2凸部22Aと、右側面51A側に位置する凹部15Aとの間に、複数の第2凸部22Aが縦目地12Aを介して左右に並ぶよう形成されている。縦目地12Aを介して左右に隣接する2つの第2凸部22Aの上下方向の位置は、互いに異なるよう形成されている。
【0061】
本実施の形態1では、第2凸部22Aは、左右方向に延びる横細目地131Aと、上下方向に延びる縦細目地132Aにより6つの第2ブロック32aに区画されている。
【0062】
横細目地131Aの上下方向の幅は、例えば2mmであり、縦細目地132Aの左右方向の幅は、例えば2mmである。また、一例として、第2ブロック32aは、上下方向の幅が30~50mm、左右方向の幅が120~270mmである。なお、横細目地131Aと縦細目地132Aは、表面からの深さが細溝14Aよりも深いが縦目地12A、横目地11Aよりも浅く、左右の幅は細溝14Aよりも広いが縦目地12A、横目地11Aよりも狭い。縦細目地132Aを介して左右に隣接する2つの第2ブロック32aの上下方向の位置は、同じとなるよう形成されている。
【0063】
下側第2凸部221Aも左右方向に長い略矩形状であるが、上下、左右の幅が第1凸部21Aよりも広い。左側面52A側に位置する下側第2凸部121Aと、右側面51A側に位置する凹部15Aとの間に、複数の下側第2凸部221Aが下側縦目地121Aを介して左右に並ぶよう形成されている。下側縦目地121Aを介して左右に隣接する2つの下側第2凸部221Aの上下方向の位置は、互いに異なるよう形成されている。
【0064】
下側第2凸部221Aも、横細目地131Aと縦細目地132Aにより6つの下側第2ブロック321aに区画されている。
【0065】
そして、本実施の形態1の場合、外壁板1Aの構造躯体への施工は、例えば、次のように行うことができる。
まず、外壁板1Aを構造躯体に取り付ける。
【0066】
次に、構造躯体に取り付けた外壁板1Aの右側に、別の外壁板1Aを取り付ける。この際に、図4に示すように、構造躯体に取り付けた外壁板1Aの右実部41Aに、別の外壁板1Aの左実部42Aが重ね合うように取り付ける。コーキングCは左実部42Aにより潰される。
【0067】
ここで、右側の外壁板1Aの右側面51Aと左側の外壁板1Aの左側面52Aは対向し、左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっている。右側の外壁板1Aの凹部15Aは、左側の外壁板1Aの第2凸部22A又は下側第2凸部221Aと隣接し、左右板の継ぎ目Jが凹部15Aの右縁に形成されるようになっている。
【0068】
また、右側の外壁板1Aの右端ブロック33aと左側の外壁板1Aの左端ブロック34aが隣接し、第3凸部23Aが形成されるようになっている。第3凸部23Aでは、右端ブロック33aと左端ブロック34aの境に左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっている。
【0069】
更に、右側の外壁板1Aの横目地11Aが左側の外壁板1Aの横目地11Aと隣接し、右側の外壁板1Aの横目地11Aと左側の外壁板1Aの横目地11Aの境に左右板の継ぎ目が形成されるようになっている。右側の外壁板1Aの横目地11Aと左側の外壁板1Aの横目地11Aは繋がるようになっている。
【0070】
以後、同じ作業を繰り返すことにより、外壁板1Aを左右に隣合わせて構造躯体に施工した建築板の施工構造が構築される。
【0071】
本実施の形態1の場合では、図3、4に示すように、左側の外壁板1Aの右端ブロック33aと右側の外壁板1Aの左端ブロック34aが隣接し、横目地11A及び縦目地12Aによって区画された第3凸部23Aが形成されるようになっている。第3凸部23Aは2つのブロックが左右に並ぶようになっているので、2つの第1ブロック31aが左右に並ぶ第1凸部21Aと輪郭が類似する。また、第3凸部23Aでは、右端ブロック33aと左端ブロック34aの境に左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっているが、左右板の継ぎ目Jは第1凸部21Aの細溝14Aと類似する。そのため、第3凸部23Aは第1凸部21Aと類似し、左右板の継ぎ目Jは目立たず、意匠の連続性も失われない。
【0072】
また、右側の外壁板1Aの凹部15Aは、左側の外壁板1Aの第2凸部22A又は下側第2凸部221Aと隣接し、左右板の継ぎ目Jが凹部15Aの右縁に形成されるようになっているので、左右板の継ぎ目Jは目立ちにくい。なお、第2凸部22A、下側第2凸部221Aの上下方向の幅は、第1凸部21A、第3凸部23Aの上下方向の幅よりも広いので、凹部15Aの右縁に形成される左右板の継ぎ目Jが多くなり、左右板の継ぎ目Jは目立ちにくい。
【0073】
更に、凹部15Aは、右側の外壁板1Aの第2凸部22Aと左側の外壁板1Aの第2凸部22A、又は右側の外壁板1Aの下側第2凸部221Aと左側の外壁板1Aの下側第2凸部221Aに挟まれ、縦目地12A、下側縦目地121Aと類似した形状となるようになっているので、意匠の連続性が失われない。
【0074】
更に、右側の外壁板1Aの横目地11Aは、左側の外壁板1Aの横目地11Aと隣接し、右側の外壁板1Aの横目地11Aと左側の外壁板1Aの横目地11Aの境に左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっている。左右板の継ぎ目Jが横目地11Aに形成されるので、左右板の継ぎ目は目立ちにくい。また、右側の外壁板1Aの横目地11Aと左側の外壁板1Aの横目地11Aが繋がるようになっているので、意匠の連続性も失われない。
【0075】
更に、本実施の形態1では、縦目地12Aを介して左右に隣接する2つの第1凸部21A、第1凸部211A内の2つの第1ブロック31a、縦目地12Aを介して左右に隣接する2つの第2凸部22A、下側縦目地121Aを介して左右に隣接する2つの下側第2凸部221Aは、上下方向の位置が互いに異なる形態を有する。そのため、不陸等により外壁板1A、1Aの間にずれが生じても目立ちにくく、意匠の連続性は失われない。
【0076】
以上のように、外壁板1Aは、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い意匠の連続性を実現するのに適する。
【0077】
(実施の形態2)
実施の形態2の建築板は、図5に示す外壁板1Bである。この外壁板1Bは、凹部15B、右端ブロック33bと左端ブロック34bが外壁板1Aと異なる。
【0078】
また、凹部15Bの変更に伴い、右側面51B側の第2ブロック32b、下側第2ブロック321bの左右方向の幅が、右側面51A側の第2ブロック32a、下側第2ブロック321aよりも大きく、左側面52B側の第2ブロック32b、下側第2ブロック321bの左右方向の幅が、左側面52A側の第2ブロック32a、下側第2ブロック321aよりも小さくなっている。
【0079】
更に、右端ブロック33bの変更に伴い、右端ブロック33bと第2凸部22Bの間の横目地11Bの上下方向の幅も変更している。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっている。
【0080】
外壁板1Bも、右側面51B側に、複数の凹部15Bが右端辺61bに沿って上下に延びるよう形成されている。しかし、外壁板1Bは、右側面51B側の凹部15Bの左右の幅が凹部15Aよりも狭くなっていることと、凹部15Bを左側面52B側にも複数備えることが外壁板1Aと異なる。
【0081】
右側面51B側の凹部151Bは、左右方向の幅が凹部15Aよりも狭くなっている。凹部151Bの左右方向の幅は、例えば1~3mmである。
【0082】
また、本実施の形態2では、左側面52B側にも凹部152Bが複数形成されるようになっている。凹部152Bの左右方向の幅は、例えば1~3mmである。
【0083】
左側面52B側においては、上端辺63b側から下端辺64bに向かって、上側横目地111B、凹部152B、横目地11B、左端ブロック34b、横目地11B、凹部152B、横目地11B、凹部152B、横目地11B、左端ブロック34b、横目地11B、下側第2凸部221Bが上下方向に並ぶようになっている。左側面52B側の凹部152Bの上下寸法、左右寸法及び上下方向の位置は、右側面51B側の凹部151Bと同じである。
【0084】
右端ブロック33bは、上下方向の位置と、左右の縁縁の形状が右端ブロック33aと異なる。右端ブロック33bの上下方向の位置は、左端ブロック34bの上下方向の位置と異なるが、別の外壁板1Bと接合した際に、別の外壁板1Bの左端ブロック34bと隣接する位置となるよう形成されている。
【0085】
また、右端ブロック33bの右縁辺と左端ブロック34bの左縁辺には、右縁辺又は左縁辺に向かって傾斜した面取りが上下方向に形成されている。
【0086】
本実施の形態2の場合も、構造躯体に取り付けた外壁板1Bの右実部41Bに別の外壁板1Bの左実部42Bが重ね合うように取り付けると、右側の外壁板1Bの右端ブロック33bと左側の外壁板1Bの左端ブロック34bが隣接し、第3凸部23Bが形成されるようになっている。右端ブロック33bの上下方向の位置は左端ブロック34bと異なるので、第3凸部23Bの輪郭は第3凸部23Aと異なる。
【0087】
しかし、第3凸部23Bの輪郭は、第1凸部211Bと類似する。また、本実施の形態2では、第3凸部23Bに形成される左右板の継ぎ目は、右端ブロック33bと左端ブロック34bの面取りにより断面視V形状となるので、本実施の形態1よりもより第1凸部21Bの細溝14Bに類似する。そのため、第3凸部23Bは第1凸部21Bと類似し、左右板の継ぎ目Jは目立たず、意匠の連続性も失われない。更に、施工の際に、端ブロック33b、34bの上下方向の位置を厳密に合わせる必要がないので、作業性に優れる。
【0088】
また、図7に示すように、構造躯体に取り付けた外壁板1Bの右実部41Bに別の外壁板1Bの左実部42Bが重ね合うように取り付けると、右側の外壁板1Bの凹部151Bと左側の外壁板1Bの凹部152Bが隣接し、左右板の継ぎ目Jが凹部151B、152Bの間に形成されるようになっているので、左右板の継ぎ目Jは目立ちにくい。凹部151B、152Bが隣接すると、縦目地12B、下側縦目地121Bと類似した形状となるようになっているので、意匠の連続性が失われない。
【0089】
更に、右側の外壁板1Bの横目地11Bは、左側の外壁板1Bの横目地11Bと隣接し、右側の外壁板1Bの横目地11Bと左側の外壁板1Bの横目地11Bの境に左右板の継ぎ目Jが形成されるようになっているので、左右板の継ぎ目Jは目立ちにくく、意匠の連続性も失われないことは実施の形態1と同じである。
【0090】
以上のように、外壁板1Bも、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い意匠の連続性を実現するのに適する。
【0091】
(実施の形態3)
実施の形態3の建築板は、図8に示す外壁板1Cである。この外壁板1Cは、縦細目地132Cを介して隣接する第2ブロック32cの上下位置が異なる第2凸部222Cを備えることが外壁板1Aと異なる。また、第2凸部222Cの変更に伴い、横目地11Cの上下幅も変更している。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっている。
【0092】
外壁板1Cも、第2凸部22Cは、左右方向に延びる横細目地131Cと、上下方向に延びる縦細目地132Cにより6つの第2ブロック32cに区画されている。しかし、外壁板1Cは、第2ブロック32cの上下位置が揃っていない第2凸部222Cを備えることが外壁板1Aと異なる。第2凸部222Cでは、縦細目地132Cの右側の第2ブロック32cと左側の第2ブロック32cは上下位置が異なる。そのため、第2凸部222Cの上端辺及び下端辺は直線状ではない。
【0093】
本実施の形態3の場合も、構造躯体に取り付けた外壁板1Cの右実部41Cに別の外壁板1Cの左実部42Cが重ね合うように取り付けると、実施の形態1と同様に、左右板の継ぎ目は目立たず、意匠の連続性が失われない。
【0094】
また、外壁板1Cは、第2凸部222Cを備えるので、不陸等により外壁板1C、1Cの間にずれが生じてもより目立ちにくく、意匠の連続性は失われない。
【0095】
(実施の形態4)
実施の形態4の建築板は、図9に示す外壁板1Dである。この外壁板1Dは、12の第2ブロック32dからなる第2凸部223Dを備えること、左右方向に並ぶ第2凸部22D、223D、下側第2凸部221Dの上下位置が揃うよう形成されていることが外壁板1Aと異なる。また、第2凸部223Dに伴い、横目地11Dの数を変更している。更に、第2凸部22D、223D、下側第2凸部221Dの変更に伴い、横目地11Dの上下幅も変更している。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっている。
【0096】
第2凸部223Dは、左右方向に延びる横細目地131Dと、上下方向に延びる縦細目地132Dにより12の第2ブロック32dに区画されている。
【0097】
本実施の形態4の場合も、構造躯体に取り付けた外壁板1Dの右実部41Dに別の外壁板1Dの左実部42Dが重ね合うように取り付けると、実施の形態1と同様に、左右板の継ぎ目は目立たず、意匠の連続性が失われない。
【0098】
本発明は上記実施の形態1~4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できる。
【0099】
例えば、細溝により第1凸部を3つ以上に区画しても良い。左右方向に並ぶ第1凸部の上下位置を同じとしても良い。細溝と細目地の左右幅を同じとしても良い。第1ブロック、第2ブロック、右端ブロック、左端ブロックには凹凸、傾斜などの任意の模様を施すことができる。第2凸部は細目地ではなく、各第2ブロックの表面の模様を異ならせることにより区画しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1A~1D…外壁板
2A~2D…意匠面
11A~11D…横目地(第1目地)
111A~111D…上側横目地(第1目地)
12A~12D…縦目地(第2目地)
121A~121D…下側縦目地(第2目地)
131A~131D…横細目地
132A~132D…縦細目地
14A~14D…細溝
15A~15D…凹部
21A~21D…第1凸部
211A~211D…上下位置が異なる第1ブロックが隣接した第1凸部
212A~212D…上下位置が同じ第1ブロックが隣接した第1凸部
22A~22D…第2凸部
221A~221D…下側第2凸部
222C…上下位置が異なる第2ブロックが隣接した第2凸部
223D…12の第2ブロックからなる第2凸部
23A~23B……第3凸部
31a~31d…第1ブロック
32a~32d…第2ブロック
321a~321d…下側第2ブロック
33a~33d…右端ブロック
34a~34d…左端ブロック
41A~41D…右実部
42A~42D…左実部
43A~43D…上実部
44A~44D…下実部
51A~51D…右側面
52A~52D…左側面
53A~53D…上側面
54A~54D…下側面
61a~61d…右端辺
62a~62d…左端辺
63a~63d…上端辺
64a~64d…下端辺
C…コーキング
J…板の継ぎ目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9